JP2002338779A - 難燃性エラストマー組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の課題は、スチレン−エチレン−ブチレ
ン−スチレンブロック共重合体（ＳＥＢＳ）に難燃剤が
添加された難燃性エラストマー組成物において、少ない
難燃剤（膨張性黒鉛および赤燐）の添加量で、難燃性エ
ラストマー組成物に難燃性を付与することである。 【解決手段】ＳＥＢＳに難燃剤として膨張性黒鉛および
赤燐が分散されている難燃性エラストマー組成物におい
て、該難燃性エラストマー組成物にポリフェニレンエー
テルを添加する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、家電部品、屋内配
線等に使用される非ハロゲン系難燃性エラストマーに関
するものである。

【０００２】

【発明の背景】従来、熱可塑性エラストマーに難燃性を
付与した難燃性エラストマーが提供されているが、該難
燃性エラストマーは熱可塑性エラストマーに難燃剤を添
加することで製造されている。該難燃剤としてはハロゲ
ン系の難燃剤が使用されており、該難燃剤が添加された
難燃性エラストマーは優れた難燃性を有する反面、該難
燃性エラストマーの成形加工時あるいは該難燃性エラス
トマーの燃焼時において、毒性および腐食性を有するハ
ロゲン系ガスが発生することが問題とされていた。

【０００３】

【従来の技術】したがってハロゲン系の難燃剤に代わる
難燃剤として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ム等の金属水酸化物が使用されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記金属水酸
化物を難燃性エラストマーの難燃剤として使用する場
合、該難燃性エラストマーに充分な難燃性を付与するた
めには、上記ハロゲン系の難燃剤と比べ多量の金属水酸
化物を使用する必要があり、そのため該難燃性エラスト
マーより得られる成形物の機械的特性を著しく低下さ
せ、かつ組成物および成形物の比重を増加させる原因と
なっている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン
ブロック共重合体（ＳＥＢＳ）に難燃剤として膨張性黒
鉛および赤燐が分散されている難燃性エラストマー組成
物であって、該難燃性エラストマー組成物にはポリフェ
ニレンエーテル（ＰＰＥ）が添加されている難燃性エラ
ストマー組成物を提供するものである。該難燃性エラス
トマー組成物には、ポリプロピレン（ＰＰ）および／ま
たは軟化剤が添加されることが望ましく、該軟化剤はパ
ラフィン系オイルであることが望ましい。

【０００６】該膨張性黒鉛は、ＳＥＢＳ１００重量部に
対して１０重量部以上〜１００重量部以下添加され、該
赤燐は、ＳＥＢＳ１００重量部に対して５重量部以上〜
５０重量部以下添加され、および該ポリフェニレンエー
テルは、ＳＥＢＳ１００重量部に対して１０重量部以上
〜１００重量部以下添加されることが望ましい。

【０００７】本発明を以下、詳細に説明する。

【０００８】

【発明の実施の形態】〔熱可塑性エラストマー〕本発明
で使用する熱可塑性エラストマーは、スチレン−エチレ
ン−ブチレン−スチレンブロック共重合体（ＳＥＢＳ）
である。

【０００９】〔難燃剤〕本発明の難燃性エラストマー組
成物において使用される難燃剤は、膨張性黒鉛および赤
燐である。該膨張性黒鉛とは加熱することにより体積が
膨張する黒鉛のことである。

【００１０】本発明の難燃性エラストマー組成物におい
て、該膨張性黒鉛はＳＥＢＳ１００重量部に対して、１
０重量部以上〜１００重量部以下の範囲の添加量で添加
され、また該赤燐はＳＥＢＳ１００重量部に対して、５
重量部以上〜５０重量部以下の範囲の添加量で添加され
る。

【００１１】〔難燃補助剤〕本発明において、上記難燃
剤と併用することで難燃性エラストマー組成物に難燃性
を付与する難燃補助剤として使用されるのは、ポリフェ
ニレンエーテル（ＰＰＥ）である。該ＰＰＥはそれ自身
が自己消火性を有し、かつ、良好な物性を有するポリマ
ーであるため、エラストマーの物性を低下させることな
く難燃性を付与することができる。

【００１２】本発明の難燃性エラストマー組成物におい
て、該ＰＰＥはＳＥＢＳ１００重量部に対して１０重量
部以上〜１００重量部以下の範囲の添加量で添加され
る。

【００１３】〔硬度調節剤〕本発明の難燃性エラストマ
ー組成物では、硬度を調節するためにポリプロピレン
（ＰＰ）および／または軟化剤が添加される。

【００１４】硬度調節剤として添加されるＰＰは、難燃
性エラストマー組成物に硬さを付与するために添加され
る。該ＰＰはＳＥＢＳ１００重量部に対して、１重量部
以上〜５０重量部以下の範囲の添加量で添加される。

【００１５】上記ＰＰ以外にＳＥＢＳと相溶性の良い合
成樹脂、合成ゴムあるいは熱可塑性エラストマーを添加
してもよく、該合成樹脂、合成ゴムあるいは熱可塑性エ
ラストマーとしては、ポリエチレン、エチレン−プロピ
レン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢
酸ビニル、フッ素樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑
性ポリエステル、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ウレタ
ン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂、
アクリルゴム、ブチルゴム、ケイ素ゴム、ウレタンゴ
ム、フッ化物系ゴム、多硫化物系ゴム、グラフトゴム、
ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、
ポリイソブチレンゴム、ポリブテンゴム、イソブテン−
イソプレンゴム、アクリレート−ブタジエンゴム、スチ
レン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン
ゴム、ピリジン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレ
ンゴム（ＳＩＲ）、アクリロニトリル−クロロプレンゴ
ム（ＮＣＲ）、スチレン−クロロプレンゴム（ＳＣ
Ｒ）、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合
体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピ
レンターポリマー、スチレン−エチレン共重合体、ポリ
（α−メチルスチレン）−ポリブタジエン−ポリ（α−
メチルスチレン）共重合体（α−ＭｅＳ−Ｂ−α−Ｍｅ
Ｓ）、ポリ（α−メチルスチレン）−ポリイソプレン−
ポリ（α−メチルスチレン）、ブタジエン−スチレン共
重合体（ＢＳ）、エチレン−プロピレン−エチリデン共
重合体、エチレン−ブテン−１共重合体、エチレン−プ
ロピレン−エチルデンノルボルネン共重合体、エチレン
−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレ
ン−プロピレン−１，４ヘキサジエン共重合体、エチレ
ン−ブテン−１−エチリデンノルボルネン共重合体、エ
チレン−ブテン−１−ジシクロペンタジエン共重合体、
エチレン−ブテン−１−１，４ヘキサジエン共重合体等
の合成ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック
共重合体（ＳＢＳ）、スチレン−イソプレン−スチレン
ブロック共重合体（ＳＩＳ）等のスチレン系熱可塑性エ
ラストマー等の熱可塑性エラストマー等が例示され、こ
れらの一種または二種以上をＳＥＢＳと併用しても良
い。

【００１６】本発明において使用される軟化剤はパラフ
ィン系オイルである。該軟化剤はＳＥＢＳ１００重量部
に対して、２０重量部以上〜５００重量部以下の範囲の
添加量で添加される。

【００１７】パラフィン系オイルに代えて、ステアリン
酸、ヒマシ油、ヤシ油、パーム油等の脂肪油系オイル等
を軟化剤として使用してもよい。

【００１８】〔その他の成分〕本発明においては、更に
難燃性エラストマー組成物の耐熱性、耐衝撃性、寸法安
定性、剛性等を改良するために、例えば炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウ
ム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、水酸化カルシ
ウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化
マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミ
ナ、シリカ、ケイ藻土、ドロマイト、石膏、タルク、ク
レー、アスベスト、マイカ、ガラス繊維、ケイ酸カルシ
ウム、ベントナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラ
ック、鉄粉、アルミニウム粉、石粉、高炉スラグ、フラ
イアッシュ、セメント、ジルコニア粉等の充填剤、難燃
剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止
剤、結晶化促進剤、発泡剤、染料、顔料等の着色剤等が
添加されてもよい。

【００１９】〔難燃性エラストマー組成物〕本発明の難
燃性エラストマー組成物の難燃性は、ＵＬ−９４規格Ｖ
−２以上の難燃性を有するものであり、望ましくはＶ−
０のものである。

【００２０】以下、実施例により本発明を説明する。な
お本発明は実施例のみに限定されるものではない。 〔実施例〕ＳＥＢＳ、膨張性黒鉛、赤燐、ＰＰＥ、軟化
剤（パラフィン系オイル）、ＰＰを表１に示す配合条件
で難燃性エラストマー組成物（実施例１〜実施例３）を
調製し、該組成物より成形物を製造した。該成形物の硬
度^*1、引張強度^*2、および難燃性評価^*3の結果を表１に
示す。

【００２１】硬度^*1: ＪＩＳ Ｋ６２５３ タイプＡで
実施。引張強度^*2：ＪＩＳ Ｋ６２５１で実施。難燃性
評価^*3：ＵＬ−９４規格に準ずる。

【００２２】〔比較例〕また比較例として、表１に示す
ＳＥＢＳ、膨張性黒鉛、赤燐、ＰＰＥ、軟化剤（パラフ
ィン系オイル）、ＰＰの配合条件で組成物（比較例１お
よび比較例２）を調製し、該組成物より成形物を製造し
た。該成形物の硬度^*1、引張強度^*2、および難燃性評価
^*3の結果を表１に示す。なお硬度および引張強度の測
定、および難燃性評価の方法は上記実施例と同様であ
る。

【００２３】

【表１】

【００２４】実施例１〜実施例３、比較例１および比較
例２の組成物の難燃性評価の結果より、実施例１〜実施
例３の組成物は、ＵＬ−９４規格Ｖ−２以上の難燃性を
有していることがわかる。また難燃性エラストマー組成
物中のＰＰＥの組成比を大きくすることで、該組成物の
難燃性が向上することがわかる（実施例１および実施例
３との比較）。

【００２５】なお難燃剤を添加せずにＰＰＥのみを添加
した場合では、比較例１の組成物は難燃性を充分得られ
ていないことがわかり（比較例１）、またＰＰＥを添加
せずに難燃剤のみの使用した場合にあっても、上記実施
例の組成物が有する難燃性には及ばないことがわかる
（比較例２）。

【００２６】更に上記実施例の組成物の硬度および引張
強度の測定結果より、該組成物は家電部品、屋内配線等
として使用するのに充分な値を有していることがわか
る。

【００２７】

【発明の効果】膨張性黒鉛および赤燐を難燃剤として使
用し、かつ該難燃剤と共に難燃補助剤としてＰＰＥを使
用する本発明の難燃性エラストマー組成物は、難燃性に
優れ、かつ機械的特性（硬度および引張強度）に優れて
いる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｃ０８Ｌ 71:12） (72)発明者 佐藤 邦彦 愛知県名古屋市港区船見町１番地の13 ア ロン化成株式会社名古屋工場（船見）内 (72)発明者 福井 誠治 愛知県名古屋市港区船見町１番地の13 ア ロン化成株式会社名古屋工場（船見）内 (72)発明者 宮岡 輝男 愛知県名古屋市港区船見町１番地の13 ア ロン化成株式会社名古屋工場（船見）内 Ｆターム(参考） 4J002 AE05X BB11Z BP03W CH07Y DA026 DA057 FD13Y FD136 FD137 GQ01

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン
   ブロック共重合体に難燃剤として膨張性黒鉛および赤燐
   が分散されている難燃性エラストマー組成物であって、
   該難燃性エラストマー組成物にはポリフェニレンエーテ
   ルが添加されていることを特徴とする難燃性エラストマ
   ー組成物
2. 【請求項２】該難燃性エラストマー組成物には、ポリプ
   ロピレンおよび／または軟化剤が添加される請求項１に
   記載の難燃性エラストマー組成物
3. 【請求項３】該軟化剤は、パラフィン系オイルである請
   求項２に記載の難燃性エラストマー組成物
4. 【請求項４】該膨張性黒鉛は、スチレン−エチレン−ブ
   チレン−スチレンブロック共重合体１００重量部に対し
   て１０重量部以上〜１００重量部以下添加され、該赤燐
   は、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック
   共重合体１００重量部に対して５重量部以上〜５０重量
   部以下添加され、および該ポリフェニレンエーテルは、
   スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重
   合体１００重量部に対して１０重量部以上〜１００重量
   部以下添加される請求項１〜請求項３に記載の難燃性エ
   ラストマー組成物