JP2002300903A - インソール - Google Patents

インソール

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JP2002300903A
JP2002300903A JP2001106170A JP2001106170A JP2002300903A JP 2002300903 A JP2002300903 A JP 2002300903A JP 2001106170 A JP2001106170 A JP 2001106170A JP 2001106170 A JP2001106170 A JP 2001106170A JP 2002300903 A JP2002300903 A JP 2002300903A
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JP
Japan
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insole
antibacterial
heat
agent
moisture
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JP2001106170A
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English (en)
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Hideo Isoda
英夫 磯田
Seiichi Ochi
清一 越智
Akihisa Nakagawa
明久 中川
Mikiya Hayashibara
幹也 林原
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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  • Footwear And Its Accessory, Manufacturing Method And Apparatuses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】優れたクッション性と耐久性を有し、蒸れ難
く、抗菌性と保温性を併せ持つインソールを提供する。 【解決手段】 熱可塑性弾性樹脂からなる線条がループ
を形成して、互いの接触部の大部分が接合し、抗菌性及
び吸湿発熱性を示す成分が前記線条表面に付与された構
造体をクッション層とすることを特徴とするインソー
ル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れたクッション
性と耐久性を有し、蒸れ難く、抗菌性及び保温性を有す
るインソールに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、インソール用クッション材には、
発泡ウレタン、ラテックス又はゴム、樹脂成形体などが
使用されている。これらは、布帛類や不織布と接合され
て成形加工されインソールとして提供されている。
【0003】しかしながら、発泡ウレタンやラテックス
類はクッション材としての耐久性は極めて良好だが、透
湿透水性に劣り蓄熱性があるため、蒸れやすく、かつ、
洗浄後の水切り性が悪く洗濯し難い問題がある。蒸れ軽
減方策として、例えば特公平7−100002号公報等
では通気孔を設けて通気性を向上させる提案や、特公平
10−33204号公報等では、突起を形成させて通気
性を向上する提案があるが、今だ不充分である。また、
地球環境面でもリサイクルが困難で、焼却されるので焼
却炉の損傷が大きく、かつ、有毒ガス除去に経費が掛か
る。このため埋め立てされることが多くなったが、地盤
の安定化が困難なため埋め立て場所が限定され経費も高
くなっていく問題がある。また、加工性は優れるが製造
中に使用される薬品の公害問題などもある。
【0004】蒸れ感を軽減するために皮膚温の上昇を抑
制する方法が特開平6−269305号公報等で提案さ
れているが、クッション性や蒸れやすさの改善は不足し
ており好ましくない。特開平9−141775号公報に
は水分を吸湿して乾燥させる方法が提案されているが初
期の蒸れは多少改善されているが持続性に劣り充分とは
言えない。
【0005】蒸れ改良が進まないために蒸れによる悪臭
防止の為に、抗菌消臭機能を付与したインソールが提案
されている。防菌剤または吸着剤等を含浸、塗布、ハサ
ミ込み、担持させる等の手段でインソールに付着させて
使用する方法は、ある程度の持続性が期待できるものの
未だ不十分である。例えば、活性炭による吸着消臭では
雑菌の抑制効果はなく、一定量吸収した時点で失効す
る。また、有機系の防菌剤を使用する方法は、各種雑菌
に対して完全な効果を有するものがなく、使用中の分解
等でその効果も長続きしないという難点がある。無機系
の防菌剤では銀や銅の金属種が有効であることが知られ
ており、一部実用化されているが、金属の微粒子を使用
するため、表面のみの利用であり、使用量が多く、高価
となる難点がある。又、汗や汚れによってコーティング
され、更には汗に含まれる塩化ナトリウムに起因する塩
化物の生成等もあり、効力の持続性も不十分である。こ
れらの改良方法として、徐放性のサルチル酸誘導体金属
塩を0.05質量%から5質量%樹脂に含有させたイン
ソールが特開平9−165302号公報に提案されてい
るが、蒸れ解消には対応できていない。この後も、抗菌
性を付与したインソールとしては、多数提案されてい
る。例えば、特開平9−224708号公報では、タッ
チの改良をシルクを用い、保温効果は遠赤外線効果を利
用し、銀、銅、亜鉛等の金属イオンを抗菌剤として使用
する方法が提案されている。しかして、蒸れ解消はなさ
れていない。特開平10−323203号公報では脱臭
剤と抗菌剤の併用により消臭機能を付与する提案があ
る。この提案も蒸れ防止はなされていない。特開平11
−103904号公報では、吸湿し易い親水性繊維をイ
ンソール表面に用いて、この繊維に抗菌性を付与された
ものを用いる方法が提案されている。が、インソールの
主体が発泡樹脂等を用いる例もあり、蒸れ解消にはなっ
ていない。特開平11−103905号公報では、防寒
機能を獣毛繊維を用いて、抗菌性を抗菌繊維を用いる提
案がなされている。この方法も靴下や獣毛繊維が高い蒸
気圧を保持するため初期以外は蒸れを促進するので蒸れ
防止にはならない。特開2000−210102号公報
には、発汗によるべたつき感軽減化を立毛パイルを用
い、消臭機能を抗菌剤で付与する方法がて提案されてい
る。しかして、この方法も靴下や立毛パイル繊維が高い
蒸気圧を保持するため蒸れを促進するので蒸れ防止効果
は不充分である。総じて、蒸れ防止と保温及び抗菌性は
相殺効果となり全てを満たすインソールは提案されてい
ない。しかし、冷房が充分きいたオフィスや病院、極寒
地域では、蒸れと保温の両立が望まれ、病院においては
防臭機能を越えて抗菌性も求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記問題点を解決し、
優れたクッション性と耐久性を有し、蒸れ難く、抗菌性
と保温性を併せ持つインソールを提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために鋭意検討を行った結果なされたものであ
る。即ち、熱可塑性弾性樹脂からなる線条がループを形
成して、互いの接触部の大部分が接合し、抗菌性及び吸
湿発熱性を示す成分が前記線条表面に付与された構造体
をクッション層とし、抗菌性及び吸湿発熱性を示すイン
ソールであり、また該抗菌性及び吸湿発熱性を示す成分
の一部又は全部がアクリルニトリルを85%以上含むア
クリル樹脂にヒドラジン処理により架橋構造を導入し、
窒素含有量の増加が1〜15質量%であり、加水分解に
より残存しているニトリル基量の1mmol/g以上を
塩系カルボキシ基に化学変化せしめた粒径5μm以下の
ものであるインソールであり、さらには該抗菌性を示す
成分が銀イオンを含有する粒径が50μm以下の溶解性
ガラスの粉末であるインソールであり、さらにまたフラ
ジール法による通気量が20cm3/cm秒以上である
インソールである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のインソールは、熱可塑性
弾性樹脂からなる線条がループを形成して、線条が互い
の接触部の大部分で接合し、必要により表面が実質的に
フラット化された構造体からなるクッション層が保持す
る優れたクッション機能と蒸れ防止機能に加えて、抗菌
性による消臭機能及び院内感染等を抑制する制菌機能と
吸湿発熱による保温性の相乗効果を併せ持つインソール
である。
【0009】本発明におけるクッション層は、連続線条
がループを形成して、線条が互いの接触部の大部分で接
合して一体化した3次元コイル構造を形成し、必要によ
り表面が実質的にフラット化されているので、歩行時の
体重移動による踏み込みで、瞬間的に足面に掛かる圧縮
応力を熱可塑性弾性樹脂からなる構造体の面で受け止め
応力を分散させると同時に、熱可塑性弾性樹脂からなる
3次元コイル構造体全体が変形することにより、コイル
構造の変形と線条の素材が持つゴム弾性機能が同時に作
用してエネルギ−変換による衝撃を吸収するので優れた
衝撃吸収機能を発現する。更に、衝撃吸収しつつ変形す
る際に、熱可塑性弾性樹脂線条がゴム弾性を発現し容易
に元の形態に回復しようとするので足面を適度の反発力
で支えつつ適度の沈み込みを生じて好ましい足面保持性
をも示す。瞬間衝撃応力を面で受け止めて3次元コイル
構造体全体が変形することにより個々の線条への応力集
中を回避できるので耐へたり性も良好となる。踏み出し
により、応力が解除されると熱可塑性弾性樹脂線条がゴ
ム弾性を発現し容易に元の形態に回復しようとするので
足面のフィット感も良好となる。この圧縮回復による変
形が空気の出入りを促進するポンプ機能を有するため、
足面の発汗による水分が移動して蒸れ難く感じる。
【0010】本発明では吸湿発熱機能を保持させるの
で、同時に、足面から移動した水分が吸湿発熱剤に吸収
されて発熱し、暖かい空気が循環するので保温機能を発
現すると同時に吸湿による除湿効果が蒸れ難さを促進す
る。更には、暖かい雰囲気の中では、雑菌の繁殖が著し
くなり蒸れた臭気の原因となるが、靴内での局部的な高
湿度域を空気の循環により湿度を平均化することによる
雑菌の増殖抑制効果とクッション層の抗菌剤が雑菌の繁
殖を抑制して蒸れた臭気の発生を抑制する。本発明のイ
ンソールの抗菌性は制菌機能も併せもつため、病院や食
品を扱う室内等での悪性細菌の感染や繁殖を抑制して病
院や食品を扱う雰囲気内でも使用が可能となるインソー
ルである。
【0011】本発明における熱可塑性弾性樹脂とは、溶
融可能な樹脂が溶融成形後固化したものが再度加熱によ
り溶融できる樹脂を熱可塑性樹脂と言い、熱可塑性樹脂
成分が柔らかいゴム成分からなるソフトセグメントと硬
い樹脂成分からなるハードセグメントよりなり、ハード
セグメントが架橋ゴムの架橋点のように変形を拘束して
常温では伸張回復性(ゴム弾性)を示し、ハードセグメ
ントのガラス転移点以上の温度で流動すものを熱可塑性
弾性樹脂と言う。熱可塑性弾性樹脂のハードセグメント
の拘束様式からは、非架橋型の水素結合、結晶相、絡み
合いを含む凍結相と架橋型の共有結合、イオン結合が含
まれる。構成成分で例示すれば、スチレン系、オレフィ
ン系、塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル
系、ポリアミド系、フッ素ポリマー系、1・2−ポリブ
タジエン系、トランス1・4−ポリイソプレン系、イオ
ン架橋系等が含まれる。構造様式で例示すれば、ブロッ
クコポリマー系、ポリマーブレンド系、その他の構造体
が含まれる。本発明の好ましい実施形態としては、ブロ
ックコポリマー系や部分架橋したブレンド系が好まし
い。
【0012】好ましいブロックコポリマー系としては、
ソフトセグメントとして分子量300〜5000のポリ
エ−テル系グリコ−ル、ポリエステル系グリコ−ル、ポ
リカ−ボネ−ト系グリコ−ルまたは長鎖の炭化水素末端
をカルボン酸または水酸基にしたオレフィン系化合物等
をブロック共重合したポリエステル系エラストマ−、ポ
リアミド系エラストマ−、ポリウレタン系エラストマ
−、ポリオレフィン系エラストマ−などが挙げられる。
熱可塑性弾性樹脂とすることで、再溶融により再生が可
能となるため、リサイクルが容易となる。
【0013】例えば、ポリエステル系エラストマ−とし
ては、熱可塑性ポリエステルをハ−ドセグメントとし、
ポリアルキレンジオ−ルをソフトセグメントとするポリ
エステルエ−テルブロック共重合体、または、脂肪族ポ
リエステルをソフトセグメントとするポリエステルエス
テルブロック共重合体が例示できる。ポリエステルエ−
テルブロック共重合体のより具体的な事例としては、テ
レフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2・6−ジカ
ルボン酸、ナフタレン−2・7−ジカルボン酸、ジフェ
ニル−4・4’ −ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン
酸、1・4シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカ
ルボン酸、琥珀酸、アジピン酸、セバチン酸ダイマ−酸
等の脂肪族ジカルボン酸または、これらのエステル形成
性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1
種と、1・4−ブタンジオ−ル、エチレングリコ−ル、
トリメチレングリコ−ル、テトレメチレングリコ−ル、
ペンタメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル
等の脂肪族ジオ−ル、1・1−シクロヘキサンジメタノ
−ル、1・4−シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族
ジオ−ル、またはこれらのエステル形成性誘導体などか
ら選ばれたジオ−ル成分の少なくとも1種、および平均
分子量が約300〜5000のポリエチレングリコ−
ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレング
リコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重
合体からなるグリコ−ル等のポリアルキレンジオ−ルの
うち少なくとも1種から構成される三元ブロック共重合
体である。
【0014】ポリエステルエステルブロック共重合体と
しては、上記ジカルボン酸とジオ−ル及び平均分子量が
約300〜5000のポリラクトン等のポリエステルジ
オ−ルのうち少なくとも各1種から構成される三元ブロ
ック共重合体である。熱接着性、耐加水分解性、伸縮
性、耐熱性等を考慮すると、ジカルボン酸としてはテレ
フタル酸、または、及びナフタレン−2・6−ジカルボ
ン酸、ジオ−ル成分としては1・4−ブタンジオ−ル、
ポリアルキレンジオ−ルとしてはポリテトラメチレング
リコ−ルの3元ブロック共重合体または、ポリエステル
ジオ−ルとしてポリラクトンの3元ブロック共重合体が
特に好ましい。特殊な例では、ポリシロキサン系のソフ
トセグメントを導入したものも使うことができる。ま
た、上記エラストマ−に非エラストマ−成分をブレンド
されたもの、共重合したもの、ポリオレフィン系成分を
ソフトセグメントにしたもの等も本発明の熱可塑性弾性
樹脂に包含される。
【0015】ポリアミド系エラストマ−としては、ハ−
ドセグメントにナイロン6、ナイロン66、ナイロン6
10、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12等
及びそれらの共重合ナイロンを骨格とし、ソフトセグメ
ントには、平均分子量が約300〜5000のポリエチ
レングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテト
ラメチレングリコ−ル、エチレンオキシド−プロピレン
オキシド共重合体からなるグリコ−ル等のポリアルキレ
ンジオ−ルのうち少なくとも1種から構成されるブロッ
ク共重合体を単独または2種類以上混合して用いてもよ
い。更には、非エラストマ−成分をブレンドされたも
の、共重合したもの等も本発明に使用できる。
【0016】ポリウレタン系エラストマ−としては、通
常の溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド等)の存在または不存在下に、(A)数平均分子量1
000〜6000の末端に水酸基を有するポリエ−テル
及び又はポリエステルと(B)有機ジイソシアネ−トを
主成分とするポリイソシアネ−トを反応させた両末端が
イソシアネ−ト基であるプレポリマ−に、(C)ジアミ
ンを主成分とするポリアミンにより鎖延長したポリウレ
タンエラストマ−を代表例として例示できる。(A)の
ポリエステル、ポリエ−テル類としては、平均分子量が
約1000〜6000、好ましくは1300〜5000
のポリブチレンアジペ−ト共重合ポリエステルやポリエ
チレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテ
トラメチレングリコ−ル、エチレンオキシド−プロピレ
ンオキシド共重合体からなるグリコ−ル等のポリアルキ
レンジオ−ルが好ましく、(B)のポリイソシアネ−ト
としては、従来公知のポリイソシアネ−トを用いること
ができるが、ジフェニルメタン−4・4’ −ジイソシ
アネ−トを主体としたイソシアネ−トを用い、必要に応
じ従来公知のトリイソシアネ−ト等を微量添加使用して
もよい。(C)のポリアミンとしては、エチレンジアミ
ン、1・2−プロピレンジアミン等公知のジアミンを主
体とし、必要に応じて微量のトリアミン、テトラアミン
を併用してもよい。これらのポリウレタン系エラストマ
−は単独又は2種類以上混合して用いてもよい。
【0017】なお、本発明の熱可塑性弾性樹脂の融点は
耐熱耐久性が保持できる140℃以上が好ましく、16
0℃以上のものを用いると耐熱耐久性が向上するのでよ
り好ましい。なお、必要に応じ、抗酸化剤や耐光剤等を
添加して耐久性を向上させることができる。本発明の目
的であるインソールとしてのクッション性や衝撃吸収機
能及び耐久性をもたせる成分を構成する熱可塑性弾性樹
脂のソフトセグメント含有量は好ましくは15質量%以
上、より好ましくは30質量%以上であり、耐熱耐へた
り性からは80質量%以下が好ましく、より好ましくは
70質量%以下である。即ち、本発明のインソールとし
てのクッション性や衝撃吸収機能及び耐久性をもたせる
成分のソフトセグメント含有量は好ましくは15質量%
以上80質量%以下であり、より好ましくは30質量%
以上70質量%以下である。
【0018】本発明のインソールのクッション層を構成
する熱可塑性弾性樹脂からなる成分は、示差走査型熱量
計にて測定した融解曲線において、融点以下に吸熱ピ−
クを有するのが好ましい。融点以下に吸熱ピ−クを有す
るものは、耐熱耐へたり性が吸熱ピ−クを有しないもの
より著しく向上する。例えば、本発明の好ましいポリエ
ステル系熱可塑性樹脂として、ハ−ドセグメントの酸成
分に剛直性のあるテレフタル酸やナフタレン−2・6−
ジカルボン酸などを90モル%以上含有するもの、より
好ましくはテレフタル酸やナフタレン−2・6−ジカル
ボン酸の含有量は95モル%以上、特に好ましくは10
0モル%とグリコ−ル成分をエステル交換後、必要な重
合度まで重合し、次いで、ポリアルキレンジオ−ルとし
て、好ましくは平均分子量が500以上5000以下、
特に好ましくは1000以上3000以下のポリテトラ
メチレングリコ−ルを15質量%以上70質量%以下、
より好ましくは30質量%以上60質量%以下共重合量
させた場合、ハ−ドセグメントの酸成分に剛直性のある
テレフタル酸やナフタレン−2・6−ジカルボン酸の含
有量が多いとハ−ドセグメントの結晶性が向上し、塑性
変形しにくく、かつ、耐熱抗へたり性が向上するが、溶
融熱接着後更に融点より少なくとも10℃以上低い温度
でアン−リング処理するとより耐熱抗へたり性が向上す
る。圧縮歪みを付与してからアニ−リングすると更に耐
熱抗へたり性が向上する。
【0019】このような処理をしたクッション層を示差
走査型熱量計で測定した融解曲線に室温以上融点以下の
温度で吸熱ピークをより明確に発現する。なおアニ−リ
ングしない場合は融解曲線に室温以上融点以下に吸熱ピ
−クを発現しない。このことから類推するに、アン−リ
ングにより、ハ−ドセグメントが再配列され、疑似結晶
化様の架橋点が形成され、耐熱抗へたり性が向上してい
るのではないかとも考えられる。(この処理を疑似結晶
化処理と定義する)この疑似結晶化処理効果は、ポリア
ミド系弾性樹脂やポリウレタン系弾性樹脂にも有効であ
る。
【0020】本発明で言う抗菌性は、繊維製品新機能評
価協議会が定めた統一試験方法による評価で、少なくと
も抗菌消臭性(静菌活性値が2.2以上)が付与された
ものであり、好ましくは制菌性(殺菌活性値が0以上)
が付与されているものである。抗菌剤の種類により機能
が異なるため所望の抗菌性に応じた添加量を付与するこ
とが必要である。
【0021】本発明で言う吸湿発熱性は、40℃にて1
33Pa以下で16時間真空乾燥した断熱層で囲われた
インソールを、30℃、95%RH雰囲気中で吸湿させ
た時、30分以内に、インソールの内部又は表面の温度
が0.5℃以上の温度上昇を示すものであり、好ましく
は1℃以上の温度上昇を示すものである。使用する吸湿
発熱剤の種類により吸湿発熱機能が異なるので所望の吸
湿発熱性に応じた添加量を付与することが必要である。
【0022】本発明の抗菌性及び吸湿発熱性は抗菌剤及
び吸湿発熱剤又は抗菌吸湿発熱剤により付与できる。そ
れぞれの機能は機能剤(抗菌剤及び吸湿発熱剤又は抗菌
吸湿発熱剤)を付与できる薬剤を熱可塑性弾性樹脂に練
り込み付与する方法と、網状構造体中の線条表面に固着
させる方法で機能を付与することができる。
【0023】熱可塑性弾性樹脂に添加混練する場合は、
添加する機能剤は使用する熱可塑性弾性樹脂を溶融して
網状構造体化する際の温度に耐える耐熱性が必要となる
が、従来公知の機能剤から選択することができる。
【0024】抗菌性を付与するために使用できる公知の
抗菌剤としては、有機系抗菌剤と無機系抗菌剤がある。
有機系抗菌剤としては、一般にジフェニールエーテル
系、クロルヘキシジン系、チオペンダゾール系、イミダ
ゾール系等のものから選択して使用できる。無機系抗菌
剤としては、銅イオンや銀イオンをイオン交換したゼオ
ライト、燐酸塩系等のものから選択できる。又は、有機
系と無機系の併用も選択できる。本発明で最も好ましい
実施形態としての選択できる抗菌剤の一例としては、銀
イオンを含有する粒径が50μm以下の溶解性ガラスの
粉末を、30質量%以下練り込む方法が例示できる。
【0025】他方、表面に固着させるには、固着処理に
耐える軽度の耐熱性を有すればよく、公知の抗菌剤の大
部分を使用することができる。例えば、これらの抗菌剤
としては、無機系化合物、有機系化合物、天然系化合物
など様々なものが開発されている。無機系抗菌剤の場
合、例えば金属イオンを無機物に担持したものが特公昭
63−28402号公報、特開平1−260068号公
報、特開平5−124918号公報、特開平5−124
919号公報などに開示されている。また代表的な有機
系抗菌剤である第4級アンモニウム塩系化合物が特開昭
62−69883号公報、特開昭64−79102号公
報、特開平5−339107号公報などに、さらに天然
系化合物として生薬系抗菌剤が特開平7−216731
号公報などに開示されているものが例示できる。
【0026】固着の方法は、抗菌剤と固着剤を分散液や
溶液として用い浸漬させて又は泡加工して表面に付着さ
せた後、余剰分を絞り、熱固着する方法やスプレーによ
る付着方法が任意に選択できる。出きるだけ均一且つ効
率良く付着させる方法としては、泡加工が推奨できる。
【0027】吸湿発熱機能を付与するために使用できる
公知の微粉末化できる吸湿発熱剤としては、無機系素材
では、樹脂の加工練り込み温度に耐える耐熱性を有する
吸湿発熱剤としてシリカゲルやアルミナ系乾燥剤などが
例示できる。有機系素材では、特開平1−299624
号公報に記載されたアクリル酸塩共重合体又はアクリル
酸エステル共重合ケン化物、アクリル繊維やセルロース
繊維又はポリビニルアルコール繊維をヒドロゲル化した
もの、特開平9−158040号公報に開示されたヒド
ラジン系化合物による架橋処理され一部のニトリル基が
塩型カルボキシ基等に変換されたアクリル繊維、特開平
9−31796号公報や特開平10−313995号公
報に開示された高架橋ポリアクリレート繊維、特開平1
1−279943号公報に開示されたセルローズに水溶
性ビニル重合性化合物を結合させたもの、特開2000
−256962号公報に開示されたセルローズにカルボ
キシル基を含有するポリカルボン酸等を含浸させ塩型カ
ルボキシル基化させたもの等が使用できる。好ましいも
のとしては、吸湿発熱性と抗菌性を併せ持つアクリルニ
トリルを85%以上含むアクリル樹脂にヒドラジン処理
により架橋構造を導入し、窒素含有量の増加が1〜15
質量%であり、加水分解により残存しているニトリル基
量の1mmol/g以上を塩系カルボキシ基に化学変化
せしめた粒径5μm以下のものを線条表面に0.05質
量%以上10質量%以下固着させる処方である。1質量
%以上固着させることで抗菌性も同時に付与できるので
最も好ましい処方である。
【0028】しかして、有機系素材は耐熱性が劣るた
め、溶融練り込みには適さないものが多いため、微粉末
化して接合剤を用いて線条表面に固着させるのが好まし
い。固着方法は抗菌剤の固着と同様に、固着剤を分散液
や溶液として用い浸漬させて又は泡加工して表面に付着
させた後、余剰分を絞り、熱固着する方法やスプレーに
よる付着方法が任意に選択できる。出きるだけ均一且つ
効率良く付着させる方法としては、泡加工が推奨でき
る。
【0029】本発明の実施形態として好ましい見掛密度
は0.03kg/m3以上、0.25kg/m3以下であ
る。0.01kg/m3以下では、圧縮時の反発弾性が
弱くてクッション性がおとるので好ましくない。0.3
kg/m3以上では、足面の圧縮力に対して圧縮変形量
が少なくなって衝撃吸収性が劣り、又、フィット感も低
下するので好ましくない。最も好ましい見掛密度は0.
04kg/m3以上0.2kg/m3以下である。本発明
のクッション層の厚みは特には限定されないが、好まし
くは2mm以上10mm未満である。2mm未満では圧
縮回復幅が少なくなり、クッション機能が低下するので
好ましくない。10mmを超えるインソールとしての圧
縮回復幅が大きくなり過ぎて足面保持性が不安定化して
足の疲れを増加させるので適度の厚みに設定するのが好
ましい。特に好ましい厚みは3mmから5mmである。
【0030】本発明のクッション層を構成する線条の繊
度は特には限定されないが、細過ぎると反発力が劣り、
太すぎると構造が粗くなり触感がゴワゴワしてクッショ
ン性能が劣る。好ましい繊度は1000デシテックス以
上30000デシテックス以下であり、より好ましくは
3000デシテックス以上、20000デシテックス以
下である。クッション層線条の断面形状は特には限定さ
れないが、中空断面や異型断面とすることで好ましい抗
圧縮性やタッチを付与することができるので特に好まし
い。抗圧縮性は繊度や用いる素材のモジュラスにより調
整して繊度を細くしたり、柔らかい素材では中空率や異
型度を高くして初期圧縮応力の勾配を調整できるし、繊
度を太くしたりできる。ややモジュラスの高い素材では
中空率や異型度を低くしたり、繊度を細くして適度の抗
圧縮性を付与する。中空断面や異型断面の他の効果とし
て、中空率や異型度を高くすると同一の抗圧縮性を付与
した場合、軽量化が可能となり好ましい実施形態であ
る。
【0031】本発明インソールのクッション層は表面に
布帛又は不織布を接合することで、足面のタッチを改良
でき、表面の磨耗を防止する効果が得られるので好まし
い実施形態である。使用する布帛又は不織布は特には限
定されないが、抗菌性能と吸湿発熱機能を併せ持ち、ソ
フトで通気性があり、耐磨耗性の良いものを使用するの
が好ましい。あまり硬いものはタッチが悪くなるので避
けるのが望ましい。布帛の例としては、編織物などが例
示できるが、特にはニットなどが柔らかさと通気性の面
から望ましい。不織布としては、ニードルパンチ不織
布、スパンボンド不織布、熱接着不織布、マリフリー
フ、スパンレース不織布、メルトブロー不織布などが例
示できるが、特には、マリフリーフ、スパンボンドをニ
ードルパンチ又はスパンレースしたものなどが柔らかさ
と通気性の面で望ましい。布帛又は不織布の厚みや密度
は特に限定されないが、タッチの改良と湿度移動の容易
さを鑑み、0.5mmから2mmが適当である。しかし
て、以下に述べる通気性を損なう場合は、蒸れ軽減効果
を阻害するので避けるのが好ましい。
【0032】本発明インソールの好ましい実施形態とし
ては、通気性がフラジール法で測定したときの値が20
cm3/秒以上がクッション層のポンプ効果による蒸れ
防止機能を阻害しないので好ましい。20cm3/秒以
下では蒸れをやや感じる場合があり避けるのが望まし
い。
【0033】本発明インソールの好ましい実施形態とし
て、足面の土踏まず部分又は及び指の付け根や叉部分が
凸状に足の形状に沿った形状を有するのが以下の理由で
好ましい。土踏まず部分をソフトに支持することで、足
の疲れを軽減できる。理由は不明だが、偏平足の人で
は、長時間の走行又は歩行による本願実施例で効果があ
った。推測するに、扁平足では、土踏まずを支持させる
ことで、足の骨のアーチが適度に矯正されて疲れにくい
のではないかと思われる。指の付け根部分に突起をつけ
ると、指先の巻き込みが防止できダッシュが効くのでは
ないかと思われる。また、蒸れ軽減効果が認められる。
この理由は、湿気をインソール表面からインソール内部
へ移動されやすいので湿度の高い空気が指の付け根に滞
留し難いためと類推される。
【0034】次ぎに本発明の製法の一例を述べる。抗菌
性及び吸湿発熱性付与のための抗菌剤又は及び吸湿発熱
剤は公知の方法で予め熱可塑弾性樹脂に練り込んだもの
を用いるか、紡糸時直接練り込むか、又は後加工で線条
表面に固着する方法が選択できる。抗菌剤として、銀イ
オンを含有する粒径が50μm以下の溶解性ガラスの粉
末を、30質量%以下練り込む方法では、粒径は好まし
くは20μm以下、より好ましくは10μm以下のもの
を、2質量%以上練り込むのが好ましく、3質量%以上
10質量%以下練り込むのが最も好ましい。粒径は50
μmを越えると紡糸時の孔詰まりを発生したり、背圧上
昇の原因になり好ましくない。添加量は30質量%以上
にすると弾性樹脂の弾性が低下するので好ましくない。
【0035】特開平7−68061号公報等に記載され
た公知の方法でクッション層の三次元ループ構造体は得
られる。例えば、複数のオリフィスを持つ多列ノズルよ
り熱可塑性弾性樹脂をノズルオリフィスに分配し、該熱
可塑性樹脂の融点より10℃以上高く、50℃未満高い
溶融温度で、該ノズルより下方に向け吐出させ、溶融状
態で互いに接触させて融着させ3次元構造を形成しつ
つ、引取り装置で挟み込み冷却槽で冷却せしめた後、引
出し、水切り後又は乾燥して三次元ループ構造体を得
る。次いで、三次元ループ構造体は、所定の形状になる
ように設計された成形型枠で熱プレス成形後、又は同時
に打抜いて本発明のインソール原型を得る。熱成形温度
は、クッション層を構成する素材の融点より20〜50
℃低い温度が好ましい。素材の融点より20未満低い温
度では、構造体の変形が大きくなり過ぎる場合があり好
ましくない。素材の融点より50℃を超える低い温度で
は外側の熱成形形状が充分形成できない場合があり好ま
しくない。
【0036】熱成形に供する三次元ループ構造体の厚み
は少なくともインソールの最大厚み部の厚み以上のもの
を用いて熱プレス成形するのが好ましい。厚みがインソ
ールの最大厚み以下では、所望の凹凸形状にならないの
で好ましくない。次いで、抗菌剤が混練されている場合
は、吸湿発熱剤を固着剤と共に付与して、熱処理等によ
り固着剤を固化させて線条表面に固着させる。抗菌性及
び吸湿発熱性を示す成分の一部又は全部をアクリルニト
リルを85%以上含むアクリル樹脂にヒドラジン処理に
より架橋構造を導入し、窒素含有量の増加が1〜15質
量%であり、加水分解により残存しているニトリル基量
の1mmol/g以上を塩系カルボキシ基に化学変化せ
しめた粒径5μm以下のものを該線条表面に固着剤とし
てウレタン樹脂又は及びアクリル樹脂等を少量の架橋触
媒を併用して含浸ニップにより又は泡加工法等により塗
布し、熱処理等により樹脂を架橋して固着させる。固着
剤は伸縮性を有する樹脂が特に好ましい実施形態であ
る。
【0037】固着形態は、固着剤に埋め込まれ表面に吸
湿発熱剤が露出した状態が好ましい。吸湿発熱剤は、1
質量%以上10質量%付与存在させるのが好ましく、3
質量%以上10質量%付与することで、抗菌性と吸湿発
熱性を同時に満足できるので最も好ましい実施形態であ
る。1質量%以下では、抗菌機能が劣るので抗菌剤を添
加したものを使用する必要がある。0.1質量%以下で
は吸湿発熱機能が劣るので好ましくない。10質量%以
上固着させるためには固着樹脂層を多くする必要があ
り、過剰の吸湿発熱機能となるので好ましくない。
【0038】三次元ループ構造体の表層に布帛又は不織
布を接着剤を塗布又は熱接着不織布等により接合する場
合は、吸湿発熱剤及び又は抗菌吸湿発熱剤は熱プレス前
に行い、熱プレス時に同時に接合する。接合される布
帛、又は不織布は、抗菌性と吸湿発熱性を付与したもの
を使用する。接合する接合剤は、吸湿発熱剤又は及び抗
菌剤の固着剤を併用するのが最も好ましい。
【0039】熱接着により接合する場合は融点が熱プレ
ス温度より少なくとも10低いものを使用するのが好ま
しい。熱プレス温度より10℃未満の融点ではクッショ
ン層と布帛又は不織布が接合しない場合があり好ましく
ない。接合剤の融点が熱プレス温度より50℃以上低い
場合は、接合剤が熱プレス前に流れて接合剤の機能を果
たせない場合があるので、余熱時間と昇温の関係から最
適な余熱時間を設定する必要がある。熱プレス用金型形
状は特には限定されないが、例えば、片面(下面)はフ
ラットで上面の金型を所望の凹凸形状を付与できる打抜
金型にするのが作業性が良好となり好ましい。上面及び
下面の金型は直接加熱で所望温度に設定できるものが好
ましいが、片面で余熱して片面は非加熱でプレス成形し
てもよい。この場合はプレス圧力を約10%程度高くす
るとプレス接合が上下加熱金型で成形したものと同等の
接合状態が得られる。プレス圧力を掛ける方向は特には
限定されないが、上面金型側からプレス圧力を掛けるほ
うが成形打抜きがし易いので好ましい選択である。プレ
ス金型は上面を複数個プレス打抜きできるようにして、
下面はフラット板としたものが生産性が向上するので好
ましい。
【0040】本発明のインソールは、熱プレス成形及び
樹脂による固着熱処理により融点以下の温度で加熱する
ことにより、前記の擬似結晶化処理効果を付与すること
ができるので成形前に積極的にアニーリングを施す必要
はない。疑似結晶化処理温度は、少なくとも融点(T
m)より10℃以上低く、Tanδのα分散立ち上がり
温度(Tαcr)以上で行う。この処理で、融点以下に
吸熱ピ−クを持ち、疑似結晶化処理しないもの(吸熱ピ
−クを有しないもの)より耐へたり性が著しく向上す
る。本発明の好ましい疑似結晶化処理温度は(Tαcr
+10℃)から(Tm−20℃)である。単なる熱処理
により疑似結晶化させると耐熱耐へたり性が向上する。
が更には、10%以上の圧縮変形を付与してアン−リン
グすることで耐熱耐へたり性が著しく向上するのでより
好ましい。かくして得られたインソールは、優れたクッ
ション性と耐久性を有し、蒸れ難く、抗菌性と保温性を
併せ持つインソールである。
【0041】本発明のインソールは、性能を低下させな
い範囲で樹脂製造過程から成形体に加工し、製品化する
任意の段階で防黴、着色、芳香、難燃等の機能付与を薬
剤添加等の処理加工ができる。
【0042】
【実施例】以下に実施例で本発明を詳述する。なお、実
施例中の評価は以下の方法で行った。 ・抗菌性:繊維製品新機能評価協議会が定めた統一試験
方法による評価で、静菌活性値が2.2以上を抗菌消臭
性が付与されたもの、殺菌活性値が0以上のものを制菌
性が付与されているものとした。なお、用いた菌種は、
黄色ぶどう球菌、大腸菌、緑膿菌、肺炎桿菌、MRSA
の5種類である。
【0043】・吸湿発熱性:40℃にて133Pa以下
で16時間真空乾燥した断熱層で囲われたインソール
を、30℃95%RH雰囲気中で吸湿させた時、30分
以内に、インソールの内部又は表面の温度上昇を測定
し、0.3℃未満:×、0.5℃未満:△、0.5℃以
上:○、1.0℃以上:◎で区分した。なお、パネラー
20名に着用試験させて暖かく感じるものは0.5℃以
上の温度上昇があることとの対比で、温度が0.5℃以
上の温度上昇を示すものを吸湿発熱性が合格するとし
た。
【0044】・融点(Tm)および融点以下の吸熱ピ−
ク 島津製作所製TA50,DSC50型示差熱分析計を使
用し、昇温速度20℃/分で測定した吸発熱曲線から吸
熱ピ−ク(融解ピ−ク)温度を求めた。 ・Tαcr ポリマ−を融点+10℃に加熱して、厚み約300μm
のフイルムを作成し、オリエンテック社製バイブロンD
DV・型を用い、110Hz、昇温速度1℃/分で測定
したTanδ(虚数弾性率M”と弾性率の実数部分M’
との比M”/M’)のゴム弾性領域から融解領域への転
移点温度に相当するα分散の立ち上がり温度。
【0045】・見掛け密度 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、4か所の高さ
を測定し、体積を求め試料の重さを体積で徐した値で示
す(n=4の平均値)。 ・線条の繊度 試料を10箇所から各線条部分を切り出し、アクリル樹
脂で包埋して断面を削り出し切片を作成して断面写真を
得る。各部分の断面写真より各部の断面積(Si)を求
める。また、同様にして得た切片をアセトンでアクリル
樹脂を溶解し、真空脱泡して密度勾配管を用いて40℃
にて測定した比重(SGi)を求める。ついで次式より
線状の9000mの重さを求める。(単位cgs) 繊度=〔(1/n)ΣSi×SGi〕×900000
【0046】・接合 試料を目視判断で接合しているか否かを接合している線
条同士を手で引っ張って外れないか否かで外れないもの
を接合していると判断する。 ・耐熱耐久性(70℃残留歪) 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、50%圧縮し
て70℃乾熱中22時間放置後冷却して圧縮歪みを除き
1日放置後の厚みと処理前の厚みの差と処理前の厚みと
の比を%で示す(n=3の平均値)。
【0047】・繰返し圧縮歪 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、島津製作所製
サ−ボパルサ−にて、25℃65%RH室内にて50%
の厚みまで1Hzのサイクルで圧縮回復を繰り返し2万
回後の試料を1日放置後の厚みと処理前の厚みの差と処
理前の厚みとの比を%で示す(n=3の平均値)。
【0048】・履き心地 作成したインソール及び市販のインソールを運動靴に敷
き、パネラー20名に素足で靴を履いてもらい、10℃
の室内で4km相当をランニングマシーンで走行後、室
内で10分休憩させて後に着用感を以下の基準で評価し
た。 (1)クッション性:走行時の足面に感じた衝撃やクッ
ション感を官能評価した。弾力があり足面に衝撃を感じ
ない;◎、弾力があり衝撃をほとんど感じない;○、衝
撃をやや感じる;△、衝撃を顕著に感じる;× (2)蒸れ感:走行後10分休憩して足の感覚として蒸
れた感じを官能的に定性評価した。ほとんど感じない;
◎、わずかに蒸れを感じる;○、やや蒸れを感じる;
△、蒸れを著しく感じる;× (3)暖かさ:走行後10分休憩して足の裏の暖かさを
官能評価した。非常に暖かい;◎、暖かい;○、やや暖
かくない;△、暖かくない;× (4)フィット感:足面へのフィット感を官能評価し
た。フィット感大;◎、フィット感あり;○、フィット
感やや欠ける;△、フィット感なし;× (5)臭気:官能評価後脱いでもらった靴の臭気をパネ
ラー本人が嗅ぎ、以下の官能評価した。臭気なし:◎、
臭気少ない:○、やや臭気あり:△、臭気大:× (6)総合評価:(1)から(5)までの評価の◎を4
点、○を3点、△を2点、×を1点として、15点以上
で△を含まないもの;非常に良い(◎)、15点以上で
△を含むもの、但し(3)の△は含まないもの;良い
(○)、12点以上で×を含まないもの;やや悪い
(△)、× を含むもの;悪い(×)として評価した。
【0049】実施例1 ポリエステル系エラストマーとして、ジメチルテレフタ
レ−ト(DMT)又は、ジメチルナフタレ−ト(DM
N)と1・4−ブタンジオ−ル(1・4BD)を少量の
触媒と仕込み、常法によりエステル交換後、ポリテトラ
メチレングリコ−ル(PTMG)を添加して昇温減圧し
つつ重縮合せしめポリエ−テルエステルブロック共重合
エラストマ−を生成させ、次いで抗酸化剤2%を添加混
合練込み後ペレット化(A−1及びA−2)し、及び、
抗菌剤として酸化銀0.5質量%含有した硼酸系溶解ガ
ラスの粉末をロールミルにて微粉末化して分級し、5μ
m以下のものを真空乾燥して、A−1樹脂ペレットに対
し1質量%を混合し、ニ軸混練機にて練り込み得られた
ペレット(A−3)を、50℃48時間真空乾燥して得
られた熱可塑性弾性樹脂原料の処方を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】幅方向700mm、厚み方向の幅18mm
のノズル有効面にオリフィスの形状は外径2mm、内径
1.6mmでトリプルブリッジの中空形成性断面としたオ
リフィスを孔間ピッチを5mm(5列)の千鳥配列とし
たノズルに、得られた熱可塑性弾性樹脂原料(A−1)
を溶融温度210℃にて、吐出量を350g/分にて、
ノズル下方に吐出させ、ノズル面15cm下に冷却水を
配し、幅100cmのステンレス製エンドレスネットを
平行に10mm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に
一部出るように配して、該溶融状態の吐出線状を曲がり
くねらせル−プを形成して接触部分を融着させつつ3次
元網状構造を形成し、該溶融状態の網状体の両面を引取
りコンベア−で挟み込みつつ毎分1mの速度で25℃の
冷却水中へ引込み固化させ両面をフラット化した後、所
定の大きさに切断して得た熱可塑性弾性樹脂からなる網
状体は断面形状が三角おむすび型の中空断面で中空率が
28%、繊度が5830デシテックスの線条で形成して
おり、平均の見掛け密度が0.050g/cm3のクッ
ション層となる三次元ループ構造体を得た。
【0052】金型は下金型はフラットな平板で280℃
まで加熱できるオイル循環式加熱板を用い、上金型は足
の裏の土踏まず部分(最大厚み8mm)及び指の付け根
部分(最大厚み6mm)が実質的にフラットでなだらか
に凸となるような形状を付与し、足形状の回りを厚み4
mm(打抜き部は1mm)になるように圧着できるよう
にした。160℃に加熱した平板側に離型シートを敷
き、その上に得られた三次元ループ構造体を置き、約5
分放置後、上金型で約2分間圧縮後、抜き取り冷却し、
打抜きは足型のトムソン歯をつけた型で打抜き、クッシ
ョン層表面が実質的にフラット化されたインソール原体
を得た。
【0053】別途、アクリルニトリル500部、アクリ
ル酸メチル40部、P−スチレンスルホン酸ソーダ18
部、水1200部、及び、ジ−ter−ブチルパーオキ
サイド9部をオートクレーブに仕込み、攪拌下150℃
にて20分間重合させ、次いで、攪拌しつつ90℃まで
冷却して、平均粒子径2μm(光散乱光度計で測定)の
微粒子水分散液を得た。この水分散液に浴中濃度が35
%となるようにヒドラジンを加え、102℃で2.5時
間架橋処理し、次いで、苛性ソーダを液中濃度10%と
なるよう添加して102℃で5時間加水分解処理したも
のを、透析、脱塩、乾燥後して、平均粒径2μm、有機
微粒子中の窒素増加量が3.3%、塩型カルボキシル基
4.3mmol/gの吸湿発熱剤微粒子を得た。
【0054】溶剤に溶解されたアクリル樹脂に得られた
吸湿発熱剤を15質量%、及び、酸化銀0.5質量%含
有した硼酸系溶解ガラスの粉末をロールミルにて微粉末
化して分級し、5μm以下のものを真空乾燥した抗菌剤
を10質量%添加混合し、溶剤で低粘度となるように希
釈混合した分散液に、アクリル樹脂比3質量%の架橋触
媒を添加して吸湿発熱剤と固着剤の混合液を得た。得ら
れた混合液に直ちに、前記インソール原体を浸漬させ、
次いで、ニップローラーで絞って、吸湿発熱剤の固着量
が2質量%、(抗菌剤の付着量が1質量%以上)となる
ように調整後、125℃で2分乾燥し、次いで150℃
にて2分熱処理して得たインソールの特性を表2に示
す。得られたインソールは、本発明要件を満足するた
め、抗菌性及び吸湿発熱性を示し、履き心地は良好で、
耐久性も良好であった。
【0055】
【表2】
【0056】実施例2 固着剤中に抗菌剤を添加せず、吸湿発熱剤の固着量を4
質量%とした以外、実施例1と同様の方法で得たインソ
ールの特性を表2に示す。本発明要件を満足する実施例
2は抗菌性及び吸湿発熱性を示し、履き心地は良好で、
耐久性も良好であった。
【0057】実施例3 ポリマーにA−2を用い、紡糸温度を240℃とした以
外、実施例1と同様にして得た単繊維繊度が6380デ
シテックス、中空率が21%の線条からなる網状構造体
を用い、上金型は全面フラットで4mm(打抜き部は1
mm)となるようにしたものを用いて、熱成形温度を1
90℃とした以外、実施例1と同様にして得たインソー
ルの特性を表2に示す。本発明要件を満足する実施例2
は抗菌性及び吸湿発熱性を示し、履き心地、耐久性も良
好なインソールである。
【0058】実施例4 ポリマーにA−3を用いた以外、実施例1と同様にして
得たインソール原体に、吸湿発熱剤の固着量を0.5質
量%とした以外、実施例2と同様にして得られたインソ
ールの特性を表2に示す。本発明要件を満足する実施例
2は抗菌性及び吸湿発熱性を示し、履き心地、耐久性も
良好なインソールである。
【0059】比較例1 市販のクッション層がゴム製で表層が綿布を貼り付け消
臭抗菌表示があり、4個/cm2の孔をあけた、厚み3
mmのインソールを用いて評価した結果を表2に示す。
本発明要件を外れる比較例1は、耐久性は優れるが、抗
菌性は劣り、吸湿発熱性がなく、履き心地は悪いインソ
ールであった。
【0060】比較例2 メルトインデックス50のポリプロピレンを用いた以
外、実施例1と同様にして得た網状構造体をクッション
層として、熱成形温度を145℃とした以外、実施例3
と同様にして得たインソールの特性を表2に示す。耐久
性と履き心地が劣るインソールであった。
【0061】比較例3 実施例3で得たインソールを揉み解して接合不良とした
インソールの特性を表3に示す。接合不良により、履き
心地がやや劣るインソールであった。
【0062】
【表3】
【0063】比較例4 吸湿発熱剤の固着量を0.1質量%とした以外、実施例
2と同様にして得たインソールの特性を表3に示す。抗
菌性と吸湿発熱性及び履き心地が本発明実施例1〜実施
例4よりやや劣るインソールであった。
【0064】
【発明の効果】振動や応力吸収性の良い熱可塑性弾性樹
脂からなる多数の線条ループが互いの接触部の大部分で
接合した構造体をクッション層とし、該線条に抗菌性及
び吸湿発熱性を付与したインソールは、優れたクッショ
ン性と耐久性を有し、蒸れ難く、抗菌性と保温性を併せ
持つインソールを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林原 幹也 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4F050 AA01 AA06 EA11 EA14 HA37 HA56 HA59 HA60 HA85 HA91 HA96

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性弾性樹脂からなる線条がループ
    を形成して、互いの接触部の大部分が接合し、抗菌性及
    び吸湿発熱性を示す成分が前記線条表面に付与された構
    造体をクッション層とすることを特徴とするインソー
    ル。
  2. 【請求項2】 前記抗菌性及び吸湿発熱性を示す成分の
    一部又は全部がアクリルニトリルを85%以上含むアク
    リル樹脂にヒドラジン処理により架橋構造を導入し、窒
    素含有量の増加が1〜15質量%であり、加水分解によ
    り残存しているニトリル基量の1mmol/g以上を塩
    系カルボキシ基に化学変化せしめた粒径5μm以下のも
    のであることを特徴とする請求項1記載のインソール。
  3. 【請求項3】 前記抗菌性を示す成分が銀イオンを含有
    する粒径が50μm以下の溶解性ガラスの粉末であるこ
    とを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のインソ
    ール。
  4. 【請求項4】 フラジール法による通気量が20cm3
    /cm秒以上である請求項1〜3のいずれかに記載のイ
    ンソール。
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WO2006046518A1 (ja) * 2004-10-25 2006-05-04 Bando Chemical Industries, Ltd. 伝動ベルト
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KR200472962Y1 (ko) 2013-09-30 2014-06-03 정태주 발열 팩이 저면에 설치된 안창

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006046518A1 (ja) * 2004-10-25 2006-05-04 Bando Chemical Industries, Ltd. 伝動ベルト
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