JPH11131087A - 転動装置 - Google Patents

転動装置

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JPH11131087A
JPH11131087A JP10213963A JP21396398A JPH11131087A JP H11131087 A JPH11131087 A JP H11131087A JP 10213963 A JP10213963 A JP 10213963A JP 21396398 A JP21396398 A JP 21396398A JP H11131087 A JPH11131087 A JP H11131087A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】発塵量が少なく、優れたトルク寿命を有する転
動装置を提供すること。 【解決手段】本発明の転動装置1は、回転運動または直
線運動可能な可動子4、この可動子4を支持する支持体
2、これら可動子4と支持体2との間に介在し、前記可
動子4の運動に伴って転動する転動体3、及びこの転動
体3が転動する前記可動子4と支持体2との間に配置さ
れた潤滑剤組成物5を具備し、前記潤滑剤組成物5が、
雲母系鉱物、バーミキュライト系鉱物、及びモンモリロ
ナイト系鉱物からなる群より選ばれる少なくとも1つの
層状鉱物粉末を含有する増粘剤と、液体フッ素化ポリマ
ー油からなる基油との混合物であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転動装置に係り、
特に潤滑剤組成物を用いた転動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、転がり軸受や直動装置等の転動
装置においては、鉱油やポリαオレフィン油等の潤滑油
やグリース等の潤滑剤を循環或いは転動装置内部に封入
することにより、転動体及び転動体と接触する部材の摩
耗等が防止されている。
【0003】このような転動装置は、通常の使用条件下
では問題無く使用されるが、高温、真空、或いは高速条
件下で駆動した場合、潤滑剤の転動装置外部への飛散
や、蒸発によるガスの発生を生じ、転動装置の外部環境
を汚染してしまう。そのため、クリーンルームで使用さ
れる装置、例えば、半導体製造装置、液晶パネル製造装
置、及びハードディスク製造装置等のように清浄な環境
を必要とする装置や、高温、真空条件下で使用される装
置では、フッ素系グリースが転動装置の潤滑剤として多
用されてきた。
【0004】このフッ素系グリースは、液体フッ素化ポ
リマー油からなる基油及び固体フッ素化ポリマーからな
る増粘剤との混合物であって、極めて揮発性が低く、転
動装置外部に飛散する潤滑剤の量、すなわち発塵量が比
較的少ない。したがって、転動装置の外部環境の汚染
は、比較的生じにくい。
【0005】しかしながら、このフッ素系グリースは、
鉱油やポリαオレフィン油等の潤滑油を用いたグリース
に比べて流動性に乏しく、潤滑特性に劣っている。その
ため、転動装置の作動により、転動体及び転動体と接触
する部材等での摩耗が生じやすい。このような摩耗は、
特に、半導体や液晶パネル製造装置等の位置決め装置に
使用される直動装置においては、位置決め精度が低下す
るため深刻である。
【0006】また、上述の摩耗に伴って生成される摩耗
粉は、潤滑剤中に混入して、トルクの増大や焼付きを比
較的短時間で生じさせる。そのため、トルクの増大によ
る発熱やモータへの過負荷等の問題を生じてしまう。
【0007】近年、半導体や液晶パネルの製造装置等で
は、処理速度が高速化されており、転動装置にも高速で
の作動が要求されている。そのため、このような転動装
置においては、上述の潤滑剤の飛散による発塵や摩耗に
よるトルクの増大がさらに生じ易くなり、発塵性を低減
させること及びトルク寿命を向上させることが求められ
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決するためになされたものであり、発塵量が少なく、
優れたトルク寿命を有する転動装置を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、回転運動また
は直線運動可能な可動子、この可動子を支持する支持
体、これら可動子と支持体との間に介在し、前記可動子
の運動に伴って転動する転動体、及びこの転動体が転動
する前記可動子と支持体との間に配置された潤滑剤組成
物を具備し、前記潤滑剤組成物が、雲母系鉱物、バーミ
キュライト系鉱物、及びモンモリロナイト系鉱物からな
る群より選ばれる少なくとも1つの層状鉱物粉末を含有
する増粘剤と、液体フッ素化ポリマー油からなる基油と
の混合物であることを特徴とする転動装置を提供する。
【0010】また、本発明は、回転運動または直線運動
可能な可動子、この可動子を支持する支持体、これら可
動子と支持体との間に介在し、前記可動子の運動に伴っ
て転動する転動体、及びこの転動体が転動する前記可動
子と支持体との間に配置された潤滑剤組成物を具備し、
前記潤滑剤組成物が、無機物質からなる超微粒子を含有
する増粘剤と、液体フッ素化ポリマー油からなる基油と
の混合物であることを特徴とする転動装置を提供する。
【0011】さらに、本発明は、回転運動または直線運
動可能な可動子、この可動子を支持する支持体、これら
可動子と支持体との間に介在し、前記可動子の運動に伴
って転動する転動体、及びこの転動体が転動する前記可
動子と支持体との間に配置された潤滑剤組成物を具備
し、前記潤滑剤組成物が、液体フッ素化ポリマー油から
なる基油に、分子量10,000以下のパーフルオロポ
リエーテル系カルボン酸を0.5重量%〜10重量%含
有する潤滑油組成物、及び液体フッ素化ポリマー油から
なる基油と固体フッ素化ポリマーを含有する増粘剤との
混合物に、分子量10,000以下のパーフルオロポリ
エーテル系カルボン酸を0.5重量%〜10重量%含有
するグリース組成物のいずれか一方の組成物であること
を特徴とする転動装置を提供する。
【0012】本発明において、好ましい態様とは、
(1)前記潤滑剤組成物が、前記増粘剤を0.1重量%
〜45重量%の含有率で含有し、前記基油を55重量%
〜95重量%の含有率で含有すること、(2)前記増粘
剤の界面が、疎水化用界面活性剤により疎水化処理され
ること、(3)前記層状鉱物粉末が、リチウムイオン及
びナトリウムイオンの少なくとも一方を層間イオンとし
て含有すること、(4)前記潤滑剤組成物が、前記層状
鉱物粉末を1重量%〜45重量%の含有率で含有するこ
と、(5)前記潤滑剤組成物が、前記層状鉱物粉末を3
重量%〜45重量%の含有率で含有すること、(6)前
記層状鉱物粉末の平均粒径が0.05μm〜20μmの
範囲内にあること、(7)前記無機物質からなる超微粒
子が、ダイヤモンド粒子、表面がグラファイトで構成さ
れたダイヤモンド粒子、フラーレン(C60)粒子、酸化
シリコン(SiO2 )粒子、酸化チタン(TiO2 )粒
子、酸化ジルコニア(ZrO)粒子、及び酸化マグネシ
ウム(MgO)粒子からなる群より選ばれる少なくとも
1つの粒子であること、(8)前記潤滑剤組成物が、前
記無機物質からなる超微粒子を0.1重量%〜40重量
%の含有率で含有すること、(9)前記潤滑剤組成物
が、前記無機物質からなる超微粒子を0.5重量%〜3
0重量%の含有率で含有すること、(10)前記無機物
質からなる超微粒子の平均粒径が0.1μm以下である
こと、(11)前記潤滑剤組成物が、パーフルオロポリ
エーテル骨格を主鎖として有しかつ前記主鎖の一端或い
は両端に極性基を有する分子量が10,000以下であ
る油状化合物を0.5重量%〜10重量%含有するこ
と、(12)前記潤滑剤組成物が、分子量が10,00
0以下であるパーフルオロポリエーテル系カルボン酸を
0.5重量%〜10重量%含有することである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてより詳細に
説明する。本発明の第1〜第3の実施形態に係る転動装
置は、転がり軸受や直動装置等として用いられる。ここ
で直動装置とは、ボールねじ装置等の直動駆動装置やリ
ニアガイド等の直動案内装置を意味する。これら転がり
軸受及び直動装置等は、いずれも、支持体上に転動体を
介して可動子が保持され、支持体と可動子との間に潤滑
剤組成物が配置された構成を有している。以下、本発明
の第1〜第3の実施形態に係る転動装置を、転がり軸
受、直動駆動装置、及び直動案内装置に適用した場合に
ついて説明する。
【0014】本発明の第1〜第3の実施形態に係る転動
装置が転がり軸受として用いられた場合、支持体とし
て、円筒状の外輪が用いられ、可動子として、外輪の内
径よりも小さな外径を有する内輪が用いられる。また、
この転がり軸受においては、内輪と外輪とが同軸上に配
置され、内輪の外周部及び外輪の内周部にはそれぞれ溝
状の軌道が設けられている。内輪と外輪との間隙には、
転動体が内輪及び外輪のそれぞれの軌道上を転動するよ
うに配置され、さらに転動体等の摩耗等を防止するため
に潤滑剤組成物が配置されて構成されている。
【0015】この転がり軸受において、内輪は、外部か
らの力により外輪に対して相対的に回転移動し、軸方向
へは移動しない。したがって、転動体は球状のボールで
あってもよく、また円柱状や円錐状等のころであっても
よい。
【0016】本発明の第1〜第3の実施形態に係る転動
装置が直動駆動装置として用いられた場合、支持体とし
て、側壁にねじ溝が設けられたねじ軸が用いられる。可
動子としては、ねじ軸と対向する面にねじ溝が設けられ
たナットが用いられ、転動体はねじ軸とナットのねじ溝
との間に転動可能に配置される。
【0017】したがって、ナットの回転を抑制し、ねじ
軸を回転させることにより、転動体がねじ軸の軸方向へ
と移動するため、ナットをねじ軸の軸方向へと移動させ
ることができる。なお、この直動駆動装置において、転
動体は球状であり、ナットは、そのねじ溝内で転動体が
循環するように構成されている。
【0018】次に、本発明の第1〜第3の実施形態に係
る転動装置が直動案内装置として用いられた場合につい
て説明する。直動案内装置において、支持体としては、
側壁にねじ溝等が設けられていない案内軸が用いられ、
可動子としては、案内軸の軸方向に移動可能なスライダ
が用いられる。この直動案内装置においては、スライダ
が外部からの力により案内軸に対しその軸方向に移動可
能となるように、転動体はスライダと案内軸との間に転
動可能に設けられるが、スライダまたは案内軸に埋め込
まれるように設けられてもよい。
【0019】以上説明した転動装置は、潤滑剤組成物が
異なること以外は一般的な転動装置と同様にして構成さ
れる。したがって、支持体、転動体、及び可動子に用い
られる材料には一般に使用される材料を用いることがで
き、特に限定されるものではないが、例えば、軸受鋼及
びステンレス鋼等の金属鋼、窒化珪素(Si34 )、
炭化珪素(SiC)、サイアロン(Sialon)、部
分安定化ジルコニア(ZrO2 )、及びアルミナ(Al
23 )等のセラミックスを挙げることができる。これ
ら材料は、単独で、或いは組み合わせて用いることがで
きる。
【0020】次に、本発明の第1〜第3の実施形態に係
る転動装置で用いられる潤滑剤組成物について説明す
る。本発明の転動装置で用いられる潤滑剤組成物は、転
動体の転がり接触面や、可動子と支持体との間の滑り接
触面での摩耗の防止及び接触抵抗を低減するために、可
動子と支持体との間に配置される。以下、第1〜第3の
実施形態に係る転動装置において用いられる潤滑剤組成
物について順次説明する。
【0021】本発明の第1の実施形態に係る転動装置に
おいて用いられる潤滑剤組成物は、層状鉱物粉末を含有
する増粘剤と液体フッ素化ポリマー油からなる基油とで
構成される。増粘剤に含まれる層状鉱物粉末としては、
黒鉛や六方晶窒化ホウ素等のような層状の結晶構造を有
する、雲母系鉱物、バーミキュライト系鉱物、及びモン
モリロナイト系鉱物の粉末が用いられる。
【0022】上述の層状鉱物に共通する物理的特性を、
雲母を例に説明する。雲母の主成分はSiO2 であり、
成分中の40〜50%を占めている。雲母結晶中でSi
は酸素四面体に配位しており、Si−O4 の結合は非常
に強固である。雲母結晶は、この四面体で構成される1
対の層と、この1対の層の間に配置されAl3+、F
2+、Mg2+等の八面体配位をとるイオンとで構成され
るタブレットと呼ばれるサンドイッチ層を積層した層状
構造を有している。このタブレット間には、層間イオン
と呼ばれるアルカリ金属或いはアルカリ土類金属イオン
が配置され、層間イオンと酸素原子とはイオン結合して
いる。しかしながら、この層間イオン−酸素原子間のイ
オン結合は非常に弱い。そのため、雲母は、層間イオン
が形成する平面で剥がれ易いのである。
【0023】このように、本発明の第1の実施形態に係
る転動装置で用いられる層状鉱物は、タブレット間での
結合力が弱く、せん断力が加えられた場合、層間イオン
が形成する平面で容易にへき開する。したがって、上記
層状鉱物を潤滑剤組成物に用いることにより、転動体、
可動子、及び支持体の転がり接触面及び滑り接触面での
摩擦係数が低減される。すなわち、接触面での摩耗を抑
制し、トルクの増大や焼付きを防止することができる。
【0024】以上説明したように、本発明の第1の実施
形態に係る転動装置においては、上記潤滑剤組成物が用
いられているため、長期にわたり良好な潤滑状態が維持
される。すなわち、本発明の第1の実施形態によると、
発塵量が少なく、長いトルク寿命を有する転動装置が提
供されるのである。
【0025】上記潤滑剤組成物に用いられる増粘剤は、
上述したように、雲母系鉱物、バーミキュライト系鉱
物、及びモンモリロナイト系鉱物の少なくとも1つの層
状鉱物粉末を含んでいる。上記雲母系鉱物の化学組成
は、一般式XMg2 Li(Y410)Z2 或いはXMg
2.5 (Y410)Z2 で示され、バーミキュライト系鉱
物の化学組成は、一般式X2/3 Mg7/3 Li2/3 (Y4
10)Z2 で示され、モンモリロナイト系鉱物の化学組
成は、一般式X1/3 Mg8/3 Li1/3 (Y410)Z2
で示される。なお、上記一般式で、XはK、Naまたは
Liを示し、YはSiまたはGeを示し、ZはFまたは
OHを示す。
【0026】上記層状鉱物は、層間イオンとしてリチウ
ムイオン及びナトリウムイオンの少なくとも一方を含有
するものであることが好ましい。このようなイオン半径
の小さな層間イオンを含有する雲母系鉱物、バーミキュ
ライト系鉱物、及びモンモリロナイト系鉱物は、水や油
等の各種溶媒中に混合すると、結晶層間に溶媒をとり込
んで膨れ上がる、すなわち膨潤する。
【0027】潤滑剤組成物を、このような膨潤性を有す
る層状鉱物粉末と基油とを混合して調製した場合、基油
の一部は上記層状鉱物粉末にとり込まれる。したがっ
て、このような潤滑剤組成物を用いることにより、上記
接触面で基油が不足している場合は基油を供給すること
ができる。また、接触面で基油が過剰に存在する場合は
上記層状鉱物粉末中に基油を取り込むことができる。そ
のため、接触面に常に適切な量の基油を供給することが
でき、その結果、さらに良好なトルク寿命を得ることが
可能となり、かつ転動装置の作動時に基油が飛散するの
を効果的に防止することが可能となる。
【0028】また、上記層状鉱物粉末は、界面を疎水化
用界面活性剤で疎水化処理して用いられることが好まし
い。このように界面を疎水化することにより、水のとり
込みを防止し、基油を選択的にかつ効率的にとり込むこ
とができる。したがって、より長期間にわたり良好な潤
滑状態を維持することができ、転動装置のトルク寿命を
改善するとともに、発塵量をさらに低減することができ
る。
【0029】この疎水化処理に用いられる疎水化用界面
活性剤は、8個以上の炭素原子を有するアルキル基を含
む疎水化用界面活性剤であれば特に制限されないが、ア
ンモニウム塩化合物や、−NH2 基、−OH基、及び−
COOH基等の官能基を有するアルキルアミン系界面活
性剤を用いることができる。
【0030】以上説明した層状鉱物粉末は、潤滑剤組成
物に対して0.1重量%〜45重量%含有されることが
好ましく、1重量%〜45重量%含有されることがより
好ましく、3重量%〜45重量%含有されることが最も
好ましい。層状鉱物粉末の含有率が下限値未満の場合、
潤滑性を向上する、及び潤滑剤の漏れや飛散を抑制する
効果を得ることができない場合がある。また、含有率が
上限値を超えると、基油の混合量が減少して潤滑剤組成
物の粘度が過剰に高くなるため、十分な潤滑性が得られ
ず、比較的短時間で上記摩耗が生じトルクが増大するお
それがある。
【0031】また、この層状鉱物粉末は、平均粒径が
0. 05μm〜20μmであることが好ましく、0.1
μm〜10μmであることがより好ましい。平均粒径が
下限値未満の場合、基油等と混合して潤滑剤組成物を調
製する際に、粉末粒子同士の凝集が生じ二次粒子が生成
されるため、分散性が低下する場合がある。一方、平均
粒径が上限値を超える場合、転がり接触面または滑り接
触面に侵入しにくくなる、或いはかみ込んだりするた
め、転動装置のトルクが大幅に増大し、場合によっては
転動装置が動作不能となるおそれがある。
【0032】本発明の第1の実施形態に係る転動装置で
用いられる増粘剤は、上述の層状鉱物粉末の他に、さら
に固体フッ素化ポリマーを含有することができる。この
固体フッ素化ポリマーとしては、ポリテトラフルオロエ
チレン(以下、PTFEという)、テトラフルオロエチ
レンとヘキサフルオロプロペンとのコポリマー、テトラ
フルオロエチレンとペルフルオロプロピルポリビニルエ
ーテルとのコポリマー、及びこれらポリマーの混合物等
を挙げることができる。
【0033】以上説明した増粘剤は、潤滑剤組成物に対
し5重量%〜45重量%含有されることが好ましく、1
5重量%〜40重量%含有されることがより好ましい。
含有率が下限値未満の場合、潤滑性を向上する、及び潤
滑剤の漏れや飛散を抑制する効果を得ることができない
場合がある。また、上限値を超えると、基油の混合量が
減少して潤滑剤組成物の粘度が過剰に高くなるため、十
分な潤滑性が得られず、比較的短時間で異常摩耗が生じ
トルクが増大してしまう。
【0034】本発明の第1の実施形態に係る転動装置で
用いられる基油は、液体フッ素化ポリマー油であれば特
に限定されないが、パーフルオロポリエーテル(以下、
PFPEという)、トリフルオロエチレンのテロマー、
及びフルオロシリコーンポリマー等を挙げることができ
る。この基油は、潤滑剤組成物に対し55重量%〜95
重量%の含有率で含有されることが好ましい。基油の含
有率が下限値未満の場合、上述のトルクの増大が短期間
で生じ、上限値を超える場合、潤滑剤の漏れや飛散を抑
制する効果を得ることができない場合がある。
【0035】次に、本発明の第2の実施形態に係る転動
装置において用いられる潤滑剤組成物について説明す
る。本発明の第2の実施形態に係る転動装置において用
いられる潤滑剤組成物は、無機物質からなる超微粒子を
含有する増粘剤と液体フッ素化ポリマー油からなる基油
とで構成される。なお、第2の実施形態に係る転動装置
において、基油としては、第1の実施形態において説明
したのと同様の液体フッ素化ポリマー油を使用すること
ができる。
【0036】第2の実施形態に係る転動装置において増
粘剤中に含有される超微粒子は、粒径が小さくかつ丸み
を帯びた表面形状を有している。このような超微粒子を
含有する潤滑剤組成物を用いた場合、転動装置の作動時
に上記超微粒子が転動体、可動子、及び支持体の転がり
接触面及び滑り接触面上を転動する、所謂マイクロベア
リング効果を生ずる。したがって、上記接触面での摩擦
係数が低減される。また、大荷重が加えられた場合、低
速度で作動された場合、及び上記接触面間で基油が不足
している場合においても、上記転がり接触同士或いは滑
り接触面同士の直接接触や凝着等が防止される。そのた
め、本発明の第2の実施形態に係る転動装置によると、
上記接触面の摩耗や焼付きが防止され、良好な潤滑状態
を長期にわたり維持することができる。
【0037】本発明の第2の実施形態に係る転動装置に
おいて使用される無機物質からなる超微粒子としては、
SiO2 微粒子、MgO微粒子、TrO2 微粒子、及び
Al23 微粒子等の無機化合物や、ダイヤモンド微粒
子及びフラーレン(C60)等のように炭素のみからなる
無機物を挙げることができる。これら無機物質は、非常
に小さな粒径を有しかつ丸みを帯びた形状に形成可能で
ある。これら超微粒子の中でも、ダイヤモンド微粒子或
いはフラーレン(C60)を使用することが好ましい。
【0038】ダイヤモンド微粒子は化学的に極めて安定
でありかつ非常に硬いため、破壊を生じにくい。上記超
微粒子が破壊された場合、鋭利な角部を有する形状とな
る、或いは鋭利な断片が形成されるおそれがある。それ
に対し、上記超微粒子としてダイヤモンド微粒子を使用
した場合、鋭利な角部を有する形状となること、或いは
鋭利な断片が形成されることが殆ど無い。したがって、
良好な潤滑状態をより長期にわたり維持することができ
る。
【0039】さらに、この場合、ダイヤモンド微粒子の
表面にグラファイトを化学的にコーティングして使用す
ることがより好ましい。表面をグラファイトでコーティ
ングすることにより、超微粒子の境界潤滑性が向上する
ため、良好な潤滑状態をさらに長期にわたり維持するこ
とができる。
【0040】また、フラーレン(C60)を用いた場合に
おいても、良好な潤滑状態をより長期にわたり維持する
ことができる。これは、以下の理由による。フラーレン
(C60)は、60個の炭素原子からなり、複数の六員環
及び五員環が連ねられた閉殻構造を有するサッカーボー
ル状の分子である。フラーレン(C60)は、熱に対して
極めて安定であり、1500℃まで破壊されないことが
知られている。また、球状の分子構造を有しているた
め、上述したマイクロベアリング効果がより顕著とな
る。さらに、フラーレン(C60)は、それ自身が潤滑性
を有している。したがって、超微粒子としてフラーレン
(C60)を使用した場合、良好な潤滑状態をより長期に
わたり維持することができる。
【0041】上述した無機物質からなる超微粒子は、潤
滑剤組成物に対して0.1重量%〜40重量%含有され
ることが好ましく、0.5重量%〜30重量%含有され
ることがより好ましい。超微粒子の含有率が下限値未満
の場合、潤滑性を向上する、及び潤滑剤の漏れや飛散を
抑制する効果を得ることができない場合がある。また、
含有率が上限値を超えると、基油の混合量が減少して潤
滑剤組成物の粘度が過剰に高くなるため、十分な潤滑性
が得られない場合がある。また、超微粒子による研磨作
用が生じる場合がある。そのため、比較的短時間で表面
粗さが増加する或いは異常摩耗が生じ、その結果、トル
クや振動の増大、或いは焼付きを生ずるおそれがある。
【0042】また、この超微粒子は、平均粒径が0.1
μm以下であることが好ましい。平均粒径が上限値を超
える場合、転がり接触面または滑り接触面に侵入しにく
くなる、或いはかみ込んだりする場合がある。また、超
微粒子による研磨作用を生ずるため、比較的短時間で表
面粗さが増加する、或いは異常摩耗が発生する場合があ
る。そのため、転動装置のトルクが大幅に増大し、場合
によっては転動装置が動作不能となるおそれがある。
【0043】なお、第1の実施形態において説明した層
状鉱物粉末の形状は鱗片状であり、その厚さは平均粒径
と比べて薄い。また、層状鉱物粉末は、へき開しやすく
軟らかいため、平均粒径が0.1〜10μmであっても
接触面間に侵入可能であり、かつ接触面を傷つけること
がない。しかしながら、上記無機物質からなる超微粒子
は、球状の形状を有しているので、平均粒径が0.1μ
mを超える粒子(接触面間に介在する油膜の膜厚よりも
大きい粒子)は接触面間に侵入し難い。また、上記超微
粒子は硬いため、平均粒径が0.1μmを超える粒子は
接触面の摩耗を生じさせるおそれがある。したがって、
層状鉱物粉末と無機物質からなる超微粒子とでは好まし
い粒径の範囲が異なっている。
【0044】本発明の第2の実施形態に係る転動装置で
用いられる増粘剤は、上述の無機物質からなる超微粒子
の他に、さらに第1の実施形態において説明したのと同
様の固体フッ素化ポリマーを含有することができる。
【0045】また、第2の実施形態に係る転動装置にお
いて、上述した増粘剤は、潤滑剤組成物に対し5重量%
〜45重量%含有されることが好ましく、15重量%〜
40重量%含有されることがより好ましい。含有率が下
限値未満の場合、潤滑性を向上する、及び潤滑剤の漏れ
や飛散を抑制する効果を得ることができない場合があ
る。また、上限値を超えると、基油の混合量が減少して
潤滑剤組成物の粘度が過剰に高くなるため、十分な潤滑
性が得られず、比較的短時間で異常摩耗が生じトルクが
増大してしまう。
【0046】次に、本発明の第3の実施形態に係る転動
装置において用いられる潤滑剤組成物について説明す
る。本発明の第3の実施形態に係る転動装置において用
いられる潤滑剤組成物は、液体フッ素化ポリマー油から
なる基油と0.5重量%〜10重量%の油状化合物とを
含有する。なお、ここで油状化合物とは、パーフルオロ
ポリエーテル骨格を主鎖として有しかつその主鎖の少な
くとも一端に極性基を有する分子量10,000以下の
有機化合物である。また、第3の実施形態に係る転動装
置において、基油としては、第1の実施形態において説
明したのと同様の液体フッ素化ポリマー油を使用するこ
とができる。
【0047】上記油状化合物は、基油として用いられる
液体フッ素化ポリマー油と同様の骨格を有しているた
め、基油に対して容易に溶解し分離することはない。ま
た、上記油状化合物の蒸気圧は低いため、真空環境下で
の蒸発量も極めて少ない。
【0048】さらに、上記油状化合物は、主鎖の末端に
高い極性を有する置換基を有しているため金属表面に容
易に吸着する。すなわち、上記油状化合物は、転動体、
可動子、及び支持体の転がり接触面及び滑り接触面に物
理吸着或いは化学吸着するため、上記接触面で基油が不
足している場合においても、上記接触面同士の直接接触
が防止される。したがって、本発明の第3の実施形態に
係る転動装置によると、上記接触面の摩擦係数が低減さ
れ、その結果、接触面の摩耗や焼付き及びトルクの増大
を防止することができる。
【0049】上述した油状化合物は、10,000以下
の分子量を有する。分子量が上限値を超える場合、転が
り接触面或いは滑り接触面への吸着性が低下するため、
潤滑性を向上させる効果を得ることができない場合があ
る。
【0050】また、上記油状化合物は、潤滑剤組成物に
対して0.5重量%〜10重量%含有されることが好ま
しい。超微粒子の含有率が下限値未満の場合、潤滑性を
向上する、及び潤滑剤の漏れや飛散を抑制する効果を得
ることができない場合がある。一方、含有率が上限値を
超えると、潤滑剤組成物の粘度が低下して、潤滑剤組成
物の飛散や漏れを生じ易くなる場合がある。
【0051】本発明の第3の実施形態に係る転動装置に
おいては、潤滑剤組成物中に増粘剤を含有させることが
できる。その場合、増粘剤として第1の実施形態におい
て説明したのと同様の固体フッ素化ポリマーを使用する
ことができる。また、増粘剤として、上記固体フッ素化
ポリマー中に第1及び第2の実施形態において説明した
層状鉱物粉末や超微粒子を含有させてもよい。これら層
状鉱物粉末や超微粒子は、第1及び第2の実施形態にお
いて説明したのと同様の含有率で固体フッ素化ポリマー
中に含有させることができる。
【0052】潤滑剤組成物を、液体フッ素化ポリマー油
からなる基油と上記油状化合物とからなる潤滑油組成
物、或いは液体フッ素化ポリマー油からなる基油と固体
フッ素化ポリマーからなる増粘剤と上記油状化合物とで
構成する場合、油状化合物として、例えば下記一般式
(1)に示す分子量が10,000以下のパーフルオロ
ポリエーテル系カルボン酸を用いることができる。な
お、下記一般式(1)において、nは正の整数を示す。
【0053】
【化1】
【0054】また、第1及び第2の実施形態で説明した
潤滑剤組成物中に上記油状化合物を含有させる場合、油
状化合物としては、上記一般式(1)に示す化合物の他
に、例えば、下記一般式(2)〜(5)に示す化合物を
挙げることができる。なお、下記一般式(2)〜(5)
において、m、nは正の整数を示す。
【0055】
【化2】
【0056】上記一般式(2)〜(5)に示す化合物に
おいて、少なくとも一方の置換基Rは、カルボキシル基
(−COOH)、アルコール基、及びイソシアネート基
等の極性基である。また、アルコール基及びイソシアネ
ート基としては、例えば下記式(6)〜(9)に示す置
換基を挙げることができる。
【0057】
【化3】
【0058】上記一般式(2)〜(5)において、2つ
の置換基Rがともにカルボキシル基、アルコール基、及
びイソシアネート基等の極性基である場合、2つの置換
基Rは互いに等しくてもよく、異なっていてもよい。ま
た、一方の置換基Rのみがカルボキシル基、アルコール
基、及びイソシアネート基等の極性基である場合、他方
の置換基Rはフッ素原子とすることが好ましい。
【0059】以上説明した本発明の第1〜第3の実施形
態に係る転動装置において、潤滑剤組成物には、上記効
果を損なわない範囲で、上述の基油等の他に各種添加剤
を配合することができる。潤滑剤組成物に配合される添
加剤としては、酸化防止剤、防錆剤、耐摩耗剤、分散
剤、金属保護剤、及び界面活性剤等を挙げることができ
る。これら添加物は、その種類により異なるが、全添加
剤の合計量として、15重量%程度まで加えることがで
きる。
【0060】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)図1に、軸受回転試験機6に設置された本
発明の実施例に係る転がり軸受1の断面図を示す。この
図で、転がり軸受1は、外周部に溝状の軌道が設けられ
た内輪2と内周部に溝状の軌道が設けられた外輪4とが
同心上に配置され、転動体であるボール3が、内輪2及
び外輪4のそれぞれの軌道上を転動可能に配置されて構
成されている。内輪2と外輪4との間には、内輪2、外
輪4、及びボール3の接触抵抗を減少し摩耗を防止する
ために、潤滑剤組成物5が収容されている。
【0061】この転がり軸受1について、潤滑剤組成物
5の組成を様々に変えて、以下に示す条件下でそれぞれ
のトルク寿命及び発塵量を調べた。すなわち、転がり軸
受1として、内径8mm、外径22mm、幅7mmの日
本精工社製玉軸受(型番608)を用い、図1に示す軸
受回転試験機6により上記特性を測定した。
【0062】なお、トルク寿命は、運転を開始してから
トルク値が所定の閾値を超えるまでの回転時間とし、下
記条件下で測定した。 温度 常温 雰囲気 大気雰囲気 回転速度 1000rpm アキシアル荷重 196N ラジアル荷重 1.96N また、発塵量は、所定の運転時間内に転がり軸受1から
その外部へと飛散した潤滑剤組成物5の飛散滴等の微粒
子の数とし、クラス100のクリーンベンチ内に軸受回
転試験機6を設置して、下記条件下で測定した。
【0063】 温度 常温 雰囲気 大気雰囲気 回転速度 3000rpm アキシアル荷重 19.6N 軸受回転試験機6としては、日本精工社製軸受回転試験
機を用いた。この軸受回転試験機6によると、転がり軸
受1の内輪2はスピンドル7の回転軸に固定され、転が
り軸受1へのアキシアル荷重はスプリング8等により調
整可能である。スピンドル7には磁性流体シールユニッ
ト15が設けられており、スピンドル7の回転は、モー
タ9を駆動し、ベルト10を介してプーリ11からプー
リ12へ動力を伝達することにより行われる。一方、転
がり軸受1の外輪4は、微小荷重変換器14に接続され
たハウジング13に保持される。したがって、微小荷重
変換器14を用いて転がり軸受1のトルクを測定するこ
とができる。
【0064】また、転がり軸受1は、容器16及び隔壁
17により囲まれ、その囲まれた空間の底部はレーザ光
散乱式パーティクルカウンタ18に接続されている。一
方、この囲まれた空間の上部には、フィルタ20を介し
て空気吸入口19が設けられており、上記囲まれた空間
に、清浄な空気を供給することができる。
【0065】したがって、上記囲まれた空間に、清浄な
空気を所定の流量で供給することにより、空気吸入口1
9からパーティクルカウンタ18へ向けて気流が生じる
ため、転がり軸受1から生じる潤滑剤組成物5の飛散滴
や摩耗粉の量、すなわち個数がパーティクルカウンタ1
8により検出される。以下の表1に、それぞれの転がり
軸受1に用いた潤滑剤組成物5の組成、その封入量、ト
ルク寿命、及び発塵量を示す。
【0066】
【表1】
【0067】上記表1に示すPFPE油としてはダイキ
ン工業社製S−200を用い、PTFEポリマーとして
はダイキン工業社製ルブロンL−2を用いた。雲母Aと
して疎水化処理が施された膨潤性を有する雲母であるト
ピー工業社製合成雲母4C−TSを用い、雲母Bとして
は疎水化処理が施されていない膨潤性を有する雲母であ
るトピー工業社製合成雲母DMA−350を用いた。雲
母Cとしては疎水化処理が施された膨潤性を示さない雲
母であるトピー工業社製合成雲母PDM−9WAを用
い、雲母Dとしては疎水化処理が施されていない膨潤性
を示さない雲母であるトピー工業社製合成雲母CR−T
Sを用いた。また、モンモリロナイトとしてはコープケ
ミカル社製合成スメクタイトSPNを用いた。なお、上
記雲母A〜D及びモンモリロナイトは層状鉱物である。
また、充填量とは、転がり軸受1に充填された潤滑剤組
成物5の量をいう。
【0068】表1から明らかなように、本発明の実施例
に係るサンプル(1)〜(15)の転がり軸受はいずれ
も、従来の転がり軸受である比較用サンプル(1)、
(2)に比べて、トルク寿命が長く発塵量が少ない。し
たがって、液体フッ素化ポリマー油と上記層状鉱物粉末
とを含む潤滑剤組成物を用いることにより、トルク寿命
特性を向上させ、発塵量を低減することができた。
【0069】また、サンプル(1)〜(15)のそれぞ
れについてトルク寿命を比較すると、サンプル(1)〜
(12)、(14)、(15)は、サンプル(13)に
比べてトルク寿命が長い。これは、サンプル(13)で
用いた潤滑剤組成物5に比べて、サンプル(1)〜(1
2)、(14)、(15)で用いられる潤滑剤組成物
は、いずれも45重量%以下の増粘剤含有率を有してい
るためであると考えられる。
【0070】サンプル(1)〜(15)のそれぞれにつ
いて発塵量を比較すると、サンプル(1)、(3)〜
(13)は、サンプル(2)、(14)、(15)に比
べて発塵量が少ない。サンプル(1)、(3)〜(1
3)が、サンプル(2)に比べて発塵量が少ないのは、
潤滑剤組成物5中に含有される層状鉱物粉末(雲母A、
雲母B、モンモリロナイト)の量に関係していると考え
られる。すなわち、層状鉱物粉末の含有量が多い場合、
層状鉱物粉末が転がり接触面間或いは滑り接触面間に介
在してこれら接触面同士の直接接触を防止するためであ
ると考えられる。
【0071】また、サンプル(1)、(3)〜(13)
が、サンプル(14)、(15)に比べて発塵量が少な
いのは、潤滑剤組成物5の粘度に関係していると考えら
れる。すなわち、サンプル(14)、(15)で用いた
潤滑剤組成物5が粘度の低い液状であるのに対し、サン
プル(1)、(3)〜(13)で用いた潤滑剤組成物5
はグリース状であるためである。なお、サンプル(1
4)、(15)、及び比較用サンプル(2)における充
填量と、他のサンプルにおける充填量との違いは、潤滑
剤組成物5がグリース状であるか液状であるかによる。
【0072】サンプル(3)〜(7)は、潤滑剤組成物
に用いる層状鉱物粉末の種類のみが異なっている。これ
らを比較すると、雲母C及びDを用いた場合に比べ、雲
母A、B及びモンモリロナイトを用いた場合に、トルク
寿命及び発塵量の両方で良好な値が得られている。これ
は、雲母C及びDは膨潤性を示さないのに対し、雲母
A、B及びモンモリロナイトは膨潤性を示すため、上記
接触面間に常に適量の基油を供給することが可能である
ためであると考えられる。
【0073】また、雲母Bを用いた場合に比べ雲母Aを
用いた場合にトルク寿命及び発塵量の両方で良好な値が
得られ、雲母Dを用いた場合に比べ雲母Cを用いた場合
にトルク寿命に関して良好な値が得られている。これ
は、雲母A及びCは、雲母B及びDとは異なり、疎水化
処理されているためであると考えられる。特に、雲母A
を用いた場合、基油のとり込みがより容易に行われたた
めに、トルク寿命及び発塵量の双方が改善されたものと
考えられる。
【0074】(実施例2)次に、上記実施例1で製造し
たサンプル(3)と同様にして、PFPE油、PTFE
ポリマー、及び雲母の重量比をそれぞれ67重量%、3
0重量%、及び3重量%とし、雲母の粒径を様々に変化
させて転がり軸受1を製造した。なお、雲母としては、
実施例1で使用した雲母A〜Cを使用した。このように
して製造した転がり軸受1について、実施例1と同様に
してトルク寿命を測定した。その結果を図2にグラフに
して示す。
【0075】図2において、横軸は雲母A〜Cの平均粒
径を示し、縦軸はトルク寿命を示している。また、図
中、曲線21は雲母Aを使用した場合に得られたデータ
を示し、曲線22は雲母Bを使用した場合に得られたデ
ータを示し、曲線23は雲母Cを使用した場合に得られ
たデータを示している。
【0076】このグラフに示すように、雲母A〜Cの平
均粒径がいずれの範囲にあっても長いトルク寿命が得ら
れている。特に、平均粒径を0.05μm〜20μmの
範囲内とした場合により良好なトルク寿命が得られ、
0.1μm〜10μmとした場合、例えば雲母Aを用い
た転がり軸受1においては500時間を超えるほどの良
好なトルク寿命を得ることができた。
【0077】( 実施例3)上記実施例1で製造したサン
プル(7)と同様にして、潤滑剤組成物中のPTFEポ
リマーの含有率を一定とし(20重量%)、PFPE油
及び雲母の含有率を様々に変化させて転がり軸受1を製
造した。なお、雲母としては、実施例1で使用した雲母
A〜Cを使用した。このようにして製造した転がり軸受
1について、実施例1と同様にしてトルク寿命を測定し
た。その結果を図3にグラフにして示す。
【0078】図3において、横軸は潤滑剤組成物中の雲
母A〜Cの含有率を示し、縦軸はトルク寿命を示してい
る。また、図中、曲線31は雲母Aを使用した場合に得
られたデータを示し、曲線32は雲母Bを使用した場合
に得られたデータを示し、曲線33は雲母Cを使用した
場合に得られたデータを示している。
【0079】このグラフに示すように、雲母A〜Cの含
有率がいずれの範囲にあっても比較的長いトルク寿命を
得ることができるが、雲母Aの含有率が0.1重量%〜
25重量%の範囲にある場合、すなわち、固体フッ素化
ポリマー(PTFEポリマー)と雲母Aとの和である増
粘剤の含有率が20.1重量%〜45重量%の範囲にあ
る場合により良好なトルク寿命を得ることができた。
【0080】(実施例4)潤滑剤組成物の封入量を30
mgとしたこと以外は実施例1で製造したサンプル
(1)と同様にして、PFPE油と雲母Aとの混合比を
様々に変えて転がり軸受1を製造した。すなわち、潤滑
剤組成物5にPTFEポリマーを用いずに、PFPE油
と雲母Aとの混合物を用い、それぞれの含有率を変えて
転がり軸受1を製造した。このようにして製造した転が
り軸受1について、実施例1と同様にしてトルク寿命及
び発塵量を測定した。その結果を図4にグラフにして示
す。
【0081】図4において、横軸は潤滑剤組成物中の雲
母Aの含有率を示し、縦軸はトルク寿命及び発塵量を示
している。また、図中、曲線41はトルク寿命について
のデータを示し、曲線42は発塵量についてのデータを
示している。
【0082】このグラフから明らかなように、雲母Aの
含有率が0.1重量%以上の場合により低い発塵性が得
られている。また、トルク寿命に関しては、45重量%
を超えない範囲で雲母Aの重量比が高いほど良好な値が
得られている。すなわち、PFPE油等の基油に対して
雲母A等の層状鉱物粉末が0.1重量%〜45重量%で
ある場合にトルク寿命及び発塵性に関して良好な特性を
得ることができた。
【0083】また、雲母Aの含有率が5重量%〜45重
量%である場合により良好な特性を得ることができ、特
に15重量%〜45重量%である場合には最も良好な特
性を得ることができた。これは、5重量%未満の場合、
潤滑剤組成物は液状であるが、5重量%以上の場合、グ
リース状或いはグリース状と液状との中間状態であり、
15重量%以上の場合は、完全にグリース状となるため
であると考えられる。
【0084】(実施例5)潤滑剤組成物中に層状鉱物粉
末を含有させるかわりに無機物質からなる超微粒子を含
有させたこと以外は実施例1に示したのと同様の方法に
より転がり軸受1を作製し、それぞれの転がり軸受1に
ついてトルク寿命及び発塵量を測定した。下記表2に、
それぞれの転がり軸受1に用いた潤滑剤組成物5の組
成、その封入量、トルク寿命、及び発塵量を示す。
【0085】
【表2】
【0086】上記表2に示すフラーレン(C60)として
はマテリアルズ・アンド・エレクトロケミカル・リサー
チ社(Materials and Electrochemical Research Corpo
ration)製ピュアC60を用い、ダイヤモンド微粒子
(CD)としてはデュポン社製MYPOMEXを用い、
表面にグラファイトを化学的にコーティングしたダイヤ
モンド微粒子(CGD)としては平均粒径が200オン
グストロームのものを使用した。酸化シリコン(SiO
2 )としては日本アエロジル社製AEROSIL200
を用い、酸化チタン(TiO2 )としては出光興産社製
出光チタニアIT−UDを用いた。また、酸化ジルコニ
ア(ZrO)としてはシーアイ化成社製ZrOを用い、
酸化マグネシウム(MgO)としては宇部興産社製10
0Aを用いた。
【0087】表2から明らかなように、本発明の実施例
に係るサンプル(16)〜(22)の転がり軸受はいず
れも、従来の転がり軸受である比較用サンプル(1)、
(2)に比べて、トルク寿命が長く発塵量が少ない。し
たがって、液体フッ素化ポリマー油と上記超微粒子とを
含む潤滑剤組成物を用いることにより、トルク寿命特性
を向上させ、発塵量を低減することができた。
【0088】また、サンプル(16)〜(22)のそれ
ぞれについてトルク寿命を比較すると、サンプル(1
6)〜(18)は、サンプル(19)〜(22)に比べ
てトルク寿命が長く、かつ発塵量が低減されている。こ
れは、サンプル(16)〜(18)においては、超微粒
子としてフラーレン(C60)、ダイヤモンド微粒子、及
び表面にグラファイトを化学的にコーティングしたダイ
ヤモンド微粒子を用いているためであると考えられる。
【0089】(実施例6)上記実施例5で製造したサン
プル(16)〜(22)と同様にして、潤滑剤組成物中
のPTFEポリマーの含有率を一定とし(20重量
%)、PFPE油及び超微粒子の含有率を様々に変化さ
せて転がり軸受1を製造した。なお、超微粒子として
は、実施例5で使用したフラーレン(C60)、表面にグ
ラファイトを化学的にコーティングしたダイヤモンド微
粒子、酸化シリコン、及び酸化チタンを使用した。この
ようにして製造した転がり軸受1について、実施例1と
同様にしてトルク寿命を測定した。その結果を図5にグ
ラフにして示す。
【0090】図5において、横軸は潤滑剤組成物中の超
微粒子の含有率を示し、縦軸はトルク寿命を示してい
る。図中、曲線51はフラーレン(C60)を使用した場
合に得られたデータを示し、曲線52は表面にグラファ
イトを化学的にコーティングしたダイヤモンド微粒子を
使用した場合に得られたデータを示している。また、曲
線53は酸化シリコンを使用した場合に得られたデータ
を示し、曲線54は酸化チタンを使用した場合に得られ
たデータを示している。
【0091】このグラフに示すように、超微粒子の含有
率がいずれの範囲にあっても比較的長いトルク寿命を得
ることができた。特に、超微粒子の含有率が0.1重量
%〜20重量%の範囲にある場合、すなわち、固体フッ
素化ポリマー(PTFEポリマー)と超微粒子との和で
ある増粘剤の含有率が20.1重量%〜40重量%の範
囲にある場合により良好なトルク寿命を得ることができ
た。
【0092】(実施例7)潤滑剤組成物中に油状化合物
としてPFPE系カルボン酸を含有させて実施例1に示
したのと同様の方法により転がり軸受1を作製し、それ
ぞれの転がり軸受1について大気雰囲気下及び真空下
(1×10-4Pa)でのトルク寿命を測定した。下記表
3に、それぞれの転がり軸受1に用いた潤滑剤組成物5
の組成、その封入量、及びトルク寿命を示す。
【0093】
【表3】
【0094】なお、上記表3に示す雲母Aは実施例1で
用いたのと同様であり、フラーレン(C60)、ダイヤモ
ンド微粒子(CD)、表面にグラファイトを化学的にコ
ーティングしたダイヤモンド微粒子(CGD)、酸化シ
リコン(SiO2 )、及び酸化チタン(TiO2 )は、
実施例5において用いたのと同様である。また、PFP
E系カルボン酸としては、上記一般式(1)に示す化合
物(n=5〜80)を使用した。
【0095】表3から明らかなように、本発明の実施例
に係るサンプル(23)〜(30)の転がり軸受におい
ては、大気雰囲気下でのトルク寿命に関して、従来の転
がり軸受である比較用サンプル(1)、(3)と同等或
いはそれ以上の特性が得られている。すなわち、液体フ
ッ素化ポリマー油と上記PFPE系カルボン酸とを含む
潤滑剤組成物を用いることにより、大気雰囲気下でのト
ルク寿命特性を向上させることができた。
【0096】また、本発明の実施例に係るサンプル(2
3)〜(30)の転がり軸受においては、真空下でのト
ルク寿命に関して、従来の転がり軸受である比較用サン
プル(1)、(3)に比べて遥かに優れた特性が得られ
ている。すなわち、液体フッ素化ポリマー油と上記PF
PE系カルボン酸とを含む潤滑剤組成物を用いることに
より、真空下でのトルク寿命特性を大幅に向上させるこ
とができた。
【0097】(実施例8)潤滑剤組成物をPFPE油と
PFPE系カルボン酸とで構成し、PFPE系カルボン
酸の含有率を様々に変化させて、実施例7に示したのと
同様の方法により転がり軸受1を製造した。なお、この
場合、潤滑剤組成物の封入量は30mgとした。また、
潤滑剤組成物をPFPE油と20重量%のPFPEポリ
マーとPFPE系カルボン酸とで構成し、PFPE油及
びPFPE系カルボン酸の含有率を様々に変化させて、
実施例7に示したのと同様の方法により転がり軸受1を
製造した。なお、この場合、潤滑剤組成物の封入量は1
00mgとした。
【0098】このようにして製造した転がり軸受1につ
いて、実施例1と同様にして真空下でのトルク寿命と大
気雰囲気下での発塵量とを測定した。その結果を図6に
グラフにして示す。
【0099】図6において、横軸は潤滑剤組成物中のP
FPE系カルボン酸の含有率を示し、縦軸はトルク寿命
及び発塵量を示している。図中、曲線61は潤滑剤組成
物をPFPE油とPFPE系カルボン酸とで構成した場
合に得られたトルク寿命に関するデータを示し、曲線6
2はその場合に得られた発塵量に関するデータを示して
いる。また、曲線63は潤滑剤組成物をPFPE油とP
FPEポリマーとPFPE系カルボン酸とで構成した場
合に得られたトルク寿命に関するデータを示し、曲線6
4はその場合に得られた発塵量に関するデータを示して
いる。
【0100】このグラフに示すように、PFPE系カル
ボン酸の含有率がいずれの範囲にあっても発塵量が少な
く、かつ比較的長いトルク寿命を得ることができた。特
に、超微粒子の含有率が0.1重量%〜10重量%の範
囲にある場合に、発塵量をより低減し、かつより良好な
トルク寿命を得ることができた。
【0101】(実施例9)潤滑剤組成物をPFPE油、
PFPEポリマー、超微粒子、及びPFPE系カルボン
酸で構成し、PFPE油及びPFPE系カルボン酸の含
有率を様々に変化させて、実施例7に示したのと同様の
方法により転がり軸受1を製造した。なお、PFPEポ
リマー及び超微粒子の含有量はそれぞれ20重量%及び
3重量%とした。また、超微粒子としては、実施例7で
用いたフラーレン(C60)及び表面にグラファイトを化
学的にコーティングしたダイヤモンド微粒子を使用し
た。
【0102】このようにして製造した転がり軸受1につ
いて、実施例1と同様にして大気雰囲気下及び真空下で
のトルク寿命と大気雰囲気下での発塵量とを測定した。
その結果を図7にグラフにして示す。
【0103】図7において、横軸は潤滑剤組成物中のP
FPE系カルボン酸の含有率を示し、縦軸はトルク寿命
及び発塵量を示している。図中、曲線71,72は超微
粒子としてフラーレン(C60)を用いた場合に得られた
大気雰囲気下及び真空下でのトルク寿命に関するデータ
をそれぞれ示し、曲線73はその場合に得られた大気雰
囲気下での発塵量に関するデータを示している。また、
曲線74,75は超微粒子として上記ダイヤモンド微粒
子を用いた場合に得られた大気雰囲気下及び真空下での
トルク寿命に関するデータをそれぞれ示し、曲線76は
その場合に得られた大気雰囲気下での発塵量に関するデ
ータを示している。
【0104】このグラフに示すように、PFPE系カル
ボン酸の含有率が含有率が0.1重量%〜10重量%の
範囲にある場合、真空下及び大気雰囲気下のいずれの条
件下においても良好なトルク寿命を得ることができ、か
つ発塵量を低減することができた。
【0105】(実施例10)潤滑剤組成物をPFPE
油、PFPEポリマー、実施例1で用いた雲母A、及び
PFPE系カルボン酸で構成し、PFPE油及びPFP
E系カルボン酸の含有率を様々に変化させて、実施例7
に示したのと同様の方法により転がり軸受1を製造し
た。また、潤滑剤組成物をPFPE油、PFPEポリマ
ー、酸化シリコン微粒子、及びPFPE系カルボン酸で
構成し、PFPE油及びPFPE系カルボン酸の含有率
を様々に変化させて、実施例7に示したのと同様の方法
により転がり軸受1を製造した。なお、PFPEポリマ
ーの含有率は20重量%とし、雲母A或いは酸化シリコ
ン微粒子の含有量は3重量%とした。
【0106】このようにして製造した転がり軸受1につ
いて、実施例1と同様にして大気雰囲気下及び真空下で
のトルク寿命と大気雰囲気下での発塵量とを測定した。
その結果を図8にグラフにして示す。
【0107】図8において、横軸は潤滑剤組成物中のP
FPE系カルボン酸の含有率を示し、縦軸はトルク寿命
及び発塵量を示している。図中、曲線81,82は雲母
Aを用いた場合に得られた大気雰囲気下及び真空下での
トルク寿命に関するデータをそれぞれ示し、曲線83は
その場合に得られた大気雰囲気下での発塵量に関するデ
ータを示している。また、曲線84,85は超微粒子と
して酸化シリコン微粒子を用いた場合に得られた大気雰
囲気下及び真空下でのトルク寿命に関するデータをそれ
ぞれ示し、曲線86はその場合に得られた大気雰囲気下
での発塵量に関するデータを示している。
【0108】このグラフに示すように、PFPE系カル
ボン酸の含有率が含有率が0.1重量%〜10重量%の
範囲にある場合、真空下及び大気雰囲気下のいずれの条
件下においても良好なトルク寿命を得ることができ、か
つ発塵量を低減することができた。
【0109】以上、主として、基油としてPFPE油を
用いた場合について説明したが、他の液体フッ素化ポリ
マー油を用いた場合についても同様の効果を得ることが
できる。また、上記実施例では、本発明の転動装置を転
がり軸受として用いた場合について説明したが、ボール
ねじ装置やリニアガイド等のような直動装置として用い
た場合においても同様の効果を得ることができる。
【0110】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の転動装置
においては、潤滑剤組成物として、層状鉱物粉末を含有
する増粘剤と液体フッ素化ポリマー油からなる基油との
混合物が用いられる。また、本発明の転動装置において
は、潤滑剤組成物として、無機物質からなる超微粒子を
含有する増粘剤と液体フッ素化ポリマー油からなる基油
との混合物が用いられる。さらに、本発明の転動装置に
おいては、潤滑剤組成物として、液体フッ素化ポリマー
油からなる基油に分子量10,000以下のパーフルオ
ロポリエーテル系カルボン酸を含有してなる潤滑油組成
物、或いは液体フッ素化ポリマー油からなる基油と固体
フッ素化ポリマーを含有する増粘剤との混合物に分子量
10,000以下のパーフルオロポリエーテル系カルボ
ン酸を含有してなるグリース組成物が用いられる。
【0111】これら潤滑剤組成物を用いた場合、潤滑剤
組成物の飛散や転動体等の摩耗が低減される。したがっ
て、本発明によると、発塵量が少なく、優れたトルク寿
命を有する転動装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る転動装置及び軸受回転試
験機を示す断面図。
【図2】本発明の実施例に係る転動装置における、層状
鉱物粉末の平均粒径とトルク寿命との関係を示すグラ
フ。
【図3】本発明の実施例に係る転動装置における、潤滑
剤組成物中の層状鉱物粉末の含有率とトルク寿命との関
係を示すグラフ。
【図4】本発明の実施例に係る転動装置における、潤滑
剤組成物中の層状鉱物粉末の含有率と、トルク寿命及び
発塵量との関係を示すグラフ。
【図5】本発明の実施例に係る転動装置における、潤滑
剤組成物中の超微粒子の含有率とトルク寿命との関係を
示すグラフ。
【図6】本発明の実施例に係る転動装置における、潤滑
剤組成物中のPFPE系カルボン酸の含有率と、トルク
寿命及び発塵量との関係を示すグラフ。
【図7】本発明の実施例に係る転動装置における、潤滑
剤組成物中のPFPE系カルボン酸の含有率と、トルク
寿命及び発塵量との関係を示すグラフ。
【図8】本発明の実施例に係る転動装置における、潤滑
剤組成物中のPFPE系カルボン酸の含有率と、トルク
寿命及び発塵量との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1…転がり軸受 2…内輪 3…転動体 4…外輪 5…潤滑剤組成物 6…軸受回転試験機 7…スピンドル 8…スプリング 9…モータ 10…ベルト 11,12…プーリ 13…ハウジング 14…微小荷重変換器 15…磁性流体シールユニット 16…容器 17…隔壁 18…パーティクルカウンタ 19…空気吸入口 20…フィルタ 41,42,51〜54,61〜64,71〜76,8
1〜86…曲線
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10N 30:00 30:06 40:02 50:10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転運動または直線運動可能な可動子、
    この可動子を支持する支持体、これら可動子と支持体と
    の間に介在し、前記可動子の運動に伴って転動する転動
    体、及びこの転動体が転動する前記可動子と支持体との
    間に配置された潤滑剤組成物を具備し、前記潤滑剤組成
    物が、雲母系鉱物、バーミキュライト系鉱物、及びモン
    モリロナイト系鉱物からなる群より選ばれる少なくとも
    1つの層状鉱物粉末を含有する増粘剤と、液体フッ素化
    ポリマー油からなる基油との混合物であることを特徴と
    する転動装置。
  2. 【請求項2】 回転運動または直線運動可能な可動子、
    この可動子を支持する支持体、これら可動子と支持体と
    の間に介在し、前記可動子の運動に伴って転動する転動
    体、及びこの転動体が転動する前記可動子と支持体との
    間に配置された潤滑剤組成物を具備し、前記潤滑剤組成
    物が、無機物質からなる超微粒子を含有する増粘剤と、
    液体フッ素化ポリマー油からなる基油との混合物である
    ことを特徴とする転動装置。
  3. 【請求項3】 前記潤滑剤組成物は、パーフルオロポリ
    エーテル骨格を主鎖として有しかつ前記主鎖の一端或い
    は両端に極性基を有する分子量が10,000以下であ
    る油状化合物を0.5重量%〜10重量%含有すること
    を特徴とする請求項1または2に記載の転動装置。
  4. 【請求項4】 回転運動または直線運動可能な可動子、
    この可動子を支持する支持体、これら可動子と支持体と
    の間に介在し、前記可動子の運動に伴って転動する転動
    体、及びこの転動体が転動する前記可動子と支持体との
    間に配置された潤滑剤組成物を具備し、前記潤滑剤組成
    物が、液体フッ素化ポリマー油からなる基油に、分子量
    10,000以下のパーフルオロポリエーテル系カルボ
    ン酸を0.5重量%〜10重量%含有する潤滑油組成
    物、及び液体フッ素化ポリマー油からなる基油と固体フ
    ッ素化ポリマーを含有する増粘剤との混合物に、分子量
    10,000以下のパーフルオロポリエーテル系カルボ
    ン酸を0.5重量%〜10重量%含有するグリース組成
    物のいずれか一方の組成物であることを特徴とする転動
    装置。
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