JP2002356311A - 水素含有ガス生成装置の前処理方法 - Google Patents

水素含有ガス生成装置の前処理方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで且つ水素含有ガス生成運転を速や
かに開始し得るように前処理することができる水素含有
ガス生成装置の前処理方法を提供する。 【解決手段】 水素含有ガス中の一酸化炭素を一酸化炭
素変成触媒にて二酸化炭素に変成処理する変成部2と、
その変成部2にて変成処理された変成処理ガス中の一酸
化炭素を一酸化炭素選択酸化触媒にて選択酸化する選択
酸化部3とが、変成部2からの変成処理ガスを選択酸化
部3に供給するように接続された水素含有ガス生成装置
の前処理方法であって、一酸化炭素変成触媒を還元する
ための還元処理用ガスを、選択酸化部3を通じて変成部
2に供給して、一酸化炭素変成触媒を還元処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素含有ガス中の
一酸化炭素を一酸化炭素変成触媒にて二酸化炭素に変成
処理する変成部と、その変成部にて変成処理された変成
処理ガス中の一酸化炭素を一酸化炭素選択酸化触媒にて
選択酸化する選択酸化部とが、前記変成部からの変成処
理ガスを前記選択酸化部に供給するように接続された水
素含有ガス生成装置の前処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】かかる水素含有ガス生成装置は、変成部
において、水素含有ガス中の一酸化炭素を一酸化炭素変
成触媒により二酸化炭素に変成処理し、選択酸化部にお
いて、変成部にて変成処理された変成処理ガス中の一酸
化炭素を一酸化炭素選択酸化触媒により二酸化炭素に選
択酸化して、一酸化炭素濃度の低い水素リッチな水素含
有ガスを生成するものであり、変成部と選択酸化部と
は、変成部からの変成処理ガスを選択酸化部に供給する
ように接続してある。そして、水素含有ガス生成装置に
て生成された水素含有ガスは、例えば、燃料電池におけ
る発電反応用の燃料ガスとして用いる。
【0003】一酸化炭素変成触媒としては、銅−亜鉛
系、鉄−クロム系等の酸化物触媒が用いられるが、この
ような酸化物触媒は、そのままの状態では活性を有しな
いため、使用する前に還元処理する必要があり、従っ
て、かかる水素含有ガス生成装置においては、一酸化炭
素変成触媒を還元処理する前処理を行う必要がある。
【0004】従来、かかる水素含有ガス生成装置の前処
理方法としては、一酸化炭素変成触媒を還元するための
還元処理用ガスを、変成部に供給して、変成部、選択酸
化部の順に通流させるようにしていた。つまり、変成
部、選択酸化部の順に通流させるという水素含有ガス生
成装置における本来のガス処理通流経路を用いて、還元
処理用ガスを通流させることにより、一酸化炭素変成触
媒を還元処理する前処理を行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、選択酸化部
における一酸化炭素選択酸化触媒としては、白金、ルテ
ニウム、ロジウム等の貴金属系の触媒が用いられるが、
これらの貴金属系の触媒は、水分を吸着すると一酸化炭
素選択酸化反応活性が低下するという特性がある。しか
しながら、従来の前処理方法では、変成部にて還元処理
に供された還元処理用ガスが選択酸化部を通流すること
になるが、選択酸化部を通流する還元処理用ガスには、
変成部での一酸化炭素変成触媒の還元処理で発生した水
蒸気が含まれているので、還元処理用ガスに含まれてい
る水蒸気が、選択酸化部における一酸化炭素選択酸化触
媒に吸着されて、一酸化炭素選択酸化触媒の活性が低下
するという問題があった。ちなみに、一酸化炭素選択酸
化触媒における水分吸着に伴う活性の低下は、不可逆的
なものではなく、吸着水分を脱着すると、活性が復帰す
るものである。しかしながら、一酸化炭素選択酸化触媒
に水分が吸着されてしまうと、吸着されている水分が脱
着して活性が復帰するまでの間は、所定の一酸化炭素選
択酸化反応が行われないため、一酸化炭素選択酸化触媒
から水分を脱着させるための処理が必要となり、水素含
有ガス生成装置における水素含有ガス生成運転を速やか
に開始できない。
【0006】ちなみに、一酸化炭素選択酸化触媒に水分
が吸着されるという不具合を防止するための方策とし
て、例えば、変成部から排出された還元処理用ガスを選
択酸化部に供給される前に冷却して、還元処理用ガスに
含まれている水蒸気を結露させて除去する水分除去処理
を施した後、還元処理用ガスを選択酸化部に供給するこ
とが考えられる。しかしながら、この場合は、水分除去
といった前処理のための特別の装備が必要となり、前処
理のためのコストが高くなるばかりか、還元処理用ガス
には飽和水蒸気が含まれているので、一酸化炭素選択酸
化触媒に水分が吸着されるのを十分に防止することがで
きない。あるいは、変成部から排出された還元処理用ガ
スを選択酸化部に通流させずに迂回させる迂回路を設け
ることが考えられるが、この場合は、迂回路といった前
処理のための特別の装備が必要となり、前処理のための
コストが高くなる。
【0007】本発明は、かかる実情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、低コストで且つ水素含有ガス生
成運転を速やかに開始し得るように前処理することがで
きる水素含有ガス生成装置の前処理方法を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】〔請求項1記載の発明〕
請求項1に記載の水素含有ガス生成装置の前処理方法の
特徴は、前記一酸化炭素変成触媒を還元するための還元
処理用ガスを、前記選択酸化部を通じて前記変成部に供
給して、前記一酸化炭素変成触媒を還元処理することに
ある。請求項1に記載の水素含有ガス生成装置の前処理
方法によれば、還元処理用ガスを、選択酸化部を通じて
変成部に供給して、一酸化炭素変成触媒を還元処理す
る。つまり、水素含有ガス生成装置に本来備えられてい
るガス処理通流経路を、逆方向に還元処理用ガスを通流
させて、還元処理用ガスを変成部に供給して、一酸化炭
素変成触媒を還元処理して、前処理を行うので、前処理
を行うための特別な装備が不要である。又、選択酸化部
には、一酸化炭素変成触媒の還元処理に供される前の、
還元処理にて発生する水蒸気が含まれていない還元処理
用ガスが通流するので、水蒸気を吸着することによる一
酸化炭素選択酸化触媒の活性の低下を防止することがで
き、もって、前処理の終了後は、直ぐにでも、水素含有
ガス生成運転を開始することができる。従って、低コス
トで且つ水素含有ガス生成運転を速やかに開始し得るよ
うに前処理することができる水素含有ガス生成装置の前
処理方法を提供することができるようになった。
【0009】しかも、上述のような前処理方法を採用す
ることにより、選択酸化部には、一酸化炭素変成触媒の
還元処理に供される前の、還元処理にて発生する水蒸気
が含まれていない還元処理用ガスが通流することにな
り、その還元処理用ガスにて一酸化炭素選択酸化触媒を
活性化することが可能となる。つまり、かかる水素含有
ガス生成装置の前処理としては、一酸化炭素変成触媒の
還元処理とは別に、一酸化炭素選択酸化触媒を活性化す
る活性化処理が必要である。そこで、従来では、上述の
従来技術において説明したような一酸化炭素変成触媒の
還元処理とは別に、一酸化炭素選択酸化触媒を活性化処
理するための活性化処理用ガスを変成部に供給して、変
成部、選択酸化部の順に通流させて、一酸化炭素選択酸
化触媒を活性化処理していた。これに対して、上述のよ
うな本発明の前処理方法を採用することにより、還元処
理用ガスにて、一酸化炭素変成触媒の還元処理と一酸化
炭素選択酸化触媒の活性化処理を同時に行えるようにな
り、前処理用のガスとしては還元処理用ガスの一種類だ
けで済むと共に、前処理のための作業が簡単になるの
で、前処理に係るコストを一段と低減することができる
ようになった。
【0010】〔請求項2記載の発明〕請求項2に記載の
水素含有ガス生成装置の前処理方法の特徴は、炭化水素
系の原燃料ガスを水蒸気により、水素ガスと一酸化炭素
ガスを含む前記水素含有ガスに改質処理する改質部が設
けられ、その改質部と前記変成部とが、前記改質部から
の前記水素含有ガスを前記変成部に供給するように接続
され、前記還元処理用ガスを、前記選択酸化部を通じて
前記変成部と前記改質部に順次供給して、前記一酸化炭
素変成触媒を還元処理することにある。請求項2に記載
の水素含有ガス生成装置の前処理方法によれば、還元処
理用ガスを、選択酸化部を通じて変成部と改質部に順次
供給して、一酸化炭素変成触媒を還元処理する。つま
り、かかる水素含有ガス生成装置は、炭化水素系の原燃
料ガスを水蒸気により、水素ガスと一酸化炭素ガスを含
む水素含有ガスに改質処理する改質部を設けて、その改
質部と変成部とを、改質部からの水素含有ガスを変成部
に供給するように接続して構成する場合がある。このよ
うに構成することにより、炭化水素系の原燃料ガスを原
料として、一酸化炭素濃度の低い水素含有ガスを生成す
ることが可能となる。そして、このように、改質部を設
けた水素含有ガス生成装置において、還元処理用ガス
を、選択酸化部を通じて変成部と改質部に順次供給する
ことにより、水蒸気を吸着することによる一酸化炭素選
択酸化触媒の活性の低下を防止しながら、一酸化炭素変
成触媒を還元処理すると共に、一酸化炭素選択酸化触媒
を活性化処理することができるのである。従って、炭化
水素系の原燃料ガスを原料として一酸化炭素濃度の低い
水素含有ガスを生成することが可能なように構成した水
素含有ガス生成装置において、低コストで且つ水素含有
ガス生成運転を速やかに開始し得るように前処理するこ
とが可能な前処理方法を提供することができるようにな
った。
【0011】〔請求項3記載の発明〕請求項3に記載の
水素含有ガス生成装置の前処理方法の特徴は、炭化水素
系の原燃料ガスを脱硫触媒にて脱硫する脱硫部が設けら
れ、その脱硫部と前記改質部とが、前記脱硫部からの脱
硫原燃料ガスを前記改質部に供給するように接続され、
前記還元処理用ガスを、前記選択酸化部を通じて前記変
成部と前記改質部と前記脱硫部に順次供給して、前記一
酸化炭素変成触媒を還元処理することにある。請求項3
に記載の水素含有ガス生成装置の前処理方法によれば、
還元処理用ガスを、選択酸化部を通じて変成部と改質部
と脱硫部に順次供給して、一酸化炭素変成触媒を還元処
理する。つまり、かかる水素含有ガス生成装置は、硫黄
成分を含んだ炭化水素系の原燃料ガスを原料とする場
合、改質触媒は硫黄成分により被毒を起こす虞があるの
で、炭化水素系の原燃料ガスを脱硫触媒にて脱硫する脱
硫部を設けて、その脱硫部と改質部とを、脱硫部からの
脱硫原燃料ガスを改質部に供給するように接続して構成
する場合がある。このように構成することにより、硫黄
成分を含んだ原燃料ガスを原料としながらも、改質触媒
の硫黄成分による被毒を抑制しながら、一酸化炭素濃度
の低い水素含有ガスを生成することが可能となる。そし
て、このように脱硫部を設けた水素含有ガス生成装置に
おいて、還元処理用ガスを選択酸化部を通じて変成部と
改質部と脱硫部に順次供給して前処理するようにするこ
とにより、水蒸気を吸着することによる一酸化炭素選択
酸化触媒の活性の低下を防止しながら、一酸化炭素変成
触媒を還元処理すると共に、一酸化炭素選択酸化触媒を
活性化処理することができるのである。しかも、上述の
ような前処理方法を採用すると、一酸化炭素変成触媒の
還元処理用ガスが脱硫部を通流することになり、脱硫部
の脱硫触媒として、銅系、ニッケル系等の還元処理が必
要な触媒を用いる場合、一酸化炭素変成触媒の還元処理
用ガスにて脱硫触媒をも還元処理することが可能とな
る。従って、硫黄成分を含んだ炭化水素系の原燃料ガス
を脱硫して一酸化炭素濃度の低い水素含有ガスを生成す
ることが可能なように構成した水素含有ガス生成装置に
おいて、前処理にて、一酸化炭素変成触媒の還元処理及
び一酸化炭素選択酸化触媒の活性化処理に加えて脱硫触
媒をも還元処理することが可能となり、低コストで且つ
水素含有ガス生成運転を速やかに開始し得るように前処
理することが可能な前処理方法を提供することができる
ようになった。
【0012】
【発明の実施の形態】〔第1実施形態〕以下、図面に基
づいて、本発明の第1実施形態を説明する。先ず、本発
明の前処理方法を実施する水素含有ガス生成装置の構成
について説明する。図1に示すように、水素含有ガス生
成装置は、炭化水素系の原燃料ガスを水蒸気により水素
ガスと一酸化炭素ガスを含む水素含有ガスに改質処理す
る改質部1と、その改質部1にて改質処理された改質処
理ガス(水素含有ガスに相当する)中の一酸化炭素を一
酸化炭素変成触媒にて二酸化炭素に変成処理する変成部
2と、その変成部2にて変成処理された変成処理ガス中
の一酸化炭素を一酸化炭素選択酸化触媒にて選択酸化す
る選択酸化部3とを、改質部1からの改質処理ガス(水
素含有ガスに相当する)を変成部2に供給し、且つ、変
成部2からの変成処理ガスを選択酸化部3に供給するよ
うに接続して構成してある。
【0013】ガス燃料を燃焼させて改質部1を改質処理
可能なように加熱する燃焼部5、水素含有ガス生成装置
の起動時に変成部2を変成処理可能なように加熱する変
成部用ヒータ6、及び、同様に水素含有ガス生成装置の
起動時に選択酸化部3を選択酸化処理可能なように加熱
する選択酸化部用ヒータ7を設けてある。ちなみに、変
成部用ヒータ6及び選択酸化部用ヒータ7は、いずれも
電気ヒータにて構成してある。
【0014】説明を加えると、改質部1から変成部2に
改質処理ガスを供給するように、改質部1の出口と変成
部2の入口とを改質処理ガス路10にて接続し、変成部
2にて変成処理された変成処理ガスを選択酸化部3に供
給するように、変成部2の出口と選択酸化部3の入口と
を変成処理ガス路11にて接続してある。
【0015】燃焼部5には、ブロア13からの空気を燃
焼用空気として導く空気供給路14と、ガス燃料を導く
ガス燃料供給路15を接続し、空気供給路14には燃焼
部5への空気の供給を断続する空気用開閉弁18を設
け、ガス燃料供給路15には燃焼部5へのガス燃料の供
給を断続するガス燃料用開閉弁19を設けてある。ちな
みに、水素含有ガス生成装置にて生成された水素含有ガ
スが燃料ガスとして燃料電池で消費される場合は、ガス
燃料供給路15にて導くガス燃料としては、燃料電池か
ら排出された燃料ガスであるオフガスを用いる。
【0016】改質部1には、ニッケル系、ルテニウム等
の貴金属系の触媒をボール状体やハニカム状体等の担体
に担持させた改質触媒を通気可能なように充填してあ
る。そして、改質部1においては、メタンガスを主成分
とする都市ガスが原燃料ガスである場合は、例えば65
0〜750°C程度の改質処理温度の下で、改質触媒の
触媒作用により、メタンガスと水蒸気とが下記の反応式
にて改質反応して、水素ガスと一酸化炭素ガスを含む水
素含有ガスに改質処理される。
【0017】
【化1】CH4 +H2O→CO+3H2
【0018】変成部2には、銅−亜鉛系、鉄−クロム系
等の酸化物触媒をボール状体やハニカム状体等の担体に
担持させた一酸化炭素変成触媒を通気可能なように充填
してある。そして、変成部2においては、200〜30
0°Cの範囲、例えば250°C程度の変成処理温度の
下で、改質処理ガス中の一酸化炭素ガスと水蒸気とが、
一酸化炭素変成触媒の触媒作用により下記の反応式にて
変成反応して、一酸化炭素ガスが二酸化炭素ガスに変成
処理される。
【0019】
【化2】CO+H2O→CO2 +H2
【0020】選択酸化部3には、白金、ルテニウム、ロ
ジウム等の貴金属系の触媒をボール状体やハニカム状体
等の担体に担持させた一酸化炭素選択酸化触媒を通気可
能なように充填してある。そして、選択酸化部3におい
ては、70〜120°Cの範囲、例えば、100°C程
度の選択酸化処理温度の下で、一酸化炭素選択酸化触媒
の触媒作用によって、変成処理ガス中に残っている一酸
化炭素ガスが選択酸化される。そして、一酸化炭素ガス
濃度の低い(例えば10ppm以下)水素リッチな水素
含有ガスを生成するように構成してある。
【0021】そして、本発明においては、後述する前処
理を行うための前処理装置Mを設けてある。前処理装置
Mは、還元処理用ガスを供給する還元処理用ガス供給源
21、その還元処理用ガス供給源21からの還元処理用
ガスを導く還元処理用ガス供給路22、その還元処理用
ガス供給路22に設けた還元処理用ガス供給側開閉弁2
3を備えて構成してある。
【0022】還元処理用ガス供給源21は、窒素ガスに
所定の濃度で水素ガスを混合した還元処理用ガスを還元
処理用ガス供給路22に供給可能なように構成してあ
り、例えば、ガスボンベにて構成してある。
【0023】上述のように構成した水素含有ガス生成装
置において、水素含有ガスを生成するための通常運転
(水素含有ガス生成運転に相当する)は、以下のように
行う。水素含有ガス生成装置を起動するときは、空気用
開閉弁18及びガス燃料用開閉弁19を開弁して燃焼部
5を燃焼させて、改質部1を予め設定した改質処理温度
になるように加熱し、変成部用ヒータ6を加熱作動させ
て、変成部2を予め設定した変成処理温度になるように
加熱し、並びに、選択酸化部用ヒータ7を加熱作動させ
て、選択酸化部3を予め設定した選択酸化処理温度にな
るように加熱する。
【0024】そして、改質部1が改質処理温度になり、
変成部2が変成処理温度になり、並びに、選択酸化部3
が選択酸化処理温度になると、改質部1の入口1iから
原燃料ガスと水蒸気との混合気を改質部1に供給する。
すると、原燃料ガスと水蒸気との混合気が改質部1を通
流して改質処理され、その改質処理ガスが改質処理ガス
路10を通じて変成部2を通流して変成処理され、その
変成処理ガスが変成処理ガス路11を通じて選択酸化部
3を通流して選択酸化処理され、そのように酸化処理さ
れて一酸化炭素濃度が低くなった水素含有ガスが生成ガ
スとして選択酸化部3の出口3oから排出されるという
ように、ガス処理通流経路にてガスを通流させて、水素
含有ガスを生成する。
【0025】通常運転中は、改質部1における改質反応
は吸熱反応であるため、改質部1を改質処理温度に維持
するように燃焼部5の燃焼は継続するが、変成部2にお
ける変成反応及び選択酸化部3における選択酸化反応は
発熱反応であるため、変成部用ヒータ6及び選択酸化部
用ヒータ7の加熱作動は停止させて、冷却用流体を通流
させるように構成した冷却用流体通流部やファン等の冷
却手段により、変成部2と選択酸化部3をそれぞれ変成
処理温度、選択酸化処理温度に維持する。
【0026】以下、水素含有ガス生成装置の前処理方法
について説明する。水素含有ガス生成装置の前処理は、
一酸化炭素変成触媒を還元するための還元処理用ガス
を、選択酸化部3を通じて変成部2と改質部1に順次供
給して、還元処理用ガスにて、選択酸化部3の一酸化炭
素選択酸化触媒を活性化すると共に、変成部2の一酸化
炭素変成触媒を還元処理することにより行う。
【0027】前処理装置Mを用いて上述した前処理方法
を行うときの操作方法について説明する。前処理装置M
の還元処理用ガス供給路22の先端を、選択酸化部3の
出口3oに接続する。そして、空気用開閉弁18及びガ
ス燃料用開閉弁19を開弁して燃焼部5を燃焼させて、
改質部1を、予め設定した前処理用温度になるように加
熱し、変成部用ヒータ6を加熱作動させて、変成部2を
予め設定した還元処理用温度になるように加熱し、並び
に、選択酸化部用ヒータ7を加熱作動させて、選択酸化
部3を予め設定した活性化処理用温度になるように加熱
する。尚、前処理用温度は、前処理において改質部1を
通流する還元処理用ガスに含まれる水蒸気の結露を防止
可能な温度に設定する。
【0028】そして、改質部1が前処理用温度になり、
変成部2が還元処理用温度になり、並びに、選択酸化部
3が活性化処理用温度になると、還元処理用ガス供給側
開閉弁23を開弁して、図1において破線矢印にて示す
ように、還元処理用ガスを還元処理用ガス供給路22を
通じて、所定の流量で選択酸化部3の出口3oに供給し
て、還元処理用ガスを、選択酸化部3、変成処理ガス路
11、変成部2、改質処理ガス路10、改質部1を順次
経る経路、即ち、水素含有ガス生成装置に本来備えられ
ているガス処理通流経路を逆方向に通流させて、改質部
1の入口1iから排出させ、所定時間が経過すると、還
元処理用ガス供給側開閉弁23を閉弁して前処理を終了
する。
【0029】つまり、前処理では、選択酸化部3を通流
する還元処理用ガスにて一酸化炭素選択酸化触媒を活性
化処理し、選択酸化部3から流出して変成部2を通流す
る還元処理用ガスにて一酸化炭素変成触媒を還元処理す
る。尚、変成部2から流出して改質部1を通流する還元
処理用ガスには、変成部2における一酸化炭素変成触媒
との還元反応により発生した水蒸気が含まれているが、
改質部1は前処理用温度に加熱されていて、還元処理用
ガス中の水蒸気が結露することがないので、改質触媒が
結露水を吸収して活性が低下するといった不具合の発生
を防止することができる。
【0030】上述した活性化処理用温度は、例えば、8
0〜250°Cの範囲で設定する。
【0031】還元処理用ガス中の水素濃度が1%増加す
ると、還元反応に伴って、一酸化炭素変成触媒の温度が
25°C程度高くなる傾向があり、一方、一酸化炭素変
成触媒が還元反応によって昇温したとしても、変成処理
温度以下に止めておくのが、一酸化炭素変成触媒の劣化
を防止する上で好ましい。そこで、変成処理温度を例え
ば250°Cに設定する場合は、還元処理用温度を20
0°Cに設定し、還元処理用ガス中の水素濃度は、2%
以下の所定の濃度、例えば1%に設定する。
【0032】尚、上述した前処理は、水素含有ガス生成
装置の出荷前に行うのに適しているが、水素含有ガス生
成装置をユーザーに設置した後でも行うことができる。
その場合は、原燃料ガスを改質部1に供給するために改
質部1の入口1iに接続した原燃料ガス供給路、及び、
選択酸化部3の出口3oから排出される生成ガスを消費
先に供給するために選択酸化部3の出口3oに接続した
生成ガス路を外して行うことになる。
【0033】以下、本発明の第2及び第4の各実施形態
を説明するが、各実施形態において、第1実施形態と同
じ構成要素や同じ作用を有する構成要素については、重
複説明を避けるために、同じ符号を付すことにより説明
を省略し、主として、第1実施形態と異なる構成を説明
する。
【0034】〔第2実施形態〕以下、第2実施形態を説
明する。図2に示すように、第2実施形態では、上記の
第1実施形態において説明した水素含有ガス生成装置の
構成から、改質部1を省略して、水素含有ガス供給源
(図示省略)からの水素含有ガスを変成部2の入口2i
に供給するように構成した以外は、第1実施形態と同様
に構成してある。尚、水素含有ガス供給源としては、例
えば、都市ガス、プロパン、ブタン、メタノール、エタ
ノール等の炭化水素系の原料を水蒸気にて水素含有ガス
に改質処理するように構成した改質装置を用いる。ある
いは、供給される炭化水素系の原料の一部を燃焼用空気
にて燃焼させると共に、その燃焼熱により炭化水素系の
原料を熱分解させて水素含有ガスを生成するように構成
した部分燃焼装置を用いる。
【0035】つまり、第2実施形態の水素含有ガス生成
装置は、水素含有ガス中の一酸化炭素を一酸化炭素変成
触媒にて二酸化炭素に変成処理する変成部2と、その変
成部2にて変成処理された変成処理ガス中の一酸化炭素
を一酸化炭素選択酸化触媒にて選択酸化する選択酸化部
3とを、変成部2からの変成処理ガスを選択酸化部3に
供給するように接続して構成してある。
【0036】前処理装置Mは、上記の第1実施形態と同
様に構成してある。
【0037】上述のように構成した水素含有ガス生成装
置において、水素含有ガスを生成するための通常運転
は、以下のように行う。水素含有ガス生成装置を起動す
るときは、変成部用ヒータ6を加熱作動させて、変成部
2を変成処理温度になるように加熱し、並びに、選択酸
化部用ヒータ7を加熱作動させて、選択酸化部3を選択
酸化処理温度になるように加熱する。そして、変成部2
が変成処理温度になり、並びに、選択酸化部3が選択酸
化処理温度になると、変成部2の入口2iから水素含有
ガスを供給して、通常運転を開始する。つまり、水素含
有ガスが変成部2を通流して変成処理され、その変成処
理ガスが変成処理ガス路11を通じて選択酸化部3を通
流して選択酸化され、そのように選択酸化処理されて一
酸化炭素濃度が低くなった水素含有ガスが生成ガスとし
て選択酸化部3の出口3oから排出されるというよう
に、ガス処理通流経路にてガスを通流させて、水素含有
ガスを生成する。
【0038】通常運転中は、変成部用ヒータ6及び選択
酸化部用ヒータ7の加熱作動は停止させて、冷却用流体
を通流させるように構成した冷却用流体通流部やファン
等の冷却手段により、変成部2と選択酸化部3をそれぞ
れ変成処理温度、選択酸化処理温度に維持する。
【0039】以下、上記のように構成した水素含有ガス
生成装置の前処理方法について説明する。水素含有ガス
生成装置の前処理は、一酸化炭素変成触媒を還元するた
めの還元処理用ガスを、選択酸化部3を通じて変成部2
に供給して、還元処理用ガスにて、選択酸化部3の一酸
化炭素選択酸化触媒を活性化すると共に、変成部2の一
酸化炭素変成触媒を還元処理することにより行う。前処
理装置Mを用いて上述した前処理方法を行うときの操作
方法は、上記の第1実施形態と同様であるので説明を省
略する。
【0040】〔第3実施形態〕以下、第3実施形態を説
明する。図3に示すように、第3実施形態では、上記の
第1実施形態において説明した水素含有ガス生成装置の
構成において、更に、炭化水素系の原燃料ガスを脱硫触
媒にて脱硫する脱硫部26と、改質処理用の水蒸気を生
成する水蒸気生成部4とを設け、脱硫部26からの脱硫
原燃料ガスを改質部1に供給するように、脱硫部26と
改質部1とを脱硫原燃料ガス路28にて接続し、水蒸気
生成部4からの水蒸気を脱硫原燃料ガス路28に供給す
るように、水蒸気生成部4と脱硫原燃料ガス路28とを
水蒸気供給路9にて接続し、その水蒸気供給路9には改
質部への水蒸気の供給を断続する水蒸気用開閉弁17を
設けてある。つまり、改質触媒は硫黄成分により被毒を
起こす虞があるので、原燃料ガスに硫黄成分が含まれて
いる場合は、脱硫部26を設けて、その脱硫部26にて
脱硫した脱硫原燃料ガスを改質部1に供給する。ちなみ
に、原燃料ガスの一例としての都市ガスには、付臭剤等
の硫黄成分が含まれている。
【0041】脱硫部26について説明を加えると、脱硫
部26には、銅系、ニッケル系等の酸化物触媒をボール
状体やハニカム状体等の担体に担持させた脱硫触媒を通
気可能なように充填してある。そして、脱硫部26にお
いては、例えば150〜270°Cの範囲の脱硫処理温
度で、原燃料ガス中の硫黄化合物が水素化され、その水
素化物が吸着されて脱硫される。ちなみに、脱硫部26
における脱硫反応は発熱反応である。脱硫部26には、
水素含有ガス生成装置の起動時に脱硫部26を脱硫処理
可能なように加熱する脱硫部用ヒータ27を設けてあ
る。ちなみに、脱硫部用ヒータ27は、変成部用ヒータ
6等と同様に、電気ヒータにて構成してある。そして、
脱硫部26から改質部1に脱硫原燃料ガスを供給するよ
うに、脱硫部26の出口と改質部1の入口とを脱硫原燃
料ガス路28にて接続してある。
【0042】前処理装置Mは、上記の第1実施形態と同
様に構成してある。
【0043】上述のように構成した水素含有ガス生成装
置において、水素含有ガスを生成するための通常運転
は、以下のように行う。水素含有ガス生成装置を起動す
るときは、脱硫部用ヒータ27を加熱作動させて、脱硫
部26を予め設定した脱硫処理温度になるように加熱
し、空気用開閉弁18及びガス燃料用開閉弁19を開弁
して燃焼部5を燃焼させて、改質部1を改質処理温度に
なるように加熱し、変成部用ヒータ6を加熱作動させ
て、変成部2を変成処理温度になるように加熱し、並び
に、選択酸化部用ヒータ7を加熱作動させて、選択酸化
部3を選択酸化処理温度になるように加熱する。
【0044】そして、脱硫部26が脱硫処理温度にな
り、改質部1が改質処理温度になり、変成部2が変成処
理温度になり、並びに、選択酸化部3が選択酸化処理温
度になると、脱硫部26の入口から原燃料ガスを供給
し、水蒸気用開閉弁17を開弁して、改質部1の入口か
ら脱硫原燃料ガスと水蒸気との混合気を改質部1に供給
する。すると、脱硫原燃料ガスと水蒸気との混合気が改
質部1を通流して改質処理され、その改質処理ガスが改
質処理ガス路10を通じて変成部2を通流して変成処理
され、その変成処理ガスが変成処理ガス路11を通じて
選択酸化部3を通流して選択酸化処理され、そのように
酸化処理されて一酸化炭素濃度が低くなった水素含有ガ
スが生成ガスとして選択酸化部3の出口3oから排出さ
れるというように、ガス処理通流経路にてガスを通流さ
せて、水素含有ガスを生成する。
【0045】通常運転中は、改質部1における改質反応
は吸熱反応であるため、改質部1を改質処理温度に維持
するように燃焼部5の燃焼は継続するが、脱硫部26に
おける脱硫反応、変成部2における変成反応及び選択酸
化部3における選択酸化反応は発熱反応であるため、脱
硫部用ヒータ27、変成部用ヒータ6及び選択酸化部用
ヒータ7の加熱作動は停止させて、冷却用流体を通流さ
せるように構成した冷却用流体通流部やファン等の冷却
手段により、変成部2と選択酸化部3をそれぞれ変成処
理温度、選択酸化処理温度に維持する。
【0046】以下、上記のように構成した水素含有ガス
生成装置の前処理方法について説明する。水素含有ガス
生成装置の前処理は、一酸化炭素変成触媒を還元するた
めの還元処理用ガスを、選択酸化部3を通じて変成部2
と改質部1と脱硫部26に順次供給して、その還元処理
用ガスにて、選択酸化部3の一酸化炭素選択酸化触媒の
活性化処理、変成部2の一酸化炭素変成触媒の還元処
理、並びに、脱硫部26の脱硫触媒の還元処理をするこ
とにより行う。
【0047】前処理装置Mを用いて上述した前処理方法
を行うときの操作方法について説明する。前処理装置M
の還元処理用ガス供給路22の先端を、選択酸化部3の
出口3oに接続する。そして、水蒸気用開閉弁17を閉
弁し、次いで、空気用開閉弁18及びガス燃料用開閉弁
19を開弁して燃焼部5を燃焼させて、改質部1を、予
め設定した前処理用温度になるように加熱し、脱硫部用
ヒータ27を加熱作動させて、脱硫部26を予め設定し
た脱硫部用の還元処理温度になるように加熱し、変成部
用ヒータ6を加熱作動させて、変成部2を予め設定した
変成部用の還元処理用温度になるように加熱し、並び
に、選択酸化部用ヒータ7を加熱作動させて、選択酸化
部3を予め設定した活性化処理用温度になるように加熱
する。
【0048】そして、改質部1が前処理用温度になり、
脱硫部26が脱硫部用の還元処理温度になり、変成部2
が変成部用の還元処理用温度になり、並びに、選択酸化
部3が活性化処理用温度になると、還元処理用ガス供給
側開閉弁23を開弁して、図3において破線矢印にて示
すように、還元処理用ガスを還元処理用ガス供給路22
を通じて、所定の流量で選択酸化部3の出口3oに供給
して、還元処理用ガスを、選択酸化部3、変成処理ガス
路11、変成部2、改質処理ガス路10、改質部1、脱
硫原燃料ガス路28、脱硫部26を順次経る経路、即
ち、水素含有ガス生成装置に本来備えられているガス処
理通流経路を逆方向に通流させて、脱硫部26の入口2
6iから排出させ、所定時間が経過すると、還元処理用
ガス供給側開閉弁23を閉弁して前処理を終了する。
【0049】つまり、前処理では、選択酸化部3を通流
する還元処理用ガスにて一酸化炭素選択酸化触媒を活性
化処理し、選択酸化部3から流出して変成部2を通流す
る還元処理用ガスにて一酸化炭素変成触媒を還元処理
し、改質部1から流出して脱硫部26を通流する還元処
理ガスにて脱硫触媒を還元処理する。尚、変成部2から
流出して改質部1を通流する還元処理用ガスには、変成
部2における一酸化炭素変成触媒との還元反応により発
生した水蒸気が含まれているが、第1実施例と同様に、
改質部1は前処理用温度に加熱されていて、還元処理用
ガス中の水蒸気が結露することがないので、改質触媒が
結露水を吸収して活性が低下するといった不具合の発生
を防止することができる。
【0050】〔第4実施形態〕以下、第4実施形態を説
明する。図4に示すように、第4実施形態においては、
上記の第1実施形態において説明した水素含有ガス生成
装置の構成において、更に、改質処理用の水蒸気を供給
するための水蒸気生成部4を設け、改質部1の入口1i
に炭化水素系の原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給路
8を接続し、その原燃料ガス供給路8を通流する原燃料
ガスに水蒸気生成部4で生成された水蒸気を混合すべ
く、水蒸気生成部4からの水蒸気を導く水蒸気供給路9
を原燃料ガス供給路8に接続し、選択酸化部3の出口3
oから排出される生成ガスを消費先に供給すべく、生成
ガス路12を選択酸化部3の出口3oに接続してある。
【0051】原燃料ガス供給路8には、改質部1への原
燃料ガスの供給を断続する原燃料ガス用開閉弁16を設
け、水蒸気供給路9には、改質部1への水蒸気の供給を
断続する水蒸気用開閉弁17を設け、生成ガス路12に
は、水素含有ガス生成装置からの生成ガスの流出を断続
する生成ガス用開閉弁20を設けてある。
【0052】前処理装置Mは、上記の第1実施形態の構
成に加えて、還元処理用ガスを排出する還元処理用ガス
排出路24、及び、その還元処理用ガス排出路24に設
けた還元処理用ガス排出側開閉弁25を備えて構成して
あるそして、還元処理用ガス供給路22は、生成ガス路
12において生成ガス用開閉弁20よりも上流側の箇所
に接続し、還元処理用ガス排出路24は、原燃料ガス供
給路8において原燃料ガス用開閉弁16よりも下流側の
箇所に接続してある。
【0053】上述のように構成した水素含有ガス生成装
置において、通常運転は以下のように行う。尚、後述す
る前処理を行うとき以外は、還元処理用ガス供給側開閉
弁23及び還元処理用ガス排出側開閉弁25は常時閉弁
状態に維持されている。詳細な説明は省略するが、通常
運転を停止するときは、原燃料ガス供給路8、改質部
1、改質処理ガス路10、変成部2、変成処理ガス路1
1、選択酸化部3、生成ガス路12を順次経るガス処理
通流経路内のガスを保管用ガスにて置換した状態で、原
燃料ガス用開閉弁16、水蒸気用開閉弁17及び生成ガ
ス用開閉弁20を閉弁して、ガス処理通流経路内に保管
用ガスを封入し、ガス処理通流経路内に外気が浸入する
のを防止して、改質触媒、一酸化炭素変成触媒及び一酸
化炭素選択酸化触媒の各触媒の酸化を防止している。保
管用ガスとしては、窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不
活性ガスや、原燃料ガス等、各触媒の活性を低下させる
ことのないガスを用いる。
【0054】第1実施形態と同様に起動処理を行って、
改質部1が改質処理温度になり、変成部2が変成処理温
度になり、並びに、選択酸化部3が選択酸化処理温度に
なると、原燃料ガス用開閉弁16、水蒸気用開閉弁17
及び生成ガス用開閉弁20を開弁して、改質部1への原
燃料ガス及び水蒸気の供給を開始して、水素含有ガスを
生成する通常運転を開始する。つまり、原燃料ガスと水
蒸気との混合気が改質部1を通流して改質処理され、そ
の改質処理ガスが改質処理ガス路10を通じて変成部2
を通流して変成処理され、その変成処理ガスが変成処理
ガス路11を通じて選択酸化部3を通流して選択酸化処
理され、そのように酸化処理されて一酸化炭素濃度が低
くなった水素含有ガスが生成ガスとして生成ガス路12
を通じて排出されるというように、ガス処理通流経路に
てガスを通流させて、水素含有ガスを生成する。
【0055】以下、水素含有ガス生成装置の前処理方法
について説明する。水素含有ガス生成装置の前処理は、
第1実施形態と同様に、一酸化炭素変成触媒を還元する
ための還元処理用ガスを、選択酸化部3を通じて変成部
2と改質部1に順次供給して、還元処理用ガスにて、選
択酸化部3の一酸化炭素選択酸化触媒を活性化すると共
に、変成部2の一酸化炭素変成触媒を還元処理すること
により行う。
【0056】前処理装置Mを用いて上述した前処理方法
を行うときの操作方法について説明する。原燃料ガス用
開閉弁16、水蒸気用開閉弁17、生成ガス用開閉弁2
0、還元処理用ガス供給側開閉弁23及び還元処理用ガ
ス排出側開閉弁25を閉弁した状態で、空気用開閉弁1
8及びガス燃料用開閉弁19を開弁して燃焼部5を燃焼
させて、改質部1を前処理用温度になるように加熱し、
変成部用ヒータ6を加熱作動させて、変成部2を還元処
理用温度になるように加熱し、並びに、選択酸化部用ヒ
ータ7を加熱作動させて、選択酸化部3を活性化処理用
温度になるように加熱する。
【0057】そして、改質部1が前処理用温度になり、
変成部2が還元処理用温度になり、並びに、選択酸化部
3が活性化処理用温度になると、還元処理用ガス供給側
開閉弁23及び還元処理用ガス排出側開閉弁25を開弁
して、図4において破線矢印にて示すように、還元処理
用ガスを還元処理用ガス供給路22を通じて、所定の流
量で生成ガス路12に供給して、還元処理用ガスを、生
成ガス路12、選択酸化部3、変成処理ガス路11、変
成部2、改質処理ガス路10、改質部1、原燃料ガス供
給路8を順次経る経路、即ち、水素含有ガス生成装置に
本来備えられているガス処理通流経路を逆方向に通流さ
せて、還元処理用ガス排出路24から排出させ、所定時
間が経過すると、還元処理用ガス供給側開閉弁23及び
還元処理用ガス排出側開閉弁25を閉弁して前処理を終
了する。
【0058】水素含有ガス生成装置を前処理装置Mと共
にユーザーに設置することにより、例えばメンテナンス
時に前処理装置Mを用いて上述した前処理を行うことが
可能である。この場合は、運転中に一酸化炭素変成触媒
が酸化したり一酸化炭素選択酸化触媒の活性が低下した
りして、水素含有ガス生成能力が低下しても、適宜、前
処理装置Mを用いて上述した前処理を行うことにより、
一酸化炭素変成触媒を還元処理すると共に一酸化炭素選
択酸化触媒を活性化処理して、水素含有ガス生成能力を
向上させることが可能となる。
【0059】〔別実施形態〕次に別実施形態を説明す
る。 (イ) 上記の第4実施形態において、還元処理用ガス
排出路24を改質処理ガス路10に接続すると共に、改
質処理ガス路10において還元処理用ガス排出路24の
接続箇所よりも上流側の部分に開閉弁を設けて、前処理
を行うときは、前記開閉弁を閉弁して、還元処理用ガス
を改質部1の手前で排出させて、改質部1を通流させな
いように構成しても良い。この場合は、前処理中は、燃
焼部5を燃焼させて改質部1を前処理用温度に加熱する
操作が不要となる。
【0060】(ロ) 上記の第4実施形態において、原
燃料ガス用開閉弁16、水蒸気用開閉弁17、生成ガス
用開閉弁20、還元処理用ガス供給側開閉弁23及び還
元処理用ガス排出側開閉弁25それぞれの開閉制御、空
気用開閉弁18及びガス燃料用開閉弁19の開閉制御を
含む燃焼部5の燃焼作動の制御、並びに、変成部用ヒー
タ6及び選択酸化部用ヒータ7それぞれの加熱作動の制
御を、上述した前処理方法のように実行する前処理用制
御部と、その前処理用制御部に前処理の開始を指令する
指令部を設けて、前処理における制御を自動的に実行す
るように構成しても良い。
【0061】(ハ) 上記の第4実施形態の構成に、更
に、脱硫部26を追加して、その脱硫部26の入口に原
燃料ガス供給路8を接続し、脱硫部26と改質部1とを
脱硫原燃料ガス路28にて接続し、水蒸気供給路9を脱
硫原燃料ガス路28に接続して、水素含有ガス生成装置
を構成し、その水素含有ガス生成装置に第4実施形態と
同様の前処理装置Mを設けても良い。尚、前処理装置M
の還元処理用ガス排出路24は、第4実施形態と同様
に、原燃料ガス供給路8において原燃料ガス用開閉弁1
6よりも下流側の箇所に接続する。
【0062】(ニ) 上記の各実施形態において、改質
処理ガス路10や変成処理ガス路11に、通流するガス
の温度を調節するための熱交換器等を設けても良い。
【0063】(ホ) 還元処理用ガスの組成は、上記の
実施形態において例示した組成に限定されるものではな
い。例えば、窒素ガス以外のアルゴンガス、ヘリウムガ
ス等の不活性ガスに、水素又は一酸化炭素等の還元用ガ
スを所定の濃度で混合したガス、あるいは、窒素ガス、
アルゴンガス、ヘリウムガス等のうちの2種以上を含む
不活性ガスに、水素又は一酸化炭素等の還元用ガスを所
定の濃度で混合したガスを用いることが可能である。
【0064】(ヘ) 上記の第1、第2及び第4の各実
施形態において、都市ガスを原燃料ガスとして用いる場
合は、都市ガスには硫黄成分から成る付臭剤が含まれて
いるので、都市ガスを脱硫処理する脱硫器を設けて、そ
の脱硫器で脱硫した都市ガスを原料とするのが好まし
い。原燃料ガスの具体例としては、都市ガスに限定され
るものではなく、プロパン、ブタン等、種々の炭化水素
系のガスを用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る水素含有ガス生成装置の系
統図
【図2】第2実施形態に係る水素含有ガス生成装置の系
統図
【図3】第3実施形態に係る水素含有ガス生成装置の系
統図
【図4】第4実施形態に係る水素含有ガス生成装置の系
統図
【符号の説明】
1 改質部 2 変成部 3 選択酸化部 26 脱硫部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G040 EA03 EA06 EB01 EB31 EB32 EB41 4G069 AA10 BC31B BC35B BC58B BC66B CC26 GA05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素含有ガス中の一酸化炭素を一酸化炭
    素変成触媒にて二酸化炭素に変成処理する変成部と、そ
    の変成部にて変成処理された変成処理ガス中の一酸化炭
    素を一酸化炭素選択酸化触媒にて選択酸化する選択酸化
    部とが、前記変成部からの変成処理ガスを前記選択酸化
    部に供給するように接続された水素含有ガス生成装置の
    前処理方法であって、 前記一酸化炭素変成触媒を還元するための還元処理用ガ
    スを、前記選択酸化部を通じて前記変成部に供給して、
    前記一酸化炭素変成触媒を還元処理する水素含有ガス生
    成装置の前処理方法。
  2. 【請求項2】 炭化水素系の原燃料ガスを水蒸気によ
    り、水素ガスと一酸化炭素ガスを含む前記水素含有ガス
    に改質処理する改質部が設けられ、その改質部と前記変
    成部とが、前記改質部からの前記水素含有ガスを前記変
    成部に供給するように接続され、 前記還元処理用ガスを、前記選択酸化部を通じて前記変
    成部と前記改質部に順次供給して、前記一酸化炭素変成
    触媒を還元処理する請求項1記載の水素含有ガス生成装
    置の前処理方法。
  3. 【請求項3】 炭化水素系の原燃料ガスを脱硫触媒にて
    脱硫する脱硫部が設けられ、その脱硫部と前記改質部と
    が、前記脱硫部からの脱硫原燃料ガスを前記改質部に供
    給するように接続され、 前記還元処理用ガスを、前記選択酸化部を通じて前記変
    成部と前記改質部と前記脱硫部に順次供給して、前記一
    酸化炭素変成触媒を還元処理する請求項2記載の水素含
    有ガス生成装置の前処理方法。
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