JP2002321917A - 粒状酸化ニオブの製造方法 - Google Patents

粒状酸化ニオブの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】所望の粒径、弗素含量およびBETを有する粒
状酸化ニオブを得る。 【解決手段】弗化ニオブの溶液にアンモニアを加えて水
酸化ニオブを沈殿させ、該沈殿物を洗浄し、その後焼成
処理することからなる粒状酸化ニオブの製造方法におい
て、その沈殿物の洗浄を洗浄後の濾液中の弗素濃度が所
定の範囲になるまで実施する。より具体的には洗浄後の
濾液中の弗素濃度をチェックしながら洗浄を行い、粒状
酸化ニオブの粒径D50を0.61μm〜1.10μm、
BETを6.1m2/g〜9.8m2/g、弗素含量を1
30ppm以下に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセラミック分野、単
結晶分野、光学ガラス分野等で使用される酸化ニオブの
製造方法に関し、より詳しくは所定の粒径、BET、弗
素含量を有する酸化ニオブの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、酸化ニオブの製造方法として、ニ
オブ化合物の溶液にアンモニア、炭酸アンモニウム、重
炭酸アンモニウム、又はCO2 含有アルカリを添加して
水酸化ニオブを沈殿させ、該沈殿物を焼成処理すること
からなる酸化ニオブの製造方法は公知である(例えば、
特公昭49−30354号公報、特開昭51−1019
7号公報、特開平1−115820号公報、特開平1−
176226号公報)。
【0003】重炭酸アンモニウムを用いて水酸化ニオブ
の沈殿物を生成させる場合には、一般的には、その沈殿
物の粒子(一次粒子)が大きくなり、これを焼成すると、
その一次粒子が凝集して(粒子の異常成長を起こして)更
に大きな二次粒子を生成し、この二次粒子を解砕しても
(粉砕ではない)、解砕後の生成酸化物のBETは0.2
〜0.5m2 /g、ブレーンは7〜20μmとなるにす
ぎない。一方、アンモニアを用いて沈殿物を生成させる
場合には、一般に、焼成、解砕後のその生成酸化物のB
ETは2〜3m2 /g、ブレーンは7〜10μmとなる
にすぎない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】生成酸化ニオブ中の残
留弗素が少ない方が好ましいことは当然であるが、酸化
ニオブのユーザはこれらの使用に際して、各種の反応に
対する反応性、液体中での分散性が良好であり、誘電体
に用いた場合にその誘電特性が良好になるものを求めて
おり、このような要求から粒径が小さく且つBETがな
るべく大きい粒状酸化ニオブが要望されている。更に、
焼成の際に異常焼結を起こしたような粒子は当然好まし
くない。また原料コストの面から考慮すれば炭酸アンモ
ニウム系統のものを用いるよりもアンモニアを用いる方
が有利である。
【0005】本発明はこのような従来技術の課題に鑑み
てなされたものであり、本発明の目的は残留弗素が少な
く、粒径が小さく且つBETがなるべく大きい所定の粒
径、BET、弗素含量を有する酸化ニオブの製造方法を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の課題
を解決するために種々検討を重ねた結果、弗化ニオブの
溶液(弗酸又は蓚酸等の有機酸溶液)にアンモニアを加え
て得た水酸化ニオブ沈殿物を洗浄した際の該洗浄済沈殿
物中の弗素濃度と洗浄後の濾液中の弗素濃度との間に相
関関係があること、得られた水酸化ニオブ沈殿物中のF
濃度が低いと乾燥、焼成において固結を起こし易く、逆
にF濃度が比較的高いと乾燥、焼成において固結が緩和
されること、従って、その沈殿物の洗浄を洗浄後の濾液
中の弗素濃度が所定の範囲になるまで実施してその生成
水酸化物中の弗素濃度を調節することによって沈殿物の
一次粒子径や、生成酸化ニオブの粒径、BETをコント
ロールすることができることを見出し、本発明に到達し
た。
【0007】即ち、本発明の粒状酸化ニオブの製造方法
は、弗化ニオブの溶液にアンモニアを加えて水酸化ニオ
ブを沈殿させ、該沈殿物を洗浄し、その後焼成処理する
ことからなる粒状酸化ニオブの製造方法において、その
沈殿物の洗浄を洗浄後の濾液中の弗素濃度が所定の範囲
になるまで実施することにより粒状酸化ニオブの粒径、
BET、弗素含量を制御することとする。好ましくは本
発明の粒状酸化ニオブの製造方法は、粒状酸化ニオブの
粒径D50を0.61μm〜1.10μm、BETを6.
1m2/g〜9.8m2/g、弗素含量を130ppm以
下に制御することとする。
【0008】弗化ニオブの溶液にアンモニアを加えて水
酸化ニオブを沈殿させ、該沈殿物を洗浄して該沈殿物中
の弗素濃度を低減させるのであるが、本発明者等の実施
した多数の実験により、弗化ニオブの溶液にアンモニア
を加えて得た水酸化ニオブ沈殿物を洗浄した際の該洗浄
済沈殿物中の弗素濃度と洗浄後の濾液中の弗素濃度との
間に相関関係があることが見出された。沈殿物中の弗素
濃度を測定することは、一般的には時間がかかるため生
産工程に応用するには難がある。しかし、液体中の弗素
濃度の測定は容易である。従って、洗浄後の濾液中の弗
素濃度を測定することによって沈殿物中の弗素濃度を推
定することは生産工程に応用するのに好都合である。
【0009】また、本発明者等の実施した多数の実験に
より、沈殿物中の弗素が焼成の際に焼結を促進したり抑
制したりするので、その生成水酸化物中の弗素濃度を調
節することによってその後の焼成の際の粒子の異常成長
を防止することができ、生成酸化ニオブの粒径をコント
ロールすることができることが見出された。
【0010】以下に実施例に基づいて本発明及びその効
果を一層詳しく説明する。
【0011】
【実施例】実施例1 ニオブの弗酸溶液にアンモニア水を添加して水酸化ニオ
ブの沈殿物を生成させた。この沈殿物を小分けし、それ
ぞれ種々の程度に洗浄し、濾過した。その洗浄後の濾液
中の弗素濃度(イオンメーターでの測定値)、濾残を13
0℃で乾燥した後の水酸化ニオブ中の弗素濃度及びその
水酸化ニオブ粒子のBETはそれぞれ表1に示す通りで
あった。これらの水酸化ニオブを765℃で焼成し、解
砕して得た酸化ニオブ中の弗素濃度及びその酸化ニオブ
粒子のBET、ブレーン(空気透過方式で測定した全粒
子の平均粒径)、D50(粒度分布50%に相当する粒子
径、マイクロ・トラック法による値)及び+325Mの
量(超音波で1分間分散させた後の325メッシュ湿式
篩上残分)は表1に示す通りであった。
【0012】
【表1】 表1のデータから明らかなように、ニオブの弗酸溶液に
アンモニアを加えて水酸化ニオブを沈殿させ、該沈殿物
を洗浄し、その後焼成、解砕処理することからなる酸化
ニオブの製造方法において、その洗浄を洗浄後の濾液中
の弗素濃度が約3000ppm以下になるまで(即ち、
沈殿物中の弗素濃度が0.9%以下になるまで)洗浄す
ることにより焼成後の生成酸化物中の弗素濃度を10p
pm以下に、殊に1ppm以下にすることができ、また
その洗浄を洗浄後の濾液中の弗素濃度が500ppm以
上である程度に(即ち、沈殿物中の弗素濃度が0.2%
以上である程度に)洗浄することにより焼成後の生成酸
化物の粒子の異常成長を防止することができる。逆に、
洗浄後の濾液中の弗素濃度が400ppm以下になるま
で(即ち、沈殿物中の弗素濃度が0.2%以下になるま
で)洗浄することにより焼成の際に焼結粒子を生じさせ
ることもできる。
【0013】表1のデータから、洗浄後の濾液中の弗素
濃度と洗浄済沈殿物中の弗素濃度との関係をグラフに示
すと図1に示す通りである。図1からも明らかなように
洗浄後の濾液中の弗素濃度と洗浄済沈殿物中の弗素濃度
とは明確な相関関係を有しており、従って洗浄後の泌液
中の弗素濃度を測定することによって洗浄済沈殿物中の
弗素濃度を明確に推定することができる。
【0014】洗浄後の濾液中の弗素濃度と焼成後の酸化
物のBETとの関係をグラフに示すとそれぞれ図2に示
す通りである。図2からも明らかなように、洗浄後の濾
液中の弗素濃度が2000〜10000ppmの範囲に
なるまで洗浄することにより焼成後の酸化物のBETを
大きくすることができる。
【0015】洗浄後の濾液中の弗素濃度と焼成後の酸化
物のブレーン、マイクロ・トラックD50又は+325M
との関係をグラフに示すとそれぞれ図3、図4及び図5
に示す通りである。図3〜図5、特に図5からも明らか
なように、洗浄後の濾液中の弗素濃度が500〜300
0ppmの範囲になるまで(即ち、沈殿物中の弗素濃度
が0.2%〜0.9%の範囲になるまで)洗浄すること
により焼成後の酸化物の粒径をコントロールすることが
でき、酸化物の99.5%以上を−325メッシュとす
ることができる。
【0016】
【発明の効果】本発明の製造方法において洗浄後の濾液
中の弗素濃度をチェックことにより、所望の粒径、弗素
含量、BETを有する酸化ニオブを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】洗浄後の濾液中の弗素濃度と洗浄済沈殿物中の
弗素濃度との関係を示すグラフである。
【図2】洗浄後の濾液中の弗素濃度と焼成後の酸化物の
BETとの関係を示すグラフである。
【図3】洗浄後の滅液中の弗素濃度と焼成後の酸化物の
ブレーンとの関係を示すグラフである。
【図4】洗浄後の濾液中の弗素濃度と焼成後の酸化物の
マイクロ・トラックD50との関係を示すグラフである。
【図5】洗浄後の濾液中の弗素濃度と焼成後の酸化物の
+325Mとの関係を示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 川原 寿一 福岡県大牟田市草木28−1 (72)発明者 木下 正典 福岡県大牟田市馬込町1−83−2 (72)発明者 砂原 光稔 福岡県大牟田市歴木1818 Fターム(参考) 4G048 AA02 AB02 AB05 AB08 AC08 AD04 AD06 AE06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弗化ニオブの溶液にアンモニアを加えて
    水酸化ニオブを沈殿させ、該沈殿物を洗浄し、その後焼
    成処理することからなる粒状酸化ニオブの製造方法にお
    いて、その沈殿物の洗浄を洗浄後の濾液中の弗素濃度が
    所定の範囲になるまで実施することにより粒状酸化ニオ
    ブの粒径、BET、弗素含量を制御することを特徴とす
    る粒状酸化ニオブの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記粒状酸化ニオブの粒径D50を0.6
    1μm〜1.10μm、前記BETを6.1m2/g〜
    9.8m2/g、前記弗素含量を130ppm以下に制
    御することを特徴とする請求項1に記載の粒状酸化ニオ
    ブの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の製造方法によって得ら
    れることを特徴とする粒状酸化ニオブ。
  4. 【請求項4】 粒径D50が0.61μm〜1.10μ
    m、BETが6.1m 2/g〜9.8m2/g、弗素含量
    が130ppm以下に制御されていることを特徴とする
    粒状酸化ニオブ。
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