JP2002362052A - オフセット平版印刷用の版 - Google Patents

オフセット平版印刷用の版

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JP2002362052A
JP2002362052A JP2001172372A JP2001172372A JP2002362052A JP 2002362052 A JP2002362052 A JP 2002362052A JP 2001172372 A JP2001172372 A JP 2001172372A JP 2001172372 A JP2001172372 A JP 2001172372A JP 2002362052 A JP2002362052 A JP 2002362052A
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Japan
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hydrophilic
printing
plate
meth
polymer
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JP2001172372A
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English (en)
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Yuko Suzuki
祐子 鈴木
Takayuki Sanada
隆幸 真田
Sumio Hirose
純夫 広瀬
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 基板上に直接又は他の層を介して、親水
性ポリマー、ポリマーエマルジョン、架橋剤、光吸収剤
及び親水性添加剤を含有する感光性組成物からなる親水
性樹脂感光層を非画像部とする平版印刷用原版。 【効果】 本発明の印刷版は、感光性組成物を5分間浸
した後の親水成分の溶出量が0.1g/m2以下である
ため、湿し水を汚染し難くゴミの発生も殆どない。さら
に明室での取り扱いができ、現像や、拭き取り等の操作
が不要で、且つ感度、解像度、耐刷性に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は印刷用の版、明室で
も取り扱うことができ、版に直接レーザー光で描画で
き、感度に優れ、且つ現像や拭き取り等の操作が不要
で、解像度、網点再現性、耐刷性等の種々の印刷特性に
優れた平版印刷用の版、特に近赤外領域の光に感光し、
湿し水を用いるオフセット印刷用の版に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の情報のデジタル化技術の進歩とレ
ーザーの高出力化に伴い、レーザーを走査して直接刷版
に描画して製版する、CTP対応の印刷版が実用化され
ている。特に近赤外レーザーを用いたシステムは明室で
印刷版の取り扱いができるため近年着実に広がってき
た。
【0003】すでに市販されている近赤外レーザー対応
CTP用印刷版は従来のPS版のようにアルカリ現像を
するものが多い。しかし、近赤外レーザーはレーザーパ
ワーを上げることができるため、アルカリ現像でレーザ
ー照射部、又は未照射部を溶出し取り除く方法を用いな
い、新しいメカニズムで製版することが可能である。
【0004】現像処理の不要な版として、特開平7−3
14934号公報にチタン又はチタン酸化物等の無機系
の光吸収層の上にシリコーン樹脂の撥インク層を積層し
た構成の版が開発されている。すでに市販されている
が、この版はシリコーン樹脂層がインクをはじき非画線
部となり、近赤外レーザーの照射により画線部が形成さ
れる。しかし,レーザーの照射だけでは照射部のシリコ
ーン樹脂層は除去されず、印刷の前に照射部のシリコー
ン樹脂層を除去するために拭き取り操作を必要とする。
もしこのシリコーン樹脂の拭き取りが不十分な場合は照
射部、すなわち画線部にインクが十分に付着せず、欠陥
が生じうまく印刷できない。
【0005】また、例えば、特開平6−199064号
公報には、基板上にニトロセルロースにカーボンブラッ
クを分散した光吸収層とその上に親水層又は撥インク層
を積層してなる版が開示されている。この版は光吸収層
の熱分解により光吸収層とその上の親水層又は撥インク
層が取り除かれ、親インク性の基体表面を露呈させるア
ブレーションによる露光方法である。この版は明室でも
取り扱うことができ、現像処理は不要であるが、親水層
又は撥インク層は光を吸収せず、光吸収層からの熱によ
り加熱される。そのために光吸収層及びその上の親水層
又は撥インク層の除去に多大なエネルギーを必要とする
ため、露光に長い時間、又は高パワーを必要とするだけ
でなく、親水層や撥インク層が分解するには該層の温度
上昇が不十分で、該層は殆ど分解することはなく、光吸
収層の熱分解の際に発生する力により強引に吹き飛ばさ
れる。従って、除去された親水層又は撥インク層に由来
する微小な粉塵や光吸収層の分解物に由来する粉塵が多
量に版の露光部の周辺に飛散堆積し、未露光部に於いて
は該粉塵の付着によりインクが付着しない性質が低下し
て、地汚れや印刷欠陥を起こす。さらに、印刷中に該粉
塵が徐々に版から剥離し印刷物に転写されるという欠点
があった。
【0006】また、特開平9−127683号公報では
自己分散性熱可塑性樹脂を用いたアルカリ現像を行わな
い版が報告されている。これはレーザー未照射部分の樹
脂を湿し水で溶解し取り除く、「湿し水現像」によって
基板の陽極酸化アルミ表面を露出する方法である。印刷
機内で湿し水ローラーで未露光部を取り除くため、湿し
水を循環ろ過をしようとも、水に溶解する不純物量が増
えるため地汚れが発生しやすくなる。また頻繁に湿し水
を交換する必要があるため作業者へ負担がかかる。さら
にインクローラーやブランケットの汚染も生じるためゴ
ミの問題は免れない。これらに加え、印刷機に版を取り
付け、湿し水現像後すぐに印刷するので、陽極酸化アル
ミ表面にガム引きを行うことができない。よって非画線
部の親水性が不十分で、地汚れを引き起こす。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来のC
TP用の印刷版はレーザー照射部や未照射部の除去の際
取り残しやゴミの発生によるトラブル、湿し水の汚染等
種々の問題点を抱えており、これらの問題点を改良した
CTP用の版の開発が強く望まれていた。即ち、本発明
の課題は、レーザー照射部が親水性から親油性に変化す
る感光層を有する版であり、印刷時に湿し水によって親
水性成分が溶出し難く、表面の親水性が長時間印刷後も
変化しない印刷版を提供することである。さらに明室で
取り扱うことができ、現像や拭き取り操作が不要で、且
つ感度、解像度、地汚れ、印刷欠陥等の種々の印刷特性
に優れたCTP用の印刷版、及びその版の感光層に用い
られる感光性組成物を開発することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記した課
題を解決するために鋭意検討を行い、本発明を完成し
た。
【0009】即ち、本発明は、以下の事項により特定す
る事が出来る。
【0010】(1)基板上に直接又は他の層を会して、
親水性ポリマー、ポリマーエマルジョン、700〜12
00nmに吸収を持つ色素、架橋剤及び親水性添加剤を
含有する感光性組成物からなる親水性樹脂感光層を非画
像部とする印刷原版において、その印刷原版を室温下、
水に5分間浸した後の親水成分溶出量が0.1g/m2
以下であることを特徴とするダイレクトオフセット印刷
用原版。
【0011】(2)親水性添加剤が陰イオン系界面活性
剤であることを特徴とする(1)に記載のダイレクトオ
フセット印刷用原版。
【0012】(3)親水性添加剤がスルホ琥珀酸系界面
活性剤であることを特徴とする(1)及び(2)記載の
ダイレクトオフセット印刷用原版。
【0013】(4)レーザー照射によって親水性樹脂感
光層が親油性に変化することを特徴とする(1)、
(2)及び(3)記載のダイレクトオフセット印刷用原
版。
【0014】(5)親水性樹脂感光層にレーザー照射
後、現像を行うことなく印刷に使用できることを特徴と
する請求項(1)、(2)、(3)及び(4)記載のダ
イレクトオフセット印刷版である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明に於ける印刷用原版は、基
板上に直接又は他の層を介して、水に不溶な感光性組成
物を有するものである。
【0016】[感光性組成物]まず、本発明に於ける印
刷用原版の感光層を形成する感光性組成物について説明
する。感光性組成物は親水性ポリマー、ポホリマーエマ
ルジョン、700〜1200nmに吸収をもつ色素、架
橋剤及び親水性添加剤を含有してなる。ここでいう親水
性ポリマーとは、水に完全に溶解するものだけでなく、
水と任意の比率に混合できる有機溶剤に溶解しその溶液
を水に溶解することが可能なもの、水を吸着するものや
吸収して膨潤するものも含む。親水性ポリマーの例とし
ては「新・水溶性ポリマーの応用と市場」シーエムシー
などに記載のものが使用できる。具体的には以下のよう
なものがある。
【0017】[親水性ポリマー]親水性ポリマーとして
は、アミド基、カルボキシル基及びそのアルカリ金属又
はアミン塩、水酸基、スルホン酸基及びその塩、アミノ
基及びその塩、ホスホン酸基及びその塩、スルホンアミ
ド基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基
等の親水性置換基を側鎖に有するポリマー、更にポリオ
キシエチレン系ポリマー、ポリオキシプロピレン系ポリ
マー、ポリオキシエチレン・ ポリオキシプロピレン系ポ
リマー、セルロース系ポリマー、ゼラチン等が挙げられ
る。これらの親水性ポリマーの中でも、本発明に於いて
は、感光性組成物を刷版の感光層に用いた場合、感光層
には耐水性が求められ、架橋等により水に不溶化する必
要があり、この水に不溶化のし易さ等の点から、該親水
性ポリマーは、アミド基、カルボキシル基、スルホン酸
基、ホスホン酸基及び水酸基から選ばれる親水性置換基
を1種又は2種以上側鎖に有するポリマー、例えば、前
記した親水性置換基を側鎖に有する不飽和モノマーを1
種又は2種以上重合したポリマーやポリビニルアルコー
ル系ポリマー、セルロース系ポリマー、ゼラチン等好ま
しい。
【0018】前記した親水性置換基を側鎖に有する不飽
和モノマーを1種又は2種以上重合したポリマーに於い
て用いられる不飽和モノマーを具体例に説明すると、ア
ミド基を側鎖に有する不飽和モノマーとしては、無置換
又は置換の(メタ)アクリルアミド、イタコン酸、フマ
ル酸、マレイン酸等の二塩基酸のアミド化モノマー、N
−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−
ビニルピロリドン等が挙げられる。無置換又は置換(メ
タ)アクリルアミドのより具体例としては、(メタ)ア
クリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)ア
クリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メ
タ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリ
ルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、メチ
ロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メ
タ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリル
アミド、スルホン酸プロピル(メタ)アクリルアミド、
(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。ま
た、前記イタコン酸等の二塩基酸のアミド化モノマーの
場合は一方のカルボキシル基がアミド化されたモノアミ
ド、両方のカルボキシル基がアミド化されたジアミド、
更に一方のカルボキシル基がアミド化され、他方のカル
ボキシル基がエステル化されたアミドエステルであって
もよい。
【0019】カルボキシル基を側鎖に有する不飽和モノ
マーとしては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイ
ン酸及びその無水物等の二塩基不飽和酸やこれら二塩基
不飽和酸のモノエステル、モノアミド等のカルボキシル
基含有不飽和モノマー等が挙げられる。これらのカルボ
キシル基を有するモノマーに於いては、該カルボキシル
基は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基や
アンモニアやアミン類で中和されていても良い。又、重
合してから中和しても良い。
【0020】スルホン酸基を側鎖に有する不飽和モノマ
ーとしては、ビニルスルホン酸、スルホエチル(メタ)
アクリレート、(メタ)アクリルアミドメチルプロパン
スルホン酸、ビニルメチルスルホン酸、イソプロぺニル
メチルスルホン酸、(メタ)アクリル酸にエチレンオキ
シド、又はプロピレンオキシドを付加したアルコールの
硫酸エステル(例えば、三洋化成工業(株)のエレミノー
ルRS−30)、(メタ)アクリロイロキシエチルスル
ホン酸、モノアルキルスルホ琥珀酸エステルとアリル基
を有する化合物とのエステル(例えば、三洋化成工業
(株)のエレミノールJS2、花王(株)のラテムルS−1
80、又はS180A)、モノアルキルスルホ琥珀酸エ
ステルとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成
物、及び日本乳化剤(株)のAntox MS60等が挙
げられる。これらのスルホン酸基を有するモノマーに於
いては、該スルホン酸基は水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム等の無機塩基やアンモニアやアミン類で中和され
ていても良い。又、重合してから中和しても良い。
【0021】ホスホン酸基を側鎖に有する不飽和モノマ
ーとしては、ビニルリン酸、リン酸モノ(2−ヒドロキ
シエチル)(メタ)アクリレート、リン酸モノアルキル
エステルのモノ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アク
リレート等が挙げられる。これらのホスホン酸基を有す
るモノマーに於いては、該ホスホン酸基は水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム等の無機塩基やアンモニアやアミ
ン類で中和されていても良い。又、重合してから中和し
ても良い。
【0022】また、水酸基を有する不飽和モノマーとし
ては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、及び、これらの(メタ)アクリ
レートにエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加し
たモノマー、メチロール(メタ)アクリルアミドや該メ
チロール(メタ)アクリルアミドとメチルアルコールや
ブチルアルコールとの縮合物であるメトキシメチル(メ
タ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリル
アミド等が挙げられる。
【0023】尚、本発明に於ける前記“(メタ)アクリ
ル”、(メタ)アクリレート”、(メタ)アクロイル”
等の記載はそれぞれアクリルとメタクリル、アクリレー
トとメタアクリレート、アクリロイルとメタアクリロイ
ルの両者を意味する。
【0024】ポリビニルアルコール系ポリマーを更に詳
細に説明すると、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニル等の
脂肪酸ビニルモノマーのホモポリマーやコポリマーを完
全又は部分加水分解して得られるポリマー、及びこのポ
リマーの部分ホルマール化、アセタール化、ブチラール
化ポリマー等が挙げられる。
【0025】[架橋剤]本発明に於ける印刷用原版は、
基板上に感光性組成物を含有する水に不溶の感光層を有
する。感光層を水に不溶にするには、通常は架橋剤を用
いて親水性ポリマーを三次元架橋する。架橋する場合、
通常親水性ポリマーに架橋剤と反応する架橋性官能基を
導入しなければならない。架橋性官能基の具体例として
は、用いる架橋剤の種類により異なるが、例えば、水酸
基、カルボキシル基及びそのアルカリ金属やアミン塩、
スルホン酸基及びそのアルカリ金属やアミン塩、リン酸
基及びそのアルカリ金属やアミン塩、アミド基、アミノ
基、イソシアナート基、グリシジル基、オキサゾリン基
等が挙げられる。これらの架橋性官能基を導入するには
これらの官能基を有する不飽和モノマー、例えば前記し
た水酸基を有する不飽和モノマー、カルボキシル基を有
する不飽和モノマー、またスルホン酸基を有する不飽和
モノマーを、更に、グリシジル基を有する不飽和モノマ
ーとしてはグリシジル(メタ)アクリレート等を共重合
すればよい。
【0026】更に、本発明の親水性ポリマーに於いて
は、前記親水性置換基を有する不飽和モノマー、架橋性
官能基を有する不飽和モノマー以外に、本発明の効果を
更に向上させるために、その他の共重合可能不飽和モノ
マーを共重合することもできる。共重合可能不飽和モノ
マーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、メトキシ(C1〜C50)
エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)ア
クリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソポロ
ニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アク
リレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチ
レン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0027】本発明の親水性ポリマーを架橋するのに用
いられる架橋剤としては、前記親水性ポリマーと架橋反
応して親水性ポリマーを水に不溶性にすることにより感
光層の耐水性を向上させるものであればよい。架橋剤と
官能基の組み合わせについては金子東助、山下晋三編
「架橋剤ハンドブック」大成社(昭和56年)に記載の
反応を用いることができる。例えば、親水性ポリマー中
の架橋性官能基であるカルボキシル基、スルホン酸基、
水酸基、グリシジル基、場合によってはアミド基と反応
する公知の多価アルコール化合物類、多価カルボン酸化
合物やその無水物類、多価グリシジル化合物(エポキシ
樹脂)類、多価アミン化合物類、ポリアミド樹脂類、多
価イソシアナート化合物類(ブロックイソシアナート類
を含む)、オキサゾリン樹脂、アミノ樹脂、グリオキザ
ール等が挙げられる。本発明に於いては前記した架橋剤
の中でも、硬化速度と感光性組成物の安定性や感光層の
親水性と耐水性のバランス等から公知の種々の多価グリ
シジル化合物(エポキシ樹脂)、オキサゾリン樹脂、ア
ミノ樹脂、多価アミン化合物やポリアミド樹脂等のエポ
キシ樹脂用の硬化剤、グリオキザールが好ましい。アミ
ノ樹脂としては、公知のメラミン樹脂、尿素樹脂、ベン
ゾグアナミン樹脂やグリコールウリル樹脂等やこれら樹
脂の変性樹脂、例えばカルボキシ変性メラミン樹脂等が
挙げられる。また、架橋反応を促進するために、前記し
たグリシジル化合物を用いる際には3級アミン類を、ア
ミノ樹脂を用いる場合は、パラトルエンスルホン酸、ド
デシルベンゼンスルホン酸、塩化アンモニウム等の酸性
化合物を併用しても良い。
【0028】[ポリマーエマルジョン]本発明の感光性
組成物に用いられるポリマーエマルジョンはポリマー微
粒子が水に分散した溶液を指し、自己乳化型でも強制乳
化型でもよい。これは乳化重合、懸濁重合、グラフト重
合等で作られる。ウレタンエマルジョン、(メタ)アク
リル樹脂系エマルジョン、スチレン系、酢酸ビニル系、
塩化ビニリデン系エマルジョン等、共役ジエン系ブタジ
エンゴム系エマルジョン等が挙げられる。これらに用い
られるモノマーは1種類だけでなく2種類以上を用いて
もよい。これらを添加した場合は感光層は架橋した親水
性ポリマー相とこれらの親油性樹脂相との相分離構造を
となる。
【0029】[色素]本発明の感光性組成物において
は、光吸収剤として、明室での取り扱いを可能にするた
めに、700〜1200nm、特に市場に供されている
高出力半導体レーザーの発振波長である800〜860
nmに吸収域を有し、且つ感度、分解特性等に優れる点
から有機色素が望ましい。有機色素としては、シアニン
系化合物、ポリメチン系化合物、フタロシアニン系化合
物、ナフタロシアニン系化合物、アントラシアニン系化
合物、ポルフィリン系化合物、アゾ系化合物、ベンゾキ
ノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ジチオール金属
錯体類、ジアミンの金属錯体類等が挙げられる。また、
2種類以上の色素を混合してもよい。さらにカーボンブ
ラック等の無機光吸収剤と併用してもよい。
【0030】本発明の光吸収剤はレーザー光を吸収する
と多量の発熱を伴いながら急激に分解が起こる。その熱
によって感光層のエマルジョンを溶融したり親水性ポリ
マーの親水性置換基や主鎖の一部の分解が起り、感光層
の親水性を親油(インク)性に変えることができる。そ
のため分解物の堆積が少なく、画線部の強度も低下しな
い。
【0031】本発明に用いられる光吸収剤が使用する親
水性ポリマーに不溶の場合、感光性組成物に用いる場合
は分散して用いることが可能である。分散した際の該化
合物の粒子径は、刷版の感光層の膜厚、解像度による
が、通常は平均で0.5 μm以下が好ましい。分散する方
法は、例えばサンドミル、ペイントシェーカー、3本ロ
ール、及びスラリーを加圧下に高速で衝突させる方法等
がある。
【0032】[親水性添加剤]本発明に用いられる親水
性添加剤としては、水や有機溶媒に溶解するものが望ま
しい。この親水性添加剤によって印刷版表面の親水性を
高め、印刷開始後すぐに湿し水が表面に付くような作用
をするものであればどのような化合物でも使用できる
が、特に界面活性剤や表面改質剤と呼ばれているものが
特に好ましい。現在さまざまな親水性添加剤が入手でき
るが、「特殊機能界面活性剤」シーエムシー出版(19
86)記載の親水性界面活性剤使用可能である。具体例
を以下に示す。
【0033】非イオン性活性剤としてはポリエチレング
リコール型、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンポリプロピレングリコールエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソル
ビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル
アミン等や、多価アルコール型例えばアルキルアルカノ
ールアミド、、グリセリン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪
酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、やし油やひま
し油を原料とした活性剤、ポリエチレングリコール、ア
ルキルフェニルエーテルやアルキルエーテル、アルキル
アリルエーテル、ラウリルエーテル系の活性剤等があ
る。また陽イオン系活性剤としては第1級アミン塩系、
第2級アミン塩系、第3級アミン塩系、第4級アンモニ
ウム塩系、四級ピリジニウム塩系、ラウリルイミダゾリ
ン系、アルキルアミン系等がある。両性活性剤としては
アルキルベタイン系、アミノ酸型、スルホン酸型、硫酸
エステル型、りん酸エステル型、アミンオキシド型、ポ
リオキシエチレンアルキルアミン型、ポリアルキレンポ
リアミン型、ポリエチレンイミン型、カルボン酸型、硫
酸エステル型等の両イオン性のものが使用できる。また
陰イオン系活性剤としてはスルホン酸塩系、例えばアル
キルフェニルスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレ
ンスルホン酸ナトリウム、アルキルアリルスルホン酸ナ
トリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレ
ンスルホン酸のホルマリン縮合物のナトリウム塩、ポリ
オキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ジ
アルキルスルホ琥珀酸エステルナトリウムやジアルキル
スルホ琥珀酸エステルナトリウム等がある。また、カル
ボン酸塩系、例えばジアルキル琥珀酸エステルナトリウ
ム、モノアルキルコハク酸エステルナトリウム、ポリカ
ルボン酸等がある。硫酸エステル塩系、例えばアルキル
ジフェニル硫酸オキシド、アルキル硫酸エステル、高級
アルコール硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレ
ンアルキル硫酸エーテルナトリウムまたはアンモニウム
等が挙げられる。また、りん酸エステル塩系、例えばア
ルキルエーテルりん酸エステルナトリウムやアルコール
りん酸エステルナトリウム等が使用できる。特にジアル
キル琥珀酸エステルナトリウムやモノアルキルスルホ琥
珀酸エステルナトリウム系は感光層表面が水に濡れても
溶出しにくいため特に好ましい。さらに2種類以上の添
加剤を同時に用いてもよい。
【0034】[感光層の組成]本発明の感光性組成物に
於いて、親水性ポリマー、ポリマーエマルジョン、架橋
剤、光吸収剤及び親水性添加剤の使用割合は刷版の感光
層の親水性と耐水性のバランスや種々の印刷特性の点か
ら、固形分で親水性ポリマー97〜10重量%、ポリマ
ーエマルジョン80〜10重量%、架橋剤3〜50%、
及び光吸収剤と親水性添加剤は前記親水性ポリマー、ポ
リマーエマルジョンと架橋剤の固形分の合計100重量
%に対しそれぞれ2〜20重量%、0.01〜5重量%
が好ましい。さらに好ましくは親水性ポリマー50〜2
0重量%、ポリマーエマルジョン70〜420重量%、
架橋剤5〜240%、及び光吸収剤と親水性添加剤は前
記親水性ポリマー、ポリマーエマルジョンと架橋剤の固
形分の合計100重量%に対しそれぞれ5〜15重量
%、0.1〜4重量%が好ましい。光吸収剤が2重量部
未満の場合は感度が低くて好ましくなく、20重量部を
越えても予想以上に感度が高くなることはなく経済性で
不利になり好ましくない。また、親水性添加剤架橋剤が
0.01重量部より少ないと感光性組成物表面の親水性
が低く印刷ができなくなる場合がありず、5重量部より
多いと感光性組成物の架橋に悪影響を与える場合があ
る。
【0035】本発明に於いては、刷版の感光層の露光部
の親水性と耐水性のバランス、エマルジョンとの混ざり
やすさや種々の印刷特性の点から、親水性ポリマーは、
アミド基及び水酸基を有する不飽和モノマーの部分が2
0〜100重量%、架橋性官能基を有する不飽和モノマ
ーの部分が0〜60重量%、及びその他の不飽和モノマ
ーの部分が0〜50重量%からなるポリマーが好まし
く、更に好ましくは、アミド基及び水酸基を有する不飽
和モノマーの部分が40〜100重量%、架橋性官能基
を有する不飽和モノマーの部分が0〜50重量%、及び
その他の不飽和モノマーの部分が0〜50重量%であ
る。但し、親水性置換基がアミド基だけの場合は、アミ
ド基を有する不飽和モノマーの部分が40〜97重量
%、架橋性官能基を有する不飽和モノマーの部分が3〜
50重量%、及びその他の不飽和モノマーの部分が0〜
50重量%からなるポリマーが好ましく、更に好ましく
は、アミド基を有する不飽和モノマーの部分が50〜9
5重量%、架橋性官能基を有する不飽和モノマーの部分
が5〜40重量%、及びその他の不飽和モノマーの部分
が0〜50重量%である。尚、アミド基、水酸基を有す
る不飽和モノマーは、親水性置換基を有する不飽和モノ
マーであり、且つ架橋性官能基を有する不飽和モノマー
でもあるが、前記の親水性ポリマーの組成に於いては、
アミド基、カルボキシル基、水酸基、及びスルホン酸基
を有する不飽和モノマーは親水性置換基を有する不飽和
モノマーとみなし、架橋性官能基を有する不飽和モノマ
ーとしては計算しないものとする。
【0036】[基板]本発明の平版印刷用原版に於いて
は基板に前記した感光性組成物を含有する水に不溶性の
感光層を設けてなるが、この際用いられる基板の具体例
としてはアルミ板、鋼板、ステンレス板、銅板等の金属
板やこれら金属の合金板、ポリエステル、ナイロン、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、AB
S樹脂、酢酸セルロース等のプラスチックフィルムや
紙、アルミ箔ラミネートした紙、金属蒸着紙、プラスチ
ックフィルムラミネート紙等が挙げられる。これらの基
板の厚さは特に制限はないが通常100〜500μm程
度である。また、これらの基板は密着性の改良等のため
に酸化処理、リン酸亜鉛処理、サンドブラスト処理、コ
ロナ放電処理等の表面処理を施してもよい。特に、取り
扱いが容易であり、さびにくく安価であるアルミ板が望
ましい。さらにアルミ板を用いると長時間印刷を行って
も基板が伸びることがないので4色以上のカラー印刷に
適している。
【0037】また、感光層との密着性を改良したり、熱
の拡散を防止したりするためにポリマーで下地層を用い
てもよい。この場合基板と感光層との密着し、機械的強
度のあるポリマーならば使用できる。下地層は架橋して
もよいし架橋しなくてもよい。また、有機溶媒に溶解し
て塗布してもよい。
【0038】[感光層の製造]前記基板に感光層を設け
るには、本発明の感光性組成物を含有する溶液を基板に
塗布し、乾燥、硬化すればよい。塗布する方法としては
塗布する溶液の粘度や塗布速度等によって異なるが、通
常例えば、バーコーター、ロールコーター、ブレードコ
ーター、グラビアコーター、カーテンフローコーター、
ダイコーター、ディップコーターやスプレー法等を用い
れば良い。
【0039】この際、塗布溶液の消泡のためや、塗布膜
の平滑化のために塗布溶液に消泡剤、レベリング剤、ハ
ジキ防止剤、カップリング剤等の各種添加剤を用いても
良い。
【0040】また、感光層の耐水性等の特性を改良する
ために有機や無機のフィラーを用いてもよい。これらを
添加した場合は感光層は架橋した親水性ポリマー相とこ
れらの親油性樹脂相との相分離構造をとなる。
【0041】感光性組成物の溶液を塗布した後、加熱し
て乾燥及び親水性ポリマーを架橋する。加熱温度は通常
50〜200℃程度である。該感光層の膜厚は特に制限
はないが、通常0.5〜10μm程度が好ましい。
【0042】本発明の印刷用原版に於いては、感光層を
成膜した後、該感光層を保護するために感光層の上にフ
ィルムを積層しても良い。
【0043】[感光層の性質の概要]次に本発明の感光
層に関して詳しく説明する。本発明の平版印刷用の版は
湿し水を用いるオフセット印刷用の版であり、従って感
光層は親水性と、耐水性(湿し水に溶けないこと)が求
められる。印刷中湿し水にこの感光層の一部が溶け出し
た場合、湿し水が汚染されてしまい種々の問題を引き起
こす。例えば、湿し水のPHが変化したり、界面活性剤
が溶け出したりして、インクの乳化に影響を与えたり、
印刷版への湿し水の濡れ性に影響したりして、結果的に
地汚れを起こしたり、インクの着肉性の低下を引き起こ
したりする。感光層からの溶出物は湿し水のろ過装置に
よってきれいに取り除くことが難しく、頻繁に湿し水を
交換する必要があるため作業者の負担になる。さらに、
その溶出物が湿し水のpPHに影響を与える場合、管理
が難しく安定した印刷物が得られない。よって印刷に用
いる原版からの親水性溶出物は少ないほど印刷トラブル
を引き起こしにくい。
【0044】[親水成分溶出量]版からの溶出量測定方
法は、印刷原版を一定面積、例えば10cm角に切り出
し、脱イオン水20mlを入れたガラス製容器シャーレ
にその印刷原版を感光層側を下にして室温下5分間浸
す。印刷原版を取り出した後の水溶液を予め重量を測定
したナスフラスコに入れ、エバポレーターで蒸発乾固し
フラスコに残った親水成分溶出物の重量を測定する。こ
のような方法で測定した結果、室温下水に5分間浸した
後の印刷原版からの親水成分溶出量が0.1g/m2以
下であることが望ましい。さらに望ましくは0.05g
/m2以下である。
【0045】[親油性への変化]そして露光により光を
照射した部分の感光層は部分的にエマルジョンが溶融、
融着したり親水性ポリマーや架橋剤、親水性添加剤の一
部または全部が分解し、親水性から親油(インク)性に
変化する。従って、露光後には現像や拭き取り等の操作
を必要としない。
【0046】本発明に於いては感光層が露光により光を
照射した部分の感光層は部分的にポリマーエマルジョン
が溶融、融着したり、親水性ポリマーや架橋剤、親水性
添加剤の親水性置換基が分解し、親水性から親油(イン
ク)性に変化すると推定される。従って、露光後には現
像や拭き取り等の操作を必要としない。又、感光相が部
分的に分解した際に、ガスを発生して、感光層が発泡す
ることもある。そして露光部の感光層は発泡により未露
光部よりも隆起することもある。感光層が発泡により隆
起している場合でも、印刷を開始すると印圧により該隆
起は減少したり、無くなることもある。
【0047】本発明の印刷原版の露光に用いられる光の
波長は700〜1200nmであり、この波長域の中
で、光吸収剤の吸収波長域に合致する光を用いればよ
い。露光に用いる光源としては、使用しやすく高出力の
光源が適している。この点からはレーザー、特に800
〜1100nmの波長域に発振波長を有するレーザーが
好ましく、例えば830nmの高出力半導体レーザーや
1064nmのYAGレーザーが好ましく、これらのレ
ーザーを搭載した露光機は所謂サーマル用プレートセッ
ター(露光機)として既に市場に供されている。
【0048】
【実施例】以下、本発明の実施例を示す。
【0049】
【実施例1】(親水性ポリマーAの合成)1000mlのフ
ラスコに水400gを入れ、窒素をバブリングして溶存酸
素を除去した後、80℃に昇温する。窒素ガスをフラスコ
に流しながら、アクリルアミド90g、ヒドロキシエチル
アクリレート10g、水67gからなるモノマー溶液と過硫
酸カリ0.5 gを水50gに溶解した開始剤の水溶液を、内
温を80℃に維持しながら、別々に3時間に渡り連続滴下
した。滴下終了後80℃で2時間重合を続けた後、更に90
℃で2時間重合した、最後に水150 g加えた後、アンモ
ニア水溶液でpHを4.5 に調整して親水性ポリマーの水
溶液を合成した。このポリマーの水溶液は粘度が8000mP
a・s 、固形分は15重量%であった。
【0050】(感光性組成物)次に上記親水性ポリマー
Aを固形分で40重量%、エマルジョンスーパーフレッ
クス700(第一工業製薬製のウレタン系エマルジョ
ン)を固形分で40重量%、架橋剤としてサイメル350
(三井サイテック(株)製のメチル化メラミン樹脂)を
固形分で20重量%、水100重量部に溶解したシアニ
ン色素IR125(アクロス製)5重量%、親水性添加
剤としてネオコールYSK(第一工業製薬製ジアルキル
スルホ琥珀酸エステルナトリウム)2重量%を混合し均
一になるまでディスパーでかき混ぜた。
【0051】(印刷原版の作成)188mmのポリエス
テルフィルムに上記感光性組成物をワイヤーバー#10
を用いて均一に塗布した後、120 ℃で1時間乾燥し、約
2μmの膜厚の感光層を成膜して印刷用原版を作成し
た。
【0052】(評価)印刷特性を評価するために、この
版に830nmの半導体レザー光を集光しながら光を走
査して情報の記録を行った。レーザー光を照射した部分
は緑色から灰色に変色した。感度は約350mJ/cm2 であ
った。この版の表面を電子顕微鏡で観察したところ、実
施例でも露光部の感光層は溶融したような形状になり、
未記録部より微かに隆起していた。また、露光部の周辺
を顕微鏡で観察しても分解物は堆積していなかった。こ
の露光した版を湿し水を用いるオフセット印刷機(シナ
ノケンシ製カード印刷機プレクスターARX010)に
セットしてコート紙を用いて印刷を行った。
【0053】(親水成分の流出量測定法)印刷版を10
cm四方に切り出し脱イオン水20ml入ったガラス製
シャーレに感光性組成物側を下にして5分間浸す。取り
出した後その水溶液を蒸発乾固し重量を測定する。実施
例1の印刷版は光の未照射部にはインクが全く付かず、
一方、照射部にはインクが十分に付着し、且つ、分解物
によると思われる印刷欠陥もなく、綺麗な印刷ができ
た。また、175線で網点、細線がきれいに印刷でき
た。また、1万枚印刷しても地汚れの発生はなかった。
尚、版を通常の明室下で取り扱っても全く問題は生じな
かった。さらに親水成分の流出量は0.0005g
(0.05g/m2)だった。
【0054】[実施例2〜5] (親水性ポリマーB、C)実施例1の親水性ポリマーの
合成に於いて、以下のモノマーを用いて合成した。 親水性ポリマーB アクリルアミド 70重量% ヒドロキシエチルアクリレート 5重量% アクリル酸 25重量% 重合開始剤 V―50 (水性アゾ系 和光純薬(株)製品) 親水性ポリマーC アクリルアミド 40重量% ヒドロキシエチルアクリレート 10重量% メトキシテトラエチレングリコールアクリレート 25重量% ラテムルS180 5重量% アクリル酸エチル 20重量% 次に表1に示した重量%の親水性ポリマー、表1に示し
た種類と重量%のエマルジョン、架橋剤、添加剤及び水
100重量%からなる溶液に、光吸収剤としてナフタロ
シアニン色素を用いて、実施例1と同じ方法で感光性組
成物を作った。表1に於ける配合量は固形分の重量%を
表す。
【0055】
【表1】
【0056】次に接着性向上のために予めプライマーと
して2μmの厚さのUD500(ウレタン系エマルジョ
ン、三井化学製)を塗布し120℃5分加熱した0.2 m
mの厚さのアルミ板に感光性組成物を塗布し、120
℃で1時間乾燥し、3μmの厚さの感光層を有する印刷
用原版を作成した。この版を用いて、実施例1と同じ方
法で露光し、露光部の観察及び印刷評価を行った。SE
Mで観察したところいずれの版も露光部の周辺には分解
物等の飛沫は観察されなかった。
【0057】表−2に示すように、印刷の評価結果は実
施例2〜5の版が印刷性及び耐刷性に優れていた。本発
明の条件を満たさないものは、親水性ポリマーや、親水
性添加剤の溶出率が高かった。そのため耐刷性が低く徐
々に地汚れが発生したり、親水成分の溶出率は低いもの
の親水性が低いため全面が地汚れし綺麗な印刷ができな
かいものがあった。また、いずれの版も通常の明室下で
取り扱っても全く問題は生じなかった。
【0058】
【表2】
【0059】
【発明の効果】印刷版に含まれる親水性成分、特に親水
性添加剤が溶出しにくいため、湿し水の汚染が少なく、
版由来のゴミの発生もない。また、連続印刷をしても地
汚れしにくい。さらに印刷時にアルカリ現像や湿し水現
像をする必要が全くないため、取り扱いの容易な印刷版
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA01 AA02 AA12 AB03 AC08 AD03 BJ02 BJ03 CB52 CB54 CC04 CC11 CC17 2H096 AA06 BA20 CA05 EA04 2H114 AA04 AA22 AA24 BA01 DA47 DA51 DA53 DA58 EA01 EA04 GA34 GA38

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に直接又は他の層を会して、親水性
    ポリマー、ポリマーエマルジョン、700〜1200n
    mに吸収を持つ色素、架橋剤及び親水性添加剤を含有す
    る感光性組成物からなる親水性樹脂感光層を非画像部と
    する印刷原版において、その印刷原版を室温下、水に5
    分間浸した後の親水成分溶出量が0.1g/m2以下で
    あることを特徴とするダイレクトオフセット印刷用原
    版。
  2. 【請求項2】親水性添加剤が陰イオン系界面活性剤であ
    ることを特徴とする請求項1に記載のダイレクトオフセ
    ット印刷用原版。
  3. 【請求項3】親水性添加剤がスルホ琥珀酸系界面活性剤
    であることを特徴とする請求項1及び2記載のダイレク
    トオフセット印刷用原版
  4. 【請求項4】レーザー照射によって親水性樹脂感光層が
    親油性に変化することを特徴とする請求項1、2及び3
    記載のダイレクトオフセット印刷用原版
  5. 【請求項5】親水性樹脂感光層にレーザー照射後、現像
    を行うことなく印刷に使用できることを特徴とする請求
    項1、2、3及び4記載のダイレクトオフセット印刷版
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