JP2002337140A - 光学用ポリカーボネート樹脂成形材料および光ディスク基板 - Google Patents

光学用ポリカーボネート樹脂成形材料および光ディスク基板

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形によりシルバーストリークの発生を低減
することができ、かつ成形加工時の操作がスムーズであ
る光学用成形材料に適したポリカーボネート樹脂ペレッ
トを提供する。 【解決手段】 ペレットの安息角が23°〜28°であ
り、かつペレット1個の重量の平均値が13mg〜26
mg、標準偏差が2.2mg以下であるポリカーボネー
ト樹脂ペレットより成ることを特徴とする光学用ポリカ
ーボネート樹脂成形材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学用成形材料、
例えば音声信号や画像信号等、各種の情報信号を記録す
るための光記録媒体を製造するのに適した樹脂材料およ
びそれから得られる基板並びに記録媒体に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】レーザ光の照射により情報の記録・再生
をおこなう光ディスクとしては、デジタルオーディオデ
ィスク(いわゆるコンパクトディスク)、光学式ビデオ
ディスク(いわゆるレーザディスク)、各種追記型ディ
スク、光磁気ディスク、相変化ディスク等が実用化され
ている。このうち、コンパクトディスク(CD)やレー
ザディスクは、再生専用(Read Only Mem
ory:ROM)型の光ディスクである。これらの光デ
ィスクは、一般に透明基板上に、情報信号に対応したピ
ットが凹凸形状で形成され、この上にAl反射層が40
nm以上の厚さで製膜されている。このような光ディス
クでは、ピットで生じる光干渉による反射率変化を検出
することにより情報信号が再生される。
【0003】一方、追記型光ディスクは、ユーザによっ
て任意情報の書き込みが可能なR(Recordabl
e)型の光ディスクであり、光磁気ディスクおよび相変
化型ディスクは、繰り返し任意情報の書き込みが可能な
RAM(Random Acceess Memor
y)型の光ディスクである。すなわち、R型光ディスク
は、透明基板上に、レーザ光の照射によって不可逆的に
光学特性が変化したり凹凸形状が形成される追記型の記
録層にて構成される。この記録層としては、例えばレー
ザ光の照射による加熱で分解し、その光学定数が変化す
るとともに、体積変化によって基板の変形を生じさせる
シアニン系、フタロシアニン系、アゾ系の有機色素等が
用いられる。
【0004】光磁気ディスクは、ユーザによって情報の
書き込みおよび消去を繰り返しおこなうことができる、
書き換え可能型の光ディスクであり、透明基板上に、T
b−Fe−Co非晶質合金薄膜などの磁気光学効果(例
えばカー効果)を有する垂直磁化膜が形成されて構成さ
れる。この光磁気ディスクでは、情報信号に対応して垂
直磁化膜の微小領域を上向きあるいは下向きに磁化する
ことにより記録ピットが形成される。そして、反射光で
の直線偏光の回転角θk(カー回転角)が垂直磁化膜の
磁化の向きによって異なることを利用して情報信号が再
生される。相変化ディスクは、光磁気ディスク同様に書
き換え可能型のディスクであり、例えば初期状態で結晶
状態を呈し、レーザ光が照射されることでアモルファス
状態に相変化する、Ge−Sb−Te相変化材料等が用
いられる。この記録層では、情報信号に対応して微小領
域を相変化させることにより記録ピットが形成され、ピ
ットに相当するアモルファス部分とそれ以外の結晶領域
との反射率変化を検出することで情報信号が再生され
る。
【0005】このような光磁気ディスクや相変化ディス
クでは、記録層の酸化防止や多重干渉による信号変調度
の増大を目的として、記録層の両側を透明な誘電体層で
挟み込み、さらにその上にAl反射層を積層した4層構
造がとられる場合が多い。なお、誘電体層としては、窒
化シリコン膜、Zn−SiO2混成膜などが用いられ
る。ところで、最近、このような光ディスクをデジタル
映像記録用として用いるための検討が盛んにおこなわれ
ており、そのような光ディスクとしてデジタル・バーサ
タイル・ディスク(DVD)が開発されるに至ってい
る。このDVDは、CDと同じ120mm径としなが
ら、映画一本分に相当する映像情報を記録し、現行テレ
ビ並みの画質で再生できるようになされたものである。
【0006】ここで、このような映像情報を光ディスク
に記録するには、例えばCDの6〜8倍の記録容量が必
要になる。このため、DVDでは、レーザ波長をCDで
の780nmに対して635〜650nmと短波長化す
るとともに対物レンズの開口数NAをCDでの0.45
に対して、0.52または0.6に増大させることにより
トラックピッチやピットの最短記録マーク長を縮め、記
録密度を上げるようにしている。
【0007】このうち対物レンズの開口数NAの増大
は、ディスク基板のそりに対する許容量を小さくするこ
とになる。このため、DVDでは、基板の厚さをCDの
1.2mmに対して、0.6mmと薄くすることにより、
レーザ光がディスク基板を通過する距離を短くし、反り
に対する許容量を補償する様にしている。そして、さら
に基板を薄くすることによるディスク強度の低下を補う
ため、特開平6−274940号公報で記載されるよう
に、基板上に形成された記録層の上に、さらに基板を貼
り合わせる、いわゆる貼り合わせ構造が採られている。
なお、貼り合わせ光ディスクの記録層としては、上述の
単板構成で用いられるROM型の記録層、R型の記録
層、RAM型の記録層のいずれもが採用できる。さら
に、貼り合わせ光ディスクには、その片側の面のみを利
用する片面貼り合わせ光ディスクと、両側の面を利用す
る両面型貼り合わせ光ディスクとがある。
【0008】以上のような光学用ディスク基板には、成
形性、強度、光線透過率および耐湿性等に優れているポ
リカーボネート樹脂が多く使用されている。光ディスク
は基板上に形成されたミクロンサイズの凹凸を利用して
レーザー光による情報の記録や再生を行う為に、基板中
に存在する欠点がそれ以上の大きさである場合情報の記
録や再生の信頼性に対して大きな影響を与える。そのた
めこの様な欠点としてのシルバーストリークの発生を抑
えることが要求されている。シルバーストリークの発生
原因としては乾燥不良による加水分解、シリンダー内で
の熱分解、ホッパー側からのエアーの巻き込み等が挙げ
られる。この内エアーの巻き込みによるシルバーストリ
ークの発生の抑制対策として、ペレット長の規制(特開
平7−324138号公報)、ペレット長およびペレッ
ト長径の規制(特開平11−35692号公報)などが
提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に
鑑みてなされたものであり、該問題点について鋭意研究
をかさねた結果、ペレットの安息角の値および重量を一
定の範囲にすることがシルバーストリークの発生を低減
させること、さらにこのペレットを用いることにより成
形加工時の操作がスムーズになることを見出した。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によればポリカー
ボネート樹脂ペレットであって、そのペレットの安息角
が23°〜28°でありかつペレット1個当たりの重量
の平均値が13mg〜26mgで重量の標準偏差が2.
2mg以下であることを特徴とするポリカーボネート樹
脂ペレットより成る光学用ポリカーボネート樹脂成形材
料およびその材料より形成された光ディスク基板が提案
される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明における、CD−R、CD
−RW、MO、DVD−ROM、DVD−Audio、
DVD−R、DVD−RAM等で代表されるデジタル・
バーサタイル・ディスク(DVD)の光ディスク、特に
DVD等の高密度光ディスクに利用するために、情報の
記録や再生の信頼性を高めるための基板を成形するのに
適した成形材料(芳香族ポリカーボネート樹脂)のペレ
ットについて、以下詳細に説明する。
【0012】本発明で使用されるポリカーボネート樹脂
は、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを例え
ば界面重合法または溶融重合法等で反応させて得られる
ものである。ここで使用される二価フェノールの代表的
な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,
4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−
ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノール
A)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)
フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス
{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プ
ロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒド
ロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒ
ドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメ
チルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−
ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,
α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプ
ロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベン
ゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7
−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフ
ィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’
−ジヒドロキシジフェニルエステル等があげられ、これ
らは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0013】なかでもビスフェノールA、2,2−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,
3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキ
サンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた
少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合
体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールA
の単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビスフ
ェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メ
チル)フェニル}プロパンまたはα,α’−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンと
の共重合体が好ましく使用される。
【0014】カーボネートの前駆体としてはカルボニル
ハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート
等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボ
ネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙
げられる。
【0015】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を例えば界面重合法または溶融重合法によって反応させ
てポリカーボネート樹脂を製造するに当たっては、必要
に応じて触媒、二価フェノールの酸化防止剤等を使用し
てもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多
官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート
樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボ
ン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であっ
てもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の二種
類以上を混合した混合物であってもよい。
【0016】界面重合法による反応は、通常二価フェノ
ールとホスゲンの反応であり、酸結合剤および有機溶媒
の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化
物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機
溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等
のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のた
めに例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアン
モニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウム
ブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合
物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることも
できる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間
は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つの
が好ましい。
【0017】溶融重合法による反応は、通常二価フェノ
ールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であ
り、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネー
トエステルとを加熱しながら混合して、生成するモノヒ
ドロキシ化合物(例えばフェノール)を留出させる方法
により行なわれる。反応温度は生成するモノヒドロキシ
化合物の沸点等により異なるが、通常120〜350℃
の範囲である。反応後期には系を10〜0.1Torr
程度に減圧して生成するモノヒドロキシ化合物の留出を
容易にさせる。反応中に発生するモノヒドロキシ化合物
は、ポリカーボネート樹脂中に残留するので、十分な反
応時間が必要になり、反応時間は1〜4時間程度であ
る。
【0018】カーボネートエステルとしては、置換され
ていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル
基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが
挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ジト
リルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、m―クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネー
ト、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボ
ネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート
などが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好
ましい。
【0019】また、重合速度を速めるために重合触媒を
用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナ
トリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸
化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等
のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩
基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコ
キシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩
類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合
物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ
化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモ
ン化合物類、マンガン化合物類、チタン化合物類、ジル
コニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル
交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒
は単独で使用してもよいし、二種類以上組み合わせて使
用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二
価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1
×10-4当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4
当量の範囲で選ばれる。
【0020】また、かかる重合反応において、フェノー
ル性の末端基を減少させるために、重縮合反応の後期あ
るいは終了後に、単官能フェノール類以外の末端停止
剤、例えばビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス
(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェニ
ル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)カーボネ
ート、クロロフェニルフェニルカーボネート、ブロモフ
ェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニルフェニル
カーボネート、フェニルフェニルカーボネート、メトキ
シカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよびエト
キシカルボニルフェニルフェニルカーボネートなどの化
合物を加えることが好ましい。なかでも2−クロロフェ
ニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフ
ェニルフェニルが好ましく、特に2−メトキシカルボニ
ルフェニルフェニルが好ましく使用される。
【0021】ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平
均分子量(M)で10,000〜22,000が好まし
く、12,000〜20,000がより好ましく、13,
000〜18,000が特に好ましい。かかる粘度平均
分子量を有するポリカーボネート樹脂は、光学用材料と
して十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も
良好であり成形歪みが発生せず好ましい。本発明でいう
粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポリカーボ
ネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた
比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。 ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は
極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0022】原料ポリカーボネート樹脂は、従来公知の
方法(界面重合法、溶融重合法など)により製造した
後、溶液状態においてアルカリ抽出や濾過処理をした
り、造粒(脱溶媒)後の粒状原料を例えばアセトンなど
のケトン類、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、キシレン
などの芳香族炭化水素などのポリカーボネート貧溶媒お
よび非溶媒で洗浄して低分子量成分や未反応成分等の不
純物や異物を除去することが好ましい。さらに射出成形
に供するためのペレット状ポリカーボネート樹脂を得る
押出工程(ペレット化工程)では溶融状態の時に濾過精
度10μmの焼結金属フィルターを通すなどして異物を
除去したりすることが好ましい。必要により、例えば多
価アルコール脂肪酸エステル等の離型剤、リン系等の酸
化防止剤などの添加剤を配合することが好ましい。いず
れにしても射出成形前の原料樹脂は異物、不純物、溶媒
などの含有量を極力低くしておくことが必要である。
【0023】一般にペレットは、ペレット化工程の各種
条件が変わることにより、微妙に形状を変え、それが全
体のペレットの安息角に影響することになる。この微妙
な形状変化に影響する因子は明確に特定できるものでは
ないが、条件特に押出し量、冷却水の温度および温度分
布、引き取り速度、カッター刃の状態およびクリアラン
ス等が変わることにより、安息角は変化することが多
い。一方、重量分布については条件の影響は安息角ほど
大きくないが、主として押し出し量、冷却水の温度およ
び温度分布、引き取り速度の変動等により、変化する。
【0024】本発明では、かかる微妙な条件変化により
変動する安息角と重量分布とについて、各種製造された
ものの中から規定した条件を満足するものを選択して使
用するものである。本発明の成形材料(芳香族ポリカー
ボネート樹脂)のペレットは、安息角が23°〜28°
でありかつペレットの1個当りの重量の平均値が13m
g〜26mg、その重量の標準偏差が2.2mg以下で
あることが必要である。ペレットの安息角を23°〜2
8°かつ重量の平均値を13mg〜26mg、重量の標
準偏差を2.2mg以下にした場合シルバーストリーク
の発生が抑制され、情報の記録や信頼性を高めることが
出来る。ペレットの安息角および重量の平均値等が上記
の範囲にない場合はシルバーストリークが発生し、情報
の記録や再生の高い信頼性は得られない。
【0025】なお、安息角は23°〜28°、好ましく
は24°〜27°、さらに好ましくは25°〜26°で
あること、かつペレットの1個当りの重量の平均値が1
3mg〜26mg、好ましくは14mg〜24mg、さ
らに好ましくは15mg〜20mg、標準偏差を2.2
mg以下、好ましくは2.0mg以下、さらに好ましく
は1.8mg以下にした場合その効果は確実になる。な
お、ここで述べるペレットは断面の形状が円、楕円およ
び矩形であり、長さが2.5〜3.5mmの形状を有し、
重量が8mg〜35mgである。
【0026】上記ポリカーボネート樹脂より光ディスク
基板を製造する場合には射出成形機(射出圧縮成形機を
含む)を用いる。この射出成形機としては一般的に使用
されているものでよいが、炭化物の発生を抑制しディス
ク基板の信頼性を高める観点からシリンダーやスクリュ
ーとして樹脂の付着性が低く、かつ耐食性、耐摩耗性を
示す材料を使用してなるものを用いるのが好ましい。射
出成形の条件としてはシリンダー温度300〜400
℃、金型温度50〜140℃が好ましく、これは、可能
な限りクリーンあることが好ましい。また、成形に供す
る材料を十分乾燥して水分を除去することや、溶媒樹脂
の分解を招くような滞留を起こさないように配慮するこ
とも重要となる。さらに、複屈折、機械特性などに異常
が発生した基板は、製品あるいは試験用基板として採用
しないよう配慮することも重要である。
【0027】本発明による光学用ポリカーボネート樹脂
成形材料から成形された光ディスク基板は、シルバース
トリークの発生が極めて少なく、CD−R、CD−R
W、MO、デジタルビデオディスク、DVD−ROM、
DVD−Audio、DVD−R、DVD−RAM等で
代表されるデジタル・バーサタイル・ディスク(DV
D)の光ディスクの基板、特にDVDの基板として優れ
ている。以下、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発
明は何らこれらに限定されるものではない。
【0028】
【実施例】[実施例1〜3および比較例1〜3]本実施
例におけるポリカーボネート樹脂ペレットは、種々の条
件で、樹脂を押し出し機によりストランドに押し出し、
温水を満たした冷却槽につけて冷却し、カッターで切断
することにより得られたものであり、断面が楕円形をし
た円柱状ペレットである。なお、これら実施例および比
較例において使用されたペレットは、いずれもペレット
の長さ、断面の長径と短径およびそれらの標準偏差が下
記範囲内のものであった。 ペレット長の平均値:2.8〜3.2mm ペレット断面の長径平均値:3.0〜3.4mm ペレット断面の短径平均値:2.2〜2.5mm それらの標準偏差:0.15mm以下
【0029】各測定は以下の方法にて実施した。 (1)安息角測定 図1に示すように直径13cmのポリカーボネート円板
上に5cmの高さよりペレットを落下させて堆積させ
る。次に、その円錐堆積層の高さ(H)を測定し、下記
式より安息角を算出した。 安息角Φ(°)=tan-1(H/6.5) (2)重量測定 電子天秤によりペレット300粒各々の重量を測定し、
平均値、標準偏差を算定した。なお、標準偏差は下記の
式に従い算出した。 標準偏差=[[ΣM2−(ΣM)2/300]/299]1/2 M:重量(mg) (3)シルバーストリーク 射出成形機[住友重機械工業製DISK 3M III]に
DVD専用の金型を取り付け、この金型にピットの入っ
たニッケル製のDVD用スタンパーを装着し、乾燥機に
て120℃、4時間以上乾燥したペレット成形材料を自
動搬送にて成形機のホッパーに投入し、シリンダー温度
370℃、金型温度110℃にて連続的にDVD基板を
300枚成形した。さらにその基板中のシルバーストリ
ークの発生枚数を目視で観察を行った。結果を表1、2
に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】表1、2に示す通りペレットの安息角、重
量が一定の範囲のペレットを用いる事によりシルバース
トリークの発生が極めて少なく、信頼性の高い高密度デ
ィスク基板を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリカーボネート樹脂ペレットの安息角を測定
するための積み上げたペレットの円錐堆積層の高さと安
息角φとの関係を示した模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 69:00 C08L 69:00 Fターム(参考) 4F071 AA50 AA81 AH12 BB05 4F201 AA28 AC01B AG19 AH79 AR07 AR20 BA02 BC02 BC19 BD04 BL08 BL42 BL43 5D029 KA07 KC09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペレットの安息角が23°〜28°であ
    り、かつペレット1個の重量の平均値が13mg〜26
    mg、標準偏差が2.2mg以下であるポリカーボネー
    ト樹脂ペレットより成ることを特徴とする光学用ポリカ
    ーボネート樹脂成形材料。
  2. 【請求項2】 該ポリカーボネート樹脂は粘度平均分子
    量が10,000〜22,000である請求項1記載の光
    学用ポリカーボネート樹脂成形材料。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の光学用ポリカーボネート
    樹脂成形材料より形成された光ディスク基板。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の光学用ポリカーボネート
    樹脂成形材料より形成されたデジタル・バーサタイル・
    ディスク(DVD)用光ディスク基板。
  5. 【請求項5】 請求項3または4記載の光ディスク基板
    を用いた情報記録媒体。
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