JP4319959B2 - 現像レス平版印刷用原版及び平版印刷版 - Google Patents

現像レス平版印刷用原版及び平版印刷版 Download PDF

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Description

本発明は平版印刷用原版、特に湿し水を用いる現像レス平版印刷用原版及びそれより得られる平版印刷版に関するものである。特に近赤外領域のレーザー光で描画でき、かつ現像や拭き取り操作が不要な現像レス平版印刷版及び原版に関するものであり、さらに詳しくは、非画線部の親水性の改良された現像レス平版印刷版および原版に関する。
コンピュータの普及につれ、製版用フィルムを使用しないで、コンピュータ上の原稿から直接版材にレーザー光やサーマルヘッド、インクジェットで印字し製版する所謂コンピュータ・ツー・プレート(CTP)タイプの印刷版が登場し普及し始めている。このうちレーザー光を用いる印刷版はさらに光反応によるフォトンモードのものと、光熱変換を行って熱反応を起こさせるヒートモードの2つのタイプに分けられる。このうちヒートモードタイプのCTP版は、明室で取り扱えるといった利点があり、今後の主流になると言われている。また、フォトンモードでは露光後に未露光部が反応しないよう、失活や現像といった後工程が必須であるが、ヒートモードではこれらの後工程を省くことが可能であり、所謂現像レス版を得ることも可能になると期待されている。
現像レス版には大きく分けて三つのタイプが挙げられる。例えば表面層をレーザー露光で焼き飛ばすアブレーションタイプ、印刷機上で湿し水あるいはインクにより非画線部あるいは画線部を除去する印刷機上現像タイプ、レーザー露光部の親水性(あるいは撥インク性)が変化する極性変換タイプの三つであり、各社から提案されている。
このうちアブレーションタイプは、焼き飛ばした表面層がゴミとなり、版表面に付着するため、露光後に拭き取りあるいは洗浄の実施が推奨されている。また、印刷機上現像タイプは、除去物が湿し水に混入することで汚れやすくなったり、インクに混入することで印刷物の色が濁ったりするといった問題がある。これらに対し、極性変換タイプは拭き取り等の後工程が全く不要で、かつ印刷に悪影響を与える除去物の発生がないため、完全なプロセスレス版が可能となり、今後期待されている。
そこで本出願人らは、感光性樹脂組成物を架橋した親水性樹脂感光層からなり、光の照射により表面が親水性から親インク性に変化する極性変換タイプの現像レス版を開発し提案してきた。例えば、WO01/83234号(特許文献1)、特開2001−180144号公報(特許文献2)、特開2002−362052号公報(特許文献3)、特開2002−370467号公報(特許文献4)、特開2004−122599号公報(特許文献5)等は、感光層として親水性ポリマーマトリクス中に疎水性ポリマーの微粒子を分散させており、感光層中に存在する光吸収剤が光照射することで光を熱に変換し、発生した熱により疎水性ポリマーが発泡したり、熱融着したりして、光照射した部分の感光層の親水性が失われ、親インク性に変化することを利用しているものである。
このような完全プロセスレス版である印刷版は、非画線部が親水性樹脂感光層等の有機化合物からなる、あるいは有機化合物を含有することが特徴である。これらの平版印刷版は現像や拭き取り操作が不要で、且つレーザー光照射部の表面だけが変化するため、感度、解像度に優れているものであるが、これらの版のさらなる性能向上のために、非画線部の親水性を向上させることが望まれている。
現像レス版の非画線部の親水性、あるいは有機化合物を含有する非画線部の親水性を向上させる方策として、例えば特開2001−109140号公報(特許文献6)には、架橋構造を有する親水性層に分子量1000未満の水溶性化合物を添加した平版印刷原版が開示されている。また特開平11−42865号公報(特許文献7)には、親水性結着剤を主成分とする画像受理層にポリエーテル化合物を含む直描型平版印刷原版が開示されている。また本出願人は、特開2002−362052号公報(特許文献3)で、親水性樹脂感光層中に含まれる親水性添加剤が陰イオン性界面活性剤であるダイレクトオフセット印刷原版を提案した。これらの方策によって確かに非画線部の親水性や保水性は向上させることができるものの、湿し水やインキの種類によっては印刷中に溶出することがあり、その効果が短時間で消えてしまう場合があり、この改良が望まれていた。
WO01/83234号公報 特開2001−180144号公報 特開2002−362052号公報 特開2002−370467号公報 特開2004−122599号公報 特開2001−109140号公報 特開平11−42865号公報
本発明の目的は、現像や拭き取り操作が不要で、且つ非画線部の親水性の改良された現像レス平版印刷用原版および平版印刷版を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、水溶性高分子化合物を感光層自体にではなく、下地層中に含有させておくことで、高い親水性付与効果が発揮されるとともに、その効果が持続することを見出し、本発明を完成した。即ち本発明は、以下の構成からなるものである。
(1) 水溶性高分子化合物を含有する下地層を介して支持体上に感光層が形成されたことを特徴とする現像レス平版印刷用原版。より好ましくは、
(2) 水溶性高分子化合物が、少なくとも下記一般式(1)及び/または(2)で示されるN−アルキルまたはN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミド系化合物を用いて反応して得られる親水性樹脂である(1)記載の現像レス平版印刷用原版。
Figure 0004319959
(式中Rは、水素原子またはメチル基、R、Rは、水素原子、低級アルキルまたは低級アルコキシ基を表す。)
Figure 0004319959
(式中Rは、水素原子またはメチル基、Aは、(CH2)n(但し、nは4〜6)または(CH2O(CH2を表す)
、並びに該現像レス平版印刷用原版を露光して得られる現像レス平版印刷版。
本発明の平版印刷用原版を用いれば、非画線部の親水性に優れ、かつレーザー露光後に現像や拭き取り等の工程を不要とする現像レス平版印刷用原版を提供することができる。また、更に印刷中に非画線部の親水性が低下しない、即ち親水性の持続性に優れた現像レス平版印刷用原版を提供することができる。
以下、本発明の現像レス平版印刷用原版及び平版印刷版について詳細に説明する。
本発明の現像レス平版印刷用原版及び平版印刷用版は、支持体上に下地層を介して設置された感光層を有しており、該下地層に水溶性高分子化合物を添加して含有させることを特徴とするものである。感光層自体ではなく、下地層に水溶性高分子化合物を添加することにより、感光層の親水性が向上することを本出願人は見出した。この現象が起こる理由は定かではないが、下地層に存在する水溶性高分子化合物が版の保水性を向上させ、この効果により、親水性付与効果を発揮していると考えられる。
[下地層]
本発明の現像レス平版印刷原版においては、支持体と感光層の密着性を高めるため下地層を設置する。この時に用いる下地層の組成は特に制限はないが、感光層に疎水性ポリマーが含まれる場合は、含まれる疎水性ポリマーと同じ種類の樹脂を用いることが好ましい。特にウレタン系、アクリル系、酢酸ビニル系、合成ゴム系、エチレン系等の疎水性ポリマーを使用することが好ましい。
これら下地層に用いられる疎水性ポリマーは、水溶液又は有機溶媒に溶解した均一溶液やエマルジョンの形態とすることが好ましく、これらを成膜することで下地層とすることができる。特に好ましいのはポリマーエマルジョン型である。この疎水性ポリマーエマルジョンは強制乳化型でもよいし、自己乳化型でもよい。エマルジョンを用いた場合、下地層の表面の凹凸を防ぐため、ポリマーの平均粒径は5〜500nm程度、より好ましくは10〜300nm程度が好ましい。尚、エマルジョンの平均粒径は、一般的には水で薄めて粒度測定器(例えば「マイクロトラック」等)により測定することが可能である。その他、エマルジョンを凍結後スライスして透過型電子顕微鏡で測定することもでき、平均粒径が10nm以下の場合には特にこの方法が好ましく用いられる。
このエマルジョンは塗布後、分散溶媒が蒸発すると融着して造膜する特性を有することが好ましい。製造上問題がなければ造膜温度は特に限定されず、何℃でもよい。下地層には前記疎水性ポリマーを一種のみならず複数種混合して使用しても何ら問題ない。さらに、架橋剤等を加えて強靭な膜を作ることも可能である。
本発明においては、下地層に水溶性高分子化合物を添加することが重要な特徴である。水溶性高分子化合物を添加することにより感光層の親水性が向上し、またその効果は、印刷中持続性に優れる。
上記疎水性ポリマーを用いた場合の疎水性ポリマーと水溶性高分子化合物の配合比率は、固形分比で、50:50〜99:1(疎水性ポリマー:水溶性高分子化合物)であることが好ましく、70:30〜97:3であることがより好ましい。上記範囲内である方が下地層の、支持体および感光層との密着性が良好であり、また印刷時に十分な耐刷性が得られ、十分な保水効果を得ることができ、好ましい。
この下地層を塗布するときには例えば、バーコータ、ロールコータ、ブレードコータ、グラビアコータ、カーテンフローコータ、ダイコータ、ディップコータやスプレー法等を用いれば良い。下地層の膜厚は、通常0.5〜10μm程度、好ましくは1〜5μmである。該範囲内であることにより、良好な保水性効果が発現される。また、下地層塗布後、そのまま感光性組成物を塗布してもよいし、加熱または送風乾燥してから使用してもよい。
[水溶性高分子化合物]
本発明の現像レス平版印刷用原版においては、親水性付与のため下地層に水溶性高分子化合物を添加することが重要である。水溶性高分子化合物は、印刷時に用いられる湿し水を吸収することで、版の保水性を向上させると考えられる。
ここで水溶性高分子化合物とは、水に完全溶解する水溶性高分子化合物、マクロには水に溶解するがミクロには非溶解部分を含む疑似水溶性高分子化合物、水に膨潤するが溶解しない水膨潤性高分子化合物を意味する。すなわち、通常の使用条件下で水を吸着または吸収する高分子化合物を意味し、水に溶けるか或いは水に膨潤する高分子化合物を意味する。
本発明において水溶性高分子化合物としては、上記条件を満たすものであれば特に限定されないが、支持体および感光層との密着性、並びに保水性の観点から、具体的にはアクリルアミド系のポリマーおよび/またはコポリマーを用いることが好ましい。アクリルアミド系のポリマーおよび/またはコポリマーのより好ましい例としては、ポリアクリルアミドおよびポリメタクリルアミドを始めとする、下記一般式(1)及び/または(2)で示されるN−アルキルまたはN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミド系化合物をモノマーとして用いて得られるポリマーおよび/またはコポリマーが挙げられる。
Figure 0004319959
(式中Rは、水素原子またはメチル基、R、Rは、水素原子、低級アルキルまたは低級アルコキシ基を表す。)
Figure 0004319959
(式中Rは、水素原子またはメチル基、Aは、(CH2)n(但し、nは4〜6)または(CH2O(CH2を表す。)
一般式(1)及び(2)中、低級アルキル基とは具体例としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、低級アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。より好ましくは、上記化合物(1)のRはメチル基またはエチル基であり、Rは、水素原子、メチル基、エチル基またはプロピル基である。
該化合物(1)、(2)で表されるN−アルキルまたはN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドの具体例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N−アクリロイルモルホリン、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。なお、本発明における記述において、(メタ)アクリルアミド等は、アクリルアミドとメタアクリルアミドの両者を意味する。
これらのモノマーの中で、アクリルアミドをモノマーとして用い重合して得られるものであるものがより更に好ましい。もちろん、上記化合物は2種以上を用いることができる。さらに、前記化合物(1)及び又は(2)をモノマーとして用いた場合の使用量は、アクリルアミド系ポリマーおよび/またはコポリマー中に好ましくは60質量%以上、より好ましくは60〜99.9質量%、より更に好ましくは60〜99質量%含有することが好ましい。また、該アクリルアミド系ポリマーおよび/またはコポリマーは、更に共重合モノマーとして、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸カリウム、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸カリウム、メタリルスルホン酸塩アンモニウム等を用いることも好ましい態様である。特にメタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸カリウムを用いることが、より好ましい。上記共重合モノマーの好ましい使用量は、0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。
また、その他のモノマーとして、(メタ)アクリル酸等の一塩基不飽和酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸及びその無水物等の二塩基不飽和酸等のカルボキシル基を有するモノマーや、スルホエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルメチルスルホン酸、イソプロぺニルメチルスルホン酸、(メタ)アクリル酸にエチレンオキシド等のスルホン酸基を有するモノマーや、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチロール(メタ)アクリルアミド等の水酸基を有するモノマーを始めとする従来公知の各種モノマーを、水溶性高分子の親水性を損ねない範囲内で、必要に応じ用いることができる。
上記アクリルアミド系ポリマーおよび/またはコポリマー以外の本発明において使用可能な水溶性高分子化合物としては、例として澱粉、セルロース誘導体、アラビアゴム等の多糖類、およびその誘導体、カゼイン、ゼラチン、アルブミン等のタンパク質が挙げられる。また、その他、親水性合成ポリマーとして、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルホスホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(メタクロイロキシプロパンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリ(メタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド)、不飽和脂肪酸のポリマー、不飽和脂肪酸のヒドロキシアルキルエステルのポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン等が挙げられる。セルロース誘導体の例としては、セルロースエーテル(例、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)が挙げられる。尚、ポリビニルアルコールを用いる場合ケン化度は、60%以上であることが好ましい。ポリビニルアルコールを部分的に変性(例えば、カルボキシル変性、スルホン酸変性)してもよい。
また、不飽和脂肪酸のポリマーの例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリクロトン酸およびポリマレイン酸等が挙げられる。ポリビニルホスホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(メタクロイロキシプロパンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)および不飽和脂肪酸のポリマーの酸性基は、プロトンが解離していてもよいし、塩の状態であってもよい。不飽和脂肪酸のヒドロキシアルキルエステルのポリマーの例としては、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。尚、上記例示以外の水溶性高分子化合物も使用可能である。
本発明において、下地層に含有させる水溶性高分子化合物は、一種単独で使用しても、二種以上を併用して用いてもよい。
[支持体]
本発明の現像レス平版印刷用原版及び平版印刷版は、支持体上に下地層を介して感光層を設けるものであるが、この際用いられる支持体としては特に制限はなく、公知のものが使用可能である。支持体の具体例としては、アルミ板、鋼板、ステンレス板、銅板等の金属板やポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS樹脂等のプラスチックフィルムや紙、プラスチックフィルムラミネート紙等が挙げられる。これらの支持体の厚さは特に制限はないが、通常100〜400μm程度である。又、これらの支持体には下地層との密着性の改良等のために酸化処理、クロメート処理、サンドブラスト処理、コロナ放電処理等の表面処理を施してもよい。
[感光層]
次に本発明の現像レス平版印刷用原版に用いることのできる感光層に関して説明する。本発明の現像レス平版印刷用原版は湿し水を用いるオフセット印刷用の現像レス版であり、感光層の光照射部以外は非画像部になるものである。従って、本発明において感光層は親水性で、且つ水に溶けないことが必要である。そして、本発明の印刷用原版では、光を照射した部分の感光層はアブレーションにより取り除かれることはなく、感光層の親水性が親インク性に変化する性質を有するものであることが好ましい。そのため、本発明の版は光の照射後に現像や拭き取り等を不要とすることが可能であり、上記したような特性の変化を具現化するために、本発明に用いる感光層は、親水性ポリマー、架橋剤、疎水性ポリマー及び光吸収剤を含有してなる感光性樹脂組成物を架橋してなるものであることが好ましい。親水性ポリマーは架橋することにより水に不溶性となる。
このような感光性樹脂組成物の例として、例えば特開2002−362052号公報に記載の感光性樹脂組成物等が挙げられる。具体的には、置換または無置換(メタ)アクリルアミドやN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、水酸基や酸性基を有する(メタ)アクリレート、例えばヒドロキシエチルメタクリレートなどを共重合した親水性ポリマー、2個以上の官能基を持ったエポキシ樹脂やアミノ樹脂、ブロック化イソシアネートのような架橋剤、水分散ポリウレタン樹脂、アクリル系ラテックス、水分散ポリエステル樹脂のような疎水性ポリマー、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、カーボンブラックのような光吸収剤からなる感光性樹脂組成物が好ましい。架橋剤、疎水性ポリマー及び光吸収剤の配合量は、親水性ポリマー100質量部に対し、それぞれ5〜100質量部、0〜300質量部、1〜100質量部であることが好ましい。配合量がこの範囲である場合に、非画線部の親水性、画線部の親インク性、耐刷性、レーザー露光に対する感度が良好となるため好ましい。水溶液あるいはエマルジョン状の親水性ポリマー、架橋剤、疎水性ポリマー及び光吸収剤を攪拌しながら混合し作成した感光性樹脂組成物を、下地層上に塗布、加熱することで感光層が形成される。ここで感光性樹脂組成物には印刷条件に対する安定性を広げるため、種々の界面活性剤を添加しても良い。
尚、前記の記載に於いて、(メタ)アクリルアミドや(メタ)アクリレートに於ける(メタ)アクリル、(メタ)アクリレートは、それぞれアクリルまたはメタクリル、アクリレートまたはメタクリレートを意味することとする。
本発明の現像レス平版印刷用原版は光を照射した部分の感光層表面の親水性が親インク性に変化し、平版印刷版となる。この平版印刷版は、現像や拭き取り操作をしなくても光の照射部にはインクが付着し、印刷が可能となる。
本発明の現像レス平版印刷用原版の光照射に際しては、照射速度の点から収束光を高速で走査するのが好ましく、使用し易い。また、光源としては高出力のものが適しており、この点から、照射する光としてはレーザー光、特に750〜1100nmの波長域の発振波長を有するレーザー光が好ましく、例えば830nmの高出力半導体レーザーや1064nmのYAGレーザーが好ましく用いられる。これらのレーザーを搭載した露光機は所謂サーマル用プレートセッター(露光機)として既に市場に供されている。
以下、実施例にて更に本発明を詳細に説明する。
(水溶性高分子化合物P−1)
純水335gをフラスコに仕込み、窒素をバブリングして溶存酸素を除去した後、80℃に昇温した。窒素ガスを上記フラスコに流しながら、そこにアクリルアミド74.25g、メタリルスルホン酸ナトリウム0.75g、純水25gからなるモノマー溶液と過硫酸カリウム0.75gを純水50gに溶解した開始剤の水溶液を、内温を80℃に維持しながら、別々に2時間に渡り連続滴下した。滴下終了後80℃で3時間重合を続けた後、冷却し、重合溶液をフラスコより抜き出した。該重合溶液に適当量の水を加え固形分15%の親水性樹脂水溶液に調整した。
(水溶性高分子化合物P−2)
純水335gをフラスコに仕込み、窒素をバブリングして溶存酸素を除去した後、80℃に昇温した。窒素ガスを上記フラスコに流しながら、そこにアクリルアミド56.25g、純水300gからなるモノマー溶液と、過硫酸カリウム0.05625gを純水58.75gに溶解した開始剤の水溶液を、内温を80℃に維持しながら、別々に2.5時間に渡り連続滴下した。滴下終了後80℃で3時間重合を続けた後、冷却し、重合溶液をフラスコより抜き出した。該親水性樹脂P−2水溶液の固形分濃度は7.5%であった。
(水溶性高分子化合物P−3)
純水335gをフラスコに仕込み、窒素をバブリングして溶存酸素を除去した後、80℃に昇温した。窒素ガスを上記フラスコに流しながら、そこにアクリルアミド67.5g、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート7.5g、純水120gからなるモノマー溶液と過硫酸カリウム0.225gを純水47gに溶解した開始剤の水溶液を、内温を80℃に維持しながら、別々に2時間に渡り連続滴下した。滴下終了後80℃で3時間重合を続けた後、冷却し、重合溶液をフラスコより抜き出した。該重合溶液の固形分は13%であった。
実施例1
(下地層の塗工)
厚さ0.3mmのアルミニウム板に、下記組成(単位質量部、以下同様)からなる下地層用樹脂液を、ワイヤーバーを用いて塗布した後、140℃、60分間乾燥し、5μmの下地層を成膜した。
水分散ウレタン樹脂(三井化学(株)製、オレスターTMUD350、固形分40重量%):95部
水溶性高分子化合物P−1:5部
(現像レス平版印刷用原版の作成)
上記方法にて作成した下地層の上に、下記組成からなる感光性樹脂組成物の水溶液を、ワイヤーバーを用いて塗布した後、120℃で60分間乾燥し、2μmの膜厚の感光層を成膜して現像レス平版印刷原版を作成した。なお、配合組成比における「部」は、各原料の固形分の単位質量部を示す。
水溶性高分子化合物P−3:40部
メチル化メラミン樹脂(三井サイテック(株)製、サイメルTM350、固形分80重量%):20部
水分散ウレタン樹脂(三井化学(株)製、オレスターTMUD350、固形分40重量%):40部
シアニン色素水溶液(日本感光性色素(株)製、IR−125、固形分5重量%):8部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオコールTMYSK、固形分70重量%):2部
(描画・平版印刷版の製造)
この原版に波長830nmの半導体レーザー光を300mJ/cmの照射エネルギー密度となるように集光しながら走査照射して、175線/インチの画像情報の描画を行った。
(印刷評価)
この描画した版を、湿し水を用いるオフセット印刷機(小森コーポレーション製SPRINT26)にセットし、インクとして東洋インキ製造(株)製のハイエコーTMSOY、湿し水として(株)日研化学研究所製のH液アストロマーク3の2%水溶液を使用し、2万枚の印刷を行った。2万枚の印刷の後にも、湿し水供給量を変化させることなく、絡みや地汚れのない良好な印刷画像を得ており、非画線部版面への親水性付与効果が持続していることが確認された。
実施例2
下地層を下記組成に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷版を作り描画した。2万枚の印刷の後にも、湿し水供給量を変化させることなく、絡みや地汚れのない良好な印刷画像を得ており、非画線部版面への親水性付与効果が持続していることが確認された。
(下地層組成)
水分散ウレタン樹脂(三井化学(株)製、オレスターTMUD350、固形分40重量%):90部
水溶性高分子化合物P−2:10部
実施例3
下地層を下記組成に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷版を作り描画した。2万枚の印刷の後にも、湿し水供給量を変化させることなく、絡みや地汚れのない良好な印刷画像を得ており、良好な印刷画像を得ており、非画線部版面への親水性付与効果が持続していることが確認された。
(下地層組成)
水分散ウレタン樹脂(三井化学(株)製、オレスターTMUD350、固形分40重量%):85部
水溶性高分子化合物P−3:15部
比較例1
実施例1の下地層に水溶性高分子化合物を添加しないこと以外は実施例1と同様にして現像レス平版印刷版を作り描画した。実施例1と同様にして印刷評価を行なったところ、印刷初期には良好な印刷物を得たが、1万枚印刷した後では、湿し水量を20%上げないと網点面積率80%以上の領域にインキ絡みが発生した。
本発明の現像レス平版印刷用原版によれば、非画線部の親水性に優れ、かつ現像や拭き取り操作が不要な現像レス平版印刷版を提供できる。

Claims (5)

  1. 疎水性ポリマーと水溶性高分子化合物とを含有する下地層を介して支持体上に感光層が形成された現像レス平版印刷用原版であって、
    前記下地層における疎水性ポリマーと水溶性高分子化合物との配合質量比率は、固形分比で70:30〜97:3である、現像レス平版印刷用原版
  2. 前記感光層は、親水性ポリマーと、架橋剤と、疎水性ポリマーと、光吸収剤とを含有する組成物を架橋してなり、
    前記下地層に含まれる疎水性ポリマーと、前記感光層に含まれる疎水性ポリマーとはいずれもウレタン系樹脂である、請求項1に記載の現像レス平版印刷用原版。
  3. 前記下地層の厚さは、0.5〜10μmである、請求項1または2に記載の現像レス平版印刷用原版。
  4. 前記水溶性高分子化合物が、少なくとも下記一般式(1)及び/または(2)で示されるN−アルキルまたはN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミド系化合物を用いて反応して得られる親水性樹脂である請求項1〜3のいずれか一項に記載の現像レス平版印刷用原版。
    Figure 0004319959
    (式中Rは、水素原子またはメチル基、R、Rは、水素原子、低級アルキルまたは低級アルコキシ基を表す。)
    Figure 0004319959
    (式中Rは、水素原子またはメチル基、Aは、(CH(但し、nは4〜6)または(CHO(CHを表す。)
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の現像レス平版印刷用原版を露光して得られる現像レス平版印刷版。
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