JP2002317020A - グラフト共重合体及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

グラフト共重合体及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物

Info

Publication number
JP2002317020A
JP2002317020A JP2001119799A JP2001119799A JP2002317020A JP 2002317020 A JP2002317020 A JP 2002317020A JP 2001119799 A JP2001119799 A JP 2001119799A JP 2001119799 A JP2001119799 A JP 2001119799A JP 2002317020 A JP2002317020 A JP 2002317020A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
graft copolymer
polymerization
resin composition
parts
copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001119799A
Other languages
English (en)
Inventor
Kimihide Nishimura
公秀 西村
Kazuhito Wada
一仁 和田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2001119799A priority Critical patent/JP2002317020A/ja
Publication of JP2002317020A publication Critical patent/JP2002317020A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光沢、発色性、加工性の改善されたグラフト
共重合体及び熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 アクリルゴムの存在下にビニル系単量体
をグラフト共重合する際、水への溶解度が1.0g/1
00cm3以上の重合開始剤を使用して得られるグラフ
ト共重合体及び該グラフト共重合体とビニル系共重合体
からなる熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光沢、発色性(着
色性)に優れ、成形加工時の高温滞留による光沢低下、
ヤケ、フローマークを改善したグラフト共重合体または
それを含む熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂、とくにABS樹脂は、
その優れた耐衝撃性、耐熱性、剛性、加工性などを有す
るため、日用雑貨品、自動車の内外装材(インパネ、ク
ラスター、センターパネル、ベンチレーター、コンソー
ル、ピラー、フィニッシャー、ガーニッシュ、スポイラ
ー、ラジエターグリル、ランプハウジング、エアロパー
ツ、バンパー、ミラーハウジング、ルーフラックモール
など)、ジャー炊飯器、電子レンジ、掃除機などの家電
製品のハウジングや部品、電話機、ファクシミリなどの
OA機器のハウジングや部品などに広く使用されてい
る。
【0003】近年、ABS樹脂の欠点である耐候性を改
良するために、ABS樹脂のゴム成分を、光や熱に対し
不安定な二重結合を有するブタジエン系ゴムから二重結
合をほとんど有さないアクリル系ゴムに変えたASA樹
脂が開発されている。しかし、アクリル系ゴムは、ブタ
ジエン系ゴムに比べて顔料を添加した際に色が鮮やかで
ない、即ち発色性に劣るあるいは光沢が劣るという問題
がある。前記発色性を改善するために大粒子と小粒子の
アクリル系ゴムを併用する方法(特開昭58−2221
39号公報)が提案されているが、発色性も光沢も充分
でない。
【0004】さらに、実用性の観点からアクリル系ゴム
とブタジエン系ゴム、シリコーン系ゴムとの併用が検討
されている。たとえば、ブタジエン系ゴムの存在下にア
クリル系モノマーを重合させてアクリル系ゴムとブタジ
エン系ゴムとの複合ゴムを製造する方法などが提案され
ている(特開昭57−167308号公報、特開平2−
29452号公報、特開平8−41143号公報)。し
かし、これらアクリル系ゴムとブタジエン系ゴム、シリ
コーン系ゴムとを併用する従来の方法では、ブタジエン
系ゴムやシリコーン系ゴムを併用しているにもかかわら
ず、発色性、光沢、耐衝撃性が充分に発現しないなどの
問題がある。
【0005】また、アクリル系ゴムの粒子径は基本的に
小さいほど発色性、光沢は有利になるが、ゴム粒径が小
さすぎると成形加工時に樹脂が高温で滞留した場合、ゴ
ムの凝集がおこり、かえって成形品の光沢低下を引き起
こしたり、熱安定性不足による樹脂劣化(ヤケ)がおこ
り易くなったり、フローマークなどの成形不良を生ずる
など欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のごと
き問題を解消した、発色性(着色性)、光沢に優れ、か
つ成形加工時の高温滞留による光沢低下、ヤケ、フロー
マークを改善したグラフト共重合体またはそれを含む熱
可塑性樹脂組成物に関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため鋭意検討を重ねた結果、アクリル系ゴム
に単量体をグラフト共重合する際、特定の重合開始剤を
使用して重合を行うことによって、発色性(着色性)、
光沢に優れ、成形加工時の高温滞留による光沢低下、ヤ
ケ、フローマークを改善することを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、アクリル系ゴム重合
体10〜90重量%の存在下に、芳香族ビニル化合物、
シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステルから選ばれる2種以上の単量体90〜10重量%
をグラフト共重合する際、20℃の水に対する溶解度
1.0g/水100cm3以上の重合開始剤を使用して
得られるグラフト共重合体(請求項1)、使用する重合
開始剤が有機重合開始剤である請求項1のグラフト共重
合体(請求項2)、pHが9.0未満の乳化重合系で得
られたアクリル系ゴム重合体を使用してなる請求項1又
は2記載のグラフト共重合体(請求項3)、アクリル系
ゴム重合体の存在下に単量体をpH9.0未満の乳化重
合系で重合を行うことを特徴とする請求項3記載のグラ
フト共重合体(請求項4)、乳化重合系の乳化剤がスル
ホン酸金属塩である請求項3記載のグラフト共重合体
(請求項5)、乳化重合系の乳化剤がアルキルスルホン
酸金属塩またはアルキルベンゼンスルホン酸金属塩であ
る請求項3記載のグラフト共重合体(請求項6)、アク
リル系ゴム重合体の体積平均粒径が10〜135nmで
ある請求項1記載のグラフト共重合体(請求項7)、請
求項1記載のグラフト共重合体10〜90重量部および
シアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、(メタ)
アクリル酸エステル、マレイミド化合物およびこれらと
共重合可能な単量体から選ばれる2種または3種以上、
ただし、2種のときはシアン化ビニル化合物、芳香族ビ
ニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド
化合物から選ばれる単量体を重合して得られる共重合体
90〜10重量部(合わせて100重量部)からなる熱
可塑性樹脂組成物(請求項8)、重合がpH9.0未満
の乳化重合系で行われることを特徴とする請求項8記載
の熱可塑性樹脂組成物(請求項9)、重合が乳化剤とし
てスルホン酸金属塩を用いる乳化重合で行われることを
特徴とする請求項8又は9記載の熱可塑性樹脂組成物
(請求項10)及び重合が乳化剤としてアルキルスルホ
ン酸金属塩またはアルキルベンゼンスルホン酸金属塩を
用いることを特徴とする請求項8又は9記載の熱可塑性
樹脂組成物(請求項11)に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】 本発明のグラフト共重合体を構
成するアクリル系ゴム重合体は耐衝撃性向上のために使
用される成分である。
【0010】アクリル系ゴム重合体としては、耐衝撃
性、加工性、製造安定性の点から、アルキル基の炭素数
が1〜12のアルキルアクリレートから選ばれる1種以
上のアルキルアクリレート好ましくは50〜99.99
%(重量%、以下同様)、より好ましくは60〜99.
99%、更に好ましくは70〜99.99%、多官能性
ビニル単量体好ましくは0.01〜10%、より好まし
くは0.01〜9%、更に好ましくは0.01〜8%、
およびこれらと共重合可能な単量体好ましくは0〜40
%、より好ましくは0〜31%、更に好ましくは0〜2
2%からなる単量体混合物(合計100%)を重合して
得られる。
【0011】前記アルキル基の炭素数が1〜12のアル
キルアクリレートが50%未満になると、多官能性ビニ
ル単量体が10%をこえると、またはこれらと共重合可
能な単量体が40%をこえると、いずれの場合にも耐衝
撃性が低下する傾向がある。一方、アルキル基の炭素数
が1〜12のアルキルアクリレートが99.99%をこ
えると、または多官能性ビニル単量体が0.01%未満
になると、耐衝撃性、発色性が低下する傾向がある。
【0012】アクリル系ゴム重合体は、好ましくはpH
9.0未満の乳化重合で得られるアクリルゴム系重合体
で、耐衝撃性の点からゲル分が好ましくは50%以上、
より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上
である。
【0013】アクリル系ゴム重合体の体積平均粒径は特
に制限はないが、光沢、発色性、耐衝撃性の点から好ま
しくは10〜135nmである。体積平均粒径が10n
m未満になると耐衝撃性が低下する傾向が生じ、135
nmをこえると光沢、発色性が低下する傾向がある。
【0014】アクリル系ゴム重合体は、シリコーン系ゴ
ム重合体またはジエン系ゴム重合体と併用することも可
能で、その場合、アクリル系重合体の比率は、発色性、
光沢の点から、アクリル系ゴム重合体が40〜100
%、好ましくは50〜100%、更に好ましくは60〜
100%である。耐候性の点から、ジエン系ゴム重合体
は50%以下、好ましくは40%以下、更に好ましくは
30%以下である。
【0015】アクリル系ゴム重合体としては、一般にア
クリル系ゴムとして用いられているものであればとくに
限定なく使用することができる。その具体例としては、
たとえばアクリル酸ブチルゴム、ブタジエン−アクリル
酸ブチルゴム、アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリ
ル酸ブチルゴム、メタクリル酸2−エチルヘキシル−ア
クリル酸ブチルゴム、アクリル酸ステアリル−アクリル
酸ブチルゴム、ジメチルシロキサン−アクリル酸ブチル
ゴム、シリコーンゴム/アクリル酸ブチル複合ゴムなど
があげられる。これらのうちではアクリル酸ブチルゴ
ム、ブタジエン−アクリル酸ブチルゴムが好ましい。
【0016】シリコーン系ゴム重合体としては、一般に
シリコーン系ゴムとして用いられているものであればと
くに限定なく使用することができる。その具体例として
は、たとえばポリジメチルシロキサンゴム、シリコーン
ゴム/アクリル酸ブチル複合ゴムなどがあげられる。こ
れらのうちではシリコーンゴム/アクリル酸ブチル複合
ゴムが好ましい。
【0017】ジエン系ゴム重合体としては、一般にジエ
ン系ゴムとして用いられているものであればとくに限定
なく使用することができる。その具体例としては、たと
えばブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アク
リロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルアクリレート−
ブタジエンゴムなどがあげられる。これらのうちではブ
タジエンゴムあるいはスチレン−ブタジエンゴムが好ま
しい。
【0018】単量体混合物におけるアルキル基の炭素数
が1〜12のアルキルアクリレートとしては、たとえば
メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアク
リレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどがあげ
られる。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合
わせて用いてもよい。これらのうちでは、製造安定性、
経済性などの工業的見地から、炭素数1〜8のアルキル
基を有するアルキルアクリレートが好ましく、とくにブ
チルアクリレートが好ましい。
【0019】単量体混合物における多官能性ビニル単量
体は分子中に2つ以上の重合性ビニル系官能基を有する
単量体であり、たとえばメタクリル酸アリル、ポリエチ
レングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレ
ート、トリアリルイソシアヌレート、トリメリット酸ト
リアリル、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジ
シクロペンタジエン(メタ)アクリレート、1,3,5
−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジンなど
があげられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を
組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、耐衝撃
性の点から、メタクリル酸アリル、ポリエチレングリコ
ールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリ
アリルイソシアヌレートが好ましい。
【0020】単量体混合物におけるこれらと共重合可能
な単量体としては、とくに限定はないが、たとえばメチ
ルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタ
クリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどの
炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルメタクリ
レート;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの
シアン化ビニル化合物;スチレン、α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、
クロルスチレン、ブロムスチレンなどの芳香族ビニル化
合物;(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートな
どのアルキル(メタ)アクリレート以外の(メタ)アク
リル酸誘導体;マレイミド、N−フェニルマレイミドな
どのマレイミド化合物などがあげられる。これらは単独
で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうちでは、耐衝撃性、加工性、経済性の点か
ら、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ア
クリロニトリル、スチレン、グリシジルメタクリレート
が好ましい。
【0021】本発明のグラフト共重合体は、アクリル系
ゴム重合体10〜90%の存在下に、芳香族ビニル化合
物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステルから選ばれる2種または3種からなる単量体
90〜10%をグラフト共重合する際、20℃の水に対
する溶解度が1.0g/水100cm3以上の重合開始
剤を使用して得られるグラフト共重合体である。シアン
化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステルからなる単量体はその他共重合可
能な単量体を含んでもよい。グラフト共重合体はpH
9.0未満の乳化重合で得られるのが好ましい。グラフ
ト共重合体はMEKに不溶成分を含むもので、グラフト
率が好ましくは15〜150%、より好ましくは25〜
120%、さらに好ましくは30〜100%である。グ
ラフト率が15%未満の場合、耐衝撃性および成形加工
時の高温滞留により光沢・成形性(フローマークの抑
制)が低下する傾向が生じ、150%をこえると加工性
が低下する傾向が生じる。
【0022】グラフト共重合体における単量体は、耐衝
撃性、加工性の点から、シアン化ビニル化合物好ましく
は10〜45%、より好ましくは15〜40%、更に好
ましくは20〜35%、芳香族ビニル化合物好ましくは
55〜90%、より好ましくは60〜85%、更に好ま
しくは65〜80%、(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル好ましくは0〜35%、より好ましくは0〜25
%、更に好ましくは0〜15%、マレイミド化合物好ま
しくは0〜35%、より好ましくは0〜25%、更に好
ましくは0〜15%、その他共重合可能な単量体好まし
くは0〜30%、より好ましくは0〜20%、更に好ま
しくは0〜10%(合計100%)の割合である。シア
ン化ビニル化合物が10%未満になる、芳香族ビニル化
合物が90%をこえると、または共重合可能な単量体が
35%をこえると、いずれの場合も、耐衝撃性が低下す
る傾向が生じる。シアン化ビニル化合物が45%をこえ
ると、(メタ)アクリル酸アルキルエステル残基が35
%をこえると、マレイミド化合物が35%をこえると、
または芳香族ビニル化合物が55%未満になると、いず
れも加工性が低下する傾向が生じる。
【0023】前記シアン化ビニル化合物としては、たと
えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどががあ
げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み
合わせて用いてもよい。
【0024】前記芳香族ビニル化合物としては、たとえ
ばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、p−イソプロピルスチレン、クロルスチレン、ブロ
ムスチレンなどがあげられる。これらは単独で用いても
よく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】前記(メタ)アクリル酸エステルとして
は、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜12の直鎖あるい
は側鎖を有するアルコールとのエステル、たとえばメタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プ
ロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチル
ヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル、アクリル酸などがあげられる。これらは
単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0026】前記マレイミド化合物としては、例えばマ
レイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミ
ド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、
N−フェニルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)
マレイミドなどがあげられる。これらは単独で用いても
よく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】前記その他共重合可能な単量体としては、
たとえば(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレー
トなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の
(メタ)アクリル酸誘導体などがあげられる。これらは
単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0028】工業的見地から、前記シアン化ビニル化合
物としてはアクリロニトリル、芳香族ビニル化合物とし
てはスチレン、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと
してはメタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、マレイ
ミド化合物としてはN−フェニルマレイミドが好まし
い。
【0029】本発明の熱可塑性樹脂組成物の成分である
共重合体は、シアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合
物、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド化合物お
よびこれらと共重合可能な単量体から選ばれる2種以上
(ただし、2種のとき少なくとも1種はシアン化ビニル
化合物、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エス
テル、マレイミド化合物から選ばれる)からなる。共重
合体は、α−アルキル置換芳香族ビニル化合物を好まし
くは10〜85%、より好ましくは30〜80%、更に
好ましくは40〜78%含有するのが、耐衝撃性、耐熱
性の点から好ましい。
【0030】前記共重合体は、耐衝撃性、発色性の点か
ら、シアン化ビニル化合物好ましくは10〜45%、よ
り好ましくは15〜40%、更に好ましくは20〜35
%、芳香族ビニル化合物好ましくは55〜90%、より
好ましくは60〜85%、更に好ましくは65〜80
%、(メタ)アクリル酸エステル好ましくは0〜35
%、より好ましくは0〜25%、更に好ましくは0〜1
5%、マレイミド化合物好ましくは0〜35%、より好
ましくは0〜25%、更に好ましくは0〜15%、およ
びこれらと共重合可能な単量体好ましくは0〜30%、
より好ましくは0〜20%、更に好ましくは0〜10%
(合計100%)を重合して得られる共重合体である。
【0031】前記共重合体を構成する前記シアン化ビニ
ル化合物としては、たとえばアクリロニトリル、メタク
リロニトリルなどが、前記芳香族ビニル化合物として
は、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチ
ルスチレン、p−イソプロピルスチレン、クロルスチレ
ン、ブロムスチレン、ビニルナフタレンなどが、前記α
−アルキル置換芳香族ビニル化合物としては、たとえ
ば、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−メ
チルクロルスチレン、イソプロペニルナフタレンなど
が、(メタ)アクリル酸エステルとしては、たとえば
(メタ)アクリル酸およびそのメチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、2−ヒドロキシルエチル、2−エチルヘキ
シル、グリシジルなどの(メタ)アクリル酸エステル系
単量体などが、前記マレイミド化合物としては、たとえ
ばマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレ
イミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミ
ド、N−フェニルマレイミド、N−(p−メチルフェニ
ル)マレイミドなどがあげられる。これらのうちでは、
工業的見地から、シアン化ビニル化合物としてはアクリ
ロニトリル、芳香族ビニル化合物としてはスチレン、α
−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステルとして
はメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチ
ルアクリレート、マレイミド化合物としてはN−フェニ
ルマレイミドが好ましい。
【0032】この様な共重合体の具体例としては、たと
えばスチレン−アクリロニトリル共重合体、α−メチル
スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−α−
メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン
−マレイミド共重合体、スチレン−マレイミド−アクリ
ロニトリル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−
マレイミド−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ア
クリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、α−
メチルスチレン−アクリロニトリル−メチルメタクリレ
ート共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリ
ロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、スチレン
−マレイミド−メチルメタクリレート共重合体、スチレ
ン−α−メチルスチレン−マレイミド−アクリロニトリ
ル−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−アクリ
ロニトリル−ブチルアクリレート共重合体などがあげら
れる。
【0033】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、メチルエ
チルケトン可溶分の還元粘度(30℃、0.3g/d
l、N,N−ジメチルホルムアミド溶液)が好ましくは
0.2〜2dl/g、より好ましくは0.3〜1.5d
l/g、さらに好ましくは0.3〜1dl/gである。
還元粘度が0.2dl/g未満になると、耐衝撃性が低
下する傾向が生じ、2dl/gをこえると加工性が低下
する傾向が生じる。
【0034】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト
共重合体10〜90部および共重合体90〜10部(合
計量が100部)からなり、該組成物中のアクリル系ゴ
ム重合体の含有量が好ましくは5〜40%、より好まし
くは8〜35%、さらに好ましくは10〜33%であ
る。アクリル系ゴム重合体の含有量が5%未満の場合に
は耐衝撃性が低下する傾向があり、40%をこえる場合
には加工性が低下する傾向がある。
【0035】なお、熱可塑性樹脂組成物に含まれるグラ
フト共重合体および共重合体の割合は、アクリル系ゴム
重合体の含有量が5〜40%になるように配合されるこ
とが好ましいが、通常、、グラフト共重合体が好ましく
は10〜90部(重量部、以下同様)、より好ましくは
10〜80部、更に好ましくは10〜70部、および重
量体が好ましくは10〜90部、より好ましくは20〜
90部、更に好ましくは30〜90部からなる。グラフ
ト共重合体が10部未満になり、共重合体が90部をこ
えると、耐衝撃性が低下する傾向が生じ、グラフト共重
合体が90部をこえ、共重合体が10部未満になると加
工性が低下する傾向がある。
【0036】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、一般に
知られている酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔
料、帯電防止剤、滑剤を必要に応じて使用してもよい。
とくに、スチレン系樹脂などに用いられるフェノール
系、イオウ系、リン系、ヒンダードアミン系の安定剤、
抗酸化剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系の
紫外線吸収剤および脂肪族炭化水素、高級脂肪酸と高級
アルコールとのエステル、脂肪酸金属塩、高級脂肪酸の
アミドまたはビスアミド、それらの変性体、オリゴアミ
ド、有機系シリコーンオイルなどの内部滑剤、外部滑剤
などは、本発明の組成物を成形用樹脂組成物として、よ
り高性能なものとするために用いることができる。こと
に有機系シリコーンオイルは、光沢、耐衝撃性、摺動
性、離型性の点から使用するのが好ましい。有機系シリ
コーンオイルの具体例としては、たとえばポリジメチル
シロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフ
ェニルシロキサンなどである。これらのうちではポリジ
メチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンが好
ましい。有機系シリコーンオイルの分子量にはとくに限
定はないが、1000(千)〜50万程度が好ましい。
有機系シリコーンオイルの動粘度にもとくに限定はない
が、25℃で0.1〜100万cSt(センチストーク
ス)が好ましく、耐衝撃性の点から、より好ましくは1
〜20万cSt、更に好ましくは10〜10万cStが
好ましい。
【0037】これらの安定剤、滑剤は、単独で用いても
よく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】つぎに、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製
法について説明する。
【0039】アクリル系ゴム重合体の製造はゴムの粒径
分布、グラフト率を制御しやすいなどの点から、乳化重
合法により製造を行う。
【0040】乳化重合を行うpHの範囲は、9.0未満
であることが好ましい。pHが9.0以上では、熱可塑
性樹脂組成物の成形加工時に樹脂が高温で滞留した場合
の成形品の光沢低下、ヤケやフローマークの発生が起こ
る。pHの下限にはとくに限定はないが、重合設備等の
腐食(錆)を防止する観点から、4.0以上であるのが
好ましい。
【0041】熱可塑性樹脂組成物の高温滞留時熱安定性
向上のため、アクリル系ゴム重合体だけでなく、グラフ
ト共重合体および共重合体についてもpH9.0未満で
重合したものを用いるのが好ましい。
【0042】上記範囲内のpHで乳化重合を行える乳化
剤として、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ア
ルキルスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク
酸ナトリウム、α−スルホ脂肪酸エステルナトリウム、
アルキルエーテルスルホン酸ナトリウムなどの公知のス
ルホン酸金属塩を使用することができる。また、高温滞
留時における乳化剤の熱分解によるガス生成を抑制する
という観点から、TGAによる分解温度が300℃以上
のものを使用するのが好ましい。この具体例としては、
炭素数12〜20のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、炭素数12〜20のアルキルスルホン酸ナトリウ
ムが挙げられる。さらに、製造上の取り扱いやすさ(排
水発泡性)という観点から、アルキルスルホン酸ナトリ
ウムを使用するのが好ましい。
【0043】また、上記範囲内のpHで乳化重合が行え
る限り、スルホン酸金属塩以外の乳化剤やpH調整剤を
併用してもかまわない。スルホン酸金属塩以外の乳化剤
としては、例えばオレイン酸ナトリウム、パルミチン酸
ナトリウム、ロジン酸ナトリウム、ロジン酸カリウムな
どの脂肪酸金属塩など公知の乳化剤を使用することがで
きる。pH調整剤としては、例えば炭酸ソーダ、炭酸カ
リウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化アンモニウム、リ
ン酸アンモニウムなどの公知のpH調整剤を使用するこ
とができる。
【0044】アクリル系ゴム重合体の製造は、重合中の
pH制御が容易なことおよびラテックス安定性という観
点から、ゴム製造中に乳化剤を二回以上に分けて(重合
開始前と重合開始後に1回以上)追加するのが好まし
い。
【0045】重合時の単量体や分子中に2つ以上の重合
性の官能基を有する多官能性ビニル系単量体の添加方法
としては、反応容器に連続的に滴下してもよく、一括で
添加してもよく、初期に一部を連続的にまたは一括で添
加し、その後残りを連続的に滴下するなど分割添加して
もよい。これらのうちでは、粒径制御の点から、単量体
は連続的に滴下する方法または初期に一部を一括添加
し、その後残りを連続滴下する方法が好ましい。
【0046】グラフト共重合体の製造は、一般にアクリ
ル系ゴム重合体ラテックスの存在下、シアン化ビニル化
合物、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸アルキル
エステルから選ばれる2種又は3種からなる単量体をグ
ラフト共重合させることにより行なわれる。
【0047】グラフト共重合における開始剤としては、
20℃の水に対する溶解度が1.0g/水100cm3
以上、より好ましくは1.2g/水100cm3以上、
さらに好ましくは1.5g/水100cm3以上であれ
ば公知の有機系過酸化物、無機系過酸化物、アゾ化合物
などの開始剤を使用することができる。溶解度が1.0
g/水100cm3未満の開始剤ではゴム−グラフト共
重合体のコア−シェル構造が不完全となり、熱可塑性樹
脂組成物の成形加工時に樹脂が高温で滞留した場合の成
形品の光沢低下、ヤケやフローマークの発生が起こる。
【0048】溶解度が1.0g/水100cm3以上の
パーオキサイドとしては、t−ブチルハイドロパーオキ
サイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロ
パーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、パーオキ
シマレイン酸t−ブチルエステルがあげられる。
【0049】また、この様な溶解度の無機系過酸化物の
例としては、過硫酸金属塩が挙げられ、水溶性の高いも
のとしては過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどを
挙げられる。これらのうちでは、入手しやすさの観点か
ら、過硫酸カリウムが好ましい。
【0050】過酸化物は還元剤と組み合わせたレドック
ス系開始剤としても使用することができる。これらのう
ちでは、耐衝撃性、発色性の点から、有機系過酸化物を
使用するのが好ましい。
【0051】前記有機系過酸化物は、重合系にそのまま
添加する方法、単量体に混合して添加する方法、乳化剤
水溶液に分散させて添加する方法など、公知の添加法で
添加することができるが、耐衝撃性、発色性の点から、
単量体に混合して添加する方法あるいは乳化剤水溶液に
分散させて添加する方法が好ましい。
【0052】アクリル系ゴムまたは共重合体の重合開始
剤については、有機系過酸化物、無機系過酸化物、アゾ
化合物などの公知の開始剤を使用することができる。
【0053】また、前記有機系過酸化物は、重合安定
性、粒径制御の点から、2価の鉄塩などの無機系還元剤
および(または)ホルムアルデヒドスルホキシル酸ソー
ダ、還元糖、アスコルビン酸などの有機系還元剤と組み
合わせたレドックス系開始剤として使用するのが好まし
い。
【0054】また、グラフト共重合体の重合度調整のた
め、連鎖移動剤を用いて製造することも可能である。連
鎖移動剤としては、たとえばt−ドデシルメルカプタ
ン、n−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダ
イマー、テルピノレンなど公知の連鎖移動剤を使用する
ことができる。
【0055】共重合体は、本発明の範囲のものが得られ
る限り、いかなる重合法を用いて製造したものでもかま
わない。たとえば、公知の塊状重合法、溶液重合法、懸
濁重合法、乳化重合法、乳化−懸濁重合法、乳化−塊状
重合法など、本発明の範囲内の組成に制御できればどの
重合法よって製造したものでもよい。
【0056】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その製造
方法によって異なるが、グラフト共重合体、共重合体
を、たとえばラテックス、スラリー、溶液、粉末、ペレ
ットなどの状態あるいはこれらの組み合わせで混合して
製造することができる。たとえば、グラフト共重合体、
共重合体がラテックスから得られる場合、ポリマー粉末
を回収するときは通常の方法、たとえばラテックスに塩
化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムの
ようなアルカリ土類金属の塩、塩化ナトリウム、硫酸ナ
トリウムのようなアルカリ金属の塩、塩酸、硫酸、リン
酸、酢酸のような無機酸および有機酸を添加することで
ラテックスを凝固させたのち、脱水乾燥する方法で実施
することができる。また、スプレー乾燥法を使用するこ
ともできる。この際、安定剤などの使用する量の一部を
分散液の状態でこれら樹脂のラテックスあるいはスラリ
ーに添加することもできる。
【0057】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト
共重合体および共重合体の粉末、ペレットなどに対し、
必要に応じて前記の安定剤、滑剤、顔料などを配合し、
バンバリミキサー、ロールミル、1軸押出機、2軸押出
機など公知の溶融混練機で混練し、射出成形、押出成
形、ブロー成形、カレンダー成形など公知の成形法で、
目的の成形品に賦形することができる。
【0058】なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポ
リカーボネート系樹脂、アミド系樹脂、ポリエステル系
樹脂、メタクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の他の熱
可塑性樹脂とブレンドしポリマーアロイとして使用する
ことも可能である。
【0059】
【実施例】以下、本発明の組成物を具体的な実施例に基
づいて説明するが、これら実施例は本発明を限定するも
のではない。なお、実施例および比較例で用いた原料お
よびその略号は次の通り。 BA:ブチルアクリレート TAC:トリアリルシアヌレート AN:アクリロニトリル St:スチレン PMI:N−フェニルマレイミド αMSt:α−メチルスチレン MMA:メチルメタクリレート tDM:t−ドデシルメルカプタン BHP:t−ブチルハイドロパーオキサイド(パーブチ
ルH、日本油脂株式会社製) KPS:過硫酸カリウム(三菱瓦斯化学株式会社) CHP:クメンハイドロパーオキサイド(パークミル
H、日本油脂株式会社製) BPI:t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
ト(パーブチルI、日本油脂株式会社製) 有機系シリコーンオイル:SH−200(ジメチルシリ
コーンオイル、 10000cST、東レ・ダウコーニング・シリコーン
株式会社製) 乳化剤: アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム:ネオペレックス25、花王株式
会社製) アルキルスルホン酸金属塩(アルキルスルホン酸ナトリ
ウム(炭素数平均14):ラテムルPS、花王株式会社
製) ジアルキルスルホコハク酸金属塩(ジオクチルスルホコ
ハク酸ナトリウム:ラピゾールB−80、日本油脂株式
会社製) 脂肪酸金属塩(パルミチン酸ナトリウム:PN−1、日
本油脂株式会社製) (オレイン酸カリウム:OSソープ、花王株式会社製) また、評価方法は次の通り。 (還元粘度)共重合体を、濃度0.3g/dlのN,N
−ジメチルホルムアミド溶液として、30℃で、ウベロ
ード型粘度計で溶液粘度を測定して算出した。 (グラフト率)グラフト共重合体のパウダーをメチルエ
チルケトンに溶解させて、遠心分離し、メチルエチルケ
トン可溶分と不溶分を得た。この可溶分と不溶分との重
量比率から、グラフト共重合体のグラフト率を算出し
た。 (ゴム重合体の体積平均粒径)各ラテックスについて、
日機装株式会社製のマイクロトラックUPA粒径分布計
を用いて測定した。 (重合転化率)ガスクロマトグラフィーの結果から算出
した。 (pH)乳化重合開始から終了時までのpHを堀場製作
所株式会社製 pHメーターM−8を用いて測定し、p
Hの変化の最大値と最小値を求めた。 (溶解度)各開始剤の20℃における水100cm3
対する溶解度(g)を測定した。測定結果は以下のとお
り。 BHP 1.7g/水100cm3 KPS 5.2g/水100cm3 CHP 1.2g/水100cm3 BPI 0.1g/水100cm3 [樹脂組成物の特性] (発色性)グラフト共重合体と共重合体からなる樹脂組
成物100部に、エチレンビスステアリルアミド1部、
SH−200 0.5部、カーボン0.4部を配合した
黒色サンプル(ASTM規格1/4インチ厚みバー、1
27mm長さ)を目視(5点法)にて下記基準で評価し
た。
【0060】 5点:黒色でムラがない 4点:黒色でムラが若干ある 3点:やや青みがある黒色でややムラがある 2点:青みがある黒色でムラがある 1点:青みがある黒色でムラが激しい (光沢)株式会社ファナック製FAS−100B射出成
形機を使用し、シリンダー温度300℃、成形サイクル
3分間で、黒色サンプル(バターケース底:150×8
0×40mm)を成形した。1ショット目(高温滞留に
よる劣化を受けていない)および8ショット目(十分に
高温滞留を受け、光沢低下の変動が一定している)を日
本電色工業株式会社製VG−1D を使用し、60°×
60°反射率で評価した。単位:% (ヤケ)上記バターケースの1ショット目を基準とし、
8ショット目の変色(ΔE)を測定した。 (フローマーク)上記高温滞留後のバターケース(8シ
ョット目)を目視(5点法)にて下記基準で評価した。 5点:フローマークが全くない 4点:フローマークがぼんやりと認められる 3点:フローマークがはっきりと認められる 2点:フローマークがバターケースの半面に存在する 1点:フローマークがバターケースの全面に存在する (耐衝撃性)IZOD衝撃強度で評価した。IZOD衝
撃強度は、ASTM D−256規格(1/4インチ厚
み)にしたがって23℃で測定した(単位:J/m)。 (流動性(SF))株式会社ファナック製FAS−10
0B射出成形機を使用し、シリンダー温度250℃、射
出圧力132MPaで、3mm厚さのスパイラル形状の
金型内における樹脂の流動長(単位:mm)で評価し
た。
【0061】アクリル系ゴム重合体の製造例 アクリル系ゴム重合体(R−1) 重合機に純水200部を仕込み、重合機内を脱気し、チ
ッ素置換したのち、アルキルスルホン酸ナトリウム2.
0部を仕込んだ。45℃まで昇温し、エチレンジアミン
四酢酸二ナトリウム0.01部、硫酸第一鉄(七水塩)
0.0025部、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナト
リウム0.3部を加えた。1段目の単量体としてBA7
0部、TAC0.3部、CHP0.03部の混合物を6
時間連続滴下し、滴下終了後、45℃で1時間攪拌し
た。滴下1.5時間目、3時間目にアルキルスルホン酸
ナトリウムを各々0.5部、0.4部を添加した。つづ
いて、2段目の単量体としてBA30部、TAC0.5
部、CHP0.01部の混合物を3時間連続滴下し、滴
下終了後、45℃で1時間攪拌し、重合を終了した。転
化率は99%であった。得られたアクリル系ゴム重合体
(R−1)のラテックスの体積平均粒径は50nmであ
った。重合中のpHは7.8〜8.3であった。
【0062】アクリル系ゴム重合体(R−2) 表1に記載の原料を表1に記載の組成で用いた以外は、
アクリル系ゴム重合体(R−1)と同様にして重合し
た。ただし、乳化剤は初期(純水仕込み時)、単量体滴
下1.5時間目、3時間目にアルキルスルホン酸ナトリ
ウムを各々0.6部、0.5部、0.4部を添加した。
得られたアクリル系ゴム重合体(R−2)のラテックス
の体積平均粒径は120nmであった。重合中のpHは
7.8〜8.3であった。
【0063】アクリル系ゴム重合体(R−3) 表1に記載の原料を表1に記載の組成で用いた以外は、
アクリル系ゴム重合体(R−1)と同様にして重合し
た。ただし、乳化剤は初期(純水仕込み時)、単量体滴
下1.5時間目、3時間目にアルキルスルホン酸ナトリ
ウムを各々0.3部、0.5部、0.4部を添加した。
得られたアクリル系ゴム重合体(R−3)のラテックス
の体積平均粒径は180nmであった。重合中のpHは
7.8〜8.3であった。
【0064】アクリル系ゴム重合体(R−4)〜(R−
6) アクリル系ゴム重合体(R−2)と同様にして重合し
た。ただし、乳化剤としてアルキルスルホン酸ナトリウ
ムの代わりにジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、パルミチン酸ナ
トリウムをそれぞれ使用した。
【0065】アクリル系ゴム重合体(R−4)〜(R−
6)の原料の組成、乳化剤、重合中のpH、重合転化
率、体積平均粒径を表1に示す。
【0066】
【表1】 グラフト共重合体の製造例 グラフト共重合体(I−1) アクリル系ゴム重合体(R−1)のラテックス45部
(固形分)、水250部を重合機に入れチッ素置換し、
65℃に昇温したのち、アルキルスルホン酸ナトリウム
0.3部(固形分)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリ
ウム0.004部、硫酸第一鉄(七水塩)0.001
部、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2
部を加え、AN14部、St41部およびBHP0.4
部の混合液を5時間かけて連続添加した。さらに2時間
の後重合を行い、グラフト共重合体(I−1)のラテッ
クスを得た。重合転化率は99%であった。重合中のp
Hは7.8〜8.3であった。重合転化率およびMEK
可溶量、MEK不溶量からグラフト率を求めた。結果を
表2に示す。
【0067】グラフト共重合体(I−2)〜(I−1
0) 表2に記載の原料、乳化剤、開始剤を表2に記載の組成
で用いた以外は、グラフト共重合体(I−1)と同様に
してグラフト共重合体(I−2)〜(I−10)のラテ
ックスを得た。
【0068】グラフト共重合体(I−2)〜(I−1
0)の原料の組成、開始剤、乳化剤、重合中のpH、重
合転化率、グラフト率を表2に示す。
【0069】
【表2】 共重合体の製造例 共重合体(II−1) 重合機に水250部、アルキルスルホン酸ナトリウム
0.5部(固形分)を投入し、60℃に昇温したのち、
チッ素置換した。つづいてエチレンジアミン四酢酸二ナ
トリウム0.01部、硫酸第一鉄(七水塩)0.002
5部、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.
4部を加えたのち、AN25部、 St5部、αMSt
70部、t−DM0.20部およびCHP0.3部の混
合液を8時間かけて連続添加した。連続添加1.5時間
目に、アルキルスルホン酸ナトリウム0.5部(固形
分)、3時間目にアルキルスルホン酸ナトリウム0.5
部(固形分)を追加した。さらに1時間の後重合を行
い、共重合体(II−1)のラテックスを得た。重合転化
率は97%、還元粘度は0.55dl/gであった。重
合中のpHは7.8〜8.3であった。
【0070】共重合体(II−2)〜(II−4) 表3に記載の原料および乳化剤を表3に記載の割合で用
いた以外は、共重合体(II−1)と同様にして、共重合
体(II−2)〜(II−4)を製造した。
【0071】重合体(II−2)〜(II−4)の原料の組
成、乳化剤、重合中のpH、重合転化率、還元粘度を表
3に示す。
【0072】
【表3】 実施例1 グラフト共重合体(I−1)のラテックス、共重合体(I
I−1)のラテックスを表4に示す割合で混合し、フェ
ノール系抗酸化剤(旭電化工業株式会社製AO−50)
を加えたのち、塩化カルシウムを加えて凝固させた。凝
固スラリーを熱処理、脱水乾燥して、グラフト共重合体
(I−1)および共重合体(II−1)の混合樹脂粉末を
得た。ついで得られた混合樹脂粉末に、エチレンビスス
テアリルアミド1部、SH−200 0.5部、カーボ
ンブラック0.4部を配合し株式会社タバタ製20Lヘ
ンシェルミキサーで均一にブレンドした。さらに株式会
社タバタ製40mmの1軸押出機で、250℃で溶融混
練して、熱可塑性樹脂組成物のペレットを製造した。こ
のペレットから、株式会社ファナック製射出成形機FA
S−100Bを用いて250℃で必要なテストピースを
成形し、試験に供した。また、その他の評価も行なっ
た。結果を表4に示す。
【0073】実施例2〜8および比較例1〜2 表4に記載の原料を表4に記載の割合で用い、実施例1
と同様にしてペレットを製造し、テストピースを成形し
て試験に供した。また、その他の評価も行なった。結果
を表4に示す。
【0074】
【表4】
【0075】
【発明の効果】 本発明の熱可塑性樹脂組成物は光沢、
発色性に優れ、成形加工時の高温滞留による光沢低下、
ヤケやフローマークの発生を改善した成形品を与える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BC02X BC03X BC06X BC08X BC09X BG04X BG10X BH01X BH02X BN12W FD030 FD050 FD16X FD170 GC00 GN00 4J011 KA04 KB05 KB14 KB19 KB22 KB29 4J026 AA45 AC32 BA05 BA06 BA27 BA31 BA38 BB03 BB04 DB04 DB08 DB10 DB24 FA04 GA01 GA09

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル系ゴム重合体10〜90重量%
    の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合
    物、(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれる
    2種以上の単量体90〜10重量%をグラフト共重合す
    る際、20℃の水に対する溶解度1.0g/水100c
    3以上の重合開始剤を使用して得られるグラフト共重
    合体。
  2. 【請求項2】 使用する重合開始剤が有機重合開始剤で
    ある請求項1のグラフト共重合体。
  3. 【請求項3】 pHが9.0未満の乳化重合系で得られ
    たアクリル系ゴム重合体を使用してなる請求項1又は2
    記載のグラフト共重合体。
  4. 【請求項4】 アクリル系ゴム重合体の存在下に単量体
    をpH9.0未満の乳化重合系で重合を行うことを特徴
    とする請求項3記載のグラフト共重合体。
  5. 【請求項5】 乳化重合系の乳化剤がスルホン酸金属塩
    である請求項3記載のグラフト共重合体。
  6. 【請求項6】 乳化重合系の乳化剤がアルキルスルホン
    酸金属塩またはアルキルベンゼンスルホン酸金属塩であ
    る請求項3記載のグラフト共重合体。
  7. 【請求項7】 アクリル系ゴム重合体の体積平均粒径が
    10〜135nmである請求項1記載のグラフト共重合
    体。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のグラフト共重合体10〜
    90重量部およびシアン化ビニル化合物、芳香族ビニル
    化合物、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド化合
    物およびこれらと共重合可能な単量体から選ばれる2種
    または3種以上、ただし、2種のときはシアン化ビニル
    化合物、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エス
    テル、マレイミド化合物から選ばれる単量体を重合して
    得られる共重合体90〜10重量部(合わせて100重
    量部)からなる熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 重合がpH9.0未満の乳化重合系で行
    われることを特徴とする請求項8記載の熱可塑性樹脂組
    成物。
  10. 【請求項10】 重合が乳化剤としてスルホン酸金属塩
    を用いる乳化重合で行われることを特徴とする請求項8
    又は9記載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 重合が乳化剤としてアルキルスルホン
    酸金属塩またはアルキルベンゼンスルホン酸金属塩を用
    いることを特徴とする請求項8又は9記載の熱可塑性樹
    脂組成物。
JP2001119799A 2001-04-18 2001-04-18 グラフト共重合体及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物 Pending JP2002317020A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001119799A JP2002317020A (ja) 2001-04-18 2001-04-18 グラフト共重合体及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001119799A JP2002317020A (ja) 2001-04-18 2001-04-18 グラフト共重合体及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002317020A true JP2002317020A (ja) 2002-10-31

Family

ID=18969955

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001119799A Pending JP2002317020A (ja) 2001-04-18 2001-04-18 グラフト共重合体及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002317020A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100809245B1 (ko) 2005-09-28 2008-02-29 주식회사 엘지화학 아크릴레이트-스티렌-아크릴로니트릴 그라프트 공중합체,이의 제조방법 및 이를 포함하는 열가소성 수지 조성물
WO2021221367A1 (ko) * 2020-04-29 2021-11-04 주식회사 엘지화학 그라프트 공중합체, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 수지 조성물

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002138118A (ja) * 2000-11-06 2002-05-14 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd グラフト共重合体及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002138118A (ja) * 2000-11-06 2002-05-14 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd グラフト共重合体及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100809245B1 (ko) 2005-09-28 2008-02-29 주식회사 엘지화학 아크릴레이트-스티렌-아크릴로니트릴 그라프트 공중합체,이의 제조방법 및 이를 포함하는 열가소성 수지 조성물
WO2021221367A1 (ko) * 2020-04-29 2021-11-04 주식회사 엘지화학 그라프트 공중합체, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 수지 조성물
KR20210133736A (ko) * 2020-04-29 2021-11-08 주식회사 엘지화학 그라프트 공중합체, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 수지 조성물
JP2022540411A (ja) * 2020-04-29 2022-09-15 エルジー・ケム・リミテッド グラフト共重合体、その製造方法およびこれを含む樹脂組成物
JP7263613B2 (ja) 2020-04-29 2023-04-24 エルジー・ケム・リミテッド グラフト共重合体、その製造方法およびこれを含む樹脂組成物
KR102555991B1 (ko) 2020-04-29 2023-07-17 주식회사 엘지화학 그라프트 공중합체, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 수지 조성물

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101056314B1 (ko) 내충격성과 내열성이 우수한 저광택 열가소성 수지 조성물
EP2035472A1 (en) Acrylate-vinyl aromatic-unsaturated nitrile graft copolymer with excellent impact strength, colorability, and weatherability, and thermoplastic resin composition containing the same
JP2012214734A (ja) アクリルゴム系グラフト共重合体、および熱可塑性樹脂組成物
JP6616019B2 (ja) Asa系グラフト共重合体の製造方法、それを含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法及び成形品の製造方法
JP4212191B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP4671531B2 (ja) 成型加工性に優れた熱可塑性樹脂組成物の製造方法
JP3685939B2 (ja) グラフト共重合体及び樹脂組成物
JP2002317020A (ja) グラフト共重合体及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物
JP2002138118A (ja) グラフト共重合体及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物
JP2000212373A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3710946B2 (ja) 樹脂組成物
JP3850504B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2002317015A (ja) 成形加工性に優れた熱可塑性樹脂組成物
US5990240A (en) Rubber-containing resin composition and styrene resin composition containing the same
JP3626288B2 (ja) 顔料分散性に優れる低剛性のスチレン系樹脂組成物
JPH11116767A (ja) 発色性に優れた熱可塑性樹脂組成物
JP2001354825A (ja) ゴム変性熱可塑性樹脂組成物
JP3933756B2 (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
JP4404970B2 (ja) 自動車の内外装材用熱可塑性樹脂組成物
JP2000072836A (ja) グラフト共重合体及び樹脂組成物
JP2013221116A (ja) 耐衝撃性、着色性に優れるスチレン系樹脂組成物
JP6341593B2 (ja) グラフト共重合体の製造方法、および熱可塑性樹脂組成物の製造方法
JP5646921B2 (ja) アクリル系ゴム強化熱可塑性樹脂及びその製造方法
JPH1046003A (ja) マレイミド系abs樹脂組成物
JP2000007874A (ja) 共重合体混合物およびそれを含有してなる熱可塑性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070925

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100817

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101221