JP2002349755A - 埋設管廻りへのグラウト充填方法 - Google Patents

埋設管廻りへのグラウト充填方法

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哲司 浅野
Toshiaki Uramoto
俊明 浦本
Shintaro Inoue
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非開削工法による更生技術によって例えばね
ずみ鋳鉄管やダクタイル鋳鉄管を新管に更新する時、止
水壁を用いることなく新管である埋設管廻りの隙間を効
率的且つ確実にグラウトで充填する埋設管廻りへのグラ
ウト充填方法を提供すること。 【解決手段】 非開削工法により既設埋設管6を取り除
いた後の地中空隙部2内に、袋状のシート12で覆われ
た新設管8を挿入して布設し、新設管8の両端に密封状
態に固定されている袋状のシート12の一端に形成され
ているグラウト注入口14にグラウト注入管を接続し且
つ他端に形成されているエアー抜き口15を開放し、次
いで袋状のシート12内にグラウト16を加圧注入する
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は埋設管廻りへのグラ
ウト充填方法に関し、更に詳細には既設埋設管を取り除
いた後の地中空隙部内に新設管を布設して更生する際
に、当該新設管廻りの地中空隙部における内隙間にグラ
ウトを充填する埋設管廻りへのグラウト充填方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、埋設された既設のガス管や下水管
などを非開削工法で新管に更新する際に、更新しようと
する既設埋設管の両端側にそれぞれ立坑を形成し、これ
らの立坑の一方から既設埋設管を引抜破砕装置等を用い
て引き抜き処理すると共に、この既設埋設管の引き抜き
と同時に他方の立坑から新管を挿入して更生する技術
は、既によく知られている。
【0003】このような非開削工法による更生技術によ
って既設埋設管を取り除いた後の地中空隙部内に新管を
布設した場合、この地中空隙部内における新設管の廻り
に隙間ができ、この隙間をグラウト注入によって埋める
ことが行われている。従来、更生された新設管廻りの隙
間にグラウトを充填する方法としては、図4に示される
ように、新設管1の布設後に、空隙部2の両端側におい
て新設管廻りに砂袋等で止水壁3を設置して空隙部2を
完全に閉塞し、且つ両側の各止水壁3の一方に当該止水
壁を貫通する注入口4を設け、また他方にエアー抜き口
5を設ける。
【0004】その後、注入口4にグラウト注入管(図示
せず)を接続して、ポンプ装置などを用いてグラウトを
新設管廻りの隙間に圧入して充填する。そして、新設管
廻りの隙間に圧入されるグラウトが他方の止水壁3に設
けられたエアー抜き口5から溢れ出てきた状態を見て完
全充填とし、その時点でグラウトの注入を停止する。次
いで、グラウト注入管を注入口4から外して当該注入口
4を閉鎖すると共にエアー抜き口5も同時に閉鎖し、止
水壁3を埋殺しの状態で空隙部2の両端側における新設
管廻りを埋め戻す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
このようなグラウト充填方法では、止水壁3の仕上がり
状態がグラウト充填性能に大きく影響し、グラウト充填
時に一度でも止水壁3が崩壊すると、その止水性能は大
幅に低下し、再度止水することは非常に困難な作業とな
る。
【0006】また、前述した従来のグラウト充填方法で
は、グラウト材そのものの性能調整も微妙で非常に難し
い、という問題があった。すなわち、高流動性のグラウ
トを用いると止水壁から漏れる可能性が高いため、グラ
ウトを低圧で圧送することが望ましい。しかし、グラウ
トを低圧で圧送するには流動性の確保が必須の条件とな
る。このようなことから、止水壁の性能に併せてグラウ
トの流動性を調整する必要があり、この調整が非常に難
しいという問題があった。
【0007】ところで、従来のグラウト充填方法では、
何らかの必要があって他の業者が後日に更生管廻りを掘
削した場合に、更生管がグラウト材で覆われているた
め、この更生管の存在や種別(例えばガス管、下水管或
いは電気設備用管)の特定を誤る可能性もある、という
問題もあった。
【0008】本発明の目的は、かかる従来の問題点を解
決するためになされたもので、非開削工法による更生技
術によって例えばねずみ鋳鉄管やダクタイル鋳鉄管を新
管に更新する時、止水壁を用いることなく新管である埋
設管廻りの隙間を効率的且つ確実にグラウトで充填する
埋設管廻りへのグラウト充填方法を提供することにあ
る。
【0009】また、本発明の他の目的は、何らかの必要
があって他の業者が後日に新設管廻りを掘削した場合に
この新設管の存在や種別の特定が容易にできるようにす
る埋設管廻りへのグラウト充填方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は埋設管廻りへの
グラウト充填方法であり、前述した技術的課題を解決す
るために以下のように構成されている。すなわち、本発
明に係る埋設管廻りへのグラウト充填方法は、非開削工
法により既設埋設管を取り除いた後の地中空隙部内に、
袋状のシートで覆われた新設管を布設すること、次いで
新設管の両端に密封状態に固定されている袋状のシート
の適所から、内部の空気を排気しながらグラウトを加圧
注入すること、その後袋状のシートがグラウトで満たさ
れた時にグラウトの注入を停止して袋状のシートのグラ
ウト注入口及び排気のためのエアー抜き口を閉鎖するこ
とから構成されていることを特徴とする。
【0011】〈本発明における具体的構成〉本発明に係
る埋設管廻りへのグラウト充填方法は、前述した必須の
構成要素からなるが、その構成要素が具体的に以下のよ
うな場合であっても成立する。その具体的構成要素と
は、袋状のシートで覆われた新設管が地中空隙部の一端
側に位置する立坑からの挿入により布設され、グラウト
が新設管の両端に密封状態に固定されている袋状のシー
トの一端に形成されているグラウト注入口から加圧注入
され且つ袋状のシートの他端に形成されているエアー抜
き口から内部の空気が排気され、更にエアー抜き口から
グラウトが溢れ出た時にグラウトの注入が停止されるこ
とから構成されていることを特徴とする。
【0012】また、本発明に係る埋設管廻りへのグラウ
ト充填方法では、地中空隙部の一端側に位置する立坑か
ら、袋状のシートで覆われた新設管を地中空隙部内に挿
入して布設する際に、既設埋設管を別の立坑から引き抜
きながら袋状のシートで覆われた新設管を挿入して布設
することが好ましい。また、本発明に係る埋設管廻りへ
のグラウト充填方法では、新設管を覆う袋状のシートを
着色し、且つ必要な情報を明記しておくことが好まし
い。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の埋設管廻りへのグ
ラウト充填方法を図に示される実施形態について更に詳
細に説明する。図1〜図3には本発明の一実施形態に係
る埋設管廻りへのグラウト充填方法の実施状態が示され
ている。この一実施形態に係る埋設管廻りへのグラウト
充填方法は、非開削工法により既設埋設管を取り除いた
後の地中空隙部内に、当該地中空隙部の一端側に位置す
る立坑から、袋状のシートで覆われた新設管を挿入して
布設することを含む。
【0014】非開削工法により既設埋設管を取り除いた
後の地中空隙部内に新設管を布設する、所謂埋設管の更
生方法としては、従来から行われている方法が用いられ
る。すなわち、従来の非開削工法による埋設管更新方法
は、埋設管6方向に対して所定の離間、例えば1施工区
間長として30〜40m程度の離間を空けて既設埋設管
6を露出させるために地盤を掘り下げて発進坑Aと到達
坑Bとをそれぞれ形成する。
【0015】発進坑Aは衝撃式推進機7を送り出すと共
に、これに後続された新設管(例えば、ポリエチレン製
の管)8を送り出すための立坑であり、他方の到達坑B
は引抜破砕装置9を設置し、引き抜かれた既設埋設管6
を順次破砕処理するための立坑である。また、既設埋設
管6内に挿入されたPC鋼棒及びPC鋼線等の引張鋼材
10は、一方の端部が衝撃式推進機7のヘッドに結合さ
れ、他方の端部が引抜破砕装置9により拘束保持され
る。
【0016】衝撃式推進機7は衝撃振動発振機を備え、
この衝撃振動発振機により既設埋設管6に衝撃振動を与
えて既設埋設管6と周辺地盤との摩擦を縁切りするもの
で、このような衝撃式推進機7は既によく知られている
装置である。他方、到達坑Bに配置される引抜破砕装置
9も、例えば特開2000−74262号公報に開示さ
れているように既によく知られている。この引抜破砕装
置9のジャッキ操作により引張鋼材10を介して衝撃式
推進機7を牽引して、既設埋設管6を到達坑B側にゆっ
くりと引き抜く。
【0017】到達坑Bでは引き抜かれた既設埋設管6を
順次破砕すると共に、単位埋設管長毎に現れる継手6
a、6a……を引抜破砕装置9に付設された継ぎ手破砕
装置により破砕する。なお、引抜破砕装置9による所要
引込み力は、大径の継手6aが単位埋設管長だけ移動し
た後は、実質的に既設埋設管6の埋設区間に亘って継手
6aの外径に相当する孔(地中空隙部)2が形成される
ことになるため、その後の引抜力は極端に小さくて済む
ようになる。
【0018】このように引抜破砕装置9のジャッキ操作
により引張鋼材10を介して衝撃式推進機7を牽引する
ことで既設埋設管6が引き抜かれるが、この既設埋設管
6の引き抜きに伴って衝撃推進機7及びスイベル11を
介して一端が連結された新しいポリエチレン製管(新設
PE管)8も地中空隙部2内に発進坑Aから引き込まれ
る。
【0019】この新設PE管8は、予めその全長に亘っ
て袋状のシート12で覆われている。具体的には、新設
PE管8の布設前に予想される空隙部2の最大直径と同
等以上の直径と、布設される新設PE管8の全長と同等
以上の長さとを備える袋状のシート12に、新設PE管
8が挿入され、その各端部同士がバンド型の締結具13
を用いてしっかりと縛り付けられている。
【0020】新設PE管8の端部外周面への袋状シート
端部の固縛は、当該袋状のシート12の内部が密封状態
となり、特に固縛部からグラウトが漏れ出ない程度に縛
り付けられていることが望ましい。前述したように新設
PE管8の各端部8a、8bに固縛された袋状のシート
12の各端部近傍にはそれぞれグラウト注入口部14と
エアー抜き口部15とが設けられている。
【0021】そして、新設PE管8が、図2に示される
ように既設埋設管を取り除いた後の地中空隙部2内に布
設された時、袋状のシート12の一端に設けられている
グラウト注入口部14にグラウト注入管(図示せず)が
接続され、同時に袋状のシート12の他端に形成されて
いるエアー抜き口部15が開放される。
【0022】次いで、ミキサーで作泥したグラウト16
がグラウト注入管を介して袋状のシート12内に加圧注
入され始め、このグラウト注入に伴ってエアー抜き口部
15から袋状のシート12内の空気が排気される。グラ
ウト注入口部14から袋状のシート12内にグラウトを
注入し続けると、袋状のシート12は膨らみながら地中
空隙部2の不規則な内面形状になじみながら密着して隙
間を埋め尽くす。
【0023】袋状のシート12内へのグラウト16の注
入によって当該袋状のシート12が膨張し、地中空隙部
2内における新設PE管8廻りの間隙を埋め尽くすと、
袋状のシート12内へ注入されているグラウトは行き先
がなくなるためにエアー抜き口部15から溢れ出てく
る。この状態を目視で確認して、グラウト16の注入を
停止する。
【0024】その後、グラウト注入口部14からグラウ
ト注入管を外して閉鎖すると共にエアー抜き口部15も
閉鎖する。そして、最後に、発進坑A及び到達坑Bを埋
め戻す。このようにして新設PE管8の廻りにグラウト
16を充填すると、従来のように砂袋で止水壁を厳重に
作る必要がなく、しかもそれに伴ってグラウトの流動性
能を精度高く調整する必要もなくなり、その結果グラウ
ト充填の施工が非常に能率的に行うことができる。
【0025】施工実施例としては、グラウト材に混和剤
を添加してフロー値450mm程度の高流動性をもたせ
ることによって、漏れ出すことが一切無く充填時間を短
縮できる等の効果が得られた。
【0026】また、この実施形態に係る新設管廻りへの
グラウト充填方法によると、グラウト16はあくまで袋
状のシート12内に充填されることになるため、もし新
設PE管8廻りの地中空隙部2に空洞や亀裂が存在した
場合や、隣接する下水管が破損していた場合などにグラ
ウト16がこれらの空洞や亀裂に流れ込むことがなく、
或いは破損箇所から下水管に流れ込むこともなく、その
結果、このグラウト充填方法は周囲の環境に配慮した優
れた充填方法となる。
【0027】なお、この袋状のシート12に着色をし、
及び/或いは当該シートの表面に新設管の事業者及び管
種など必要な情報を明示しておけば、将来、新設した管
の廻りを他の施工業者が何らかの事情で掘削した場合、
新設管の存在やその種別の特定(ガス、水、電気)を直
ちに認識することができ、新設管の破損などの発生を防
ぐことができる。
【0028】前述した本発明の実施形態では、新設管と
してPE管を使用したが、本発明は新設管としてPE管
に限定されるものではなく、種々の管を用いる場合にも
適用可能である。また、前述した本発明の実施形態で
は、既設埋設管を取り除く方法として、衝撃式推進機や
引抜破砕装置を用いて行う例についてのものであった
が、本発明はこれらの装置を用いて既設埋設管を取り除
き、その箇所に新設管を埋設する場合に限定されるもの
ではなく、非開削工法を用いる限りいかなる手法で既設
埋設管を取り除く場合でも適用できることは言うまでも
ない。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の埋設管廻
りのグラウト充填方法によれば、従来のように砂袋で止
水壁を作る必要がなく、またそれに伴ってグラウトの流
動性能を精度高く調整する必要もなくなり、その結果グ
ラウト充填の施工が非常に能率的に行うことができ、グ
ラウト充填施工を迅速に行うことができる。
【0030】更に、本発明に係る新設管廻りへのグラウ
ト充填方法によれば、グラウトはあくまで袋状のシート
内に充填されることになるため、もし新設管廻りの地中
空隙部に空洞や亀裂が存在した場合や、隣接する下水管
が破損していた場合などにグラウトがこれらの空洞や亀
裂に流れ込むことがなく、或いは破損箇所から下水管に
流れ込むこともなく、その結果、このグラウト充填方法
は周囲の環境に配慮した優れた充填方法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る新設管廻りへのグラ
ウト充填方法の実施状態を概略的に示す断面図である。
【図2】図1に示される本発明の一実施形態に係る新設
管廻りへのグラウト充填方法の実施状態に引き続く施工
状態を概略的に示す断面図である。
【図3】図2に示される本発明の一実施形態に係る新設
管廻りへのグラウト充填方法の実施状態に更に引き続く
施工状態を概略的に示す断面図である。
【図4】従来の新設管廻りへのグラウト充填方法の実施
状態を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
2 地中空隙部 6 既設埋設管 8 新設管 12 袋状のシート 13 締結具 14 グラウト注入口部 15 エアー抜き口部 16 グラウト材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畠中 省三 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 浅野 哲司 神奈川県横浜市鶴見区小野町88番地 日本 鋼管工事株式会社内 (72)発明者 浦本 俊明 神奈川県横浜市鶴見区小野町88番地 日本 鋼管工事株式会社内 (72)発明者 井上 伸太郎 神奈川県横浜市鶴見区小野町88番地 日本 鋼管工事株式会社内 Fターム(参考) 2D063 BA32

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非開削工法により既設埋設管を取り除い
    た後の地中空隙部内に、袋状のシートで覆われた新設管
    を布設すること、次いで前記新設管の両端に密封状態に
    固定されている前記袋状のシートの適所から、内部の空
    気を排気しながらグラウトを加圧注入すること、その後
    前記袋状のシートが前記グラウトで満たされた時に前記
    グラウトの注入を停止して前記袋状のシートのグラウト
    注入口及び排気のためのエアー抜き口を閉鎖することか
    ら構成される埋設管廻りへのグラウト充填方法。
  2. 【請求項2】 前記袋状のシートで覆われた前記新設管
    が前記地中空隙部の一端側に位置する立坑からの挿入に
    より布設され、前記グラウトが前記新設管の両端に密封
    状態に固定されている前記袋状のシートの一端に形成さ
    れているグラウト注入口から加圧注入され且つ前記袋状
    のシートの他端に形成されているエアー抜き口から内部
    の空気が排気され、更に前記エアー抜き口から前記グラ
    ウトが溢れ出た時に前記グラウトの注入が停止されるこ
    とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載
    の埋設管廻りへのグラウト充填方法。
  3. 【請求項3】 前記地中空隙部の一端側に位置する前記
    立坑から、前記袋状のシートで覆われた前記新設管を前
    記地中空隙部内に挿入して布設する際に、前記既設埋設
    管を別の立坑から引き抜きながら前記袋状のシートで覆
    われた前記新設管を挿入することを特徴とする請求項2
    に記載の埋設管廻りへのグラウト充填方法。
  4. 【請求項4】 前記新設管を覆う前記袋状のシートが着
    色され、且つ必要な情報が明記されていることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載の埋設管廻りへのグ
    ラウト充填方法。
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