JP2002302829A - フッ素樹脂系繊維およびその製造方法 - Google Patents

フッ素樹脂系繊維およびその製造方法

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JP2002302829A
JP2002302829A JP2002014175A JP2002014175A JP2002302829A JP 2002302829 A JP2002302829 A JP 2002302829A JP 2002014175 A JP2002014175 A JP 2002014175A JP 2002014175 A JP2002014175 A JP 2002014175A JP 2002302829 A JP2002302829 A JP 2002302829A
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Masataka Yamada
賢孝 山田
Hironao Nakasuga
宥直 中須賀
Tadashi Tomita
忠 冨田
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Toray Industries Inc
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Toray Fine Chemicals Co Ltd
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、叩解処理などの擦り潰し加工によっ
て、容易に繊維の長さ方向で繊維が枝分かれする、いわ
ゆるフィブリル化し易いフッ素樹脂系繊維およびその製
造方法を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明のフッ素樹脂系繊維は、1〜15w
t%のビスコースと、70〜95wt%のフッ素樹脂成
分とを含み、0.1〜3wt%の炭化成分とを含んでい
ることを特徴とするものである。かかるフッ素樹脂系繊
維の製造方法は、ビスコースをマトリックスポリマとし
て、これにフッ素樹脂を混合してなるエマルジョン紡糸
原液を、口金から凝固浴中に紡出して、湿式紡糸した
後、焼成処理してフッ素樹脂系繊維を形成するに際し、
該焼成処理を、焼成繊維中のビスコース成分の残留分が
1〜15wt%の範囲になるまで焼成することを特徴と
するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィブリル化し易
いフッ素樹脂系繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりフッ素樹脂系繊維は、耐熱性、
耐薬品性、電気絶縁性、摩擦特性、耐候性に優れるとい
った特徴があり、産業資材用途に広く利用されている。
【0003】フッ素樹脂のポリマーは、加熱溶融体の粘
度が著しく高いため、マトリックスポリマーとフッ素樹
脂ポリマーとを混合してエマルジョンとし、該エマルジ
ョンを成型用口金より凝固浴中に吐出して繊維化する湿
式エマルジョン紡糸法(エマルジョン紡糸法またはマト
リックス紡糸法ともいう)が知られている。ここでいう
マトリックスポリマーとしては、アルギン酸、キチン、
コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニト
リル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビスコースなど
が公知である。
【0004】かかる方法で得られた繊維を、ポリマーの
融点以上の温度で焼成することで、マトリックスポリマ
ーの大部分を焼成飛散させながら、フッ素樹脂ポリマー
を溶融して、粒子間を融着することで、初めてその後の
延伸性が付与され、強度が発現する。また特開平8−1
99421号公報ではエマルジョン紡糸法で得られた繊
維を、融点以上の温度で熱ローラ等に接触させず非接触
で焼成処理して、フッ素樹脂系ポリマーの粒子間が、均
一に、しかも強固に、融着した繊維を形成することが知
られている。
【0005】また、フッ素樹脂のポリマーに可塑化助剤
を混合したペーストを押出成形するペースト押出法が公
知である。たとえば特公昭51−18991号公報で
は、押出成型物を乾燥処理して、可塑化助剤を除去した
後、フッ素樹脂の結晶融点よりも低い温度で、高速延伸
し、続いて緊張状態で、結晶融点よりも高い温度で焼結
する方法が記載されている。
【0006】ここでいう可塑化助剤としてはソルベント
ナフサなどミネラルスピリットやシリコーンオイル、フ
ッ素系界面活性剤など有機系の非水溶剤が公知であり、
さらにまたパーフルオロアルキルカルボン酸、あるいは
その塩化物などの親水性フッ素系可塑化助剤なども特開
平8−296113号公報で知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前者の湿式
紡糸法(マトリックス紡糸法)で得られるフッ素樹脂系
繊維は、焼成処理によって、マトリックスポリマーであ
るビスコース成分の大部分が飛散し、得られるフッ素樹
脂系繊維中には、ビスコース成分が1wt%未満しか残
っていないのが通常である。しかし、かかる繊維では、
これをビーターなどの叩解処理をすると、該繊維が長さ
方向で粉々になってしまい、パルプ化できないという欠
点があった。また、ディスクリファイナー処理をした場
合でも、フッ素樹脂系繊維の摩擦係数が小さく、かつ、
フッ素樹脂系繊維の強度が小さいため、30パス以上の
処理をしないと、フィブリル化せず、パルプを得ること
は、商業的に不可能であることが知られている。
【0008】また、後者のペースト押出法で得られるフ
ッ素樹脂系繊維においても、可塑化助剤が乾燥および焼
成工程によって飛散してしまうため、繊維が長さ方向お
よび厚み方向のどちらにおいても、強固に融着している
ため、叩解処理などの擦り潰し加工をしても、繊維が長
さ方向で粉々になっておらず、かつ、厚み方向に粉々に
なっているようなフッ素樹脂系繊維を提供することがで
きないという欠点があった。
【0009】本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑
み、叩解処理などの擦り潰し加工によって、容易に繊維
の長さ方向で繊維が枝分かれする、いわゆるフィブリル
化し易いフッ素樹脂系繊維およびその製造方法を提供せ
んとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明のフッ素樹脂系繊維は、1〜15
wt%のビスコースと、0.1〜3wt%の炭化成分
と、70〜95wt%のフッ素樹脂成分とを含んでいる
ことを特徴とするものである。さらに好ましくは、4〜
15wt%のビスコースと、82〜95wt%のフッ素
樹脂成分とを含み、1〜3wt%の炭化成分とを含んで
いることを特徴とするものである。かかるフッ素樹脂系
繊維の製造方法は、ビスコースをマトリックスポリマと
して、これにフッ素樹脂を混合してなるエマルジョン紡
糸原液を、口金から凝固浴中に紡出して、湿式紡糸した
後、焼成処理してフッ素樹脂系繊維を形成するに際し、
該焼成処理を、焼成繊維中のビスコース成分の残留分が
1〜15wt%の範囲になるまで焼成することを特徴と
するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は前記課題、つまりフッ素
樹脂系繊維中にビスコース成分が1wt%未満しか残っ
ていないため、ビーターなどの叩解処理をすると繊維が
長さ方向で粉々になりパルプ化できないといった課題に
ついて鋭意検討し、完全に焼成するのではなく、1〜1
5wt%のビスコースと、0.1〜3wt%の炭化成分
と、70〜95wt%のフッ素樹脂成分とを含んでいる
状態に半焼成したフッ素樹脂系繊維を用いたところ、意
外にもかかる課題を一挙に解決することを究明したもの
である。
【0012】さらにまた、完全に焼成するのでなく、ビ
スコースを4〜15wt%含み、かつ、フッ素樹脂成分
を82〜95wt%含み、1〜3wt%の炭化成分を含
んでいる状態に半焼成したフッ素樹脂系繊維を用いたと
ころ、この場合もかかる課題を一挙に解決することを究
明したものである。
【0013】本発明のフッ素樹脂系繊維は、ビスコー
ス、ビスコースの炭化成分およびフッ素樹脂成分の3成
分が、上記特定量含まれているものであることが、フィ
ブリル化容易性、繊維の強度面および水への分散性の点
から必須である。
【0014】すなわち、ビスコースの含有量が、1wt
%未満である場合は、水への分散性が悪く、従ってビー
ターなどの叩解処理性が悪くなるため好ましくない。ま
た、ビスコースが15wt%を越えると、耐熱性、耐候
性、耐薬品性が低下し、中でも特に耐薬品性が低下する
傾向があるので好ましくない。
【0015】より好ましくは、ビスコースの含有量が4
〜15wt%であれば、界面活性剤を水に混合させなく
とも、フッ素樹脂系繊維が水に容易に分散することか
ら、叩解処理性が向上し、さらにフッ素樹脂系繊維の耐
熱性、耐候性、耐薬品性が低下しないため好ましい。
【0016】かかる本発明のフッ素樹脂系繊維として
は、モノフィラメント、マルチフィラメント、短繊維あ
るいはスプリットヤーン等いずれの形態でも良く、さら
には紡績糸でも良い。
【0017】本発明のフッ素樹脂系繊維としては、重合
体の繰り返し構造単位の90%以上が、主鎖または側鎖
にフッ素原子を1個以上含むモノマーで構成された繊維
であれば、いずれのものでも使用することができるが、
フッ素原子数の多いモノマーで構成された繊維ほど好ま
しく、例えば4フッ化エチレン- 6フッ化プロピレン共
重合体(FEP)、4フッ化エチレン- パーフロロアル
コキシ基共重合体(ETFE)または4フッ化エチレン
- オレフィン共重合体(ETFE)などを使用すること
ができる。さらに好ましくはポリ4フッ化エチレン(P
TFE)を用いることが、耐熱性あるいは耐薬品性の点
からよい。
【0018】また、本発明のフッ素樹脂系繊維は、ビス
コースをマトリックスポリマーとして、これとフッ素樹
脂ポリマーとを水に分散させた水ディスパージョン・エ
マルジョンの混合液を湿式紡糸して得ることができる。
かかるマトリックスポリマーには、紡糸性の上から、ビ
スコースの外に、アルギン酸、キチン、コラーゲン、ポ
リビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリエチ
レン、ポリプロピレンなどを含むものも用いることがで
きる。
【0019】上記のフッ素樹脂ポリマーとしては、水系
ディスパージョン、モールディングパウダー、ファイン
パウダーなど、いずれの形態のものでも用いることがで
きる。
【0020】かかるビスコースとしては、セルロース濃
度3〜10wt%、苛性ソーダ濃度2〜12wt%、二
硫化炭素27〜32wt%(セルロースに対して)の組
成範囲のものが好ましく用いることができる。
【0021】また、本発明のフッ素樹脂系繊維は、ビス
コースをマトリックスポリマとして、これにフッ素樹脂
を混合してなるエマルジョン紡糸原液を、口金から凝固
浴中に紡出して、湿式紡糸した後、焼成処理してフッ素
樹脂系繊維を形成するに際し、該焼成処理を、焼成繊維
中のビスコース成分の残留分が1〜15wt%炭化させ
ずに、そのまま残留させるように処理することにより、
上述の特殊な機能を有するフッ素樹脂系繊維を製造する
ものである。
【0022】つまり、ビスコースとフッ素樹脂系繊維を
混合して紡糸した後、焼成処理させて製造するが、この
とき、フッ素樹脂が融着して繊維形状を構成している
が、ビスコースの成分が一部炭化せずに、つまり1〜1
5wt%ビスコースのまま残留しているものであること
が重要である。
【0023】さらにまた、ビスコースの成分が一部炭化
せずに、4〜15wt%ビスコースのまま残留している
ものであることが重要である。ここでいう焼成処理と
は、ビスコース中に粒子状態で存在しているフッ素樹脂
ポリマーの融点以上の温度で熱処理を行うことであり、
この処理によって、ビスコースを飛散させると同時に、
フッ素樹脂ポリマーを溶融して粒子間を融着させ、繊維
強度を発現させている。従って焼成温度はフッ素樹脂ポ
リマーの融点以上であれば良く、好ましくは330℃以
上380℃以下、さらに好ましくは330℃以上360
℃以下で処理するのがよい。ビスコースを1〜15wt
%、好ましくは4〜15wt%炭化させずに、そのまま
残留させるように処理することにより、本発明のフッ素
樹脂系繊維を製造することができる。
【0024】また、本発明のフッ素樹脂系繊維は、0.
1〜3wt%の炭化成分を含んでいるものが好ましい。
炭化成分が0.1wt%未満の繊維は、焼成が充分にさ
れていない繊維であるため、繊維の引張強さが小さくな
るため好ましくない。また、炭化成分が3wt%を越え
るフッ素樹脂系繊維は、フッ素樹脂ポリマーが強固に融
着しているため、容易にフィブリル化しなくなるため好
ましくない。
【0025】より好ましくは、炭化成分が1〜3wt%
のフッ素樹脂系繊維であれば、繊維の引張強さが0.1
cN/dtex以上あり、かつフィブリル化しやすい繊
維であるので良い。
【0026】本発明で得られるフッ素樹脂系繊維は、引
張強さが0.1〜1.5cN/dtexであるものが好
ましい。なぜなら引張強さが0.1cN/dtex未満
の繊維では、工程張力に耐えられないし、また、引張強
さが1.5cN/dtexを越える繊維は、焼成処理に
よって、ビスコースの残留量が1wt%未満となってし
まい、フィブリル化をしにくくする傾向がある。
【0027】また、本発明のフッ素樹脂系繊維は、結晶
サイズが50〜112オングストロームの範囲内にある
ものが好ましい。結晶サイズが50オングストローム未
満の場合、フィブリル化が生じやすい繊維であるので良
いが、繊維の引張強さが小さくなってしまうため好まし
くない。また、結晶サイズが50オングストローム以
上、好ましくは100オングストローム以上である繊維
を用いた湿式抄紙シートは、シートの強力が大きくな
り、取り扱い性の良いシートであるので好ましい。
【0028】また結晶サイズが112オングストローム
より大きい繊維は、フィブリル化がしにくいものである
ため好ましくない。
【0029】また、本発明のフッ素樹脂系繊維は、結晶
配向度(PI)が次式で表され、PIが0.60〜0.
85の範囲内にあるものが好ましい。
【0030】PI=(180−H)/180 H:強度分布の半値幅(°) PIが0.60未満のフッ素樹脂系繊維は、繊維の引張
強さが小さくなって工程張力に耐えられず、またPIが
0.85よりも大きいフッ素樹脂系繊維では、叩解処理
をしても繊維の長さ方向で粉々となって、フィブリル化
がしにくくなるため好ましくない。
【0031】また、本発明のフッ素樹脂系繊維は、物理
的衝撃により、割繊し、繊維の長さ方向で2本以上に枝
分かれをする、つまりフィブリル糸を容易に与えるもの
である。ここでいう物理的衝撃とは、パルパー、ビータ
ー、ミル、ディスクリファイナーなどの叩解処理機で処
理する方法であればいずれでも良く、さらにまた物理的
衝撃を与える手段としては、ウォータージェットパンチ
装置などで高圧ジェット水流を処理する方法でも良い。
またここでいう、割繊して繊維の長さ方向で2本以上に
枝分かれしたフィブリル糸は、枝分かれの本数が繊維の
長さ方向で分布を持っているフィブリル糸であってもよ
い。
【0032】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、実施例中の各特性値は次のようにして測定さ
れた。 [引張強さ]”オートグラフ”AG−5000A型引張
試験機((株)島津製作所製)を使用して、試長25c
m、引張速度30cm/分で測定した。 [フッ素樹脂含有量測定]試料(約2mg)を採取し、
エタノールを添加した後、酸素を充填したステンレス鋼
製密閉容器(酸素ボンブ)中で燃焼させ、生成ガスを水
酸化ナトリウム水溶液に吸収し、定容とした。また、残
さは炭酸ナトリウムで融解し、希塩酸で中和して定容と
した。
【0033】これらの溶液について、イオン選択性電極
法でF-イオンの測定を行い、試料中のフッ素の含有量
を求めた。得られたフッ素の含有量をポリテトラフルオ
ロエチレン繊維中のwt%に換算して、フッ素樹脂含有
量(wt%)とした。
【0034】酸素ボンブの燃焼条件を次に示す。酸素量
(20kg/cm2 )、吸収液(0.2N−NaO
H)、吸収時間(45分)。
【0035】イオンの測定装置は、イオンメータ(オリ
オンサーチ製イオナライザー901型)、イオン電極
(オリオンサーチ製94−09型)、比較電極(オリオ
ンサーチ製90−01型)をそれぞれ用いた。
【0036】得られたフッ素の含有量(X)からポリテ
トラフルオロエチレン繊維中のwt%(Y)への換算
は、Y=X×100/76 とした。100はテトラフ
ルオロエチレンの分子量、76はフッ素の原子量(1
9)の4倍である。 [ビスコース含有量測定]繊維サンプルを30wt%の
水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬処理し、処理前後
の質量変化率からビスコース含有量(wt%)とした。 [炭化成分含有量測定]上記の方法でビスコースを溶解
した繊維サンプルを、300℃の加熱空気中で24時間
連続熱処理した前後の質量変化率を算出して炭化成分含
有量(wt%)とした。 [フィブリル化の加工性]繊維サンプル500gを10
mmのカット長にカットし、4500mlの水に分散す
る。この分散液をナイアガラビーターで3時間叩解処理
した。
【0037】そして水に均一に分散したまま処理が終了
した場合、加工性は優(◎)と判断した。
【0038】また水に均一に分散しなかった場合、フッ
素系界面活性剤サーフロン(旭硝子(株)製S−13
1)を1.0%濃度で混合液に入れて水への分散を改善
し、そのまま3時間叩解処理した。この状態で水に均一
に分散したまま処理が終了したとき、加工性は良(○)
とした。
【0039】また、ビーターで処理した後、水に均一に
分散したまま処理が終了しても、繊維が長さ方向で粉々
になってしまった場合、フィブリル化の加工性は不良
(△)とした。さらにまた、フッ素系界面活性剤サーフ
ロンS−131を添加して叩解処理をしても、水への分
散性が改善しない場合、加工性は不可(×)と判断し
た。 [フィブリル化の枝分れ状態]上記のナイアガラビータ
ーで3時間処理したサンプルの平均繊維長を測定し、さ
らに該サンプルを電子顕微鏡撮影する。平均繊維長が
0.1mm以上あり、かつ電子顕微鏡写真の倍率200
倍の画像中(0.3mm2)で繊維が2本以上に分割し
た繊維が10%以上ある場合、フィブリル化の枝分れ状
態は良好(○)と判断した。 [カレンダー前シート強力]フィブリル加工により得ら
れた繊維サンプルを湿式抄紙機で抄紙し、目付80g/
2の紙状物を得る。この紙状物を20cm×5cmの
短冊形に切り出し、”オートグラフ”AG−5000A
型引張試験機((株)島津製作所製)を使用して、試長
10cm、引張速度10cm/分で測定した。 [結晶サイズ]結晶サイズ(L)は、透過法により得ら
れた(100)面のピークの半値幅から下記のSche
rrerの式を用いて計算した。測定は理学電気社
(株)製の装置を用いた。
【0040】 Sherrerの式:L(hkl)=Kλ/βcosθ L(hkl):微結晶の(hkl)面に垂直な方向の平
均の大きさ K:1.0(装置定数) λ:1.5418オングストローム(X線の波長) β=(βE 2−βl 21/2 βE:見かけの半値幅(測定値) βl:1.047×10-2ラジアン(補正角) θ:ブラッグ角 [結晶配向度]結晶配向度(PI)は、試料の赤道方向
にスキャンし、2θ=14.1°付近に観測される(1
00)面を円周方向にスキャンして得られた強度分布の
半値幅(H)から算出した。計算式は下記の通り。測定
は理学電気社(株)製の装置を用いた。
【0041】PI(°)=(180−H)/180 <実施例1>分散剤としてアルキルアリルポリエーテル
アルコールを用いてイオン交換水に分散されたポリテト
ラフルオロエチレン・ファインパウダーを60%含有す
るエマルジョンを114部と、ビスコース(セルロース
8.9%と苛性ソーダ5.4%、二硫化炭素29%、残
りイオン交換水)100部とを8℃の真空ミキサーに装
填し、真空度10Torrで21時間混合・脱泡して、
紡糸原液を作った。
【0042】この紡糸原液を、0.12mmφのホール
を240個有する口金に43g/分で導き、23m/分
の速度で23℃に制御された凝固浴中に吐出させた。凝
固浴は硫酸7%、硫酸ソーダ20%をイオン交換水に溶
解してなる水溶液を用いた。
【0043】この凝固繊維は80℃のイオン交換水槽に
導かれ、29m/分の速度でゆっくりと充分に洗浄さ
れ、マングルで絞られた後、330℃の雰囲気中で水系
媒体を除去して未焼成繊維1を得た。
【0044】この未焼成繊維1を、350℃に加熱した
ロールに接触して半焼成し、フッ素樹脂系繊維1を得
た。このフッ素樹脂系繊維1は半焼成糸の未延伸糸であ
る。
【0045】次にこのフッ素樹脂系繊維1を、10mm
の繊維長にカットした後、水に分散し、ビーターで3時
間叩解処理したところ、濾水度が410ml、平均繊維
長が1.0mmのフィブリル糸を得ることができた。
【0046】なお、このフィブリル糸を電子顕微鏡で観
察したところ、繊維の長さ方向で2本以上に枝分かれし
ていることを確認した。
【0047】<実施例2>実施例1で得られた未焼成繊
維1を、350℃に加熱したロールに接触して半焼成
し、これを温度350℃の加熱ロールに接触させなが
ら、機械倍率6倍で熱延伸し、フッ素樹脂系繊維2を得
た。このフッ素樹脂系繊維2は半焼成糸の延伸糸であ
る。
【0048】次に、このフッ素樹脂系繊維2を、10m
mの繊維長にカットした後、水に分散し、ビーターで3
時間叩解処理したところ、濾水度が460ml、平均繊
維長が0.9mmのフィブリル糸を得ることができた。
【0049】なお、このフィブリル糸を電子顕微鏡で観
察したところ、繊維の長さ方向で2本以上に枝分かれし
ていることを確認した。
【0050】<実施例3>分散剤としてアルキルアリル
ポリエーテルアルコールを用いてイオン交換水に分散さ
れたポリテトラフルオロエチレン・ファインパウダーの
含有量が50%であるエマルジョンに変更した以外は、
実施例1と同じ方法で紡糸原液を作り、実施例1と同様
の方法で吐出、洗浄して、未焼成繊維2を得た。
【0051】得られた未焼成繊維2を、360℃に加熱
したロールに接触して半焼成し、これを温度360℃の
加熱ロールに接触させながら、機械倍率6倍で熱延伸
し、フッ素樹脂系繊維3を得た。このフッ素樹脂系繊維
3は半焼成糸の延伸糸である。
【0052】次に、このフッ素樹脂系繊維3を、10m
mの繊維長にカットした後、水に分散し、ビーターで3
時間叩解処理したが、繊維の分散性が不良であった。そ
こで、フッ素系界面活性剤サーフロンS−131を1.
0%添加し、3時間ビーターで処理したところ、濾水度
が530ml、平均繊維長が1.5mmのフィブリル糸
を得ることができた。
【0053】このフィブリル糸を電子顕微鏡で観察した
ところ、繊維の長さ方向で2本以上に枝分かれしている
ことを確認した。
【0054】<比較例1>実施例1で得られた未焼成繊
維1を、繊維長10mmにカットした後、水に分散し、
その後ビーターで1時間叩解処理したが、繊維が厚み方
向に粉々になり、かつ、繊維が長さ方向でも粉々に砕け
てしまい、良好なフィブリル糸を得ることができなかっ
た。
【0055】<比較例2>実施例1で得られた未焼成繊
維1を350℃の加熱ロールに接触させながら熱延伸を
試みたが、強度が弱く延伸糸を得ることができなかっ
た。
【0056】<比較例3>実施例1で得られた未焼成繊
維1を、400℃に加熱したロールに接触して焼成し、
フッ素樹脂系繊維4を得た。このフッ素樹脂系繊維4は
完全焼成糸の未延伸糸である。
【0057】次に、このフッ素樹脂系繊維4を、繊維長
10mmにカットした後、水に分散したが、水との相溶
性が悪かったため、フッ素系界面活性剤サーフロンS−
131を添加して分散させた。その後ビーターで1時間
叩解処理したが、繊維が水に浮いてしまい、良好なフィ
ブリル糸を得ることはできなかった。
【0058】<比較例4>実施例1で得られた未焼成繊
維1を、400℃に加熱したロールに接触して焼成し、
これを380℃の加熱ロールに接触させながら、機械倍
率6倍で熱延伸し、フッ素樹脂系繊維5を得た。このフ
ッ素樹脂系繊維5は焼成糸の延伸糸である。
【0059】次に、このフッ素樹脂系繊維4を、繊維長
10mmにカットした後、水に分散したが、水との相溶
性が悪く、均一に分散できなかった。そこで、フッ素系
界面活性剤サーフロンS−131を添加し、ビーターで
3時間処理したが、繊維が水に浮いてしまい、良好なフ
ィブリル糸を得ることができなかった。
【0060】得られた未焼成繊維1とフッ素樹脂系繊維
1〜5について、組成分析とX線分析を実施した結果
と、引張強さ、フィブリル化、およびシート強力の評価
結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】表1から明らかなように、実施例1〜3の
フッ素樹脂系繊維1〜3はビーター処理により、フィブ
リル化が可能であるのに対し、比較例1の未焼成繊維1
では、繊維が粉々に砕けてフィブリル糸を得ることがで
きなかった。また比較例3と4のフッ素樹脂系繊維4と
5の場合は、繊維が水に均一に分散せず、フッ素系界面
活性剤サーフロンS−131を添加して水に分散させて
ビーター処理をしても繊維が水に浮いてしまって、フィ
ブリル糸を得ることはできなかった。
【0063】さらにまた、実施例1〜3で得られたフィ
ブリル糸を湿式抄紙して得られる紙状物のカレンダー前
のシート強力は、7.4cN/cm以上であるのに対
し、比較例1で得られた粉々の繊維からなる紙状物で
は、強力が弱く、シート強力の測定が不可能であった。
また比較例4のフッ素樹脂系繊維5からなるシート状物
のシート強力は、6.3cN/cmであり、実施例のも
のよりも低かった。
【0064】また、実施例1〜3で得られたフッ素樹脂
系繊維の結晶配向度は0.60〜0.85の範囲にあ
り、繊維の強力とフィブリル化の容易さとを同時に兼ね
備えた繊維であった。これに対して、比較例4で得られ
たフッ素樹脂系繊維5は、結晶配向度が0.91と高
く、フィブリル化が困難な繊維であった。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、簡単、容易に、叩解処
理などの擦り潰し加工によって、繊維が長さ方向で粉々
になっておらず、繊維が厚み方向に粉々になっており、
かつ、繊維の長さ方向で繊維が枝分かれしたフッ素樹脂
系繊維のフィブリル糸を得ることができる。
【0066】かかるフッ素樹脂系繊維のフィブリル糸
は、水への分散性がよく、例えば湿式抄紙して紙状物を
得るような場合、地合が非常に均一な、シート強力が強
い、工程通過性の良い紙状物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中須賀 宥直 愛媛県松山市大可賀3丁目360番地 東 レ・ファインケミカル株式会社松山工場内 (72)発明者 冨田 忠 大阪市北区堂島1丁目6番20号 東レ・フ ァインケミカル株式会社大阪事業場内 Fターム(参考) 4L035 AA04 BB03 BB15 BB16 BB21 BB22 BB45 BB46 BB66 BB69 BB77 BB89 BB91 CC03 DD19 DD20 EE08 EE20 FF05 JJ14 KK05 4L047 AA18 AA29 AB02 AB06 BA21 BA22 CB05 CB10 CC08 CC14 4L055 AF10 AF25 AF43 AF44 AF50 EA01 EA16 EA19 FA04

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1〜15wt%の範囲内のビスコースと、
    0.1〜3wt%の範囲内の炭化成分と、70〜95w
    t%の範囲内のフッ素樹脂成分とを含んでいることを特
    徴とするフッ素樹脂系繊維。
  2. 【請求項2】4〜15wt%の範囲内のビスコースと、
    1〜3wt%の範囲内の炭化成分と、82〜95wt%
    の範囲内のフッ素樹脂成分とを含んでいることを特徴と
    するフッ素樹脂系繊維。
  3. 【請求項3】該フッ素樹脂系繊維が、0.1〜1.5c
    N/dtexの範囲内の引張強さを有するものである請
    求項1または2に記載のフッ素樹脂系繊維。
  4. 【請求項4】該フッ素樹脂系繊維が、50〜112オン
    グストロームの範囲内の結晶サイズを有するものである
    請求項1〜3のいずれかに記載のフッ素樹脂系繊維。
  5. 【請求項5】該フッ素樹脂系繊維が、100〜112オ
    ングストロームの範囲内の結晶サイズを有するものであ
    る請求項1〜3のいずれかに記載のフッ素樹脂系繊維。
  6. 【請求項6】該フッ素樹脂系繊維が、次式で表される結
    晶配向度(PI)が0.60〜0.85の範囲内にある
    ものである、請求項1〜5のいずれかに記載のフッ素樹
    脂系繊維。 PI=(180−H)/180 H:強度分布の半値幅(°)
  7. 【請求項7】該フッ素樹脂系繊維が、物理的衝撃によ
    り、繊維の長さ方向に2本以上に枝分かれまたは割繊す
    るものである、請求項1〜6のいずれかに記載のフッ素
    樹脂系繊維。
  8. 【請求項8】ビスコースをマトリックスポリマとして、
    これにフッ素樹脂を混合してなるエマルジョン紡糸原液
    を、口金から凝固浴中に紡出して、湿式紡糸した後、焼
    成処理してフッ素樹脂系繊維を形成するに際し、被焼成
    処理繊維のビスコース成分の残留分が1〜15wt%の
    範囲になるまで焼成することを特徴とするフッ素樹脂系
    繊維の製造方法。
  9. 【請求項9】ビスコースをマトリックスポリマとして、
    これにフッ素樹脂を混合してなるエマルジョン紡糸原液
    を、口金から凝固浴中に紡出して、湿式紡糸した後、焼
    成処理してフッ素樹脂系繊維を形成するに際し、該焼成
    処理を、焼成繊維中のビスコース成分の残留分が4〜1
    5wt%の範囲になるまで焼成することを特徴とするフ
    ッ素樹脂系繊維の製造方法。
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