JP2002316865A - 耐火物原料組成物、その製造方法及びそれを成形してなる耐火物 - Google Patents

耐火物原料組成物、その製造方法及びそれを成形してなる耐火物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐食性、耐酸化性、耐熱衝撃性に優れた耐火
物、特に炭素含有量の少ない炭素含有耐火物を提供する
こと。またかかる耐火物を得るための耐火物原料組成物
を提供すること。 【解決手段】 カーボンブラック及びカーボンブラック
を黒鉛化してなるグラファイト粒子から選ばれるDBP
吸収量(x)が80ml/100g以上の炭素質粒子
(A)、カーボンブラック及びカーボンブラックを黒鉛
化してなるグラファイト粒子から選ばれるDBP吸収量
(x)が80ml/100g未満の炭素質粒子(B)、
及び耐火骨材(C)からなる耐火物原料組成物、及びそ
れを成形してなる耐火物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素質粒子及び耐
火骨材からなる耐火物原料組成物に関する。特にカーボ
ンブラック及びカーボンブラックを黒鉛化してなるグラ
ファイト粒子から選ばれる特定の炭素質粒子を、複数種
類配合してなる耐火物原料組成物に関する。また、当該
耐火物原料組成物を成形してなる耐火物、特に耐熱衝撃
性、耐食性及び耐酸化性に優れた、精錬用容器の内張り
として好適な耐火物に関する。さらに、当該耐火物原料
組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素は、スラグ等の溶融物に濡れにくい
性質を有していることから、炭素を含有する耐火物は優
れた耐用を有している。そのため、近年各種の溶融金属
容器の内張り耐火物として広く使用されている。例え
ば、耐火骨材としてマグネシアを用いた場合には、上記
炭素の有する特性とマグネシアの有する溶融物に対する
耐食性とにより、溶融金属容器の内張り耐火物として優
れた耐用を発現する。
【0003】しかしながら、炭素含有耐火物の使用が拡
大するにしたがって、耐火物中の炭素の溶鋼中への溶
出、いわゆるカーボンピックアップが問題となってきて
いる。特に近年では鋼の高品質化の要求が一段と厳し
く、より炭素含有量の少ない耐火物への要求が高まって
きている。一方、容器からの熱放散の抑制や省エネルギ
ー等の環境保護的な面から低熱伝導性の耐火物を使用す
ることが望まれており、この点からも低炭素含有量の耐
火物が求められている。
【0004】従来、炭素含有耐火物に使用される炭素質
原料として、鱗状黒鉛、ピッチ、コークス、メソカーボ
ン等が主に使用されていた。低炭素含有量の耐火物を得
るために、これらの炭素質原料の使用量を単純に減らし
たのでは、耐熱衝撃性が低下するという問題が生じてい
た。この問題を解決するために、特開平5−30177
2号公報には、炭素質原料として膨張黒鉛を使用した耐
火物が提案されている。その実施例には、焼結マグネシ
アを95重量部、膨張黒鉛を5重量部及びフェノール樹
脂3重量部からなる耐火物原料組成物を混練、プレス成
形した後300℃で10時間加熱処理して得られたマグ
ネシア・カーボンれんがが記載されており、等量の鱗状
黒鉛を用いた場合に比べて、耐スポーリング性が改善さ
れることが記載されている。
【0005】特開平11−322405号公報には、耐
火性原料と炭素を含有する炭素質原料とを含む原料配合
物において、該原料配合物の熱間残留分100重量%に
対して前記炭素質原料の固定炭素分が0.2〜5重量%
であって、前記炭素質原料の少なくとも一部にカーボン
ブラックを使用したことを特徴とする低カーボン質の炭
素含有耐火物(請求項5)が開示されている。当該公報
ではカーボンブラックは0.1μm前後という小さい粒
子径を有しているため、耐火物組織中への分散度が顕著
に高くなり、骨材粒子表面を微細なカーボン粒子で被覆
することができ、高温においても長期にわたって骨材粒
子同士の接触を遮断して、過焼結を抑制できると説明し
ている。実施例には、マグネシア50重量部とアルミナ
50重量部とからなる耐火骨材に、フェノール樹脂2.
5重量部、ピッチ1重量部及びカーボンブラック(サー
マル)1重量部を配合してなる原料配合物を成形し、1
20〜400℃でベーキングして得られた耐火物が記載
されており、耐スポーリング性及び耐酸化損傷抵抗性に
優れることが示されている。
【0006】特開2000−86334号公報には、耐
火性骨材と金属からなる配合物に、比表面積が24m
/g以下のカーボンブラックを外掛けで0.1〜10重
量%添加し、さらに有機バインダーを添加し、混練、成
形後、150〜1000℃の温度で加熱処理を施したス
ライディングノズル装置用れんがが記載されている。粒
子径が80〜500nmと大きく、球状の形状を有する
特定のカーボンブラック(サーマル級あるいはサーマル
ブラック種)を配合することで、充填性が良好になり、
れんが組織が緻密化して気孔率が低下するとされ、使用
されるカーボンブラック自体が耐酸化性に優れることも
併せて、耐酸化性に優れた耐火物が得られるというもの
である。実施例には、アルミナ97重量部、アルミニウ
ム3重量部、フェノール樹脂3重量部、ケイ素樹脂3重
量部及びカーボンブラック3重量部を配合してなる配合
物を成形し、500度以下の温度で加熱してなる耐火物
が記載されており、耐酸化性に優れていることが示され
ている。
【0007】特開平7−17773号公報には、径が
0.02〜0.50μm程度の粒子径が大きくストラク
チャーの発達していない球状カーボンブラックを耐火骨
材に0.1〜3重量%添加した不定形耐火物が記載され
ている。また特開平10−36177号公報にはDBP
吸収量100ml/100g以下のカーボンブラックを
2〜15重量%と、一定量の炭素質原料、炭化ケイ素、
窒化ケイ素、耐火原料及び炭素含有結合材を含有する高
炉出銑口閉塞材が記載されている。さらに特開2000
−192120号公報には耐火骨材、DBP吸収量が1
5〜80ml/100gのカーボンブラック、ピッチ及
びバインダーからなる出銑孔閉塞材が記載されている。
【0008】一方、特開2000−273351号公報
には、カーボンブラック及び黒鉛化促進物質を含む混合
物を2000〜2500℃で加熱処理する黒鉛化カーボ
ンブラックの製造方法が開示されている。ホウ素、ケイ
素、アルミニウム、鉄等の元素あるいはその化合物から
なる黒鉛化促進物質とともに加熱することで、従来28
00℃程度であったカーボンブラックの黒鉛化に必要な
温度を2000〜2500℃程度まで低下させることが
できるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】特開平5−30177
2号公報に記載されているように、炭素質原料として膨
張黒鉛を使用すると、その使用量が5重量%程度の低炭
素質の耐火物においても、鱗状黒鉛を同量使用した場合
に比べて良好な耐熱衝撃性が得られる。しかし、膨張黒
鉛は非常に嵩の高い原料であるため、5重量%程度の使
用量であっても、耐火物の充填性が低くなり、溶融物に
対する耐食性に劣る。また、耐火物使用中の炭素質原料
の酸化消失も大きな問題であった。
【0010】特開平11−322405号公報、特開2
000−86334号公報、特開平7−17773号公
報、特開平10−36177号公報及び特開2000−
192120号公報には、いずれも、炭素質原料として
カーボンブラックを使用する例が開示されている。しか
しながら、使用されるカーボンブラックは、比表面積が
24m/g以下のもの、粒子径の大きいストラクチャ
ーの発達していない球状のもの、DBP吸収量が100
ml/100g以下あるいは15〜80ml/100g
のものといったようなものである。すなわち、どちらか
といえばDBP吸収量の少ない、粒径の大きいカーボン
ブラックが好ましいとしているのである。しかしなが
ら、いずれの公報に記載のカーボンブラックの採用によ
っても耐熱衝撃性の改善は未だ十分ではなかった。
【0011】特開2000−273351号公報には、
カーボンブラック及びホウ素等の黒鉛化促進物質を加熱
処理して黒鉛化する方法が記載されているが、その用途
はリン酸型燃料電池の触媒用担体であり、かかる黒鉛化
したカーボンブラックが耐火物の原料として有用である
ことについては記載されていないし、何ら示唆されても
いない。
【0012】本発明の目的は、上記課題を解決するため
になされたものであり、耐食性、耐酸化性、耐熱衝撃性
に優れた耐火物、特に炭素含有量の少ない炭素含有耐火
物を提供することにある。かかる炭素含有量の少ない炭
素含有耐火物は溶鋼中へのカーボンピックアップが少な
く、容器からの熱放散が少なく有用である。また、本発
明の目的は、かかる耐火物を得るための耐火物原料組成
物を提供することにもある。さらに、本発明の他の目的
は、前記耐火物原料組成物の製造方法を提供することに
もある。
【0013】
【課題を解決するための手段】耐火物は5mm程度の粗
粒から1μm以下の微粉まで極めて多様な粒度の粒子か
ら構成され、比較的大きな粒子の隙間を埋めるマトリッ
クスと称される微粉の集合体が耐用性に大きい影響を与
える。マトリックス部分には多数の気孔や空隙が存在
し、それが耐火物の強度、スラグ等の溶融物の浸透性、
熱衝撃の緩和作用などに影響を与えている。
【0014】耐火物のマトリックスの粒度は一般に44
μm程度以下であるとされているが、本発明者は、10
μm以下、更には1μm以下、すなわちナノメータ・オ
ーダーの超微粒子の挙動が大きな影響を及ぼすことに着
目した。炭素含有耐火物においては、ほとんどの場合炭
素質原料は上記マトリックス部分に使用されるが、炭素
質原料のナノメータ・オーダーでの制御によって耐火物
全体の性能を制御すべく検討を行った。
【0015】本発明者は、炭素質原料をナノメータ・オ
ーダーで制御するに際して、気孔構造の制御という点に
注目して検討を行った。気孔量の削減は耐食性の向上に
繋がり、また気孔の形状(比表面積)制御や細分化は、
動弾性率の適正化や耐熱衝撃性向上に寄与し得る。この
ように気孔構造の制御によって耐熱衝撃性を改善し、さ
らに耐食性及び耐酸化性を改善することを目指したもの
である。
【0016】ナノメータ・オーダーの微粒子である炭素
質原料としては、カーボンブラックが知られており、こ
の粒度を制御することである程度の気孔構造の制御が可
能である。しかしながら、前述のように、DBP吸収量
の少ないカーボンブラックのみを使用したのでは耐熱衝
撃性が未だ不十分である。一方、DBP吸収量の多いカ
ーボンブラックのみを使用したのでは、後述の比較例で
も示されるように耐酸化性及び耐食性が不十分である。
本発明はかかる課題を解決する手法を鋭意検討した結果
到達したものである。
【0017】すなわち本発明は、カーボンブラック及び
カーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子か
ら選ばれるDBP吸収量(x)が80ml/100g以
上の炭素質粒子(A)、カーボンブラック及びカーボン
ブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子から選ばれ
るDBP吸収量(x)が80ml/100g未満の炭素
質粒子(B)、及び耐火骨材(C)からなる耐火物原料
組成物である。ここで、DBP吸収量(x)とは、JI
S K6217の9項「DBP吸収量」のA法に規定さ
れた方法によって測定した値(ml/100g)であ
る。
【0018】カーボンブラック及びカーボンブラックを
黒鉛化してなるグラファイト粒子から選ばれるDBP吸
収量が大きい炭素質粒子(A)を使用することで、耐火
物のマトリックス中において極めて微細な気孔構造を形
成することが可能となり、動弾性率を適正化し、耐熱衝
撃性を改善できる。動弾性率は耐熱衝撃性の指標となる
もので、これが小さいほど耐熱衝撃性が優れる。耐熱衝
撃性に優れる耐火物は実使用する際にスポーリング損傷
を抑制できる。しかしながら炭素質粒子(A)を使用す
るのみでは耐酸化性及び耐食性が不十分であり、DBP
吸収量が小さい炭素質粒子(B)を併用することでその
点を改善でき、結果として耐熱衝撃性、耐食性及び耐酸
化性に優れた耐火物が得られるものである。
【0019】このとき、耐火骨材(C)100重量部に
対する炭素質粒子(A)と炭素質粒子(B)の合計重量
が0.1〜10重量部であり、かつ炭素質粒子(A)と
炭素質粒子(B)の重量比率(A/B)が1/99〜9
9/1であることが好適である。また、炭素質粒子
(A)の平均一次粒子径が10〜50nmであり、炭素
質粒子(B)の平均一次粒子径が50〜500nmであ
ることも好適である。
【0020】炭素質粒子(A)のDBP吸収量(x)
と、炭素質粒子(A)の圧縮試料のDBP吸収量(y)
の比(x/y)が1.15以上であることが好適であ
る。ここで、圧縮試料のDBP吸収量(y)とは、JI
S K6217の10項「圧縮試料のDBP吸収量」に
規定された方法によって測定した値(ml/100g)
である。圧縮後のDBP吸収量が低下するような炭素質
粒子であるということは、炭素質粒子の構造が圧縮操作
によって変化するような構造であるということであり、
具体的には一次粒子が会合した会合体(アグリゲート)
を構成していることを示唆するものである。このような
炭素質粒子(A)を使用することで優れた耐熱衝撃性を
得ることができる。
【0021】炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)の
少なくとも一方が、カーボンブラックを黒鉛化してなる
グラファイト粒子であることが、耐酸化性、耐食性を改
善する点から好適であり、炭素質粒子(A)及び炭素質
粒子(B)のいずれもがカーボンブラックを黒鉛化して
なるグラファイト粒子であることがより好適である。グ
ラファイト粒子を使用することで、粒子自体の耐食性及
び耐酸化性が改善され、結果として、耐熱衝撃性、耐食
性及び耐酸化性に優れた耐火物が得られるものである。
【0022】炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)の
少なくとも一方が、カーボンブラックを黒鉛化してなる
グラファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、金
属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上
の元素を含有するものであることが、耐酸化性、耐食性
を改善する点からさらに好適であり、炭素質粒子(A)
及び炭素質粒子(B)のいずれもが、カーボンブラック
を黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該グラフ
ァイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少
なくとも1種以上の元素を含有するものであることが最
適である。グラファイト粒子にこのような炭素以外の元
素を含有させた、いわば「複合グラファイト粒子」とす
ることで、グラファイト粒子自体の酸化開始温度がさら
に高くなり、耐酸化性及び耐食性が改善され、ひいては
この複合グラファイト粒子を原料として得られる耐火物
の耐酸化性及び耐食性が改善されるからである。
【0023】低炭素含有量の耐火物の有用な用途を考慮
すれば、耐火骨材(C)がマグネシアからなる耐火物原
料組成物が好適である。また、本発明は、上記耐火物原
料組成物を成形してなる耐火物である。
【0024】上記耐火物原料組成物を製造するに際して
は、炭素質粒子(A)を有機バインダー中に予め分散さ
せてから、他の原料と混合することが、マトリックス中
での炭素質粒子(A)の分散性を改善でき、結果として
耐熱衝撃性、耐酸化性及び耐食性の改善された耐火物を
得ることができるので好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明は、カーボンブラック及び
カーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子か
ら選ばれるDBP吸収量(x)が80ml/100g以
上の炭素質粒子(A)と、カーボンブラック及びカーボ
ンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子から選ば
れるDBP吸収量(x)が80ml/100g未満の炭
素質粒子(B)との両方を含有する耐火物原料組成物で
ある。
【0026】カーボンブラックは、現在容易に入手可能
なナノメータ・オーダーの粒子サイズの炭素質微粒子で
あって、粒子径や会合状態、表面状態など、目的に合わ
せて各種の銘柄の入手が容易である。具体的には、ファ
ーネスブラック、チャネルブラック、アセチレンブラッ
ク、サーマルブラック、ランプブラック、ケッチェンブ
ラック等が挙げられる。カーボンブラックは通常平均一
次粒子径が500nm以下の炭素質粒子であり、それを
黒鉛化してなるグラファイト粒子もほぼ同程度の平均粒
子径を有している。このような微細な粒子サイズの炭素
質粒子を使用することで、耐火物のマトリックス中の気
孔構造を微細なものとすることができる。従来耐火物原
料として広く使用されていた鱗状黒鉛あるいは膨張黒鉛
はいずれも平均粒径が1μmを大きく超えるものであっ
て、マトリックス中の微細な気孔構造を発現することが
できなかったが、微細な炭素質粒子を使用することで微
細な気孔構造を実現できる。
【0027】DBP吸収量(x)が80ml/100g
以上の炭素質粒子(A)を使用することで、耐火物のマ
トリックス中において極めて微細な気孔構造を形成する
ことが可能となり、動弾性率を低くし、耐熱衝撃性を改
善できる。ここで、DBP吸収量(x)とは、JIS
K6217の9項「DBP吸収量」のA法に規定された
方法によって測定した値である。より好適には炭素質粒
子(A)のDBP吸収量は90ml/100g以上であ
り、さらに好適には100ml/100g以上である。
また通常、炭素質粒子(A)のDBP吸収量は1000
ml/100g以下である。
【0028】かかる炭素質粒子(A)の平均一次粒子径
は10〜50nmであることが好適である。50nm以
下であることで、耐火物のマトリックス中において極め
て微細な気孔構造を形成しやすくなる。より好適には4
5nm以下である。また取り扱いの容易さや耐酸化性、
耐食性の観点からは15nm以上であることが好適であ
り、20nm以上であることがより好適である。平均一
次粒子径は、電子顕微鏡観察によって計測が可能であ
る。この時例えば複数の一次粒子が会合した構造を有す
る粒子の場合には、それを構成する一次粒子が複数含ま
れているとして算出される。
【0029】さらに炭素質粒子(A)において、DBP
吸収量(x)と、圧縮試料のDBP吸収量(y)の比
(x/y)が1.15以上であることが好適である。こ
こで、圧縮試料のDBP吸収量(y)とは、JIS K
6217の10項「圧縮試料のDBP吸収量」に規定さ
れた方法によって測定した値であり、165MPaの圧
力での圧縮操作を4回繰り返した後のDBP吸収量であ
る。
【0030】カーボンブラックには、球状の単一粒子か
らなるものと、一次粒子が相互に会合して会合体(アグ
リゲート)を形成しているものとがある。図1にアグリ
ゲートを形成しているカーボンブラックの模式図を示
す。本発明の炭素質粒子(A)として好適に使用される
ものはアグリゲートを形成しているものである。DBP
吸収量(x)と、圧縮試料のDBP吸収量(y)の比
(x/y)が1.15以上であるということは、圧縮操
作によってカーボンブラックが一定以上の構造変化を起
こすということである。より具体的には圧縮された際に
変形あるいは破壊されるアグリゲートの割合が多く、そ
のためにDBP吸収量が一定割合以上減少するというこ
とである。比(x/y)はより好適には1.2以上であ
り、さらに好適には1.3以上である。また通常、比
(x/y)は2以下である。
【0031】前記比(x/y)が大きいということは、
耐火物として使用される際に、熱的にあるいは機械的に
応力を受けた際にもアグリゲートが変形あるいは破壊さ
れやすいということである。すなわち、耐火物としての
使用時にマトリックス中に応力が生じた際に、アグリゲ
ートの変形あるいは破壊によってエネルギーを吸収する
ことができるので、その応力を緩和できるのである。つ
まりマトリックス中で発生し進行している亀裂が、アグ
リゲートを形成しているカーボンブラックに到達したと
ころで、その進行を止めるということであり、耐火物と
して優れた耐熱衝撃性を有することになるのである。
【0032】さらに、例えば線状につながったアグリゲ
ートなどではそれ自体がマトリックスの補強材として働
くこともできるし、アグリゲートを通じた熱伝導も良好
になるから、この点からも耐熱衝撃性が改善される。し
かも多くの場合、平均一次粒子径が比較的小さいカーボ
ンブラックにおいて、このようなアグリゲートが形成さ
れていることが多いから、マトリックス中の気孔の微細
化も同時に果たせるのである。すなわち、ナノメータ・
オーダーでの極めて微細な気孔コントロールが可能とな
り、結果として耐熱衝撃性に優れた耐火物を与えるもの
である。このアグリゲートの形成による効果について
は、炭素質粒子(A)として、カーボンブラックのみな
らず、カーボンブラックを黒鉛化したものを用いた場合
でも同様である。
【0033】炭素質粒子(A)として使用可能なカーボ
ンブラックは特に限定されるものではない。具体的に好
適なものとしては、ファースト・エクストルーディング
・ファーネス・ブラック(FEF)、スーパー・アブレ
ーション・ファーネス・ブラック(SAF)及びハイ・
アブレーション・ファーネス・ブラック(HAF)が挙
げられる。炭素質粒子(A)として、カーボンブラック
を黒鉛化してなるグラファイト粒子を使用する場合に
は、上記カーボンブラックを原料として好適なグラファ
イト粒子を製造することができる。また炭素質粒子
(A)が複数の種類の炭素質粒子(A)の混合物であっ
ても良い。
【0034】しかしながら、上述のような炭素質粒子
(A)のみを耐火物原料組成物に配合したのでは、気孔
の微細化による耐熱衝撃性の改善は可能であるものの、
耐酸化性及び耐食性は低下する。そのため、本発明では
炭素質粒子(A)に加えて、炭素質粒子(B)を併せて
使用するものである。
【0035】カーボンブラック及びカーボンブラックを
黒鉛化してなるグラファイト粒子から選ばれるDBP吸
収量が80ml/100g未満の炭素質粒子(B)を上
記炭素質粒子(A)と併用することで、耐火物の充填密
度を高くすることができ、耐酸化性及び耐食性を改善す
ることができる。より好適には炭素質粒子(B)のDB
P吸収量は60ml/100g以下であり、さらに好適
には40ml/100g以下である。また通常炭素質粒
子(B)のDBP吸収量は10ml/100g以上であ
る。
【0036】かかる炭素質粒子(B)の平均一次粒子径
は50〜500nmであることが好適である。50nm
以上であることで、耐火物のマトリックス中において充
填性が良好になり、耐酸化性及び耐食性が改善される。
より好適には60nm以上である。また500nmを超
えるとマトリックス中の気孔の寸法が大きくなりすぎ、
耐熱衝撃性の低下が著しい。より好適には200nm以
下であり、さらに好適には100nm以下である。
【0037】このような炭素質粒子(B)は、炭素質粒
子(A)とは異なり、一次粒子が相互に会合してなるア
グリゲートの形成が少なく、多くの粒子が単一の球体か
らなることが充填性の観点から好適である。したがっ
て、DBP吸収量(x)と、圧縮試料のDBP吸収量
(y)の比(x/y)が1.15未満の炭素質粒子が好
適に使用される。より好適には比(x/y)は1.1以
下であり、さらに好適には1.05以下である。カーボ
ンブラックが相互に会合していない独立した真球のみか
らなり、圧縮によってその構造が全く破壊されない場合
には、理論的には比(x/y)は1である。しかしなが
ら、実際にはある程度の測定誤差を含みうることから、
測定値としての比(x/y)は通常0.9以上である。
このように高度に会合したアグリゲート構造を主体とす
る炭素質粒子(A)と、単一球体を主体とする炭素質粒
子(B)とを併せ使用することで、高い充填率を確保し
ながら極めて微細な気孔構造を発現させることができる
ものである。
【0038】炭素質粒子(B)として使用可能なカーボ
ンブラックは特に限定されるものではない。具体的に好
適なものとしては、ファイン・サーマル・ブラック(F
T)、ミディアム・サーマル・ブラック(MT)、セミ
・レインフォーシング・ファーネス・ブラック(SR
F)、ジェネラル・パーパス・ファーネス・ブラック
(GPF)が挙げられる。炭素質粒子(B)として、カ
ーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子を使
用する場合には、上記カーボンブラックを原料として好
適なグラファイト粒子を製造することができる。また炭
素質粒子(B)が複数の種類の炭素質粒子(B)の混合
物であっても良い。
【0039】炭素質粒子(A)と炭素質粒子(B)の重
量比率(A/B)は1/99〜99/1であることが好
適である。重量比率(A/B)が1/99未満である場
合には、耐熱衝撃性が不十分となる虞があり、99/1
を超える場合には耐食性あるいは耐酸化性が不十分にな
る場合がある。重量比率(A/B)はより好適には5/
95以上であり、さらに好適には10/90以上であ
る。また重量比率(A/B)はより好適には90/10
以下であり、さらに好適には70/30以下である。
【0040】炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)の
少なくとも一方が、カーボンブラックを黒鉛化してなる
グラファイト粒子であることが、耐酸化性、耐食性を改
善する点から好適である。カーボンブラックを黒鉛化す
ることで、グラファイトの結晶構造が発達し、酸化開始
温度が高くなり耐酸化性に優れるとともに耐食性にも優
れ、熱伝導率も高い材料とすることができる。
【0041】カーボンブラックを黒鉛化(グラファイト
化)する方法は特に限定されるものではないが、不活性
雰囲気下において高温で加熱して黒鉛化させることがで
きる。通常2000℃以上の温度で加熱することでカー
ボンブラックを黒鉛化することができる。
【0042】黒鉛化されることで、X線回折測定におい
て、結晶構造に由来するピークが観察されるようにな
る。そして、黒鉛化が進行するにしたがって、格子間距
離が短くなる。グラファイトの002回折線は黒鉛化の
進行とともに広角側にシフトするが、この回折線の回折
角2θが格子間距離(平均面間隔)に対応している。本
発明においては格子間距離dが3.47Å以下であるグ
ラファイトを使用することが好適である。格子間距離が
3.47Åを越える場合は、黒鉛化が不十分であり、耐
熱衝撃性、耐酸化性、耐食性が不十分となる場合があ
る。黒鉛化に際して、DBP吸収量、圧縮試料のDBP
吸収量及び平均一次粒子径は通常大きく変化しない。
【0043】本発明においては、炭素質粒子(A)がカ
ーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であ
ることが特に好適である。炭素質粒子(A)として使用
されるカーボンブラックの方が、炭素質粒子(B)とし
て使用されるカーボンブラックに比べて耐食性、耐酸化
性に劣るので、その欠点を黒鉛化することによって補う
ことができるからである。好適な実施態様は、炭素質粒
子(A)がカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファ
イト粒子であり、炭素質粒子(B)がカーボンブラック
である実施態様である。この場合、通常のカーボンブラ
ックと比べて、それを黒鉛化してなるグラファイト粒子
の方が高価であるので、炭素質粒子(A)の配合量を炭
素質粒子(B)の配合量よりも少なくすることが経済的
な面から好適である。
【0044】本発明のより好適な実施態様は、炭素質粒
子(A)及び炭素質粒子(B)のいずれもがカーボンブ
ラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子である実施態
様である。この場合、使用される炭素質粒子(A)及び
炭素質粒子(B)のいずれもがカーボンブラックよりも
耐食性、耐酸化性に優れたものとなるので、結果として
耐火物の耐食性、耐酸化性が一段と改善される。
【0045】また、炭素質粒子(A)及び炭素質粒子
(B)の少なくとも一方が、カーボンブラックを黒鉛化
してなるグラファイト粒子であって、該グラファイト粒
子が、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも
1種以上の元素を含有するものであることが好適であ
る。カーボンブラックを単に黒鉛化するのみでなく、グ
ラファイト粒子に金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる
少なくとも1種以上の元素を含有させることにより、さ
らに耐酸化性、耐食性を改善できる。グラファイト粒子
にこのような炭素以外の元素を含有させた、いわば「複
合グラファイト粒子」とすることで、グラファイト粒子
自体の酸化開始温度がさらに高くなり、耐酸化性及び耐
食性が改善され、ひいてはこの複合グラファイト粒子を
原料として得られる耐火物の耐酸化性及び耐食性が改善
できるものである。
【0046】ここで、グラファイト粒子が含有する、金
属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上
の元素の具体例としては、マグネシウム、アルミニウ
ム、カルシウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケ
ル、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、
モリブデン、タングステン、ホウ素及びケイ素の各元素
が挙げられる。なかでも、耐火物の耐酸化性及び耐食性
の改善のために好ましいものとして、ホウ素、チタン、
ケイ素、ジルコニウム及びニッケルが挙げられ、ホウ素
及びチタンが最適である。
【0047】グラファイト粒子中での各元素の存在の仕
方は特に限定されるものではなく、粒子内部に含有され
ていても良いし、粒子表面を覆うような形で含まれてい
ても良い。また各元素は、その酸化物、窒化物、ホウ化
物あるいは炭化物として含まれることができるが、好適
には酸化物、窒化物、ホウ化物あるいは炭化物のような
化合物として含有される。より好適には炭化物あるいは
酸化物として含有される。炭化物としてはBCやTi
Cが例示され、酸化物としてはAlが例示され
る。
【0048】炭化物はグラファイト粒子の中で、適宜グ
ラファイトを構成する炭素原子と結合するような形で含
まれている。しかしながら、全量がこのような炭化物に
なったのでは、グラファイトとしての性能が発揮されず
好ましくないので、グラファイトの結晶構造を有してい
ることが必要である。このようなグラファイト粒子の状
態はX線回折によって分析可能である。例えば、グラフ
ァイトの結晶に対応するピークの他に、例えばTiCあ
るいはBCといった化合物の結晶に対応するピークが
観察される。
【0049】金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少な
くとも1種以上の元素をグラファイト粒子に含有させる
方法は特に限定されるものではないが、カーボンブラッ
クと、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも
1種以上の元素の単体又は該元素を含有する化合物とを
加熱して得られるものであることが好適である。加熱に
よって、黒鉛化が進行すると同時にグラファイト構造の
中に上記元素が含有されるようになるのである。
【0050】このとき、カーボンブラックと、金属、ホ
ウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素
の単体とを加熱して得られるものであることがより好適
である。元素単体と加熱することで燃焼合成による炭化
物生成時の発熱を利用して反応を進めることができるか
らである。具体的にはアルミニウム、カルシウム、チタ
ン、ジルコニウム、ホウ素、ケイ素とともに加熱するこ
とが好ましい。この反応熱を用いて自己燃焼合成方法に
より合成が可能だからである。自己の反応熱を利用でき
るために、炉内の温度を、カーボンブラック単独を黒鉛
化する場合に比べて低くすることができる。2000度
を超える炉温を維持することは、装置的にも費用的にも
問題が多いから、この点は重要である。
【0051】例えば、ホウ素と炭素との燃焼合成の反応
式、及びチタンと炭素との燃焼合成の反応式はそれぞれ
以下の式のとおりである。 4B+xC→BC+(x−1)C Ti+xC→TiC+(x−1)C これらの反応はいずれも発熱反応であり、自己燃焼合成
が可能である。
【0052】金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少な
くとも1種以上の元素をグラファイト粒子に含有させる
方法として、カーボンブラックと、金属、ホウ素及びケ
イ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素のアルコラ
ートとを加熱することも燃焼合成による発熱が利用でき
て好ましい。単体であると発火しやすく危険な元素の場
合にアルコラートとすることで取り扱いを容易にでき、
粉塵爆発等の危険性が少なくなるからである。
【0053】ここでいうアルコラートはアルコールの水
酸基の水素を金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少な
くとも1種以上の元素で置換したものであり、M(O
R)で表されるものである。ここでMとしては1〜4
価、好適には2〜4価の元素が使用されるが、好ましい
元素としてマグネシウム、アルミニウム、チタン、ジル
コニウム、ホウ素、ケイ素が例示される。nは元素Mの
価数に対応し、1〜4の整数、好適には2〜4の整数で
ある。またRは有機基であれば特に限定されないが、好
適には炭素数1〜10のアルキル基であり、メチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基
等を例示できる。これらのアルコラートの一種類のみを
用いても良いし、複数種のアルコラートを併用しても良
い。また、元素単体や酸化物等とアルコラートを併せて
用いても良い。
【0054】また、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれ
る少なくとも1種以上の元素をグラファイト粒子に含有
させる方法として、カーボンブラックと、金属、ホウ素
及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素の酸
化物と、該酸化物を還元する金属とを加熱することも燃
焼合成による発熱が利用できて好ましい。このような組
み合わせによって、金属が酸化物を還元し、酸化物を構
成していた元素をグラファイトに含有させることができ
る。例えば、カーボンブラック、アルミニウム及び酸化
ホウ素を加熱すると、まず酸化ホウ素がアルミニウムに
よって還元されてホウ素単体となり、これがカーボンブ
ラックと反応して、炭化ホウ素が得られる。化学式で示
すと以下のとおりである。 4Al+2B+xC→2Al+BC+
(x−1)C また、カーボンブラック、アルミニウム及び酸化チタン
とを反応させた場合の化学式は次のとおりである。 4Al+3TiO+xC→2Al+3TiC+
(x−3)C これらの反応も発熱反応であり、燃焼合成が可能であ
り、炉内の温度をそれほど高温にしなくても黒鉛化が可
能である。
【0055】さらに、カーボンブラックと、金属、ホウ
素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素の
単体又は該元素を含有する化合物とを加熱して得られた
グラファイト粒子を、さらに酸化処理することも好適で
ある。酸化処理をすることで、主にグラファイト粒子の
表面に酸化物の被膜を形成することができるので、一層
耐酸化性に優れるものである。
【0056】酸化させる方法は特に限定されず、酸化可
能な高温のガスで処理する方法などが挙げられる。具体
的には、空気と燃料を燃焼させた熱ガスを一定時間、グ
ラファイト粒子と反応させる、いわゆる熱ガス法などを
挙げることができる。このとき、ガスとの接触時間が長
すぎるとグラファイト全体が酸化されてしまうので、一
部のみを酸化できるような条件設定とすることが必要で
ある。
【0057】以上説明したように、炭素質粒子として、
カーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子で
あって、該グラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ
素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有するも
のを使用することで、単に黒鉛化してなるグラファイト
粒子を使用するよりもさらに耐食性、耐酸化性を改善す
ることができる。このとき、炭素質粒子(A)がカーボ
ンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であっ
て、該グラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素か
ら選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有するもので
あることが好適である。炭素質粒子(A)の方が、炭素
質粒子(B)に比べて耐食性、耐酸化性に劣るので、そ
の欠点を補うことができるからである。
【0058】この場合の好適な実施態様の一つは、炭素
質粒子(A)がカーボンブラックを黒鉛化してなるグラ
ファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、金属、
ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元
素を含有するものであり、炭素質粒子(B)が黒鉛化し
ていないカーボンブラックである実施態様である。この
場合、通常のカーボンブラックと比べて、それを黒鉛化
して金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1
種以上の元素を含有させてなるグラファイト粒子の方が
高価であるので、炭素質粒子(A)の配合量を炭素質粒
子(B)の配合量よりも少なくすることが好適である。
【0059】また好適な実施態様の別の一つは、炭素質
粒子(A)がカーボンブラックを黒鉛化してなるグラフ
ァイト粒子であって、該グラファイト粒子が、金属、ホ
ウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素
を含有するものであり、炭素質粒子(B)がカーボンブ
ラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該
グラファイト粒子が、前記元素を含有していないもので
ある実施態様である。グラファイト粒子同士で比較した
場合においても炭素質粒子(A)の方が、炭素質粒子
(B)に比べて耐食性、耐酸化性に劣るので、その欠点
を金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種
以上の元素を含有させることによって補うことができる
からである。
【0060】本発明の最適な実施態様は、炭素質粒子
(A)及び炭素質粒子(B)のいずれもがカーボンブラ
ックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該グ
ラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれ
る少なくとも1種以上の元素を含有するものである実施
態様である。この場合、使用される炭素質粒子(A)及
び炭素質粒子(B)の双方が特に耐食性、耐酸化性に優
れたものとなるので、結果として耐火物の耐食性、耐酸
化性が極めて優れたものとなる。
【0061】以上説明した炭素質粒子(A)及び炭素質
粒子(B)に他の成分を配合して、本発明の耐火物原料
組成物とする。具体的には、炭素質粒子(A)、炭素質
粒子(B)及び耐火骨材(C)からなる耐火物原料組成
物とする。
【0062】本発明のグラファイト粒子と混合される耐
火骨材は特に限定されるものではなく、耐火物としての
用途、要求性能に基づいてさまざまなものを用いること
ができる。マグネシア、カルシア、アルミナ、スピネ
ル、ジルコニア等の耐火性酸化物、炭化ケイ素、炭化ホ
ウ素等の炭化物、ホウ化カルシウム、ホウ化クロム等の
ホウ化物、窒化物等を耐火骨材として用いることができ
る。なかでも、低炭素質であることの有用性を考慮すれ
ば、マグネシア、アルミナ及びスピネルが好適であり、
マグネシアが最適である。マグネシアとしては、電融あ
るいは焼結マグネシアクリンカーが挙げられる。これら
の耐火骨材は、粒度調整された上で配合される。
【0063】このとき、耐火骨材100重量部に対する
炭素質粒子(A)と炭素質粒子(B)の合計重量が0.
1〜10重量部である耐火物原料組成物が好適である。
炭素質粒子(A)と炭素質粒子(B)の合計重量が0.
1重量部未満の場合には、炭素質粒子(A)及び炭素質
粒子(B)を添加する効果がほとんど認められず、耐熱
衝撃性が不足する場合が多い。好適には0.5重量部、
より好適には1重量部以上である。一方、炭素質粒子
(A)と炭素質粒子(B)の合計重量が10重量部を超
える場合には、カーボンピックアップが激しくなるし、
容器からの熱放散も著しくなるとともに、耐食性が低下
してくる。好適には5重量%以下である。
【0064】さらに、本発明の耐火物原料組成物に使用
する結合剤としては、通常の有機バインダーあるいは無
機バインダーを使用することができる。耐火性の高い結
合剤としては、フェノール樹脂あるいはピッチ等を主成
分とする有機バインダーの使用が好適であり、耐火物原
料の濡れ性や、高残炭性の点からフェノール樹脂を主成
分とするものがより好適である。有機バインダーは溶媒
を含有していても良く、溶媒を含有することで配合する
際に適当な粘度にすることができる。かかる有機バイン
ダーの含有量は特に限定されないが、耐火骨材100重
量部に対して0.5〜10重量部が好適であり、1〜5
重量部がより好適である。
【0065】結合剤を本発明の耐火物原料組成物に配合
する方法は特に限定されるものではないが、炭素質粒子
(A)を有機バインダー中に予め分散させてから他の原
料と混合する方法が好適である。炭素質粒子(A)は平
均一次粒子径が小さくアグリゲートを形成していること
が多いために、他の原料と配合する際に凝集体を形成し
やすいが、予め有機バインダーとともに攪拌して有機バ
インダー中に分散させてから耐火骨材(C)等の他の原
料と配合することによって、炭素質粒子(A)をマトリ
ックス中で良好に分散させることができる。
【0066】炭素質粒子(A)と炭素質粒子(B)の双
方を有機バインダー中に予め分散させてから他の原料と
混合しても良いが、これでは炭素質粒子(A)と炭素質
粒子(B)の合計重量に対する有機バインダー量が少な
い場合が多く、予め良好に分散させることができないこ
とがある。そのため、より分散させることが困難な炭素
質粒子(A)のみを有機バインダー中に予め分散させて
から、炭素質粒子(B)及び耐火骨材(C)に配合する
方が、炭素質粒子(A)をマトリックス中に良好に分散
できて好ましい。
【0067】本発明の耐火物原料組成物は、炭素質原料
として炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)を使用す
るものであるが、さらに他の炭素質原料を併用しても構
わない。例えば、鱗状黒鉛、膨張黒鉛等の他のグラファ
イト成分と混合使用しても良いし、ピッチやコークス等
と混合使用しても良い。
【0068】また、本発明の耐火物原料組成物は、本発
明の趣旨を阻害しない範囲内で上記以外の成分を含有し
ていてもかまわない。例えば、アルミニウム、マグネシ
ウム等の金属粉末、合金粉末やケイ素粉末などを含有し
ていても良い。また、混練に際して、適量の水あるいは
溶剤を加えても構わない。
【0069】こうして得られた耐火物原料組成物を混練
し、成形し、必要に応じて加熱することによって本発明
の耐火物が得られる。ここで、加熱する場合には、高温
で焼成しても構わないが、例えばマグネシアれんがなど
の場合には、通常400度以下の温度でベーキングする
のみである。
【0070】いわゆる不定形耐火物は、不定形状態にあ
る場合には本発明の耐火物原料組成物に含まれる。ま
た、不定形耐火物の形態が一定のものとなった場合に
は、本発明の成形してなる耐火物に含まれるものであ
る。例えば炉壁に吹き付けられた形状であっても、一定
の形態を有しているから本発明の成形してなる耐火物に
含まれる。
【0071】こうして得られた耐火物は、耐食性、耐酸
化性及び耐熱衝撃性に優れているので、高品質の冶金製
品を得るための炉材として極めて有用である。
【0072】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を説明する。実
施例中、各種の分析方法、評価方法は以下の方法に従っ
て行った。
【0073】(1)平均一次粒子径の観察方法 透過型電子顕微鏡を用いて、100000倍の倍率で試
料を撮影した。得られた写真から、直径の数平均値を得
た。このとき、試料の粒子が会合している場合には、そ
れらを別個の粒子であると考えて、平均一次粒子径を得
た。
【0074】(2)グラファイト格子間距離の算出方法 対象となるグラファイト粉末を粉末X線回折装置を用い
て測定した。測定波長λは、銅のKα線の波長である
1.5418Åである。X線回折測定で得られた結晶ピ
ークのうち、2θの値が26°付近にある大きなピーク
が、グラファイトの002面に相当するピークである。
これから、グラファイトの格子間距離d(Å)を、以下
の式によって算出した。 d=λ/2sinθ
【0075】(3)1400℃加熱処理後の見掛け気孔
率及びかさ比重 50×50×50mmに切断した試料を電気炉内のコー
クス中に埋めて、一酸化炭素雰囲気下、1400℃で5
時間加熱処理した。処理後の試料を室温まで放冷した
後、JIS R2205に準拠して見掛け気孔率及びか
さ比重を測定した。
【0076】(4)動弾性率 110×40×40mmの試料を電気炉内のコークス中
に埋めて、一酸化炭素雰囲気下、1000℃又は140
0℃で5時間加熱処理した。処理後の試料を室温まで放
冷した後、ウルトラソニースコープを用いて、超音波伝
播時間を測定し、下記式に基づいて動弾性率Eを求め
た。 E=(L/t)・ρ ここで、Lは超音波伝播距離(試料の長さ)(mm)、
tは超音波伝播時間(μsec)、ρは試料のかさ比重
である。
【0077】(5)耐酸化試験 40×40×40mmの試料を電気炉(大気)中で14
00℃、10時間保持した後、切断し、切断面において
下側を除く3面での脱炭層の厚さを測定し、その平均値
を算出した。
【0078】(6)耐食性試験 110×60×40mmの試料を、回転侵食試験装置に
取り付け、1700〜1750℃に保った塩基度(Ca
O/SiO)=1のスラグ中に1時間保持する工程を
5回繰り返す試験を行い、試験後の切断面において溶損
寸法を測定した。
【0079】[合成例1]炭素質粒子bの合成 カーボンブラック原料として、新日化カーボン株式会社
製「ニテロン#10改」を使用した。当該カーボンブラ
ックは、ファースト・エクストルーディング・ファーネ
ス・ブラック(FEF)という種類のカーボンブラック
で、平均一次粒子径が41nm、DBP吸収量(x)が
126ml/100g、圧縮試料のDBP吸収量が89
ml/100gのものであり、本実施例で使用した炭素
質粒子aである。これをカーボン炉(富士電波工業株式
会社製、FVS−200/200/200、FRET−
50)中で、アルゴンガス雰囲気下、2100℃で3時
間加熱処理して黒鉛化させて炭素質粒子bを得た。得ら
れた粒子のX線回折測定を行ったところ、グラファイト
構造に由来するピークが観察されて、グラファイト粒子
が生成していることが判明した。グラファイトの002
面間隔に相当する回折線から算出される格子間距離は
3.40Åであった。この粒子の平均一次粒子径は38
nm、DBP吸収量(x)が118ml/100g、圧
縮試料のDBP吸収量が85ml/100gであった。
【0080】[合成例2]炭素質粒子cの合成 カーボンブラック「ニテロン#10改」とホウ素粉末と
を、炭素元素とホウ素元素のモル比が10:4となるよ
うに混合し、シリカ製ルツボに入れ、ルツボ上面にグラ
ファイトシートを載せて、その両端に電極を接続した。
電極に通電してグラファイトシートを発熱させ、上記混
合物に着火させ、炭化物が生成する際の反応熱を利用し
た自己燃焼合成法によって炭素質粒子cを得た。得られ
た粒子のX線回折測定を行ったところ、グラファイト構
造に由来するピークが観察されて、グラファイト粒子が
生成していることが判明した。グラファイトの002面
間隔に相当する回折線から算出される格子間距離は3.
38Åであった。また、B Cの021回折線に由来す
る2θ=37.8°のピークも認められた。X線回折の
チャートを図2に示す。この粒子の平均一次粒子径は4
0nm、DBP吸収量(x)が120ml/100g、
圧縮試料のDBP吸収量が86ml/100gであっ
た。
【0081】[合成例3]炭素質粒子eの合成 原料のカーボンブラックを変更した以外は合成例1と同
様にして炭素質粒子eを合成した。原料のカーボンブラ
ックは新日化カーボン株式会社製「HTC#20」を使
用した。当該カーボンブラックは、ファイン・サーマル
・ブラック(FT)という種類のカーボンブラックで、
平均一次粒子径が82nm、DBP吸収量(x)が29
ml/100g、圧縮試料のDBP吸収量が30ml/
100gのものであり、本実施例で使用した炭素質粒子
dである。得られた粒子のX線回折測定を行ったとこ
ろ、グラファイト構造に由来するピークが観察されて、
グラファイト粒子が生成していることが判明した。グラ
ファイトの002面間隔に相当する回折線から算出され
る格子間距離は3.42Åであった。この粒子の平均一
次粒子径は70nm、DBP吸収量(x)が28ml/
100g、圧縮試料のDBP吸収量が28ml/100
gであった。
【0082】[合成例4]炭素質粒子fの合成 カーボンブラック「HTC#20」とアルミニウム粉末
と酸化チタン粉末とを炭素元素とアルミニウム元素とチ
タン元素のモル比が10:4:3となるように混合した
以外は合成例2と同様にして炭素質粒子fを得た。得ら
れた粒子のX線回折測定を行ったところ、グラファイト
構造に由来するピークが観察されて、グラファイト粒子
が生成していることが判明した。グラファイトの002
面間隔に相当する回折線から算出される格子間距離は
3.42Åであった。また、Alの113回折線
に由来する2θ=43.4°のピーク、及びTiCの2
00回折線に由来する2θ=41.5°のピークも認め
られた。この粒子の平均一次粒子径は70nm、DBP
吸収量(x)が30ml/100g、圧縮試料のDBP
吸収量が29ml/100gであった。
【0083】以上、合成例1〜4で得られた炭素質粒子
b、c、e及びf、並びに合成例1〜4で使用した原料
カーボンブラックである炭素質粒子a、dについて、そ
の原料、処理方法、DBP吸収量(x)、圧縮試料のD
BP吸収量(y)、比(x/y)及び平均粒径について
表1にまとめて記載した。
【0084】
【表1】
【0085】[実施例1]耐火骨材(C)として粒度調
製された純度98%の電融マグネシア100重量部、炭
素質粒子(A)としてカーボンブラック「ニテロン#1
0改」(炭素質粒子a)0.5重量部、炭素質粒子
(B)としてカーボンブラック「HTC#20」(炭素
質粒子d)1.5重量部、フェノール樹脂(溶媒を含有
するノボラックタイプのフェノール樹脂に対し、硬化剤
を添加したもの)3重量部を混合し、ニーダーで混練し
てからフリクションプレスで成形した後、250℃で8
時間ベーキングして耐火物を得た。得られた耐火物を評
価した結果1400℃加熱処理後の見掛け気孔率は8.
8%、かさ比重は3.10であった。また、1000℃
で加熱処理した後の動弾性率は11.3GPaであり、
1400℃で加熱処理した後の動弾性率は12.7GP
aであった。また脱炭層厚さは7.7mmであり、溶損
寸法は10.8mmであった。
【0086】[実施例2〜10、比較例1〜5]配合す
る原料を表2及び表3に記載したとおり変更する他は実
施例1と同様にして、耐火物を作成し、評価した。その
結果を表2及び表3にまとめて示す。
【0087】[実施例11]原料は実施例2と同じ物を
同じ量だけ使用しその混合方法のみを変更して試験を行
った。まずカーボンブラック「ニテロン#10改」(炭
素質粒子a)0.2重量部と実施例1で使用したのと同
じフェノール樹脂3重量部とを、株式会社ダルトン製の
万能混合攪拌機へ投入して混合した。得られた混合物
を、カーボンブラック「HTC#20」(炭素質粒子
d)1.8重量部及び実施例1で使用したのと同じ電融
マグネシア100重量部と混合し、ニーダーで混練して
からフリクションプレスで成形した後、250℃で8時
間ベーキングして耐火物を得た。得られた耐火物を評価
した結果を表2及び表3にまとめて示す。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】実施例1〜4では、DBP吸収量が80m
l/100g以上のカーボンブラック[炭素質粒子
(A)]と、DBP吸収量が80ml/100g未満の
カーボンブラック[炭素質粒子(B)]の両方を使用、
配合している。その結果、低い動弾性率を示し良好な耐
熱衝撃性を有している。また、脱炭層厚さも小さく良好
な耐酸化性を示すとともに、溶損寸法も小さく良好な耐
溶性を示している。これに対し、DBP吸収量が80m
l/100g以上のカーボンブラック[炭素質粒子
(A)]のみを使用した比較例1では、脱炭層厚さが大
きく耐酸化性に劣るとともに、溶損寸法も大きく耐溶性
にも劣る。またDBP吸収量が80ml/100g未満
のカーボンブラック[炭素質粒子(B)]のみを使用し
た比較例2では、動弾性率が高く耐熱衝撃性に劣る。
【0091】炭素質粒子(B)のみを使用する比較例2
に対し、炭素質粒子(A)を、(A)と(B)の合計量
に対して10/100量(実施例2)、25/100量
(実施例1)、あるいは50/100量(実施例3)配
合するに従い、動弾性率が大きく低下してゆく。例えば
実施例2では10/100量の少量の炭素質粒子(A)
を配合するのみで、動弾性率が1000℃熱処理後で1
7.4GPaから13.6GPaへ、1400℃熱処理
後で19.2GPaから15.7GPaへと大きく改善
されている。このとき驚くべきことにこれら実施例1〜
3では脱炭層厚さ、溶損寸法ともに炭素質粒子(B)を
単独使用した比較例2に比べてむしろ小さい値をとって
おり、耐熱衝撃性が大幅に改善されるのみならず、耐酸
化性、耐溶性にも優れている。
【0092】一方炭素質粒子(A)のみを使用する比較
例1に対し、炭素質粒子(B)を、(A)と(B)の合
計量に対して10/100量加えた実施例4では、比較
例1に比べて、動弾性率が大きく改善されていながら、
耐酸化性、耐溶性は比較例1とほぼ同程度である。すな
わち、炭素質粒子(B)のみを使用するのに比べて、少
量の炭素質粒子(A)を配合することで耐熱衝撃性、耐
酸化性、耐溶性に優れた耐火物を得ることができる。
【0093】炭素質粒子を配合しない比較例3では、耐
熱衝撃性が大きく劣るとともに、耐酸化性、耐食性も不
良である。また、炭素質原料として鱗状黒鉛(比較例
4)あるいは膨張黒鉛(比較例5)を用いた場合には、
実施例1〜4のカーボンブラックの使用量である2重量
部よりも多い5重量部を配合しても、なお耐熱衝撃性が
実施例1〜4より劣る。このとき耐酸化性、耐溶性も実
施例1〜4より劣る。
【0094】炭素質粒子(A)としてカーボンブラック
を黒鉛化してなるグラファイト粒子を使用した場合(実
施例5)、炭素質粒子(A)、(B)ともにカーボンブ
ラックを使用する場合(実施例1)に比べて耐酸化性、
耐食性が改善される。さらに炭素質粒子(A)として、
カーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子で
あって、該グラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ
素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有するも
のを使用した場合(実施例7)、さらに耐酸化性、耐食
性が改善される。
【0095】炭素質粒子(A)、(B)ともにカーボン
ブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子を使用した
場合(実施例6)、実施例5よりもさらに耐酸化性、耐
食性が改善される。その上で炭素質粒子(A)をカーボ
ンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であっ
て、該グラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素か
ら選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有するものと
すること(実施例8)でさらに耐酸化性、耐食性が改善
され、炭素質粒子(A)、(B)ともにカーボンブラッ
クを黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該グラ
ファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる
少なくとも1種以上の元素を含有するものとすること
(実施例9)で耐酸化性、耐食性が最善の結果を与え
る。
【0096】また、実施例11は実施例2と同じ原料を
同じ配合比で混合したものであるが、炭素質粒子(A)
を有機バインダー中に予め分散させてから、他の原料と
混合しているものである。こうすることによって、炭素
質粒子(A)のマトリックス中での分散性が向上し、結
果として耐熱衝撃性、耐酸化性、耐食性のいずれもが同
時に全てを配合する実施例2と比較して改善されてい
る。
【0097】
【発明の効果】本発明によって、耐食性、耐酸化性、耐
熱衝撃性に優れた耐火物、特に炭素含有量の少ない炭素
含有耐火物を提供することができる。かかる炭素含有量
の少ない炭素含有耐火物は溶鋼中へのカーボンピックア
ップが少なく、容器からの熱放散が少なく有用である。
また、本発明によって、かかる耐火物を得るための耐火
物原料組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アグリゲートを形成しているカーボンブラック
の模式図である。
【図2】炭素質粒子cのX線回折チャートである。
【符号の説明】
1 一次粒子 2 アグリゲートを形成しているカーボンブラック
フロントページの続き Fターム(参考) 4G030 AA07 AA60 AA61 AA64 AA67 BA23 BA28 BA32 BA33 GA01 GA14 4K013 CF19

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カーボンブラック及びカーボンブラック
    を黒鉛化してなるグラファイト粒子から選ばれるDBP
    吸収量(x)が80ml/100g以上の炭素質粒子
    (A)、カーボンブラック及びカーボンブラックを黒鉛
    化してなるグラファイト粒子から選ばれるDBP吸収量
    (x)が80ml/100g未満の炭素質粒子(B)、
    及び耐火骨材(C)からなる耐火物原料組成物。
  2. 【請求項2】 耐火骨材(C)100重量部に対する炭
    素質粒子(A)と炭素質粒子(B)の合計重量が0.1
    〜10重量部であり、かつ炭素質粒子(A)と炭素質粒
    子(B)の重量比率(A/B)が1/99〜99/1で
    ある請求項1記載の耐火物原料組成物。
  3. 【請求項3】 炭素質粒子(A)の平均一次粒子径が1
    0〜50nmであり、炭素質粒子(B)の平均一次粒子
    径が50〜500nmである請求項1又は2に記載の耐
    火物原料組成物。
  4. 【請求項4】 炭素質粒子(A)のDBP吸収量(x)
    と、炭素質粒子(A)の圧縮試料のDBP吸収量(y)
    の比(x/y)が1.15以上である請求項1〜3のい
    ずれかに記載の耐火物原料組成物。
  5. 【請求項5】 炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)
    の少なくとも一方が、カーボンブラックを黒鉛化してな
    るグラファイト粒子である請求項1〜4のいずれかに記
    載の耐火物原料組成物。
  6. 【請求項6】 炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)
    のいずれもがカーボンブラックを黒鉛化してなるグラフ
    ァイト粒子である請求項1〜4のいずれかに記載の耐火
    物原料組成物。
  7. 【請求項7】 炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)
    の少なくとも一方が、カーボンブラックを黒鉛化してな
    るグラファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、
    金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以
    上の元素を含有するものである請求項1〜6のいずれか
    に記載の耐火物原料。
  8. 【請求項8】 炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)
    のいずれもが、カーボンブラックを黒鉛化してなるグラ
    ファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、金属、
    ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元
    素を含有するものである請求項1〜6のいずれかに記載
    の耐火物原料。
  9. 【請求項9】 耐火骨材(C)がマグネシアからなる請
    求項1〜8のいずれかに記載の耐火物原料組成物。
  10. 【請求項10】 炭素質粒子(A)を有機バインダー中
    に予め分散させてから、他の原料と混合する、請求項1
    〜9のいずれかに記載の耐火物原料組成物の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜9のいずれかに記載の耐火
    物原料組成物を成形してなる耐火物。
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