JP2002371382A - 金属膜およびその製造方法ならびに積層セラミック電子部品およびその製造方法 - Google Patents

金属膜およびその製造方法ならびに積層セラミック電子部品およびその製造方法

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JP2002371382A
JP2002371382A JP2001181449A JP2001181449A JP2002371382A JP 2002371382 A JP2002371382 A JP 2002371382A JP 2001181449 A JP2001181449 A JP 2001181449A JP 2001181449 A JP2001181449 A JP 2001181449A JP 2002371382 A JP2002371382 A JP 2002371382A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 積層セラミック電子部品の内部導体膜を形成
するための金属膜を、それを形成するために用いられる
支持基体からの剥離性が良好な状態で、製造できる方法
を提供する。 【解決手段】 表面が有機物から構成される支持基体1
上に、真空蒸着を適用して、第1の金属層2を形成し、
この第1の金属層2上に、無電解めっきを適用して第2
の金属層4を形成することによって、目的とする金属膜
を得る。このとき、第1の金属層2を形成するための蒸
着時の蒸発源の温度T(K)と蒸着量の厚み換算値d
(nm)との関係が、d<−2.08×10-73
1.01×10 -32 −1.68T+959の式で表わ
される条件を満たすようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、金属膜およびそ
の製造方法ならびに積層セラミック電子部品およびその
製造方法に関するもので、特に、基本的に無電解めっき
によって形成され、かつ積層セラミック電子部品に備え
る内部導体膜として用いるのに適した、金属膜の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえば積層セラミックコンデンサのよ
うな積層セラミック電子部品は、内部電極のような内部
導体膜を備えている。内部導体膜は、種々の方法によっ
て形成されることができる。典型的には、導電性ペース
トを印刷し焼き付けるといった厚膜形成技術を用いて内
部導体膜を形成する方法、あるいは、真空蒸着またはス
パッタリングなどの真空系薄膜形成法や無電解めっき法
または電気めっき法のような湿式めっき法といった薄膜
形成技術を用いて内部導体膜を形成する方法がある。
【0003】この発明にとって特に興味あるのは、後者
の薄膜形成技術による内部導体膜の形成方法すなわち金
属膜の製造方法である。
【0004】薄膜形成技術による金属膜の製造方法とし
て、たとえば特開平6−302469号公報には、支持
基体としての有機フィルム上に、真空系薄膜形成法によ
って、マスクを介して、0.1〜0.3μmの厚みをも
って、第1の金属層を形成し、次に、無電解めっきによ
って、第1の金属層上に第2の金属層を形成し、それに
よって所定の厚みを有する金属膜を製造する方法が記載
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の金属膜の製造方法では、次のような問題があ
る。
【0006】(1)一般に、有機フィルムの表面は、蒸
着では、熱的ダメージを受け、スパッタリングでは、電
子線によるダメージや入射物質の運動エネルギーによる
ダメージを受ける。特に、ニッケル膜を蒸着によって
0.1μm以上の厚みで形成しようとすると、多くのダ
メージが有機フィルムの表面に与えられる。
【0007】他方、有機フィルム上に形成された金属膜
は、積層セラミック電子部品の内部導体膜として用いら
れるためには、有機フィルムからセラミックグリーンシ
ートへ転写されるなどして、いずれかの工程で有機フィ
ルムが金属膜から剥離された状態を得なければならな
い。
【0008】しかしながら、前述したように、有機フィ
ルムの表面がダメージを受けると、有機フィルムと金属
膜との密着性が上がり、有機フィルムと金属膜との間で
良好な剥離性を得ることができない。特に、最終的な金
属膜の膜厚が0.5μm以下では、この傾向が顕著であ
る。
【0009】(2)真空系薄膜形成法によって、厚み
0.1μm以上に成膜するには、長時間必要であり、生
産性が悪い。
【0010】(3)パターニングされた金属膜を製造す
るために、真空系薄膜形成法による第1の金属層形成時
にマスクが用いられる場合、1パターン形成毎にマスク
に付着する金属膜の厚みが0.1μm以上となる。この
ため、付着した金属膜の内部応力によるマスクの変形や
マスク開口部の寸法の初期寸法からのずれなどによる成
膜寸法の不具合や、金属膜の剥離により生じる各種不具
合を予防するために行なうマスクの洗浄および交換の頻
度が高かったり、マスクの寿命が短くなるという不都合
が生じる。
【0011】(4)第1の金属層の厚みが0.1μm以
上であるため、全体としての厚みが0.5μm以下の金
属膜を形成しようとすると、第1の金属層の割合は、金
属膜全体の20%以上と大きくなる。無電解めっきによ
って形成される第2の金属層が、本来必要とするもので
あり、この第2の金属層に目的とする金属が含まれてい
るため、第1の金属層の割合が大きくなると、第2の金
属層の割合が小さくなって、金属膜に求められる性能を
発揮しにくくなる。
【0012】(5)第1の金属層は、第2の金属層を形
成するための無電解めっきに対して触媒能を有している
ことが必要であるが、第1の金属層の厚みが0.1μm
以上と厚く、そのため、第1の金属層の形成に必要な物
質量が多くなるため、触媒能の高いパラジウムなどの貴
金属を第1の金属層において用いるとコストの上昇を招
いてしまう。
【0013】そこで、この発明の目的は、上述したよう
な問題を解決し得る、すなわち、支持基体からの剥離性
が良好であること、生産性の優れたものであること、マ
スクが用いられる場合、マスクの洗浄または交換頻度を
減らすことができること、所望の金属の割合が高いこ
と、および、材料コストを抑えつつ、触媒能の高い貴金
属を触媒として無電解めっきを行なえ、それによって、
良好な膜質を得られることといった条件を満足し得る、
金属膜の製造方法およびこの製造方法によって得られた
金属膜を提供しようとすることである。
【0014】この発明の他の目的は、上述したような金
属膜の製造方法を適用して製造された金属膜を備える積
層セラミック電子部品および積層セラミック電子部品の
製造方法を提供しようとすることである。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明は、表面が有機
物から構成される支持基体上に、真空蒸着を適用して、
第1の金属層を形成する、蒸着工程と、第1の金属層上
に、無電解めっきを適用して、第2の金属層を形成す
る、無電解めっき工程とを備える、金属膜の製造方法に
まず向けられるものであって、上述した技術的課題を解
決するため、次のような構成を備えることを特徴として
いる。
【0016】すなわち、上述した蒸着工程において、蒸
着時の蒸発源の温度T(K)と蒸着量の厚み換算値d
(nm)との関係が、 d<−2.08×10-73 +1.01×10-32
1.68T+959 の式で表わされる条件を満たすようにすることを特徴と
している。
【0017】上述した支持基体の表面を構成する有機物
は、シリコーン、長鎖アルキルポリマー、ポリオレフィ
ン、アルキド樹脂およびフッ素化合物からなる群から選
ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0018】また、蒸着工程において、第1の金属層
は、マスクを介して形成されることによってパターニン
グされることが好ましい。
【0019】また、蒸発源の温度Tは、1680K以下
であることが好ましい。この場合、1680K以下の温
度で蒸着できる金属としては、パラジウム、鉄、金、マ
ンガン、銅、錫、銀、鉛、亜鉛、カドミウム、ガリウ
ム、インジウム、タリウムもしくはアルミニウム、また
はこれらの合金が挙げられる。したがって、第1の金属
層は、これら列挙した少なくとも1種の金属を含むこと
になる。
【0020】より好ましくは、蒸発源の温度Tは、15
90K以下である。この場合、1590K以下の温度で
容易に蒸着できる金属としては、銅、錫、銀、鉛、亜
鉛、カドミウム、ガリウム、インジウム、タリウムもし
くはアルミニウム、またはこれらの合金が挙げられる。
したがって、第1の金属層は、上に列挙した少なくとも
1種の金属を含むことになる。
【0021】また、蒸着量の厚み換算値dは、40nm
以下であることが好ましい。
【0022】また、蒸着工程において、支持基体が冷却
されることが好ましい。
【0023】他方、無電解めっき工程は、好ましくは、
銅またはニッケルを主成分として含む無電解めっき浴を
用いて実施される。
【0024】また、無電解めっき工程の前に、第1の金
属層の少なくとも表面を無電解めっきの触媒となる物質
で置換する、置換めっき工程が必要に応じて実施されて
もよい。
【0025】この発明は、また、上述したような製造方
法によって得られた金属膜にも向けられる。
【0026】この金属膜は、好ましくは、積層セラミッ
ク電子部品に備える内部導体膜を形成するために用いら
れる。
【0027】また、この発明は、複数の積層されたセラ
ミック層とセラミック層の間の特定の界面に沿って延び
る内部導体膜とを備える、積層セラミック電子部品にも
向けられる。このような積層セラミック電子部品におい
て、この発明では、内部導体膜が、上述した金属膜によ
って与えられていることを特徴としている。
【0028】上述の積層セラミック電子部品として、代
表的には、積層セラミックコンデンサがある。
【0029】この発明は、また、前述したような製造方
法によって得られ、かつ支持基体上に形成された状態に
ある金属膜にも向けられる。このように支持基体上に形
成された形態を有する金属膜を適用することによって、
以下のように、この発明に係る積層セラミック電子部品
の製造方法が実施される。
【0030】この発明に係る積層セラミック電子部品の
製造方法は、第1の局面では、支持基体上に形成された
金属膜を覆うように、支持基体上でセラミックグリーン
シートを成形することによって、金属膜とセラミックグ
リーンシートとからなる複合体を作製する工程と、複数
の複合体を積層することによって、生の積層体を作製す
る工程と、各複合体から支持基体を剥離する工程と、生
の積層体を焼成する工程とを備えることを特徴としてい
る。
【0031】この発明に係る積層セラミック電子部品の
製造方法は、第2の局面では、セラミックグリーンシー
トを用意する工程と、支持基体上に形成された金属膜
を、支持基体からセラミックグリーンシートへ転写する
ことによって、金属膜とセラミックグリーンシートとか
らなる複合体を作製する工程と、複数の複合体を積層す
ることによって、生の積層体を作製する工程と、生の積
層体を焼成する工程とを備えることを特徴としている。
【0032】さらに、この発明は、上述したような製造
方法によって得られた積層セラミック電子部品にも向け
られる。
【0033】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の一実施形態に
よる金属膜の製造方法を説明するためのものである。
【0034】目的とする金属膜を製造するにあたって、
まず、図1(1)に示すように、支持基体1上に、真空
蒸着を適用して、第1の金属層2を形成する、蒸着工程
が実施される。ここで、好ましくは、マスク3が用いら
れ、このマスク3を介して、第1の金属層2を形成する
ことによって、第1の金属層2がパターニングされる。
【0035】上述した真空蒸着を行なうための装置とし
ては、たとえば、抵抗加熱、電子ビーム加熱、誘導加熱
などを用いたものを使用することができ、また、クラス
ターイオンビーム蒸着装置なども使用可能である。
【0036】また、支持基体1は、表面が有機物から構
成されたものが用いられる。たとえば、支持基体1は、
ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンなどの有
機物から構成されたり、これら有機物の表面に有機物か
らなる膜を形成したものから構成されたり、ステンレス
鋼などの無機物上に有機物からなる膜を形成したものか
ら構成されたりすることができる。
【0037】上述した有機物からなる膜は、金属膜およ
びセラミックグリーンシートからの支持基体1の剥離性
を良好とするためのもので、この膜を構成する有機物と
しては、従来から離型剤として知られている物質を有利
に用いることができる。より具体的には、有機物からな
る膜は、シリコーン、長鎖アルキルポリマー、ポリオレ
フィン、アルキド樹脂およびフッ素化合物からなる群か
ら選ばれた少なくとも1種から構成することができる。
なお、表面に有機物からなる膜が形成されずに、支持基
体1全体が有機物から構成される場合においても、この
有機物は、上で列挙したような有機物の少なくとも1種
を含んで構成されることが望ましい。
【0038】支持基体1の形態は、可撓性のフィルム状
であっても、剛性の比較的高い板状または筒状であって
もよい。
【0039】第1の金属層2を形成するための蒸着工程
において、蒸発源の温度T(K)とたとえば水晶振動子
膜厚計でモニタすることにより求められる蒸着量の厚み
換算値d(nm)とが、 d<−2.08×10-73 +1.01×10-32
1.68T+959 の式で表わされる条件を満たすようにすることが重要で
ある。
【0040】上の式は、後述する実験によって求められ
たもので、蒸着量が、この式で規定された範囲の厚み換
算値dより多くなると、支持基体1の有機物表面が蒸着
による熱的ダメージを比較的多く受け、最終的に形成さ
れる金属膜の剥離性を悪化してしまう。
【0041】また、蒸発源の温度Tが1680Kを超え
ると、上の式を満たす蒸着量は、厚み換算値dで1nm
より小さいことが必要であるが、一般の真空蒸着装置を
用いて、このような膜厚をコントロールすることは困難
であるため、蒸発源の温度Tは1680K以下であるこ
とが望ましい。
【0042】1680K以下の温度で蒸着できる金属と
しては、パラジウム、鉄、金、マンガン、銅、錫、銀、
鉛、亜鉛、カドミウム、ガリウム、インジウム、タリウ
ムもしくはアルミニウム、またはこれらの合金が挙げら
れる。したがって、このように列挙された金属を蒸発源
として用いた場合、第1の金属層2は、パラジウム、
鉄、金、マンガン、銅、錫、銀、鉛、亜鉛、カドミウ
ム、ガリウム、インジウム、タリウムおよびアルミニウ
ムからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属を含む
ことになる。
【0043】さらに言うならば、蒸発源の温度Tが15
90K以下であれば、上の式を満たす蒸着量は、厚み換
算値dで5nmより小さくなるようにコントロールすれ
ば十分であるので、量産工程を管理する上においては、
コントロールがより容易になり、この点において、上述
の1680K以下の場合より好ましい。
【0044】1590K以下で容易に蒸着できる金属と
しては、銅、錫、銀、鉛、亜鉛、カドミウム、ガリウ
ム、インジウム、タリウムもしくはアルミニウム、また
はこれらの合金が挙げられる。したがって、ここで列挙
した金属が蒸発源として用いられる場合には、第1の金
属層2は、銅、錫、銀、鉛、亜鉛、カドミウム、ガリウ
ム、インジウム、タリウムおよびアルミニウムからなる
群から選ばれた少なくとも1種の金属を含むことにな
る。
【0045】蒸着量の下限値については、後述する次の
工程である無電解めっき工程が円滑に行なわれるのに必
要な量であればよい。しかしながら、後述する実験例に
おける試料1(表1参照)からわかるように、蒸着量の
厚み換算値dが1nmの場合においても、無電解めっき
工程において十分なめっきが施されていることから、一
般の真空蒸着装置を用いてコントロールし得る蒸着量の
範囲では実質的に問題になることはない。
【0046】また、蒸発源の温度Tが1180K以下で
は、前述した式の条件を満たす蒸着量の上限は、厚み換
算値dで40nmを超えるが、生産性を高め、かつ得よ
うとする金属膜中において所望の金属以外の金属が占め
る割合を減らすためには、この厚み換算値dを40nm
以下にコントロールすることが望ましい。
【0047】このようなことから、良好な剥離性を得る
ため、しかも、目的とする金属膜中におけるいわゆる不
純物としての第1の金属層2の割合を減らすためには、
次の無電解めっき工程において支障がない範囲で蒸着量
を減らすことが効果的であることがわかる。
【0048】さらに、良好な剥離性を得るためには、蒸
着工程において、支持基体1が加熱されることを防止す
るのが良い。したがって、支持基体1を冷却しながら蒸
着工程を実施することが好ましい。
【0049】次に、図1(2)に示すように、第1の金
属層2上に、無電解めっきを適用して、第2の金属層4
を形成する、無電解めっき工程が実施される。
【0050】第2の金属層4は、得られた金属膜の主要
部をなすもので、この金属膜が積層セラミック電子部品
の内部導体膜として用いられる場合であって、積層セラ
ミック電子部品を得るための焼成工程において還元性雰
囲気を適用することが可能な場合には、電気伝導率およ
びコストなどの点から、第2の金属層4は、銅またはニ
ッケルをもって構成することが望ましい。この場合、無
電解めっき浴として、たとえば、無電解銅めっき浴、無
電解ニッケル−リン合金めっき浴、無電解ニッケル−ホ
ウ素合金めっき浴などを用いることができる。
【0051】他方、積層セラミック電子部品を得るため
の焼成工程において還元性雰囲気を適用することが不可
能な場合には、第2の金属層4は、銀、パラジウムもし
くは白金またはこれらの合金をもって構成される。
【0052】また、上述した種々の金属に対して他の金
属元素を共析により混ぜることによって合金とされたも
のを用いてもよい。さらに、これらの他に、コバルト−
リン、コバルト−ホウ素、ロジウムなどの無電解めっき
浴も使用可能である。
【0053】この無電解めっき工程に関して、前述した
第1の金属層2を構成する金属が、無電解めっき浴に対
して十分な触媒能を持つ場合には、直接、第1の金属層
2上に無電解めっきが実施される。必要に応じて、酸化
皮膜除去や脱脂などの各種表面処理を行なってもよい。
【0054】他方、第1の金属層2が、無電解めっき浴
に対して触媒能を持たない場合や不十分な場合には、無
電解めっき工程の前に、第1の金属層2の少なくとも表
面を無電解めっきの触媒となる物質で置換する、置換め
っき工程を実施し、その後、無電解めっき工程を実施す
るようにすることが有効である。
【0055】この置換めっき工程では、無電解めっき浴
に対する触媒能を有する金属の溶液に、第1の金属層2
が形成された支持基体1を浸漬し、この浸漬状態で、酸
化還元平衡電位の差によって置換反応を生じさせ、触媒
能をもつ金属を第1の金属層2の表面に付着させること
が行なわれる。
【0056】触媒能をもつ金属の溶液としては、塩化パ
ラジウム・塩酸水溶液などが使用可能である。
【0057】この置換めっき工程における置換反応によ
る触媒付与方法を用いる場合、触媒能を有する金属は、
第1の金属層2を構成する金属より、酸化還元平衡電位
が貴であることが必要である。触媒能をもつ金属として
は、パラジウムの他に、たとえば、白金、金、銀、ロジ
ウム、イリジウムなどが、無電解めっき工程のためのめ
っき浴に応じて使用可能である。
【0058】このような置換めっき工程を実施すること
により、第1の金属層2を構成するために用いられる金
属の選択範囲が広がり、そのため、蒸発源の温度Tをよ
り下げることが容易となり、結果的に、良好な再現性を
もって、剥離性の良好な金属膜を製造することができ
る。
【0059】また、第1の金属層2を構成する金属の触
媒能が弱い場合には、その蒸着量が少ないと、無電解め
っき工程において十分な反応が得られないことがある
が、上述したような置換めっき工程を採用すれば、触媒
能のより高い金属を第1の金属層2の表面に析出させる
ことができるので、第1の金属層2の蒸着量を少なくし
ても、無電解めっき工程において十分なめっきを施すこ
とができる。
【0060】図1(1)に示すように、蒸着工程におい
て、第1の金属層2を形成するにあたっては、マスク3
が用いられ、それによって、第1の金属層2がパターニ
ングされる。したがって、無電解めっき工程において、
無電解めっきを実施したとき、第1の金属層2が形成さ
れた部分にのみ第2の金属層4を形成することができ、
その結果、目的とする金属膜全体としてのパターニング
も可能となる。このようなマスク3としては、たとえ
ば、メタルマスクや各種マスクフィルムを用いることが
できる。
【0061】なお、パターニング方法としては、上述し
たようなマスク3を用いる方法に限らず、フォトレジス
トなどの各種レジストを用いる方法も可能である。ま
た、第1の金属層2の形成後にエッチングする方法や、
第2の金属層4の形成後にエッチングする方法も可能で
ある。
【0062】しかしながら、工程の簡素化という点で
は、メタルマスクのようなマスク3を用いる方が有利で
ある。なぜなら、マスク3は容易に着脱することが可能
でありかつ繰り返し使用することができ、さらに、第1
の金属層2が形成された段階でパターニング状態が得ら
れているからである。その上、レジストのように塗布や
剥離、洗浄の工程が不要であるからである。
【0063】以上のようにして得られた金属膜は、たと
えば積層セラミックコンデンサの静電容量形成のための
内部電極のような積層セラミック電子部品の内部導体膜
を形成するために有利に用いられる。
【0064】図2は、この発明に係る積層セラミック電
子部品の製造方法の第1の実施形態を説明するためのも
のである。
【0065】図2(1)には、前述したこの発明に係る
金属膜の製造方法によって得られた金属膜11が支持基
体12上に形成された状態で図示されている。金属膜1
1は、図2(1)に示すように、支持基体12上に形成
された状態で取り扱われる。
【0066】次に、図2(2)に示すように、金属膜1
1を覆うように、支持基体12上でセラミックグリーン
シート13を成形することによって、金属膜11とセラ
ミックグリーンシート13とからなる複合体14が作製
される。
【0067】次に、図2(3)に示すように、複数の複
合体14を積層することによって、生の積層体15が作
製される。なお、図2(3)では、複合積層体14の積
層の途中の状態が示されているため、生の積層体15に
ついては、その一部のみが図示されている。また、図2
(3)では、より上に位置する複合体14から順に積層
されるように図示されている。
【0068】また、図2(3)に示すように、複合体1
4は、前に積層された複合体14上に積層されるまでの
段階では、支持基体12によって裏打ちされた状態とな
っている。したがって、各複合体14を積層する毎に、
支持基体12側から矢印16で示すように圧力を及ぼす
ことによって、複数の複合体14が互いに圧着され、そ
の後、支持基体12を矢印17で示すように剥離するこ
とが繰り返される。
【0069】なお、支持基体12を剥離する工程は、各
複合体14を積層する工程の前に実施してもよい。
【0070】生の積層体15が、積層セラミックコンデ
ンサを得るためのものである場合には、積層工程におい
て、セラミックグリーンシート13を介して対向する金
属膜11によって静電容量形成のための内部電極が与え
られるように、金属膜11相互間の位置合わせが行なわ
れる。
【0071】生の積層体15は、必要に応じて、個々の
積層セラミック電子部品のための積層体チップを得るよ
うにカットされ、その後、脱脂工程を実施し、次いで、
焼成工程に付される。
【0072】そして、焼成後の積層体の外表面上に、端
子電極等が形成されることによって、目的とする積層セ
ラミックコンデンサのような積層セラミック電子部品が
完成される。
【0073】図3は、この発明に係る積層セラミック電
子部品の製造方法の第2の実施形態を説明するためのも
のである。
【0074】図3(1)には、図2(1)に示したもの
と同様、金属膜21が支持基体22上に形成されている
状態が示されている。
【0075】また、図3(1)には、キャリアフィルム
23上で成形されたセラミックグリーンシート24が示
されている。
【0076】このように、支持基体22上に形成された
金属膜21およびキャリアフィルム23上で成形された
セラミックグリーンシート24がそれぞれ用意された
後、以下のような工程が順次実施される。
【0077】まず、図3(2)に示すように、金属膜2
1を、支持基体22からセラミックグリーンシート24
へ転写することによって、金属膜21とセラミックグリ
ーンシート24とからなる複合体25を作製する工程が
実施される。
【0078】より詳細には、支持基体22上に形成され
た金属膜21とキャリアフィルム23によって裏打ちさ
れたセラミックグリーンシート24とが重ね合わされ、
その状態で、支持基体22とキャリアフィルム23とを
重なり方向にプレスし、その後、支持基体22を矢印2
6で示すように剥離することによって、金属膜21が、
支持基体22からセラミックグリーンシート24へと転
写される。
【0079】次に、図3(3)に示すように、複数の複
合体25を積層することによって、生の積層体27を作
製する工程が実施される。なお、図3(3)では、図2
(3)の場合と同様、生の積層体27の一部のみが図示
され、また、より上に位置する複合体25から順に積層
されるように図示されている。
【0080】また、複合体25は、前に積層された複合
体25上に積層されるまでの段階では、キャリアフィル
ム23によって裏打ちされた状態となっている。したが
って、複合体25を積層した後、キャリアフィルム23
側から矢印28で示すように圧力を及ぼし、複合体25
を互いに圧着し、その後において、矢印29で示すよう
に、キャリアフィルム23を剥離することを繰り返し
て、生の積層体27が作製される。
【0081】なお、キャリアフィルム23を剥離する工
程は、各複合体25を積層する工程の前に実施してもよ
い。
【0082】このようにして得られた生の積層体27
は、前述した第1の実施形態の場合と同様、必要に応じ
てカットされ、脱脂および焼成工程に付された後、端子
電極等を形成することによって、目的とする積層セラミ
ックコンデンサのような積層セラミック電子部品が得ら
れる。
【0083】なお、この発明は、積層セラミックコンデ
ンサ以外の、たとえば、多層セラミック基板、積層セラ
ミックインダクタ、積層フィルタといった積層セラミッ
ク電子部品にも適用することができる。
【0084】次に、この発明による効果を確認するた
め、および前述した蒸発源の温度Tと蒸着量の厚み換算
値dとの関係を求めるために実施した実験例について説
明する。
【0085】
【実験例1】実験例1では、金属膜の製造方法について
の実施例および比較例をそれぞれ実施し、その評価を行
なった。
【0086】1.試料1〜18(実施例) (1)支持基体として、シリコーン系離型層を有するポ
リエチレンテレフタレートからなるフィルムを用意し
た。また、積層セラミックコンデンサのための内部電極
となるべき部分に開口部を設けた、厚み0.1mmのス
テンレス鋼からなるメタルマスクを用意した。
【0087】(2)上記支持基体の離型層が形成された
面に、上記メタルマスクを密着させ、表1の「蒸発源温
度」に示した各温度に設定された蒸発源を適用した真空
蒸着装置によって、水晶振動子膜厚計で厚みをモニタし
ながら、表1の「蒸着量の厚み換算値」に示された各厚
みとなるように、表1の「第1の金属層」に示された各
金属をメタルマスクの開口部に蒸着して、第1の金属層
を形成した。
【0088】(3)次に、表1の「パラジウム置換」に
「あり」と記載された試料については、上記第1の金属
層が形成された支持基体を、塩化パラジウム・塩酸水溶
液に30秒間浸漬し、置換反応により、第1の金属層の
表面にパラジウムを析出させた。
【0089】(4)次に、支持基体を、ホウ素化合物を
還元剤とする無電解ニッケル−ホウ素合金めっき浴に浸
漬することによって、第2の金属層を成膜した。この無
電解めっきにおいて、浴温を65℃とし、浸漬時間を8
0秒間から150秒間とした。このように、浸漬時間を
変えることによって、金属膜全体の厚みが、概ね0.5
μmとなるようにコントロールした。
【0090】(5)次に、シリコーン系離型層が形成さ
れたポリエチレンテレフタレートからなるキャリアフィ
ルム上に形成されたセラミックグリーンシートへの転写
を行なった。用意されたセラミックグリーンシートは、
チタン酸バリウム系セラミック粉末を主成分とし、ポリ
ビニルブチラールを主成分とするバインダを含むもので
あって、バインダ成分の含有量がセラミック粉末100
重量部に対して10重量部のシートAと16重量部のシ
ートBとの2種類を用意した。ここで、金属膜に対する
密着力は、シートBの方が強い。また、シートAおよび
Bの各厚みは、約2μmとした。
【0091】これら2種類のシートAおよびBの各々へ
の金属膜の転写率が、表1に示されている。
【0092】2.試料19〜26(比較例) (1)試料1〜18の場合と同様の支持基体およびメタ
ルマスクをそれぞれ用意した。
【0093】(2)上記支持基体の離型層が形成された
面に、上記メタルマスクを密着させ、表1の「蒸発源温
度」に示された各温度に設定された蒸発源が適用された
真空蒸着装置によって、水晶振動子膜厚計で厚みをモニ
タしながら、表1の「蒸着量の厚み換算値」に示された
各厚みとなるように、表1の「第1の金属層」に示され
た各金属をメタルマスクの開口部に蒸着して、第1の金
属層を形成した。
【0094】(3)次に、表1の「パラジウム置換」の
欄に「あり」と記載された試料については、試料1〜1
8の場合と同様の方法によって、第1の金属層の表面に
パラジウムを析出させた。
【0095】(4)次に、試料1〜18の場合と同様の
方法によって無電解めっきを実施し、第2の金属層を成
膜した。
【0096】(5)次に、試料1〜18の場合と同様の
方法によって、2種類のシートAおよびBへの金属膜の
転写率を求めた。その結果が表1に示されている。
【0097】
【表1】
【0098】表1において、試料番号に*を付したもの
は、比較例である。
【0099】表1に示すように、試料1〜18によれ
ば、良好な剥離性を有していることがわかる。なお、金
属膜との密着力が弱いシートAへの転写率においては、
試料1および2が100%ではないが、これは、蒸着時
の厚みばらつきによるものである。
【0100】他方、比較例に係る試料19〜26によれ
ば、剥離性が劣ることがわかる。
【0101】以上の試料1〜26について、剥離性(シ
ートへの転写率)をパラメータとして、蒸発源の温度T
と蒸着量の厚み換算値dとの関係をプロットしたとこ
ろ、図4に示すような傾向を示すことがわかった。
【0102】図4において、剥離性が良好、すなわち転
写率が99.9%以上のもの(実施例1〜18)につい
ては、「○」をもって表わし、剥離性が不十分、すなわ
ち転写率が99.9%未満のもの(試料19〜26)に
ついては、「×」をもって表わしている。
【0103】図4において、「○」が分布する領域と
「×」が分布する領域とを分離するように、カーブフィ
ッティングによって、厚み換算値dの閾値を表わす式を
求めると、 d=−2.08×10-73 +1.01×10-32
1.68T+959 の式を得ることができる。したがって、良好な剥離性を
達成するためには、 d<−2.08×10-73 +1.01×10-32
1.68T+959 の式で表わされる条件を満たすようにすればよいことが
わかる。
【0104】
【実験例2】この実験例2では、実験例1における試料
7に係る金属膜を内部電極として用いて、積層セラミッ
クコンデンサを製造した。
【0105】すなわち、実験例1において作製した、シ
ートAに試料7に係る金属膜が転写されることによって
得られたセラミックグリーンシートと金属膜とからなる
100枚の複合体を、金属膜が内部電極となるように位
置合わせして、キャリアフィルムを取り除きながら、積
層し、次いで圧着することによって、複数の金属膜と複
数のセラミックグリーンシートとを備える生の積層体を
得た。
【0106】次に、生の積層体の積層方向の両端面に、
厚み500μmのセラミックグリーンシートからなる外
層を積層し、所定の寸法にカットした後、1100℃の
温度で焼成し、次いで、端子電極を形成することによっ
て、積層セラミックコンデンサを得た。
【0107】このようにして得られた1000個の積層
セラミックコンデンサは、いずれも、クラックやショー
ト不良がなく、また、容量のばらつきも1%以内と良好
であった。
【0108】
【実験例3】この実験例3では、実験例2とは異なる方
法を用いて、実験例1における試料7に係る金属膜を内
部電極として用いて、積層セラミックコンデンサを製造
した。
【0109】まず、実験例1における試料7に係る金属
膜が形成された支持基体上に、前述のシートAと同一組
成のセラミックグリーンシートを、約2μmの厚みをも
って、ドクターブレード法によって成形した。
【0110】次に、金属膜とセラミックグリーンシート
とからなる100枚の複合体を、金属膜が内部電極とな
るように位置合わせし、支持基体を取り除きながら、積
層し、次いで圧着することによって複数の金属膜と複数
のセラミックグリーンシートとを備える生の積層体を得
た。
【0111】次に、生の積層体の積層方向における両端
面に、厚み500μmのセラミックグリーンシートを外
層として積層し、所定の寸法にカットした後、1100
℃の温度で焼成し、次いで、端子電極を形成することに
よって、積層セラミックコンデンサを得た。
【0112】このようにして得られた1000個の積層
セラミックコンデンサは、いずれも、クラックやショー
ト不良がなく、また、容量のばらつきも1%以内と良好
であった。
【0113】
【発明の効果】以上のように、この発明に係る金属膜の
製造方法によれば、蒸着工程において、表面が有機物か
ら構成される支持基体が受ける熱的ダメージを抑制する
ことができるので、金属膜と支持基体との間での密着力
を抑えることができる。その結果、剥離性の良好な金属
膜を支持基体上で製造することができる。このような効
果は、得ようとする金属膜の全体としての厚みが0.5
μm以下の場合に、特に意義がある。
【0114】したがって、この発明に係る金属膜を用い
て積層セラミック電子部品を製造すれば、金属膜のセラ
ミックグリーンシートへの良好な転写を確実に達成する
ことができ、転写に要する時間を短縮することができる
とともに、積層セラミック電子部品の製造の歩留まりを
向上させることができる。
【0115】特に、厚みが0.5μm以下の金属膜を用
いて、積層セラミックコンデンサを製造することは、従
来、金属膜の剥離性が十分でないために困難であった
が、この発明を適用することによって可能となり、この
実用的効果は大である。
【0116】また、この発明に係る金属膜の製造方法に
よれば、成膜速度の低い真空蒸着による第1の金属層に
とって必要な厚みは薄くて足りるため、目的とする金属
膜の生産性を高めることができる。
【0117】また、第1の金属層を形成するにあたっ
て、マスクを使用する場合には、上述のように第1の金
属層の厚みは薄くて足りるため、マスクに付着する金属
量を少なくすることができる。そのため、マスクに蒸着
金属が付着することにより生じる、内部応力によるマス
クの反りや変形、初期寸法からのずれを低減することが
でき、マスクの寸法精度を良好に維持することができ
る。また、マスク上に形成された金属膜の剥落を長期に
わたり抑制できる。したがって、マスクの洗浄および交
換の頻度を減らすことができ、その結果、マスクの洗浄
および交換に要するコスト、それに付随する労務負担お
よび環境負荷を減らすことができる。
【0118】さらに、この発明に係る金属膜の製造方法
によれば、第1の金属層を形成するために必要な金属量
はわずかであるため、無電解めっきに対する触媒能は優
れるが、高価であるという短所を有している、たとえば
パラジウムのような貴金属を第1の金属層の形成のため
に用いても、コストの上昇をそれほど招くことはない。
この効果は、たとえば、第1の金属層として触媒能の低
い金属を蒸着した後に、置換めっきによって、第1の金
属層の少なくとも表面に触媒能の高いパラジウムなどを
析出させる場合においても同様に発揮される。
【0119】この発明に係る金属膜の製造方法におい
て、蒸着工程における蒸発源の温度Tを1680K以下
としたり、より好ましくは、1590K以下としたりす
れば、蒸着工程において成膜される第1の金属層の膜厚
をコントロールすることが容易となり、そのため、量産
工程での管理が容易になる。
【0120】また、この発明に係る金属膜の製造方法に
おいて、蒸着工程によって形成される第1の金属層の蒸
着量の厚み換算値を40nm以下とすれば、得ようとす
る金属膜中において必要とする金属以外の金属が占める
割合を減らすことができるとともに、生産性を高めるこ
とができ、また、支持基体が受けるダメージを減じるこ
とができ、剥離性の向上にも効果的である。さらに、マ
スクの洗浄および交換の頻度をより減ずることもでき
る。
【0121】また、この発明に係る金属膜の製造方法に
おいて、蒸着工程を実施している間、支持基体を冷却す
るようにすれば、支持基体が不所望にも加熱されること
を防止でき、金属膜の良好な剥離性を得るためにより有
効となる。
【0122】また、この発明に係る金属膜の製造方法に
おいて、無電解めっき工程の前に、第1の金属層の少な
くとも表面を無電解めっきの触媒となる物質で置換めっ
きする、置換めっき工程を実施すれば、第1の金属層を
構成するために用いられる金属の選択範囲が広がり、そ
のため、蒸発源の温度Tをより下げることが可能とな
り、結果的に、剥離性の良好な金属膜を優れた再現性を
もって製造することができるとともに、第1の金属層を
形成するための蒸着量を少なくしても、無電解めっきに
対する触媒能のより高い物質を第1の金属層の表面に析
出させることによって、良好な無電解めっきを実施する
ことが可能になる。
【0123】また、第1の金属層を形成するにあたっ
て、マスクを使用すれば、たとえばフォトリソグラフィ
およびエッチングの工程を実施しなくても、パターニン
グされた金属膜を得ることができ、パターニングされた
金属膜を得るための工程を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る金属膜の製造方法の一実施形態
を説明するためのもので、この製造方法に備える典型的
な工程を断面図で示している。
【図2】この発明に係る積層セラミック電子部品の製造
方法の第1の実施形態を説明するためのもので、この製
造方法に備える典型的な工程を断面図で示している。
【図3】この発明に係る積層セラミック電子部品の製造
方法の第2の実施形態を説明するためのもので、この製
造方法に備える典型的な工程を断面図で示している。
【図4】この発明に係る実施例1の蒸着条件と剥離性の
結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1,12,22 支持基体 2 第1の金属層 3 マスク 4 第2の金属層 11,21 金属膜 13,24 セラミックグリーンシート 14,25 複合体 15,27 生の積層体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 4/12 364 H01G 4/12 364 5E082 4/30 301 4/30 301C 311 311D Fターム(参考) 4F100 AB01C AB01D AB02C AB03 AB10C AB16D AB17C AB17D AB18C AB21C AB23C AB24C AB25C AH06A AK01A AK03A AK17A AK41A AK52A AK80A AT00B BA04 BA07 BA10B BA10D EH66 EH662 EH71 EH712 GB41 JL14 4K022 AA02 AA41 BA01 BA04 BA06 BA08 BA14 BA16 BA18 BA35 CA08 CA15 CA20 CA21 DA01 4K029 AA04 AA11 BA01 BA02 BA03 BA04 BA05 BA08 BA09 BA10 BA18 BB02 BD00 BD02 CA01 EA01 EA08 GA03 4K044 AA16 AB02 BA02 BA04 BA06 BA08 BA10 BB03 BB10 BC14 CA13 CA15 5E001 AB03 AC04 AC09 AH03 AH07 AH09 AJ01 5E082 AB03 BC40 EE05 EE18 EE19 EE37 EE39 FG54 LL01 LL02 MM24

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面が有機物から構成される支持基体上
    に、真空蒸着を適用して、第1の金属層を形成する、蒸
    着工程と、 前記第1の金属層上に、無電解めっきを適用して、第2
    の金属層を形成する、無電解めっき工程とを備え、 前記蒸着工程において、蒸着時の蒸発源の温度T(K)
    と蒸着量の厚み換算値d(nm)との関係が、 d<−2.08×10-73 +1.01×10-32
    1.68T+959 の式で表わされる条件を満たすようにすることを特徴と
    する、金属膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記支持基体の表面を構成する有機物
    は、シリコーン、長鎖アルキルポリマー、ポリオレフィ
    ン、アルキド樹脂およびフッ素化合物からなる群から選
    ばれた少なくとも1種を含む、請求項1に記載の金属膜
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記蒸着工程において、前記第1の金属
    層は、マスクを介して形成されることによってパターニ
    ングされる、請求項1または2に記載の金属膜の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記蒸発源の温度Tが、1680K以下
    である、請求項1ないし3のいずれかに記載の金属膜の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第1の金属層は、パラジウム、鉄、
    金、マンガン、銅、錫、銀、鉛、亜鉛、カドミウム、ガ
    リウム、インジウム、タリウムおよびアルミニウムから
    なる群から選ばれた少なくとも1種の金属を含む、請求
    項4に記載の金属膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記蒸発源の温度Tが、1590K以下
    である、請求項1ないし3のいずれかに記載の金属膜の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第1の金属層は、銅、錫、銀、鉛、
    亜鉛、カドミウム、ガリウム、インジウム、タリウムお
    よびアルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも1
    種の金属を含む、請求項6に記載の金属膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記蒸着量の厚み換算値dが、40nm
    以下である、請求項1ないし7のいずれかに記載の金属
    膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記蒸着工程において、前記支持基体が
    冷却される、請求項1ないし8のいずれかに記載の金属
    膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記無電解めっき工程は、銅またはニ
    ッケルを主成分として含む無電解めっき浴を用いて実施
    される、請求項1ないし9のいずれかに記載の金属膜の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 前記無電解めっき工程の前に、前記第
    1の金属層の少なくとも表面を無電解めっきの触媒とな
    る物質で置換めっきする、置換めっき工程をさらに備え
    る、請求項1ないし10のいずれかに記載の金属膜の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の製造方法によって得られた、金属膜。
  13. 【請求項13】 積層セラミック電子部品に備える内部
    導体膜を形成するために用いられる、請求項12に記載
    の金属膜。
  14. 【請求項14】 複数の積層されたセラミック層と前記
    セラミック層の間の特定の界面に沿って延びる内部導体
    膜とを備え、前記内部導体膜が、請求項13に記載の金
    属膜によって与えられている、積層セラミック電子部
    品。
  15. 【請求項15】 当該積層セラミック電子部品が積層セ
    ラミックコンデンサである、請求項14に記載の積層セ
    ラミック電子部品。
  16. 【請求項16】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の製造方法によって得られ、かつ前記支持基体上に形成
    された、金属膜。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の金属膜を覆うよう
    に、前記支持基体上でセラミックグリーンシートを成形
    することによって、前記金属膜と前記セラミックグリー
    ンシートとからなる複合体を作製する工程と、 複数の前記複合体を積層することによって、生の積層体
    を作製する工程と、 各前記複合体から前記支持基体を剥離する工程と、 前記生の積層体を焼成する工程とを備える、積層セラミ
    ック電子部品の製造方法。
  18. 【請求項18】 セラミックグリーンシートを用意する
    工程と、 請求項16に記載の金属膜を、前記支持基体から前記セ
    ラミックグリーンシートへ転写することによって、前記
    金属膜と前記セラミックグリーンシートとからなる複合
    体を作製する工程と、 複数の前記複合体を積層することによって、生の積層体
    を作製する工程と、 前記生の積層体を焼成する工程とを備える、積層セラミ
    ック電子部品の製造方法。
  19. 【請求項19】 請求項17または18に記載の製造方
    法によって得られた、積層セラミック電子部品。
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