JP3585003B2 - ベットマット及びその製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、優れたクッション性と耐久性及び蒸れ難く、折り曲げ性にも優れ、洗濯が可能で、洗濯後の水切り性も良好で乾燥が早く、常に清潔性を保持できる一般家庭用、病院用及びホテル用等のベットに最適なベットマット及び、敷布団等のクッション材にも適したベットマットに関する。
【0002】
【従来技術】
現在、ベッド用のベットマットはクッション層に硬鋼線スプリング又は発泡スチロール等の発泡体を用い、ワディング層に発泡ウレタンや非弾性捲縮繊維を接着した樹脂綿や硬綿などが積層一体化されたもの、及びクッション体が同一組成のウレタン等の発泡体や非弾性捲縮繊維を接着した樹脂綿又は硬綿のみで構成されたものが使用されている。
【0003】
しかしながら、クッション層に硬鋼線スプリングを用いたものは、サポ−ト性は著しく優れているが、折り曲げ性に劣り、又、廃棄時に硬鋼線スプリングを分離して処理するための煩雑さが大きい問題となっている。クッション層又はワディング層又はクッション体に発泡−架橋型ウレタンを用いたものは、クッション体としての耐久性は極めて良好だが、透湿透水性に劣り蓄熱性があるため蒸れやすく、折り曲げ性もやや劣り、かつ、熱可塑性では無いためリサイクルが困難となり焼却される場合、焼却炉の損傷が大きく、かつ、有毒ガス除去に経費が掛かる。このため埋め立てされることが多くなったが、地盤の安定化が困難なため埋め立て場所が限定され経費も高くなっていく問題がある。また、加工性は優れるが製造中に使用される薬品の公害問題などもある。また、最近、病院用ベットがMRSA等の温床となる問題からベットマットの洗濯が必要だが、透水性に劣るウレタンは洗濯ができないため社会問題になっている。
【0004】
クッション層又はワディング層又はクッション体がポリエステル繊維を接着剤で接着した樹脂綿、例えば接着剤にゴム系を用いたものとして特開昭60−11352号公報、特開昭61−141388号公報、特開昭61−141391号公報等がある。又、架橋性ウレタンを用いたものとして特開昭61−137732号公報等がある。これらをクッション層又はワディング層に用いたものは、通気性をよくして蒸れを軽減できるが、耐久性と折り曲げ性に劣り、且つ、熱可塑性でなく、単一組成でもないためリサイクルも出来ない等の問題、及び加工性の煩雑さや製造中に使用される薬品の公害問題などもある。また、洗濯は可能だが、水切り性が悪い問題がある。
【0005】
クッション層又はワディング層又はクッション体にポリエステル硬綿、例えば特開昭58−31150号公報、特開平2−154050号公報、特開平3−220354号公報等があるが、用いている熱接着繊維の接着成分が脆い非晶性のポリマ−を用いるため(例えば特開昭58−136828号公報、特開平3−249213号公報等)接着部分が脆く、使用中に接着部分が簡単に破壊されて形態や弾力性が低下するなどの耐久性が劣る問題がある。更に折り曲げ性が劣るものである。また、洗濯は可能だが、水切り性が悪い問題がある。耐久性の改良法として、交絡処理する方法が特開平4−245965号公報等で提案されているが、接着部分の脆さは解決されず弾力性の低下が大きく、折り曲げ性も劣る問題がある。また、加工時の煩雑さもある。更には接着部分が変形しにくくソフトなクッション性を付与しにくい問題もある。このため、接着部分を柔らかい、且つある程度変形しても回復するポリエステルエラストマ−を用い、芯成分に非弾性ポリエステルを用いた熱接着繊維が特開平4−240219号公報で、同繊維を用いたクッション体がWO−91/19032号公報、特開平5−156561号公報、特開平5−163654号公報等で提案されている。この繊維構造物に使われる接着成分がポリエステルエラストマ−のソフトセグメントとしてはポリアルキレングリコ−ルの含有量が30〜50重量%、ハ−ドセグメントの酸成分にテレフタル酸を50〜80モル%含有し、他の酸成分組成として特公昭60−1404号公報に記載された繊維と同様にイソフタル酸を含有して非晶性が増すことになり、融点も180℃以下となり低溶融粘度として熱接着部分の形成を良くしてアメーバー状の接着部を形成しているが塑性変形しやいため、及び芯成分が非弾性ポリエステルのため、特に加熱下での塑性変形が著しくなり、耐熱抗圧縮性が低下する問題点、及び折り曲げ性が劣り、洗濯は可能だが、水切り性が悪い問題点がある。耐久性を更なる改良法として、特開平5−163654号公報にシ−ス成分にイソフタル酸を含有するポリエステルエラストマ−、コア成分に非弾性ポリエステルを用いた熱接着複合繊維のみからなる構造体が提案されているが上述の理由で加熱下での塑性変形が著しくなり、耐熱抗圧縮性が低下し、クッション体に使用するには問題がある。又、硬綿の母材にシリコ−ン油剤を付与して繊維の摩擦係数を下げて耐久性を向上し、風合いを良くする方法が特開昭63−158094号公報で提案されている。が、熱接着繊維の接着性に問題があり、耐久性が劣るのでクッション体に使用するには好ましくない。他方、折り曲げ性の改良法として、折り畳み構造にする方法が特開昭55−36373号公報、特開平2−142513号公報、特開平5−3894号公報等で提案されているが、折り曲げ性は改良されたが、耐久性や洗濯時の問題は何ら改良されず、クッション体として用いるには問題が多いものである。又、折り曲げ部分に空洞を作って折り曲げ性を改良したものとして、例えば特開平5−285031号公報等があるが、ウレタン等の発泡体の問題、又は硬綿の問題を何ら解決できていない。
【0006】
土木工事用に使用する熱可塑性のオレフィン網状体が特開昭47−44839号公報に開示されている。それらを用いたクッション体として、実開昭58−93270号公報に硬い構造と柔らかな構造を積層されたものが実開昭58−95760号公報には、硬い構造の網状体内部に空調部を有するもの、実開昭58−105714号公報には硬い構造と推測される網状体を用いたもの記載されているが、耐熱耐久性や寝心地及び軽量化や洗濯性などの取扱性には何ら配慮されていない。特開昭58−109670号公報には、片面に凹凸を有する網状体が提案されているが、細い繊維から構成したクッションとは異なり表面が凸凹でタッチが悪く、耐熱耐久性や寝心地及び軽量化や洗濯性などの取扱性には何ら配慮されていない。特開平6−327723号公報には、洗浄パイプや通気管等を装着可能な孔部を有する網状体が開示されているが、素材がオレフィンのため耐熱耐久性が著しく劣り、軽量化や洗濯性などの取扱性にも何ら配慮されておらずワディング層やクッション材には使用ができないものである。また、特公平3−17666号公報には繊度の異なる吐出線条を互いに融着してモ−ル状物を作る方法も開示されているがクッション材には適さない網状構造体である。特公平3−55583号公報には、ごく表面のみ冷却前に回転体等の細化装置で細くする方法が記載されている。この方法では表面をフラット化できず、厚みのある細い線条層を作ることできない。したがって座り心地の良好なクッション材にはならない。特開平1−207462号公報では、塩化ビニ−ル製のフロアマットの開示があるが、室温での圧縮回復性が悪く、耐熱性は著しく悪いので、クッション材としては好ましくないものである。なお、上述構造体はベットマットに関する配慮が全くなされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題点を解決し、耐熱耐久性、形態保持性、クッション性に優れ、蒸れ難く、折り曲げ性も良好で使い易く、火災時に有毒ガスの発生が少なく、難燃性で、MRSA等の雑菌を除去するための洗濯ができて水切り性の良好な、更には、リサイクルも可能なベット用に最適なクッション体及び敷布団や家具用にも適するクッション体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段、即ち、本発明は、クッション層の少なくとも上面にワディング層が積層され、且つ、全体面が側地で被われたベットマットであり、クッション層は、熱可塑性弾性樹脂からなる線径が5mm以下の連続した線条を曲がりくねらせランダムループを形成し、それぞれのループの接触部の大部分が融着されてなる三次元立体構造網状体で形成され、該三次元立体構造網状体は上、下両面が実質的にフラット化されており、見掛密度が0.05〜0.1g/cm、厚みが5mm以上であり、ワディング層は、熱可塑性樹脂からなる繊維を用いたダブルラッセルニットからなり、該ワディング層の見掛密度が0.2g/cm以下であることを特徴とするベットマットである。更には、クッション層を構成する熱可塑性弾性樹脂が、室温での300%伸長後の回復率(室温伸長回復率)が20%以上、70℃での10%伸長を24時間保持した後の回復率(70℃伸長回復率)が30%以上であるベットマットであり、クッション層を構成する網状体の線径が0.01mm以上、見掛けの密度が0.01g/cmから0.08g/cm、厚みが10mm以上であるベットマットであり、クッション層を構成する網状体の線径が0.05mm以上2mm以下、見掛けの密度が0.02g/cmから0.06g/cm、厚みが20mm以上500mm以下であるベットマットであり、ワディング層の空隙率が90%以上で厚みが2mm以上10mm以下であるベットマットであり、クッション層とワディング層が熱可塑性樹脂で熱融着により接合一体化したベットマットであり、クッション層に熱可塑性弾性樹脂からなる成分を示差走査型熱量計で測定した融解曲線に室温以上融点以下の温度に吸熱ピ−クを持つ網状体を用いたベットマットであり、クッション層を構成する網状体の該線条の断面形状が中空断面又は及び異形断面であるベットマットであり、通気度が50cc/cm秒以上であるベットマットであり、クッション層を構成する熱可塑性弾性樹脂及びワディング層を構成する熱可塑性樹脂がポリエステルであるベットマットであり、熱可塑性樹脂からなる繊維で形成された側地を被せて構成したベットマットであり、複数のオリフィスを持つ多列ノズルより熱可塑性弾性樹脂をその融点より20〜80℃高い溶融温度で、該ノズルより下方に向けて吐出させ、溶融状態で連続線条のループを形成し、それぞれのループを互いに接触し、融着させ3次元構造を形成しつつ、引取り装置で挟み込み冷却槽で冷却せしめた後、得られた三次元構造体の上、下両面又は片面に熱可塑性樹脂からなるダブルラッセルニットを積層し、側地を被せるベットマットの製法であり、網状体を形成する時、引取ネットにダブルラッセルニットを同時に供給して該網状体表面に溶融接着させてクッション体を形成するベットマットの製法であり、製品化に至る任意の工程で網状体を構成する熱可塑性弾性樹脂の融点より少なくとも10℃以下の温度でアニ−リングよる疑似結晶化処理を行うベットマットの製法である。
【0009】
本発明に於ける熱可塑性樹脂とは、加熱により可塑性が現れて自由に変形できるようになり、また冷却すれば再び固くなり、しかも此の間にほとんど化学変化を起こさないような性質を有する高分子からなる樹脂をいう。本発明に用いる熱可塑性樹脂の例は、以下に詳述する熱可塑性弾性樹脂及び熱可塑性非弾性樹脂が好ましい。
【0010】
本発明における熱可塑性弾性樹脂とは、ソフトセグメントとして分子量300〜5000のポリエ−テル系グリコ−ル、ポリエステル系グリコ−ル、ポリカ−ボネ−ト系グリコ−ルまたは長鎖の炭化水素末端をカルボン酸または水酸基にしたオレフィン系化合物等をブロック共重合したポリエステル系エラストマ−、ポリアミド系エラストマ−、ポリウレタン系エラストマ−、ポリオレフィン系エラストマ−などが挙げられる。熱可塑性弾性樹脂とすることで、再溶融により再生が可能となるため、リサイクルが容易となる。例えば、ポリエステル系エラストマ−としては、熱可塑性ポリエステルをハ−ドセグメントとし、ポリアルキレンジオ−ルをソフトセグメントとするポリエステルエ−テルブロック共重合体、または、脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするポリエステルエステルブロック共重合体が例示できる。ポリエステルエ−テルブロック共重合体のより具体的な事例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン2・6ジカルボン酸、ナフタレン2・7ジカルボン酸、ジフェニル4・4’ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1・4シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、琥珀酸、アジピン酸、セバチン酸ダイマ−酸等の脂肪族ジカルボン酸または、これらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1・4ブタンジオ−ル、エチレングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、テトレメチレングリコ−ル、ペンタメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル等の脂肪族ジオ−ル、1・1シクロヘキサンジメタノ−ル、1・4シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族ジオ−ル、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオ−ル成分の少なくとも1種、および平均分子量が約300〜5000のポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体からなるグリコ−ル等のポリアルキレンジオ−ルのうち少なくとも1種から構成される三元ブロック共重合体である。ポリエステルエステルブロック共重合体としては、上記ジカルボン酸とジオ−ル及び平均分子量が約300〜5000のポリラクトン等のポリエステルジオ−ルのうち少なくとも各1種から構成される三元ブロック共重合体である。熱接着性、耐加水分解性、伸縮性、耐熱性等を考慮すると、ジカルボン酸としてはテレフタル酸、または、及びナフタレン2・6ジカルボン酸、ジオ−ル成分としては1・4ブタンジオ−ル、ポリアルキレンジオ−ルとしてはポリテトラメチレングリコ−ルの3元ブロック共重合体または、ポリエステルジオ−ルとしてポリラクトンの3元ブロック共重合体が特に好ましい。特殊な例では、ポリシロキサン系のソフトセグメントを導入したものも使うこたができる。また、上記エラストマ−に非エラストマ−成分をブレンドされたもの、共重合したもの、ポリオレフィン系成分をソフトセグメントにしたもの等も本発明の熱可塑性弾性樹脂に包含される。ポリアミド系エラストマ−としては、ハ−ドセグメントにナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12等及びそれらの共重合ナイロンを骨格とし、ソフトセグメントには、平均分子量が約300〜5000のポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体からなるグリコ−ル等のポリアルキレンジオ−ルのうち少なくとも1種から構成されるブロック共重合体を単独または2種類以上混合して用いてもよい。更には、非エラストマ−成分をブレンドされたもの、共重合したもの等も本発明に使用できる。ポリウレタン系エラストマ−としては、通常の溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)の存在または不存在下に、(A)数平均分子量1000〜6000の末端に水酸基を有するポリエ−テル及び又はポリエステルと(B)有機ジイソシアネ−トを主成分とするポリイソシアネ−トを反応させた両末端がイソシアネ−ト基であるプレポリマ−に、(C)ジアミンを主成分とするポリアミンにより鎖延長したポリウレタンエラストマ−を代表例として例示できる。(A)のポリエステル、ポリエ−テル類としては、平均分子量が約1000〜6000、好ましくは1300〜5000のポリブチレンアジペ−ト共重合ポリエステルやポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体からなるグリコ−ル等のポリアルキレンジオ−ルが好ましく、(B)のポリイソシアネ−トとしては、従来公知のポリイソシアネ−トを用いることができるが、ジフェニルメタン4・4’ジイソシアネ−トを主体としたイソシアネ−トを用い、必要に応じ従来公知のトリイソシアネ−ト等を微量添加使用してもよい。(C)のポリアミンとしては、エチレンジアミン、1・2プロピレンジアミン等公知のジアミンを主体とし、必要に応じて微量のトリアミン、テトラアミンを併用してもよい。これらのポリウレタン系エラストマ−は単独又は2種類以上混合して用いてもよい。なお、本発明の熱可塑性弾性樹脂の融点は耐熱耐久性が保持できる140℃以上が好ましく、160℃以上のものを用いると耐熱耐久性が向上するのでより好ましい。なお、本発明のベットマットを構成する網状体は好ましい実施形態として難燃性を付与するため燐系化合物を含有させるので、熱安定性が難燃剤を含有しないものよりやや劣るので、必要に応じ、抗酸化剤等を添加して耐熱性や耐久性を向上させるのが特に好ましい。抗酸化剤は、好ましくはヒンダ−ド系抗酸化剤としては、ヒンダ−ドフェノ−ル系とヒンダ−ドアミン系があり、窒素を含有しないヒンダ−ドフェノ−ル系抗酸化剤を1%〜5%添加して熱分解を抑制すると燃焼時の致死量が少ない有毒ガスの発生を抑えられるので特に好ましい。本発明の目的である好ましい耐久性とクッション性を兼備できるベットマットになるクッション層を構成する熱可塑性弾性樹脂の後述する方法で測定した伸長回復性は、室温での300%伸長後の回復率(室温伸長回復率)は20%以上、70℃での10%伸長を24時間保持した後の回復率(70℃伸長回復率)は30%以上であり、より好ましくは、室温伸長回復率が30%以上、70℃伸長回復率が40%以上であり、最も好ましくは、室温伸長回復率が40%以上、70℃伸長回復率が50%以上とする。このような伸長回復性を付与する成分を構成する熱可塑性弾性樹脂のソフトセグメント含有量は好ましくは15重量%以上、より好ましくは30重量%以上であり、耐熱耐へたり性からは80重量%以下が好ましく、より好ましくは70重量%以下である。即ち、本発明の弾性網状体の振動や応力の吸収機能をもたせる成分のソフトセグメント含有量は好ましくは15重量%以上80重量%以下であり、より好ましくは30重量%以上70重量%以下である。
【0011】
本発明ベットマットの好ましい実施形態として難燃性を付与する必要から、熱可塑性弾性樹脂中に燐含有量(Bppm)がソフトセグメント含有量(A重量%)に対し、60A+200≦B≦100000の関係を満足するのが良い。満足しない場合は難燃性が劣るの場合がある。100000ppmを越えると可塑化効果による塑性変形が大きくなり熱可塑性弾性樹脂の耐熱性が劣るので好ましくない。好ましい燐含有量(Bppm)はソフトセグメント含有量(A重量%)に対し、30A+1800≦B≦100000であり、より好ましい燐含有量(Bppm)はソフトセグメント含有量(A重量%)に対し、16A+2600≦B≦50000である。難燃性は多量のハロゲン化物と無機物を添加して高度の難燃性を付与する方法があるが、燃焼時に致死量の少ない有毒なハロゲンガスを多量に発生し、火災時の中毒の問題があり、焼却時には、焼却炉の損傷が大きくなるので、本発明では、好ましいハロゲン化物の含有量は10重量%以下、より好ましいハロゲン化物の含有量は5重量%以下、最も好ましくはハロゲン化物を含有しないものである。本発明の燐系難燃剤としては、例えば、ポリエステル系熱可塑性弾性樹脂の場合、樹脂重合時に、ハ−ドセグメント部分に難燃剤として、例えば特開昭51−82392号公報等に記載された10〔2・3・ジ(2・ヒドロキシエトキシ)−カルボニルプロピル〕9・10・ジヒドロ・9・オキサ・10ホスファフェナレンス・10オキシロ等のカルボン酸をハ−ドセグメントの酸成分の一部として共重合したポリエステル系熱可塑性弾性樹脂とする方法や、熱可塑性弾性樹脂に後工程で、例えば、トリス(2・4−ジ−t−ブチルフェニル)フスファイト等の燐系化合物を添加して難燃性を付与することができる。その他、難燃性を付与できる難燃剤としては、各種燐酸エステル、亜燐酸エステル、ホスホン酸エステル(必要に応じハロゲン元素を含有する上記燐酸エステル類)、もしくはこれら燐化合物から誘導される重合物が例示できる。本発明は、熱可塑性弾性樹脂中に各種改質剤、添加剤、着色剤等を必要に応じて添加できる。本発明ベットマットを構成するクッション層の網状体やワディング層の接着成分に難燃性を付与するために燐を含有させており、この理由は、上記している如く、安全性の観点から、火災時に発生するシアンガス、ハロゲンガス等の致死量の少ない有毒ガスをできるだけ少なくすることにある。このため、本発明ベットマットを構成する網状体やワディング層及び補強層の燃焼ガスの毒性指数は好ましくは6以下、より好ましくは5.5以下である。また、側地又は補強層にポリエステル繊維を使用する場合、好ましくはポリエステル系熱可塑性弾性樹脂とすることで分別せずに再生リサイクルができる。
【0012】
本発明のベットマットを構成する熱可塑性弾性樹脂からなる成分は、示差走査型熱量計にて測定した融解曲線において、融点以下に吸熱ピ−クを有するのが好ましい。融点以下に吸熱ピ−クを有するものは、耐熱耐へたり性が吸熱ピ−クを有しないものより著しく向上する。例えば、本発明の好ましいポリエステル系熱可塑性樹脂として、ハ−ドセグメントの酸成分に剛直性のあるテレフタル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸などを90モル%以上含有するもの、より好ましくはテレフタル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸の含有量は95モル%以上、特に好ましくは100モル%とグリコ−ル成分をエステル交換後、必要な重合度まで重合し、次いで、ポリアルキレンジオ−ルとして、好ましくは平均分子量が500以上5000以下、特に好ましくは1000以上3000以下のポリテトラメチレングリコ−ルを15重量%以上70重量%以下、より好ましくは30重量%以上60重量%以下共重合量させた場合、ハ−ドセグメントの酸成分に剛直性のあるテレフタル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸の含有量が多いとハ−ドセグメントの結晶性が向上し、塑性変形しにくく、かつ、耐熱抗へたり性が向上するが、溶融熱接着後更に融点より少なくとも10℃以上低い温度でアニ−リング処理するとより耐熱抗へたり性が向上する。圧縮歪みを付与してからアニ−リングすると更に耐熱抗へたり性が向上する。このような処理をした網状体を示差走査型熱量計で測定した融解曲線に室温以上融点以下の温度で吸熱ピークをより明確に発現する。なおアニ−リングしない場合は融解曲線に室温以上融点以下に吸熱ピ−クを発現しない。このことから類推するに、アニ−リングにより、ハ−ドセグメントが再配列され、疑似結晶化様の架橋点が形成され、耐熱抗へたり性が向上しているのではないかとも考えられる。(この処理を疑似結晶化処理と定義する)この疑似結晶化処理効果は、ポリアミド系弾性樹脂やポリウレタン系弾性樹脂にも有効である。
【0013】
本発明における熱可塑性非弾性樹脂とは、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等が例示できる。なお、本発明ではガラス転移点温度が少なくとも40℃以上のものを使用するのが好ましい。例えば、ポリエステルでは、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレ−ト(PCHDT)、ポリシクロヘキシレンジメチレンナフタレ−ト(PCHDN)、ポリブチレンテレフタレ−ト(PBT)、ポリブチレンナフタレ−ト(PBN)、ポリアリレ−ト等、及びそれらの共重合ポリエステル等が例示できる。ポリアミドでは、ポリカプロラクタム(NY6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(NY66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(NY6−10)等が例示できる。ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン・1(PB・1)等が例示できる。本発明に用いる熱可塑性非弾性樹脂としては、クッション材の側地にポリエステルを用いる場合が多いので、廃棄する場合に分離せずにリサイクルが可能なクッション素材として、耐熱性も良好なPET、PEN、PBN、PCHDT等のポリエステルが特に好ましい。更には、PET、PEN、PBN、PCHDT等と重縮合して燐含有エステル形成性化合物を共重合または燐含有難燃剤を含有してなる難燃性ポリエステル(以下難燃性ポリエステルと略す)が好ましく、例えば、特開昭51−82392号公報、特開昭55−7888号公報、特公昭55−41610号公報等に例示されたものが挙げられる。なお、塩化ビニ−ルは自己消火性を有するが燃焼すると有毒ガスを多く発生すること、及び耐熱耐久性が劣るので本発明に用いるのは好ましくない。
【0014】
本発明ベットマットの基本のクッション層は、繊径が5mm以下の熱可塑性弾性樹脂からなる連続した線条を曲がりくねらせ互いに接触させて該接触部の大部分が融着一体化された3次元立体構造体を形成し、両面が実質的にフラット化された網状体のため、ワディング層を介して外部から与えられた変形、特には局部的に大きい変形応力が与えられた場合でも、フラット化された網状体の面で変形応力を受け止め変形応力を分散させ、熱可塑性弾性樹脂からなる線条が3次元立体構造体を形成し融着一体化されているので、構造体全体が変形してエネルギ−変換により変形応力を吸収させることによりゴム弾性による低い反発力で変形応力を受け止めるので、極端な局部的沈み込みを防止し、人体に対し柔らかな把持力で体型を支えることができる好ましい体型保持機能を発現する。ベットマットでは振動吸収機能も要求される。本発明の網状体からなるクッション層は、ベットイン時や寝返り時に外部から与えられた振動を熱可塑性弾性樹脂の振動吸収機能で大部分の振動を吸収減衰し、好ましい振動吸収機能も発現する。変形応力が解除されると熱可塑性弾性樹脂のゴム弾性で容易に元の形態に回復する機能があるので耐へたり性も良好である。更に、空隙率が高く、通気孔径が著しく大きいので通気抵抗が低く通気性が著しく良好であり、寝返り等による変形応力の変化を受けると熱可塑性弾性樹脂のゴム弾性を有する線条が3次元立体構造体を形成し融着一体化されているので、構造体全体が変形により圧縮回復してワディング層を介して透過したクッション層中に溜まった蒸気や熱を含む空気を圧縮時排出し、回復時新鮮な外気と入替えるポンプ機能を有するため、ワディング層とクッション層間の熱及び蒸気の移動が容易となり蒸れ難くい快適な寝心地を提供できるベットマットである。この目的から、本発明の網状体を形成する振動吸収性と弾性回復性の良い熱可塑性弾性樹脂からなる線条の線径は5mm以下である。見掛け密度を0.2g/cm以下にした場合、5mmを越えると構成本数が少なくなり、密度斑を生じて部分的に耐久性の悪い構造ができ、応力集中による疲労が大きくなり耐久性が低下するので好ましくない。本発明の熱可塑性弾性樹脂からなる線条の線径が細すぎると抗圧縮性が低くなり過ぎて変形による応力吸収性が低下するので0.01mm以上であり、構成本数の低下による構造面の緻密性を損なわない3mm以下である。より好ましくは0.05mm以上、2mm以下である。本発明の網状体を形成する連続線条のランダムループの平均直径は好ましくは50mm以下、特に2〜25mmとするのが目的を達成するためには好ましい。本発明の網状体の見掛け密度は、0.005g/cmでは反発力が失われ、変形応力吸収能力や振動吸収能力が不充分となりクッション機能を発現させにくくなる場合があり、0.25g/cm以上では反発力が高すぎて座り心地が悪くなる場合があるが、本発明では軽量化して取扱性を向上させる目的で0.10g/cm以下である。振動吸収能力や変形応力吸収機能が生かせてクッション体としての機能が発現されやすい0.01g/cm以上0.08g/cm以下が好ましく、より好ましくは0.02g/cm以上0.06g/cm以下である。本発明における網状体は線径の異なる線状を見掛け密度との組合せで最適な構成とする異繊度積層構造とする方法も好ましい実施形態として選択できる。本発明の網状体の厚みは5mm以上が必要である。厚みが5mm未満では応力吸収機能と応力分散機能が低下するので好ましくない。好ましい厚みは力の分散をする面機能と振動や変形応力吸収機能が発現できる厚みとして10mm以上であり、より好ましくは20mm以上500mm以下である。単板で厚みが500mm以上になると後述する折り曲げ性が低下するので、より厚いクッション層を所望する場合は、所望に応じて500mm以下、好ましくは200mm以下の薄い厚みのクッション層を非接合の状態で積層することで折り曲げ性を損なうことを抑えることができる。厚みが500mm以下となるように積層する場合、界面を接合しても良く、非接合でも面がフラットなので応力の伝達が面で伝達されるので変形対応性に支障はない。網状体の表面が実質的にフラット化されてない場合、ワディング層から伝達される局部的な外力は、変形応力を面で受けることが出来ず、表面の線条及び接着点部分までに選択的に伝達され、変形応力を分散させる機能が低下するので、応力集中が発生する場合があり、このような外力に対しては応力集中による疲労が発生して耐へたり性が低下する場合がある。なお、該線条が熱可塑性弾性樹脂からなる場合は3次元構造部分で構造全体が変形するので応力集中は緩和されるが、へたりが進行するに伴い体型保持機能も低下する。非弾性樹脂では、そのまま応力が接着点に集中して構造破壊を生じ回復しなくなる。更には、表面が実質的にフラット化されてなく凸凹があると寝た時背部や臀部等に異物感を与えるため寝心地が悪くなり好ましくない。なお、線状が連続していない場合は、線条の接着点が応力の伝達点となるため接着点に著しい応力集中が起こり構造破壊を生じ耐熱耐久性が劣り好ましくない。構造破壊しない段階でも抗圧縮性が劣り、体型保持性が劣る問題があり、この問題を解決するため密度を高くすると、空隙率の低下と共に通気性も低下して快適性が低下し、重量も重くなり取扱性が著しく劣る。融着していない場合は、形態保持が出来ず、構造体が一体で変形しないため、応力集中による疲労現象が起こり耐久性が劣ると同時に、形態が変形して体型保持ができなくなるので好ましくない。本発明クッション層のより好ましい融着の程度は、線条が接触している部分の大半が融着した状態であり、もっとも好ましくは接触部分が全て融着した状態である。公知の非弾性樹脂のみからなる線条で構成した網状体では、表面層で吸収できない大きい変形応力を受けるとゴム弾性を持たないので変形しにくく大きい反発力を示すため、適度の沈み込みが起こらず、強い反発力を示すので不快な体型支持感を与え好ましくない体型保持機能を発現する。更に、圧縮変形により塑性変形を生じて回復しなくなり耐久性も劣る。更に、圧縮回復によるポンプ機能が殆ど有しないので蒸れ低減化機能が劣る。架橋性発泡ポリウレタンでは、振動吸収機能や耐へたり性は弾性樹脂のため良好であるが、応力伝達が容易な構造のため、局部的な変形に容易に追随して極端な局部的沈み込みを発生し、体型保持機能が劣る。又、発泡ポリウレタンは通気性が極めて劣るため蒸れ易く、快適な寝心地が得られないベットマットとなるクッション層である。本発明ベットマットは通気性をより高め、鬱血を防止し、クッション材をそのまま溶融再生してリサイクルも可能とする目的で、ワディング層に熱可塑性樹脂からなる繊維を使用したのダブルラッセルニットをクッション層の両面又は表面側の片面に積層する。積層されるダブルラッセルニットは、表面がル−プで構成され、織物のように緻密な構造ではないので、変形圧力に追随できる自由度が大きく、僅かな変化でも圧縮力を支える接触点の移動がおこり、体表の圧縮点が変化し鬱血しにくいワディング機能と、中間層が低密度化されており、通気性が極めて良好であり、熱と蒸気の移動が容易になり蒸れ難くなる。前記クッション層との積層構造は構造全体で圧縮応力を受け止め変形するが、人体と接する局所的な高圧縮応力点をクッション層が網状構造の荒い梁でしか受け止めないので、体表の高圧縮応力点がダブルラッセルニットのみより更に低減し、より鬱血しにくいワディング機能を発現できる。更に、クッション層が新鮮な空気を入れ換えるポンプ機能を持つので、ベットマット表面の熱と蒸気の移動が著しく早く起こる相乗効果で非常に蒸れにくいベットマットとなる。それらの機能は蒸れを抑え、鬱血を低減化し、側地を介して新鮮な空気を皮膚面に送ることにより、相乗効果として床擦れ防止に有効に作用する。特に顕著なこの様な効果を付与するには側地を介してクッション層側面から排気される空気の通気度を50cc/cm秒以上とできる構成にするのが望ましい。この事は、外気の温度や湿度が高くなる夏にも涼しいベットマットを提供することができる。本発明のワディング層を構成するダブルラッセルニットの密度は込み過ぎると高圧縮応力支持面積の増加による鬱血防止機能の低下と通気性が劣り蒸れ防止効果も低下するので見掛け密度が0.2g/cm以下が必要である。見掛け密度が低すぎると抗圧縮性が低下してワディング層の機能が低下するので、好ましい見掛け密度は0.01g/cm以上0.1g/cm以下で空隙率が90%以上、より好ましくは見掛け密度は0.04g/cm以上0.06g/cm以下で空隙率が95%以上である。ダブルラッセルニットの厚みは、2mm未満ではワディング層機能が低下する。20mm以上ではクッション層の有用な適度の沈み込みと柔らかい把持力で体を支える体型保持機能や振動吸収機能を低下させる。好ましい厚みは3mm以上15mm以下、より好ましくは5mm以上10mm以下である。ダブルラッセルニットをクッション層の両面に積層すると裏表の両面で鬱血防止機能と蒸れ防止機能を得ることができる。片面にのみ積層し、他の面に別の機能、例えば保温性の優れた機能を持つワディング層を積層して夏冬使い分ける等の使用形態もとれる。積層クッション体のクッション層とワヂィング層の界面は界面を接合しても良く、非接合でも面がフラットなので応力の伝達が面で伝達されるので変形対応性に支障はない。接合する場合は、後述するベットマットの折り畳み性との関係で伸縮性を有する熱可塑性弾性樹脂を接着成分として使用するのが好ましい。接着成分としては融点又は流動介し温度が100℃未満では耐熱性が劣り、200℃以上では熱接着がしにくいので、100℃以上200℃以下のものが好ましい。かくして、積層されたクッション体は側地に包まれて本発明のベットマットになる。本発明のベットマットは、前記特徴と共に、折り曲げ性や洗濯性に優れた特徴を有する。即ち、クッション材に伸縮性が有るため折り曲げ性に優れ、頭部や上半身を起こす必要がある介護用等のベットに使用することができる。敷布団として使用する場合は、折り畳んで収納することも可能である。クッション層が非弾性樹脂で構成されるものは折り曲げが困難である。硬い素材で構成されたものは無理に折り曲げると折り曲げ部が破壊する場合があり、柔らかい素材で構成されたものは塑性変形してクッションが折り曲げ部付近が凹み、繰り返し折り曲げると屈曲疲労で破断するが、弾性樹脂からなる本発明のクッション層と変形に対する自由度の高いダブルラッセルニットの積層構造のため、折り曲げが容易で、繰り返し折り曲げに対しても塑性変形しにくく耐久性に優れる点が本発明と大きく異なる点である。折り曲げ性を改良するために、折り曲げ構造とするものが提案されているが、本発明のクッション層と異なりクッション層に非弾性樹脂が使用されているため耐久性が劣るものである。洗濯性の良い点は、通常の繊維からなるクッション層の繊維径0.001mm以下のもの較べ、本発明のクッション体の大部分を構成するクッション層の線径が0.01mm以上であり、ワディング層のダブルラッセルニットも低密度で構成本数が少ないため、線条の表面積が著しく少ないため線条表面の付着水分が少なくできるので、特に水切り性に優れる。水切り性が良いので乾燥時間を短縮できる。この為、本発明のベットマットは頻繁に洗濯でき、結果として、清潔なベットマットを常に使用できる。本発明のベットマットの洗濯は、側地とクッション体を別々にして洗濯することもできるし、丸洗いも可能である。業務用ベットでは、必要に応じて殺菌する場合がある。殺菌は100℃未満のエチレンオキサイドガス又は130℃の蒸気を用いるのが一般的である。本発明のベットマットでは、圧縮応力を付与しないで15分未満で殺菌することで変形させずに殺菌することが可能であるが、公知のオレフィン系や塩化ビニ−ル系素材を用いた場合は、耐熱性が劣り殺菌時の加熱で塑性変形し嵩減りを生じる点が本発明と異なる点である。なお、網状体及び積層クッション形成段階から製品化される任意の段階で上述の疑似結晶化処理を施すことにより、網状体中の熱可塑性弾性樹脂からなる成分を示差走査型熱量計で測定した融解曲線に室温以上融点以下の温度に吸熱ピークを持つようにすると熱可塑性弾性樹脂の伸縮性と耐熱性が著しく向上し、製品の耐熱耐久性も格段に向上するのでより好ましい。
【0015】
本発明のクッション層を構成する網状体の線条の断面形状は特には限定されないが、中空断面や異形断面にすることで好ましい抗圧縮性(反発力)やタッチを付与することができるので特に好ましい。抗圧縮性は繊度や用いる素材のモジュラスにより調整して、線径を細くしたり、柔らかい素材では中空率や異形度を高くし初期圧縮応力の勾配を調整できるし、線径をやや太くしたり、ややモジュラスの高い素材では中空率や異形度を低くして寝心地が良好な抗圧縮性を付与する。中空断面や異形断面の他の効果として中空率や異形度を高くすることで、同一の抗圧縮性を付与した場合、より軽量化が可能となり、ベットマットの交換や布団などの場合は、上げ下ろし時の取扱性が向上する。好ましい抗圧縮性(反発力)やタッチを付与することができる他の好ましい方法として、本発明の網状体の線条を複合構造とする方法がある。複合構造としては、シ−スコア構造またはサイドバイサイド構造及びそれらの組合せ構造などが挙げられる。が、特にはクッション層が大変形してもエネルギ−変換できない振動や変形応力をエネルギ−変換して回復できる立体3次元構造とするために線状の表面の50%以上を柔らかい熱可塑性弾性樹脂が占めるシ−スコア構造またはサイドバイサイド構造及びそれらの組合せ構造などが挙げられる。シ−スコア構造ではシ−ス成分は振動や変形応力をエネルギ−変換が容易なソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂とし、コア成分は抗圧縮性を示すソフトセグメント含有量が少ない熱可塑性弾性樹脂で構成し適度の沈み込みによる背部や臀部等の接触部への快適なタッチを与えることができる。サイドバイサイド構造では振動や変形応力をエネルギ−変換が容易なソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂の溶融粘度をソフトセグメント含有量が少ない抗圧縮性を示す熱可塑性弾性樹脂の溶融粘度より低くして線状の表面を占めるソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂の割合を多くした構造(比喩的には偏芯シ−ス・コア構造のシ−スに熱可塑性弾性樹脂を配した様な構造)として線状の表面を占めるソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂の割合を80%以上としたものが特に好ましく、最も好ましくは線状の表面を占めるソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂の割合を100%としたシ−スコアである。ソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂の線状の表面を占める割合が多くなると、溶融して融着するときの流動性が高いので接着が強固になる効果があり、構造が一体で変形する場合、接着点の応力集中に対する耐疲労性が向上し、耐熱性や耐久性がより向上する。本発明のクッション体を構成する網状体の線条を複合構造とした場合、熱接着機能も付与でき、ダブルラッセルニットとの熱接着一体構造化ができる。例えば、網状体の線条構造がシ−スコア構造として、シ−ス成分は振動や変形応力をエネルギ−変換が容易なソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂を熱接着成分とし、コア成分の抗圧縮性を示すソフトセグメント含有量が少ない熱可塑性弾性樹脂を網状形態の保持機能をもたせるための高融点成分とする構成で、熱接着成分の融点を高融点樹脂の融点より10℃以上低くしたものを用いることにより熱接着層の機能も付与できる。また、片面のみダブルラッセルニットとの熱接着一体化し、他面に短繊維ウエッブ、不織布、布帛類等を熱接着一体化してクッション体又は製品化することができる。クッション層とワディング層を積層し、非接合又は接着剤等を用いて接合したクッション体は、車両用座席、船舶用座席、車両用、船舶用、病院用等の業務用及び家庭用ベット、家具用椅子、事務用椅子、布団類等のクッション体としても有用である。
【0016】
次に本発明の製法を述べる。複数のオリフィスを持つ多列ノズルより熱可塑性弾性樹脂をその融点より20℃以上高く、80℃未満高い溶融温度で、該ノズルより下方に向けて吐出させ、溶融状態で互いに接触させて融着させ3次元構造を形成しつつ、引取り装置で挟み込み冷却槽で冷却せしめた後、両面又は片面に熱可塑性樹脂からなるダブルラッセルニットを積層して、側地を被せるベットマットの製法である。網状体は、熱可塑性弾性樹脂を一般的な溶融押出機を用いて溶融し、複数のオリフィスを持つ多列ノズルに供給し、オリフィスより下方へ吐出する。この時の溶融温度は、熱可塑性弾性樹脂の融点より20℃〜80℃高い温度である。熱可塑性弾性樹脂の融点より80℃を越える高い溶融温度にすると熱分解が著しくなり熱可塑性弾性樹脂のゴム弾性特性が低下するので好ましくない。他方、熱可塑性弾性樹脂の融点より10℃以上高くしないとメルトフラクチャ−を発生し正常な線条形成が出来なくなり、また、吐出後ル−プ形成しつつ接触させ融着させる際、線条の温度が低下して線条同士が融着しなくなり接着が不充分な網状体となる場合があり好ましくない。好ましい溶融温度は融点より20℃から60℃高い温度、より好ましくは融点より25℃から40℃高い温度である。オリフィスの形状は特に限定されないが、中空断面(例えば三角中空、丸型中空、突起つきの中空等となるよう形状)及び、又は異形断面(例えば三角形、Y型、星型等の断面二次モ−メントが高くなる形状)とすることで前記効果以外に溶融状態の吐出線条が形成する3次元構造が流動緩和し難くし、逆に接触点での流動時間を長く保持して接着点を強固にできるので特に好ましい。特開平1−2075号公報に記載の接着のための加熱をする場合、3次元構造が緩和し易くなり平面的構造化し、3次元立体構造化が困難となるので好ましくない。網状体の特性向上効果としては、見掛けの嵩を高くでき軽量化になり、また抗圧縮性が向上し、弾発性も改良できへたり難くなる。中空断面では中空率が80%を越えると断面が潰れ易くなるので、好ましくは軽量化の効果が発現できる10%以上70%以下、より好ましくは20%以上60%以下である。オリフィスの孔間ピッチは線状が形成するル−プが充分接触できるピッチとする必要がある。緻密な構造にするには孔間ピッチを短くし、粗密な構造にするには孔間ピッチを長くする。本発明の孔間ピッチは好ましくは3mm〜20mm、より好ましくは5mm〜10mmである。本発明では所望に応じ異密度化や異繊度化もできる。列間のピッチ又は孔間のピッチも変えた構成、及び列間と孔間の両方のピッチも変える方法などで異密度層を形成できる。また、オリフィスの断面積を変えて吐出時の圧力損失差を付与すると、溶融した熱可塑性弾性樹脂を同一ノズルから一定の圧力で押し出される吐出量が圧力損失の大きいオリフィスほど少なくなる原理を使って長手方向の区間でオリフィスの断面積が異なる列を少なくとも複数有するノズルを用い異繊度線条からなる網状構造体を製造することができる。次いで、該ノズルより下方に向けて吐出させ、ル−プを形成させつつ溶融状態で互いに接触させて融着させ3次元構造を形成しつつ、引取りネットで挟み込み、網状体の表面の溶融状態の曲がりくねった吐出線条を45°以上折り曲げて変形させて表面をフラット化すると同時に曲げられていない吐出線条との接触点を接着して構造を形成後、連続して冷却媒体(通常は室温の水を用いるのが冷却速度を早くでき、コスト面でも安くなるので好ましい)で急冷して本発明の3次元立体網状構造体化した網状体を得る。ノズル面と引取り点の距離は少なくとも40cm以下にすることで吐出線条が冷却され接触部が融着しなくなることを防ぐのが好ましい。吐出線条の吐出量5g/分孔以上と多い場合は10cm〜40cmが好ましく、吐出線条の吐出量5g/分孔未満と少ない場合は5cm〜20cmが好ましい。網状体の厚みは溶融状態の3次元立体構造体両面を挟み込む引取りネットの開口幅(引取りネット間の間隔)で決まる。本発明では上述の理由から引取りネットの開口幅は5mm以上とする。次いで水切り乾燥するが冷却媒体中に界面活性剤等を添加すると、水切りや乾燥がしにくくなったり、熱可塑性弾性樹脂が膨潤することもあり好ましくない。尚、ノズル面と樹脂を固化させる冷却媒体上に設置した引取りコンベアとの距離、樹脂の溶融粘度(網状体形成時の溶融粘度は好ましくは500ポイズから10000ポイズであり、20000ポイズを越えるとル−プ形成速度が遅くなり、緻密な網状構造を形成しにくくなるので好ましくない。)、オリフィスの孔径と吐出量などにより所望のループ径や線径をきめられる。冷却媒体上に設置した間隔が調整可能な一対の引取りコンベアで溶融状態の吐出線条を挟み込み停留させることで互いに接触した部分を融着させつつ、連続して冷却媒体中に引込み固化させ網状体を形成する時、上記コンベアの間隔を調整することで、融着した網状体が溶融状態でいる間で厚み調節が可能となり、所望の厚みのものが得られる。コンベア速度も速すぎると、接触点の形成が不充分になったり、融着点が充分に形成されるまでに冷却され、接触部の融着が不充分になる場合がある。また、速度が遅過ぎると溶融物が滞留し過ぎ、密度が高くなるので、所望の見掛け密度に適したコンベア速度を設定する必要がある。次いで本発明では、該網状体とワディング層となるダブルラッセルニットと積層してクッション体とする。ダブルラッセルニットと該網状体を接合一体化することもできる。この場合、熱接着層又は接着剤を別途該網状体とダブルラッセルニット間に使用して接合一体化してもよく、該網状体の熱接着機能を使ってダブルラッセルニットと接合一体化してもよい。本発明の好ましい一体化方法としては、溶融状態の吐出線条を挟み込み停留させることで互いに接触した部分を融着させつつ、連続して冷却媒体中に引込み固化させ網状体を形成する時、引取ネットにダブルラッセルニットを同時に供給して該網状体表面に溶融接着させる方法が選択できる。該網状体を一旦冷却後、又はダブルラッセルニットと積層して一体成形したクッション体にした後等、製品化に至る任意の工程で網状体を構成する熱可塑性弾性樹脂の融点より少なくとも10℃以下の温度でアニ−リングよる疑似結晶化処理を行うのがより好ましい製法である。疑似結晶化処理温度は、少なくとも融点(Tm)より10℃以上低く、Tanδのα分散立ち上がり温度(Tαcr)以上で行う。この処理で、融点以下に吸熱ピ−クを持ち、疑似結晶化処理しないもの(吸熱ピ−クを有しないもの)より該網状体の耐熱耐へたり性が著しく向上する。本発明の好ましい該網状体の疑似結晶化処理温度は(Tαcr+10℃)から(Tm−20℃)である。単なる熱処理により疑似結晶化させても耐熱耐へたり性が向上するが、更には、10%以上の圧縮変形を付与してアニ−リングすることで耐熱耐へたり性が著しく向上するのでより好ましい。
また、該網状体を一旦冷却後、乾燥工程を経する場合、乾燥温度をアニ−リング温度とすることで同時に疑似結晶化処理を行うができる。また、製品化する工程で別途疑似結晶化処理を行うができる。次いで所望の長さまたは形状に切断してクッション材に用いる。本発明では次いで側地でクッション体を被い縫製して、又は縫製した側地を被せてベットマットを得る。
【0017】
本発明のベットマットを用いる場合、その使用目的により、該網状体に使用する樹脂、線径、ル−プ径、見掛け密度、厚み等を、及びダブルラッセルニットに使用する樹脂、線径、編み構造、見掛け密度、厚み等を適切に選択する必要がある。例えば、ソフトなタッチと適度の沈み込みと張りのある膨らみを付与するためには、該網状体をやや高密度で細い繊径の緻密な構造が好ましく、適度の硬さと圧縮時のヒステリシスを直線的に変化させて体型保持性を良くし、耐久性を保持させるために、該網状体を中密度で太い繊径、やや大きいル−プ径の層と低密度で細い繊径、細かいル−プ径の層を積層一体化した構造にするのが好ましい。また、樹脂製造過程以外でも性能を低下させない範囲で製造過程から網状体又は、及びダブルラッセルニットに加工し、製品化する任意の段階で難燃化、防虫抗菌化、耐熱化、撥水撥油化、着色、芳香等の機能付与を薬剤添加等の処理加工ができる。本発明のベットマットに用いるクッション層は、3次元構造を損なわない程度に成形型等を用いて使用目的にあった形状に成形して側地を被せるのみで車両用座席、船舶用座席、ベット、椅子、家具等に用いることもできる。勿論、用途との関係で要求性能に合うべき他の素材、例えば、異なる網状体、短繊維集合体や硬綿クッション材、不織布等と組合せて用いることも可能である。
【0018】
【実施例】
以下に実施例で本発明を詳述する。
【0019】
なお、実施例中の評価は以下の方法で行った。
1. 融点(Tm)および融点以下の吸熱ピ−ク
島津製作所製TA50,DSC50型示差熱分析計を使用し、昇温速度20℃/分で測定した吸発熱曲線から吸熱ピ−ク(融解ピ−ク)温度を求めた。
2. Tαcr
ポリマ−を融点+10℃に加熱して、厚み約300μm のフイルムを作成して、オリエンテック社製バイブロンDDVII型を用い、110Hz、昇温速度1℃/分で測定したTanδ(虚数弾性率M”と弾性率の実数部分M’との比M”/M’)のゴム弾性領域から融解領域への転移点温度に相当するα分散の立ち上がり温度。
3. 室温伸長回復率
ポリマ−を融点+10℃に加熱して、厚み約300μm のフイルムを作成して、オリエンテック社製テンシロンUTM4型を用い、伸長速度100%にて300%伸長後歪みを0%に戻し、2分間放置後再度破断まで伸長させた時の、再度伸長時に応力が発現する伸長率を300%から差し引いた伸長率を300%で除した値を%で示す。(n=3)
4. 70℃伸長回復率
ポリマ−を融点+10℃に加熱して、厚み約300μm のフイルムを作成して、オリエンテック社製テンシロンUTM4型を用い、70℃雰囲気にした加熱オーブン中で伸長速度100%にて10%伸長歪みを付与して24時間保持した後、歪みを0%に戻し、5分間放置後再度破断まで伸長させた時の、再度伸長時に応力が発現する伸長率を10%から差し引いた伸長率を10%で除した値を%で示す。(n=3)
5. 見掛け密度
試料を15cm×15cmの大きさに切断し、4か所の高さを測定し、体積を求め試料の重さを体積で徐した値で示す。(n=4の平均値)
6. 線条の繊径
試料を10箇所から各線条部分を切り出し、アクリル樹脂で包埋して断面を削り出し切片を作成して断面写真を得る。拡大した断面写真より線径を求め、拡大倍率で叙した値(n=10の平均値)
7. 融着
試料を目視判断で融着しているか否かを接着している繊維同士を手で引っ張って外れないか否かで外れないものを融着していると判断する。
8. 耐熱耐久性(70℃残留歪)
試料を15cm×15cmの大きさに切断し、50%圧縮して70℃乾熱中22時間放置後冷却して圧縮歪みを除き1日放置後の厚みと処理前の厚みの差と処理前の厚みとの比を%で示す(n=3の平均値)
9. 繰返し圧縮歪
試料を15cm×15cmの大きさに切断し、側地、ワディング層、クッション層がずれたり外れないように、界面の四隅を縫い糸で接合したものを、島津製作所製サ−ボパルサ−にて、25℃65%RH室内にて50%の厚みまで1Hzのサイクルで圧縮回復を繰り返し2万回後の試料を1日放置後の厚みと処理前の厚みの差と処理前の厚みとの比を%で示す。(n=3の平均値)
10.通気度
試料を直径10cmの円筒状に打ち抜き、側面をシ−ルできる試料厚みに相当する高さの内径10cmの金属筒に5%圧縮した状態で入れ、上下を5%圧縮厚み分のパッキンでシ−ルして横漏れしないようにしたサンプルを作成し、株式会社テクノワ−ルド社製(コスモ計器設計品)通気量測定器、高圧タイプを用い測定した通気量(cc/cm秒)を通気度として示す。
11.折り曲げ性
クッション層とワディング層を積層して作成したクッション体に所定のサイズに縫製された東洋紡績製ハイムからなるポリエステル織物の側地を被って作成したベットマットを水平面から片端を抑えて押し出し、45°に切り欠いた勾配面に接するまでの長さを以下の基準で示す。50cm未満:◎、100cm未満:○、150cm未満:△、150cm以上:×
12.水切り性
ベットマットの重量を測定後に水槽に浸して10分後に取り出し、出来るだけ水切りしない状態での重量を測定した後、水切りして、30℃RH65%の雰囲気の室内で壁に立てかけ12時間放置後の重量を測定して残留水分の量を求め、以下の基準で評価した。残留水分が2%以下:◎、残留水分が3%以下:○、残留水分が5%以下:△、残留水分が5%以上:×
13.寝心地
クッション層とワディング層を積層して作成したクッション体に所定のサイズに縫製された東洋紡績製ハイムからなるポリエステル織物の側地を被って作成したベットマットをベットフレ−ムにセットして、28℃RH75%室内でパネラ−を寝かせて以下の評価をおこなった。(n=5)なお、ベットマット上にはシ−ツを敷き、掛け布団にはダウン/フェザ−:90/10混合羽毛1.8kg入り、枕は自宅で使用中のものを使用させた。
(1) 違和感:寝たときの「背中に感じる違和感」の程度を感覚的に定性評価した。感じない;◎、殆ど感じない;○、やや感じる;△、感じる;×
(2) 沈み込み:寝たときの体型保持状況の程度を感覚的に定性評価した。適度の沈み込みで非常に心地よい;◎、沈み込みやや少又はやや大で心地良い;○、沈み込み小又は大で心地よさにやや欠ける;△、沈み込み過ぎ又は沈み込まないで心地よさを感じない;×
(3) 蒸れ感:2時間寝ていて、臀部や背中等のベットマットと接する部分に感じる蒸れ感を感覚的に定性評価した。殆ど感じない:◎、僅かに蒸れを感じる;○、やや蒸れを感じる;△、蒸れを著しく感じる;×
(4) 体圧の圧迫感:寝てから動かないでどの程度我慢していられるか:30分以内;×、1時間以内;△、2時間以内;○、2時間以上;◎
(5) 総合評価: (1)から(5) までの評価の◎を4点、○を3点、△を2点、×を1点として12点以上で△を含まないもの;非常に良い(◎)、12点以上で△を含むもの;良い(○)、10点以上で×を含まないもの;やや悪い(△)、×を含むもの;悪い(×)として評価した。
【0020】
実施例1
ポリエステル系エラストマ−として、ジメチルテレフタレ−ト(DMT)又は、ジメチルナフタレ−ト(DMN)と1・4ブタンジオ−ル(1・4BD)を少量の触媒と仕込み、常法によりエステル交換後、ポリテトラメチレングリコ−ル(PTMG)を添加して昇温減圧しつつ重縮合せしめポリエ−テルエステルブロック共重合エラストマ−を生成させ、次いで抗酸化剤1%及び難燃剤10%(燐含有量5000〜10000ppm)を添加混合後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥して得られた熱可塑性弾性樹脂原料の処方を表1に示す。
【0021】
【表1】
Figure 0003585003
【0022】
幅120cm、長さ10cmのノズル有効面に幅方向の孔間ピッチ5mm、長さ方向の孔間ピッチ10mmの千鳥配列としたオリフィス形状は外径2mm、内径1.6mmでトリプルブリッジの中空形成性断面としたノズルに、得られた熱可塑性弾性樹脂原料を別々の押出機にて溶融し、A−1をシ−ス成分に、A−2をコア成分となるようにオリフィス直前で分配し、溶融温度245℃にて単孔当たりの吐出量2.0g/分(A−1:1g/分、A−2:1g/分)にてノズル下方に吐出させ、ノズル面12cm下に冷却水を配し、幅140cmのステンレス製エンドレスネットを平行に10cm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配して、該溶融状態の吐出線状を曲がりくねらせル−プを形成して接触部分を融着させつつ3次元網状構造を形成し、該溶融状態の網状体の両面を引取りコンベア−で挟み込みつつ毎分1mの速度で25℃の冷却水中へ引込み固化させ両面をフラット化した後引取り、水切り後、連続して120℃の加熱空気を循環させたセッタ−中を15分間通過させ冷却後、所定の大きさに切断して得た網状体は断面形状がシ−スコア構造の三角おむすび型の中空断面で中空率が40%、線径が1.2mmの融点以外に126℃に吸熱ピープをもつ線条が、形成するル−プの互いの接触点は殆ど融着により接合され、両面は実質的にフラット化され、平均の見掛け密度が0.046g/cm、厚み9.5cm、繰返し圧縮歪み2.8%、耐熱耐久性11.2%であった。別途、地糸に50デニ−ル/36フィラメントのポリエステル繊維、パイル糸に線径0.05mmのポリエステルエラストマ−(A−2)繊維を用い、常法により、亀甲形格子となる厚み5mm、見かけ密度が0.06g/cm、空隙率96%のダブルラッセルニットを作成した。次いで、120℃の加熱空気を循環させたセッタ−中で15分間熱処理し、冷却後所定の大きさに切断して、2枚の該網状体の両面に積層した。次いで、所定の大きさに縫製された東洋紡績製ハイムからなるポリエステル繊維からなる側地に挿入して本発明のベットマットを得た。得られたベットマットの評価結果を表2に示す。表2で明らかごとく、耐熱性、耐久性、通気性、折り曲げ性、水切り性に優れ、寝心地の良好なベットマットである。なお、このベットマットは難燃性を示し、燃焼ガスの毒性指数は5.1であった。このことから、火災時の安全性も高いベットマットであることが分かる。
【0023】
【表2】
Figure 0003585003
【0024】
実施例2
幅120cm、長さ5cmのノズル有効面に幅方向の孔間ピッチ5mm、長さ方向の孔間ピッチ10mmの千鳥配列としたオリフィス形状は外径1mm丸断面としたノズルに、得られた熱可塑性弾性樹脂原料A−5を押出機にて溶融し、溶融温度245℃にて単孔当たりの吐出量2.0g/分にてノズル下方に吐出させ、ノズル面15cm下に冷却水を配し、幅140cmのステンレス製エンドレスネットを平行に平行に4.5cm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配して、該溶融状態の吐出線状を曲がりくねらせル−プを形成して接触部分を融着させつつ3次元網状構造を形成し、該溶融状態の網状体の両面を引取りコンベア−で挟み込みつつ毎分1mの速度で25℃の冷却水中へ引込み固化させ両面をフラット化した後引取り、水切り後、連続して120℃の加熱空気を循環させたセッタ−中を15分間通過させ冷却後、所定の大きさに切断して得た網状体は、断面形状が丸断面で、線径が0.9mmの融点以外に126℃に吸熱ピークをもつ線条が、形成するル−プの互いの接触点は殆ど融着により接合され、両面が実質的にフラット化され、平均の見掛け密度が0.048g/cm、厚み4.5cm、繰返し圧縮歪み7.5%、耐熱耐久性18.4%であった。次いで、実施例1で使用したダブルラッセルニットを120℃の加熱空気を循環させたセッタ−中で15分間熱処理し、冷却後所定の大きさに切断して、2枚の該網状体の両面に積層した。次いで、所定の大きさに縫製された東洋紡績製ハイムからなるポリエステル繊維からなる側地に挿入して本発明のベットマットを得た。得られたベットマットの評価結果を表2に示す。表2で明らかごとく、耐熱性、耐久性、通気性、折り曲げ性、水切り性に優れ、寝心地の良好なベットマットである。なお、このベットマットは難燃性を示し、燃焼ガスの毒性指数は5.1であった。このことから、火災時の安全性も高いベットマットであることが分かる。
【0025】
実施例3
幅120cm、長さ5cmのノズル有効面に幅方向の孔間ピッチ5mm、長さ方向の孔間ピッチ10mmの千鳥配列としたオリフィス形状は外径2mm、内径1.6mmでトリプルブリッジの中空形成性断面としたノズルに、得られた熱可塑性弾性樹脂A−3を押出機にて溶融し、溶融温度235℃にて単孔当たりの吐出量2.0g/分にてノズル下方に吐出させ、ノズル面12cm下に冷却水を配し、幅140cmのステンレス製エンドレスネットを平行に6cm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配して、実施例1で用いたダブルラッセルニットをコンベアの両側から供給しつつ、該溶融状態の吐出線状を曲がりくねらせル−プを形成して接触部分を融着させつつ3次元網状構造を形成し、該溶融状態の網状体の両面をダブルラッセルニットで挟み込みつつダブルラッセルニットとも融着させつつ、毎分1mの速度で25℃の冷却水中へ引込み固化させた後引取り、水切り後、連続して120℃の加熱空気を循環させたセッタ−中を15分間通過させ冷却後、所定の大きさに切断して得た網状体の両面は実質的にフラット化された状態で両面をダブルラッセルニットと接合されたクッション体を得た。クッション体中の網状体は、断面形状は中空おむすび型断面で、線径が1.2mmの融点以外に126℃に吸熱ピークをもつ線条が、形成するル−プの互いの接触点は殆ど融着により接合され、平均の見掛け密度が0.048g/cm、厚み4.5cm、繰返し圧縮歪み5.8%、耐熱耐久性10.8%であった。次いで、所定の大きさに縫製された東洋紡績製ハイムからなるポリエステル繊維からなる側地に挿入して本発明のベットマットを得た。得られたベットマットの評価結果を表2に示す。表2で明らかごとく、耐熱性、耐久性、通気性、折り曲げ性、水切り性に優れ、寝心地の良好なベットマットである。なお、このベットマットは難燃性を示し、燃焼ガスの毒性指数は5.1であった。このことから、火災時の安全性も高いベットマットであることが分かる。
【0026】
実施例4
ポリウレタン系エラストマ−として、4・4’ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(MDI)とPTMG及び鎖延長剤として1・4BDを添加して重合し次いで抗酸化剤2%を添加混合練込み後ペレット化し真空乾燥してポリエ−テル系ウレタンポリマ−の処方を表3に示す。
【0027】
【表3】
Figure 0003585003
【0028】
得られた熱可塑性弾性樹脂(シ−ス成分:B−1、コア成分:B−2)を溶融温度220℃とした以外実施例1と同様にして得た網状体の線条のシ−スコア構造の断面形状が三角おむすび型の中空断面で中空率40%、線径が1.1mmの融点以外に126℃に吸熱ピークをもつ線条が、形成するル−プの互いの接触点は殆ど融着により接合され、両面が実質的にフラット化され、平均の見掛け密度が0.047g/cm、厚み9.5cm、繰返し圧縮歪み3.6%、耐熱耐久性7.5%であった。次いで、実施例1で使用したダブルラッセルニットを120℃の加熱空気を循環させたセッタ−中で15分間熱処理し、冷却後所定の大きさに切断して、4枚の該網状体の両面に積層した。次いで、所定の大きさに縫製された東洋紡績製ハイムからなるポリエステル繊維からなる側地に挿入して本発明のベットマットを得た。得られたベットマットの評価結果を表2に示す。表2で明らかごとく、耐熱性、耐久性、通気性、折り曲げ性、水切り性に優れ、寝心地の良好なベットマットである。
【0029】
比較例1
メルトインデックス12のポリプロピレン(PP)単成分のみを溶融温度を250℃とした以外、実施例2と同様にして得た網状体は、中実丸断面で、線径が1.8mm、の融点以外に126℃に吸熱ピークをもつ線条が、形成するル−プの互いの接触点は殆ど融着により接合され、両面が実質的にフラット化され、平均の見掛け密度が0.047g/cm、厚み4.5cm、繰返し圧縮歪み30.2%、耐熱耐久性49.5%であった。次いで、実施例1で使用したダブルラッセルニットを120℃の加熱空気を循環させたセッタ−中で15分間熱処理し、冷却後所定の大きさに切断して、1枚の該網状体の両面に積層した。次いで、所定の大きさに縫製された東洋紡績製ハイムからなるポリエステル繊維からなる側地に挿入して本発明のベットマットを得た。得られたベットマットの評価結果を表2に示す。表2で明らかごとく、非弾性オレフィンからなる網状体のため、通気性、水切り性には優れるが、耐熱性、耐久性、折り曲げ性、寝心地が著しく劣るベットマットであり、難燃性も不合格になり火災時には問題がでるベットマットである。
【0030】
比較例2
幅120cm、長さ10cmのノズル有効面に幅方向の孔間ピッチ5mm、長さ方向の孔間ピッチ10mmの千鳥配列としたオリフィス形状は外径1mm丸断面としたノズルに、得られた熱可塑性弾性樹脂原料A−5を押出機にて溶融し、溶融温度235℃にて単孔当たりの吐出量3.0g/分にてノズル下方に吐出させ、ノズル面5cm下に冷却水を配し、幅140cmのステンレス製エンドレスネットを平行に平行に9.5cm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配して、該溶融状態の吐出線状を曲がりくねらせル−プを形成して接触部分を融着させつつ3次元網状構造を形成し、該溶融状態の網状体の両面を引取りコンベア−で挟み込みつつ毎分1mの速度で25℃の冷却水中へ引込み固化させ両面をフラット化した後引取り、水切り後、所定の大きさに切断して得た網状体は、断面形状が丸断面で、線径が5.9mmの融点以外に吸熱ピークをもたない線条が、形成するル−プの互いの接触点は殆ど融着により接合され、両面が実質的にフラット化され、平均の見掛け密度が0.074g/cm、厚み9.5cm、繰返し圧縮歪み18.3%、耐熱耐久性28.4%であった。次いで、実施例1で使用したダブルラッセルニットを2枚の該網状体の両面に積層した。次いで、所定の大きさに縫製された東洋紡績製ハイムからなるポリエステル繊維からなる側地に挿入して得られたベットマットの評価結果を表2に示す。表2で明らかごとく、通気性、水切り性、蒸れ感の少ない点に優れるが、耐熱性、耐久性、折り曲げ性、蒸れ感以外の寝心地が劣るベットマットである。なお、このベットマットは難燃性を示し、燃焼ガスの毒性指数は5.1であった。このことから、火災時の安全性は高いベットマットであることが分かる。
【0031】
比較例3
溶融温度245℃にて、ノズル面30cm下に引取りコンベアネットを配し、引き取り速度を0.3m/分とした以外、比較例2と同様の方法で得た網状体は、断面形状が丸断面で、線径が1.9mmの融点以外に吸熱ピークをもたない線条が、形成するル−プの互いの接触点は殆ど融着により接合され、両面が実質的にフラット化され、平均の見掛け密度が0.24g/cm、厚み9.5cm、繰返し圧縮歪み19.8%、耐熱耐久性29.4%であった。次いで、比較例2と同様にして得たベットマットの評価結果を表2に示す。表2で明らかごとく、通気性、水切り性、蒸れ感の少ない点に優れるが、耐熱性、耐久性、折り曲げ性、蒸れ感以外の寝心地が劣るベットマットである。なお、このベットマットは難燃性を示し、燃焼ガスの毒性指数は5.1であり、火災時の安全性は高いベットマットである。
【0032】
比較例4
単孔当たりの吐出量0.3g/分とし、ノズル面5cm下に引取りコンベアネットを配し、引き取り速度を1.9m/分とした以外、比較例3と同様の方法で得た網状体は、断面形状が丸断面で、線径が0.4mmの融点以外に吸熱ピークをもたない線条が、形成するル−プの互いの接触点は殆ど融着により接合され、両面が実質的にフラット化され、平均の見掛け密度が0.004g/cm、厚み9.5cm、繰返し圧縮歪み13.6%、耐熱耐久性22.4%であった。次いで、比較例2と同様にして得たベットマットの評価結果を表2に示す。表2で明らかごとく、通気性、折り曲げ性、水切り性に優れるが、耐熱性、耐久性、寝心地が劣るベットマットである。
【0033】
比較例5
溶融温度230℃にて、単孔当たりの吐出量1.5g/分とし、ノズル面60cm下に引取りコンベアネットを配し、引き取り速度を1m/分とした以外、比較例2と同様の方法で得た網状体は、断面形状が丸断面で、線径が1.9mmの融点以外に吸熱ピークをもたない線条となるが、線条がル−プを形成しないで接触点が殆どできず、網状体を形成しなかった。この線条を無理に見掛け密度が0.05g/cm、厚み9.5cmのウエッブ状とし、次いで、比較例2と同様にして得たベットマットの評価結果を表2に示す。表2で明らかごとく、接触点が接合されない場合は、寝心地が劣るベットマットになる。なお、このベットマットは寝心地が劣悪なため他の評価をしていない。
【0034】
比較例6
溶融温度245℃にて、単孔当たりの吐出量1.5g/分とし、ノズル面20cm下に引取りコンベアネットを配し、片側のコンベアネットの表面に5mmの凹凸を付けたものとし、引き取り速度を1m/分とした以外、比較例2と同様の方法で得た網状体は、断面形状が丸断面で、線径が0.9mmの融点以外に吸熱ピークをもたない線条が、形成するル−プの互いの接触点は殆ど融着により接合され、片面は実質的にフラット化されているが、他面は凹凸を有する、平均の見掛け密度が0.035g/cm、最も厚い場所の厚み9.5cm、繰返し圧縮歪み19.5%、耐熱耐久性29.2%であった。次いで、比較例2と同様にして得たベットマットの評価結果を表2に示す。表2で明らかごとく、通気性、折り曲げ性、水切り性、蒸れ感の少ない点に優れるが、耐熱性、耐久性がやや劣り、凸凹側を使った寝心地では違和感があり、蒸れ感以外の寝心地がやや劣るベットマットである。なお、このベットマットは難燃性を示し、燃焼ガスの毒性指数は5.1であり、火災時の安全性は高いベットマットである。
【0035】
比較例7
幅120cm、長さ1cmのノズル有効面に幅方向の孔間ピッチ5mm、長さ方向の孔間ピッチ5mmの千鳥配列としたオリフィス形状は外径1mm丸断面としたノズルを用い、単孔当たりの吐出量0.3g/分とし、ノズル面5cm下に引取りコンベアネットを配し、0.4cm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配して、引き取り速度を1.0m/分とした以外、比較例3と同様の方法で得た網状体は、断面形状が丸断面で、線径が0.4mmの融点以外に吸熱ピークをもたない線条が、形成するル−プの互いの接触点は殆ど融着により接合され、両面が実質的にフラット化され、平均の見掛け密度が0.064g/cm、厚み0.4cm、繰返し圧縮歪み18.6%、耐熱耐久性29.8%であった。次いで、比較例2と同様にして得たベットマットの評価結果を表2に示す。表2で明らかごとく、通気性、折り曲げ性、水切り性に優れるが、耐熱性、耐久性が劣り、クッション層が薄すぎて寝心地が著しく劣るベットマットである。
【0036】
比較例8
水切り後、連続して熱処理しない以外、実施例2と同様にして得た網状体は、断面形状が丸断面で、線径が0.9mmの融点以外に吸熱ピークをもたない線条が、形成するル−プの互いの接触点は殆ど融着により接合され、両面が実質的にフラット化され、平均の見掛け密度が0.048g/cm、厚み4.5cm、繰返し圧縮歪み7.5%、耐熱耐久性18.4%であった。次いで、見掛け密度が0.05g/cmの市販のポリエステル硬綿を厚み5mmにスライスし、所定の大きさに切断して、1枚の該網状体の両面に市販のゴム系接着接着剤を塗布して積層した硬綿を網状体と接着し、所定の大きさに縫製されたポリエステル繊維からなる側地に挿入して得られたベットマットの評価結果を表2に示す。表2で明らかごとく、寝心地はやや良いが、耐熱性、耐久性、通気性、折り曲げ性、水切り性が劣るベットマットである。
【0037】
比較例9
厚み10cm、見掛け密度0.05g/cmの市販のポリエステル硬綿をクッション材とし、実施例1で使用したダブルラッセルニットをワディング層として積層し、所定の大きさに縫製されたポリエステル繊維からなる側地に挿入して得られたベットマットの評価結果を表2に示す。表2で明らかごとく、寝心地はやや良いが沈み込みが少なく、耐熱性、耐久性、通気性、折り曲げ性、水切り性は劣るベットマットである。
【0038】
比較例10
厚み10cm、見掛け密度0.05g/cmの市販の発泡ポリウレタンをクッション材とし、実施例1で使用したダブルラッセルニットをワディング層として積層し、所定の大きさに縫製されたポリエステル繊維からなる側地に挿入して得られたベットマットの評価結果を表2に示す。表2で明らかごとく、耐熱性、耐久性は優れているが、通気性、折り曲げ性、水切り性、寝心地が劣るベットマットである。
【0039】
実施例5
実施例2で得た網状体の両面に実施例1で用いたワディング層を積層して、所定の大きさに縫製された側地に挿入して敷布団を得た。得られた敷布団の評価結果では、耐熱耐久性、通気性、折り曲げ性、水切り性、寝心地が共に優れた敷布団であった。
【0040】
実施例6
実施例2で得た網状体の両面に実施例1で用いたワディング層を積層して、所定の大きさに縫製された側地に挿入して座布団を得た。得られた敷布団の評価結果では、耐熱耐久性、通気性、折り曲げ性、水切り性、座り心地が共に優れた座布団であった。
【0041】
【発明の効果】
伸長回復性の良い熱可塑性弾性樹脂からなる線条が融着一体化され表面をフラット化した網状体をクッション層にし、熱可塑性樹脂からなる繊維を使用したダブルラッセルニットをワディング層に積層されたベットマットであるので、蒸れ難く寝心地が良好で、耐熱耐久性、形態保持性、クッション性に優れ、折り曲げ性も良好で使い易く、火災時に有毒ガスの発生が少なく、難燃性で、MRSA等の雑菌を除去するための洗濯ができて水切り性の良好な、更には、リサイクルも可能な一般家庭用、病院用及びホテル用等のベットに最適なベットマットを提供できる。更に敷布団や家具用にも適するクッション体として使用できる有用なベットマットを提供できる。

Claims (11)

  1. クッション層の少なくとも上面にワディング層が積層され、且つ、全体面が側地で被われたベットマットであり、クッション層は、熱可塑性弾性樹脂からなる線径が5mm以下の連続した中空率が20%以上60%以下である中空断面を有する線条を曲がりくねらせランダムループを形成し、それぞれのループの接触部の大部分が融着されてなる三次元立体構造網状体で形成され、該三次元立体構造網状体は上、下両面が実質的にフラット化されており、該網状体の線径が0.1 mm 以上2 mm 以下、見掛けの密度が0.02g/ cm 3 から0.06g/ cm 3 、厚みが20 mm 以上500 mm 以下であり、ワディング層は、熱可塑性樹脂からなる繊維を用いたダブルラッセルニットからなり、該ワディング層の見掛密度が0.2g/cm3 以下でかつ空隙率が90%以上で厚みが2mm以上10mm以下であることを特徴とするベットマット。
  2. クッション層を構成する熱可塑性弾性樹脂が、室温での300%伸長後の回復率(室温伸長回復率)が20%以上、70℃での10%伸長を24時間保持した後の回復率(70℃伸長回復率)が30%以上である請求項1記載のベットマット。
  3. クッション層とワディング層が熱可塑性樹脂で熱融着により接合一体化した請求項1記載のベットマット。
  4. クッション層に熱可塑性弾性樹脂からなる成分を示差走査型熱量計で測定した融解曲線に室温以上融点以下の温度に吸熱ピ−クを持つ網状体を用いた請求項1記載のベットマット。
  5. クッション層を構成する網状体の該線条の断面形状が異形断面である請求項1記載のベットマット。
  6. 通気度が50cc/cm2 秒以上である請求項1記載のベットマット。
  7. クッション層を構成する熱可塑性弾性樹脂及びワディング層を構成する熱可塑性樹脂がポリエステルである請求項記載のベットマット。
  8. 熱可塑性樹脂からなる繊維で形成された側地を被せて構成した請求項1記載のベットマット。
  9. 複数のオリフィスを持つ多列ノズルより熱可塑性弾性樹脂をその融点より20〜80℃高い溶融温度で、該ノズルより下方に向けて吐出させ、溶融状態で連続線条のループを形成し、それぞれのループを互いに接触し、融着させ3次元構造を形成しつつ、引取り装置で挟み込み冷却槽で冷却せしめた後、得られた三次元構造体の上、下両面又は片面に熱可塑性樹脂からなるダブルラッセルニットを積層し、側地を被せることを特徴とするベットマットの製法。
  10. 網状体を形成する時、引取ネットにダブルラッセルニットを同時に供給して該網状体表面に溶融接着させてクッション体を形成する請求項9記載のベットマットの製法。
  11. 製品化に至る任意の工程で網状体を構成する熱可塑性弾性樹脂の融点より少なくとも10℃以下の温度でアニ−リングよる疑似結晶化処理を行う請求項9記載のベットマットの製法。
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