JP3971899B2 - 耐火物原料組成物、その製造方法及びそれを成形してなる耐火物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素質粒子及び耐火骨材からなる耐火物原料組成物に関する。特にカーボンブラック及びカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子から選ばれる特定の炭素質粒子を、複数種類配合してなる耐火物原料組成物に関する。また、当該耐火物原料組成物を成形してなる耐火物、特に耐熱衝撃性、耐食性及び耐酸化性に優れた、精錬用容器の内張りとして好適な耐火物に関する。さらに、当該耐火物原料組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素は、スラグ等の溶融物に濡れにくい性質を有していることから、炭素を含有する耐火物は優れた耐用を有している。そのため、近年各種の溶融金属容器の内張り耐火物として広く使用されている。例えば、耐火骨材としてマグネシアを用いた場合には、上記炭素の有する特性とマグネシアの有する溶融物に対する耐食性とにより、溶融金属容器の内張り耐火物として優れた耐用を発現する。
【0003】
しかしながら、炭素含有耐火物の使用が拡大するにしたがって、耐火物中の炭素の溶鋼中への溶出、いわゆるカーボンピックアップが問題となってきている。特に近年では鋼の高品質化の要求が一段と厳しく、より炭素含有量の少ない耐火物への要求が高まってきている。一方、容器からの熱放散の抑制や省エネルギー等の環境保護的な面から低熱伝導性の耐火物を使用することが望まれており、この点からも低炭素含有量の耐火物が求められている。
【0004】
従来、炭素含有耐火物に使用される炭素質原料として、鱗状黒鉛、ピッチ、コークス、メソカーボン等が主に使用されていた。低炭素含有量の耐火物を得るために、これらの炭素質原料の使用量を単純に減らしたのでは、耐熱衝撃性が低下するという問題が生じていた。この問題を解決するために、特開平5−301772号公報には、炭素質原料として膨張黒鉛を使用した耐火物が提案されている。その実施例には、焼結マグネシアを95重量部、膨張黒鉛を5重量部及びフェノール樹脂3重量部からなる耐火物原料組成物を混練、プレス成形した後300℃で10時間加熱処理して得られたマグネシア・カーボンれんがが記載されており、等量の鱗状黒鉛を用いた場合に比べて、耐スポーリング性が改善されることが記載されている。
【0005】
特開平11−322405号公報には、耐火性原料と炭素を含有する炭素質原料とを含む原料配合物において、該原料配合物の熱間残留分100重量%に対して前記炭素質原料の固定炭素分が0.2〜5重量%であって、前記炭素質原料の少なくとも一部にカーボンブラックを使用したことを特徴とする低カーボン質の炭素含有耐火物(請求項5)が開示されている。当該公報ではカーボンブラックは0.1μm前後という小さい粒子径を有しているため、耐火物組織中への分散度が顕著に高くなり、骨材粒子表面を微細なカーボン粒子で被覆することができ、高温においても長期にわたって骨材粒子同士の接触を遮断して、過焼結を抑制できると説明している。実施例には、マグネシア50重量部とアルミナ50重量部とからなる耐火骨材に、フェノール樹脂2.5重量部、ピッチ1重量部及びカーボンブラック(サーマル)1重量部を配合してなる原料配合物を成形し、120〜400℃でベーキングして得られた耐火物が記載されており、耐スポーリング性及び耐酸化損傷抵抗性に優れることが示されている。
【0006】
特開2000−86334号公報には、耐火性骨材と金属からなる配合物に、比表面積が24m2/g以下のカーボンブラックを外掛けで0.1〜10重量%添加し、さらに有機バインダーを添加し、混練、成形後、150〜1000℃の温度で加熱処理を施したスライディングノズル装置用れんがが記載されている。粒子径が80〜500nmと大きく、球状の形状を有する特定のカーボンブラック(サーマル級あるいはサーマルブラック種)を配合することで、充填性が良好になり、れんが組織が緻密化して気孔率が低下するとされ、使用されるカーボンブラック自体が耐酸化性に優れることも併せて、耐酸化性に優れた耐火物が得られるというものである。実施例には、アルミナ97重量部、アルミニウム3重量部、フェノール樹脂3重量部、ケイ素樹脂3重量部及びカーボンブラック3重量部を配合してなる配合物を成形し、500度以下の温度で加熱してなる耐火物が記載されており、耐酸化性に優れていることが示されている。
【0007】
特開平7−17773号公報には、径が0.02〜0.50μm程度の粒子径が大きくストラクチャーの発達していない球状カーボンブラックを耐火骨材に0.1〜3重量%添加した不定形耐火物が記載されている。また特開平10−36177号公報にはDBP吸収量100ml/100g以下のカーボンブラックを2〜15重量%と、一定量の炭素質原料、炭化ケイ素、窒化ケイ素、耐火原料及び炭素含有結合材を含有する高炉出銑口閉塞材が記載されている。さらに特開2000−192120号公報には耐火骨材、DBP吸収量が15〜80ml/100gのカーボンブラック、ピッチ及びバインダーからなる出銑孔閉塞材が記載されている。
【0008】
一方、特開2000−273351号公報には、カーボンブラック及び黒鉛化促進物質を含む混合物を2000〜2500℃で加熱処理する黒鉛化カーボンブラックの製造方法が開示されている。ホウ素、ケイ素、アルミニウム、鉄等の元素あるいはその化合物からなる黒鉛化促進物質とともに加熱することで、従来2800℃程度であったカーボンブラックの黒鉛化に必要な温度を2000〜2500℃程度まで低下させることができるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特開平5−301772号公報に記載されているように、炭素質原料として膨張黒鉛を使用すると、その使用量が5重量%程度の低炭素質の耐火物においても、鱗状黒鉛を同量使用した場合に比べて良好な耐熱衝撃性が得られる。しかし、膨張黒鉛は非常に嵩の高い原料であるため、5重量%程度の使用量であっても、耐火物の充填性が低くなり、溶融物に対する耐食性に劣る。また、耐火物使用中の炭素質原料の酸化消失も大きな問題であった。
【0010】
特開平11−322405号公報、特開2000−86334号公報、特開平7−17773号公報、特開平10−36177号公報及び特開2000−192120号公報には、いずれも、炭素質原料としてカーボンブラックを使用する例が開示されている。しかしながら、使用されるカーボンブラックは、比表面積が24m2/g以下のもの、粒子径の大きいストラクチャーの発達していない球状のもの、DBP吸収量が100ml/100g以下あるいは15〜80ml/100gのものといったようなものである。すなわち、どちらかといえばDBP吸収量の少ない、粒径の大きいカーボンブラックが好ましいとしているのである。しかしながら、いずれの公報に記載のカーボンブラックの採用によっても耐熱衝撃性の改善は未だ十分ではなかった。
【0011】
特開2000−273351号公報には、カーボンブラック及びホウ素等の黒鉛化促進物質を加熱処理して黒鉛化する方法が記載されているが、その用途はリン酸型燃料電池の触媒用担体であり、かかる黒鉛化したカーボンブラックが耐火物の原料として有用であることについては記載されていないし、何ら示唆されてもいない。
【0012】
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、耐食性、耐酸化性、耐熱衝撃性に優れた耐火物、特に炭素含有量の少ない炭素含有耐火物を提供することにある。かかる炭素含有量の少ない炭素含有耐火物は溶鋼中へのカーボンピックアップが少なく、容器からの熱放散が少なく有用である。また、本発明の目的は、かかる耐火物を得るための耐火物原料組成物を提供することにもある。さらに、本発明の他の目的は、前記耐火物原料組成物の製造方法を提供することにもある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
耐火物は5mm程度の粗粒から1μm以下の微粉まで極めて多様な粒度の粒子から構成され、比較的大きな粒子の隙間を埋めるマトリックスと称される微粉の集合体が耐用性に大きい影響を与える。マトリックス部分には多数の気孔や空隙が存在し、それが耐火物の強度、スラグ等の溶融物の浸透性、熱衝撃の緩和作用などに影響を与えている。
【0014】
耐火物のマトリックスの粒度は一般に44μm程度以下であるとされているが、本発明者は、10μm以下、更には1μm以下、すなわちナノメータ・オーダーの超微粒子の挙動が大きな影響を及ぼすことに着目した。炭素含有耐火物においては、ほとんどの場合炭素質原料は上記マトリックス部分に使用されるが、炭素質原料のナノメータ・オーダーでの制御によって耐火物全体の性能を制御すべく検討を行った。
【0015】
本発明者は、炭素質原料をナノメータ・オーダーで制御するに際して、気孔構造の制御という点に注目して検討を行った。気孔量の削減は耐食性の向上に繋がり、また気孔の形状(比表面積)制御や細分化は、動弾性率の適正化や耐熱衝撃性向上に寄与し得る。このように気孔構造の制御によって耐熱衝撃性を改善し、さらに耐食性及び耐酸化性を改善することを目指したものである。
【0016】
ナノメータ・オーダーの微粒子である炭素質原料としては、カーボンブラックが知られており、この粒度を制御することである程度の気孔構造の制御が可能である。しかしながら、前述のように、DBP吸収量の少ないカーボンブラックのみを使用したのでは耐熱衝撃性が未だ不十分である。一方、DBP吸収量の多いカーボンブラックのみを使用したのでは、後述の比較例でも示されるように耐酸化性及び耐食性が不十分である。本発明はかかる課題を解決する手法を鋭意検討した結果到達したものである。
【0017】
すなわち本発明は、カーボンブラック及びカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子から選ばれるDBP吸収量(x)が80ml/100g以上の炭素質粒子(A)、カーボンブラック及びカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子から選ばれるDBP吸収量(x)が80ml/100g未満の炭素質粒子(B)、及び耐火骨材(C)からなる耐火物原料組成物である。ここで、DBP吸収量(x)とは、JIS K6217の9項「DBP吸収量」のA法に規定された方法によって測定した値(ml/100g)である。
【0018】
カーボンブラック及びカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子から選ばれるDBP吸収量が大きい炭素質粒子(A)を使用することで、耐火物のマトリックス中において極めて微細な気孔構造を形成することが可能となり、動弾性率を適正化し、耐熱衝撃性を改善できる。動弾性率は耐熱衝撃性の指標となるもので、これが小さいほど耐熱衝撃性が優れる。耐熱衝撃性に優れる耐火物は実使用する際にスポーリング損傷を抑制できる。しかしながら炭素質粒子(A)を使用するのみでは耐酸化性及び耐食性が不十分であり、DBP吸収量が小さい炭素質粒子(B)を併用することでその点を改善でき、結果として耐熱衝撃性、耐食性及び耐酸化性に優れた耐火物が得られるものである。
【0019】
このとき、耐火骨材(C)100重量部に対する炭素質粒子(A)と炭素質粒子(B)の合計重量が0.1〜10重量部であり、かつ炭素質粒子(A)と炭素質粒子(B)の重量比率(A/B)が1/99〜99/1であることが好適である。また、炭素質粒子(A)の平均一次粒子径が10〜50nmであり、炭素質粒子(B)の平均一次粒子径が50〜500nmであることも好適である。
【0020】
炭素質粒子(A)のDBP吸収量(x)と、炭素質粒子(A)の圧縮試料のDBP吸収量(y)の比(x/y)が1.15以上であることが好適である。ここで、圧縮試料のDBP吸収量(y)とは、JIS K6217の10項「圧縮試料のDBP吸収量」に規定された方法によって測定した値(ml/100g)である。圧縮後のDBP吸収量が低下するような炭素質粒子であるということは、炭素質粒子の構造が圧縮操作によって変化するような構造であるということであり、具体的には一次粒子が会合した会合体(アグリゲート)を構成していることを示唆するものである。このような炭素質粒子(A)を使用することで優れた耐熱衝撃性を得ることができる。
【0021】
炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)の少なくとも一方が、カーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であることが、耐酸化性、耐食性を改善する点から好適であり、炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)のいずれもがカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であることがより好適である。グラファイト粒子を使用することで、粒子自体の耐食性及び耐酸化性が改善され、結果として、耐熱衝撃性、耐食性及び耐酸化性に優れた耐火物が得られるものである。
【0022】
炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)の少なくとも一方が、カーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有するものであることが、耐酸化性、耐食性を改善する点からさらに好適であり、炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)のいずれもが、カーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有するものであることが最適である。グラファイト粒子にこのような炭素以外の元素を含有させた、いわば「複合グラファイト粒子」とすることで、グラファイト粒子自体の酸化開始温度がさらに高くなり、耐酸化性及び耐食性が改善され、ひいてはこの複合グラファイト粒子を原料として得られる耐火物の耐酸化性及び耐食性が改善されるからである。
【0023】
低炭素含有量の耐火物の有用な用途を考慮すれば、耐火骨材(C)がマグネシアからなる耐火物原料組成物が好適である。また、本発明は、上記耐火物原料組成物を成形してなる耐火物である。
【0024】
上記耐火物原料組成物を製造するに際しては、炭素質粒子(A)を有機バインダー中に予め分散させてから、他の原料と混合することが、マトリックス中での炭素質粒子(A)の分散性を改善でき、結果として耐熱衝撃性、耐酸化性及び耐食性の改善された耐火物を得ることができるので好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明は、カーボンブラック及びカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子から選ばれるDBP吸収量(x)が80ml/100g以上の炭素質粒子(A)と、カーボンブラック及びカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子から選ばれるDBP吸収量(x)が80ml/100g未満の炭素質粒子(B)との両方を含有する耐火物原料組成物である。
【0026】
カーボンブラックは、現在容易に入手可能なナノメータ・オーダーの粒子サイズの炭素質微粒子であって、粒子径や会合状態、表面状態など、目的に合わせて各種の銘柄の入手が容易である。具体的には、ファーネスブラック、チャネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。カーボンブラックは通常平均一次粒子径が500nm以下の炭素質粒子であり、それを黒鉛化してなるグラファイト粒子もほぼ同程度の平均粒子径を有している。このような微細な粒子サイズの炭素質粒子を使用することで、耐火物のマトリックス中の気孔構造を微細なものとすることができる。従来耐火物原料として広く使用されていた鱗状黒鉛あるいは膨張黒鉛はいずれも平均粒径が1μmを大きく超えるものであって、マトリックス中の微細な気孔構造を発現することができなかったが、微細な炭素質粒子を使用することで微細な気孔構造を実現できる。
【0027】
DBP吸収量(x)が80ml/100g以上の炭素質粒子(A)を使用することで、耐火物のマトリックス中において極めて微細な気孔構造を形成することが可能となり、動弾性率を低くし、耐熱衝撃性を改善できる。ここで、DBP吸収量(x)とは、JIS K6217の9項「DBP吸収量」のA法に規定された方法によって測定した値である。より好適には炭素質粒子(A)のDBP吸収量は90ml/100g以上であり、さらに好適には100ml/100g以上である。また通常、炭素質粒子(A)のDBP吸収量は1000ml/100g以下である。
【0028】
かかる炭素質粒子(A)の平均一次粒子径は10〜50nmであることが好適である。50nm以下であることで、耐火物のマトリックス中において極めて微細な気孔構造を形成しやすくなる。より好適には45nm以下である。また取り扱いの容易さや耐酸化性、耐食性の観点からは15nm以上であることが好適であり、20nm以上であることがより好適である。平均一次粒子径は、電子顕微鏡観察によって計測が可能である。この時例えば複数の一次粒子が会合した構造を有する粒子の場合には、それを構成する一次粒子が複数含まれているとして算出される。
【0029】
さらに炭素質粒子(A)において、DBP吸収量(x)と、圧縮試料のDBP吸収量(y)の比(x/y)が1.15以上であることが好適である。ここで、圧縮試料のDBP吸収量(y)とは、JIS K6217の10項「圧縮試料のDBP吸収量」に規定された方法によって測定した値であり、165MPaの圧力での圧縮操作を4回繰り返した後のDBP吸収量である。
【0030】
カーボンブラックには、球状の単一粒子からなるものと、一次粒子が相互に会合して会合体(アグリゲート)を形成しているものとがある。図1にアグリゲートを形成しているカーボンブラックの模式図を示す。本発明の炭素質粒子(A)として好適に使用されるものはアグリゲートを形成しているものである。DBP吸収量(x)と、圧縮試料のDBP吸収量(y)の比(x/y)が1.15以上であるということは、圧縮操作によってカーボンブラックが一定以上の構造変化を起こすということである。より具体的には圧縮された際に変形あるいは破壊されるアグリゲートの割合が多く、そのためにDBP吸収量が一定割合以上減少するということである。比(x/y)はより好適には1.2以上であり、さらに好適には1.3以上である。また通常、比(x/y)は2以下である。
【0031】
前記比(x/y)が大きいということは、耐火物として使用される際に、熱的にあるいは機械的に応力を受けた際にもアグリゲートが変形あるいは破壊されやすいということである。すなわち、耐火物としての使用時にマトリックス中に応力が生じた際に、アグリゲートの変形あるいは破壊によってエネルギーを吸収することができるので、その応力を緩和できるのである。つまりマトリックス中で発生し進行している亀裂が、アグリゲートを形成しているカーボンブラックに到達したところで、その進行を止めるということであり、耐火物として優れた耐熱衝撃性を有することになるのである。
【0032】
さらに、例えば線状につながったアグリゲートなどではそれ自体がマトリックスの補強材として働くこともできるし、アグリゲートを通じた熱伝導も良好になるから、この点からも耐熱衝撃性が改善される。しかも多くの場合、平均一次粒子径が比較的小さいカーボンブラックにおいて、このようなアグリゲートが形成されていることが多いから、マトリックス中の気孔の微細化も同時に果たせるのである。すなわち、ナノメータ・オーダーでの極めて微細な気孔コントロールが可能となり、結果として耐熱衝撃性に優れた耐火物を与えるものである。このアグリゲートの形成による効果については、炭素質粒子(A)として、カーボンブラックのみならず、カーボンブラックを黒鉛化したものを用いた場合でも同様である。
【0033】
炭素質粒子(A)として使用可能なカーボンブラックは特に限定されるものではない。具体的に好適なものとしては、ファースト・エクストルーディング・ファーネス・ブラック(FEF)、スーパー・アブレーション・ファーネス・ブラック(SAF)及びハイ・アブレーション・ファーネス・ブラック(HAF)が挙げられる。炭素質粒子(A)として、カーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子を使用する場合には、上記カーボンブラックを原料として好適なグラファイト粒子を製造することができる。また炭素質粒子(A)が複数の種類の炭素質粒子(A)の混合物であっても良い。
【0034】
しかしながら、上述のような炭素質粒子(A)のみを耐火物原料組成物に配合したのでは、気孔の微細化による耐熱衝撃性の改善は可能であるものの、耐酸化性及び耐食性は低下する。そのため、本発明では炭素質粒子(A)に加えて、炭素質粒子(B)を併せて使用するものである。
【0035】
カーボンブラック及びカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子から選ばれるDBP吸収量が80ml/100g未満の炭素質粒子(B)を上記炭素質粒子(A)と併用することで、耐火物の充填密度を高くすることができ、耐酸化性及び耐食性を改善することができる。より好適には炭素質粒子(B)のDBP吸収量は60ml/100g以下であり、さらに好適には40ml/100g以下である。また通常炭素質粒子(B)のDBP吸収量は10ml/100g以上である。
【0036】
かかる炭素質粒子(B)の平均一次粒子径は50〜500nmであることが好適である。50nm以上であることで、耐火物のマトリックス中において充填性が良好になり、耐酸化性及び耐食性が改善される。より好適には60nm以上である。また500nmを超えるとマトリックス中の気孔の寸法が大きくなりすぎ、耐熱衝撃性の低下が著しい。より好適には200nm以下であり、さらに好適には100nm以下である。
【0037】
このような炭素質粒子(B)は、炭素質粒子(A)とは異なり、一次粒子が相互に会合してなるアグリゲートの形成が少なく、多くの粒子が単一の球体からなることが充填性の観点から好適である。したがって、DBP吸収量(x)と、圧縮試料のDBP吸収量(y)の比(x/y)が1.15未満の炭素質粒子が好適に使用される。より好適には比(x/y)は1.1以下であり、さらに好適には1.05以下である。カーボンブラックが相互に会合していない独立した真球のみからなり、圧縮によってその構造が全く破壊されない場合には、理論的には比(x/y)は1である。しかしながら、実際にはある程度の測定誤差を含みうることから、測定値としての比(x/y)は通常0.9以上である。このように高度に会合したアグリゲート構造を主体とする炭素質粒子(A)と、単一球体を主体とする炭素質粒子(B)とを併せ使用することで、高い充填率を確保しながら極めて微細な気孔構造を発現させることができるものである。
【0038】
炭素質粒子(B)として使用可能なカーボンブラックは特に限定されるものではない。具体的に好適なものとしては、ファイン・サーマル・ブラック(FT)、ミディアム・サーマル・ブラック(MT)、セミ・レインフォーシング・ファーネス・ブラック(SRF)、ジェネラル・パーパス・ファーネス・ブラック(GPF)が挙げられる。炭素質粒子(B)として、カーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子を使用する場合には、上記カーボンブラックを原料として好適なグラファイト粒子を製造することができる。また炭素質粒子(B)が複数の種類の炭素質粒子(B)の混合物であっても良い。
【0039】
炭素質粒子(A)と炭素質粒子(B)の重量比率(A/B)は1/99〜99/1であることが好適である。重量比率(A/B)が1/99未満である場合には、耐熱衝撃性が不十分となる虞があり、99/1を超える場合には耐食性あるいは耐酸化性が不十分になる場合がある。重量比率(A/B)はより好適には5/95以上であり、さらに好適には10/90以上である。また重量比率(A/B)はより好適には90/10以下であり、さらに好適には70/30以下である。
【0040】
炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)の少なくとも一方が、カーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であることが、耐酸化性、耐食性を改善する点から好適である。カーボンブラックを黒鉛化することで、グラファイトの結晶構造が発達し、酸化開始温度が高くなり耐酸化性に優れるとともに耐食性にも優れ、熱伝導率も高い材料とすることができる。
【0041】
カーボンブラックを黒鉛化(グラファイト化)する方法は特に限定されるものではないが、不活性雰囲気下において高温で加熱して黒鉛化させることができる。通常2000℃以上の温度で加熱することでカーボンブラックを黒鉛化することができる。
【0042】
黒鉛化されることで、X線回折測定において、結晶構造に由来するピークが観察されるようになる。そして、黒鉛化が進行するにしたがって、格子間距離が短くなる。グラファイトの002回折線は黒鉛化の進行とともに広角側にシフトするが、この回折線の回折角2θが格子間距離(平均面間隔)に対応している。本発明においては格子間距離dが3.47Å以下であるグラファイトを使用することが好適である。格子間距離が3.47Åを越える場合は、黒鉛化が不十分であり、耐熱衝撃性、耐酸化性、耐食性が不十分となる場合がある。黒鉛化に際して、DBP吸収量、圧縮試料のDBP吸収量及び平均一次粒子径は通常大きく変化しない。
【0043】
本発明においては、炭素質粒子(A)がカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であることが特に好適である。炭素質粒子(A)として使用されるカーボンブラックの方が、炭素質粒子(B)として使用されるカーボンブラックに比べて耐食性、耐酸化性に劣るので、その欠点を黒鉛化することによって補うことができるからである。好適な実施態様は、炭素質粒子(A)がカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であり、炭素質粒子(B)がカーボンブラックである実施態様である。この場合、通常のカーボンブラックと比べて、それを黒鉛化してなるグラファイト粒子の方が高価であるので、炭素質粒子(A)の配合量を炭素質粒子(B)の配合量よりも少なくすることが経済的な面から好適である。
【0044】
本発明のより好適な実施態様は、炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)のいずれもがカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子である実施態様である。この場合、使用される炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)のいずれもがカーボンブラックよりも耐食性、耐酸化性に優れたものとなるので、結果として耐火物の耐食性、耐酸化性が一段と改善される。
【0045】
また、炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)の少なくとも一方が、カーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有するものであることが好適である。カーボンブラックを単に黒鉛化するのみでなく、グラファイト粒子に金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有させることにより、さらに耐酸化性、耐食性を改善できる。グラファイト粒子にこのような炭素以外の元素を含有させた、いわば「複合グラファイト粒子」とすることで、グラファイト粒子自体の酸化開始温度がさらに高くなり、耐酸化性及び耐食性が改善され、ひいてはこの複合グラファイト粒子を原料として得られる耐火物の耐酸化性及び耐食性が改善できるものである。
【0046】
ここで、グラファイト粒子が含有する、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素の具体例としては、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ホウ素及びケイ素の各元素が挙げられる。なかでも、耐火物の耐酸化性及び耐食性の改善のために好ましいものとして、ホウ素、チタン、ケイ素、ジルコニウム及びニッケルが挙げられ、ホウ素及びチタンが最適である。
【0047】
グラファイト粒子中での各元素の存在の仕方は特に限定されるものではなく、粒子内部に含有されていても良いし、粒子表面を覆うような形で含まれていても良い。また各元素は、その酸化物、窒化物、ホウ化物あるいは炭化物として含まれることができるが、好適には酸化物、窒化物、ホウ化物あるいは炭化物のような化合物として含有される。より好適には炭化物あるいは酸化物として含有される。炭化物としてはB4CやTiCが例示され、酸化物としてはAl2O3が例示される。
【0048】
炭化物はグラファイト粒子の中で、適宜グラファイトを構成する炭素原子と結合するような形で含まれている。しかしながら、全量がこのような炭化物になったのでは、グラファイトとしての性能が発揮されず好ましくないので、グラファイトの結晶構造を有していることが必要である。このようなグラファイト粒子の状態はX線回折によって分析可能である。例えば、グラファイトの結晶に対応するピークの他に、例えばTiCあるいはB4Cといった化合物の結晶に対応するピークが観察される。
【0049】
金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素をグラファイト粒子に含有させる方法は特に限定されるものではないが、カーボンブラックと、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素の単体又は該元素を含有する化合物とを加熱して得られるものであることが好適である。加熱によって、黒鉛化が進行すると同時にグラファイト構造の中に上記元素が含有されるようになるのである。
【0050】
このとき、カーボンブラックと、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素の単体とを加熱して得られるものであることがより好適である。元素単体と加熱することで燃焼合成による炭化物生成時の発熱を利用して反応を進めることができるからである。具体的にはアルミニウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、ホウ素、ケイ素とともに加熱することが好ましい。この反応熱を用いて自己燃焼合成方法により合成が可能だからである。自己の反応熱を利用できるために、炉内の温度を、カーボンブラック単独を黒鉛化する場合に比べて低くすることができる。2000度を超える炉温を維持することは、装置的にも費用的にも問題が多いから、この点は重要である。
【0051】
例えば、ホウ素と炭素との燃焼合成の反応式、及びチタンと炭素との燃焼合成の反応式はそれぞれ以下の式のとおりである。
4B+xC→B4C+(x−1)C
Ti+xC→TiC+(x−1)C
これらの反応はいずれも発熱反応であり、自己燃焼合成が可能である。
【0052】
金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素をグラファイト粒子に含有させる方法として、カーボンブラックと、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素のアルコラートとを加熱することも燃焼合成による発熱が利用できて好ましい。単体であると発火しやすく危険な元素の場合にアルコラートとすることで取り扱いを容易にでき、粉塵爆発等の危険性が少なくなるからである。
【0053】
ここでいうアルコラートはアルコールの水酸基の水素を金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素で置換したものであり、M(OR)nで表されるものである。ここでMとしては1〜4価、好適には2〜4価の元素が使用されるが、好ましい元素としてマグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ホウ素、ケイ素が例示される。nは元素Mの価数に対応し、1〜4の整数、好適には2〜4の整数である。またRは有機基であれば特に限定されないが、好適には炭素数1〜10のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等を例示できる。これらのアルコラートの一種類のみを用いても良いし、複数種のアルコラートを併用しても良い。また、元素単体や酸化物等とアルコラートを併せて用いても良い。
【0054】
また、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素をグラファイト粒子に含有させる方法として、カーボンブラックと、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素の酸化物と、該酸化物を還元する金属とを加熱することも燃焼合成による発熱が利用できて好ましい。このような組み合わせによって、金属が酸化物を還元し、酸化物を構成していた元素をグラファイトに含有させることができる。例えば、カーボンブラック、アルミニウム及び酸化ホウ素を加熱すると、まず酸化ホウ素がアルミニウムによって還元されてホウ素単体となり、これがカーボンブラックと反応して、炭化ホウ素が得られる。化学式で示すと以下のとおりである。
4Al+2B2O3+xC→2Al2O3+B4C+(x−1)C
また、カーボンブラック、アルミニウム及び酸化チタンとを反応させた場合の化学式は次のとおりである。
4Al+3TiO2+xC→2Al2O3+3TiC+(x−3)C
これらの反応も発熱反応であり、燃焼合成が可能であり、炉内の温度をそれほど高温にしなくても黒鉛化が可能である。
【0055】
さらに、カーボンブラックと、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素の単体又は該元素を含有する化合物とを加熱して得られたグラファイト粒子を、さらに酸化処理することも好適である。酸化処理をすることで、主にグラファイト粒子の表面に酸化物の被膜を形成することができるので、一層耐酸化性に優れるものである。
【0056】
酸化させる方法は特に限定されず、酸化可能な高温のガスで処理する方法などが挙げられる。具体的には、空気と燃料を燃焼させた熱ガスを一定時間、グラファイト粒子と反応させる、いわゆる熱ガス法などを挙げることができる。このとき、ガスとの接触時間が長すぎるとグラファイト全体が酸化されてしまうので、一部のみを酸化できるような条件設定とすることが必要である。
【0057】
以上説明したように、炭素質粒子として、カーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有するものを使用することで、単に黒鉛化してなるグラファイト粒子を使用するよりもさらに耐食性、耐酸化性を改善することができる。このとき、炭素質粒子(A)がカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有するものであることが好適である。炭素質粒子(A)の方が、炭素質粒子(B)に比べて耐食性、耐酸化性に劣るので、その欠点を補うことができるからである。
【0058】
この場合の好適な実施態様の一つは、炭素質粒子(A)がカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有するものであり、炭素質粒子(B)が黒鉛化していないカーボンブラックである実施態様である。この場合、通常のカーボンブラックと比べて、それを黒鉛化して金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有させてなるグラファイト粒子の方が高価であるので、炭素質粒子(A)の配合量を炭素質粒子(B)の配合量よりも少なくすることが好適である。
【0059】
また好適な実施態様の別の一つは、炭素質粒子(A)がカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有するものであり、炭素質粒子(B)がカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、前記元素を含有していないものである実施態様である。グラファイト粒子同士で比較した場合においても炭素質粒子(A)の方が、炭素質粒子(B)に比べて耐食性、耐酸化性に劣るので、その欠点を金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有させることによって補うことができるからである。
【0060】
本発明の最適な実施態様は、炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)のいずれもがカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有するものである実施態様である。この場合、使用される炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)の双方が特に耐食性、耐酸化性に優れたものとなるので、結果として耐火物の耐食性、耐酸化性が極めて優れたものとなる。
【0061】
以上説明した炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)に他の成分を配合して、本発明の耐火物原料組成物とする。具体的には、炭素質粒子(A)、炭素質粒子(B)及び耐火骨材(C)からなる耐火物原料組成物とする。
【0062】
本発明のグラファイト粒子と混合される耐火骨材は特に限定されるものではなく、耐火物としての用途、要求性能に基づいてさまざまなものを用いることができる。マグネシア、カルシア、アルミナ、スピネル、ジルコニア等の耐火性酸化物、炭化ケイ素、炭化ホウ素等の炭化物、ホウ化カルシウム、ホウ化クロム等のホウ化物、窒化物等を耐火骨材として用いることができる。なかでも、低炭素質であることの有用性を考慮すれば、マグネシア、アルミナ及びスピネルが好適であり、マグネシアが最適である。マグネシアとしては、電融あるいは焼結マグネシアクリンカーが挙げられる。これらの耐火骨材は、粒度調整された上で配合される。
【0063】
このとき、耐火骨材100重量部に対する炭素質粒子(A)と炭素質粒子(B)の合計重量が0.1〜10重量部である耐火物原料組成物が好適である。炭素質粒子(A)と炭素質粒子(B)の合計重量が0.1重量部未満の場合には、炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)を添加する効果がほとんど認められず、耐熱衝撃性が不足する場合が多い。好適には0.5重量部、より好適には1重量部以上である。一方、炭素質粒子(A)と炭素質粒子(B)の合計重量が10重量部を超える場合には、カーボンピックアップが激しくなるし、容器からの熱放散も著しくなるとともに、耐食性が低下してくる。好適には5重量%以下である。
【0064】
さらに、本発明の耐火物原料組成物に使用する結合剤としては、通常の有機バインダーあるいは無機バインダーを使用することができる。耐火性の高い結合剤としては、フェノール樹脂あるいはピッチ等を主成分とする有機バインダーの使用が好適であり、耐火物原料の濡れ性や、高残炭性の点からフェノール樹脂を主成分とするものがより好適である。有機バインダーは溶媒を含有していても良く、溶媒を含有することで配合する際に適当な粘度にすることができる。かかる有機バインダーの含有量は特に限定されないが、耐火骨材100重量部に対して0.5〜10重量部が好適であり、1〜5重量部がより好適である。
【0065】
結合剤を本発明の耐火物原料組成物に配合する方法は特に限定されるものではないが、炭素質粒子(A)を有機バインダー中に予め分散させてから他の原料と混合する方法が好適である。炭素質粒子(A)は平均一次粒子径が小さくアグリゲートを形成していることが多いために、他の原料と配合する際に凝集体を形成しやすいが、予め有機バインダーとともに攪拌して有機バインダー中に分散させてから耐火骨材(C)等の他の原料と配合することによって、炭素質粒子(A)をマトリックス中で良好に分散させることができる。
【0066】
炭素質粒子(A)と炭素質粒子(B)の双方を有機バインダー中に予め分散させてから他の原料と混合しても良いが、これでは炭素質粒子(A)と炭素質粒子(B)の合計重量に対する有機バインダー量が少ない場合が多く、予め良好に分散させることができないことがある。そのため、より分散させることが困難な炭素質粒子(A)のみを有機バインダー中に予め分散させてから、炭素質粒子(B)及び耐火骨材(C)に配合する方が、炭素質粒子(A)をマトリックス中に良好に分散できて好ましい。
【0067】
本発明の耐火物原料組成物は、炭素質原料として炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)を使用するものであるが、さらに他の炭素質原料を併用しても構わない。例えば、鱗状黒鉛、膨張黒鉛等の他のグラファイト成分と混合使用しても良いし、ピッチやコークス等と混合使用しても良い。
【0068】
また、本発明の耐火物原料組成物は、本発明の趣旨を阻害しない範囲内で上記以外の成分を含有していてもかまわない。例えば、アルミニウム、マグネシウム等の金属粉末、合金粉末やケイ素粉末などを含有していても良い。また、混練に際して、適量の水あるいは溶剤を加えても構わない。
【0069】
こうして得られた耐火物原料組成物を混練し、成形し、必要に応じて加熱することによって本発明の耐火物が得られる。ここで、加熱する場合には、高温で焼成しても構わないが、例えばマグネシアれんがなどの場合には、通常400度以下の温度でベーキングするのみである。
【0070】
いわゆる不定形耐火物は、不定形状態にある場合には本発明の耐火物原料組成物に含まれる。また、不定形耐火物の形態が一定のものとなった場合には、本発明の成形してなる耐火物に含まれるものである。例えば炉壁に吹き付けられた形状であっても、一定の形態を有しているから本発明の成形してなる耐火物に含まれる。
【0071】
こうして得られた耐火物は、耐食性、耐酸化性及び耐熱衝撃性に優れているので、高品質の冶金製品を得るための炉材として極めて有用である。
【0072】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
実施例中、各種の分析方法、評価方法は以下の方法に従って行った。
【0073】
(1)平均一次粒子径の観察方法
透過型電子顕微鏡を用いて、100000倍の倍率で試料を撮影した。得られた写真から、直径の数平均値を得た。このとき、試料の粒子が会合している場合には、それらを別個の粒子であると考えて、平均一次粒子径を得た。
【0074】
(2)グラファイト格子間距離の算出方法
対象となるグラファイト粉末を粉末X線回折装置を用いて測定した。測定波長λは、銅のKα線の波長である1.5418Åである。X線回折測定で得られた結晶ピークのうち、2θの値が26°付近にある大きなピークが、グラファイトの002面に相当するピークである。これから、グラファイトの格子間距離d(Å)を、以下の式によって算出した。
d=λ/2sinθ
【0075】
(3)1400℃加熱処理後の見掛け気孔率及びかさ比重
50×50×50mmに切断した試料を電気炉内のコークス中に埋めて、一酸化炭素雰囲気下、1400℃で5時間加熱処理した。処理後の試料を室温まで放冷した後、JIS R2205に準拠して見掛け気孔率及びかさ比重を測定した。
【0076】
(4)動弾性率
110×40×40mmの試料を電気炉内のコークス中に埋めて、一酸化炭素雰囲気下、1000℃又は1400℃で5時間加熱処理した。処理後の試料を室温まで放冷した後、ウルトラソニースコープを用いて、超音波伝播時間を測定し、下記式に基づいて動弾性率Eを求めた。
E=(L/t)2・ρ
ここで、Lは超音波伝播距離(試料の長さ)(mm)、tは超音波伝播時間(μsec)、ρは試料のかさ比重である。
【0077】
(5)耐酸化試験
40×40×40mmの試料を電気炉(大気)中で1400℃、10時間保持した後、切断し、切断面において下側を除く3面での脱炭層の厚さを測定し、その平均値を算出した。
【0078】
(6)耐食性試験
110×60×40mmの試料を、回転侵食試験装置に取り付け、1700〜1750℃に保った塩基度(CaO/SiO2)=1のスラグ中に1時間保持する工程を5回繰り返す試験を行い、試験後の切断面において溶損寸法を測定した。
【0079】
[合成例1]炭素質粒子bの合成
カーボンブラック原料として、新日化カーボン株式会社製「ニテロン#10改」を使用した。当該カーボンブラックは、ファースト・エクストルーディング・ファーネス・ブラック(FEF)という種類のカーボンブラックで、平均一次粒子径が41nm、DBP吸収量(x)が126ml/100g、圧縮試料のDBP吸収量が89ml/100gのものであり、本実施例で使用した炭素質粒子aである。これをカーボン炉(富士電波工業株式会社製、FVS−200/200/200、FRET−50)中で、アルゴンガス雰囲気下、2100℃で3時間加熱処理して黒鉛化させて炭素質粒子bを得た。得られた粒子のX線回折測定を行ったところ、グラファイト構造に由来するピークが観察されて、グラファイト粒子が生成していることが判明した。グラファイトの002面間隔に相当する回折線から算出される格子間距離は3.40Åであった。この粒子の平均一次粒子径は38nm、DBP吸収量(x)が118ml/100g、圧縮試料のDBP吸収量が85ml/100gであった。
【0080】
[合成例2]炭素質粒子cの合成
カーボンブラック「ニテロン#10改」とホウ素粉末とを、炭素元素とホウ素元素のモル比が10:4となるように混合し、シリカ製ルツボに入れ、ルツボ上面にグラファイトシートを載せて、その両端に電極を接続した。電極に通電してグラファイトシートを発熱させ、上記混合物に着火させ、炭化物が生成する際の反応熱を利用した自己燃焼合成法によって炭素質粒子cを得た。得られた粒子のX線回折測定を行ったところ、グラファイト構造に由来するピークが観察されて、グラファイト粒子が生成していることが判明した。グラファイトの002面間隔に相当する回折線から算出される格子間距離は3.38Åであった。また、B4Cの021回折線に由来する2θ=37.8°のピークも認められた。X線回折のチャートを図2に示す。この粒子の平均一次粒子径は40nm、DBP吸収量(x)が120ml/100g、圧縮試料のDBP吸収量が86ml/100gであった。
【0081】
[合成例3]炭素質粒子eの合成
原料のカーボンブラックを変更した以外は合成例1と同様にして炭素質粒子eを合成した。原料のカーボンブラックは新日化カーボン株式会社製「HTC#20」を使用した。当該カーボンブラックは、ファイン・サーマル・ブラック(FT)という種類のカーボンブラックで、平均一次粒子径が82nm、DBP吸収量(x)が29ml/100g、圧縮試料のDBP吸収量が30ml/100gのものであり、本実施例で使用した炭素質粒子dである。得られた粒子のX線回折測定を行ったところ、グラファイト構造に由来するピークが観察されて、グラファイト粒子が生成していることが判明した。グラファイトの002面間隔に相当する回折線から算出される格子間距離は3.42Åであった。この粒子の平均一次粒子径は70nm、DBP吸収量(x)が28ml/100g、圧縮試料のDBP吸収量が28ml/100gであった。
【0082】
[合成例4]炭素質粒子fの合成
カーボンブラック「HTC#20」とアルミニウム粉末と酸化チタン粉末とを炭素元素とアルミニウム元素とチタン元素のモル比が10:4:3となるように混合した以外は合成例2と同様にして炭素質粒子fを得た。得られた粒子のX線回折測定を行ったところ、グラファイト構造に由来するピークが観察されて、グラファイト粒子が生成していることが判明した。グラファイトの002面間隔に相当する回折線から算出される格子間距離は3.42Åであった。また、Al2O3の113回折線に由来する2θ=43.4°のピーク、及びTiCの200回折線に由来する2θ=41.5°のピークも認められた。この粒子の平均一次粒子径は70nm、DBP吸収量(x)が30ml/100g、圧縮試料のDBP吸収量が29ml/100gであった。
【0083】
以上、合成例1〜4で得られた炭素質粒子b、c、e及びf、並びに合成例1〜4で使用した原料カーボンブラックである炭素質粒子a、dについて、その原料、処理方法、DBP吸収量(x)、圧縮試料のDBP吸収量(y)、比(x/y)及び平均粒径について表1にまとめて記載した。
【0084】
【表1】
【0085】
[実施例1]
耐火骨材(C)として粒度調製された純度98%の電融マグネシア100重量部、炭素質粒子(A)としてカーボンブラック「ニテロン#10改」(炭素質粒子a)0.5重量部、炭素質粒子(B)としてカーボンブラック「HTC#20」(炭素質粒子d)1.5重量部、フェノール樹脂(溶媒を含有するノボラックタイプのフェノール樹脂に対し、硬化剤を添加したもの)3重量部を混合し、ニーダーで混練してからフリクションプレスで成形した後、250℃で8時間ベーキングして耐火物を得た。得られた耐火物を評価した結果1400℃加熱処理後の見掛け気孔率は8.8%、かさ比重は3.10であった。また、1000℃で加熱処理した後の動弾性率は11.3GPaであり、1400℃で加熱処理した後の動弾性率は12.7GPaであった。また脱炭層厚さは7.7mmであり、溶損寸法は10.8mmであった。
【0086】
[実施例2〜10、比較例1〜5]
配合する原料を表2及び表3に記載したとおり変更する他は実施例1と同様にして、耐火物を作成し、評価した。その結果を表2及び表3にまとめて示す。
【0087】
[実施例11]
原料は実施例2と同じ物を同じ量だけ使用しその混合方法のみを変更して試験を行った。まずカーボンブラック「ニテロン#10改」(炭素質粒子a)0.2重量部と実施例1で使用したのと同じフェノール樹脂3重量部とを、株式会社ダルトン製の万能混合攪拌機へ投入して混合した。得られた混合物を、カーボンブラック「HTC#20」(炭素質粒子d)1.8重量部及び実施例1で使用したのと同じ電融マグネシア100重量部と混合し、ニーダーで混練してからフリクションプレスで成形した後、250℃で8時間ベーキングして耐火物を得た。得られた耐火物を評価した結果を表2及び表3にまとめて示す。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
実施例1〜4では、DBP吸収量が80ml/100g以上のカーボンブラック[炭素質粒子(A)]と、DBP吸収量が80ml/100g未満のカーボンブラック[炭素質粒子(B)]の両方を使用、配合している。その結果、低い動弾性率を示し良好な耐熱衝撃性を有している。また、脱炭層厚さも小さく良好な耐酸化性を示すとともに、溶損寸法も小さく良好な耐溶性を示している。これに対し、DBP吸収量が80ml/100g以上のカーボンブラック[炭素質粒子(A)]のみを使用した比較例1では、脱炭層厚さが大きく耐酸化性に劣るとともに、溶損寸法も大きく耐溶性にも劣る。またDBP吸収量が80ml/100g未満のカーボンブラック[炭素質粒子(B)]のみを使用した比較例2では、動弾性率が高く耐熱衝撃性に劣る。
【0091】
炭素質粒子(B)のみを使用する比較例2に対し、炭素質粒子(A)を、(A)と(B)の合計量に対して10/100量(実施例2)、25/100量(実施例1)、あるいは50/100量(実施例3)配合するに従い、動弾性率が大きく低下してゆく。例えば実施例2では10/100量の少量の炭素質粒子(A)を配合するのみで、動弾性率が1000℃熱処理後で17.4GPaから13.6GPaへ、1400℃熱処理後で19.2GPaから15.7GPaへと大きく改善されている。このとき驚くべきことにこれら実施例1〜3では脱炭層厚さ、溶損寸法ともに炭素質粒子(B)を単独使用した比較例2に比べてむしろ小さい値をとっており、耐熱衝撃性が大幅に改善されるのみならず、耐酸化性、耐溶性にも優れている。
【0092】
一方炭素質粒子(A)のみを使用する比較例1に対し、炭素質粒子(B)を、(A)と(B)の合計量に対して10/100量加えた実施例4では、比較例1に比べて、動弾性率が大きく改善されていながら、耐酸化性、耐溶性は比較例1とほぼ同程度である。すなわち、炭素質粒子(B)のみを使用するのに比べて、少量の炭素質粒子(A)を配合することで耐熱衝撃性、耐酸化性、耐溶性に優れた耐火物を得ることができる。
【0093】
炭素質粒子を配合しない比較例3では、耐熱衝撃性が大きく劣るとともに、耐酸化性、耐食性も不良である。また、炭素質原料として鱗状黒鉛(比較例4)あるいは膨張黒鉛(比較例5)を用いた場合には、実施例1〜4のカーボンブラックの使用量である2重量部よりも多い5重量部を配合しても、なお耐熱衝撃性が実施例1〜4より劣る。このとき耐酸化性、耐溶性も実施例1〜4より劣る。
【0094】
炭素質粒子(A)としてカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子を使用した場合(実施例5)、炭素質粒子(A)、(B)ともにカーボンブラックを使用する場合(実施例1)に比べて耐酸化性、耐食性が改善される。さらに炭素質粒子(A)として、カーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有するものを使用した場合(実施例7)、さらに耐酸化性、耐食性が改善される。
【0095】
炭素質粒子(A)、(B)ともにカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子を使用した場合(実施例6)、実施例5よりもさらに耐酸化性、耐食性が改善される。その上で炭素質粒子(A)をカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有するものとすること(実施例8)でさらに耐酸化性、耐食性が改善され、炭素質粒子(A)、(B)ともにカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有するものとすること(実施例9)で耐酸化性、耐食性が最善の結果を与える。
【0096】
また、実施例11は実施例2と同じ原料を同じ配合比で混合したものであるが、炭素質粒子(A)を有機バインダー中に予め分散させてから、他の原料と混合しているものである。こうすることによって、炭素質粒子(A)のマトリックス中での分散性が向上し、結果として耐熱衝撃性、耐酸化性、耐食性のいずれもが同時に全てを配合する実施例2と比較して改善されている。
【0097】
【発明の効果】
本発明によって、耐食性、耐酸化性、耐熱衝撃性に優れた耐火物、特に炭素含有量の少ない炭素含有耐火物を提供することができる。かかる炭素含有量の少ない炭素含有耐火物は溶鋼中へのカーボンピックアップが少なく、容器からの熱放散が少なく有用である。また、本発明によって、かかる耐火物を得るための耐火物原料組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アグリゲートを形成しているカーボンブラックの模式図である。
【図2】炭素質粒子cのX線回折チャートである。
【符号の説明】
1 一次粒子
2 アグリゲートを形成しているカーボンブラック
Claims (11)
- カーボンブラック及びカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子から選ばれるDBP吸収量(x)が80ml/100g以上の炭素質粒子(A)、カーボンブラック及びカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子から選ばれるDBP吸収量(x)が80ml/100g未満の炭素質粒子(B)、及び耐火骨材(C)からなる耐火物原料組成物。
- 耐火骨材(C)100重量部に対する炭素質粒子(A)と炭素質粒子(B)の合計重量が0.1〜10重量部であり、かつ炭素質粒子(A)と炭素質粒子(B)の重量比率(A/B)が1/99〜99/1である請求項1記載の耐火物原料組成物。
- 炭素質粒子(A)の平均一次粒子径が10〜50nmであり、炭素質粒子(B)の平均一次粒子径が50〜500nmである請求項1又は2に記載の耐火物原料組成物。
- 炭素質粒子(A)のDBP吸収量(x)と、炭素質粒子(A)の圧縮試料のDBP吸収量(y)の比(x/y)が1.15以上である請求項1〜3のいずれかに記載の耐火物原料組成物。
- 炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)の少なくとも一方が、カーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子である請求項1〜4のいずれかに記載の耐火物原料組成物。
- 炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)のいずれもがカーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子である請求項1〜4のいずれかに記載の耐火物原料組成物。
- 炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)の少なくとも一方が、カーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有するものである請求項1〜6のいずれかに記載の耐火物原料組成物。
- 炭素質粒子(A)及び炭素質粒子(B)のいずれもが、カーボンブラックを黒鉛化してなるグラファイト粒子であって、該グラファイト粒子が、金属、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有するものである請求項1〜6のいずれかに記載の耐火物原料組成物。
- 耐火骨材(C)がマグネシアからなる請求項1〜8のいずれかに記載の耐火物原料組成物。
- 炭素質粒子(A)を有機バインダー中に予め分散させてから、他の原料と混合する、請求項1〜9のいずれかに記載の耐火物原料組成物の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の耐火物原料組成物を成形してなる耐火物。
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