JP2002322138A - アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸の製造方法 - Google Patents

アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸の製造方法

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JP2002322138A
JP2002322138A JP2001131094A JP2001131094A JP2002322138A JP 2002322138 A JP2002322138 A JP 2002322138A JP 2001131094 A JP2001131094 A JP 2001131094A JP 2001131094 A JP2001131094 A JP 2001131094A JP 2002322138 A JP2002322138 A JP 2002322138A
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reaction
acid
aromatic
producing
aminomethylcyclohexanecarboxylic
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JP2001131094A
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Takashi Okawa
大川  隆
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】芳香族ジニトリルからアミノメチルシクロヘキ
サンカルボン酸を高収率で、且つ工業的に有利に製造で
きる方法を提供する。 【解決手段】芳香族ジニトリルを塩基の存在下、溶媒中
で1個のニトリル基のみを水和反応させて芳香族シアノ
カルボン酸アミドを製造後、該芳香族シアノカルボン酸
アミドをルテニウム触媒存在下、溶媒中で水素還元しア
ミノメチルシクロヘキサンカルボン酸アミドを製造し、
その後、該アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸アミ
ドを塩基の存在下で加水分解しアミノメチルシクロヘキ
サンカルボン酸を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ジニトリル
を原料とするアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸の
製造方法に関する。アミノメチルシクロヘキサンカルボ
ン酸は、医薬、農薬、高機能性化学品等の製造原料、中
間体として有用である。例えば、トランス−1,4−ア
ミノメチルシクロヘキサンカルボン酸(トラネキサム
酸)は抗プラスミン作用を有する薬剤として工業的に生
産されている。
【0002】
【従来の技術】芳香族ジニトリルを原料するアミノメチ
ルシクロヘキサンカルボン酸の製造方法としては、以下
の各製造ルートが挙げられる。 芳香族ジニトリルの1個のニトリル基を選択的に水
素還元させてシアノベンジルアミンを製造(特開平10
−204048号公報等)した後、他方のニトリル基を
塩基の存在下で水和反応させて4−アミノメチル安息香
酸を製造し、次いでベンゼン核の水素還元を行ってアミ
ノメチルシクロヘキサンカルボン酸を製造(特開昭45
−32257号公報、特開昭58−183650号公報
等)する方法。 芳香族ジニトリルの側鎖ニトリル基とベンゼン核を
逐次的に、または同時に水素還元させてビス(アミノメ
チル)シクロヘキサンを製造(米国特許3,998,8
81号公報等)した後、その1個のアミノ基のみを選択
的に酸化を行ってアミメチルシクロヘキサンカルボン酸
を製造(特開昭55−76846号公報等)する方法。 芳香族ジニトリルと芳香族二塩基酸エステルとの基
交換反応によりシアノ安息香酸エステルおよびシアノ安
息香酸を製造(特公昭41−10629号公報等)し、
次いでその側鎖ニトリル基とベンゼン核を同時に水素還
元させてアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸を製造
(特開昭49−76841号公報等)する方法。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】の方法は、ニトリル
基の水素還元とベンゼン核の水素還元を別々に行う方法
である。通常、側鎖ニトリルの1個のみを選択的に水素
還元させる為には、ニッケル、コバルトまたはパラジウ
ム触媒が用いられる。一方、ベンゼン核の水素還元には
白金、ルテニウム触媒等が用いられる。したがて、この
方法は二つの水素化工程が必要であり、また、各々の工
程で触媒、溶媒、反応条件等が異なるので、費用が嵩む
欠点がある。の方法は、芳香族ジニトリルからビス
(アミノメチル)シクロヘキサンを製造するのは比較的
容易であるが、その1個のアミノ基を選択的に酸化させ
てアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸を製造する工
程に問題がある。例えば、特開昭55−76846号公
報には、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを過マン
ガン酸カリウム、酸化銀、過酸化水素等の酸化剤を用い
て酸化する方法、または空気酸化する方法が開示されて
いる。しかしながら、この方法では、アミノメチルシク
ロヘキサンカルボン酸の収率は低く、また、反応生成液
からアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸を分離回収
するのに複雑な操作が必要である。の方法は、上記
の方法に比べて側鎖ニトリルとベンゼン核の水素還元を
同時に行うので、水素化工程を短縮できる点で優れてい
る。しかしながら、の方法では、基交換反応工程で多
量に副生する芳香族ジカルボン酸(理論的には反応した
芳香族ジニトリルの1/2モル数)と未反応芳香族ジニ
トリルが蒸留塔釜中に残り、それらを高沸点副生物から
分離回収し原料系にリサイクルするのに費用が嵩む欠点
がある。
【0004】本発明の目的は、芳香族ジニトリルからア
ミノメチルシクロヘキサンカルボン酸を高収率で、且つ
工業的に有利に製造できる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために鋭意検討した結果、芳香族ジニトリルの1
個のニトリル基のみを水和反応させて芳香族シアノカル
ボン酸アミドを製造し、これを側鎖ニトリルとベンゼン
核とを同時に水素還元させてアミノメチルシクロヘキサ
ンカルボン酸アミドを製造した後、これを加水分解させ
ることによりアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸を
高収率で、且つ工業的に有利に製造できることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち本発明は、芳香族ジニトリルからアミ
ノメチルシクロヘキサンカルボン酸を製造する方法にお
いて、(a)芳香族ジニトリルを塩基の存在下、溶媒中
で1個のニトリル基のみを水和反応させて芳香族シアノ
カルボン酸アミドを製造する第1反応工程、(b)該芳
香族シアノカルボン酸アミドをルテニウム触媒存在下、
溶媒中で水素還元しアミノメチルシクロヘキサンカルボ
ン酸アミドを製造する第2反応工程、および(c)該ア
ミノメチルシクロヘキサンカルボン酸アミドを塩基の存
在下で加水分解しアミノメチルシクロヘキサンカルボン
酸を製造する第3反応工程からなることを特徴とするア
ミノメチルシクロヘキサンカルボン酸の製造方法に関す
るものである。
【0007】
【本発明の実施の形態】本発明の第1反応工程では芳香
族ジニトリルを塩基の存在下、溶媒中で1個のニトリル
基のみを水和反応させて芳香族シアノカルボン酸アミド
を製造する。本発明に使用される芳香族ジニトリルは、
ベンゼン環に二つのニトリル基を有する化合物である。
具体例として、フタロニトリル、イソフタロニトリル、
テレフタロニトリル等である。また、ベンゼン環にニト
リル基の他、メチル基、エチル基等のアルキル基、塩
素、臭素、フッ素等のハロゲン基、メトキシ基、エトキ
シ基等のアルコキシ基、ヒドロキシル基等が一つ以上置
換された芳香族化合物が使用できる。特に、医薬品、農
薬等の原料または中間体が製造できるテレフタロニトリ
ルが原料として好適に用いられる。
【0008】第1反応工程で用いられる塩基は、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化
物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭
酸塩、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ
土類金属水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドキシ
ド、テトラエチルアンモニウムヒドキシド等のテトラア
ルキルアンモニウムヒドロキシド類等が挙げられる。こ
の中でも、アルカリ金属水酸化物およびテトラアルキル
アンモニウムヒドロキシドが好ましい。これらの塩基は
1種または2種以上を組み合わせても使用できるが、特
に、水酸化ナトリウムの単独使用が実用的である。塩基
の使用量は、芳香族ジニトリル1モルに対して0.01
〜1モル、好ましくは0.05〜0.5モルの範囲であ
る。塩基の使用量がこれより多い場合には、芳香族ジカ
ルボン酸アミドの副生が増加し、一方、これより少ない
場合には、十分な反応速度が得られない。
【0009】第1反応工程で用いる溶媒としては、メタ
ノール、エタノール等の炭素数1〜4のアルコール類や
N,N−ジメチルホルムアミドが挙げられ、N,N−ジ
メチルホルムアミドが特に好ましい。溶媒の使用量は、
芳香族ジニトリルの溶液濃度が1〜50重量%、好まし
くは5〜30重量%の範囲で選択できる。芳香族ジニト
リルの溶液濃度がこれより高い場合には、反応熱に伴う
温度制御が困難になると共に、生成した芳香族シアノカ
ルボン酸アミドが多く析出する為に攪拌が困難になる場
合もある。一方、これより低い場合には、十分な空時収
率が得られない。
【0010】水の使用量は、芳香族ジニトリル1モルに
対して0.5〜30モル、好ましくは1〜15モルの範
囲である。水の使用量がこれより多い場合には、芳香族
ジカルボン酸アミドの副生が増加し、一方、これより少
ない場合には、反応速度が小さくなり実用的でない。反
応温度は50〜150℃、好ましくは70〜120℃の
範囲である。反応温度がこれより低い場合には、十分な
反応速度が得られず、一方、これより高い場合には、水
を液相に保つ為に反応圧力が高くなるので、装置費が嵩
む。反応時間は、仕込み条件および反応条件によって反
応速度が変化するので、一義的に表現できない面がある
が、通常、20分〜2時間である。
【0011】第1反応工程で得られる反応生成液には、
芳香族シアノカルボン酸アミド、溶媒、水、塩基の他
に、未反応芳香族ジニトリル、芳香族ジカルボン酸アミ
ド、芳香族ジカルボン酸等が含まれる。反応生成液から
は、中和、濾過、蒸留、抽出、再結晶操作等を組み合わ
せることにより種々の方法で芳香族シアノカルボン酸ア
ミドを分離回収できる。例えば、反応生成液にリン酸、
硫酸等の鉱酸を加えて塩基を中和し、析出した鉱酸塩を
濾過分離する。別法として、反応生成液を強酸性イオン
交換樹脂で処理して塩基を除去することもできる。一
方、母液は蒸留塔、蒸発器等を用いて濃縮し、析出した
結晶を濾過分離する。この場合、反応生成液からは芳香
族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸アミド、芳香族シ
アノカルボン酸アミド、芳香族ジニトリルの順に析出す
るので、濃縮と析出した結晶の濾過分離操作を繰り返す
ことにより各成分を逐次に分離回収することもできる。
この方法では、未反応芳香族ジニトリルの大部分が最終
の母液中に含まれるので、それを回収し再使用すること
ができる。ここで得られた芳香族シアノカルボン酸アミ
ドは、必要に応じて、N,N−ジメチルホルムアミド、
メタノール、エタノール等のアルコール、1,4−ジオ
キサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類を溶媒とし
て用い再結晶処理して精製することができる。
【0012】第2反応工程では、芳香族シアノカルボン
酸アミドの水素還元にルテニウム触媒が使用される。通
常、ルテニウム触媒はルテニウムブラックまたはルテニ
ウムの担持触媒が用いられる。その担体としては、カー
ボン、アルミナ、シリカ、シリカ・アルミナ、硫酸バリ
ウム、ゼオライト等が用いられる。担持触媒の形状とし
ては、粉末、球状成型品、円柱状成型品、円柱状押し出
し成型品等が挙げられる。ルテニウムの担持量は、0.
1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%の範囲で
ある。ルテニウム触媒の使用量は、例えば、回分反応の
場合、芳香酸シアノカルボン酸アミドに対するルテニウ
ムの使用量で示すと、0.001〜0.10重量比、好
ましくは0.01〜0.05重量費の範囲である。これ
より少ない場合には十分な反応速度が得られず、一方、
多い場合には反応に悪影響を及ぼさないが、触媒費が嵩
むので経済的でない。
【0013】第2反応工程は、溶媒中で水素還元が行わ
れるが、溶媒としては、アンモニア単独またはアンモニ
アと他の溶媒との混合溶媒が好ましい。アンモニア以外
の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n
−プロパノール等の脂肪族系アルコール、1,4−ジオ
キサン、テトラヒドロフラン等のエーテル、ベンゼン、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等であるが、特
に、アンモニアに対する溶解度が高いメタノールが好ま
しい。これらの溶媒はアンモニアと任意の割合で混ぜて
使用できるが、アンモニアが存在しない場合には、副反
応が増加しアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸アミ
ドの収率が低下する。溶媒の使用量は、芳香族シアノカ
ルボン酸アミドの溶液濃度で示すと、1〜50重量%、
好ましくは5〜30%の範囲である。これより低い場合
には十分な空時収率が得られず、一方、高い場合には反
応熱に伴う温度制御が難しくなる。
【0014】反応温度は50〜200℃、好ましくは8
0〜170℃の範囲である。この温度範囲より低い場合
には反応速度が小さい為に実用的でなく、また高い場合
には副反応が多くなり収率が低下する。反応圧力は、水
素分圧で1〜20MPa、好ましくは3〜15MPaの
範囲である。この圧力より低い場合には実用的な反応速
度が得られず、また高い場合には高圧装置に費用が嵩む
ので経済的でない。本発明に使用される水素ガスは、通
常、工業的な水素還元に使用されている品質で充分であ
る。即ち、水素と不活性ガス、例えば、窒素、二酸化炭
素、メタン等とからなる混合ガスを使用することができ
るが、反応圧力を低くする観点から水素濃度として50
%以上の混合ガスが好ましい。
【0015】反応時間は、流通式による固定床反応の場
合、仕込み条件および反応条件によって反応速度が変化
するので、一義的に表現できない面があるが、通常はL
HSV(触媒充填容量に対する1時間当りの原料液の供
給容量比)で0.25〜10hrー1 である。また、回
分式による液相懸濁反応の場合も仕込み条件および反応
条件によって反応速度が変化するので、同様に反応時間
を一義的に表現できない面もあるが、通常は0.1〜5
時間である。
【0016】第2反応工程で得られる反応生成液中に
は、アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸アミド、溶
媒の他に、未反応の芳香族シアノカルボン酸アミド、副
生物等が含まれる。この反応生成液からは、常圧または
減圧下、蒸留または蒸発操作によって溶媒等の低沸点物
を留去させて粗製のアミノメチルシクロヘキサンカルボ
ン酸アミドを分離回収することができる。ここで得られ
る粗製のアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸アミド
は、各種溶媒を用いて再結晶処理して精製することもで
きるが、そのまま第3反応工程の原料として用いて加水
分解を行い、アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸の
形で精製する方が有利である。
【0017】第3反応工程では、アミノメチルシクロヘ
キサンカルボン酸アミドを塩基の存在下、加水分解する
ことによりアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸が生
成する。この加水分解は、水溶媒中で、または、水と他
の溶媒、例えばメタノール、エタノール等の脂肪族アル
コール、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等の
エーテル等とを組み合わせた混合溶媒中でも実施できる
が、水単独溶媒が実用的である。ここで用いられる塩基
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金
属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカ
リ金属炭酸塩、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の
アルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。これらの塩
基は1種または2種以上を組み合わせても使用できる
が、特に、水酸化ナトリウムの単独使用が実用的であ
る。塩基の使用量は、アミノメチルシクロヘキサンカル
ボン酸アミド1モルに対して0.01〜2モル、好まし
くは0.05〜1モルの範囲である。塩基の使用量がこ
れより少ない場合には、十分な反応速度が得られず、一
方、これより多い場合には、特に反応に悪影響を及ぼさ
ないが、経済的ではない。
【0018】水の使用量は、アミノメチルシクロヘキサ
ンカルボン酸アミド1モルに対して1モル以上、好まし
くは5モル以上である。アミノメチルシクロヘキサンカ
ルボン酸アミドの溶液濃度で示すと、1〜50重量%、
好ましくは5〜30重量%の範囲である。反応温度は5
0〜150℃であり、好ましくは90〜110℃の範囲
である。反応温度がこれより低い場合には、十分な反応
速度が得られず、一方、これより高い場合には、水を液
相に保つ為に反応圧力が高くなるので、装置費が嵩む。
反応時間は仕込み条件および反応条件によって反応速度
が変化するので、一義的に表現できない面があるが、通
常は、20分〜5時間である。
【0019】ここで得られる反応生成液中には、水溶媒
の他に、遊離のアミノメチルシクロヘキサンカルボン
酸、アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸塩、塩基等
が含まれるが、中和、イオン交換処理、抽出、蒸留、再
結晶等の操作を組み合わせることにより種々の方法でア
ミノメチルシクロヘキサンカルボン酸を分離回収するこ
とができる。例えば、反応生成液を強酸性イオン交換樹
脂層に通し、反応生成液中のアミノメチルシクロヘキサ
ンカルボン酸を樹脂に捕捉させた後、水に切り替えてア
ルカリ性を示さなくなるまで通水する。次に、薄いアン
モニア水を通してアミノメチルシクロヘキサンカルボン
酸を溶出させる。この溶出液からは、蒸留または蒸発操
作でアンモニア、水を留出させて粗製のアミノメチルシ
クロヘキサンカルボン酸が回収できる。この粗製のアミ
ノメチルシクロヘキサンカルボン酸は、必要に応じて、
水、アセトン、アルコール、エーテル等の溶媒を用いた
再結晶処理により精製することができる。
【0020】本発明方法により、テレフタロニトリルか
ら得られる1,4−アミノメチルシクロヘキサンカルボ
ン酸には、シス体が約40%含まれるが、抗プラスミン
剤として有用なトランス体(トラネキサム酸)を公知の
方法により分離回収することができる。例えば、第3反
応工程で得られた1,4−アミノメチルシクロヘキサン
カルボン酸にp−トルエンスルホン酸水溶液を加える
と、難溶性のトランス体のp−トルエンスルホン酸塩が
析出するので、濾過分離した後、これをイオン交換処理
してトランス−1,4−アミノメチルシクロヘキサンカ
ルボン酸を回収する。更に、これを水〜アセトン溶媒で
再結晶処理により精製すれば純品のトラネキサム酸を得
ることができる。また、第3反応工程で得られる1,4
−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸のアルカリ塩
を温度180〜220℃で加熱することによりシス体を
トランス体に異性化することもできる。
【0021】本発明方法は、各反応工程を回分式または
連続式により実施できるので、それらを組み合わせて種
々の製造プロセスを構築できる。
【実施例】以下に、本発明の方法について実施例を挙げ
て更に具体的に説明するが、本発明は要旨を超えない限
り、これらの実施例に限定されるものではない。
【0022】実施例1 (第1反応工程)還流冷却器、温度計、攪拌機を備えた
内容積1リットルの三口フラスコにテレフタロニトリル
32gおよびN,N−ジメチルホルムアミド400gを
仕込んだ後、フラスコをオイルバス内に設置し、フラス
コ内の温度を93℃に保持した。次に、0.5モル/リ
ットルの水酸化ナトリウム水溶液50ミリリットルを添
加し、反応温度93℃で1時間反応させた。反応後、反
応生成液を冷却し、液体クロマトグラフを用いて組成分
析を行った。その結果、テレフタロニトリルの反応率は
97.1%となり、4−シアノ安息香酸アミドの選択率
は88.8%となった。他には、テレフタル酸アミド、
テレフタル酸等が生成していた。次に、反応生成液をリ
ン酸で中和し、析出したリン酸ナトリウム塩を濾過し
た。一方、濾液はロータリーエバポレーターを用いて水
とN,N−ジメチルホルムアミドを全量留去させた。こ
の白色結晶24gを450gのメタノールに加えて還流
下で加熱し、不溶物を熱時濾過した。一方、濾液はロー
タリーエバポレーターを用いてメタノール230gを留
去させた後、冷却、析出した結晶を濾過した。これを真
空乾燥して18.2gの白色結晶を得た。これを液体ク
ロマトクラフで組成分析を行った結果、純度が98.4
%の4−シアノ安息香酸アミドであった。ここで得た4
−シアノ安息香酸アミドを以下の第2反応工程の原料と
して用いた。
【0023】実施例2 (第2反応工程)内容積100ミリリットルのステンレ
ス製振とう式オートクレーブ内を予め窒素ガスで置換し
た後、4−シアノ安息香酸アミド(純度:98.4%)
2g、メタノール10gおよびルテニウムをアルミナ粉
末に5重量%担持させた触媒1gを仕込み、密閉した。
これに液体アンモニア10gを仕込んだ後、水素ガス
(純度:99%以上)をオートクレーブ内に導入し、系
内の圧力を10MPaとした。オートクレーブを振とう
しながら内部温度が145℃になるまで昇温し、この温
度を維持して3時間反応させた。反応終了後、オートク
レーブを冷却し、系内のガスを放出した後、内容物を取
り出し触媒を濾過した。一方、濾液は、ロータリーエバ
ポレーターを用いでアンモニア、メタノールを留去さ
せ、蒸発乾固物2.16gを得た。
【0024】(第3反応工程)この蒸発乾固物2.16
g、水20gおよび水酸化ナトリウム0.82gを還流
冷却器、温度計および攪拌機を備えた三口フラスコに仕
込み、オイルバス内に設置した。オイルバスを加熱し、
内容物の還流状態で3時間反応させた。反応生成液は冷
却した後、強酸性イオン交換樹脂(アンバーライトIR
120B)100ミリリットルを充填したガラスカラム
を通し、続いて水100gを通水した。次に、5%アン
モニア水150g、続いて水100gを通水し、4−ア
ミノメチルシクロヘキサンカルボン酸を溶出させた。溶
出液は、ロータリーエバポレーターを用いてアンモニ
ア、水を留去させ、蒸発乾固物1.99gを得た。これ
をN―アセチル化とメチルエステル化処理を行った後、
ガスクロマトグラフの内部標準法で組成分析を行った。
また、これを氷酢酸に溶かし、塩化メチルロザリン試薬
を指示薬として過塩素酸(酢酸溶液)で滴定し、1,4
−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸の純度を定量
した。その結果、4−シアノ安息香酸アミド基準の1,
4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸の収率は8
2.4%となった。この異性体組成はトランス体:シス
体=62.1:37.9%となった。
【0025】実施例3 (第2反応工程)実施例2と同様に、4−シアノ安息香
酸アミド(純度:98.4%)2g、1,4−ジオキサ
ン15gおよびルテニウムをカーボン粉末に5重量%担
持させた触媒1gをオートクレーブに仕込み、密閉し
た。これに液体アンモニア5gを仕込み、次に水素ガス
を導入し、系内の圧力を10MPaとした後、反応温度
145℃で3時間反応させた。反応終了後、反応生成液
を冷却し、系内のガスを放出した後、内容物を取り出し
触媒を濾過した。一方、濾液は、ロータリーエバポレー
ターを用いてアンモニア、1,4−ジオキサンを留去さ
せ、蒸発乾固物2.10gを得た。 (第3反応工程)この蒸発乾固物2.10g、水20g
および水酸化ナトリム0.82gを三口フラスコに仕込
み、還流下で3時間反応させた。反応終了後、反応生成
液について、実施例2と同様な方法でイオン交換処理、
次いで、溶出液を蒸発乾固し1.90gの結晶を得た。
これを組成分析した結果、4−シアノ安息香酸アミド基
準の1,4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸の
収率は76.1%となった。この異性体組成はトランス
体:シス体=58.8:41.2%となった。
【0026】実施例4 (第2反応工程)実施例2と同様に、4−シアノ安息香
酸アミド(純度:98.4%)2g、メタノール20g
およびルテニウムをアルミナ粉末に5重量%担持させた
触媒1gをオートクレーブに仕込み、密閉した。これに
水素ガスを導入し、系内の圧力を10PMaとし、反応
温度145℃で3時間反応させた。反応終了後、反応生
成液を冷却し、系内のガスを放出した後、内容物を取り
出し触媒を濾過した。一方、濾液は、ロータリーエバポ
レーターを用いてメタノールを留去させ、蒸発乾固物
2.18gを得た。 (第3反応工程)この蒸発乾固物2.18g、水20g
および水酸化ナトリウム0.82gを三口フラスコに仕
込み、還流下で3時間反応させた。反応終了後、実施例
2と同様な方法でイオン交換処理、次いで溶出液を蒸発
乾固し、1.70gの結晶を得た。これを組成分析した
結果、4−シアノ安息香酸アミド基準の1,4−アミノ
メチルシクロヘキサンカルボン酸の収率は57.3%と
なった。この異性体組成は、トランス体:シス体=5
5.8:44.2%となった。
【0027】実施例5 (第1反応工程)実施例1と同様に、イソフタロニトリ
ル32gおよびN,N−ジメチルホルムアミド400g
を三口フラスコに仕込み、フラスク内の温度を100℃
に保持した。次に、0.5モル/リットルの水酸化ナト
リウム水溶液25ミリリットルを添加し、30分反応さ
せた後、更に同じ水溶液25ミリリットルを添加し、3
0分反応させた。反応後、反応生成液を冷却し、液体ク
ロマトグラフを用いて組成分析を行った。その結果、イ
ソフタロニトリルの反応率は96.7%となり、3−シ
アノ安息香酸アミドの選択率は88.1%となった。他
には、イソフタル酸ジアミド、イソフタル酸等が生成し
ていた。次に、反応生成液を硫酸で中和し、析出した硫
酸塩を濾過した。一方、濾液はロータリーエバポレータ
ーを用いて蒸発乾固させた。この白色結晶24gにメタ
ノ―ル400gを加えて還流下で加熱し、不溶物は熱時
濾過した。一方、濾液はロータリーエバポレーターを用
いてメタノール200gを留去させた後、冷却、析出し
た結晶を濾過した。これを真空乾燥し、17.5gの白
色結晶を得た。これを液体クロマトクラフで組成分析を
行った結果、純度が98.1%の3−シアノ安息香酸ア
ミドであった。ここで得た3−シアノ安息香酸アミドを
以下の第2反応工程の原料として用いた。
【0028】実施例6 (第2反応工程)実施例2と同様に、3−シアノ安息香
酸アミド2g(純度:98.1%)、メタノール15g
およびルテニウムをアルミナ粉末に5重量%担時させた
触媒1gをオートクレーブに仕込み、密閉した。これに
液体アンモニア5gを仕込み、次に、水素ガスを導入
し、系内の圧力を10MPaとした後、温度145℃で
3時間反応させた。反応後、反応生成液を冷却し、系内
のガスを放出した後、内容物を取り出し触媒を濾過し
た。一方、濾液は、ロータリーエバポレーターを用いて
アンモニア、メタノールを留去させ、蒸発乾固物2.1
2gを得た。 (第3反応工程)この蒸発乾固物2.12g、水20g
および水酸化ナトリウム0.82gを三口フラスコに仕
込み、還流下で3時間反応させた。反応終了後、反応生
成液について、実施例2と同様な方法でイオン交換処
理、次いで、溶出液を蒸発乾固し1.98gの結晶を得
た。これを組成分析した結果、3−シアノ安息香酸アミ
ド基準で1,3−アミノメチルシクロヘキサンカルボン
酸の収率は80.2%となった。この異性体組成は、ト
ランス体:シス体=29.7:60.3%となった。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、芳香族ジニトリルから
芳香族シアノカルボン酸アミドを経由してアミノメチル
シクロヘキサンカルボン酸を高収率で、且つ工業的に有
利に製造できるので、その工業的意義は大きい。
フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC11 AC46 AC52 AC53 BA02 BA23 BA29 BA69 BB20 BB30 BB31 BB45 BD70 BE20 BE60 BJ20 BS20 BU34 BV61 BV71 4H039 CA40 CA65 CA71 CB10 CB30 CD50 CE20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ジニトリルからアミノメチルシクロ
    ヘキサンカルボン酸を製造する方法において、(a)芳
    香族ジニトリルを塩基の存在下、溶媒中で1個のニトリ
    ル基のみを水和反応させて芳香族シアノカルボン酸アミ
    ドを製造する第1反応工程、(b)該芳香族シアノカル
    ボン酸アミドをルテニウム触媒存在下、溶媒中で水素還
    元しアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸アミドを製
    造する第2反応工程、および(c)該アミノメチルシク
    ロヘキサンカルボン酸アミドを塩基の存在下で加水分解
    しアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸を製造する第
    3反応工程からなることを特徴とするアミノメチルシク
    ロヘキサンカルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】第1反応工程の溶媒がN,N−ジメチルホ
    ルムアミドである請求項1記載のアミノメチルシクロヘ
    キサンカルボン酸の製造方法。
  3. 【請求項3】第1反応工程の塩基がアルカリ金属水酸化
    物である請求項1または2記載のアミノメチルシクロヘ
    キサンカルボン酸の製造方法。
  4. 【請求項4】第2反応工程の溶媒がアンモニアまたはア
    ンモニアを含む溶媒である請求項1〜3のいずれかに記
    載のアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸の製造方
    法。
  5. 【請求項5】第3反応工程の塩基がアルカリ金属水酸化
    物である請求項1〜4のいずれかに記載のアミノメチル
    シクロヘキサンカルボン酸の製造方法。
  6. 【請求項6】芳香族ジニトリルがフタロニトリル、イソ
    フタロニトリルまたはテレフタロニトリルである請求項
    1〜5のいずれかに記載のアミノメチルシクロヘキサン
    カルボン酸の製造方法。
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WO2021020258A1 (ja) * 2019-07-31 2021-02-04 三菱瓦斯化学株式会社 芳香族アミノメチルの製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021020258A1 (ja) * 2019-07-31 2021-02-04 三菱瓦斯化学株式会社 芳香族アミノメチルの製造方法
CN114206825A (zh) * 2019-07-31 2022-03-18 三菱瓦斯化学株式会社 氨甲基芳香族的制造方法

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