JP2006247983A - 平版印刷用原版 - Google Patents
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Abstract
【課題】 近赤外領域の光に感光し、明室で取り扱うことができ、版に直接レーザー光により描画でき、現像や拭き取り操作を不要とすることが可能であり、さらに、非画線部の親水性が顕著の向上した印刷適性に優れるCTP用の平版印刷用原版を提供すること。
【解決手段】 レーザー露光により、露光部表面の親水性が親インク性に変化する性質を有する親水性樹脂感光層を有する平版印刷用の原版であって、該親水性樹脂層が純水に浸漬した際の不凍水の含有量が特定値以上であることを特徴とする平版印刷用原版。
【選択図】 なし
【解決手段】 レーザー露光により、露光部表面の親水性が親インク性に変化する性質を有する親水性樹脂感光層を有する平版印刷用の原版であって、該親水性樹脂層が純水に浸漬した際の不凍水の含有量が特定値以上であることを特徴とする平版印刷用原版。
【選択図】 なし
Description
本発明は印刷用の原版、特に湿し水を用いる平版印刷用原版に関するものである。特に近赤外領域の光に感光し、明室でも取り扱うことができ、版に直接レーザー光で描画でき、かつ現像や拭き取り操作を不要とすることができ、種々の印刷特性に優れた平版印刷用の原版に関するものであり、さらに詳しくは、非画線部の親水性が顕著に向上した平版印刷用原版に関する。
平版印刷、所謂オフセット印刷は、紙への印刷に於いて主流であり、広く用いられている。従来このオフセット印刷で用いられる刷版は、印刷原稿を一旦紙等に出力した後、この原稿を写真撮影して版下フィルムを作成し、この版下フィルムを通して感光性の刷版を露光、現像することにより作られていた。
しかし、近年、情報のデジタル化とレーザーの高出力化により刷版の作成に於いて、上記した版下フィルムを使用せずに、レーザーを走査して刷版に直接描画して版を作成する方法、所謂CTP(Computer To Plate)法が実用に供されている。現在実用化されているCTP用の原版としては、波長500nm前後の可視光による光反応を利用したフォトポリマー型の刷版があるが、この版は現像を必要とするだけでなく、解像度が劣り、又明室での取り扱いができないという問題点がある。
そして、このような問題点を改良するために、近赤外線領域の光の照射による熱反応等を利用した現像タイプの平版印刷用原版の他、近赤外光の照射により当該部分の材料を除去して画線部が形成する等のアブレーションタイプの平版印刷用原版が提案されているが、この場合も版面の拭き取り操作を必要としたり、露光に多大なエネルギーを必要とする等の問題がある。
一方、本発明者らは、親水性ポリマー、架橋剤、疎水性ポリマー及び光吸収剤を含有してなる親水性感光性樹脂組成物を架橋した親水性樹脂感光層からなり、光の照射により表面が親水性から親インク性に変化する平版印刷用原版を開発した。(特許文献1(国際公開第01/083234号))。この原版は現像や拭き取り操作が不要で、且つ光照射部の表面だけが変化するため感度、解像度に優れているものである。しかし、一方で、レーザー未露光の原版表面、即ち親水性樹脂感光層表面がそのまま非画線部となるため、実質的に画線部との凹凸差がなく、印刷開始時および中断・再開始時の湿し水の版表面非画線部への付着速度がやや不足する場合があり、結果として印刷開始時および中断・再開始時の非画線部汚れ等による損紙枚数が増加傾向になる場合があるため、印刷開始および中断・再開始特性(以後、併せて再スタート性と呼ぶ)、即ち、非画線部の親水性を更に向上することが求められている。
ここで、印刷版の親水性の指標としては、版表面の水に対する接触角を用いたものがあり、例えば特許文献2(特公平4−30357号公報)等には親水性非画線部を構成する親水層が、吸水率0.2%以下の非芳香族系高分子化合物の表面を表面積1cm3当り、5×10−5ミリ当量ないし1×10−1ミリ当量の範囲でスルホン化したものであり、該親水層表面の水との接触角が40度以下である平版印刷用版材についての技術を開示している。しかしながら、該公報には、親水層の種類によっては、水との接触角が40度以下でも印刷地汚れが発生する場合があるとしており、非画線部の表面の親水性の基準として、水との接触角が十分に有用な特性とは言えないことを示している。
一方、高分子中の不凍水およびその定量の方法は、非特許文献1(高分子「熱物性・熱分析」ノウハウ/TECHNICAL INFORMATIONINSTITUTE Co.,LTD)等にも記載されており、ポリマーと水が共存する場合、1)結晶化しない水(不凍水)、2)通常の水よりも結晶化温度や融解温度が低い水(凍結可能な束縛水)、3)純水と同じ挙動を示す水(自由水)、の三種類が存在すると記載されている。不凍水、束縛水は、共存する物質との間に水素結合を形成する等の相互作用により、結晶構造へ取り込まれない、あるいは乱れを生起する等の理由により、自由水と異なる挙動を示すものと考えられている。尚、不凍水の量は、例えば、DSC法等の熱分析で測定可能な凍結水(自由水+束縛水)を定量し、試料中の全水分量から差し引いて定量することができる。
国際公開第01/083234号
特公平4−30357号公報
高分子「熱物性・熱分析」ノウハウ/TECHNICAL INFORMATIONINSTITUTE Co.,LTD
本発明の目的は非画線部の親水性が顕著に向上した印刷適性に優れるCTP用の平版印刷用原版を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、ポリマー中に存在する水のうち、結晶構造へ取り込まれない不凍水の存在は、物質と水の相互作用の強さを示す特性の1つであり、その量は、水と共存する物質の相互作用(親水性)の強さの指標となるものと考えた。そこで、これを平版印刷用原版において応用することにより、親水性樹脂層の親水性を表すことを検討した。その結果、支持体上に直接又は下地層を介して親水性樹脂層を有する平版印刷用原版において、親水性樹脂層が特定量以上の不凍水を含有した場合に非画線部の親水性が顕著に向上する現象に着目し、この不凍水含有量を管理することで上記の目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)支持体上に直接又は下地層を介して親水性樹脂層を有する平版印刷用原版において、該親水性樹脂層が、(a)親水性ポリマー、(b)架橋剤、(c)疎水性ポリマー、(d)光熱変換材からなり、かつ該親水性樹脂層を純水中に浸漬した際、親水性樹脂層中の不凍水の含有量(X)が、(a)+(b)の固形分1gあたり、0.5g以上であることを特徴とする平版印刷用原版。
(2) レーザー露光により、露光部表面の親水性が親インク性に変化する性質を有する親水性樹脂層である(1)記載の平版印刷用原版。
に関するものである。
(3) 印刷画像に従ってレーザー露光したのち、現像処理を必要とせず、直ちに印刷可能なものである(1)又は(2)記載の平版印刷用原版。
(1)支持体上に直接又は下地層を介して親水性樹脂層を有する平版印刷用原版において、該親水性樹脂層が、(a)親水性ポリマー、(b)架橋剤、(c)疎水性ポリマー、(d)光熱変換材からなり、かつ該親水性樹脂層を純水中に浸漬した際、親水性樹脂層中の不凍水の含有量(X)が、(a)+(b)の固形分1gあたり、0.5g以上であることを特徴とする平版印刷用原版。
(2) レーザー露光により、露光部表面の親水性が親インク性に変化する性質を有する親水性樹脂層である(1)記載の平版印刷用原版。
に関するものである。
(3) 印刷画像に従ってレーザー露光したのち、現像処理を必要とせず、直ちに印刷可能なものである(1)又は(2)記載の平版印刷用原版。
本発明の平版印刷用原版を用いれば、近赤外領域の光に感光し、明室で取り扱うことができ、直接レーザー光で描画でき、かつ現像や拭き取り等の工程を不要とすることが可能であり、さらに、非画線部の親水性が顕著に向上した印刷適性に優れるCTP用の平版印刷用の原版を提供することができる。
以下に本発明の平版印刷用原版について詳細に説明する。
本発明の平版印刷用原版は、支持体上に直接又は下地層を介して、親水性樹脂層を有する平版印刷用原版であり、該親水性樹脂層が、(a)親水性ポリマー、(b)架橋剤、(c)疎水性ポリマー、(d)光熱変換材を含有し、かつ該親水性樹脂層を純水中に浸漬した際、親水性樹脂層中の不凍水の含有量(X)が、(a)+(b)の固形分1gあたり、0.5g以上であることを特徴とする平版印刷用原版である。
本発明における不凍水とは、前述のように物質と水が共存することにより、結晶化しなくなった水のことであり、その量は、水と共存する物質の相互作用(親水性)の強さの指標となるものと想像される。また、不凍水の量は、例えば、DSC法等の熱分析で測定可能な凍結水(自由水+束縛水)を定量し、試料中の全水分量から差し引いて定量することができる。
本発明における親水性樹脂層の不凍水の含有量の測定方法について、DSC法により求める例について具体的に説明する。親水性樹脂組成物を所定の温度で乾燥・硬化処理して得た親水性樹脂層の試験片を、DSC測定用のサンプルパンに数mg精秤(S・mg)する。次に、該サンプルパンに約10mgの純水を添加し、純水の量を精秤(W・mg)する。このとき、W/Sの比を1.5以上にすることが好ましく、これより少ないと、親水性樹脂層による束縛水の量を過少評価する場合がある。ついで、サンプルパンを封じ、10時間以上浸漬放置後、下記の手順により、DSC法にて不凍水の量を定量する。即ち、DSC法にて、融解状態から一旦冷却して水を凝固させた後、再度、定速で昇温させる際の水の融解熱量(H・J/g)を測定する。この時測定される水の融解熱量Hは、親水性樹脂層との相互作用により生じた不凍水の融解熱量に相当する分だけ、純水の値より小さな値となる。したがって、次式により、親水性樹脂層を純水に浸漬した際の不凍水の含有量((a)+(b)の固形分重量1g当たりX・g)を算出することが出来る。
(式中、Aは親水性樹脂層の水性分散体中の(a)親水性ポリマー類の合計固形分重量(g)、Bは(b)架橋剤類の合計固形分重量(g)、Cは(c)疎水性ポリマー類の合計固形分重量、Dは(d)光熱変換材類の合計固形分重量(g)、Eはその他添加材料の合計固形分重量(g)を示し、333.8は、純水の融解熱量(J/g)であり、Sは融解熱量測定に供した親水性樹脂の固形分重量(mg)、Wは融解熱量測定に先立ち該固形分重量Smgの親水性樹脂に添加した純水の重量(mg)、Hは前記親水性樹脂および純水の混合試料系での純水の融解熱量(J/g)である)。
本発明においては、平版印刷用原版を構成する親水性樹脂層中の(a)親水性ポリマーと(b)架橋剤の固形分1gあたりの不凍水量が、0.5g以上であることが必要であり、より好ましくは、0.5g以上1.5g以下の範囲である。この範囲では親水性樹脂層の親水性が十分であり再スタート性が良好である。また、地汚れの発生する等の問題が生じず好ましい。更に基材あるいは下地層との密着性も良好である。
本発明の平版印刷用原版において、親水性樹脂層は、(a)親水性ポリマー、(b)架橋剤、(c)疎水性ポリマー、(d)光熱変換材を含有するものであるが、上述の水との相互作用による不凍水の生成に寄与する成分は、主として、水溶性あるいは水膨潤性の高い主要成分である(a)親水性ポリマーおよび(b)架橋剤が重要であると考えられる。即ち、本発明の範囲となる親水性樹脂層を得るためには、(a)親水性ポリマーとしては、親水性樹脂層を形成する架橋反応前の単独材料として、水溶性の高い材料を使用することが好ましく、具体的な例としては、そのホモポリマーが水溶性である単量体からなるホモポリマーおよび共重合ポリマー等が挙げられ、該単量体の親水性基としては、例えば、水酸基、アミド基、アミノ基、スルホンアミド基、オキシメチレン基、オキシエチレン基等、更にカルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の酸性基やこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩やアミン塩等が挙げられる。親水性ポリマーのより具体的な例としては、ポリ酢酸ビニルのけん化物類、セルロース類、ゼラチン、カゼイン、前記した親水性基を有する不飽和単量体類やN―ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、酢酸ビニル、ビニルエーテル等を重合、共重合してなるポリマー及びその加水分解ポリマー等が挙げられる。
また、(b)架橋剤も反応前の単独の材料として水溶性の高いものを使用することが有利であり、具体的には、水性エポキシ樹脂、オキサゾリン樹脂、アミノ樹脂、多価アルコール化合物類、多価カルボン酸化合物、多価アミン等が挙げられる。
しかしながら、親水性ポリマーとの架橋反応、あるいは架橋剤が自己架橋性の場合には自己架橋反応により、1)生成する架橋網目構造が水との相互作用を抑制し、不凍水量を減少させる、2)架橋反応性基が親水性基である場合には、親水性基が消失して不凍水量を減少させる等の影響が想像される。一方、親水性樹脂層に十分な強度、基材あるいは下地層への十分な密着性を付与するためには、架橋反応率を高めることが必要であり、結果として、a)親水性ポリマーの主組成および架橋反応性基の密度、b)架橋剤の骨格組成および(自己)架橋反応性基の密度、c)温度、時間等の架橋反応条件等を、本発明の親水性樹脂層を得られる様に適宜調節する必要がある。そのため、本発明においては、例えば、親水性ポリマーとして、少なくとも1種以上の比較的反応性の低い親水性基、例えばアミド基、水酸基、イオン性基のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩やアミン塩等を含有する親水性ポリマーを使用することが好ましく、また、架橋剤としては、上記の化合物のうち、自己架橋性を有するアミノ樹脂、架橋反応によって親水性基を生成するエポキシ基を有する架橋剤等を使用する組合せがより好ましい。
本発明において用いることができる支持体としては、特に限定はないが、具体例として、アルミ板、鋼板、ステンレス板、銅板等の金属板やポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS樹脂等のプラスチックフィルムや紙、アルミ箔ラミネート紙、金属蒸着紙、プラスチックフィルムラミネート紙等が挙げられる。これらの支持体の厚さは特に制限はないが、通常100〜400μm程度である。又、これらの支持体には密着性の改良等のために酸化処理、クロメート処理、サンドブラスト処理、コロナ放電処理等の表面処理を施してもよい。
また、親水性樹脂層との密着性を改良したり、熱の拡散を防止したりするために、支持体と親水性樹脂層との間にポリマーの下地層を用いてもよい。これに用いられるポリマーは、支持体と親水性樹脂層との密着性及び機械的強度のあるポリマーならば特に制限なく使用できる。また、ポリマーの中にフィラーを添加してプライマーとしてポリマー表面に凹凸を作り感光層との接触面積を大きくすることでさらに密着性及び機械的強度を上げることができる。下地層は架橋してもよいし架橋しなくてもよい。下地層の形成は、有機溶媒に溶解して塗布する方法などにより行うことができる。また、有機溶媒を用いずにポリマー水溶液やエマルション状ポリマーを用いることができる。特に親水性層に用いられる疎水性ポリマーと同じ樹脂のエマルション状ポリマーを下地層に用いることで、親水性感光層と下地層界面の密着性が強くなり、耐刷性が向上するため望ましい。
次に本発明における親水性樹脂層に関して詳しく説明する。本発明の平版印刷用原版は、好ましくは湿し水を用いる平版印刷用原版であり、親水性樹脂層の光照射部以外はそのまま非画像部になり、光を照射した部分の感光層はアブレーションによって取り除かれるのではなく、露光部表面が親水性から親インク性に変化して画像部を形成することができるものであることが好ましい。このため本発明の原版は、光の照射後の現像や拭き取り等を不要とすることが可能な無現像型の平版印刷原版とすることができる。
一方で、レーザー未露光の原版表面、即ち親水性樹脂層表面がそのまま非画線部とすることができるため、実質的に画線部との凹凸差がなく、印刷開始時および中断・再開始時の湿し水の版表面非画線部への付着速度がやや不足する場合があり、結果として再スタート時の非画線部汚れ等による損紙枚数が増加傾向になる場合があるため、非画線部の親水性をさらに向上することが求められている。
この点を改良・向上するため、本発明においては前述のように親水性樹脂層を純水に浸漬した場合の不凍水の含有量が重要であり、その含有量をある値以上にすることにより、再スタート性を向上できること、即ち、非画線部地汚れ等による損紙枚数を低減できることを見出したものである。
本発明の親水性樹脂層を形成する親水性樹脂組成物は、(a)親水性ポリマー、(b)架橋剤、(c)疎水性ポリマー、(d)光熱変換材を含有する。この親水性樹脂組成物は支持体に塗布した後に架橋することが好ましく、特に、親水性ポリマー相と疎水性ポリマー相からなる分離構造を有していることが好ましい。親水性ポリマーは、架橋することにより、水に対して溶解・除去されない高い耐水性を付与することができると考えられる。
本発明の親水性樹脂層を形成する親水性樹脂組成物に用いることのできる(a)成分である親水性ポリマーは、親水性基を有するものであれば特に限定されないが、好ましくは、そのホモポリマーが水溶性である単量体からなるホモポリマーおよび共重合ポリマーであり、該共重合ポリマーは親水性基及び架橋剤と反応する官能基(架橋性官能基)を有するものであってもよい。親水性ポリマーの親水性基としては、例えば、水酸基、アミド基、アミノ基、スルホンアミド基、オキシメチレン基、オキシエチレン基等、更にカルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の酸性基やこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩やアミン塩等が挙げられる。
又架橋性官能基としては、水酸基、アミド基、アミノ基、イソシアナート基、グリシジル基、オキサゾリン基、メチロール基、及びメチロール基とメタノールやブタノール等のアルコールとが縮合したメトキシメチル基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基、更にカルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の酸性基やこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩やアミン塩等が挙げられる。
親水性ポリマーのより具体的な例としては、以下のポリマーが挙げられる。即ち、ポリ酢酸ビニルのけん化物類、セルロース類、ゼラチン、カゼイン、前記した親水性基や架橋性官能基を有する不飽和単量体類やN―ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、酢酸ビニル、ビニルエーテル等を重合、共重合してなるポリマー及びその加水分解ポリマー等が挙げられる。
前記した親水性基や架橋性官能基を有する不飽和単量体類の具体例として、水酸基を有する不飽和単量体類としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチロール(メタ)アクリルアミドや、該メチロール(メタ)アクリルアミドとメチルアルコールやブチルアルコールとの縮合物であるメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アミド基を有する不飽和単量体類としては、無置換又は置換(メタ)アクリルアミド、無置換又は置換イタコン酸アミド、無置換又は置換フマル酸アミド、無置換又は置換フタル酸アミド、N―ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド等が挙げられる。無置換又は置換(メタ)アクリルアミドのより具体例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、スルホン酸プロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。前記イタコン酸アミド等の二塩基酸アミドの場合は一方のカルボキシル基がアミド化されたモノアミドであっても良く、両方のカルボキシル基がアミド化されたジアミドであっても良い。更に、グリシジル基を有する不飽和単量体類としては、グリシジル(メタ)アクリレート、パラビニルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
カルボキシル基を有する不飽和単量体類としては、(メタ)アクリル酸等の一塩基不飽和酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等の二塩基不飽和酸やその無水物、モノエステル、モノアミド等が挙げられる。
又、スルホン酸基を有する不飽和単量体類としては、スルホエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルメチルスルホン酸、イソプロぺニルメチルスルホン酸、(メタ)アクリル酸にエチレンオキシド、又はプロピレンオキシドを付加したアルコールの硫酸エステル(例えば、三洋化成工業(株)のエレミノールRS−30)、(メタ)アクリロイロキシエチルスルホン酸、モノアルキルスルホコハク酸エステルとアリル基を有する化合物とのエステル(例えば、三洋化成工業(株)のエレミノールJS−2、花王(株)のラテムルS−180、またはS−180S)、モノアルキルスルホコハク酸エステルとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成物、および日本乳化剤(株)のAntox MS60等が、ホスホン酸基を有する重合性不飽和モノマーとしては、ビニルリン酸、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリレート、リン酸モノアルキルエステルのモノ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのカルボキシル基、スルホン酸基やホスホン酸基は、アルカリ金属、アルカリ土類金属やアミン類で中和されていても良い。中和に用いられるアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等が、アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム等が、アミン類としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、(ジ)メチルエタノールアミン、(ジ)エチルエタノールアミン等が挙げられる。
重合するに際しては、前記の親水性基や架橋性官能基を有する不飽和単量体類の一種または二種以上を用いても良く、さらに、これらの不飽和単量体類と共重合可能なモノマーを併用しても良い。共重合可能なモノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソポロニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。
尚、前記の記載に於いて、(メタ)アクリルアミドや(メタ)アクリル酸等に於ける(メタ)アクリル、(メタ)アクリロイル、更に(メタ)アクリレート等は、それぞれアクリルまたはメタクリル、アクリロイルまたはメタクリロイル、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
本発明で用いることのできる親水性ポリマーは、光を照射した際の、感光層の親インク化のし易さ、感光層の優れた親水性および耐水性の点から、無置換または置換(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドから選ばれた一種または二種以上のモノマーを主成分とするポリマーが好ましく、さらに、置換(メタ)アクリルアミドの中でも、モノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、モノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミドであることが好ましい。尚、これら親水性ポリマーは、本発明の不凍水含有量を満たすように選択することが必要である。
本発明において親水性樹脂層に含有することのできる(b)架橋剤は、親水性樹脂層が、水に対して溶解・除去されない高い耐水性を付与することにより耐刷性を向上させるものであればよく、例えば、親水性ポリマー中の架橋性官能基である水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、グリシジル基、場合によってはアミド基と反応する公知の多価アルコール化合物類、多価カルボン酸化合物やその無水物類、多価グリシジル化合物類、多価アミン、多価イソシアネート化合物やブロックイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、オキサゾリン樹脂、アミノ樹脂等が挙げられる。尚、架橋剤が自己架橋性を有する場合は、必ずしも親水性ポリマーと架橋反応をするものである必要はない。
本発明に於いては前記した架橋剤の中でも、架橋速度と親水性樹脂組成物の安定性や親水性樹脂層の親水性と耐水性のバランス等から、水性エポキシ樹脂、オキサゾリン樹脂、アミノ樹脂、水性ブロックイソシアネート化合物等が好ましい。アミノ樹脂としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂やグリコールウリル樹脂等やこれらの樹脂の変性樹脂、例えばカルボキシ変性メラミン樹脂等が挙げられる。又、架橋反応を促進するために、前記したエポキシ樹脂を用いる際には3級アミン類を、アミノ樹脂を用いる場合にはパラトルエンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸類、塩化アンモニウム等の酸性化合物を併用しても良い。
上記架橋剤の主な役割は、前記架橋官能基を有する親水性ポリマーを架橋し、あるいは架橋剤が自己架橋性の場合は自己架橋反応の生起により、親水性樹脂層に水に対して溶解・除去されない高い耐水性を付与することと考えられるが、架橋剤が自己架橋性を有する場合には、親水性樹脂層において該架橋剤が親水性ポリマー中に重合体の島相を形成し、感光層中の光熱変換材が光を吸収剤して光エネルギーを熱エネルギーに変換する際、発生した熱により該島相が発泡し、光照射部表面の親水性を親インク性に変化させることも考えられる。尚前述のように、本発明において架橋剤は親水性樹脂層中の不凍水が本発明の範囲内となるように考慮しながら選択することが必要である。
本発明の親水性樹脂層を形成する親水性樹脂組成物に用いられる(c)成分の疎水性ポリマーは、親水性樹脂層を形成した際に、親水性ポリマー相とは異なる相を形成するポリマーであることが好ましく、通常のポリマーおよび親水性樹脂層を形成する際に重合してポリマーとなるポリマーの前駆体等が挙げられるが、親水性ポリマーとの配合のし易さ等から水性分散型ポリマー、水性溶剤に可溶のポリマー、および水性溶剤に可溶なポリマーの前駆体が好ましい。ここでいう水性とは、水単体および水を主としてなるメタノール、エタノール、アセトン等の水と混和可能な溶剤との混合液を意味する。前記水性分散型ポリマーとは、水性媒体中に分散された微細なポリマー粒子と必要に応じて該粒子を覆う保護剤からなるポリマー粒子を意味し、不飽和モノマーを乳化重合や懸濁重合することによって製造されたポリマー粒子、疎水性ポリマーの微粒子を水性媒体中に分散して製造されたポリマー、疎水性ポリマーの有機溶剤溶液を水性媒体中に混合分散し、必要に応じて有機溶剤を留去したポリマー等が挙げられ、自己乳化(分散)型と強制乳化(分散)型がある。また、これらの水性分散型ポリマーは架橋していても、いなくてもよい。水性分散型ポリマーは、より具体的には例えば、水性分散型ビニルポリマー、共役ジエンポリマー系ラテックス、アクリル系エマルション、水性分散型ポリウレタン樹脂、水性分散型ポリエステル樹脂、水性分散型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記水性分散型ポリマーの役割は、親水性樹脂層において該水性分散型ポリマーが親水性ポリマー中に島相を形成し、親水性樹脂層中の光熱変換材が光を吸収して光エネルギーを熱エネルギーに変換する際に発生した熱により、該島相の水性分散型ポリマーが溶融・融着し、光照射部表面の親水性を親インク性に変化させることであると推定される。この光照射による特性変化を有効に生起させ、本発明の平版印刷用原版の感度および解像度を高め、地汚れの発生を無くす等の特性の向上、また、感光層の薄膜化等の点から、上記水性分散型ポリマーとしては、動的光散乱法で測定した平均粒子径が0.005〜0.5μmであることが好ましく、0.01〜0.2μmであることが更に好ましい、また、上記水性分散型ポリマーの造膜温度は50℃以下が好ましく、30℃以下が望ましい。特に、上述の平均粒子径が0.005〜0.5μmであって、造膜温度が50℃以下のアクリル系エマルション、水性分散型ポリウレタン樹脂、水性分散型ポリエステル樹脂が好ましい。
本発明の親水性樹脂層を形成する親水性樹脂組成物に用いる疎水性ポリマー量は、光照射部の親インク化の点からは多い方が好ましいが、一方、多くなり過ぎると地汚れを起こす可能性がある。この点から本発明に於ける感光性樹脂組成物中の疎水性ポリマー量は、固形分として70重量%以下であることが好ましく、より好ましくは10重量%〜60重量%である。
本発明の親水性樹脂層を形成する親水性樹脂組成物に用いられる光熱変換材としては、光を吸収して熱を生じるものであればよく、光の照射に際しては光熱変換材が吸収する波長域の光を適宜用いればよい。光熱変換材の具体例としては、シアニン系色素、ポリメチン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、アントラシアニン系色素、ポルフィリン系色素、アゾ系色素、ベンゾキノン系色素、ナフトキノン系色素、ジチオール金属錯体類、ジアミンの金属錯体類、ニグロシン等の各種色素、及びカーボンブラック等が挙げられる。
これらの色素に於いては、明室での取り扱い性、露光機に用いる光源の出力や使い易さの点から波長750〜1100nmの領域の光を吸収する色素が好ましい。色素の吸収波長域に関しては置換基やπ電子の共役系の長さ等により変えることが出来る。これらの光熱変換材は親水性樹脂組成物に溶解していても、又分散していても良い。前記した光熱変換材の中では、本発明に於いては親水性の光熱変換材が好ましい。
さらに、本発明の親水性樹脂組成物には、レーザー露光前後の表面の親水性及び親インク性をコントロールするため、本発明の目的を損なわない範囲で、親水性の置換基を有する親水性添加剤を含有することができる。ここで、親水性の置換基とは、例えば、水酸基、アミド基、アミノ基、スルホンアミド基、オキシメチレン基、オキシエチレン基等、更にカルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の酸性基やこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩やアミン塩等が挙げられる。
該親水性添加剤としては、水や有機溶媒に溶解するものが望ましく、その添加によって印刷版表面の親水性を高め、印刷開始後すぐに湿し水が表面に付くような作用をするものであればどのような化合物でも使用し得るが、特に界面活性剤や、水酸基価500mg−KOH/g以上の化合物、さらには本発明の親水性ポリマーのうち、親水性樹脂組成物中の架橋剤と反応する架橋性官能基を実質的に含まない親水性ポリマーが好適に用いられる。ここで水酸基価とは、物質1g中の水酸基を中和するのに必要なKOHのmg数の計算値である。
本発明において親水性添加剤として使用可能な界面活性剤としては、非イオン性活性剤が挙げられ、具体例としてポリエチレングリコール型、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリプロピレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等や、多価アルコール型、例えばアルキルアルカノールアミド、グリセリン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、やし油やひまし油を原料とした活性剤、ポリエチレングリコール、アルキルフェニルエーテルやアルキルエーテル、アルキルアリルエーテル、ラウリルエーテル系の活性剤等が挙げられる。
また陽イオン系活性剤も使用可能であり、その例としては、第1級アミン塩系、第2級アミン塩系、第3級アミン塩系、第4級アンモニウム塩系、四級ピリジニウム塩系、ラウリルイミダゾリン系、アルキルアミン系等が挙げられる。また、両性活性剤も使用でき、例としては、アルキルベタイン系、アミノ酸型、スルホン酸型、硫酸エステル型、りん酸エステル型、アミンオキシド型、ポリオキシエチレンアルキルアミン型、ポリアルキレンポリアミン型、ポリエチレンイミン型、カルボン酸型、硫酸エステル型等の両イオン性のものが挙げられる。
さらに陰イオン系活性剤も使用することができ、その具体例としては、スルホン酸塩系、例えばアルキルフェニルスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルアリルスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物のナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ジアルキルスルホ琥珀酸エステルナトリウムやジアルキルスルホ琥珀酸エステルナトリウム等があげられる。また、カルボン酸塩系、例えばジアルキル琥珀酸エステルナトリウム、モノアルキルコハク酸エステルナトリウム、ポリカルボン酸等があげら、硫酸エステル塩系、例えばアルキルジフェニル硫酸オキシド、アルキル硫酸エステル、高級アルコール硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エーテルナトリウム又はアンモニウム等が挙げられる。また、りん酸エステル塩系、例えばアルキルエーテルりん酸エステルナトリウムやアルコールりん酸エステルナトリウム等も使用できる。特にジアルキル琥珀酸エステルナトリウムやモノアルキルスルホ琥珀酸エステルナトリウム系は感光層表面が水に濡れても溶出しにくいため特に好ましい。
さらに本発明の親水性添加剤のうち、水酸基価500mg−KOH/g以上の化合物の具体例としては、グリセリン、エリトリトール、マンニトール、イノシトールなどの多価アルコール類、グルコース、マンノース、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、セロビオース、マルトースなどの(多)糖類、セルロースおよびその置換体、トリスヒドロキシシクロヘキサン、トリスヒドロキシベンゼン、ポリビニルアルコール、水酸基を含有するグリコールウリル樹脂等が挙げられる。また本発明の親水性樹脂層に用いることのできる水酸基価500mg−KOH/g以上の有機物は酸基を有していても良く、例えば、ペクチン酸、シキミ酸、没食子酸、カルミン酸、タンニン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸、酒石酸、グルコン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸およびそのアルカリ金属塩やアミン塩等が挙げられる。これらの中でも、グルコース、タンニン酸、ヒドロキシメチル型グリコールウリル樹脂が好ましい。
本発明において親水性添加剤は、一種単独で使用しても、二種以上を併用して用いてもよく、本発明の目的を損なわない限り、添加量には特に制約は無いが、親水性樹脂組成物中の、親水性ポリマー、架橋剤および疎水性ポリマーの固形分100重量部に対し、0.01〜50重量部の範囲が好ましい。また、親水性樹脂組成物の塗布性を良化するため、ハジキ防止剤、レベリング剤、消泡剤等の添加剤を添加しても良い。
本発明において親水性樹脂層は、親水性ポリマー、架橋剤、疎水性ポリマー、光熱変換材を含有してなる親水性樹脂組成物の水性分散体を基材に塗布し、乾燥、硬化すればよい。塗布する方法としては塗布する水性分散体の粘度や塗布速度等によって異なるが、通常例えば、ロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンフローコーター、ダイコーターやスプレー法等を用いれば良い。さらに、塗布した後、加熱処理して、乾燥及び親水性樹脂層の架橋を行う。加熱温度は通常50〜200℃程度である。
さらに、親水性ポリマーと架橋剤の組合せによっては、前記親水性添加剤が親水性樹脂層に高い親水性を付与する以外に、架橋反応の触媒として作用する場合がある。このような系では、本発明の親水性樹脂層の親水性を実質的に損なうこと無く、該樹脂層の水不溶成分の割合の調節を容易にし、かつ架橋工程の短時間化が可能となり好ましい。このような例としては、例えば、親水性ポリマーが水酸基、メチロール基、アルコキシメチル基、アミド基、アミノ基およびカルボキシル基から選ばれる1種以上の置換基、好ましくは水酸基を含有し、架橋剤がアミノ樹脂である場合は、ヒドロキシカルボン酸類が挙げられる。具体的には、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸、酒石酸、グルコン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸等が挙げられる。
本発明の平版印刷用原版は、光熱変換材の吸収波長域の光、例えば750〜1100nmの領域の光を照射すると、光熱変換材が光を吸収して発熱する。この発熱により感光層の光照射部は、疎水性ポリマーや自己重合した架橋剤が熱融着あるいは発泡して親水性が失われ親インク化することができる。この際、光の照射量を大きくし過ぎたり、又光熱変換材を多量に添加し過ぎたりすると、感光層が分解、燃焼等によって除去、融除されてしまい、照射部の周辺に分解物が飛散するので、このようなことは避けなければならない。
このように本発明の平版印刷用原版は、光を照射した部分の感光層表面の親水性が親インク性に変化し、現像や拭き取り操作をしなくても光の照射部にはインクが付着し、印刷が可能となる。
本発明の平版印刷用原版の光照射に際しては、照射速度の点から収束光を高速で走査するのが好ましく、使用し易い。また、光源としては高出力のものが適しており、この点から、照射する光としてはレーザー光、特に750〜1100nmの波長域の発振波長を有するレーザー光が好ましく、例えば830nmの高出力半導体レーザーや1064nmのYAGレーザーが好ましく用いられる。これらのレーザーを搭載した露光機は所謂サーマル用プレートセッター(露光機)として既に市場に供されている。
さらに、一方で、本発明の親水性樹脂感光層を純水に浸漬した際の不凍水の含有量は、該親水性樹脂感光層を構成する(a)親水性ポリマー、(b)架橋剤、(c)疎水性ポリマー、(d)光熱変換材および親水性添加剤等の種類、組合せ、配合割合、乾燥・硬化条件等の影響を受けるため、本発明の目的を損なわない範囲で、適宜決定する必要がある。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。
実施例1
(親水性ポリマーP−1の合成)
容量1000ccのフラスコに水400gを入れ、窒素をバブリングして溶存酸素を除去した後、80℃に昇温した。窒素ガスを上記フラスコに流しながら、そこにアクリルアミド100g、ヒドロキシエチルメタアクリレート20g、水130gからなるモノマー溶液と、過硫酸カリウム0.5gを水100gに溶解した開始剤の水溶液とを、内温を80℃に維持しながら、別々に2時間に渡り連続滴下した。滴下終了後80℃で3時間重合を続けた。最後に水50gを加え、親水性ポリマーP−1の15%水溶液を合成した。
実施例1
(親水性ポリマーP−1の合成)
容量1000ccのフラスコに水400gを入れ、窒素をバブリングして溶存酸素を除去した後、80℃に昇温した。窒素ガスを上記フラスコに流しながら、そこにアクリルアミド100g、ヒドロキシエチルメタアクリレート20g、水130gからなるモノマー溶液と、過硫酸カリウム0.5gを水100gに溶解した開始剤の水溶液とを、内温を80℃に維持しながら、別々に2時間に渡り連続滴下した。滴下終了後80℃で3時間重合を続けた。最後に水50gを加え、親水性ポリマーP−1の15%水溶液を合成した。
(平版印刷用原版の作成)
接着性向上のため予めプライマーとして1μmの厚さのポリウレタン樹脂(三井化学(株)製、水分散ウレタン樹脂:オレスターTMUD350、固形分40重量%)を塗布した厚さ0.24mmのアルミニウム板に、下記組成(単位重量部、以下同様)からなる感光性樹脂組成物の水性分散体(感光液1とする)を、ワイヤーバーを用いて塗布した後、135℃で30分間乾燥・硬化し、2μmの膜厚の感光層を成膜して平版印刷用原版を作成した。
接着性向上のため予めプライマーとして1μmの厚さのポリウレタン樹脂(三井化学(株)製、水分散ウレタン樹脂:オレスターTMUD350、固形分40重量%)を塗布した厚さ0.24mmのアルミニウム板に、下記組成(単位重量部、以下同様)からなる感光性樹脂組成物の水性分散体(感光液1とする)を、ワイヤーバーを用いて塗布した後、135℃で30分間乾燥・硬化し、2μmの膜厚の感光層を成膜して平版印刷用原版を作成した。
上記親水性ポリマーP−1の水溶液(固形分15重量%):146.7重量部
ポリアクリルアミド樹脂(三井化学(株)製、ホープロンTM H520B、固形分20重量%):65重量部
メチル化メラミン樹脂(三井サイテック(株)製、サイメルTM385、固形分80重量%):37.5重量部
ポリウレタン樹脂(三井化学(株)製、水分散ウレタン樹脂:オレスターTMUD350、固形分40重量%):87.5重量部
シアニン色素水溶液(日本感光性色素(株)製、IR−125、固形分5重量%):250重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオコールTMYSK、固形分70重量%):1.43重量部
この原版に波長830nmの半導体レーザー光を300mJ/cm2の照射エネルギー密度となるように集光しながら走査照射して、175線/インチの画像情報の描画を行った。
ポリアクリルアミド樹脂(三井化学(株)製、ホープロンTM H520B、固形分20重量%):65重量部
メチル化メラミン樹脂(三井サイテック(株)製、サイメルTM385、固形分80重量%):37.5重量部
ポリウレタン樹脂(三井化学(株)製、水分散ウレタン樹脂:オレスターTMUD350、固形分40重量%):87.5重量部
シアニン色素水溶液(日本感光性色素(株)製、IR−125、固形分5重量%):250重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオコールTMYSK、固形分70重量%):1.43重量部
この原版に波長830nmの半導体レーザー光を300mJ/cm2の照射エネルギー密度となるように集光しながら走査照射して、175線/インチの画像情報の描画を行った。
(印刷評価)
上記の露光済み版を(株)小森コーポレーション製オフセット印刷機SPRINT S−26にセットし、湿し水として(株)日研化学研究所のH液アストロマーク3の2%水溶液、インクとして東洋インキ製造(株)製のハイエコーTMSOYを使用して印刷テストを行い、印刷開始後の1000枚で一旦印刷を停止した後、1分後に、印刷を再開して、10枚目、50枚目の印刷物の非画線部の地汚れの発生の有無を目視で観察した。結果を表−1に示す。
上記の露光済み版を(株)小森コーポレーション製オフセット印刷機SPRINT S−26にセットし、湿し水として(株)日研化学研究所のH液アストロマーク3の2%水溶液、インクとして東洋インキ製造(株)製のハイエコーTMSOYを使用して印刷テストを行い、印刷開始後の1000枚で一旦印刷を停止した後、1分後に、印刷を再開して、10枚目、50枚目の印刷物の非画線部の地汚れの発生の有無を目視で観察した。結果を表−1に示す。
(親水性樹脂感光層の不凍水の含有量の測定)
上記の感光液1をテフロン(登録商標)シート上に、上記の方法で塗工、乾燥・硬化処理した親水性樹脂層を掻き取り、DSC測定用サンプルパンに数mgを精秤(S・mg)する。次に、約10mgの純水を添加・精秤(W・mg)した後サンプルパンを封じ、10時間以上浸漬放置後、下記の手順により、DSC法にて不凍水の量を定量した。
上記の感光液1をテフロン(登録商標)シート上に、上記の方法で塗工、乾燥・硬化処理した親水性樹脂層を掻き取り、DSC測定用サンプルパンに数mgを精秤(S・mg)する。次に、約10mgの純水を添加・精秤(W・mg)した後サンプルパンを封じ、10時間以上浸漬放置後、下記の手順により、DSC法にて不凍水の量を定量した。
即ち、DSC法にて、30℃で1分保持→−50℃まで5℃/分で冷却→−50℃で1分保持後→30℃まで5℃/分で昇温する際の水の融解熱量(H・J/g)を測定した。次に、次式により、親水性樹脂層を純水に浸漬した際の不凍水の含有量((a)+(b)の固形分重量1g当たりX・g)を算出した。
ここで、A:感光性樹脂の水性分散体中の(a)親水性ポリマー類の合計固形分重量
B:同、(b)架橋剤類の合計固形分重量
C:同、疎水性ポリマー類の合計固形分重量
D:同、光熱変換材類の合計固形分重量
E:同、その他添加材料の合計固形分重量
333.8 :純水の融解熱(J/g)
親水性樹脂層の重量S=4.91mg、添加した純水の重量W=10.11mgでの、DSC測定の結果H=281.95J/gであった。A=35、B=30、C=35、D=12.5、E=1より、X=0.558gであった。
B:同、(b)架橋剤類の合計固形分重量
C:同、疎水性ポリマー類の合計固形分重量
D:同、光熱変換材類の合計固形分重量
E:同、その他添加材料の合計固形分重量
333.8 :純水の融解熱(J/g)
親水性樹脂層の重量S=4.91mg、添加した純水の重量W=10.11mgでの、DSC測定の結果H=281.95J/gであった。A=35、B=30、C=35、D=12.5、E=1より、X=0.558gであった。
実施例2
親水性樹脂組成物の水性分散体を下記(感光液2)に変更し、150℃20分間乾燥・硬化した以外は、実施例1と同様にして、平版印刷用原版を作成し、印刷評価および不凍水の測定を実施した。結果を表−1に示す。
親水性樹脂組成物の水性分散体を下記(感光液2)に変更し、150℃20分間乾燥・硬化した以外は、実施例1と同様にして、平版印刷用原版を作成し、印刷評価および不凍水の測定を実施した。結果を表−1に示す。
上記親水性ポリマーP−1の水溶液(固形分15重量%):146.7重量部
ポリアクリル酸ナトリウム塩(和光純薬(株)製ポリカルボン酸(No.162−18581)を水酸化ナトリウム水溶液に溶解して調製、固形分10重量%、pH12.7):130重量部
メチル化メラミン樹脂(三井サイテック(株)製、サイメルTM385、固形分80重量%):37.5重量部
ポリウレタン樹脂(三井化学(株)製、水分散ウレタン樹脂:オレスターTMUD350、固形分40重量%):87.5重量部
シアニン色素水溶液(日本感光性色素(株)製、IR−125、固形分5重量%):250重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオコールTMYSK、固形分70重量%):1.43重量部
不凍水の含有量:親水性樹脂層の重量S=2.48mg、添加した純水の重量W=11.58mgでの、DSC測定の結果H=305.13J/gであった。A=35、B=30、C=35、D=12.5、E=1より、X=0.699gであった。
ポリアクリル酸ナトリウム塩(和光純薬(株)製ポリカルボン酸(No.162−18581)を水酸化ナトリウム水溶液に溶解して調製、固形分10重量%、pH12.7):130重量部
メチル化メラミン樹脂(三井サイテック(株)製、サイメルTM385、固形分80重量%):37.5重量部
ポリウレタン樹脂(三井化学(株)製、水分散ウレタン樹脂:オレスターTMUD350、固形分40重量%):87.5重量部
シアニン色素水溶液(日本感光性色素(株)製、IR−125、固形分5重量%):250重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオコールTMYSK、固形分70重量%):1.43重量部
不凍水の含有量:親水性樹脂層の重量S=2.48mg、添加した純水の重量W=11.58mgでの、DSC測定の結果H=305.13J/gであった。A=35、B=30、C=35、D=12.5、E=1より、X=0.699gであった。
実施例3
親水性樹脂組成物の水性分散体を下記(感光液3)に変更し、150℃20分間乾燥・硬化した以外は、実施例1と同様にして、平版印刷用原版を作成し、印刷評価および不凍水の測定を実施した。結果を表−1に示す。
親水性樹脂組成物の水性分散体を下記(感光液3)に変更し、150℃20分間乾燥・硬化した以外は、実施例1と同様にして、平版印刷用原版を作成し、印刷評価および不凍水の測定を実施した。結果を表−1に示す。
上記親水性ポリマーP−1の水溶液(固形分15重量%):146.7重量部
カゼインのナトリウム塩(関東化学(株)製乳製カゼイン(No.07152−02)を水酸化ナトリウム水溶液に溶解して調製、固形分10重量%、pH11.0):130重量部
メチル化メラミン樹脂(三井サイテック(株)製、サイメルTM385、固形分80重量%):37.5重量部
ポリウレタン樹脂(三井化学(株)製、水分散ウレタン樹脂:オレスターTMUD350、固形分40重量%):87.5重量部
シアニン色素水溶液(日本感光性色素(株)製、IR−125、固形分5重量%):250重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオコールTMYSK、固形分70重量%):1.43重量部
不凍水の含有量 :親水性樹脂層の重量S=2.45mg、添加した純水の重量W=11.07mgでの、DSC測定の結果H=308.58J/gであった。A=35、B=30、C=35、D=12.5、E=1より、X=0.596gであった。
カゼインのナトリウム塩(関東化学(株)製乳製カゼイン(No.07152−02)を水酸化ナトリウム水溶液に溶解して調製、固形分10重量%、pH11.0):130重量部
メチル化メラミン樹脂(三井サイテック(株)製、サイメルTM385、固形分80重量%):37.5重量部
ポリウレタン樹脂(三井化学(株)製、水分散ウレタン樹脂:オレスターTMUD350、固形分40重量%):87.5重量部
シアニン色素水溶液(日本感光性色素(株)製、IR−125、固形分5重量%):250重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオコールTMYSK、固形分70重量%):1.43重量部
不凍水の含有量 :親水性樹脂層の重量S=2.45mg、添加した純水の重量W=11.07mgでの、DSC測定の結果H=308.58J/gであった。A=35、B=30、C=35、D=12.5、E=1より、X=0.596gであった。
実施例4
親水性樹脂組成物の水性分散体を下記(感光液4)に変更した以外は、実施例1と同様にして、平版印刷用原版を作成し、印刷評価および不凍水の測定を実施した。結果を表−1に示す。
親水性樹脂組成物の水性分散体を下記(感光液4)に変更した以外は、実施例1と同様にして、平版印刷用原版を作成し、印刷評価および不凍水の測定を実施した。結果を表−1に示す。
ポリアクリルアミド樹脂(三井化学(株)製、ホープロンTM H520B、固形分20重量%):85重量部
メチル化メラミン樹脂(三井サイテック(株)製、サイメルTM385、固形分80重量%):47.5重量部
ポリウレタン樹脂(三井化学(株)製、水分散ウレタン樹脂:オレスターTMUD350、固形分40重量%):112.5重量部
シアニン色素水溶液(日本感光性色素(株)製、IR−125、固形分5重量%):250重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオコールTMYSK、固形分70重量%):1.43重量部
不凍水の含有量 :親水性樹脂層の重量S=5.09mg、添加した純水の重量W=9.52mgでの、DSC測定の結果H=278.97J/gであった。A=17、B=38、C=45、D=12.5、E=1より、X=0.634gであった。
メチル化メラミン樹脂(三井サイテック(株)製、サイメルTM385、固形分80重量%):47.5重量部
ポリウレタン樹脂(三井化学(株)製、水分散ウレタン樹脂:オレスターTMUD350、固形分40重量%):112.5重量部
シアニン色素水溶液(日本感光性色素(株)製、IR−125、固形分5重量%):250重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオコールTMYSK、固形分70重量%):1.43重量部
不凍水の含有量 :親水性樹脂層の重量S=5.09mg、添加した純水の重量W=9.52mgでの、DSC測定の結果H=278.97J/gであった。A=17、B=38、C=45、D=12.5、E=1より、X=0.634gであった。
比較例1
感光性樹脂組成物の水性分散体を下記(感光液a)に変更した以外は、実施例1と同様にして、平版印刷用原版を作成し、印刷評価および不凍水の測定を実施した。結果を表−1に示す。
感光性樹脂組成物の水性分散体を下記(感光液a)に変更した以外は、実施例1と同様にして、平版印刷用原版を作成し、印刷評価および不凍水の測定を実施した。結果を表−1に示す。
親水性ポリマーP−1の水溶液(固形分15重量%):233.3重量部
メチル化メラミン樹脂(三井サイテック(株)製、サイメルTM385、固形分80重量%):37.5重量部
ポリウレタン樹脂(三井化学(株)製、水分散ウレタン樹脂:オレスターTMUD350、固形分40重量%):87.5重量部
シアニン色素水溶液(日本感光性色素(株)製IR−125、固形分5重量%):250重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製ネオコールTMYSK、固形分70重量%):1.43重量部
不凍水の含有量 :親水性樹脂層の重量S=5.18mg、添加した純水の重量W=9.88mgでの、DSC測定の結果H=287.65J/gであった。A=35、B=30、C=35、D=12.5、E=1より、X=0.456gであった。
メチル化メラミン樹脂(三井サイテック(株)製、サイメルTM385、固形分80重量%):37.5重量部
ポリウレタン樹脂(三井化学(株)製、水分散ウレタン樹脂:オレスターTMUD350、固形分40重量%):87.5重量部
シアニン色素水溶液(日本感光性色素(株)製IR−125、固形分5重量%):250重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製ネオコールTMYSK、固形分70重量%):1.43重量部
不凍水の含有量 :親水性樹脂層の重量S=5.18mg、添加した純水の重量W=9.88mgでの、DSC測定の結果H=287.65J/gであった。A=35、B=30、C=35、D=12.5、E=1より、X=0.456gであった。
比較例2
感光性樹脂組成物の水性分散体を下記(感光液b)に変更した以外は、実施例1と同様にして、平版印刷用原版を作成し、印刷評価および不凍水の測定を実施した。結果を表−1に示す。
感光性樹脂組成物の水性分散体を下記(感光液b)に変更した以外は、実施例1と同様にして、平版印刷用原版を作成し、印刷評価および不凍水の測定を実施した。結果を表−1に示す。
上記親水性ポリマーP−1の水溶液(固形分15重量%):160重量部
ポリアクリルアミド樹脂(三井化学(株)製、ホープロンTM H520B、固形分20重量%):75重量部
エポキシ化合物(ナガセケムテックス(株)製、デナコールTMEX622、含有量99%<):22重量部
ポリウレタン樹脂(三井化学(株)製、水分散ウレタン樹脂:オレスターTMUD350、固形分40重量%):97.5重量部
シアニン色素水溶液(日本感光性色素(株)製IR−125、固形分5重量%):250重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製ネオコールTMYSK、固形分70重量%):1.43重量部
不凍水の含有量:親水性樹脂層の重量S=5.18mg、添加した純水の重量W=9.93mgでの、DSC測定の結果H=300.31J/gであった。A=39、B=22、C=39、D=12.5、E=1より、X=0.358gであった。
ポリアクリルアミド樹脂(三井化学(株)製、ホープロンTM H520B、固形分20重量%):75重量部
エポキシ化合物(ナガセケムテックス(株)製、デナコールTMEX622、含有量99%<):22重量部
ポリウレタン樹脂(三井化学(株)製、水分散ウレタン樹脂:オレスターTMUD350、固形分40重量%):97.5重量部
シアニン色素水溶液(日本感光性色素(株)製IR−125、固形分5重量%):250重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製ネオコールTMYSK、固形分70重量%):1.43重量部
不凍水の含有量:親水性樹脂層の重量S=5.18mg、添加した純水の重量W=9.93mgでの、DSC測定の結果H=300.31J/gであった。A=39、B=22、C=39、D=12.5、E=1より、X=0.358gであった。
*1):親水性樹脂層中の(a)親水性ポリマー類の合計固形分+(b)架橋剤類の合計固形分1g当たりの、不凍水量gで表示
*2):評価結果
○全く地汚れなし
△部分的な地汚れあり
×全面に地汚れあり
*2):評価結果
○全く地汚れなし
△部分的な地汚れあり
×全面に地汚れあり
本発明の平版印刷用の原版は、近赤外領域の光に感光し、明室で取り扱うことができ、版に直接レーザー光により描画でき、現像や拭き取り操作が不要であるとともに、非画線部の親水性が顕著に向上した印刷適性に優れるCTP用の平版印刷用の原版として、非常に有用である。
Claims (3)
- 支持体上に直接又は下地層を介して親水性樹脂層を有する平版印刷用原版において、該親水性樹脂層が、(a)親水性ポリマー、(b)架橋剤、(c)疎水性ポリマー、(d)光熱変換材からなり、かつ該親水性樹脂層を純水中に浸漬した際、親水性樹脂層中の不凍水の含有量(X)が、(a)+(b)の固形分1gあたり、0.5g以上であることを特徴とする平版印刷用原版。
- レーザー露光により、露光部表面の親水性が親インク性に変化する性質を有する親水性樹脂層である請求項1記載の平版印刷用原版。
- 印刷画像に従ってレーザー露光したのち、現像処理を必要とせず、直ちに印刷可能なものである請求項1又は2記載の平版印刷用原版。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005066520A JP2006247983A (ja) | 2005-03-10 | 2005-03-10 | 平版印刷用原版 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005066520A JP2006247983A (ja) | 2005-03-10 | 2005-03-10 | 平版印刷用原版 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006247983A true JP2006247983A (ja) | 2006-09-21 |
Family
ID=37088970
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005066520A Pending JP2006247983A (ja) | 2005-03-10 | 2005-03-10 | 平版印刷用原版 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006247983A (ja) |
-
2005
- 2005-03-10 JP JP2005066520A patent/JP2006247983A/ja active Pending
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