JP2002363589A - 潤滑グリース組成物 - Google Patents

潤滑グリース組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広い温度域で摩擦係数μの低減に安定した効
果を発揮し、しかも合成樹脂に影響を及ぼすおそれがな
いため、例えば電動式動力舵取装置の減速機等の、合成
樹脂製の部品を用いた装置にも好適に使用することがで
きる、新規な潤滑グリース組成物を提供する。 【解決手段】 基油100重量部に対して、式(1): W≦F≦(W+30) (1) 〔式中Wは、基油100重量部に対する増ちょう剤の配
合割合(重量部)である。〕を満足する配合割合F(重
量部)で、フッ素樹脂粉末を配合した潤滑グリース組成
物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、特に自動車の電
動式動力舵取装置(電動式パワーステアリング装置)の
減速機などに好適に使用される潤滑グリース組成物に関
するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】自動車の
電動式動力舵取装置の減速機としては近時、バックラッ
シによる歯打ち音の低減を目的として、例えばポリアミ
ド樹脂などの合成樹脂製のウォームホイールを用いたも
のが一般化しつつある。また上記減速機においては、ハ
ンドルの戻り性を向上するため、また動力伝達効率を向
上するために、低トルク化が必要とされる。
【0003】低トルク化を達成するためには、合成樹脂
製のウォームホイールと金属製のウォームシャフトとの
摺動部(摩擦面)において、摩擦の低減に寄与する潤滑
グリース組成物の役割が重要であり、その組成について
種々検討がなされている。しかし合成樹脂に影響を及ぼ
すことなしに、広い温度域で摩擦の低減に安定した効果
を発揮しうる潤滑グリース組成物については、未だ完成
されるに至っていないのが現状である。
【0004】この発明の目的は、広い温度域で摩擦の低
減に安定した効果を発揮し、しかも合成樹脂に影響を及
ぼすおそれがないため、例えば電動式動力舵取装置の減
速機等の、合成樹脂製の部品を用いた装置にも好適に使
用することができる、新規な潤滑グリース組成物を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】請求項
1記載の発明は、基油と増ちょう剤とを含む潤滑グリー
ス組成物であって、基油100重量部に対して、フッ素
樹脂粉末を、式(1): W≦F≦(W+30) (1) 〔式中Wは、基油100重量部に対する増ちょう剤の配
合割合(重量部)である。〕を満足する配合割合F(重
量部)で配合したことを特徴とする潤滑グリース組成物
である。
【0006】フッ素樹脂粉末が、それ自体の摩擦の小さ
さゆえに、潤滑グリース組成物等の潤滑剤に配合した際
に、摩擦の低減にある程度、寄与することはこれまでも
知られていた。しかし、フッ素樹脂粉末は、潤滑対象で
ある装置から摺動などによる応力を受けると、潤滑剤中
から分離、沈殿して排除され、上記装置の、潤滑剤の流
路の隅などに堆積して当該流路を塞ぐなどの問題を生じ
やすいことも知られていた。
【0007】またフッ素樹脂粉末は、分離、沈殿が発生
すると潤滑部位への供給量が著しく低下し、それに伴っ
て摩擦を低減する効果も大きく低下するため、配合量に
見合う効果を得るのが難しいことも知られていた。この
ため従来は、フッ素樹脂粉末を基本的に配合せず、もし
配合するとしてもその量をごく少量に限るのが望ましい
と考えられてきた。ところが今般、特に前述した電動式
動力舵取装置の減速機用などの、比較的低速で駆動され
る、低負荷の装置の潤滑に使用する潤滑グリース組成物
について発明者らが検討したところ、以下の事実が明ら
かとなった。
【0008】すなわち潤滑グリース組成物に、これまで
の常識とは逆に、前記式(1)で規定したように多量のフ
ッ素樹脂粉末を配合すると、潤滑初期に、潤滑部位であ
る前記ウォームホイールとウォームシャフトとの摺動部
などに堆積したフッ素樹脂の多くが、前述した分離、沈
殿や摺動による排除を受けにくいため、当該摺動部の潤
滑グリース組成物中に比較的多く残存する。このため潤
滑グリース組成物は、広い温度域で、この残存し、分散
したフッ素樹脂粉末の働きによって、摩擦の低減に安定
した効果を発揮しうるものとなる。
【0009】したがって請求項1の構成によれば、広い
温度域で摩擦の低減に安定した効果を発揮し、しかも合
成樹脂に影響を及ぼすおそれがないため、例えば電動式
動力舵取装置の減速機等の、合成樹脂製の部品を用いた
装置にも好適に使用できる、新規な潤滑グリース組成物
を提供することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、この発明を説明する。 〈フッ素樹脂粉末〉フッ素樹脂粉末としては、その分子
中にフッ素原子を含み、前記のようにそれ自体の摩擦が
小さいため、潤滑グリース組成物中に分散した際に摩擦
を低減する効果を発揮しうる種々のフッ素樹脂を粉末状
に形成したものが、いずれも使用可能である。特にポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)の粉末が最も好適
に使用される。
【0011】PTFEは、特にそれ自体の摩擦が小さい
上、分子量にもよるが、広い温度域で良好な耐熱性と機
械的強度とを有している。このためPTFEの粉末は、
潤滑グリース組成物中で、粉末同士の融着や圧壊などを
生じることなく粉末状を維持して、摩擦を低減する効果
に優れている。フッ素樹脂粉末の物性値は特に限定され
ないが、その平均粒径は、電子顕微鏡観察による平均粒
径で表して0.05〜1μmであるのが好ましい。
【0012】フッ素樹脂粉末の平均粒径が上記の範囲未
満では、当該フッ素樹脂粉末が凝集しやすくなって、基
油中への分散性が低下するおそれがある。また逆に、上
記の範囲を超える場合には、個々のフッ素樹脂粉末の、
基油中への分散性が低下するおそれがある。したがって
このいずれの場合にも、例えば温度変化や経時変化など
に影響されずに、フッ素樹脂粉末を均一に分散させ続け
るのが容易でなくなって、前述した、フッ素樹脂粉末の
分散による、広い温度域での摩擦の低減効果を維持でき
なくなるおそれがある。
【0013】なおこれらの特性を考慮すると、フッ素樹
脂粉末の平均粒径は、上記の範囲内でも特に、0.1〜
0.5μmであるのがさらに好ましい。この発明の潤滑
グリース組成物は、かかるフッ素樹脂粉末を、前記のよ
うに基油100重量部に対して、式(1): W≦F≦(W+30) (1) 〔式中Wは、基油100重量部に対する増ちょう剤の配
合割合(重量部)である。〕を満足する配合割合F(重
量部)で配合することを特徴とする。
【0014】フッ素樹脂粉末の配合割合Fがこの範囲未
満、つまり増ちょう剤の配合割合W未満(F<W)で
は、フッ素樹脂粉末を配合したことによる十分な効果が
得られない。すなわち前述したように、フッ素樹脂粉末
を多量に配合することによる、潤滑グリース組成物中で
の、フッ素樹脂粉末の分散を維持する効果が得られな
い。このため分離、沈殿の発生により、潤滑部位でのフ
ッ素樹脂粉末の供給濃度が著しく低下して、摩擦を低減
する効果が得られなくなってしまう。
【0015】一方、フッ素樹脂粉末の配合割合Fが前記
の範囲を超える場合、つまり増ちょう剤の配合割合Wに
30重量部を加えた数値を超える場合〔(W+30)<
F〕には、潤滑グリース組成物の流動時の粘度が高くな
りすぎる。このため組成物は、先に述べた低トルク化を
達成することができず、もはや潤滑剤としては機能しえ
ないものとなってしまう。なお潤滑グリース組成物の流
動時の粘度を低く維持した状態で、なおかつフッ素樹脂
粉末による、摩擦を低減する効果をさらに高めるために
は、当該フッ素樹脂粉末の配合割合Fは、前記の範囲内
でも特に(W+5)〜(W+20)重量部〔Wは前記と
同じである。〕であるのが好ましい。
【0016】〈基油および増ちょう剤〉基油および増ち
ょう剤としては、前述した動力舵取装置の減速機用等に
使用される、種々の基油と増ちょう剤の組み合わせが、
いずれも使用可能である。このうち基油としては、例え
ば鉱油、エステル油、合成炭化水素油、ポリグリコール
系合成油、フェニールエーテル系合成油、シリコーン
油、フッ素系合成油等があげられる。これらの基油は、
それぞれ1種単独で使用できる他、2種以上を併用する
こともできる。
【0017】とくにポリ(α−オレフィン)やポリブテ
ンなどの合成炭化水素油が、基油として好適に使用され
る。かかる合成炭化水素油は、エステル油などのように
合成樹脂に影響を及ぼすおそれがなく、広い温度域で、
鉱油等に比べて安定な状態を維持できるとともに、ポリ
グリコール系合成油、シリコーン油等に比べて潤滑性に
優れる上、フェニールエーテル系合成油、フッ素系合成
油等に比べて安価であるという利点を有している。
【0018】なおエステル油は、上記のように合成樹脂
に影響を及ぼすおそれがあるので、基油として使用しな
いのが望ましいが、合成樹脂に影響を及ぼさないごく少
量であれば、他の基油と併用しても構わない。この発明
は、かかる併用を排除するものではない。増ちょう剤と
しては、従来公知の種々の増ちょう剤の中から、使用す
る基油の種類に応じて、その基油に最も適した増ちょう
剤を選択して使用するのが好ましい。
【0019】増ちょう剤は、セッケン系と非セッケン系
とに大別される。このうちセッケン系増ちょう剤として
は、アルカリ金属(Li、Na、K)、アルカリ土類金
属(Ca、Sr、Ba)、Al、Zn、Cu、Pbなど
のセッケンがあげられる。セッケンのタイプとしては、
高級脂肪酸の金属塩(金属セッケン型、混合セッケン
型)や、あるいは高級脂肪酸と、低級脂肪酸または二塩
基酸などとのコンプレックス塩(コンプレックス型)が
あげられる。
【0020】セッケン系増ちょう剤の具体例としては、
これに限定されないが、例えば、(I) 炭素数12〜2
4の脂肪族モノカルボン酸、および/または少なくとも
1個のヒドロキシル基を含む炭素数12〜24の脂肪族
モノカルボン酸の、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属
塩、もしくはAl塩、(II) 炭素数12〜24の脂肪族
モノカルボン酸、および/または少なくとも1個のヒド
ロキシル基を含む炭素数12〜24の脂肪族モノカルボ
ン酸と、炭素数2〜11の脂肪族モノカルボン酸とのC
aコンプレックス塩、(III) 炭素数12〜24の脂肪
族モノカルボン酸と、炭素数7〜24の芳香族モノカル
ボン酸とのAlコンプレックス塩、(IV) 炭素数12〜
24の脂肪族モノカルボン酸、および/または少なくと
も1個のヒドロキシル基を含む炭素数12〜24の脂肪
族モノカルボン酸と、炭素数2〜12の脂肪族ジカルボ
ン酸またはそのジエステル、炭素数7〜24の芳香族モ
ノカルボン酸またはそのエステル、リン酸エステル類、
およびホウ酸エステル類のうちの少なくとも1種とのL
iコンプレックス塩などがあげられる。
【0021】また非セッケン系増ちょう剤は無機系と有
機系に大別され、このうち無機系の非セッケン系増ちょ
う剤としては、例えばベントナイト、シリカゲル、亜硝
酸ホウ素などがあげられる。また有機系の非セッケン系
増ちょう剤としては、例えば式(i): R1NHCONHR2NHCONHR1 (i) 〔式中R1は、炭素数6〜24でかつ直鎖状もしくは分
岐状の、飽和または不飽和の、1価の脂肪族炭化水素基
を示し、R2は、炭素数6〜15の、2価の芳香族炭化
水素基を示す。〕で表されるジウレア化合物、上記式
(i)中のR1が炭素数6〜15の1価の芳香族炭化水素基
であるアリルウレア化合物、ポリウレア化合物などのウ
レア化合物、フタロシアニン化合物、テレフタラメート
化合物、インダンスレン、アメリンなどがあげられる。
【0022】これらの増ちょう剤は、それぞれ1種単独
で使用できる他、2種以上を併用することもできる。前
述したポリ(α−オレフィン)に代表される合成炭化水
素油と組み合わせるのに最も好適な増ちょう剤として
は、前者のセッケン系増ちょう剤のうちLi塩もしくは
Liコンプレックス塩などのLiセッケンがあげられ
る。Liセッケンを合成炭化水素油と組み合わせた潤滑
グリース組成物は、他の金属系セッケンを用いたものに
比べて摩擦が小さい。このためフッ素樹脂粉末の配合に
より、上記の広い温度域で、摩擦を安定して低減するた
めに有効である。
【0023】前述したフッ素樹脂粉末の配合割合Fの基
準となる、上記増ちょう剤の、基油100重量部に対す
る配合割合Wは、潤滑グリース組成物に求められるちょ
う度その他の特性値や、あるいは基油の粘度等の物性値
などに応じて適宜、設定すれば良い。例えば合成炭化水
素油とLiセッケンとの組み合わせにおいては、増ちょ
う剤としてのLiセッケンの配合割合Wは、基油100
重量部に対して5〜35重量部であるのが好ましく、5
〜15重量部であるのがさらに好ましい。
【0024】〈他の添加剤〉この発明の潤滑グリース組
成物には、上記の各成分の他に、さらに必要に応じて、
例えば酸化防止剤、極圧剤、摩耗防止剤、さび止め剤、
腐食防止剤、構造安定剤、フッ素樹脂粉末以外の固体潤
滑剤などの添加剤を配合してもよい。各添加剤の配合量
は、それぞれ従来と同程度であればよい。 〈潤滑グリース組成物の製造〉この発明の潤滑グリース
組成物は、従来と同様にして製造することができる。
【0025】例えば増ちょう剤としてセッケンを使用し
た潤滑グリース組成物は、下記の直接ケン化法、または
混合法によって製造される。このうち直接ケン化法で
は、まずセッケン原料としての脂肪酸などを基油中に溶
解する。次にかく拌下、強アルカリである金属水酸化物
を加えて、ケン化反応によってセッケンを合成するとと
もに、加熱して脱水させる。次に、かく拌を続けながら
さらに加熱して、合成したセッケンを基油中に分散もし
くは溶解した後、冷却してゲル化させる。そしてミリン
グ処理することで潤滑グリース組成物が製造される。
【0026】かかる直接ケン化法においてフッ素樹脂粉
末およびその他の添加剤を配合するタイミングは特に限
定されない。ただし、ケン化反応によって生成した水の
影響を避けるためには、脱水後の任意の工程で、これら
の成分を配合するのが好ましい。またミリング処理まで
完了した潤滑グリースに、さらにその後の工程で、フッ
素樹脂粉末およびその他の添加剤を配合してこの発明の
潤滑グリース組成物とすることもできる。
【0027】一方の混合法では、あらかじめ合成してお
いたセッケンと基油とを加熱下でかく拌、混合して、セ
ッケンを基油中に分散もしくは溶解した後、冷却してゲ
ル化させ、さらにミリング処理することで潤滑グリース
組成物が製造される。かかる混合法においては、セッケ
ンと基油のかく拌、混合工程から、ミリング処理工程ま
での任意の工程で、フッ素樹脂粉末およびその他の添加
剤を配合することができる。また先の場合と同様に、ミ
リング処理まで完了した潤滑グリースに、さらにその後
の工程で、フッ素樹脂粉末およびその他の添加剤を配合
してこの発明の潤滑グリース組成物とすることもでき
る。
【0028】かくして製造されるこの発明の潤滑グリー
ス組成物は、前述したように広い温度域で摩擦の低減に
安定した効果を発揮し、しかも合成樹脂に影響を及ぼす
おそれがないため、例えば電動式動力舵取装置の減速機
等の、合成樹脂製の部品を用いた、比較的低速で駆動さ
れる、低負荷の装置の潤滑に特に好適に使用される。
【0029】
【実施例】以下にこの発明を、実施例、比較例に基づい
て説明する。 実施例1〜4、比較例1、2 あらかじめ製造した、基油としてのポリ(α−オレフィ
ン)〔40℃での動粘度が48mm2/s〕100重量
部と、増ちょう剤としてのLiセッケン9重量部とを含
む潤滑グリースに、表1に示す配合割合で、PTFEの
粉末〔電子顕微鏡観察による平均粒径0.2μm〕を配
合し、均一にかく拌、混合して潤滑グリース組成物を製
造した。また、PTFEの粉末を配合しなかったものを
比較例3とした。
【0030】
【表1】
【0031】そして得られた各実施例、比較例の潤滑グ
リース組成物について、バウデン−レーベン法に準拠し
た摩擦試験機を使用して、下記の手順で、温度25℃で
の静摩擦係数μを求めた。なお、PTFEの粉末の配合
割合Fを、前記(W+30)重量部を超える40重量部
とした比較例2の潤滑グリース組成物は流動時の粘度が
高くなりすぎて、もはや潤滑剤としては機能しえないも
のとなってしまったので、下記の測定を行うのを断念し
た。
【0032】〔静摩擦係数μ〕 〈試験片〉試験片としては、前述した自動車の電動式動
力舵取装置の減速機において実際にウォームホイールに
使用するポリアミド樹脂にて形成した、直径φ5の円柱
状試験片と、同じく金属製のウォームシャフトに実際に
使用する機械構造用炭素鋼にて形成した平板状試験片と
を用いた。
【0033】このうちポリアミド樹脂製の円柱状試験片
の、摩擦試験面である端面の面粗さは、実機ウォームホ
イールの、歯面の面粗さと一致するように仕上げた。ま
た同様に平板状試験片の、摩擦試験面である表面の面粗
さは、実機ウォームシャフトの、歯面の面粗さと一致す
るように仕上げた。 〈測定〉測定に際しては、温度を25℃に設定した恒温
室中で、まず前記バウデン−レーベン摩擦試験機の、往
復動される台盤上に上記平板状試験片を固定し、その摩
擦試験面である表面に潤滑グリース組成物を塗布した。
次いで温度を安定させた後、上記バウデン−レーベン摩
擦試験機の保持部に円柱状試験片を保持させた状態で、
当該円柱状試験片の摩擦試験面である端面を、平板状試
験片の、潤滑グリース組成物を塗布した面に、一定の負
荷荷重をかけて圧接させた。負荷荷重は39.2Nとし
た。
【0034】そしてこの圧接状態で、台盤をすべり速度
1.0mm/秒、摺動幅15mmで往復動させた際に、
保持部に接続した板バネに発生する、摺動方向に沿う方
向の歪み量を歪みゲージで測定して、台盤往復時の起動
トルクと起動後の摺動トルクとを求め、その結果から静
摩擦係数μを算出した。結果を図1に示す。図より、P
TFEの粉末の配合割合Fを、増ちょう剤の配合割合W
未満(F<W)とした比較例1の潤滑グリース組成物
と、PTFE粉末を配合しなかった比較例3の潤滑組成
物とはともに、静摩擦係数μが0.2を超えることか
ら、摩擦を低減する効果が不十分であることがわかっ
た。また両者は同じ静摩擦係数μを示したことから、P
TFEの粉末の配合割合Fが増ちょう剤の配合割合W未
満では、PTFEの粉末を配合したことによる、摩擦を
低減する効果が得られないことがわかった。
【0035】これに対し実施例1〜4の潤滑グリース組
成物は、いずれも静摩擦係数μが0.2以下であること
から、PTFEの粉末を配合したことによる、摩擦を低
減する効果が十分に発揮されていることが確認された。
また各実施例の結果より、PTFEの粉末の配合割合を
前記の範囲内で多くすればするほど、摩擦の低減効果が
向上することも確認された。次に、上記のうち実施例3
と比較例3の潤滑グリース組成物について、恒温室の設
定温度を25℃、60℃および80℃としたこと以外は
前記と同様にして静摩擦係数μを求めた。結果を図2に
示す。
【0036】図より、PTFEを配合しなかった比較例
3は、上記の測定温度範囲の全域で静摩擦係数μが大き
い上、その変動も大きいことから、熱安定性が悪いこと
がわかった。これに対し実施例3の潤滑グリース組成物
は、上記測定温度範囲の全域で、比較例3に比べて静摩
擦係数μが小さく、しかもほぼ一定の値を示した。そし
てこのことから実施例3の潤滑グリース組成物は熱安定
性に優れる上、広い温度範囲で、摩擦を低減する効果を
安定して発揮できることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の各実施例、比較例の潤滑グリース組
成物における、PTFEの粉末の配合割合F(重量部)
と、静摩擦係数μとの関係を示すグラフである。
【図2】上記のうち実施例3、比較例3の潤滑グリース
組成物における、測定温度と静摩擦係数μとの関係を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 107/34 C10M 107/34 107/38 107/38 107/50 107/50 117/02 117/02 147/02 147/02 // C10N 10:02 C10N 10:02 20:06 20:06 Z 30:08 30:08 40:04 40:04 50:10 50:10 Fターム(参考) 4H104 BA07A BB08A BB17B BB31A BD05A CA01A CB14A CD02C CJ02A DA02A EA08C FA01 LA04 PA01 PA03 QA18

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基油と増ちょう剤とを含む潤滑グリース組
    成物であって、基油100重量部に対して、フッ素樹脂
    粉末を、式(1): W≦F≦(W+30) (1) 〔式中Wは、基油100重量部に対する増ちょう剤の配
    合割合(重量部)である。〕を満足する配合割合F(重
    量部)で配合したことを特徴とする潤滑グリース組成
    物。
  2. 【請求項2】フッ素樹脂粉末がポリテトラフルオロエチ
    レンの粉末である請求項1記載の潤滑グリース組成物。
  3. 【請求項3】基油が合成炭化水素油、増ちょう剤がLi
    セッケンである請求項1記載の潤滑グリース組成物。
  4. 【請求項4】基油100重量部に対する増ちょう剤の配
    合割合が5〜35重量部である請求項1記載の潤滑グリ
    ース組成物。
  5. 【請求項5】電動式動力舵取装置の減速機用である請求
    項1記載の潤滑グリース組成物。
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