JP2001033950A - 平版印刷版およびその製造方法 - Google Patents

平版印刷版およびその製造方法

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JP2001033950A
JP2001033950A JP2000146616A JP2000146616A JP2001033950A JP 2001033950 A JP2001033950 A JP 2001033950A JP 2000146616 A JP2000146616 A JP 2000146616A JP 2000146616 A JP2000146616 A JP 2000146616A JP 2001033950 A JP2001033950 A JP 2001033950A
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hydrophilic
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JP2000146616A
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English (en)
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Tomoyoshi Sasagawa
知由 笹川
Sumio Hirose
純夫 広瀬
Hiroshi Mase
比呂志 間瀬
Yuko Suzuki
祐子 鈴木
Toru Sato
徹 佐藤
Takatsuru Matsumoto
香鶴 松本
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 主として樹脂を用いた親水層を有する平版印
刷版において,親水層の親水性と耐水性を向上させる。 【解決手段】 支持体上に,それ自身では実質的に硬化
反応を起こさない非硬化性樹脂と,それ自身が単独ある
いは触媒を用いて硬化反応を起こす低分子量の硬化性樹
脂とを硬化させて得られるものであり、かつ少なくとも
2相以上の相を有する相分離構造を持つ親水層を有する
平版印刷版

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版に関する
ものであり、特に主として樹脂からなる親水層を有する
平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版とは平版印刷に用いられる印
刷版であり、印刷版の表面はインクを付着する画線部
と、インクを付着せずに反発する非画線部とからなって
いる。通常は0非画線部は水を吸着し保持する表面にな
っており、実際の印刷ではまず非画線部に水を与えるこ
とにより非画線部がインクを反発するようになる。従っ
て、平版印刷版では非画線部は親水性材料からなってお
り、この親水性材料の特性は平版印刷版の性能を大きく
左右する。
【0003】平版印刷版として最も普及している印刷版
は通常PS版と呼ばれており、親水性材料となる表面を
砂目立てしたのち陽極酸化を行ったアルミニウム板の上
に、インク付着性の感光性材料からなる層が形成されて
いる。このPS版に対し画像に従い露光を行い、画線部
以外の感光層材料を除去し、下地の親水性アルミニウム
表面を露出させることにより印刷版上に画線部と非画線
部からなる画像が形成される。
【0004】露光後に感光層を除去するプロセスは現像
と呼ばれるが、通常アルカリ性の溶液や、有機溶媒が用
いられるので、その廃液の処理が必要であり環境面から
大きな問題になりつつある。
【0005】また、親水性材料である陽極酸化アルミニ
ウムは平版の親水性材料として実用上優れており広く使
用されているが、製造工程が複雑で多くの化学処理を必
要とするためその簡易化と化学処理廃液の低減が望まれ
ている。
【0006】このような問題を解決するための一つの手
段として、陽極酸化アルミニウムと同等以上の印刷適性
を有し、安価で簡易に製造できる樹脂を用いた印刷版用
親水性材料が検討されている。
【0007】さらに、親水性材料として樹脂を用いるこ
とにより、樹脂そのものに感光性を持たせたり、表面に
親油性の樹脂を付着させたり、樹脂の表面性のみを変更
して液体による現像工程無しに製版することも可能とな
る。
【0008】樹脂を用いた親水性材料の具体例としては
以下のようなものがある。特公昭56−2938号公報
では、尿素樹脂と二酸化チタン等の顔料を混合し、硬化
したものを親水層とし、その上にジアゾ樹脂からなる感
光層を設けた平版印刷版が提案されている。しかし、こ
の印刷版では尿素樹脂の親水性が不十分なため、印刷枚
数が多くなると本来インクが付着しないはずの親水層表
面にインクが付着し、印刷物の非画線部がインクで汚れ
てしまうという問題がある。さらに、尿素樹脂層とジア
ゾ樹脂との密着性が低く耐刷性が悪いという欠点もあっ
た。
【0009】特開昭60−52392号公報、特開昭6
3−249695号公報、特開昭63−262288号
公報、特開昭63−309441号公報等では、疎水性
の(架橋)高分子表面をスルホン化して親水性表面とし
た印刷版と、その表面にインクジェット方式で画像を記
録する方法が提案されている。また、特開昭57−17
9852号公報ではエポキシ樹脂等の表面にアクリルア
ミド等の親水性モノマーを表面光グラフト重合すること
により形成した親水性表面を用いた印刷版が提案されて
いる。しかし、これらの印刷版はごく表面のみが親水化
されているため特に高速、長時間の印刷では摩擦により
親水性が失われてしまうという問題がある。
【0010】また、樹脂を用いた親水層としては特開昭
48−9802号公報、特開昭57−205196号公
報、特開昭63−317388号公報等のように電子写
真技術により製版される印刷版に用いられているものが
知られている。これらの印刷版では親水性ポリマーバイ
ンダー中に酸化亜鉛等の無機顔料を分散したものが親水
層として用いられるが、そのままではインク反発性が不
十分でエッチングと呼ばれる親水化処理が必要である。
【0011】このように、樹脂を用いた親水性材料で
は、十分な親水性と、水を吸着した状態での機械的強
度、すなわち耐水性がトレードオフの関係にあり、無処
理で良好な特性を示す材料は今のところ知られていな
い。
【0012】最近では、特開平10−16176号公
報、特開平10−58636号公報、特開平10−62
970号公報等のように上記トレードオフを解消するた
めに親水性材料として相分離構造を有する親水層材料が
提案されている。しかし、これらの印刷版では親水性ポ
リマー溶液と疎水性ポリマーのラテックスを混合したも
のを塗布して製造しているため、十分な耐水性を得るた
めに多量の疎水性ポリマーが必要であり、親水性と耐水
性を両立させることはやはり困難である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、無処理で親水性と耐水性を両立させることができる
印刷版用親水層樹脂材料を有する印刷版とその製造方法
を得ることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、以下
の(1)から(14)により特定されるものである。
【0015】(1)支持体上に、主として樹脂からなる
親水層を有する平版印刷版において、該親水層が、それ
自身では実質的に硬化反応を起こさない非硬化性樹脂
と、それ自身が単独あるいは触媒を用いて硬化反応を起
こす低分子量の硬化性樹脂とを硬化させて得られるもの
であり、かつ該親水層が、少なくとも2相以上の相を有
する相分離構造を持つことを特徴とする平版印刷版。
【0016】(2)非硬化性樹脂および硬化性樹脂のう
ち少なくとも一方が親水性樹脂であることを特徴とする
(1)記載の平版印刷版。
【0017】(3)非硬化性樹脂および硬化性樹脂の両
方が親水性樹脂であることを特徴とする(1)記載の平
版印刷版。
【0018】(4)相分離構造が海−島構造であること
を特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の平版印
刷版。
【0019】(5)島状部の平均直径が、4μm以下で
あることを特徴とする(4)記載の平版印刷版。
【0020】(6)相分離構造の2相が共に連続相とな
る構造であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれ
かに記載の平版印刷版。
【0021】(7)親水層表面における各相の最大幅が
4μm以下であることを特徴とする(6)記載の平版印
刷版。
【0022】(8)親水層に光吸収剤を含有してなるこ
とを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の平版
印刷版。
【0023】(9)光吸収剤が750〜1100nmの
光を吸収することを特徴とする(8)記載の平版印刷
版。
【0024】(10)支持体上に、それ自身では実質的
に硬化反応を起こさない非硬化性樹脂と、それ自身が単
独あるいは触媒を用いて硬化反応を起こす低分子量の硬
化性樹脂とを混合した塗液を塗布し硬化させ、少なくと
も2相以上の相を有する相分離構造を持つ親水層を形成
することを特徴とする平版印刷版の製造方法。
【0025】(11)親水層に光吸収剤を含有してなる
ことを特徴とする(10)記載の平版印刷版の製造方
法。
【0026】(12)光吸収剤が750〜1100nm
の光を吸収することを特徴とする(11)記載の平版印
刷版。
【0027】(13)硬化方法が熱による硬化であるこ
とを特徴とする(10)〜(12)いずれかに記載の製
造方法。
【0028】(14)硬化方法が活性輻射線による硬化
であることを特徴とする(10)〜(12)いずれかに
記載の製造方法。
【0029】
【発明の実施の形態】
【0030】以下本発明について詳しく説明する。
【0031】本発明の印刷版は、支持体上に、主として
樹脂からなる親水層を有する平版印刷版であり、該親水
層が、それ自身では実質的に硬化反応を起こさない非硬
化性樹脂と、それ自身が単独あるいは触媒を用いて硬化
反応を起こす低分子量の硬化性樹脂とを硬化させて得ら
れるもので、かつ少なくとも2相以上の相を有する相分
離構造を持つことに特徴がある。
【0032】本発明の親水層は上記構成をとることによ
り、水を吸着、保持しインクを反発する親水性の特性
と、水を吸着した状態での機械的強度が強い耐水性の特
性を高いレベルで両立させること が可能になる。この
二つの特性は互いにトレードオフの関係にあり、例えば
親水性を上げてインク反発特性を向上させると耐水性が
低下するのが通常である。親水性が高い材料と耐水性が
高い材料を混合しても両者が均一に混合した単一相で
は、互いの特徴が打ち消し合い二つの材料の平均的な特
性を示す親水層しか得られない。これに対し相分離構造
を用いれば、例えば親水性が高い材料を多く含む相と、
耐水性が高い材料を多く含む相を組み合わせることが可
能になり、適切な相分離構造を持たせれば互いの特長を
生かした親水性が高くかつ耐水性に優れた親水層を得る
ことができる。
【0033】また、ある種の親水/疎水ミクロ相分離構
造では、非常に親水性の高い超親水表面が得られること
も知られており、この効果により一層高い親水性を得る
ことも可能になる〔Wang,R.S,Nature,
388巻,431頁(1997年)〕。
【0034】本発明では、親水層が少なくとも2相以上
の相を有する相分離構造を持つことを一つの特徴であ
る。各相はそれぞれ硬化性樹脂と非硬化性樹脂の混合比
率が異なるものであり、例えば一つの相は非硬化性樹脂
を多く含有する相であり、もう一つの層は低分子量の硬
化性樹脂を多く含有する相である。
【0035】相分離構造を持つ親水層の先例としては、
先に述べた特開平10−16176号公報、特開平10
−58636号公報、特開平10−62970号公報等
がある。これら公報に記載の親水層では親水性のポリマ
ーと疎水性ポリマーのラテックスを混合し、必要に応じ
架橋剤を添加して相分離構造を形成している。このよう
な親水層は、確かに相分離の無い均一構造の場合よりは
親水性、耐水性の両立に有利ではあるが、その性能はま
だ不十分である。その理由は単にポリマー同士のブレン
ドの場合、親水性ポリマー相と疎水性ポリマー相の界面
が弱く,印刷時に親水性ポリマー相は湿し水を吸収して
膨潤するが、疎水性ポリマー相は膨潤しないので、二つ
の相間に応力がかかり、相間に剥離が生じやすく,耐刷
性に劣るからである。
【0036】また、該親水層の場合、疎水性ポリマーを
多く含み架橋剤により架橋された相が耐水性を向上させ
る役割を果たすと考えられる。ところが、一般に高分子
量のポリマーを架橋剤で架橋する場合は架橋密度を上げ
るのは困難である。そして、架橋密度が低い場合は、水
の存在下での親水性材料の吸水・軟化の影響を防ぎ十分
な耐水性を示すためには、用いるポリマーの疎水性を非
常に高くするか、疎水性ポリマーの量を増やすことが必
要になる。従って、高い親水性を保つことは困難であ
る。
【0037】一方、本発明では低分子量の硬化性樹脂を
用いている。この場合、小さな分子に多くの架橋点を与
えることが可能になり架橋密度を大きくすることが可能
になる。架橋密度が高いことにより十分な耐水性が得ら
れるため、樹脂自体の疎水性はそれほど高い必要が無
く、親水層全体の親水性を落とさずに耐水性を向上する
ことが可能になる。この点が本発明の大きな特徴になっ
ている。
【0038】また、低分子量の硬化性樹脂を用いるもう
一つのメリットは、低分子量の硬化性樹脂が非硬化性樹
脂に一部溶解してなる架橋した非硬化性樹脂相と低分子
量の硬化性樹脂に非硬化性樹脂が一部溶解してなる硬化
樹脂相からなり、これらの二相間の界面が親和性を有す
ることにより,一方の相が水を吸収しても相間の界面に
剥離を生ずることはなく、耐刷性に優れる。更に,相分
離の構造をコントロールしやすいことである。ポリマー
どうしは一般に相溶性が低く微小な相分離構造を得るの
が困難であるが、低分子量の硬化性樹脂は溶媒等を工夫
することにより比較的容易に分散粒子の大きさ、分散構
造等を変化させることができる。
【0039】以下、本発明の親水層の材料、形成方法に
ついてより具体的に説明する。本発明におけるそれ自身
では実質的に硬化反応を起こさない非硬化性樹脂として
は、薄膜を形成し親水層を形成することのできる樹脂で
あれば特に制限はないが、低分子量の硬化性樹脂と反応
する官能基を持っていることが望ましい。また、親水層
に高い親水性を与えるために親水性の樹脂であることが
望ましい。ここで言う親水性の樹脂とは、水に溶解する
もの、水に溶解しないが水を吸収するもの等通常の条件
で水を吸収する性質を持つものを意味する。
【0040】具体的には、カルボキシメチルセルロース
およびヒドロキシエチルセルロース等の親水性セルロー
ス誘導体、カゼインおよびゼラチン等の親水性蛋白質お
よびその誘導体、デンプンおよびカルボキシル化デンプ
ン等の親水性デンプン誘導体、レシチン、寒天等の天然
高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセター
ル、ポリビニルブチラール等の酢酸ビニルのホモ又はコ
ポリマーの加水分解ポリマー、及びそのポリマーのアセ
タール化又はブチラール化ポリマー(ポリビニルアルコ
ール系樹脂)、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレ
ンオキサイド等のアルキレンオキシドのホモ又はコポリ
マー(ポリアルキレンオキシド系樹脂)、水酸基、カル
ボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミド基、
アミノ基、アンモニウム基等の親水基を有する不飽和モ
ノマーのホモ、又はコポリマー(親水性ビニル系樹
脂)、水性ウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性
ポリアミド樹脂、などの合成高分子が挙げられる。
【0041】親水基を有する不飽和モノマーの具体例と
して以下のものを挙げることができる。
【0042】水酸基を有するモノマーとして、ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリ
レート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリ
レート、メチロール(メタ)アクリルアミドや、該メチ
ロール(メタ)アクリルアミドとメチルアルコールやブ
チルアルコールとの縮合物であるメトキシメチル(メ
タ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリル
アミド、アリルアルコール等が挙げられる。
【0043】カルボキシル基を有するモノマーとして
は、(メタ)アクリル酸等の一塩基不飽和酸、イタコン
酸、マレイン酸及びその無水物、フマル酸等の二塩基不
飽和酸やこれら二塩基酸のモノエステルやモノアミド等
が挙げられる。
【0044】スルホン酸基を有するモノマーとしては、
ビニルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリルアミドメチルプロパンスルホン
酸、ビニルメチルスルホン酸、イソプロぺニルメチルス
ルホン酸、(メタ)アクリル酸にエチレンオキシド、又
はプロピレンオキシドを付加したアルコールの硫酸エス
テル(例えば、三洋化成工業(株)のエレミノールRS
−30)、(メタ)アクリロイロキシエチルスルホン
酸、モノアルキルスルホ琥珀酸エステルとアリル基を有
する化合物とのエステル(例えば、三洋化成工業(株)
のエレミノールJS2、花王(株)のラテムルS−18
0、又はS180A)、モノアルキルスルホ琥珀酸エス
テルとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成
物、及び日本乳化剤cのAntox MS60等が挙げ
られる。
【0045】ホスホン酸基を有するモノマーとしては、
ビニルリン酸、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)
(メタ)アクリレート、リン酸モノアルキルエステルの
モノ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリレート等
が挙げられる。
【0046】また、前記したカルボキシル基、スルホン
酸基、ホスホン酸基を有するモノマーは酸基がナトリウ
ム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、カルシウ
ム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アンモニア、
メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エ
チルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のア
ルキルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミ
ン、エチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールア
ミン、ジエチルエタノールアミン等のアルカノールアミ
ン等のアミン類で中和されていても良く、又、重合した
後で中和しても良い。
【0047】アミド基を有するモノマーとしては、(メ
タ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミ
ド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリ
ルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)ア
クリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミ
ド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、メチロール
(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アク
リルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、
スルホン酸プロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)
アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−
ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等が、更
に前記した二塩基不飽和酸のモノアミドやジアミドも挙
げられる。アミノ基を有するモノマーとしては、ジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート等や、更にN−ビニルホル
ムアミドやN−ビニルアセトアミドを重合した後加水分
解することによってもアミノ基を導入することが出来
る。アンモニウム基を有するモノマーとしては、トリメ
チルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート・クロラ
イド、トリエチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレ
ート・クロライド等が挙げられる。これらの不飽和モノ
マーは1種又は2種以上を用いても良い。
【0048】また、上記の親水性樹脂は架橋反応の官能
基を導入したり親水性を調整する目的のために他のモノ
マーとの共重合体や各種の変性を行うことができる。他
のモノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレー
ト、アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシ
ル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレ
ン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニ
ル等が挙げられる。尚、前記の記述に於いて、(メタ)
アクリル酸、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル
アミド等はそれぞれアクリル酸とタアクリル酸、アクリ
レートとメタアクリレート、及びアクリルアミドとメタ
アクリルアミドの両者を意味する。
【0049】これらのうちより好ましいものは、ポリビ
ニルアルコール系樹脂、親水性ビニル系樹脂親水性セル
ロース誘導体系樹脂、等である。
【0050】本発明における、それ自身が単独あるいは
触媒を用いて硬化反応を起こす低分子量の硬化性樹脂と
は、該樹脂が自己硬化(架橋)するだけでなく、前記非
硬化性樹脂とも硬化(架橋)反応を起こす。そしてこの
硬化反応は熱や光により起こる樹脂であれば特に制限は
ないが、架橋密度を高めるために多官能のものが望まし
い。また、平均分子量は、好ましくは20000以下、
より好ましくは5000以下、1000以下であれば最
も良好な結果が得られる。さらに、親水層の親水性を高
めるために親水性の高いものがより好ましい。
【0051】具体例としては、エポキシ樹脂、メラミン
樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹
脂、自己架橋性を有するポリイソシアネート化合物およ
びそのブロック化物、などの熱架橋性樹脂、 多官能ビ
ニル化合物、ジアゾ樹脂等の光架橋性樹脂を用いること
ができる。
【0052】より好ましくは以下の例を挙げることがで
きる。メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂
は通常、メラミン、尿素、ベンゾグアナミンのアミノ基
をホルマリンでメチロール化した樹脂、及び該メチロー
ル基を更にメタノール、エタノール、ブタノール等でア
ルコキシ化した樹脂であるが、全てのアミノ基をアルコ
キシメチル化したものは自己硬化反応を起こし難く好ま
しくなく、ヒドロキシメチル基、イミノ基を有する樹脂
が好ましい。フェノール樹脂としてレゾール型フェノー
ル樹脂が、又、エポキシ樹脂としてはトリエチレングリ
コールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグ
リシジルエーテル、グリセリンにエチレンオキシドを付
加したトリオールのトリグリシジルエーテル等の水溶性
エポキシ樹脂、多官能ビニル化合物としてはジエチレン
グリコールジアクリレート等の親水性ポリアクリレート
化合物を挙げることができる。
【0053】本発明において、非硬化性樹脂と硬化性樹
脂の混合比は、非硬化性樹脂と硬化性樹脂の相互溶解性
や目的とする相分離構造の形や大きさによって適切に選
ぶ必要がある。通常は固形分で非硬化性樹脂:硬化性樹
脂=5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜
90:10、さらに好ましくは20:80〜80:20
である。非硬化性樹脂の割合は、多すぎると機械的強度
が不足するため耐水性が低下する傾向が、少なすぎると
架橋密度が上がり吸水性が低下するため親水性が不足す
る傾向があり、共に好ましくない。また、必要に応じ酸
や酸発生剤、ラジカル発生剤等の触媒、反応開始剤を添
加することができる。
【0054】本発明においては、支持体上に適当な溶媒
に非硬化性樹脂と硬化性樹脂を溶解あるいは分散させて
得られる塗液を塗布し、熱あるいは活性光線により硬化
させることにより親水層を形成できる。
【0055】相分離構造が安定に形成されるように硬化
性樹脂は硬化前あるいは硬化後に非硬化性樹脂とは完全
には相溶しないことが望ましい。このような樹脂を組合
わせることにより特別な添加剤を加えなくても相分離構
造を容易に形成することが可能になる。
【0056】親水層は通常塗布により形成される。この
時の溶媒は通常水を用いるが、相分離構造の制御、材料
の溶解性向上、乾燥速度や粘度の調整を目的にメタノー
ル、ブタノール、メチルセロソルブ、アセトン、ジメチ
ルホルムアミド等を混合して用いても良い。また、その
他の有機溶媒を用いることも可能である。
【0057】別の相分離構造の形成方法としては、相溶
性が低く用いられる樹脂の溶解性の異なる2種の溶媒を
用いる方法も考えられる。例えば、水溶解性の高い非硬
化性樹脂と、有機溶媒に溶解する硬化性樹脂を、水と比
較的高沸点の有機溶媒の分散溶液に溶かして塗布・硬化
を行えば良い。このようにすれば、液体状態では非硬化
性樹脂は主に有機溶媒相中に存在しており、硬化反応を
行いながら有機溶媒を除去すれば液体状態での相分離構
造を保ったままの硬化膜が得られる。
【0058】相分離構造を得るためには、適切な分散剤
を用いる方法も可能であるが、この場合親水性や耐水性
に悪影響を及ぼさないように分散剤の種類と量を適切に
選択する必要がある。
【0059】塗布後の硬化は、熱による方法と、活性輻
射線、特に光を用いる方法がある。熱を用いる場合は、
温風や赤外線加熱等が用いられる。条件は用いる材料に
対して適切に選ぶ必要があるが、通常室温から200
℃、数分から10時間程度である。熱硬化の場合には、
用いる硬化性樹脂の特性に合わせて酸やアルカリ、ラジ
カル発生剤等の各種の触媒を用いることができる。
【0060】光を用いる場合は、紫外線ランプ、可視光
ランプ、各種レーザー等各種の光源を用いる事ができ
る。その他、電子線、X線等他の活性輻射線を用いても
良い。熱硬化の場合と同様に光硬化の場合も光ラジカル
発生剤のような反応開始剤や触媒を加えることができ
る。
【0061】親水層の厚さは特に制限はないが、通常硬
化後の厚さが0.1μm〜100μm、より好ましくは
0.5μm〜20μmである。あまり薄いと機械的強度
が不足し、あまり厚いと吸水量が多すぎて問題を起こし
やすい。
【0062】こうして形成した親水層は相分離構造を持
っている。相分離構造としては連続相の中に分散相が分
布しているいわゆる海−島構造や、二つの連続相が層状
に不規則に入り組んだ構造等どのような構造でもかまわ
ない。しかし、例えば、海−島構造であれば島状部の大
きさ、層状構造であれば各層の幅等で表わされる相分離
構造の大きさは印刷に必要な解像度により制限を受け
る。
【0063】すなわち通常の印刷に必要な解像度は10
μm程度であり、相分離構造の大きさが10μmより十
分小さいことが必要である。従って、これらの相分離構
造の大きさは4μm以下であることが望ましい。このよ
うな相分離構造は、光学顕微鏡、電子顕微鏡、走査型プ
ローブ顕微鏡(SPM)等で観察することが出来る。海−
島構造がある場合もこれらの方法により観察することが
でき、島状構造の平均粒径を求めることができる。島状
構造の平均粒径は、通常の印刷に必要な解像度から考慮
して10μmより十分小さいことが必要であり、4μm
より小さいことが好ましい。島状構造や層状構造におい
て、ナノメートルのオーダーの大きさであっても構わな
いが、島状構造体の粒径分布や層の入り組み方等との関
係において最適のサイズを選択することができる。
【0064】親水層中には、本発明の目的を損なわない
範囲において他の材料を加えることが可能である。例え
ば、レベリング剤や粘度調整剤等の塗布性や成膜性を改
良する材料、露光後の画像の検査を容易にするための着
色剤、親水層に柔軟性を与える可塑剤、界面活性剤、親
水層の親水性、耐水性及び着インク性を更に改良するた
めに、無機フィラーや有機フィラー、及び、スチレン系
エマルジョン、アクリル系エマルジョン、酢酸ビニル系
エマルジョン、ブタジエン系エマルジョン、ウレタン樹
脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン等の樹脂エ
マルジョンなどが挙げられる。
【0065】本発明の印刷版に用いる支持体は寸法的に
安定な板状、シート状あるいは筒状のものであり、通常
の印刷機にセットできるたわみ性を有し、印刷時にかか
る各種の力に耐えうるものであれば特に制限はなく、例
えば紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレー
ト)、金属(例えばアルミニウム、クロム、ニッケルあ
るいはそれらの合金の板や箔)等が挙げられる。さら
に、これらの支持体を複合したり、表面処理したりした
ものでも良く、例えばコート紙、アルミニウム蒸着ポリ
エステルフィルム、租面化および陽極酸化処理等により
表面を親水化したアルミニウム板等が用いられる。
【0066】これらの支持体のうち最も好適に用いられ
るものは、ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび
アルミニウム板である。
【0067】支持体の厚さには必要な特性を満たす限り
特に制限はないが、通常10μm〜2mm好ましくは2
0μm〜1mmである。
【0068】このような親水性材料を用いた印刷版上に
画像を形成する方法としては以下に述べる既知の各種の
方法が利用可能である。
【0069】本発明の親水層上に、感光性樹脂からな
るインク付着層(感光層)を設け、感光層への画像露
光、及び現像を行う方法。
【0070】本発明の親水層上に、光を吸収し発熱・
分解する材料からなるインク付着層を設け、強い光を照
射することによりいわゆるアブレーションを行いインク
付着層を除去する方法。
【0071】電子写真法や、インクジェット法により
親水層上にインク付着の画像を直接形成する方法。
【0072】光により溶媒溶解性が変化する特性を持
たせた感光性親水層をインク付着層上に設け、光照射と
溶媒による現像により画線部の親水層を除去しインク付
着性表面を露出させる方法。
【0073】インク付着層の上に光を吸収し発熱する
材料(光吸収剤)を加えた本発明の親水層を設け、強い
光を照射することによりいわゆるアブレーションを行い
親水層を除去してインク付着性表面を露出させる方法。
【0074】支持体上に光吸収剤を含有した本発明の
親水層を設け、光を照射して該親水層の親水性を親イン
ク性に変化させる方法。
【0075】支持体上に光吸収剤を含有した本発明の
親水層に更に感光性化合物を含有させ、光に露光した
後、印刷機に装着し、湿し水で未露光部の感光性化合物
を洗い流す方法。
【0076】これらの技術については山岡亜夫監修「実
用高分子レジスト材料の新展開」〔(株)シーエムシー
(1997年)173〜184頁〕や「最新プリンティ
ングテクノロジー」〔(株)東レリサーチセンター(1
998年)119〜144頁〕に詳しく述べられてい
る。
【0077】このうち、現像装置による現像が不要であ
るという点で、、、、などの方式が望まし
い。特に、、が特に好ましい。
【0078】、、の方式で用いられる光吸収剤と
しては、シアニン系色素、ポリメチン系色素、フタロシ
アニン系色素、ナフタロシアニン系色素、アントラシア
ニン系色素、ポルフィリン系色素、アゾ系色素、ベンゾ
キノン系色素、ナフトキノン系色素、ジチオール金属錯
体類、ジアミンの金属錯体類、ニグロシン、カーボンブ
ラック等が挙げられる。これらの光吸収剤に於いては、
明室での取り扱い性、露光機に用いる光源の出力や使い
易さの点から750〜1100nmの領域の光を吸収す
る光吸収剤が好ましい。光吸収剤の吸収波長域に関して
は置換基やπ電子の共役系の長さ等により変えることが
できる。これらの光吸収剤は刷版用の親水性樹脂組成物
や親水親油変化層に溶解していても、また分散していて
も良い。光吸収剤の使用量は本発明の親水層を構成する
非硬化樹脂と低分子量硬化樹脂の合計量に対して、好ま
しくは1〜20重量%、更に好ましくは2〜15重量%
である。
【0079】本発明の印刷版には上記以外にも各種の層
を加えることができる。例えば、支持体や各層間の密着
性を上げる下引き層、接着層、又、光吸収機能を分離し
た光吸収層、更に、輸送中の傷等を防止する表面保護層
や保護フィルム、光を有効に利用するための反射層、ハ
レーション防止層、画像を目視で検査しやすくするため
の着色層等任意の層を加えることができる。
【0080】
【実施例】以下、本発明の実施例について具体的に説明
するが、本発明の実施の態様はこれにより限定されるも
のではない。
【0081】(実施例1)表面処理により接着性が改良
されたポリエステルフィルム(東洋紡A4100)上
に、非硬化性樹脂としてポリビニルアルコール系樹脂、
低分子量硬化性樹脂としてメラミン樹脂からなる親水層
を形成して印刷版を得た。親水層の形成は下記の組成の
塗液をワイヤーバーを用いて塗布し、140℃、3時間
加熱・硬化させることにより行った。
【0082】〔塗液組成〕 ポリビニルアルコール系樹脂(クラレKL−318の2
0%水溶液):240g メラミン樹脂(三井サイテック(株)製のサイメル32
5、イミノ基型メチル化メラミンの80%イソブタノー
ル溶液):40g 硬化触媒(ドデシルベンゼンスルホン酸):1g 水:20g
【0083】親水層の厚さは2.7μmであった。この
親水層表面を電子顕微鏡で観察するとポリビニルアルコ
ールを主成分とする連続相の中に、硬化したメラミン樹
脂を主成分とする球形の島状相が分散している構造を持
つことが確認できた。島状相の平均粒径は0.2μmで
あり最大でも1μmであった。
【0084】この親水層について、親水性と耐水性を評
価した。評価は、上記の印刷版を市販のオフセット印刷
機〔シナノケンシ(株)製 PLEXTOR AR−0
10X〕に取り付け、通常の印刷条件で親水層に水とイ
ンクを与えて印刷を行い親水層の撥インク性と繰り返し
耐刷性を測定することにより行った。
【0085】印刷用紙上には全くインクは付着せず、こ
の印刷版の親水層は水を吸収し完全にインクをはじくこ
とがわかった。また、3,000枚の印刷を繰り返して
も親水層の機械的劣化は認められず十分な耐水性を持つ
ことがわかった。
【0086】(実施例2)実施例1の塗液組成のうち、
水20gをメチルセロソルブ20gに変更した以外は実
施例1と全く同様に印刷版を製造した。
【0087】親水層の厚さは2.8μmであった。メチ
ルセロソルブを加えることにより相分離構造が変化し、
この親水層ではポリビニルアルコール系樹脂を主成分と
する相とメラミン樹脂を主成分とする相が層状に入り組
んだ構造を持っていることがわかった。各層の厚さは最
大で2μmであった。この印刷版を実施例1と同様に評
価した。印刷用紙上には全くインクは付着せず、この印
刷版の親水層は水を吸収し完全にインクをはじくことが
わかった。また、3,000枚の印刷を繰り返しても親
水層の機械的劣化は認められず十分な耐水性を持つこと
がわかった。
【0088】(実施例3)メラミン樹脂を尿素樹脂に変
更し以下のような塗液を用いて実施例1と同様に印刷版
を製造した。
【0089】〔塗液組成〕 ポリビニルアルコール系樹脂(クラレPVA−224の
20%水溶液):120g 尿素樹脂〔Cambanisらの方法(J.Appl.
Polym.Sci,15巻(1971年),1911
頁)により合成、ホルマリン/尿素のモル比=1.7、
40%水溶液、平均分子量350):40g 硬化触媒(塩化アンモニウム):1g 水:16g イソブタノール:4g
【0090】親水層の厚さは2.4μmであった。この
親水層表面を電子顕微鏡で観察するとポリビニルアルコ
ール系樹脂を主成分とする連続相の中に、硬化した尿素
樹脂を主成分とする球形の島状相が分散している構造を
持つことが確認できた。島状相の平均直径は0.1μm
であり最大でも0.8μmであった。印刷用紙上には全
くインクは付着せず、この印刷版の親水層は水を吸収し
完全にインクをはじくことがわかった。また、3,00
0枚の印刷を繰り返しても親水層の機械的劣化は認めら
れず十分な耐水性を持つことがわかった。
【0091】(比較例1)実施例3の塗液組成のうち、
水16gとイソブタノール4gを水20gに変更した以
外は実施例3と全く同様に印刷版を製造した。
【0092】親水層の厚さは2.5μmであった。尿素
樹脂およびその硬化物はポリビニルアルコールとの相溶
性が良く、相分離を助けるイソブタノールが存在しない
場合には親水層は均一で相分離構造は見られなかった。
この印刷版を実施例1と同様に評価した。この印刷版は
完全にはインクをはじかず、印刷用紙上に薄くインクが
付着した。耐水性は3,000枚以上と十分であった。
【0093】インクが付着した理由は、やや親水性の劣
る尿素樹脂がポリビニルアルコール系樹脂中に均一に混
合したことにより親水層の親水性が低下したためと考え
られる。
【0094】(比較例2)実施例1に於いて、メラミン
樹脂40gの変わりに比較例1の尿素樹脂量を20g用
いて実施例1と全く同様に印刷版を製造した。この場合
も比較例1と同様親水層は均一で相分離構造は見られな
かった。この印刷版を実施例1と同様に評価した。この
印刷版は完全にはインクをはじかず、印刷用紙上に薄く
インクが付着した。さらに、耐水性も比較例1より悪化
し1,000枚で親水層の一部がはがれてしまった。
【0095】一般に、より疎水性である尿素樹脂の量を
減らすほど親水性が向上する代わりに耐水性が落ちると
考えられる。比較例2では尿素樹脂を減らしても親水性
は不十分でさらに耐水性も不十分になることがわかる。
このように比較例1、2のように相分離構造を持たない
場合は、相分離構造を有する実施例3と異なり、親水性
と耐水性を両立させることは困難であることがわかる。
【0096】(比較例3)メラミン樹脂をアクリル系水
性ラテックスに変更し以下のような塗液を用いて実施例
1と同様に印刷版を製造した。
【0097】〔塗液組成〕 ポリビニルアルコール系樹脂(クラレ、PVA−224
の20%水溶液):132g 水性ラテックス(三井化学、ボンロンS415、44%
水溶液):40g 水:20g
【0098】親水層の厚さは2.6μmであった。この
親水層ではポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする
相とアクリル系ラテックスを主成分とする相が層状に入
り組んだ構造を持っていることがわかった。各層の厚さ
は最大で2.5μmであった。この印刷版を実施例1と
同様に評価した。この印刷版は完全にはインクをはじか
ず、印刷用紙上に薄くインクが付着した。耐水性も約
2,000枚で親水層の一部が剥離し不十分であった。
この比較例は、特開平10−62970号公報の記載に
したがって製造したものであるが、相分離構造を持つ親
水層であっても、硬化性の樹脂を用いない場合には親水
性と耐水性を両立させることが困難であることがわか
る。
【0099】(実施例4)実施例1のポリビニルアルコ
ール系樹脂240gを、ポリアクリルアミド系樹脂(三
井化学、ホープロン3100E、15%水溶液)320
gに変更した以外は実施例1と全く同様に印刷版を製造
した。
【0100】親水層の厚さは2.3μmであった。この
親水層表面を電子顕微鏡で観察するとポリアクリルアミ
ド系樹脂を主成分とする連続相の中に、硬化したメラミ
ン樹脂を主成分とする球形の島状相が分散している構造
を持つことが確認できた。島状相の平均直径は0.25
μmであり最大でも1.5μmであった。この印刷版を
実施例1と同様に評価した。印刷用紙上には全くインク
は付着せず、この印刷版の親水層は水を吸収し完全にイ
ンクをはじくことがわかった。また、3,000枚の印
刷を繰り返しても親水層の機械的劣化は認められず十分
な耐水性を持つことがわかった。
【0101】(実施例5)実施例1〜4で得られたそれ
ぞれの印刷版の上に、市販のPPC複写機で画像を形成
した。これをオフセット印刷機にかけ上質紙上に印刷を
行ったところ鮮明な印刷物が得られた。
【0102】実施例1〜4、比較例1〜3の結果を表1
にまとめた。
【0103】(実施例6)実施例4の親水層用の塗液組
成物に、更にIR−125(アクロス社製のシアニン色
素)を4g添加した塗液を用いて、実施例1と同じ方法
で印刷版を作成した。
【0104】親水層の厚さは2.3μmであった。この
親水層表面を電子顕微鏡で観察すると実施例4と同じよ
うにポリアクリルアミド系樹脂を主成分とする連続相の
中に、硬化したメラミン樹脂を主成分とする球形の島状
相が分散している構造を持つことが確認できた。島状相
の平均直径は0.25μmであり最大でも1.5μmで
あった。この印刷版を実施例1と同様に評価した。印刷
用紙上には全くインクは付着せず、この印刷版の親水層
は水を吸収し完全にインクをはじくことがわかった。ま
た、10,000枚の印刷を繰り返しても親水層の機械
的劣化は認められず十分な耐水性を持つことがわかっ
た。
【0105】(実施例7)アクリルアミド:アクリル
酸:ヒドロキシエチルアクリレート:メチルアクリレー
ト=70:5:15:10(重量比)からなる分子量3
5000のポリアクリルアミド系樹脂の15%水溶液3
47g、メラミン樹脂(三井サイテック製のサイメル7
01、イミノ基型のメチル化メラミンの82%イソブタ
ノール溶液)を34g、ドデシルベンゼンスルホン酸を
1g、及びシアニン色素(ST−1289、SYNTH
ON AcMaRi Cheie GmbH & C
o.KG製)6gからなる塗液を用いて実施例1と同じ
方法で印刷版を作成した。
【0106】親水層の厚さは2.8μmであった。この
親水層表面を電子顕微鏡で観察すると実施例4と同じよ
うにアクリル系樹脂を主成分とする連続相の中に、硬化
したメラミン樹脂を主成分とする球形の島状相が分散し
ている構造を持つことが確認できた。島状相の平均直径
は0.30μmであり最大でも1.8μmであった。こ
の印刷版を実施例1と同様に評価した。印刷用紙上には
全くインクは付着せず、この印刷版の親水層は水を吸収
し完全にインクをはじくことがわかった。また、10,
000枚の印刷を繰り返しても親水層の機械的劣化は認
められず十分な耐水性を持つことがわかった。
【0107】(実施例8)実施例6,及び7で得られた
印刷版に、発振波長830nm、出力500mWの半導
体レーザー(米国、SDL社製)の光を版の親水層表面
に集光しながら光を走査して画像の形成を行った。レー
ザー光を照射した部分の親水層は青色から灰色に変色
し、且つ発泡して少し盛り上がっていた。この画像を形
成した版を用いてオフセット印刷機にかけ上質紙上に印
刷を行ったところ、光が照射された部分にはインクが十
分に付着し、非照射部にはインクが全く付着せず、鮮明
な印刷物が得られた。実施例6、及び7の版の感度は、
それぞれ300、250mJ/cm2 であった。実施
例6及び7の結果は表1にまとめた。
【0108】
【表1】
【0109】
【発明の効果】表1の結果からわかるように、非硬化性
樹脂と硬化性樹脂の相分離構造を有する親水層を用いた
本発明の印刷版は、相分離構造が無い親水層を用いた場
合、非硬化性樹脂のみからなる相分離構造を持つ親水層
を用いた場合に比較して、親水性と耐水性に優れている
ことがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 祐子 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二号580番32 三 井化学株式会社内 (72)発明者 佐藤 徹 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社会社内 (72)発明者 松本 香鶴 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二号580番32 三 井化学株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、主として樹脂からなる親水
    層を有する平版印刷版において、該親水層が、それ自身
    では実質的に硬化反応を起こさない非硬化性樹脂と、そ
    れ自身が単独あるいは触媒を用いて硬化反応を起こす低
    分子量の硬化性樹脂とを硬化させて得られるものであ
    り、かつ該親水層が、少なくとも2相以上の相を有する
    相分離構造を持つことを特徴とする平版印刷版。
  2. 【請求項2】 非硬化性樹脂および硬化性樹脂のうち少
    なくとも一方が親水性樹脂であることを特徴とする請求
    項1記載の平版印刷版。
  3. 【請求項3】 非硬化性樹脂および硬化性樹脂の両方が
    親水性樹脂であることを特徴とする請求項1記載の平版
    印刷版。
  4. 【請求項4】 相分離構造が海−島構造であることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版。
  5. 【請求項5】 島状部の平均直径が、4μm以下である
    ことを特徴とする請求項4記載の平版印刷版。
  6. 【請求項6】 相分離構造の2相が共に連続相となる構
    造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の平版印刷版。
  7. 【請求項7】 親水層表面における各相の最大幅が4μ
    m以下であることを特徴とする請求項6記載の平版印刷
    版。
  8. 【請求項8】 親水層に光吸収剤を含有してなることを
    特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の平版印刷
    版。
  9. 【請求項9】 光吸収剤が750〜1100nmの光を
    吸収することを特徴とする請求項8記載の平版印刷版。
  10. 【請求項10】 支持体上に、それ自身では実質的に硬
    化反応を起こさない非硬化性樹脂と、それ自身が単独あ
    るいは触媒を用いて硬化反応を起こす低分子量の硬化性
    樹脂とを混合した塗液を塗布し硬化させ、少なくとも2
    相以上の相を有する相分離構造を持つ親水層を形成する
    ことを特徴とする平版印刷版の製造方法。
  11. 【請求項11】 親水層に光吸収剤を含有してなること
    を特徴とする請求項10記載の平版印刷版の製造方法。
  12. 【請求項12】 光吸収剤が750〜1100nmの光
    を吸収することを特徴とする請求項11記載の平版印刷
    版。
  13. 【請求項13】 硬化方法が熱による硬化であることを
    特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 硬化方法が活性輻射線による硬化であ
    ることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載
    の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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