JP2004276509A - 感光性樹脂組成物およびそれを用いた平版印刷用版 - Google Patents

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Tomoya Terauchi
知哉 寺内
Koji Takano
弘二 高野
Takayuki Sanada
隆幸 真田
Yuko Suzuki
祐子 鈴木
Masaya Naito
真哉 内藤
Tetsuhiro Koide
哲裕 小出
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Abstract

【課題】近赤外領域の光に感光し、版に直接レーザー光で描画でき、且つ現像や拭き取り操作が不要であり、印刷において湿し水を用いる平版印刷用版に用いられる、親水性と耐刷性に優れた、感光性樹脂組成物、およびこの感光性樹脂組成物を用いた平版印刷用版を提供する。
【解決手段】親水性樹脂、架橋剤、疎水性樹脂および光吸収剤からなる平版印刷用感光性樹脂組成物において、親水性樹脂が、15重量%水溶液の25℃におけるブルックフィールド粘度が100〜30,000センチポイズであり、重量平均分子量が200,000以上であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷用の版、特に湿し水を用いる平版印刷用版であり、さらに詳しくは、近赤外領域の光に感光し、版に直接レーザー光で描画でき、且つ現像や拭き取り操作が不要である平版印刷用版に用いられる感光性樹脂組成物、およびこの感光性樹脂組成物を用いた主として樹脂からなる親水層を有する平版印刷用版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平版印刷版とは平版印刷に用いられる印刷版であり、印刷版の表面はインクを付着する画線部と、インクを付着せずに反発する非画線部とからなっている。通常、非画線部は水を吸着し保持する表面になっており、実際の印刷ではまず非画線部に水を与えることにより非画線部がインクを反発するようになる。したがって、平版印刷版において、非画線部は親水性材料からなっており、この親水性材料の特性は平版印刷版の性能を大きく左右する。
【0003】
平版印刷版として最も普及している印刷版は通常PS版と呼ばれており、親水性材料となる表面を砂目立てした後、陽極酸化を行ったアルミニウム板の上に、インク付着性の感光性材料からなる層が形成されている。このPS版に対し、画像に従い露光を行い、画線部以外の感光層材料を除去し、下地の親水性アルミニウム表面を露出させることにより、印刷版上に画線部と非画線部からなる画像が形成される。
【0004】
露光後に感光層を除去するプロセスは現像と呼ばれるが、通常アルカリ性の溶液や、有機溶媒が用いられるので、その廃液の処理が必要であり環境面から大きな問題になりつつある。
【0005】
また、親水性材料である陽極酸化アルミニウムは平版の親水性材料として実用上優れており、広く使用されているが、製造工程が複雑で多くの化学処理を必要とする為、その簡易化と化学処理廃液の低減が望まれている。
【0006】
このような問題を解決する為の一つの手段として、陽極酸化アルミニウムと同等以上の印刷適正を有し、安価で簡易に製造できる樹脂を用いた印刷版用親水性材料が検討されている。
【0007】
さらに、親水性材料として樹脂を用いることにより、樹脂そのものに感光性を持たせたり、表面に親油性の樹脂を付着させたり、樹脂の表面のみを変更して液体による現像工程なしに製版することも可能となる。
【0008】
樹脂を用いた親水性材料の具体例としては、例えば尿素樹脂と二酸化チタン等の顔料を混合し、硬化したものを親水層とし、その上にジアゾ樹脂からなる感光層を設けた平版印刷版が提案されている(特許文献1参照)。しかし、この印刷版では尿素樹脂の親水性が不充分な為、印刷枚数が多くなると本来インクが付着しないはずの親水層表面にインクが付着し、印刷物の非画線部がインクで汚れてしまうという問題がある。さらに、尿素樹脂層とジアゾ樹脂との密着性が低く耐刷性が悪いという欠点もあった。
【0009】
また、疎水性の高分子表面をスルホン化して親水性表面とした印刷版と、その表面にインクジェット方式で画像を記録する方法が提案されている(特許文献2、特許文献3参照)。また、エポキシ樹脂等の表面にアクリルアミド等の親水性モノマーを表面光グラフト重合することにより形成した親水性表面を用いた印刷版も提案されている(特許文献4参照)。しかし、これらの印刷版はごく表面のみが親水化されている為、長時間の印刷では摩擦により親水性が失われてしまうという問題がある。
【0010】
更に、樹脂を用いた親水層としては電子写真技術により製版される印刷版に用いられているものが知られている(特許文献5参照)。これらの印刷版では親水性樹脂バインダー中に酸化亜鉛等の無機顔料を分散したものが親水層として用いられるが、そのままではインク反発性が不充分でエッチングと呼ばれる親水化処理工程が必要となる。
【0011】
このように、樹脂を用いた親水性材料では、十分な親水性と、長時間の印刷においても性能劣化を生じない、すなわち十分な耐刷性とを合わせ持つものは知られていない。
【0012】
最近では、特許文献6、特許文献7等のように上記性能を満足するべく、親水性材料として相分離構造を有する親水層材料が提案されている。しかし、これらの印刷版では親水性樹脂溶液と疎水性樹脂のラテックスを混合したものを塗布して製造している為、十分な耐刷性を得る為に多量の疎水性ポリマーが必要であり、親水性と耐刷性を両立させることはやはり困難であった。
【0013】
【特許文献1】
特公昭56−2938号公報
【0014】
【特許文献2】
特開昭60−52392号公報
【0015】
【特許文献3】
特開昭63−249695号公報
【0016】
【特許文献4】
特開昭57−179852号公報
【0017】
【特許文献5】
特開昭63−317388号公報
【0018】
【特許文献6】
特開平10−16176号公報
【0019】
【特許文献7】
特開平10−58636号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、近赤外領域の光に感光し、版に直接レーザー光で描画でき、且つ現像や拭き取り操作が不要で、且つ親水性と耐刷性に優れた、主として樹脂からなる親水層を有する平版印刷用版に用いられる、感光性樹脂組成物およびその感光性樹脂組成物を用いた印刷版を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、親水性樹脂を用いる平版印刷用感光性樹脂組成物において、その親水性樹脂が特定条件を満たすものである場合にこれらの目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0022】
すなわち本発明は、以下の(1)から(6)により特定されるものである。
(1)少なくとも親水性樹脂を用いる平版印刷用感光性樹脂組成物において、上記親水性樹脂15重量%水溶液の25℃におけるブルックフィールド粘度が100〜30,000センチポイズであり、重量平均分子量が200,000以上であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
(2)親水性樹脂の15重量%水溶液の25℃におけるブルックフィールド粘度(V)(センチポイズ)と重量平均分子量(Mw)の関係が、log(V)/log(Mw) ≦0.85である(1)記載の感光性樹脂組成物。
(3)親水性樹脂が、下記一般式(1)で示される化合物およびそれらの塩類から選ばれる1種以上を用いて反応して得られるものである(1)乃至(2)記載の感光性樹脂組成物。
【0023】
【化2】
Figure 2004276509
(式中Rは、水素原子または低級アルキル基、nは1〜8の整数を示す。)
(4)親水性樹脂が、少なくともアクリルアミドと、架橋性モノマーと、一般式(1)で示される化合物およびそれらの塩類から選ばれる1種以上のビニル化合物を重合して得られる親水性樹脂である(1)乃至(3)記載の感光性樹脂組成物。
(5)平版印刷用感光性樹脂組成物が、少なくとも親水性樹脂、架橋剤、疎水性樹脂および光吸収剤からなる(1)乃至(4)記載の感光性樹脂組成物。
(6)湿し水を用いる平版印刷用版において、(1)乃至(5)記載の感光性樹脂組成物を架橋してなる親水性樹脂感光層を有する平版印刷用原版。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、少なくとも親水性樹脂を含有してなるものであり、好ましくは、親水性樹脂、架橋剤、疎水性樹脂および光吸収剤を含有してなるものである。また、本発明の平版印刷用版は、基盤の上に上記感光性樹脂組成物を架橋させた感光層を有するものであることが好ましい。親水性樹脂は架橋することにより水に不溶となる。
【0025】
本発明の平版印刷用版は、湿し水を用いるオフセット印刷用の無現像型の版であり、感光層の光照射部以外は非画像部になる。従って本発明の感光層は親水性で、且つ水に溶けないことが必要である。そして、本発明の原版は光を照射した部分の該感光層はアブレーションにより取り除かれることはなく、感光層の親水性が親インク性に変化する。そのため、本発明の原版は光の照射後に現像や拭き取り等が不要となるが、上記したような特性の変化を具現化するために、本発明の感光性樹脂組成物は適している。
【0026】
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる親水性樹脂は、15重量%水溶液とした時の25℃におけるブルックフィールド粘度が100〜30,000センチポイスであり、好ましくは、100〜20,000センチポイス、更に好ましくは100〜15,000センチポイスである。該粘度範囲内であることにより、親水性樹脂を疎水性樹脂、架橋剤、光吸収剤等の親水性樹脂以外の材料と混合する際の作業性を良好なものとすることができる。また、感光性樹脂組成物水溶液を基盤に塗布する際の作業性も良好なものとすることができ、塗布物の塗りムラの発生を防止することができる。
【0027】
なお、本発明における、15重量%水溶液とした時の25℃におけるブルックフィールド粘度とは、15重量%水溶液に調整した試料溶液を25℃に調温した後、市販のブルックフィールド粘度計(ブルックフィールド社製)やB社粘度計(東機産業社製)を用いて測定して得られる粘度である。
【0028】
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる親水性樹脂は、上記条件に加え、重量平均分子量(Mw)が200,000以上であることが重要であり、より好ましくは、Mwが300,000以上である。親水性樹脂の分子量が上記数値を有するものであることにより、本発明の平版印刷用版は版の親水性を低下させることなく、良好な耐刷性能を発揮することができる。
【0029】
上記の性能を考慮し、親水性樹脂の15重量%水溶液とした時の25℃におけるブルックフィールド粘度(V)と重量平均分子量(Mw)の関係が、、log(V)/log(Mw)≦0.85であることが好ましい。更に好ましくは、0.7以下である。
【0030】
なお、分子量値(MwおよびMn(数平均分子量))はGPC−MALLSの測定により得ることができる。GPC−MALLSの測定条件としては、下記条件が挙げられる。
GPC本体:昭和電工(株)製、システム11
カラム;SHODEX SB−G + SHODEX SB−806M HQ ×2
溶離液;N/10硝酸ナトリウムを含むN/15リン酸緩衝液(pH7)
流速;1.0ml/分
検出器;ワイアットテクノロジー社製、多角度光散乱検出器DAWN
【0031】
親水性樹脂が上記の物性を持ち得る為に、親水性樹脂は下記一般式(1)で示される化合物およびそれらの塩類から選ばれる1種以上をモノマーに用いて重合し得られるものであることが好ましい。これらのモノマーの使用量は親水性樹脂の全使用量に対して好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%、更に好ましくは、0.2〜3重量%である。
【0032】
【化3】
Figure 2004276509
(式中、Rは水素原子または低級アルキル基、nは1〜8の整数を示す。)
一般式(1)で表わされる化合物を用いることにより、本発明の親水性樹脂は高分子量でありながら、比較的粘度の低いものとすることができ、また、親水性樹脂の親水性も良好なものとすることができる。
【0033】
一般式(1)中、Rは、水素原子または低級アルキル基を示し、低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等が挙げられる。nは、1〜8の整数を示し、好ましくはn=1である。
【0034】
一般式(1)で表わされる化合物の具体例としては、例えばアリルスルホン酸、アリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸カリウム、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸カリウム、メタリルスルホン酸塩アンモニウム等を例示することができる。
【0035】
また、本発明の感光性樹脂組成物に用いられる親水性樹脂は、モノマーとして、上記の化合物の他に、アクリルアミドをモノマーとして用い重合して得られるものであることが好ましい。アクリルアミドの使用量は、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは60〜99.97重量%、より好ましくは60〜99重量%である。アクリルアミドを使用することにより、本発明の平版印刷用版は良好な親水性を発揮することができる。
【0036】
さらに、本発明の感光性樹脂組成物に用いられる親水性樹脂は、モノマーとして、架橋剤と反応する官能基(架橋官能基)を有する架橋性モノマーを用いることが好ましい。該架橋性モノマーは、架橋剤と反応し親水性樹脂感光層を硬化させる役割を担っており、親水性樹脂の親水性を阻害しない範囲内で十分な硬化作用を付与し得ることが必要である。この為、上記親水性樹脂は、モノマーとして該架橋性モノマーを好ましくは0.01〜30重量%、より好ましくは0.1〜25重量%、更に好ましくは1〜25重量%含むものを重合して得られる樹脂であることが好ましい。
【0037】
架橋官能基としては、水酸基、アミド基、アミノ基、イソシアナート基、グリシジル基、オキサゾリン基、メチロール基、及びメチロール基とメタノールやブタノール等のアルコールとが縮合したメトキシメチル基やブトキシメチル基等、更にカルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の酸性基やこれら酸性基のアルカリ金属塩やアミン塩等が挙げられる。
【0038】
さらに、本発明の感光性樹脂組成物に用いられる親水性樹脂は、上記アクリルアミドの含有量を保持した上で、その他の親水性基を有していても良い。その他の親水基としては、例えば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、オキシメチレン基、オキシエチレン基等、更にカルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の酸性基やこれら酸性基のアルカリ金属塩やアミン塩等が挙げられる。
【0039】
感光性樹脂組成物に用いられる親水性樹脂のアクリルアミド以外の前記した架橋官能基や親水性基を有するモノマーの具体例としては、水酸基を有するモノマーとして、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチロール(メタ)アクリルアミドや、該メチロール(メタ)アクリルアミドとメチルアルコールやブチルアルコールとの縮合物であるメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0040】
またアミド基を有するモノマーとして、無置換又は置換メタアクリルアミド、無置換又は置換イタコン酸アミド、無置換又は置換フマル酸アミド、無置換又は置換フタル酸アミド、N―ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド等が挙げられる。無置換又は置換メタアクリルアミドのより具体例としては、メタアクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、スルホン酸プロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。前記イタコン酸アミド等の二塩基酸アミドの場合は一方のカルボキシル基がアミド化されたモノアミドであっても良く、両方のカルボキシル基がアミド化されたジアミドであっても良い。更に、グリシジル基を有する不飽和酸誘導体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、パラビニルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0041】
カルボキシル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸等の一塩基不飽和酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸及びその無水物等の二塩基不飽和酸やこれら二塩基不飽和酸のモノエステル、モノアミド等が、挙げられる。
【0042】
又、スルホン酸基を有するモノマーとしては、スルホエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルメチルスルホン酸、イソプロぺニルメチルスルホン酸、(メタ)アクリル酸にエチレンオキシド、又はプロピレンオキシドを付加したアルコールの硫酸エステル(例えば、三洋化成工業(株):商品名エレミノールRS−30)、(メタ)アクリロイロキシエチルスルホン酸、モノアルキルスルホコハク酸エステルとアリル基を有する化合物とのエステル、モノアルキルスルホコハク酸エステルとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成物等が、ホスホン酸基を有する重合性不飽和モノマーとしては、ビニルリン酸、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリレート、リン酸モノアルキルエステルのモノ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0043】
これらのカルボキシル基、スルホン酸基やホスホン酸基は、アルカリ金属、アルカリ土類金属やアミン類で中和されていても良い。中和に用いられるアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等が、アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム等が、及びアミン類としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0044】
重合するに際しては、更に前記したこれらのモノマーと共重合可能なモノマーを併用しても良い。共重合可能なモノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソポロニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。尚、前記の記述に於いて、(メタ)アクリルアミドや(メタ)アクリル酸等に於ける(メタ)アクリル、(メタ)アクリロイル、更に(メタ)アクリレート等はアクリルとメタクリル、アクリロイルとメタクリロイル、アクリレートとメタクリレートの両者を意味する。
【0045】
N,N−2置換(メタ)アクリルアミドの具体例としては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
【0046】
また、2重結合を二つ以上有する多官能型モノマーを用いても良い。これら多官能型モノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、エチレンビスメタアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ジエチレングリコールメタアクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルアクリルアミド、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリル酸ペンタエリスリトール等を例示することができる。これら多官能型モノマーの量としては、親水性樹脂を構成する全モノマーに対し、0.005〜5重量%であることが好ましい。更に好ましくは、0.01〜2重量%である。
【0047】
本発明の感光性樹脂組成物における親水性樹脂の配合量は、後述する架橋剤や疎水性樹脂とのバランスおよび印刷版の親水性と耐刷性のバランスの観点から、親水性樹脂、架橋剤および疎水性樹脂の合計100重量部に対して、20重量部以上であることが好ましい。さらに好ましくは、20重量部以上70重量部以下であることが好ましい。
【0048】
次に本発明の感光性樹脂組成物に用いられる、親水性樹脂以外の材料について詳述する。
【0049】
本発明の感光性樹脂組成物は、少なくとも親水性樹脂を含有してなるものであり、好ましくは、親水性樹脂、架橋剤、疎水性樹脂および光吸収剤を含有してなるものである。
尚、本発明における親水性樹脂とは、水に可溶な樹脂、即ち水溶液にしたときに均一の溶液となる樹脂を意味する。また、疎水性樹脂とは、水に不要な樹脂を意味する。
【0050】
本発明の感光性樹脂組成物では、感光層の耐刷性を良好なものとする為に、親水性樹脂を架橋させ水に不溶性にすることが好ましく、この為、親水性樹脂と架橋反応を起こし得る架橋剤を用いることが好ましい。該架橋剤は、具体的には、水性エポキシ樹脂、オキサゾリン樹脂、アミノ樹脂、水性ブロックイソシアネート化合物から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。上記樹脂の少なくとも1種を架橋剤として用いることが、硬化速度と感光性樹脂組成物の室温での安定性や感光層の親水性と耐刷性のバランス等から好ましい。また、アミノ樹脂を用いることがより好ましい。アミノ樹脂としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂やグリコールウリル樹脂等やこれら樹脂の変性樹脂、例えばカルボキシ変性メラミン樹脂等が挙げられる。又、架橋反応を促進するために、前記したエポキシ樹脂を用いる際には3級アミン類を、アミノ樹脂を用いる場合は、パラトルエンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸類、塩化アンモニウム等の酸性化合物を併用しても良い。
【0051】
上記架橋剤の主な役割は、前記親水性樹脂を架橋し親水性樹脂を水に不溶性にすることであるが、さらに架橋剤が自己重合性を有する場合には、感光層において該架橋剤が親水性樹脂中に島相を形成し、感光層中の光吸収剤が光を吸収剤して光エネルギーを熱エネルギーに変換した際、発生した熱により島相が発泡し、光照射部表面の親水性を親インク性に変化させることも含まれる。
【0052】
本発明に於ける感光性樹脂組成物中の上記架橋剤量は、親水性樹脂、架橋剤および疎水性樹脂のの合計100重量部に対して、2〜35重量部、より好ましくは4〜20重量部の範囲にあることが好ましい。架橋剤量が該範囲内にあることにより、本発明の平版印刷用版において、良好な親水性と良好な耐刷性能を発揮することができる。
【0053】
本発明の感光性樹脂組成物には、光の照射により照射部表面の親水性が親インク性に変化しやすいように疎水性樹脂を用いることが好ましい。疎水性樹脂は、版の感度、光照射した際の親インク化のしやすさ等から動的光散乱法で測定した平均粒子径が0.005〜0.5μmの水分散疎水性樹脂粒子が好ましい。更に好ましい平均粒子径は、0.01〜0.2μmである。水分散疎水性樹脂粒子とは、微細な樹脂粒子と必要に応じて該粒子を覆う保護剤からなる粒子を水性液に分散させた疎水性樹脂を意味し、不飽和モノマーを乳化重合や懸濁重合することによって作られた疎水性樹脂、特に酸性基を有する疎水性樹脂、又は該樹脂の有機溶剤溶液を必要ならば酸性基を中和したり、分散安定剤を加えて水中に分散した樹脂、必要ならば有機溶剤を溜去した樹脂等が挙げられる。
【0054】
水分散疎水性樹脂粒子は、より具体的には例えば、ビニルポリマー系ラテックス、共役ジエンポリマー系ラテックス、アクリル系ラテックス、水分散ポリウレタン樹脂、水分散エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0055】
上記疎水性樹脂粒子の役割は、感光層において該疎水性樹脂粒子が親水性樹脂中に島相として形成され、感光層中の光吸収剤が光を吸収剤して光エネルギーを熱エネルギーに変換した際、発生した熱により島相の疎水性樹脂粒子が熱的に溶融・融着し、光照射部表面の親水性を親インク性に変化させると推定される。この溶融・融着による親インク性への変化を効率よく行わせるには、疎水性ポリマーの平均粒子径が前記したように0.005〜0.5μmが好ましい。この粒子径の範囲内であれば、発生した熱で疎水性樹脂が溶融・融着しやすく、感度に優れ、感光層の親水性が低下することもない。
【0056】
本発明の感光性樹脂組成物における、疎水性樹脂の量は光照射部の親インク化の点からは多い方が好ましいが、多くなり過ぎると版の親水性が低下し、印刷において地汚れを起こし好ましくない。また、少なくなると版の着インク性が低下する為好ましくない。これらの観点から本発明に於ける感光性樹脂組成物中の疎水性樹脂量は、親水性樹脂、架橋剤および疎水性樹脂のの合計100重量部に対して、固形分として好ましくは15〜80重量部、更に好ましくは25〜70重量部の範囲にあることが好ましい。
【0057】
また、本発明の感光性樹脂組成物は光吸収剤を含有していることが好ましい。この光吸収剤は、光を吸収して熱を生じるものであればよく、光の照射に際しては光吸収剤が吸収する波長域の光を適宜用いればよい。光吸収剤の具体例としては、シアニン系色素、ポリメチン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、アントラシアニン系色素、ポルフィリン系色素、アゾ系色素、ベンゾキノン系色素、ナフトキノン系色素、ジチオール金属錯体類、ジアミンの金属錯体類、ニグロシン等の各種色素、及びカーボンブラック等が挙げられる。
【0058】
これらの色素に於いては、明室での取り扱い性、露光機に用いる光源の出力や使い易さの点から750〜1100nmの領域の光を吸収する色素が好ましい。色素の吸収波長域に関しては置換基やπ電子の共役系の長さ等により変えることが出来る。これらの光吸収剤は感光性樹脂組成物が含まれる水溶液に溶解していても、又分散していても良い。前記した光吸収剤の中で、本発明に於いては親水性の光吸収剤が好ましい。
【0059】
光吸収剤の量が多くなりすぎると版の耐刷性や親水性に悪影響を及ぼし、また、光吸収剤の量が少なくなりすぎると前記光吸収剤の効果が小さくなり好ましくない。これらの観点から、本発明の感光性樹脂組成物における光吸収剤の配合比は、親水性樹脂、架橋剤および疎水性樹脂のの合計100重量部に対して、光吸収剤2〜30重量部であることが好ましく、2〜15重量部であることがより好ましい。
【0060】
さらに、本発明の感光性樹脂組成物には、印刷条件に対する安定性を広げるため、種々の界面活性剤を添加することが望ましい。前記界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤等が挙げられる。また、感光性樹脂組成物水溶液の塗布性を良化するため、ハジキ防止剤、レベリング剤等の添加剤を添加しても良い。これらの界面活性剤の添加量は、親水性樹脂、架橋剤および疎水性樹脂のの合計100重量部に対して、0.001〜5重量部であることが好ましい。
【0061】
以下に本発明の平版印刷用版について詳細に説明する。
本発明の平版印刷用版に於いては、基板に水に不溶性の親水性樹脂からなる感光層を設けてなる。この際用いられる基板の具体例としては、アルミ板、鋼板、ステンレス板、銅板等の金属板やポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS樹脂等のプラスチックフィルムや紙、アルミ箔ラミネート紙、金属蒸着紙、プラスチックフィルムラミネート紙等が挙げられる。これらの基材の厚さは特に制限はないが通常100〜400μm程度である。又、これらの基材は密着性の改良等のために酸化処理、クロメート処理、サンドブラスト処理、コロナ放電処理等の表面処理を施してもよい。
【0062】
本発明の水に不溶の親水性樹脂からなる感光層は、親水性樹脂、架橋剤、疎水性樹脂および光吸収剤を含有する感光性樹脂組成物が含まれる溶液を基板に塗布し、乾燥、硬化すればよい。塗布する方法としては塗布する溶液の粘度や塗布速度等によって異なるが、通常例えば、ロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンフローコーター、ダイコーターやスプレー法等を用いれば良い。塗布溶液を塗布した後、加熱して乾燥及び親水性樹脂の架橋を行う。加熱温度は通常50〜200℃程度である。感光層の膜厚は特に制限はないが、通常0.5〜10μm程度が好ましい。
【0063】
本発明の印刷版に於いては、親水性樹脂からなる感光層を形成した後、カレンダー加工したり、又該感光層を保護するために感光層の上にフィルムを積層しても良い。
【0064】
本発明の平版印刷用版は光吸収剤の吸収波長域の光、例えば750〜1100nmの領域の光を照射すると、光吸収剤が該光を吸収して発熱する。この発熱により感光層の光照射部は、自己重合した架橋剤が発泡したり、疎水性樹脂が熱融着して親水性が失われ親インク化する。この際、光の照射量を大きくし過ぎたり、又光吸収剤を多量に添加したりすると感光層が分解、燃焼等によって除去、融除されてしまい、照射部の周辺に分解物が飛散するので、このようなことは避けなければならない。
【0065】
このように本発明の平版印刷用版は光を照射した部分の感光層の親水性が親インク性に特性が変化し、現像や拭き取り操作をしなくても光の照射部にはインクが付着し、印刷が可能となる。
【0066】
本発明における平版印刷用版の光の照射に用いられる光の波長は特に限定はなく、光吸収剤の吸収波長域に合致しする光を用いればよい。照射に際しては照射速度の点から収束光を高速で走査するのが好ましく、使用し易く、且つ高出力の光源が適しており、この点から照射する光としてはレーザー光、特に750〜1100nmの波長域の発振波長を有するレーザーの光が好ましく、例えば830nmの高出力半導体レーザーや1064nmのYAGレーザーが用いられる。これらのレーザーを搭載した露光機は所謂サーマル用プレートセッター(露光機)として既に市場に供されている。
【0067】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例における分子量値(MwおよびMn)はGPC−MALLSの測定により得た。GPC−MALLSの測定条件は以下の通りである。
【0068】
GPC本体:昭和電工(株)社製、システム11
カラム;SHODEX SB−G + SHODEX SB−806M HQ ×2
溶離液;N/10硝酸ナトリウムを含むN/15リン酸緩衝液(pH7)
流速;1.0ml/分
検出器;ワイアットテクノロジー社製、多角度光散乱検出器DAWN
【0069】
また、ブルックフィールド粘度は、東機産業(株)社製、B型粘度計(型式BL)を用いて測定した。粘度の計測を開始してから1分後の値を試料のブルックフィールド粘度とした。
【0070】
実施例1
純水240gをフラスコに仕込み、窒素をバブリングして溶存酸素を除去した後、80℃に昇温した。窒素ガスを上記フラスコに流しながら、そこにアクリルアミド102g、2−ヒドロキシエチルアクリレート18g、メタリルスルホン酸ナトリウム3.1g、純水102gからなるモノマー溶液と過硫酸カリウム0.12gを純水54gに溶解した開始剤の水溶液を、内温を80℃に維持しながら、別々に2時間に渡り連続滴下した。滴下終了後80℃で3時間重合を続けた後、冷却し、重合溶液をフラスコより抜き出した。該重合溶液に適当量の水を加え固形分15%の親水性樹脂水溶液に調整した。得られた親水性樹脂P−1の分子量は、Mn=119,000、Mw=561,000であった。また、該親水性樹脂P−1水溶液の25℃におけるブルックフィールド粘度は240センチポイスであった。
【0071】
下記組成にて、親水性樹脂水溶液、架橋剤、疎水性樹脂および光吸収剤を室温にて混合し、感光性樹脂組成物の水溶液を得た。なお、以下に示す「部」はそれぞれの樹脂または化合物の、固形分についての重量部を示す。
【0072】
上記親水性樹脂P−1(固形分15%) 35部
メチル化メラミン樹脂(三井サイテック(株)製サイメルTM385、固形分82%) 10部
水分散ウレタン樹脂(第一工業製薬(株)製スーパーフレックスTM410、固形分40%) 55部
シアニン色素(日本感光性色素(株)製IR−125、固形分5%) 7部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製ネオコールTMYSK、固形分70%) 0.14部
【0073】
次いで、厚さ0.2mmのポリエステルフィルムに該感光性樹脂組成物水溶液を、ドクターブレードを用いて塗布した後、130℃で15分間乾燥し、2μmの膜厚の感光層を成膜して平版印刷用原版を作成した。
この版に波長830nmの半導体レーザー光を350mJ/cmの照射エネルギー密度となるように集光しながら走査照射して、200線/インチの画像情報の描画を行った。
【0074】
この露光した版を湿し水を用いるオフセット印刷機(三菱重工製ダイヤ1F−4)にセットし、インクとして東洋インキ製造(株)製のハイエコーTMSOY、湿し水として(株)日研化学研究所製のH液アストロマーク3の3%水溶液を使用し、印刷機における湿し水の供給量は「10」と設定し、8000枚/時間の印刷速度で印刷を行った。その結果、光の未照射部にはインクが全く付かず、一方、照射部にはインクが十分に付着し、描画した画像が印刷用紙上に再現された。
5千枚印刷後でも未照射部にはインクが全く付かず、照射部へのインク付着性も損なわれなかった。
また、未露光の版について、版を適当な大きさに切り出し、学振型染色物摩擦堅牢度試験機(日本T.M.C社製)を用い、300gの荷重をかけ、水を染み込ませた綿パッドにて700回の擦り試験を行った。擦り試験後に感光層の剥離は確認されず、十分な耐刷強度を有することを確認した。
【0075】
実施例2
純水335gをフラスコに仕込み、窒素をバブリングして溶存酸素を除去した後、80℃に昇温した。窒素ガスを上記フラスコに流しながら、そこにアクリルアミド71.25g、2−ヒドロキシエチルアクリレート3.75g、メタリルスルホン酸ナトリウム0.17gからなるモノマー溶液と過硫酸カリウム0.15gを水75gに溶解した開始剤の水溶液を、内温を80℃に維持しながら、別々に2時間に渡り連続滴下した。滴下終了後80℃で3時間重合を続けた後、冷却し、重合溶液をフラスコより抜き出した。該重合溶液に適当量の水を加え固形分15%の親水性樹脂水溶液に調整した。得られた親水性樹脂P−2の分子量は、Mn=232,000、Mw=551,000であった。また、該親水性樹脂P−2水溶液の25℃におけるブルックフィールド粘度は7800センチポイスであった。
【0076】
上記親水性樹脂P−2を用い、実施例1と同様の組成で感光性樹脂組成物水溶液を調整し、印刷版を作成し、描画および印刷評価を行った。印刷試験の結果、光の未照射部にはインクが全く付かず、一方、照射部にはインクが十分に付着し、描画した画像が印刷用紙上に再現された。5千枚印刷後でも未照射部にはインクが全く付かず、照射部へのインク付着性も損なわれなかった。また未露光版について実施例1と同様に堅牢度試験機による擦り試験を行った。擦り試験後に感光層の剥離は確認されず、十分な耐刷強度を有することを確認した。
【0077】
実施例3
純水560gをフラスコに仕込み、窒素をバブリングして溶存酸素を除去した後、80℃に昇温した。窒素ガスを上記フラスコに流しながら、そこにアクリルアミド130.3g、2−ヒドロキシエチルアクリレート18.3g、メタリルスルホン酸ナトリウム0.81g、純水165gからなるモノマー溶液と純分84%の4,4’‐アゾビス‐4‐シアノ吉草酸0.14gを水50gに溶解した開始剤の水溶液を、内温を80℃に維持しながら、別々に2.5時間に渡り連続滴下した。滴下終了後80℃で3時間重合を続けた後、冷却し、重合溶液をフラスコより抜き出した。該重合溶液に適当量の水を加え固形分15%の親水性樹脂水溶液に調整した。得られた親水性樹脂P−3の分子量は、Mn=1,120,000、Mw=2,900,000であった。また、該親水性樹脂P−3水溶液の25℃におけるブルックフィールド粘度は13000センチポイスであった。
【0078】
上記親水性樹脂P−3を用い、実施例1と同様の組成で感光性樹脂組成物水溶液を調整し、印刷版を作成し、描画および印刷評価を行った。印刷試験の結果、光の未照射部にはインクが全く付かず、一方、照射部にはインクが十分に付着し、描画した画像が印刷用紙上に再現された。5千枚印刷後でも未照射部にはインクが全く付かず、照射部へのインク付着性も損なわれなかった。また未露光版について実施例1と同様に堅牢度試験機による擦り試験を行った。擦り試験後に感光層の剥離は確認されず、十分な耐刷強度を有することを確認した。
【0079】
実施例4
純水296gをフラスコに仕込み、窒素をバブリングして溶存酸素を除去した後、80℃に昇温した。窒素ガスを上記フラスコに流しながら、そこにアクリルアミド147.35g、2−ヒドロキシエチルアクリレート63.15g、メタリルスルホン酸ナトリウム6.22g、純水61.8gからなるモノマー溶液と純分84%の4,4’‐アゾビス‐4‐シアノ吉草酸0.36gを水75gに溶解した開始剤の水溶液を、内温を80℃に維持しながら、別々に2.5時間に渡り連続滴下した。滴下終了後80℃で3時間重合を続けた後、冷却し、重合溶液をフラスコより抜き出した。該重合溶液に適当量の水を加え固形分15%の親水性樹脂水溶液に調整した。得られた親水性樹脂P−4の分子量は、Mn=1,310,000、Mw=3,620,000であった。また、該親水性樹脂P−4水溶液の25℃におけるブルックフィールド粘度は26000センチポイスであった。
【0080】
上記親水性樹脂P−4を用い、実施例1と同様の組成で感光性樹脂組成物水溶液を調整し、印刷版を作成し、描画および印刷評価を行った。印刷試験の結果、光の未照射部にはインクが全く付かず、一方、照射部にはインクが十分に付着し、描画した画像が印刷用紙上に再現された。5千枚印刷後でも未照射部にはインクが全く付かず、照射部へのインク付着性も損なわれなかった。また未露光版について実施例1と同様に堅牢度試験機による擦り試験を行った。擦り試験後に感光層の剥離は確認されず、十分な耐刷強度を有することを確認した。
【0081】
実施例5
純水500gをフラスコに仕込み、窒素をバブリングして溶存酸素を除去した後、80℃に昇温した。窒素ガスを上記フラスコに流しながら、そこにアクリルアミド127.54g、2−ヒドロキシエチルアクリレート14.17g、メタリルスルホン酸ナトリウム0.632g、メチレンビスアクリルアミド0.298g、純水202.58gからなるモノマー溶液と純分84%の4,4’‐アゾビス‐4‐シアノ吉草酸0.18gを水55gに溶解した開始剤の水溶液を、内温を80℃に維持しながら、別々に2.5時間に渡り連続滴下した。滴下終了後80℃で3時間重合を続けた後、冷却し、重合溶液をフラスコより抜き出した。該重合溶液に適当量の水を加え固形分15%の親水性樹脂水溶液に調整した。得られた親水性樹脂P−5の分子量は、Mn=1,460,000、Mw=3,430,000であった。また、該親水性樹脂P−5水溶液の25℃におけるブルックフィールド粘度は23000センチポイスであった。
【0082】
上記親水性樹脂P−5を用い、実施例1と同様の組成で感光性樹脂組成物水溶液を調整し、印刷版を作成し、描画および印刷評価を行った。印刷試験の結果、光の未照射部にはインクが全く付かず、一方、照射部にはインクが十分に付着し、描画した画像が印刷用紙上に再現された。5千枚印刷後でも未照射部にはインクが全く付かず、照射部へのインク付着性も損なわれなかった。また未露光版について実施例1と同様に堅牢度試験機による擦り試験を行った。擦り試験後に感光層の剥離は確認されず、十分な耐刷強度を有することを確認した。
【0083】
比較例1
純水350gをフラスコに仕込み、窒素をバブリングして溶存酸素を除去した後、80℃に昇温した。窒素ガスを上記フラスコに流しながら、そこにアクリルアミド67.5g、2−ヒドロキシエチルアクリレート7.5gからなるモノマー溶液と過硫酸カリウム2.45gを水50gに溶解した開始剤の水溶液を、内温を80℃に維持しながら、別々に2時間に渡り連続滴下した。滴下終了後80℃で3時間重合を続けた後、冷却し、重合溶液をフラスコより抜き出した。該重合溶液に適当量の水を加え固形分15%の親水性樹脂水溶液に調整した。得られた親水性樹脂Q−1の分子量は、Mn=56,000、Mw=112,000であった。また、該親水性樹脂Q−1水溶液の25℃におけるブルックフィールド粘度は430センチポイスであった。
【0084】
上記親水性樹脂Q−1を用い、実施例1と同様の組成で感光性樹脂組成物水溶液を調整し、印刷版を作成し、描画および印刷評価を行った。5千枚印刷した後、印刷版を確認したところ、感光層が一部剥離しており、また、印刷紙面にはそれに対応する部分にインクが付着していることが確認された。また未露光版について実施例1と同様に堅牢度試験機による擦り試験を行ったところ、擦り試験後に感光層の剥離が確認された。
【0085】
比較例2
純水350gをフラスコに仕込み、窒素をバブリングして溶存酸素を除去した後、80℃に昇温した。窒素ガスを上記フラスコに流しながら、そこにアクリルアミド67.5g、2−ヒドロキシエチルアクリレート7.5gからなるモノマー溶液と過硫酸カリウム0.3gを水50gに溶解した開始剤の水溶液を、内温を80℃に維持しながら、別々に2時間に渡り連続滴下した。滴下終了後80℃で3時間重合を続けた後、冷却し、重合溶液をフラスコより抜き出した。該重合溶液に適当量の水を加え固形分15%の親水性樹脂水溶液に調整した。得られた親水性樹脂Q−2の分子量は、Mn=280,000、Mw=614,000であった。また、該親水性樹脂Q−2水溶液の25℃におけるブルックフィールド粘度は89000センチポイスであった。
【0086】
上記親水性樹脂Q−2を用い、実施例1と同様の組成で感光性樹脂組成物水溶液を調整した。Q−2は粘度が高い為、上記感光性樹脂組成物水溶液の調整は非常に困難であった。
次いで、厚さ0.2mmのポリエステルフィルムに該感光性樹脂組成物水溶液を、ドクターブレードを用いて塗布した後、130℃で15分間乾燥し、2μmの膜厚の感光層を成膜して平版印刷用原版を作成した。該印刷原版は感光層の塗布ムラが確認された。
この版を実施例1と同様の操作で画像の描画を行い、印刷に供した。5000枚の印刷過程において、経時での品質劣化は認められなかったが、印刷の初期より感光層の塗布ムラに対応する汚れが確認された。
なお、未露光版について実施例1と同様に堅牢度試験機による擦り試験を行ったところ、擦り試験後に感光層の剥離は確認されず、十分な耐刷強度を有することを確認した。
【0087】
参考例1
水500gをフラスコに仕込み、窒素をバブリングして溶存酸素を除去した後、80℃に昇温した。窒素ガスを上記フラスコに流しながら、そこにアクリルアミド127.54g、2−ヒドロキシエチルアクリレート14.17g、メチレンビスアクリルアミド0.298g、純水202.58gからなるモノマー溶液と純分84%の4,4’‐アゾビス‐4‐シアノ吉草酸0.18gを水55gに溶解した開始剤の水溶液を、内温を80℃に維持しながら、別々に連続滴下した。滴下途中で反応液の流動性がなくなりゲル化した。このゲル化樹脂をR‐1とする。R‐1はそれ以上希釈しても分散溶解せず、諸物性値を測定することはできなかった。また、R−1を用いて感光性樹脂組成物水溶液を調整することはできなかった。
【0088】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物を用いた平版印刷用版により、現像や拭き取り等の工程が不要で、且つ、親水性と耐刷性に優れた平版印刷版を提供することができる。

Claims (6)

  1. 少なくとも親水性樹脂を用いる平版印刷用感光性樹脂組成物において、上記親水性樹脂15重量%水溶液の25℃におけるブルックフィールド粘度が100〜30,000センチポイズであり、重量平均分子量が200,000以上であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
  2. 親水性樹脂の15重量%水溶液の25℃におけるブルックフィールド粘度(V)(センチポイズ)と重量平均分子量(Mw)の関係が、log(V)/log(Mw) ≦0.85である請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  3. 親水性樹脂が、下記一般式(1)で示される化合物およびそれらの塩類から選ばれる1種以上を用いて反応して得られるものである請求項1乃至2記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2004276509
    (式中Rは、水素原子または低級アルキル基、nは1〜8の整数を示す。)
  4. 親水性樹脂が、少なくともアクリルアミドと、架橋性モノマーと、一般式(1)で示される化合物およびそれらの塩類から選ばれる1種以上のビニル化合物を重合して得られる親水性樹脂である請求項1乃至3記載の感光性樹脂組成物。
  5. 平版印刷用感光性樹脂組成物が、少なくとも親水性樹脂、架橋剤、疎水性樹脂および光吸収剤からなる請求項1乃至4記載の感光性樹脂組成物。
  6. 湿し水を用いる平版印刷用版において、請求項1乃至5記載の感光性樹脂組成物を架橋してなる親水性樹脂感光層を有する平版印刷用原版。
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