JP2005170700A - 酸化ジルコニウム粒子とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】精密研磨用等の研磨剤として好適な無機粒子として、結晶性が良好で、シャープな粒子径分布を有する微粒子状の酸化ジルコニウム粒子を実現する。
【解決手段】粒子の形状が粒状、または長軸長さと短軸長さとの比が2以上である柱状であり、粒子の平均粒子直径または平均粒子長軸長さが1nmから200nmの範囲にあり、かつ単斜晶または正方晶の単一の結晶構造を有する酸化ジルコニウム粒子とする。その製造にあたっては、まず、アルカリ水溶液にジルコニウム塩の水溶液を添加し、pHが11〜14の範囲になるように調整してジルコニウムの水酸化物あるいは水和物を作製する。次いで、この水酸化物あるいは水和物を、20〜90℃の温度範囲で5〜40時間熟成した後、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理し、水洗、ろ過、乾燥後、空気中300〜1200℃の温度範囲で加熱処理する。こうして、上記の酸化ジルコニウム粒子を得る。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば研磨シートや研磨液などの研磨剤として好適に用いられる酸化ジルコニウム粒子とその製造方法に関する。
酸化ジルコニウム粒子は、研磨シートや研磨液などの研磨剤として使用されている。研磨剤用の酸化ジルコニウムは酸化ジルコニウムのインゴットを粉砕して微粒子としたものが多いが、このような機械的な手段による酸化ジルコニウムの微粒子化にも自ずと限界がある。例えば、特許文献1には、酸化ジルコニウム(ジルコニア)粒子を使って、シリコンの表面を研磨した例が記載されているが、使用されている酸化ジルコニウム粒子の粒子径は、7.0μm(平均粒径)である。また特許文献2には、シリカ、アルミナ、ジルコニアなどの無機粒子と重合体粒子との混合粒子を用いた化学機械研磨用水系分散体が示されているが、これに用いる無機粒子の平均粒子径は0.12〜0.8μmが好ましいとされている。
精密研磨等に用いられる酸化ジルコニウム粒子は、微粒子状であることに加えて、結晶性が高く単一の結晶構造を有していることが望ましい。しかし、従来の酸化ジルコニウム粒子は、単斜晶、正方晶、立方晶のうち少なくとも2種の結晶構造の混合物であることが多い。これは、単一の結晶構造とするためには高温での加熱処理が必要になるからであるが、例えば水酸化ジルコニウムの粒子を焼成することにより酸化ジルコニウム粒子を作製するといった従来の方法では、焼結時に粗大粒子が生じやすい。このため、得られる粒子の粒子径分布が広くなり、精密な研磨に必要とされるシャープな粒子径分布をもった微粒子状の酸化ジルコニウム粒子を得ることは困難であった。
さらに、酸化ジルコニウム粒子は研磨剤単体として用いられることは少なく、酸化アルミニウムや酸化珪素粒子などの他の研磨剤粒子と併用されることが多い。これは、これまでに得られた酸化ジルコニウム粒子の粒子径分布が大きく、粗大粒子を完全に取り除くことができなかったため、単体では仕上げ研磨や精密研磨に不向きであったことなどが理由と考えられる。
特開平8−113773号公報(段落番号0015など) 特開2000−204353号公報(第4〜6頁、表4)
上述したように酸化ジルコニウム粒子を研磨剤として用いる場合には、結晶性であることが特に望ましいが、一般に機械的な粉砕法で作製された酸化ジルコニウム粒子は、粉砕時の衝撃により粒子内部に歪が入りやすく、粒子の結晶性が低下しやすい。一方、水酸化ジルコニウムの粒子を焼成して作製した酸化ジルコニウム粒子は、結晶性の良好なものが得やすい反面、焼結や凝集による粗大粒子が発生しやすく、その結果、粒子径分布が広くなり、精密な研磨には不向きとなる。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたもので、主として研磨シートや研磨液などの態様で使用される研磨剤用の無機粒子、特に精密研磨や仕上げ研磨に適した研磨剤用の無機粒子として、結晶性が良好で、しかもシャープな粒子径分布を有する微粒子状の酸化ジルコニウム粒子と、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明の酸化ジルコニウム粒子は、粒子の形状が粒状、または長軸長さと短軸長さとの比が2以上である柱状であり、粒子の平均粒子直径または平均粒子長軸長さが1nmから200nmの範囲(好ましくは5nmから100nmの範囲)にあり、かつ単斜晶または正方晶の単一の結晶構造を有する構成としたものである。この場合、酸化ジルコニウム粒子の平均粒子直径または平均粒子長軸長さが200nmより大きいと、精密研磨の際に研磨面に傷を発生させる原因となるため、精密研磨あるいは仕上げ研磨といった目的には適さないものとなる。また、平均粒子直径または平均粒子長軸長さが1nm未満のものは製造が困難であり、たとえ可能であったとしても製造コストの上昇が避けられない。
また、本発明の製造方法は、このような酸化ジルコニウム粒子を得るにあたり、アルカリ水溶液にジルコニウム塩の水溶液を添加し、pHが11〜14の範囲になるように調整してジルコニウムの水酸化物あるいは水和物を作製し、この水酸化物あるいは水和物を、20〜90℃の温度範囲で5〜40時間熟成した後、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理し、水洗、ろ過、乾燥後、空気中300〜1200℃の温度範囲で加熱処理(好ましくは、その後さらに珪素化合物で処理)する構成としたものである。
本発明の製造方法によれば、これまで困難とされてきた単一の結晶構造からなる酸化ジルコニウム微粒子を容易に合成することができ、粒子径分布が均一で、焼結、凝集が極めて少なく、結晶性の良好な酸化ジルコニウム粒子が得られる。このようにして得られる本発明の酸化ジルコニウム粒子は、単一の結晶構造を持ち、かつ平均粒子直径または平均の粒子長軸長さが、仕上げ研磨あるいは精密研磨に使用できる1nmから200nmの範囲にあり、しかも粒子径分布が均一で結晶性の良好なものである。したがって、研磨シートや研磨液用の研磨剤として特に適しており、その産業上の利用価値は極めて大きい。
本発明は、アルカリ水溶液にジルコニウム塩の水溶液を添加し、得られたジルコニウムの水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理し、水洗、ろ過、乾燥することにより、上記の粒子径を有する、単一の結晶構造からなる酸化ジルコニウム粒子を製造するものである。粒子の平均粒子直径または平均粒子長軸長さが、この範囲より大きいと、精密研磨の際に研磨面に傷を発生させる原因となり、目的に適さない。
本発明においては、第一工程として、アルカリ水溶液にジルコニウム塩の水溶液を添加し、得られたジルコニウムの水酸化物あるいは水和物を、20〜90℃の温度範囲で熟成した後、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理することにより、目的とする結晶構造を持つ酸化ジルコニウムを生成する。次いで、第二工程として、この酸化ジルコニウムを空気中加熱処理することにより、粒子径を整える。こうして、焼結、凝集が極めて少なく、単一の結晶構造からなる酸化ジルコニウム粒子を得る。
本発明では、酸化ジルコニウム粒子を得るにあたり、上記のように結晶構造を決定する工程と、形状、粒子径を整えることを目的とする工程とを分離するという製造法を採用した。これにより、これまでの製造方法では不可能であった、粒子の形状が柱状または粒状で、かつ粒子の平均粒子直径または平均粒子長軸長さが1nmから200nmの範囲にある、単一の結晶構造からなる酸化ジルコニウム粒子の開発に成功したものである。
さらにこのような工程により製造した本発明の酸化ジルコニウム粒子は、粒子の焼結、凝集が極めて少なく、粒子径分布がシャープで、同時に結晶性が極めて良好なため、研磨シートや研磨液用の研磨剤として使用したときに、特にその威力を発揮する。
先にも述べたように、酸化ジルコニウム粒子を研磨剤として用いる場合には、結晶性であることが特に望ましいが、機械的な粉砕法で作製された酸化ジルコニウム粒子一般に、粉砕時の衝撃により粒子内部に歪が入りやすく、したがって粒子の結晶性も低下しやすい。一方、水酸化ジルコニウムの粒子を焼成して作製した酸化ジルコニウム粒子は、結晶性の良好なものが得やすい反面、焼結や凝集による粗大粒子が発生しやすく、その結果粒子径分布が広くなり、精密な研磨には不向きとなる。これらに対して、本発明の製造方法によれば、微粒子で、かつ単一の結晶構造を持つ、結晶性の良好な酸化ジルコニウム粒子が得られる。このような酸化ジルコニウム粒子は、結晶構造を決定する工程と、形状、粒子径を整えることを目的とする工程とに分離するという、上述した全く新規な製造法により初めて合成することができたものである。
本発明の製造方法では、まず原料となるジルコニウムを含む化合物を水に溶解し、アルカリ水溶液に滴下することにより、ジルコニウムの水酸化物あるいは水和物の沈殿物を生成する。次に、この水酸化物あるいは水和物の沈殿物を含む懸濁液を熟成した後、オートクレーブなどを使用して、水熱処理し、ろ過、乾燥することにより酸化ジルコニウム粒子とする。最後に、この乾燥物に加熱処理を施すことにより、酸化ジルコニウム粒子の粒子径を制御する。以下では、これらの工程についてさらに詳細に説明する。
(沈殿物の作製)
塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウムなどのジルコニウム塩を水に溶解し、ジルコニウムイオンを含有する水溶解液(ジルコニウム塩水溶液)を作製する。これらのジルコニウム塩のうち、粒径分布のシャープな酸化ジルコニウム粒子を得る上で、塩化ジルコニウムが最も好ましい。これとは別に、アルカリ水溶液を作製する。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水溶液などが挙げられるが、中でも結晶性の良好な酸化ジルコニウム粒子を得る上で、水酸化ナトリウムが最適である。
次に前記ジルコニウム塩水溶液をアルカリ水溶液中に滴下して、ジルコニウムの水酸化物あるいは水和物の沈殿物を生成する。この沈殿物を含む縣濁液のpHは、11〜14の範囲に調整し、またこの懸濁液を、単斜晶を得る際には室温において、正方晶を得る際には30〜100℃(好ましくは50〜90℃)において、5〜40時間程度熟成する。この熟成時のpH調整は、この後の水熱処理において結晶性の良い酸化ジルコニウムを得る上で重要であり、pHがこれより低いと充分に結晶成長せず、高すぎても悪くはないが、過剰な水酸化ナトリウムを必要とし、メリットはない。熟成温度は、単一の結晶構造を持たせる上で重要であり、熟成温度が低すぎても高すぎても、単斜晶および正方晶の混合物となってしまう。熟成時間は、これより短いと、この後の水熱処理時の結晶成長が不十分となり、これより長いと混合物となり単一の結晶構造が得られない。
(水熱処理)
ジルコニウムの水酸化物あるいは水和物の沈殿物を含む縣濁液を、オートクレーブ等を用いて水熱処理し、酸化ジルコニウムを得る。この水熱処理において、上記の沈殿物を含む縣濁液にそのまま水熱処理を行っても構わないが、水洗により、上記沈殿物以外の生成物や残存物を除去し、その後NaOHなどにより再度pH調整してもよい。この時のpHの値は、11〜14とすることが好ましく、このpHより低いと、水熱処理時に結晶成長が不十分になり、また高すぎると、水熱処理中に再溶解するなどして、粒子径分布が広くなってしまう。
水熱処理温度は、110℃〜300℃、好ましくは150〜200℃の範囲である。110℃より低いと、酸化ジルコニウムが得られにくく、ジルコニウムの水和物、あるいは水酸化物が残存することがある。また300℃より高いと発生圧力が高くなるため、装置が高価なものとなり、メリットはない。
水熱処理時間は、1時間から6時間が好ましく、3時間から5時間の範囲が、より好ましい。水熱処理時間が短すぎると、特定の形状への成長が不十分になり、水熱時間が長すぎても特に問題となることはないが、製造コストが高くなるだけで、意味がない。
(加熱処理)
水熱処理後の酸化ジルコニウム粒子は、粒子径を整えるため、ろ過、乾燥した後、加熱処理を行うが、ろ過する前に、水洗によりpHを6〜9の付近の中性領域に調整しておくことが好ましい。
また加熱処理後に酸化ジルコニウム粒子に、さらに珪酸ナトリウムなどの珪素化合物を添加して、シリカ処理を施しても良い。このシリカ処理は、最終目的物である酸化ジルコニウム粒子を特定の形状に保持する上で、効果的である。
ろ過、乾燥した酸化ジルコニウムは、加熱処理により粒子径を制御することができる。雰囲気としては、空気中加熱が、最も製造コストがかからないため、好ましい。
加熱処理温度は、300℃から1200℃の範囲である。300℃より低いと、粒子成長が起こりにくく加熱処理を行う意味がない。また、1200℃より高いと、焼結により粗大粒子が生成したり、粒子径分布が広くなったりする。
この加熱処理後、さらに水洗などにより未反応物を除去すると、より高純度の酸化ジルコニウム粒子が得られるため、化学研磨用などの研磨剤として使用するためには、最終工程で水洗することが好ましい。
このようにして得られた酸化ジルコニウム粒子は、粒子径または粒子長さが1nmから200nmの範囲であり、また仕上げ研磨用のシートや研磨液用の研磨剤として特に好ましい範囲である5nmから100nmの粒子径を有するものが得られる。X線回折スペクトルを測定すると、ZrO2 の単斜晶構造あるいは正方晶構造の単一の回折ピークが明瞭に観察され、良好な結晶性を有することがわかる(後述する図1、図3参照)。
以下、本発明の実施例について説明する。
0.3モルの水酸化ナトリウムを160mlの水に溶解して水酸化ナトリウム水溶液を調整した。また、この水酸化ナトリウム水溶液とは別に、0.074モルの塩化ジルコニウム(IV)を40mlの水に溶解して塩化ジルコニウム容器を調整した。次いで、前者の水酸化ナトリウム水溶液に後者の塩化ジルコニウム溶液を滴下して、水酸化ジルコニウムを含む沈殿物を作製した。このときのpHは12.5であった。この沈殿物を懸濁液の状態で15時間室温で熟成させた。
次に上澄み液を除去した後、この沈殿物の懸濁液を、オートクレーブに仕込み、180℃で4時間、水熱処理を施した。
水熱処理後、未反応物や残存物を除去するために、超音波洗浄器を使って水洗ろ過を行い、90℃で空気中乾燥した。乾燥後、乳鉢で軽く解砕し、酸化ジルコニウム粒子とした。
得られた酸化ジルコニウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、単斜晶単相である酸化ジルコニウムに対応するスペクトルが明瞭に観測された。さらに、透過型電子顕微鏡で形状観察を行ったところ、粒子の長軸長さが80〜100nmの柱状粒子(〈長軸長さ/短軸長さ〉≒5.2〜8.3)であることがわかった。
図1に、上記酸化ジルコニウム粒子のX線回折スペクトルを示し、図2に、20万倍で撮影した透過型電子顕微鏡写真を示す。
実施例1の酸化ジルコニウム粒子の合成方法において、原料である水酸化ナトリウムの使用量を0.44モルとし、240mlの水に溶解し、pH13で90℃で熟成させた以外は、実施例1と同様にして水酸化ジルコニウムを含有する沈殿物を生成させ、水熱処理を行い、水洗、ろ過、乾燥後、酸化ジルコニウム粒子とした。
得られた酸化ジルコニウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、正方晶単相である酸化ジルコニウムに対応するスペクトルが明瞭に観測された。さらに、透過型電子顕微鏡で形状観察を行ったところ、粒子径が4〜6nmの粒状粒子であることがわかった。
図3に、上記酸化ジルコニウム粒子のX線回折スペクトルを示し、図4に、20万倍で撮影した透過型電子顕微鏡写真を示す。
実施例1の酸化ジルコニウム粒子の合成方法において、乳鉢による解砕後、空気中600℃で1時間の加熱処理を行った以外は、実施例1と同様にして水酸化ジルコニウムを含有する沈殿物を生成させ、水熱処理を行い、水洗、ろ過、乾燥後、酸化ジルコニウム粒子とした。
得られた酸化ジルコニウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、単斜晶単相である酸化ジルコニウムに対応するスペクトルが明瞭に観測された。さらに、透過型電子顕微鏡で形状観察を行ったところ、粒子の長軸長さが100〜150nmの柱状粒子(〈長軸長さ/短軸長さ〉≒2.7〜4.3)であることがわかった。
実施例2の酸化ジルコニウム粒子の合成方法において、乳鉢による解砕後、空気中600℃で1時間の加熱処理を行った以外は、実施例2と同様にして水酸化ジルコニウムを含有する沈殿物を生成させ、水熱処理を行い、水洗、ろ過、乾燥後、酸化ジルコニウム粒子とした。
得られた酸化ジルコニウム粒子について、透過型電子顕微鏡で形状観察を行ったところ、粒子径が15〜25nmの粒状粒子であることがわかった。
[比較例1]
実施例1の酸化ジルコニウム粒子の合成方法において、熟成時間を48時間とした以外は、実施例1と同様にして水酸化ジルコニウムを含有する沈殿物を生成させ、水熱処理を行い、水洗、ろ過、乾燥後、酸化ジルコニウム粒子とした。
得られた酸化ジルコニウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、正方晶と単斜晶の混晶である酸化ジルコニウムに対応するスペクトルが明瞭に観測された。さらに、透過型電子顕微鏡で形状観察を行ったところ、粒子径が5〜10nmの粒状粒子であることがわかった。図5に、この酸化ジルコニウム粒子のX線回折スペクトルを示す。
[比較例2]
実施例1の酸化ジルコニウム粒子の合成方法において、水酸化ジルコニウムを含有する沈殿物を生成した後、水熱処理を行うことなく、実施例1と同様にして、水酸化ジルコニウムを含有する沈殿物をそのまま水洗し、ろ過、乾燥し、さらに、加熱処理を行うことなく、酸化ジルコニウム粒子を作製した。
得られた酸化ジルコニウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、特定の結晶構造を示さず、非常にブロードな幅広いピークが観測された。また透過型電子顕微鏡で観察したところ、粒子サイズを特定できないアモルファス状粒子であった。
[比較例3]
比較例1で得られた、単斜晶と正方晶との混合物である酸化ジルコニウム粒子に対し、1300℃の加熱処理を施し、酸化ジルコニウム粒子を作製した。
得られた酸化ジルコニウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、単斜晶および正方晶の酸化ジルコニウムに対応する明瞭なピークが観測された。また透過型電子顕微鏡で観察したところ、10nm〜数千nm(数μm)サイズの、粒子径分布の広い不定形粒子であった。
[比較例4]
実施例1の酸化ジルコニウム粒子の合成法において、水酸化ジルコニウムを含む沈殿物を作製した後、6N塩酸水溶液を用い、pHを8とした以外は、実施例1と同様にして、水熱処理を行い、水洗、ろ過、乾燥後、酸化ジルコニウム粒子とした。
得られた酸化ジルコニウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、正方晶と単斜晶の混相である酸化ジルコニウムに対応する非常にブロードなスペクトルが観測された。さらに、透過型電子顕微鏡で形状観察を行ったところ、粒子径が1〜3nmの不定形粒子であることがわかった。
(透過型電子顕微鏡による観察結果)
表1に、上記各実施例および各比較例における酸化ジルコニウム粒子の合成条件、X線回折スペクトルおよび透過型電子顕微鏡写真から見積もった平均粒子径、結晶構造、形状をまとめて示す。表1に記載した平均粒子径は、粒状のものは約300個の粒子の平均粒子径から求め、柱状(〈長軸長さ/短軸長さ〉が2以上)のものは約300個の粒子の平均粒子長軸長さから求めたものである。ただし、粒子径分布が広く、上限と下限の桁が異なるもの(比較例3)については、上限と下限の粒子径を示した。
Figure 2005170700
表1から明らかなように、酸化ジルコニウム粒子の合成においては、水熱処理のみで酸化物とすることができ、さらに加熱処理を施すことによって、平均粒子径が増大していることがわかる。これは、酸化ジルコニウム粒子が、加熱処理工程においてもなお粒子成長することを示している。
また、各実施例で得られた酸化ジルコニウム粒子は、これまで困難とされてきた単一の結晶構造からなる酸化ジルコニウム粒子であり、かつ結晶性が良好であることもわかる。この点は、目的に応じた粒子を選択的に合成し、研磨シートや研磨液に使用する上で、非常に有効な特性であるといえる。一方、比較例1・3・4では、酸化ジルコニウム粒子は得られるものの、その結晶構造は単一ではなく、単斜晶と正方晶とが混在したもの(混合物)となっている。特に比較例3では、水熱処理後に得られた単斜晶と正方晶との混合物粒子を、1300℃という高温で焼成しているにもかかわらず、単一の構造を持つ酸化ジルコニウムが得られておらず、さらに、生成した粒子には数μmサイズにまで及ぶ粗大粒子が現れ、研磨用途には適していないことがわかる。
実施例1で得られた単斜晶酸化ジルコニウム粒子のX線回折スペクトルを示した図である。 実施例1で得られた単斜晶酸化ジルコニウム粒子の透過型電子顕微鏡写真(倍率20万倍)を示した図である。 実施例2で得られた正方晶酸化ジルコニウム粒子のX線回折スペクトルを示した図である。 実施例2で得られた正方晶酸化ジルコニウム粒子の透過型電子顕微鏡写真(倍率20万倍)を示した図である。 比較例1で得られた酸化ジルコニウム粒子のX線回折スペクトルを示した図である。

Claims (3)

  1. 粒子の形状が粒状、または長軸長さと短軸長さとの比が2以上である柱状であり、粒子の平均粒子直径または平均粒子長軸長さが1nmから200nmの範囲にあり、かつ単斜晶または正方晶の単一の結晶構造を有することを特徴とする酸化ジルコニウム粒子。
  2. 請求項1に記載した酸化ジルコニウム粒子を製造するにあたり、
    アルカリ水溶液にジルコニウム塩の水溶液を添加し、pHが11〜14の範囲になるように調整してジルコニウムの水酸化物あるいは水和物を作製し、この水酸化物あるいは水和物を、20〜90℃の温度範囲で5〜40時間熟成した後、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理し、水洗、ろ過、乾燥後、空気中300〜1200℃の温度範囲で加熱処理することを特徴とする、酸化ジルコニウム粒子の製造方法。
  3. 請求項1に記載した酸化ジルコニウム粒子を製造するあたり、
    アルカリ水溶液にジルコニウム塩の水溶液を添加し、pHが11〜14の範囲になるように調整してジルコニウムの水酸化物あるいは水和物を作製し、この水酸化物あるいは水和物を、20〜90℃の温度範囲で5〜40時間熟成した後、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理し、水洗、ろ過、乾燥後、空気中300〜1200℃の温度範囲で加熱処理したうえで、さらに珪素化合物で処理することを特徴とする、酸化ジルコニウム粒子の製造方法。
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