JP2002298913A - ポリシロキサン塩、電解質組成物、電気化学電池、非水二次電池及び光電気化学電池 - Google Patents

ポリシロキサン塩、電解質組成物、電気化学電池、非水二次電池及び光電気化学電池

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JP2002298913A
JP2002298913A JP2001097652A JP2001097652A JP2002298913A JP 2002298913 A JP2002298913 A JP 2002298913A JP 2001097652 A JP2001097652 A JP 2001097652A JP 2001097652 A JP2001097652 A JP 2001097652A JP 2002298913 A JP2002298913 A JP 2002298913A
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Michio Ono
三千夫 小野
Shoichi Sen
昌一 千
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Fuji Photo Film Co Ltd
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/20Light-sensitive devices
    • H01G9/2004Light-sensitive devices characterised by the electrolyte, e.g. comprising an organic electrolyte
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    • HELECTRICITY
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実質的に揮発せず、かつ電化輸送能に優れた
新規なポリシロキサン塩及び該塩を含有する新規な電解
質組成物を提供し、さらに該電解質組成物を含み、耐久
性とイオン伝導性に優れた電気化学電池、耐久性と光変
換特性に優れた光電気化学電池、及び電池容量を低下さ
せず、しかもサイクル特性に優れた非水二次電池を提供
する。 【解決手段】 下記一般式(I)で表される原子団と、
スルホンアミド、ジスルホンイミド、N−アシルスルホ
ンアミド、アルコール、フェノール又はスルホン酸から
選択されるいずれかからプロトンが解離してなるアニオ
ン部と、周期律表第1族又は第2族に属する金属イオン
及び/又は有機カチオンのいずれかであるカチオン部
と、を構造中に有する塩を含有することを特徴とする電
解質組成物、及び該電解質組成物を含有する電気化学電
池である。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリシロキサン
塩、電解質組成物、電気化学電池、非水二次電池及び光
電気化学電池に関し、さらに詳しくは、電池、及び他の
電気化学デバイス材料として好適な新規なポリシロキサ
ン塩(以下「電解質塩」と称する場合もある)及び当該
塩を含有する電解質組成物、並びに当該電解質組成物を
用いた電気化学電池、特に非水電解液二次電池及び光電
気化学電池に関する。
【0002】
【従来の技術】非水二次電池や色素増感太陽電池などの
電気化学電池に用いられる電解質とは、目的に応じたイ
オンを含み、そのイオンを電極間に輸送する機能(イオ
ン伝導という)を持つ媒体である。例えば、非水二次電
池の代表であるリチウム二次電池では、リチウムイオン
の輸送が、色素増感太陽電池では、ヨウ素イオン及びヨ
ウ素三量体イオンの伝導性が問題となる。これら電池に
おいては、一般に、イオン伝導性が高い溶液系が電解質
として多く用いられているが、電池に組み込んだ際の溶
媒の枯渇や漏れが電池の耐久性を低下させるなどの問題
がある。即ち、一般的な低分子溶媒を使用した電解質を
電池に組み込んだ場合は、溶媒の揮発や液漏れによる電
池性能が劣化するという問題がある。また、リチウム二
次電池においては溶液を密閉するため、金属容器を用い
なければならず、電池質量が重くなり、電池形状にも自
由度を持たせることが困難という問題がある。
【0003】前記溶液系電解質の欠点を克服するため、
近年、種々の電解質が提案されている。溶液電解質をポ
リマーマトリックスに浸潤させたいわゆるゲル電解質
は、溶液系電解質に対して、イオン伝導度の低下が小さ
く電池性能を落とさないが、溶媒の揮発を完全に抑止す
ることはできていないとういう問題がある。また、塩を
ポリエチレンオキシドなどのポリマーに溶解したポリマ
ー電解質は、溶液系電解質の問題を解決するものとして
期待されるが、イオン伝導度は未だ十分ではないという
問題がある。
【0004】一方、室温で液体の塩をベースとした、い
わゆる溶融塩電解質を用いる方法が知られているが、低
沸点の化合物を含まないため揮発による電池性能の劣化
を防止するには有効である反面、一般に粘度が高いため
電荷輸送能が低いという問題がある。例えば、対アニオ
ンがBF4ー、(CF3SO22-などのイミダゾリウム
塩やピリジニウム塩は、室温で液状の室温溶融塩であ
り、リチウムイオン電池用の電解質として、提案されて
いるが、電解質の機械的強度とイオン伝導性とは相反
し、溶融塩自身の粘性を上げたり、ポリマーを含有させ
るなどの手段で、機械的強度を強くした場合にはイオン
伝導度の低下が見られる。さらに、上記のような電解質
では、イオン伝導性の温度依存性が大きく、特に低温で
のイオン伝導性が不十分という問題がある。
【0005】ところで、光エネルギーを電気エネルギー
に変換する太陽光発電は単結晶シリコン太陽電池、多結
晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、
テルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の化合物
太陽電池が実用化、若しくは研究開発の対象となってい
るが、普及させる上で製造コスト、原材料の確保、エネ
ルギーペイバックタイムの長さなどの問題点を克服する
必要がある。一方、大面積化や低価格化を指向した有機
材料を用いた太陽電池もこれまでに多く提案されている
が、変換効率が低く、耐久性も悪いという問題がある。
【0006】こうした状況の中で、Nature(第3
53巻、第737〜740頁、1991年)及び米国特
許4927721号等に、色素によって増感された酸化
物半導体を用いた光電変換素子(以後、色素増感光電変
換素子と略す)及びこれを用いた光電気化学電池の技術
が開示された。この電池は負極として機能する光電変換
素子、電荷移動層及び対極からなる。光電変換素子は導
電性支持体及び感光層からなり、感光層は表面に色素が
吸着した半導体を含む。電荷移動層は酸化還元体からな
り、負極と対極(正極)との間で電荷輸送を担う。上記
特許で提案された光電気化学電池では、電荷移動層とし
てヨウ化カリウム等の塩を電解質とする水溶液(電解
液)が用いられた。この方式は安価で、比較的高いエネ
ルギー変換効率(光電変換効率)が得られる点で有望で
あるが、長期にわたって使用すると電解液の蒸散、枯渇
により光電変換効率が著しく低下したり、電池として機
能しなくなることが問題である。
【0007】こうした問題に対し、電解液の枯渇防止方
法として、WO95/18456号に低融点化合物であ
るイミダゾリウム塩を電解質とする方法が記載されてい
る。この方法によれば、従来、電解質の溶媒として用い
ていた水や有機溶剤が不要、あるいは少量で済むため、
耐久性の改善は見られたが、未だ耐久性は不十分であ
る。またイミダゾリウム塩を高濃度にすると粘度が高く
なるとともに電荷輸送能が低下し、光電変換効率が低く
なるという問題があった。さらには、トリアゾリウム塩
を電解質とする方法もあるが、この方法においてもイミ
ダゾリウム塩と同様の問題がある。
【0008】非水二次電池などの電気化学電池に用いら
れる電解質においても溶液系電解質の欠点を克服するた
め、近年、電解質の固体化(ポリマー電解質)が研究され
ている。塩をポリエチレンオキシドなどのポリマーに溶
解したポリマー電解質は、溶液系電解質の問題を解決す
るものとして期待されるが、イオン伝導度は未だ十分で
はない。また、これまで主に報告されてきたポリマー電
解質では、電解質の重要な特性のひとつである、イオン
輸率(例えば、リチウム二次電池の場合は、リチウムイ
オン輸率)が一般的に低い。そのため、例えばリチウム
二次電池の場合充放電電流が時間と共に減少し、容量の
低下を招くなどの問題を引き起こし、汎用性のある商品
に組み込むことは困難であるのが実情である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける問題を解決し、以下の目的を達成することを課題
とする。即ち、本発明は、実質的に揮発せず、かつ電化
輸送能に優れた新規なポリシロキサン塩及び該塩を含有
する新規な電解質組成物を提供し、さらに該電解質組成
物を含み、耐久性とイオン伝導性に優れた電気化学電
池、耐久性と光変換特性に優れた光電気化学電池、及び
電池容量を低下させず、しかもサイクル特性に優れた非
水二次電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は、以下の通りである。 <1> 下記一般式(I)で表される原子団と、スルホ
ンアミド、ジスルホンイミド、N−アシルスルホンアミ
ド、アルコール、フェノール及びスルホン酸のうち少な
くとも1つからプロトンが解離してなるアニオン部と、
周期律表第1族又は第2族に属する金属イオン及び/又
は有機カチオンであるカチオン部と、を構造中に有する
塩を含有することを特徴とする電解質組成物である。
【0011】
【化7】
【0012】前記一般式(I)において、R1、R2は、
アルキル基、アリール基又はアルコキシ基を表す。nは
3以上の数を表す。
【0013】<2> 前記塩が、下記一般式(III−
a)及び下記一般式(III−b)のいずれかの構造で
表される塩である前記<1>に記載の電解質組成物であ
る。
【0014】
【化8】
【0015】前記一般式(III−a)及び前記一般式
(III−b)において、R1及びR2は、各々独立にア
ルキル基を表す。X1及びX2は、各々独立に、前記カチ
オン部を表す。X1及びX2は互いに同じであっても異な
ってもよい。L1及びL2は、アルキレン基を含んだ2価
連結基を表す。Y1及びY2は、前記アニオン部を含む置
換基を表す。Y1及びY2は互いに同じであっても異なっ
てもよい。R3は、置換若しくは無置換のアルキル基を
表す。nは3以上の数を表す。
【0016】<3> 前記R1及びR2が炭素原子数1〜
3のアルキル基であり、前記L1及びL2が各々独立に−
(CH23−及び−(CH23OCH2CH2−のいずれ
かで表される2価連結基であり、Y1及びY2が各々独立
に下記一般式(IV−a)及び一般式(IV−b)のい
ずれかの構造で表されるアニオン部を含む置換基である
前記<1>又は<2>に記載の電解質組成物である。
【0017】
【化9】
【0018】前記一般式(IV−a)及び一般式(IV
−b)において、R5は炭素原子数1〜3のアルキル基
を表す。
【0019】<4> 前記カチオン部が、リチウムイオ
ンである前記<1>から<3>のいずれかに記載の電解
質組成物である。
【0020】<5> 前記カチオン部が、一般式(II
−a)、一般式(II−b)、及び一般式(II−c)
で表されるカチオン部のうちいずれかである前記<1>
から<3>のいずれかに記載の電解質組成物である。
【0021】
【化10】
【0022】前記一般式(II−a)において、Q
y1は、窒素原子とともに、5員環又は6員環の芳香族カ
チオンを形成しうる原子団を表す。Ry1は、置換若しく
は無置換のアルキル基又はアルケニル基を表す。前記一
般式(II−b)において、Ay1は、窒素原子又はリン
原子を表す。R y1、Ry2、Ry3及びRy4は、置換若しく
は無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアル
ケニル基を表す。また、Ry1、Ry2、Ry3及びRy4のう
ち、2以上が互いに連結してAy1を含む非芳香族環を形
成してもよい。前記一般式(II−c)において、
y1、Ry2、Ry3、Ry4、Ry5及びRy6は、置換若しく
は無置換のアルキル基又は置換若しくは無置換のアルケ
ニル基を表し、それらのうち、2つ以上が互いに連結し
て環構造を形成してもよい。前記一般式(II−a)、
一般式(II−b)、及び一般式(II−c)で表され
る化合物は、Qy1又はRy1〜Ry6を介して多量体を形成
してもよい。
【0023】<6> 前記<1>から<5>のいずれか
に記載の電解質組成物を含むことを特徴とする電気化学
電池である。
【0024】<7> 前記<1>から<5>のいずれか
に記載の電解質組成物を含むことを特徴とする非水二次
電池である。
【0025】<8> 前記<1>から<5>のいずれか
に記載の電解質組成物を含む電荷移動層と、色素で増感
された半導体を含む感光層と、対向電極と、を有するこ
とを特徴とする光電気化学電池である。
【0026】<9> 下記一般式(III−a)及び下
記一般式(III−b)のいずれかの構造で表されるこ
とを特徴とするポリシロキサン塩である。
【0027】
【化11】
【0028】前記一般式(III−a)及び前記一般式
(III−b)において、R1及びR2は、各々独立に炭
素原子数1〜3のアルキル基を表す。X1及びX2は、リ
チウムイオンを表す。L1及びL2は、各々独立に−(C
23−及び−(CH23OCH2CH2−のいずれかで
表される2値連結基を表す。Y1及びY2は、各々独立に
下記一般式(IV−a)及び一般式(IV−b)のいず
れかの構造で表されるアニオン部を含む置換基を表す。
3は、置換若しくは無置換のアルキル基を表す。nは
3以上の数を表す。
【0029】
【化12】
【0030】前記一般式(IV−a)及び一般式(IV
−b)において、R5は炭素原子数1〜3のアルキル基
を表す。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明のポリシロキサン
塩、電解質組成物、電気化学電池、非水二次電池及び光
電気化学電池について説明する。ここではまず、本発明
のポリシロキサン塩及び該塩を含有する電解質組成物に
ついて詳細に説明する。
【0032】(塩及び電解質組成物)本発明の電解質組
成物は、化学反応及び金属メッキ等の反応溶媒、CCD
(電荷結合素子)カメラ、種々の電気化学電池(いわゆ
る電池)等に用いられる。好ましくは非水二次電池(特
に、リチウム二次電池)又は下記の半導体を用いた光電
気化学電池に用いられ、光電気化学電池に用いることが
より好ましい。
【0033】本発明の塩は、前記一般式(I)で表され
る原子団と、スルホンアミド、ジスルホンイミド、N−
アシルスルホンアミド、アルコール、フェノール又はス
ルホン酸のうち少なくとも1つからプロトンが解離して
なるアニオン部と、周期律表第1族又は第2族に属する
金属イオン及び/又は有機カチオンであるカチオン部
と、を構造中に有することを特徴とする。本発明の電解
質組成物は、前記塩を含有する電解質組成物であること
を特徴とする。
【0034】<一般式(I)で表される原子団>本発明
の塩に含まれる前記一般式(I)で表される原子団につ
いて詳述する。
【0035】前記一般式(I)において、R1、R2は、
各々独立にアルキル基〔好ましくは炭素原子数(以下C
数と称する場合がある)が1〜24であり、より好まし
くはC数1〜10であり、直鎖状であっても分岐鎖状で
あってもよく、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、i−プロピル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、
オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、デシ
ル、ドデシル、テトラデシル、2−ヘキシルデシル、ヘ
キサデシル、オクタデシル、シクロヘキシルメチル、オ
クチルシクロヘキシル〕、アリール基〔好ましくはC数
6〜24であり、より好ましくはC数6〜10であり、
例えばフェニル、ナフチル〕、又はアルコキシ基〔好ま
しくはC数1〜24、例えばメトキシ、エトキシ、ブト
キシ、オクチルオキシ、メトキシエトキシ、メトキシペ
ンタ(エチルオキシ)、アクリロイルオキシエトキシ、
ペンタフルオロプロポキシ〕を表す。さらにこれら
1、R2は、置換基を有していてもよく、好ましい置換
基としては、置換していてもよいアルキル基〔好ましく
はC数1〜24であり、より好ましくはC数1〜10で
あり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、例え
ばメチル、エチル、プロピル、ブチル、i−プロピル、
i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチ
ルヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、テトラ
デシル、2−ヘキシルデシル、ヘキサデシル、オクタデ
シル、シクロヘキシルメチル、オクチルシクロヘキシ
ル〕、置換していても縮環していてもよいアリール基
(好ましくはC数6〜24、例えばフェニル、4−メチ
ルフェニル、3−シアノフェニル、2−クロロフェニ
ル、2−ナフチル)、置換していても縮環していてもよ
い複素環基(含窒素複素環基のときは環中の窒素が4級
化していてもよい。好ましくはC数2〜24、例えば4
−ピリジル、2−ピリジル、1−オクチルピリジニウム
−4−イル、2−ピリミジル、2−イミダゾリル、2−
チアゾリル)、アルコキシ基〔好ましくはC数1〜2
4、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチルオ
キシ、メトキシエトキシ、メトキシペンタ(エチルオキ
シ)、アクリロイルオキシエトキシ、ペンタフルオロプ
ロポキシ〕、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜2
4、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アル
コキシカルボニル基(好ましくはC数2〜24、例えば
メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、シアノ
基、フルオロ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、
及び重合性基(好ましくはビニル基、アクリロイル基、
メタクリロイル基、スチリル基、桂皮酸残基など)が挙
げられる。前記一般式(I)において、nは3以上の数
を表す。
【0036】<アニオン部>本発明の塩を構成するアニ
オン部は、スルホンアミド、ジスルホンイミド、N−ア
シルスルホンアミド、アルコール、フェノール、スルホ
ン酸のうちすくなくとも1つからプロトンが解離してな
るアニオンである。前記アニオン部としては、スルホン
アミド、ジスルホンイミド、N−アシルスルホンアミド
が好ましい。
【0037】アニオン部の共役酸は、pKaが11以下
であることが好ましく、7以下であることがより好まし
い。
【0038】<カチオン部>本発明の塩を構成するカチ
オン部が周期律表第1(Ia)又は第2(IIa)族に
属する金属イオンである場合、一般式(I)で示される
原子団は、オキシアルキレン基と異なりカチオンと強く
相互作用せず、運動性が高いことから、柔軟なイオン伝
導場を提供する。それにより高いイオン輸率とイオン伝
導性が実現される。
【0039】本発明の塩を構成するカチオン部として
は、前記一般式(II−a)、前記一般式(II−b)
及び前記一般式(II−c)のいずれかで表される有機
カチオン、及び/又はリチウムイオンが好ましい。
【0040】前記一般式(II−a)において、Q
y1は、窒素原子とともに、5員環又は6員環の芳香族カ
チオンを形成しうる原子団を表す。Ry1は、置換若しく
は無置換のアルキル基又はアルケニル基を表す。
【0041】前記一般式(II−b)において、A
y1は、窒素原子又はリン原子を表す。R y1、Ry2、Ry3
及びRy4は、置換若しくは無置換のアルキル基又はアル
ケニル基を表す。また、Ry1、Ry2、Ry3及びRy4のう
ち2つ以上が互いに連結してAy1を含む非芳香族環を形
成してもよい。
【0042】前記一般式(II−c)において、Ry1
y2、Ry3、Ry4、Ry5及びRy6は、置換若しくは無置
換のアルキル基又はアルケニル基を表し、それらのうち
2以上が互いに連結して環構造を形成してもよい。
【0043】前記一般式(II−a)、前記一般式(I
I−b)、及び前記一般式(II−c)で表されるカチ
オンは、Qy1又はRy1〜Ry6を介して多量体を形成して
もよい。
【0044】前記一般式(II−a)において、窒素と
ともに芳香族5又は6員環のカチオンを形成しうる原子
団Qy1の構成原子は、好ましくは炭素、水素、窒素、酸
素、硫黄より選択される。
【0045】Qy1で完成される6員環としては、好まし
くは、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、
トリアジンであり、より好ましくはピリジンである。
【0046】Qy1で完成される芳香族5員環としては、
好ましくはオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、
ピラゾール、イソオキサゾール、チアジアゾール、オキ
サジアゾール、トリアゾールであり、より好ましくはオ
キサゾール、チアゾール、イミダゾールである。特に好
ましくは、オキサゾール、イミダゾールである。
【0047】前記一般式(II−a)、前記一般式(I
I−b)及び前記一般式(II−c)において、Ry1
y6は、置換若しくは無置換のアルキル基(好ましくは
炭素原子数(以下C数)が1〜24であり、直鎖状であ
っても分岐鎖状であってもよく、また環式であってもよ
い。例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、i−プ
ロピル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘ
キシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシ
ル、2−ヘキシルデシル、オクタデシル、シクロヘキシ
ル、シクロペンチル)、重合性基(好ましくはビニル
基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、
桂皮酸残基など)、置換若しくは無置換のアルケニル基
(好ましくはC数が2〜24であり、直鎖状であっても
分岐鎖状であってもよい。例えば、ビニル、アリル)を
表し、好ましくはC数3〜18のアルキル基又はC数2
〜18のアルケニル基を表し、より好ましくはC数4〜
6のアルキル基を表す。
【0048】前記一般式(II−a)、前記一般式(I
I−b)及び前記一般式(II−c)において、Qy1
びRy1〜Ry6は、置換基を有していてもよい。好ましい
置換基の例としては、ハロゲン原子(F,Cl,Br,
I)、シアノ基、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、
メトキシエトキシなど)、アリーロキシ基(フェノキシ
など)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオな
ど)、アシル基(アセチル、プロピオニル、ベンゾイル
など)、スルホニル基(メタンスルホニル、ベンゼンス
ルホニルなど)、アシルオキシ基(アセトキシ、ベンゾ
イルオキシなど)、スルホニルオキシ基(メタンスルホ
ニリオキシ、トルエンスルホニルオキシなど)、ホスホ
ニル基(ジエチルホスホニルなど)、アミド基(アセチ
ルアミノ、ベンゾイルアミドなど)、カルバモイル基
(N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバ
モイルなど)、アルキル基(メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、2−カル
ボキシエチル、ベンジルなど)、アリール基(フェニ
ル、トルイルなど)、複素環基(例えば、ピリジル、イ
ミダゾリル、フラニルなど)、アルケニル基(ビニル、
1−プロペニルなど)などが挙げられる。
【0049】<塩構造>本発明の塩として好ましいの
は、前記一般式(III−a)又は前記一般式(III
−b)で表されるポリシロキサン塩である。
【0050】前記一般式(III−a)及び一般式(I
II−b)において、R1及びR2は、一般式(I)で説
明した置換基と同義である。X1及びX2、は前述したカ
チオン部を表し、これらは同じであっても異なってもよ
い。L1及びL2は、アルキレン基を含んだ2価連結基を
表す。Y1及びY2は、前述したアニオン部を表す。Y 1
とY2は、同じであっても異なってもよい。R3は、置換
若しくは無置換のアルキル基を表す。nは3以上の数を
表す。前記一般式(III−a)及び前記一般式(II
I−b)において、R1及びR2としては、置換若しくは
無置換のアルキル基が好ましい。L1及びL2としては、
炭素数2以上のアルキレン基又はアルキレンオキシ基が
好ましい。Y1及びY2はとしては、一般式(IV−a)
から一般式(IV−e)で表されるアニオン部が好まし
い。
【0051】
【化13】
【0052】一般式(I−Va)から一般式(IV−
e)におけるR5は、置換若しくは無置換の、アルキル
基、アリール基又は複素環基を表す。
【0053】R5のアルキル基、アリール基及び複素環
基としては、前記一般式(I)のR1で詳述したものが
好ましく用いられる。中でも、前記一般式(IV−a)
から前記一般式(IV−c)の場合には、フッ素置換ア
ルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基及びペンタ
フルオロエチル基がさらに好ましい。前記一般式(IV
−d)の場合には、C数1〜5のフッ素置換アルキル
基、及び置換若しくは無置換フェニル基が好ましい。前
記一般式(IV−e)の場合には、置換若しくは無置換
のフェニル基が好ましい。
【0054】前記一般式(III−a)及び前記一般式
(III−b)において、nは3から30が好ましく、
6から20がより好ましい。
【0055】本発明の塩として特に好ましい構造は、以
下の通りである。即ち、前記一般式(III−a)又は
前記一般式(III−b)において、前記R1及びR2
炭素原子数1〜3のアルキル基であり、前記X1及びX2
がリチウムイオンであり、前記L1及びL2が各々独立に
−(CH23−及び−(CH23OCH 2CH2−のいず
れかで表される2価連結基であり、Y1及びY2が各々独
立に前記一般式(IV−a)及び前記一般式(IV−
b)のいずれかの構造で表されるアニオン部を含む置換
基である構造で表される塩である。前記一般式(IV−
a)及び一般式(IV−b)において、R5は炭素原子
数1〜3のアルキル基を表す。
【0056】以下に本発明の電解質組成物に用いる塩の
アニオン構造、カチオン構造、及びそれらを組合せた塩
の具体例を示すが、それらは任意に組合せることがで
き、本発明はこれに限定されるわけではない。
【0057】
【化14】
【0058】
【化15】
【0059】
【化16】
【0060】
【化17】
【0061】
【化18】
【0062】
【化19】
【0063】本発明の電解質組成物を光電気化学電池の
電解質に用いる場合、電荷キャリアとして、I-とI3 -
を含む電解質を用いることが好ましく、それらは任意の
塩の形で添加することができる。好ましい塩としては、
それぞれYI-及びYI3 -が挙げらる。ここでYは、前
記一般式(II−a)、前記一般式(II−b)及び前
記一般式(II−c)のいずれかで表されるカチオン部
である。YI3 -は、YI-存在下にヨウ素(I2)を加
え、電解質組成物中で生成させることが一般的である。
その際、加えたI2と同量のYI3 -が生成する。
【0064】本発明の電解質組成物中、I-の濃度は1
0〜90質量%が好ましく、30〜70質量%がより好
ましい。その際、残りの成分が全て、一般式(I)で表
される本発明の化合物であることが好ましい。
【0065】I3 -はI-の0.1〜50モル%であるこ
とが好ましく、0.1〜20モル%であることがより好
ましく、0.5〜10モル%であることがさらに好まし
く、0.5〜5モル%であることが最も好ましい。
【0066】本発明の電解質組成物にはさらに別の溶融
塩を含んでもよい。好ましく用いられる溶融塩は、前記
一般式(II−a)、前記一般式(II−b)及び前記
一般式(II−c)で示される有機カチオンと任意のア
ニオンを組合せたものである。アニオンとしては、ハロ
ゲン化物イオン(Cl-、Br-等)、SCN-、B
4 -、PF6 -、ClO4 -、(CF3SO22-、(CF
3CF2SO22-、CH3SO3 -、CF3SO3 -、CF3
COO-、Ph4-、(CF3SO23-等が好ましい
例として挙げられ、SCN-、CF3SO3 -、CF3CO
-、(CF3SO2 2-又はBF4 -であるのがより好
ましい。また、LiIなど他のヨウ素塩やCF 3COO
Li、CF3COONa、LiSCN、NaSCNなど
のアルカリ金属塩を添加することもできる。アルカリ金
属塩の添加量は、0.02〜2質量%程度であるのが好
ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。
【0067】本発明の電解質組成物に、LiI、Na
I、KI、CsI、CaI2 などの金属ヨウ化物、4級
イミダゾリウム化合物のヨウ素塩、テトラアルキルアン
モニウム化合物のヨウ素塩、Br2とLiBr、NaB
r、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物、
あるいはBr2 とテトラアルキルアンモニウムブロマイ
ド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合
物の臭素塩、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフ
ェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ
硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフ
ィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノ
ン−キノンなどを含有させて用いることもできる。含有
させる場合、これらの化合物の使用量は、電解質化合物
全体の30質量%以下であることが好ましい。
【0068】本発明の塩とともに、好ましくは最大でこ
の化合物と同質量まで溶媒を使用することができる。
【0069】本発明の電解質に使用する溶媒は、粘度が
低くイオン易動度を向上したり、又は誘電率が高く有効
キャリアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性
を発現できる化合物であることが望ましい。このような
溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカー
ボネートなどのカーボネート化合物、3−メチル−2−
オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジオキサン、ジ
エチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレングリコ
ールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアル
キルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエー
テル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルな
どの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレ
ングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコ
ールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモ
ノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノア
ルキルエーテルなどのアルコール類、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アル
コール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メト
キシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリ
ルなどのニトリル化合物、カルボン酸エステル、リン酸
エステル、ホスホン酸エステル等のエステル類、ジメチ
ルスルフォキシド、スルフォランなど非プロトン極性物
質、水などを用いることができる。この中でも、エチレ
ンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボ
ネート化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノンなど
の複素環化合物、アセトニトリル、グルタロジニトリ
ル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベン
ゾニトリルなどのニトリル化合物、エステル類が特に好
ましい。これらは単独で用いても2種以上を併用しても
よい。
【0070】溶媒としては、耐揮発性による耐久性向上
の観点から、常圧(1気圧)における沸点が200℃以
上のものが好ましく、250℃以上のものがより好まし
く、270℃以上のものがさらに好ましい。
【0071】本発明の電解質組成物をリチウムイオン電
池などの電気化学電池に用いる場合は、リチウム塩を加
えた電解質組成物とする。その場合、使用されるリチウ
ム塩のアニオンは、イミドアニオン((CF3 SO2
2-、(CF3 CF2 SO22-)あるいはホウ素
(B)、リン(P)及びイオウ(S)から選ばれる少な
くとも1種類以上の元素を含有するフッ化物アニオン
(BF4 -、PF6 -、CF 3 SO3 -、C(CF3SO2)3 -
など)であることがより好ましい。その時の塩の濃度と
しては、一般式(I)の化合物に対して1質量%から7
0質量%が好ましく、20質量%から50質量%がさら
に好ましい。
【0072】(電気化学電池)本発明の電気化学電池
は、本発明の前記電解物組成物を含ことを特徴とする。
本発明の電気化学電池の態様としては、光電気化学電池
や、非水二次電池が挙げられる。
【0073】<光電気化学電池>以下に、本発明の電解
質が好ましく用いられる光電気化学電池について説明す
る。本発明の光電気化学電池は、光電変換素子を外部回
路で仕事をさせる電池用途に使用できるようにしたもの
であり、輻射線に感応する半導体を含む感光層と電荷移
動層と対極とを有する。この電荷移動層に本発明の電解
質組成物が含有されている。
【0074】以下に、本発明の電解質組成物を利用した
本発明の光電気化学電池について説明する。本発明の光
電気化学電池は、前記電解質組成物を含む電荷輸送層
と、色素で増感された半導体を含む感光層と、対極とを
有し、いわゆる以下に説明する光電変換素子を外部回路
で仕事をさせるように構成したものである。本発明の光
電気化学電池は、前記電荷輸送層が本発明の電解質組成
物を含有しているので、光電変換性能に優れるととも
に、経時での電池性能の劣化が小さい優れた耐久性を示
す。
【0075】−光電変換素子− 図1に、本発明に適用可能な光電変換素子の一例を示
す。光電変換素子10は、導電層12、下塗り層14、
感光層16、電荷輸送層18及び対極導電層20を順次
積層してなる。感光層16は、色素dによって増感した
半導体層24と、電荷輸送材料tとからなる。半導体層
24は、半導体微粒子sからなる多孔性の層であり、半
導体微粒子sの間には空隙が形成され、該空隙に電荷輸
送材料tが浸透している。電荷輸送材料tは、電荷輸送
層18に用いる材料と同じ成分からなる。導電層12の
下には基板26、及び対極導電層20の下には基板28
が配置されている。基板26、28は光電変換素子に強
度を付与するためのものであり、なくてもよい。また、
それぞれの層の境界、例えば、導電層12と感光層16
との境界、感光層16と電荷輸送層18との境界、電荷
輸送層18と対極導電層20との境界等では、各層の構
成成分同士が相互に拡散混合していてもよい。尚、光電
変換素子10には、いずれか又は双方から光を入射して
もよく、光を入射する側の導電層12と基板26及び/
又は対極導電層20と基板28を、それぞれ光透過性を
有する材料から構成することができる。
【0076】次に、光電変換素子10の作用について説
明する。尚、半導体微粒子sがn型である場合について
説明する。光電変換素子10に光が入射すると、入射し
た光は感光層16に達し、色素d等によって吸収され、
励起状態の色素dを生成する。励起された色素d等は、
高エネルギーの電子を半導体微粒子sの伝導帯に渡し、
自らは酸化体となる。前記伝導帯に移った電子は半導体
微粒子sのネットワークにより導電層12に到達する。
従って、導電層12は対極導電層20に対して負の電位
を持つ。光電変換素子10を光電池に利用した態様で
は、この光電池を外部回路につなぐと、導電層12中の
電子は外部回路で仕事をしながら対極導電層20に達す
る。電子は、電荷輸送材料が電解質である場合は、この
電解質成分(例えばI-)を還元するとともに、生成し
た還元体(例えばI3 -)が色素dの酸化体を還元して元
に戻す。光を照射し続けることにより、一連の反応が引
き続き起こり、電気を取り出すことができる。
【0077】以下、前記光電変換素子の各層に使用可能
な材料及びその形成方法について説明する。尚、以下で
「導電性支持体」というときは、導電層12のみ、及び
導電層12と任意で設ける基板26からなるものの双方
を含み、「対極」というときは、対極導電層20のみ、
及び対極導電層20と任意で設ける基板26からなるも
のの双方を含む。
【0078】(A)導電性支持体 導電性支持体は、(1)導電層の単層、又は(2)導電
層及び基板の2層からなる。(1)の場合は、導電層と
して強度や密封性が十分に保たれるような材料が使用さ
れる。例えば、金属材料(白金、金、銀、銅、亜鉛、チ
タン、アルミニウム等又はこれらを含む合金)を用いる
ことができる。(2)の場合、感光層側に導電剤を含む
導電層を有する基板を使用することができる。好ましい
導電剤としては、金属(例えば白金、金、銀、銅、亜
鉛、チタン、アルミニウム、インジウム等又はこれらを
含む合金)、炭素、又は導電性金属酸化物(インジウム
−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素又はアンチモンを
ドープしたもの等)が挙げられる。導電層の厚さは、
0.02〜10μm程度が好ましい。
【0079】導電性支持体は、表面抵抗が低い程よい。
表面抵抗の範囲は、50Ω/□以下が好ましく、20Ω
/□以下がより好ましい。
【0080】導電性支持体側から光を照射する場合に
は、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。
実質的に透明であるとは、可視〜近赤外領域(400〜
1200nm)の光の一部又は全域において透過率が1
0%以上であることを意味し、50%以上であるのが好
ましく、80%以上がより好ましい。特に、感光層が感
度を有する波長域の透過率が高いことが好ましい。
【0081】透明導電性支持体としては、ガラス又はプ
ラスチック等の透明基板の表面に導電性金属酸化物から
なる透明導電層を塗布又は蒸着等により形成したものが
好ましい。透明導電層としては、フッ素若しくはアンチ
モンをドーピングした二酸化スズあるいはインジウム−
スズ酸化物(ITO)が好ましい。透明基板には、低コ
ストと強度の点で有利なソーダガラス、アルカリ溶出の
影響のない無アルカリガラスなどのガラス基板のほか、
透明ポリマーフィルムを用いることができる。透明ポリ
マーフィルムの材料としては、トリアセチルセルロース
(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチ
ックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィ
ド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレ
ート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエス
テルスルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリ
エーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロ
ム化フェノキシ等がある。十分な透明性を確保するため
に、導電性金属酸化物の塗布量はガラス又はプラスチッ
クの支持体1m2当たり0.01〜100gとするのが
好ましい。
【0082】透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金
属リードを用いるのが好ましい。金属リードの材質は、
白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀、
等の金属が好ましい。金属リードは透明基板に、蒸着、
スパッタリング等で設置し、その上に導電性の酸化スズ
又はITO膜からなる透明導電層を設けるのが好まし
い。金属リード設置による入射光量の低下は、好ましく
は10%以内、より好ましくは1〜5%とする。
【0083】(B)感光層 前記感光層は、光を吸収して電荷分離を行い、電子と正
孔を生ずる機能を有する。前記感光層は色素増感された
半導体を含む。色素増感された半導体では、光吸収及び
これによる電子及び正孔の発生は主として色素において
起こり、半導体はこの電子(又は正孔)を受け取り、伝
達する役割を担う。本発明で用いる半導体は、光励起下
で伝導体電子がキャリアーとなり、アノード電流を与え
るn型半導体であることが好ましい。
【0084】(B−1)半導体 半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体
半導体、III−V系化合物半導体、金属のカルコゲナ
イド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物、又はそれら
の複合物等)、又はペロブスカイト構造を有する化合物
(例えばチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウ
ム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸
カリウム等)等を使用することができる。
【0085】好ましい金属のカルコゲナイドとしては、
チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウ
ム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウ
ム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、又
はタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アン
チモン又はビスマスの硫化物、カドミウム又は鉛のセレ
ン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の
化合物半導体としては、亜鉛、ガリウム、インジウム、
カドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素又は銅−イン
ジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物等が挙げ
られる。さらには、Mxyz又はM1 x2 yz(M、M
1及びM2はそれぞれ金属元素、Oは酸素原子、x、y及
びzは価数が中性になる組み合わせの数)で表される複
合物も好ましく用いることができる。
【0086】本発明に用いる半導体の具体例としては、
Si、TiO2、SnO2、Fe23、WO3、ZnO、
Nb25、CdS、ZnS、PbS、Bi23、CdS
e、CdTe、SrTiO3、GaP、InP、GaA
s、CuInS2、CuInSe2等が好ましく、TiO
2、ZnO、SnO2、Fe23、WO3、Nb25、C
dS、PbS、CdSe、SrTiO3、InP、Ga
As、CuInS2又はCuInSe2がより好ましく、
TiO2又はNb25が特に好ましく、TiO2が最も好
ましい。TiO2は、アナターゼ型結晶を70%以上含
むTiO2が好ましく、100%アナターゼ型結晶のT
iO2が特に好ましい。また、これらの半導体中の電子
電導性を上げる目的で金属をドープすることも有効であ
る。ドープする金属としては、2価、3価の金属が好ま
しい。半導体から電荷輸送層へ逆電流が流れるのを防止
する目的で、半導体に1価の金属をドープすることも有
効である。
【0087】本発明に用いる半導体は、単結晶でも多結
晶でもよいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペ
イバックタイム等の観点から、多結晶が好ましく、半導
体微粒子からなる多孔質膜が特に好ましい。また、一部
アモルファス部分を含んでいてもよい。
【0088】半導体微粒子の粒径は一般にnm〜μmの
オーダーである。投影面積を円に換算したときの直径か
ら求めた一次粒子の平均粒径は、5〜200nmである
のが好ましく、8〜100nmがより好ましい。また分
散液中の半導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は0.0
1〜30μmが好ましい。粒径分布の異なる2種類以上
の微粒子を混合してもよく、この場合小さい粒子の平均
サイズは25nm以下であるのが好ましく、より好まし
くは10nm以下である。入射光を散乱させて光捕獲率
を向上させる目的で、粒径の大きな、例えば100nm
以上、300nm程度の半導体粒子を混合することも好
ましい。
【0089】半導体微粒子の種類は、1種でもよく、異
なる2種以上の混合であってもよい。2種以上の半導体
微粒子を混合して使用する場合、1種は、TiO2、Z
nO、Nb25若しくはSrTiO3であることが好ま
しい。またもう1種としては、SnO2、Fe23、W
3であることが好ましい。さらに好ましい組み合わせ
としては、ZnOとSnO2、ZnOとWO3又はZn
O、SnO2とWO3などの組み合わせを挙げることがで
きる。2種以上の半導体微粒子を混合して用いる場合、
それぞれの粒径が異なっていてもよい。特に、上記1種
目で挙げた半導体微粒子の粒径が大きく、2種目以降で
挙げた半導体微粒子が小さい組み合わせが好ましい。好
ましくは、大きい粒径の粒子が100nm以上で、小さ
い粒径の粒子が15nm以下の組み合わせである。
【0090】半導体微粒子の作製法としては、作花済夫
の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998
年)、技術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーテ
ィング技術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法、
杉本忠夫の「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の
合成とサイズ形態制御」、まてりあ,第35巻,第9
号,1012〜1018頁(1996年)に記載のゲル
−ゾル法が好ましい。また、Degussa社が開発し
た塩化物を酸水素塩中で高温加水分解により酸化物を作
製する方法も好ましい。
【0091】半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾ
ル−ゲル法、ゲル−ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高
温加水分解法のいずれも好ましいが、さらに清野学の
「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997
年)に記載の硫酸法及び塩素法を用いることもできる。
さらに、ゾル−ゲル法として、Barbeらのジャーナ
ル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティー,第
80巻,第12号,3157〜3171頁(1997
年)に記載の方法や、Burnsideらのケミストリ
ー・オブ・マテリアルズ,第10巻,第9号,2419
〜2425頁に記載の方法も好ましい。
【0092】(B−2)半導体微粒子層 前記半導体は、例えば、前記導電性支持体上に形成され
た半導体微粒子層の形態で使用される。半導体微粒子を
導電性支持体上に塗布するには、半導体微粒子の分散液
又はコロイド溶液を導電性支持体上に塗布する方法の他
に、前述のゾル−ゲル法等を使用することもできる。光
電変換素子の量産化、半導体微粒子液の物性、導電性支
持体の融通性等を考慮した場合、湿式の製膜方法が比較
的有利である。湿式の製膜方法としては、塗布法、印刷
法、電解析出法及び電着法が代表的である。また、金属
を酸化する方法、金属溶液から配位子交換等で液相にて
析出させる方法(LPD法)、スパッタ等で蒸着する方
法、CVD法、あるいは加温した基板上に熱分解する金
属酸化物プレカーサーを吹き付けて金属酸化物を形成す
るSPD法を利用することもできる。
【0093】半導体微粒子の分散液を作製する方法とし
ては、前述のゾル−ゲル法の他に、乳鉢ですり潰す方
法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは
半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそ
のまま使用する方法等が挙げられる。
【0094】分散媒としては、水又は各種の有機溶媒
(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、シトロネロール、ターピネオール、ジクロロメタ
ン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル等)が挙げ
られる。分散の際、必要に応じて、例えばポリエチレン
グリコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースのようなポリマー、界面活性剤、酸、
又はキレート剤等を分散助剤として用いてもよい。ポリ
エチレングリコールの分子量を変えることで、分散液の
粘度が調節可能となり、さらに剥がれにくい半導体層を
形成したり、半導体層の空隙率をコントロールできるの
で、ポリエチレングリコールを添加することは好まし
い。
【0095】塗布方法としては、アプリケーション系と
してローラ法、ディップ法等、メータリング系としてエ
アーナイフ法、ブレード法等が好ましい。また、アプリ
ケーションとメータリングを同一部分にできるものとし
て、特公昭58−4589号に開示されているワイヤー
バー法、米国特許2681294号、同2761419
号、同2761791号等に記載のスライドホッパー
法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ましい。
また、汎用機として、スピン法やスプレー法も好まし
い。湿式印刷方法としては、凸版、オフセット及びグラ
ビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン
印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェット
厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択する。
【0096】半導体微粒子の層は単層に限らず、粒径の
違った半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類が
異なる半導体微粒子(あるいは異なるバインダー、添加
剤)を含有する塗布層を多層塗布したりすることもでき
る。一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効
である。
【0097】一般に、半導体微粒子層の厚さ(感光層の
厚さと同じ)が厚くなるほど単位投影面積当たりの担持
色素量が増えるため、光の捕獲率が高くなるが、生成し
た電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大
きくなる。したがって、半導体微粒子層の好ましい厚さ
は、0.1〜100μmである。光電池に用いる場合、
半導体微粒子層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜
25μmがより好ましい。半導体微粒子の支持体1m2
当たりに対する塗布量は、0.5〜100gが好まし
く、3〜50gがより好ましい。
【0098】半導体微粒子を導電性支持体上に塗布した
後で半導体微粒子同士を電子的に接触させるとともに、
塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるため
に、加熱処理するのが好ましい。加熱温度の範囲は、4
0℃以上700℃以下が好ましく、100℃以上600
℃以下がより好ましい。また、加熱時間は10分〜10
時間程度である。ポリマーフィルムのように融点や軟化
点の低い支持体を用いる場合、高温処理は支持体の劣化
を招くため好ましくない。またコストの観点からもでき
る限り低温(例えば50℃〜350℃)であることが好
ましい。低温化は、5nm以下の小さい半導体微粒子や
鉱酸、金属酸化物プレカーサーの存在下での加熱処理等
により可能となり、また、紫外線、赤外線、マイクロ波
等の照射や電界、超音波を印加することにより行うこと
もできる。同時に不要な有機物等を除去する目的で、上
記の照射や印加のほか加熱、減圧、酸素プラズマ処理、
純水洗浄、溶剤洗浄、ガス洗浄等を適宜組み合わせて併
用することが好ましい。
【0099】加熱処理後、半導体微粒子の表面積を増大
させたり、半導体微粒子近傍の純度を高め、色素から半
導体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四
塩化チタン水溶液を用いた化学メッキ処理や三塩化チタ
ン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよ
い。また、半導体微粒子から電荷輸送層へ逆電流が流れ
るのを防止する目的で、粒子表面に色素以外の電子電導
性の低い有機物を吸着させることも有効である。吸着さ
せる有機物としては疎水性基を有する物が好ましい。
【0100】半導体微粒子層は、多くの色素を吸着する
ことができるように大きな表面積を有することが好まし
い。半導体微粒子の層を支持体上に塗布した状態での表
面積は、投影面積に対して10倍以上であるのが好まし
く、100倍以上であるのがより好ましい。この上限は
特に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0101】(B−3)色素 感光層に用いる増感色素は、可視域や近赤外域に吸収を
有し、半導体を増感し得る化合物なら任意に用いること
ができ、有機金属錯体色素、メチン色素、ポルフィリン
系色素又はフタロシアニン系色素が好ましい。また、光
電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上
げるため、二種類以上の色素を併用又は混合することが
できる。この場合、目的とする光源の波長域と強度分布
に合わせるように、併用又は混合する色素とその割合を
選ぶことができる。
【0102】色素としては、半導体微粒子の表面に対し
て吸着能力の有る適当な結合基(interlocki
ng group)を有しているのが好ましい。好まし
い結合基としては、COOH基、OH基、SO3H基、
−P(O)(OH)2基又は−OP(O)(OH)2基の
ような酸性基、あるいはオキシム、ジオキシム、ヒドロ
キシキノリン、サリチレート又はα−ケトエノレートの
ようなπ伝導性を有するキレート化基が挙げられる。中
でも、COOH基、−P(O)(OH)2基又は−OP
(O)(OH)2基が特に好ましい。これらの基は、ア
ルカリ金属等と塩を形成していてもよく、また分子内塩
を形成していてもよい。また、ポリメチン色素の場合、
メチン鎖がスクアリリウム環やクロコニウム環を形成す
る場合のように酸性基を含有する場合、この部分を結合
基として有していてもよい。
【0103】以下、感光層に用いる好ましい増感色素を
具体的に説明する。 (B−3−a)有機金属錯体色素 色素が金属錯体色素である場合、金属フタロシアニン色
素、金属ポルフィリン色素又はルテニウム錯体色素が好
ましく、ルテニウム錯体色素が特に好ましい。ルテニウ
ム錯体色素としては、例えば米国特許4927721
号、同4684537号、同5084365号、同53
50644号、同5463057号、同5525440
号等の各明細書、及び、特開平7−249790号、特
表平10−504512号、世界特許98/50393
号、特開2000−26487号等の各公報に記載の錯
体色素が挙げられる。
【0104】さらに、前記色素がルテニウム錯体色素で
ある場合、下記一般式(V)で表されるルテニウム錯体
色素が好ましい。
【0105】一般式(V) (A1tRu(B−a)u(B−b)v(B−c)w 前記一般式(V)において、A1は1又は2座の配位子
を表す。A1は、Cl、SCN、H2O、Br、I、C
N、NCO、SeCN、β−ジケトン類、シュウ酸及び
ジチオカルバミン酸の誘導体からなる群から選ばれる配
位子であるのが好ましい。tが2以上の場合、2以上の
1は同一でも異なっていてもよい。前記一般式(V)
中、B−a、B−b及びB−cは、それぞれ独立に、下
記式(B−1)〜(B−10)のいずれかで表される配
位子を表す。tは0〜3のいずれかの整数を表し、u、
v及びwは各々0又は1を表し、前記一般式(V)で表
されるルテニウム錯体が6配位錯体となるように、配位
子の種類に応じて適宜組み合わされる。
【0106】
【化20】
【0107】前記式(B−1)〜(B−10)中、Ra
は、水素原子又は置換基を表し、該置換基としては、例
えば、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12の置換若しく
は無置換のアルキル基、炭素原子数7〜12の置換又は
無置換のアラルキル基、炭素原子数6〜12の置換若し
くは無置換のアリール基、酸性基(これらの酸性基は塩
を形成していてもよい)又はキレート化基が挙げられ
る。アルキル基及びアラルキル基のアルキル部分は直鎖
状でも分岐状でもよい。また、前記アリール基及びアラ
ルキル基のアリール部分は単環でも多環(縮合環、環集
合)でもよい。前記一般式(V)中、B−a、B−b及
びB−cは同一でも異なっていてもよい。
【0108】有機金属錯体色素の好ましい具体例(例示
化合物R−1〜R−17)を以下に示すが、本発明に用
いられる色素は、以下の具体例に限定されるものではな
い。
【0109】
【化21】
【0110】
【化22】
【0111】(B−3−b)メチン色素 本発明に使用する好ましいメチン色素は、シアニン色
素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素などのポリ
メチン色素である。本発明で好ましく用いられるポリメ
チン色素としては、例えば、特開平11−35836
号、特開平11−67285号、特開平11−8691
6号、特開平11−97725号、特開平11−158
395号、特開平11−163378号、特開平11−
214730号、特開平11−214731号、特開平
11−238905号、特開2000−26487号の
各公報、欧州特許892411号、同911841号及
び同991092号の各明細書に記載の色素が挙げられ
る。好ましいメチン色素の具体例を以下に示す。
【0112】
【化23】
【0113】
【化24】
【0114】(B−4)半導体微粒子への色素の吸着 半導体微粒子に色素を吸着させるには、色素の溶液中に
良く乾燥した半導体微粒子層を有する導電性支持体を浸
漬するか、色素の溶液を半導体微粒子層に塗布する方法
を用いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ
法、ローラ法、エアーナイフ法等が使用可能である。浸
漬法の場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開
平7−249790号に記載されているように加熱還流
して行ってもよい。また、後者の塗布方法としては、ワ
イヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョ
ン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等がある。色
素を溶解する溶媒として好ましいのは、例えば、アルコ
ール類(メタノール、エタノール、t−ブタノール、ベ
ンジルアルコール等)、ニトリル類(アセトニトリル、
プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル
等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメ
タン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン
等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフ
ラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド
等)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダ
ゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類
(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸
ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン
類(アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン等)、
炭化水素(へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエ
ン等)やこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0115】色素の全吸着量は、多孔質半導体電極基板
の単位表面積(1m2)当たり0.01〜100mmo
lが好ましい。また色素の半導体微粒子に対する吸着量
は、半導体微粒子1g当たり0.01〜1mmolの範
囲であるのが好ましい。前記範囲の色素吸着量とするこ
とにより、半導体における増感効果が十分に得られる。
これに対し、色素が少なすぎると増感効果が不十分とな
り、また色素が多すぎると半導体に付着していない色素
が浮遊し、増感効果を低減させる原因となる。色素の吸
着量を増大させるためには、吸着前に加熱処理を行うの
が好ましい。加熱処理後、半導体微粒子表面に水が吸着
するのを避けるため、常温に戻さずに、半導体電極基板
の温度が60〜150℃の間で素早く色素の吸着操作を
行うのが好ましい。また、色素間の凝集などの相互作用
を低減する目的で、無色の化合物を色素に添加し、半導
体微粒子に共吸着させてもよい。この目的で有効な化合
物は界面活性な性質、構造をもった化合物であり、例え
ば、カルボキシル基を有する、ステロイド化合物(例え
ばケノデオキシコール酸)や下記の例のようなスルホン
酸塩類が挙げられる。
【0116】
【化25】
【0117】未吸着の色素は、吸着後速やかに洗浄によ
り除去するのが好ましい。湿式洗浄槽を使い、アセトニ
トリル等の極性溶剤、アルコール系溶剤のような有機溶
媒で洗浄を行うのが好ましい。色素を吸着した後に、ア
ミン類や4級塩を用いて半導体微粒子の表面を処理して
もよい。好ましいアミン類としては、ピリジン、4−t
−ブチルピリジン及びポリビニルピリジン等が挙げられ
る。好ましい4級塩としてはテトロブチルアンモニウム
ヨージド及びテトラヘキシルアンモニウムヨージド等が
挙げられる。これらが液体の場合はそのまま用いてもよ
いし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0118】(C)電荷輸送層 電荷輸送層は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有
する電荷輸送材料を含有する層である。この電荷輸送層
に用いることのできる代表的な電荷輸送材料の例として
は、イオン輸送材料として、酸化還元対のイオンが溶解
した溶液(電解液)、酸化還元対の溶液をポリマーマト
リクスのゲルに含浸したいわゆるゲル電解質、酸化還元
対イオンを含有する溶融塩電解質、さらには固体電解質
が挙げられる。また、イオンが関わる電荷輸送材料のほ
かに、本発明では、この電荷輸送層に本発明の電解質組
成物を使用するが、これ以外の上記電荷輸送材料を併用
することもできる。
【0119】(C−1)電荷輸送層の形成 電荷輸送層の形成方法に関しては2通りの方法が考えら
れる。1つは、感光層の上に先に対極を貼り合わせてお
き、その間隙に液状の電荷輸送層を挟み込む方法であ
る。もう1つは、感光層上に直接、電荷輸送層を付与す
る方法で、対極はその後付与することになる。
【0120】前者の場合、電荷輸送層の挟み込み方法と
して、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセス、
又は常圧より低い圧力にして間隙の気相を液相に置換す
る真空プロセスを利用できる。
【0121】後者の場合、湿式の電荷輸送層においては
未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置
を施すことになる。また、ゲル電解質の場合には、湿式
で塗布して重合等の方法により固体化する方法があり、
その場合には、乾燥、固定化した後に対極を付与するこ
ともできる。電解液のほかゲル電解質を付与する方法と
しては、前述の半導体微粒子層や色素の付与と同様の方
法を利用できる。
【0122】(D)対極 対極は、前記の導電性支持体と同様に、導電性材料から
なる対極導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と支
持基板から構成されていてもよい。対極導電層に用いる
導電材としては、金属(例えば、白金、金、銀、銅、ア
ルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素、又
は導電性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、フ
ッ素ドープ酸化スズ、等)が挙げられる。この中でも、
白金、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウムを対極
層として好ましく使用することができる。対極の好まし
い支持基板の例としては、ガラス又はプラスチックであ
り、これに上記の導電剤を塗布又は蒸着して用いる。対
極導電層の厚さは特に制限されないが、3nm〜10μ
mが好ましい。対極層の表面抵抗は低い程よい。好まし
い表面抵抗の範囲としては、50Ω/□以下であり、さ
らに好ましくは20Ω/□以下である。
【0123】導電性支持体と対極のいずれか一方又は両
方から光を照射してよいので、感光層に光が到達するた
めには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質的
に透明であればよい。発電効率の向上の観点からは、導
電性支持体を透明にして、光を導電性支持体側から入射
させるのが好ましい。この場合、対極は光を反射する性
質を有するのが好ましい。このような対極としては、金
属又は導電性の酸化物を蒸着したガラス又はプラスチッ
ク、あるいは金属薄膜を使用できる。
【0124】対極は、電荷輸送層上に直接導電材を塗
布、メッキ又は蒸着(PVD、CVD)するか、導電層
を有する基板の導電層側を貼り付ければよい。また、導
電性支持体の場合と同様に、特に対極が透明の場合に
は、対極の抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが
好ましい。なお、好ましい金属リードの材質及び設置方
法、金属リード設置による入射光量の低下等は導電性支
持体の場合と同じである。
【0125】(E)その他の層 対極と導電性支持体の短絡を防止するため、予め導電性
支持体と感光層の間に緻密な半導体の薄膜層を下塗り層
として塗設しておくことが好ましく、電荷輸送層に電子
輸送材料や正孔輸送材料を用いる場合は特に有効であ
る。下塗り層としては、TiO2、SnO2、Fe23
WO3、ZnO、Nb25が好ましく、TiO2がより好
ましい。下塗り層は、例えば、Electrochi
m. Acta 40, 643−652(1995)
に記載されているスプレーパイロリシス法の他、スパッ
タ法等により塗設することができる。下塗り層の膜厚
は、5〜1000nm以下が好ましく、10〜500n
mがより好ましい。
【0126】また、電極として作用する導電性支持体と
対極の一方又は両方の外側表面、導電層と基板の間又は
基板の中間に、保護層、反射防止層等の機能性層を設け
てもよい。これらの機能性層の形成には、その材質に応
じて塗布法、蒸着法、貼り付け法等を用いることができ
る。
【0127】本発明の光電気化学電池は、前記した各々
の構成物の劣化や内容物の揮散を防止するために、側面
をポリマーや接着剤等で密封するのが好ましい。
【0128】本発明の光電気化学電池は、基本的に前記
光電変換素子と同様の構成であり、前記光電変換素子を
リード線等を介して外部回路に接続し、外部回路で仕事
をさせるように構成したものである。前記導電性支持体
及び前記対極にリード線等を介して接続される外部回路
自体は、公知のものを使用できる。また、本発明の光電
気化学電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には
同様のモジュール構造をとり得る。前記太陽電池モジュ
ールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上
にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で
覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとる
が、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上
にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込
む構造とすることも可能である。具体的には、スーパー
ストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティン
グタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリ
コン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構
造等が知られており、本発明の光電気化学電池も使用目
的や使用場所及び環境により、適宜これらのモジュール
構造を選択できる。具体的には、特開2000−268
892号の明細書に記載の構造や態様を適用することが
好ましい。
【0129】<非水二次電池>以下に、本発明の電解質
組成物を利用した本発明の非水二次電池について説明す
る。本発明の非水二次電池は、本発明の電解質組成物を
含むことを特徴とする。本発明の非水二次電池は、本発
明の電解質組成物を含有しているので、容量を大きく低
下させることなく、優れたサイクル性を示す。
【0130】−正極活性物質− 本発明の電解質組成物を非水二次電池に用いる場合、正
極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出でき
る遷移金属酸化物でもよいが、特にリチウム含有遷移金
属酸化物が好ましい。
【0131】本発明において、正極活性物質として好ま
しく用いられるリチウム含有遷移金属酸化物正極活物質
としては、リチウム含有Ti、V、Cr、Mn、Fe、
Co、Ni、Cu、Mo、Wを含む酸化物が好適に挙げ
られる。また、リチウム以外のアルカリ金属(周期律表
の第1(IA)族、第2(IIA)族の元素)、及び/
又はAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、B
i、Si、P、Bなどを混合してもよい。混合量は遷移
金属に対して0〜30mol%が好ましい。
【0132】前記正極活性物質として好ましく用いられ
るリチウム含有遷移金属酸化物質の中でも、リチウム化
合物/遷移金属化合物(ここで遷移金属とは、Ti、
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Wから選ば
れる少なくとも1種)の合計のモル比が0.3〜2.2
になるように混合して合成されたものが、より好まし
い。
【0133】また、前記リチウム化合物/遷移金属化合
物の中でも、リチウム化合物/遷移金属化合物(ここで
遷移金属とは、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから
選ばれる少なくとも1種)の合計のモル比が0.3〜
2.2になるように混合して合成されたものが、特に好
ましい。
【0134】さらに、前記リチウム化合物/遷移金属化
合物の中でも、Lig32(M3はCo、Ni、Fe及
びMnから選ばれる1種以上、g=0〜1.2)を含む
材料、又はLih4 24(M4はMn、h=0〜2)で
表されるスピネル構造を有する材料が、特に好ましい。
前記M3及びM4としては、遷移金属以外にAl、Ga、
In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P又はB
などを混合してもよい。混合量は遷移金属に対して0〜
30mol%が好ましい。
【0135】前記Lig32を含む材料、Lih4 2
4で表されるスピネル構造を有する材料の中でも、Lig
CoO2、LigNiO2、LigMnO2、LigCoj
(1 -j)2、LihMn24(ここで、h=0.1〜
0.9、g=0.02〜1.2、j=0.1〜0.9)
が、最も好ましい。ここで、上記のg値は、充放電開始
前の値であり、充放電により増減する。
【0136】前記正極活物質は、リチウム化合物と遷移
金属化合物を混合、焼成する方法や溶液反応など、公知
の方法により合成することができるが、特に焼成法が好
ましい。
【0137】本発明の非水二次電池において用られる前
記正極活物質の平均粒子サイズは、特に限定されない
が、0.1〜50μmが好ましい。比表面積としては特
に限定されないが、BET法で0.01〜50m2/g
が好ましい。また、正極活物質5gを蒸留水100ml
に溶かした時の上澄み液のpHとしては、7以上12以
下が好ましい。
【0138】前記正極活物質を所定の粒子サイズにする
には、良く知られた粉砕機や分級機を用いられる。例え
ば、乳鉢、ボールミル、振動ボールミル、振動ミル、衛
星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミ
ルや篩などが用いられる。前記焼成法によって得られた
正極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有
機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。
【0139】−負極活性物質− 本発明の非水二次電池において、負極活物質の一つとし
ては、リチウムの吸蔵放出が可能な炭素質材料が好適に
挙げられる。前記炭素質材料とは、実質的に炭素からな
る材料である。例えば、石油ピッチ、天然黒鉛、気相成
長黒鉛等の人造黒鉛、及びPAN系の樹脂やフルフリル
アルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材
料を挙げることができる。さらに、PAN系炭素繊維、
セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭
素繊維、脱水PVA系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガ
ラス状炭素繊維、活性炭素繊維等の各種炭素繊維類、メ
ソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、平板状
の黒鉛等を挙げることもできる。
【0140】これらの炭素質材料は、黒鉛化の程度によ
り難黒鉛化炭素材料と黒鉛系炭素材料に分けることもで
きる。また、炭素質材料は、特開昭62−22066号
公報、特開平2−6856号公報、同3−45473号
公報に記載される面間隔や密度、結晶子の大きさを有す
ることが好ましい。炭素質材料は、単一の材料である必
要はなく、特開平5−90844号公報記載の天然黒鉛
と人造黒鉛の混合物、特開平6−4516号公報記載の
被覆層を有する黒鉛等を用いることもできる。
【0141】本発明の非水二次電池において、用いられ
るもう一つの負極活物質としては、酸化物、及び/又は
カルコゲナイドが好適に挙げられる。
【0142】その中でも、特に、非晶質酸化物、及び/
又はカルコゲナイドが好ましい。ここでいう「非晶質」
とは、CuKα線を用いたX線回折法で2θ値で20°
から40°の領域に頂点を有するブロードな散乱帯を有
する物であり、結晶性の回折線を有してもよい。2θ値
で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線の内
最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下に見ら
れるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の100倍以
下であるのが好ましく、5倍以下であるのがより好まし
く、結晶性の回折線を有さないことが特に好ましい。
【0143】前記非晶質酸化物、及び/又はカルコゲナ
イドの中でも、半金属元素の非晶質酸化物、及び/又は
カルコゲナイドがより好ましく、周期律表第13(II
IB)族〜15(VB)族の元素、Al、Ga、Si、
Sn、Ge、Pb、Sb、Biの単独あるいはそれらの
2種以上の組み合わせからなる酸化物、カルコゲナイド
が特に好ましい。
【0144】前記好ましい非晶質酸化物、及び/又はカ
ルコゲナイドとしては、例えば、Ga23、SiO、G
eO、SnO、SnO2、PbO、PbO2、Pb23
Pb 24、Pb34、Sb23、Sb24、Sb25
Bi23、Bi24、SnSiO3、GeS、SnS、
SnS2、PbS、PbS2、Sb23、Sb25、Sn
SiS3などが好ましい。また、これらは、酸化リチウ
ムとの複合酸化物、例えば、Li2SnO2であってもよ
い。
【0145】本発明の非水二次電池に用いられる負極活
性物質としては、前記好ましい非晶質酸化物及び/又は
カルコゲナイドの中でも、Sn、Si、Geを中心とす
る非晶質酸化物がさらに好ましく、その中でも下記一般
式(VI)で表される非晶質酸化物であることが特に好
ましい。
【0146】一般式(VI) SnM1 d2 ef
【0147】前記一般式(VI)において、M1は、A
l、B、P及びGeから選ばれる少なくとも一種以上の
元素、M2は周期律表第1(IA)族元素、第2(II
A)族元素、第3(IIIA)族元素及びハロゲン元素
から選ばれる少なくとも一種以上の元素を表す。dは
0.2以上2以下の数字、eは0.01以上1以下の数
字で0.2<d+e<2、fは1以上6以下の数字を表
す。
【0148】以下に、Snを主体とする非晶質酸化物の
具体例(C−1〜C−18)を示すが、本発明はこれら
に限定されるものではない。
【0149】 C−1 SnSiO3 C−2 Sn0.8Al0.20.30.2Si0.53.6 C−3 SnAl0.40.5Cs0.10.53.65 C−4 SnAl0.40.5Mg0.10.53.7 C−5 SnAl0.40.4Ba0.080.43.28 C−6 SnAl0.40.5Ba0.08Mg0.080.33.26 C−7 SnAl0.10.2Ca0.10.1Si0.53.1 C−8 SnAl0.20.4Si0.42.7 C−9 SnAl0.20.1Mg0.10.1Si0.52.6 C−10 SnAl0.30.40.2Si0.53.55 C−11 SnAl0.30.40.5Si0.54.3 C−12 SnAl0.10.10.3Si0.63.25 C−13 SnAl0.10.1Ba0.20.1Si0.62.95 C−14 SnAl0.10.1Ca0.20.1Si0.62.95 C−15 SnAl0.40.2Mg0.1Si0.63.2 C−16 SnAl0.10.30.1Si0.53.05 C−17 SnB0.10.50.1SiO3.65 C−18 SnB0.50.1Mg0.10.53.05
【0150】本発明の非晶質酸化物、及び/又はカルコ
ゲナイトは、焼成法、溶液法のいずれの方法も採用する
ことができるが、焼成法がより好ましい。前記焼成法で
は、それぞれ対応する元素の酸化物、カルコゲナイトあ
るいは化合物をよく混合した後、焼成して非晶質酸化物
及び/又はカルコゲナイトを得るのが好ましい。これら
は、既に公知の方法により作製できる。
【0151】本発明の非水二次電池において、用いられ
る前記負極活性物質の平均粒子サイズは、0.1〜60
μmが好ましい。所定の粒子サイズにするには、良く知
られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボ
ールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミ
ル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩など
が用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の
有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うこと
が出来る。所望の粒径とするためには、分級を行うこと
が好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風
力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級
は、乾式、湿式ともに用いることができる。
【0152】本発明のSn、Si、Geを中心とする非
晶質酸化物負極活性物質に併せて用いることができる負
極活性物質としては、リチウムイオン又はリチウム金属
を吸蔵・放出できる炭素材料や、リチウム、リチウム合
金、リチウムと合金可能な金属が好適に挙げられる。
【0153】−電極合剤− 本発明の電極合剤としては、導電剤、結着剤やフィラー
などの他に、非プロトン性有機溶媒が添加される。
【0154】前記導電剤は、構成された電池において、
化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよ
い。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛
など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラ
ック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉(銅、ニ
ッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−148,55
4号)など)、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体
(特開昭59−20,971号)などの導電性材料を1
種又はこれらの混合物として含ませることができる。黒
鉛とアセチレンブラックの併用が特に好ましい。前記導
電剤の添加量としては、1〜50質量%が好ましく、2
〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合
は、2〜15質量%が特に好ましい。
【0155】本発明では電極合剤を保持するための結着
剤を用いることができる。前記結着剤の例としては、多
糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマーなど
が挙げられる。好ましい結着剤としては、でんぷん、カ
ルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセ
ルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸N
a、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸Na、ポリビニル
フェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルア
ルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリ
ル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アク
リレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポ
リマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチ
レン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−
ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライ
ド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共
重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プ
ロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン
化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタア
クリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メ
タ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸
エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アク
リロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエ
ステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレ
ン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエ
ン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素
ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタ
ン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネ
ートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール
樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あ
るいはサスペンジョンを挙げることができる。特に、ポ
リアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチ
ルセルロース、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化
ビニリデンが挙げられる。
【0156】前記結着剤は、単独又は混合して用いるこ
とができる。結着剤の添加量が少ないと電極合剤の保持
力・凝集力が弱い。多すぎると電極体積が増加し、電極
単位体積あるいは単位質量あたりの容量が減少する。こ
のような理由から、結着剤の添加量は1〜30質量%が
好ましく、特に2〜10質量%が好ましい。
【0157】前記フィラーは、構成された電池において
化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いる
ことができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンな
どのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維が
用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、
0〜30質量%が好ましい。
【0158】−セパレーター− 本発明の電解質組成物は、安全性確保のためにセパレー
ターと併用して使用することが可能である。安全性確保
のため併用されるセパレーターは80℃以上で上記の隙
間を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能を持つこ
とが必要であり、閉塞温度が90℃以上、180℃以下
であることが好ましい。
【0159】前記セパレーターの孔の形状は通常円形や
楕円形で、大きさは0.05μmから30μmであり、
0.1μmから20μmが好ましい。さらに、延伸法、
相分離法で作った場合のように、棒状や不定形の孔であ
ってもよい。これらの隙間の占める比率すなわち気孔率
は、20%から90%であり、35%から80%が好ま
しい。
【0160】前記セパレーターは、ポリエチレン、ポリ
プロピレンなどの単一の材料であっても、2種以上の複
合化材料であってもよい。孔径、気孔率や孔の閉塞温度
などを変えた2種以上の微多孔フィルムを積層したもの
が、特に好ましい。
【0161】−集電体− 正・負極の集電体としては、構成された電池において化
学変化を起こさない電子伝導体が用いられる。
【0162】正極の集電体としては、アルミニウム、ス
テンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他に、アルミニウ
ムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン
あるいは銀を処理させたものが好ましく、アルミニウ
ム、アルミニウム合金がより好ましい。
【0163】負極の集電体としては、銅、ステンレス
鋼、ニッケル、チタンが好ましく、銅あるいは銅合金が
特に好ましい。
【0164】前記集電体の形状は、通常フィルムシート
状のものが使用されるが、ネット、パンチされたもの、
ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用い
ることができる。前記集電体の厚みは、特に限定されな
いが、1〜500μmが好ましい。また、集電体表面
は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
【0165】−非水二次電池の作成− 以下に、本発明の非水二次電池の作成について説明す
る。本発明の非水二次電池の形状としては、シート、
角、シリンダーなどいずれにも適用できる。正極活物質
や負極材料の合剤は、集電体の上に塗布(コート)、乾
燥、圧縮されて、主に用いられる。
【0166】前記合剤の塗布方法としては、例えば、リ
バースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナ
イフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グラビア
法、バー法、ディップ法及びスクイーズ法を挙げること
ができる。その中でもブレード法、ナイフ法及びエクス
トルージョン法が好ましい。また、塗布は、0.1〜1
00m/分の速度で実施されることが好ましい。この
際、合剤の溶液物性、乾燥性に合わせて、上記塗布方法
を選定することにより、良好な塗布層の表面状態を得る
ことができる。塗布は、片面ずつ逐時でも両面同時に行
ってもよい。
【0167】さらに、前記塗布は、連続でも間欠でもス
トライプでもよい。その塗布層の厚み、長さや巾は、電
池の形状や大きさにより決められるが、片面の塗布層の
厚みは、ドライ後の圧縮された状態で、1〜2000μ
mが好ましい。
【0168】前記電極シート塗布物の乾燥及び脱水方法
は、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び低湿風
を単独あるいは組み合わせた方法を用いることできる。
乾燥温度は80〜350℃の範囲が好ましく、特に10
0〜250℃の範囲が好ましい。含水量は、電池全体で
2000ppm以下が好ましく、正極合剤、負極合剤や
電解質ではそれぞれ500ppm以下にすることが好ま
しい。シートのプレス法は、一般に採用されている方法
を用いることができるが、特にカレンダープレス法が好
ましい。プレス圧は、特に限定されないが、0.2〜3
t/cm2が好ましい。カレンダープレス法のプレス速
度は0.1〜50m/分が好ましく、プレス温度は室温
〜200℃が好ましい。正極シートに対する負極シート
幅の比は、0.9〜1.1が好ましく、0.95〜1.
0が特に好ましい。正極活物質と負極材料の含有量比
は、化合物種類や合剤処方により異なる。
【0169】前記方法で作成された正・負の電極シート
を、セパレーターを介して重ね合わせた後、そのままシ
ート状電池に加工したり、折りまげた後角形缶に挿入
し、缶とシートを電気的に接続した後、本発明の電解質
組成物を注入し、封口板を用いて形成する。
【0170】また、正・負の電極シートをセパレーター
を介して重ね合わせ巻いた後、シリンダー状缶に挿入
し、缶とシートを電気的に接続した後、本発明の電解質
組成物を注入し、封口板を用いてシリンダー電池を形成
する。この時、安全弁を封口板として用いることができ
る。安全弁の他、従来から知られている種々の安全素子
を備えつけてもよい。例えば、過電流防止素子として、
ヒューズ、バイメタル、PTC素子などが好適に用いら
れる。
【0171】また、安全弁のほかに電池缶の内圧上昇の
対策として、電池缶に切込を入れる方法、ガスケット亀
裂方法あるいは封口板亀裂方法あるいはリード板との切
断方法を利用することができる。また、充電器に過充電
や過放電対策を組み込んだ保護回路を具備させるか、あ
るいは独立に接続させてもよい。
【0172】また、過充電対策として、電池内圧の上昇
により電流を遮断する方式を具備することができる。こ
のとき、内圧を上げる化合物を合剤あるいは電解質に含
ませることができる。内圧を上げる為に用いられる化合
物の例としては、Li2CO3、LiHCO3、Na2CO
3、NaHCO3、CaCO3、MgCO3などの炭酸塩な
どを挙げることができる。
【0173】缶やリード板としては、電気伝導性をもつ
金属や合金を用いることができる。例えば、鉄、ニッケ
ル、チタン、クロム、モリブデン、銅、アルミニウムな
どの金属あるいはそれらの合金が好適に用いられる。
【0174】キャップ、缶、シート、リード板の溶接法
としては、公知の方法(例、直流又は交流の電気溶接、
レーザー溶接、超音波溶接)を用いることができる。封
口用シール剤としては、アスファルトなどの従来から知
られている化合物や混合物を用いることができる。
【0175】本発明の非水二次電池の用途は、特に限定
されないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノート
パソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子
ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、
ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、
携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、
ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、
ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トラ
ンシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テ
ープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリー
カードなどが挙げられる。その他民生用として、自動
車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機
器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメ
ラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機な
ど)などが挙げられる。さらに、各種軍需用、宇宙用と
して用いることができる。また、太陽電池と組み合わせ
ることもできる。
【0176】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって、何ら限定さ
れるものではない。
【0177】(実施例1) 化合物の合成 (1)例示化合物P−1及びP−2の合成
【0178】
【化26】
【0179】 中間体M−2の合成 ジアミン(M−1)18gを塩化メチレン50mlに溶
解し、トリフルオロスルホニルクロリド8.4gを添加
した後、−30℃にて、トリエチルアミン7mlを約1
0分間かけて滴下した。室温下、3時間攪拌した後、反
応液に水30mlを加え、塩化メチレン相を分液、1N
塩酸水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、塩化メチ
レンを減圧留去した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマ
ト(塩化メチレン)にて精製し、10gのM−2を油状
物として得た。
【0180】 P−1の合成 上記で得た、ジスルホンアミド(M−2)10gをTH
F50mlに溶解し、LiOH・H2O0.7g/水5
mlを加え、30分間加熱還流した。反応液に硫酸マグ
ネシウムを加え、ろ過し、ろ液を減圧留去後、塩化メチ
レンを加え、不溶物をろ過したろ液を再び減圧留去し、
真空乾燥機で乾燥後、6.0gのP−1を無色油状物と
して得た。構造確認はH1NMRで行い、Si上のメチ
ル基とCH2CH2CH2のプロトン比より、nの平均値
10であることがわかった(平均分子量1192)。
【0181】 P−2の合成 ビスリチウムイミド塩(P−1)5.0gを塩化メチレ
ン20ml/水20mlに分散し、ヨウ化1−エチル−
4−メチルイミダゾリウム2.0gを加え、室温化30
分間攪拌した。塩化メチレン相を分液し、水洗後、濃縮
した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトにて精製し、
5.5gのP−2を無色油状物として得た。
【0182】(実施例2) 光電気化学電池 2−1.二酸化チタン分散液の調製 内側をテフロン(登録商標)コーティングした内容積2
00mlのステンレス製ベッセルに二酸化チタン(日本
アエロジル社製 Degussa P−25)15g、
水45g、分散剤(アルドリッチ社製、Triton
X−100)1g、直径0.5mmのジルコニアビーズ
(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグラインダー
ミル(アイメックス社製)を用いて1500rpmにて
2時間分散した。分散物からジルコニアビーズをろ過し
て除いた。この場合の二酸化チタンの平均粒径は2.5
μmであった。このときの粒径は、MALVERN社製
マスターサイザーにて測定したものである。
【0183】2−2.色素を吸着したTiO2電極(電
極A)の作成 フッ素をドープした酸化スズをコーティングした導電性
ガラス(旭硝子(株)製TCOガラス−Uを20mm×
20mmの大きさに切断加工したもの)の導電面側にガ
ラス棒を用いて上記の分散液を塗布した。この際導電面
側の一部(端から3mm)に粘着テープを張ってスペー
サーとし、粘着テープが両端に来るようにガラスを並べ
て一度に8枚ずつ塗布した。塗布後、粘着テープを剥離
し、室温で1日間風乾した。次に、このガラスを電気炉
(ヤマト科学(株)製マッフル炉FP−32型)に入
れ、450℃にて30分間焼成した。このガラスを取り
出し冷却した後、色素R−1のエタノール溶液(3×1
0−4モル/リットル)に3時間浸漬した。色素の染着
したガラスを4−tert−ブチルピリジンに15分間
浸漬した後、エタノールで洗浄し自然乾燥させた。この
ようにして得られる感光層の厚さは10μmであり、半
導体微粒子の塗布量は20g/m2とした。なお、導電
性ガラスの表面抵抗は約30Ω/□であった。
【0184】2−3.光電気化学電池の作成 上述のようにして作成した色増感されたTiO2電極基
板(1cm×1cm)に、表1に示した本発明の化合物
あるいは比較化合物を含む電解質組成物(E−102〜
E−110)のアセトニトリル溶液(アセトニトリルは
組成物と同質量)を塗布し、60℃、減圧下で、TiO
2電極に染み込ませながらアセトニトリルを留去した。
これらの電極に、同じ大きさの白金蒸着ガラスを重ね合
わせ光電気化学電池(サンプルB−102〜B−11
0)を得た(表1、図2)。また、溶媒を用いた電解液
(表1のE−101)は、上記と同じ色素増感されたT
iO 2電極基板(2cm×2cm)に、その電極と同じ
大きさの白金蒸着ガラスと重ね合わせた後、両ガラスの
隙間に毛細管現象を利用して電解液を染み込ませ、光電
気化学電池(サンプルB−101)を作成した。なお、
重合性基を有する塩P−31を含む電解質E−110を
用いた電池(B−110)は、電解質を重合させるた
め、電池作成後に80℃で1時間加熱を行った。
【0185】本実施例により、図2に示したとおり、導
電性ガラス1(ガラス上に導電剤層2が設層されたも
の)、TiO2電極3、色素層4、電解質5、白金層6
及びガラス7が順に積層された光電気化学電池が作成さ
れた。
【0186】
【表1】
【0187】
【化27】
【0188】2−4.光電変換効率の測定 500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM1.
5 フィルター(Oriel社製)及びシャープカット
フィルター(KenkoL−41)を通すことにより紫
外線を含まない模擬太陽光を発生させ、この光の強度を
100mW/cm2に調整した。
【0189】前述の光電気化学電池の導電性ガラスと白
金蒸着ガラスに、それぞれワニ口クリップを接続し、4
5℃にて、模擬太陽光を照射し、発生した電気を電流電
圧測定装置(ケースレーSMU238型)にて測定し
た。これにより求められた光電気化学電池の開放電圧
(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、形状因子(F
F)[=最大出力/(開放電圧×短絡電流)]、及び変
換効率(η)と恒温恒湿(60℃、70%R.H.)下
で、400時間経時した後の短絡電流密度の低下率を、
一括して表2に記載した。
【0190】
【表2】
【0191】溶媒を用いた比較電解液を用いた光電気化
学電池(B−101)は、溶媒が揮発するため耐久性が
非常に悪い。また、溶融塩RE−1及び/又はRE−2
を用いた比較サンプル(B−102、B−103)は経
時での劣化は小さいが光電変換性能が十分ではない。そ
れらに対して、本発明の塩を用いた時は、短絡電流密
度、変換効率等の初期性能、耐久性ともに優れている。
このような効果は、いずれの色素を用いた場合にも見ら
れた。
【0192】(実施例3) リチウム2次電池 3−1.正極シートの作成 正極活物質として、LiCoO2を43質量部、鱗片状
黒鉛2質量部、アセチレンブラック2質量部、さらに結
着剤としてポリアクリロニトリル3質量部を加え、アク
リロニトリル100質量部を媒体として混練して得られ
たスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔にエクスト
ルージョン式塗布機を使って塗設し、乾燥後カレンダー
プレス機により圧縮成形した後、端部にアルミニウム製
のリード板を溶接し、厚さ95μm、幅54mm×長さ
49mmの正極シートを作成した。
【0193】3−2.負極シートの作成 負極活物質として、メソフェースピッチ系炭素材料(ペ
トカ社)を43質量部、導電剤としてアセチレンブラッ
ク2質量部とグラファイト2質量部の割合で混合し、さ
らに結着剤としてポリアクリロニトリルを3質量部を加
え、N‐メチルピロリドン100質量部を媒体として混
練して負極合剤スラリーを得た。負極合剤スラリーを厚
さ10μmの銅箔にエクストルージョン式塗布機を使っ
て塗設し、乾燥後カレンダープレス機により圧縮成形し
て厚さ46μm、幅55mm×長さ50mmの負極シー
トを作成した。負極シートの端部にニッケル製のリード
板を溶接した後、露点−40℃以下の乾燥空気中で23
0℃で1時間熱処理した。熱処理は遠赤外線ヒーターを
用いて行った。
【0194】3−3.シート電池の作成 負極シート,正極シートはそれぞれ露点−40℃以下の
乾燥空気中で230℃で30分脱水乾燥した。ドライ雰
囲気中で、幅54mm×長さ49mmの脱水乾燥済み正
極シート、幅60mm×長さ60mmに裁断したセパレ
ータ(ポリエチレン多孔フィルム)及び不織布を積層
し、不織布の上に表3に示した組成の電解質(E−20
2〜213)を同量のアセトニトリルに溶解した液を塗
布し、50℃で減圧下、アセトニトリルを留去した。ま
た溶媒を用いた電解液(E−201)は、そのままその
まま不織布に染み込ませた。その上に幅55mm×長さ
50mmの脱水乾燥済み負極シートを積層し、ポリエチ
レン(50μm)‐ポリエチレンテレフタレート(50
μm)のラミネートフイルムよりなる外装材を使用し4
縁を真空下で熱融着して密閉し、シート型電池(B−2
01〜B−213)を作成した。なお、重合性基を有す
る塩P−30を含む電解質E−209を用いた電池(B
−209)は、電解質を重合させるため、電池作成後に
80℃で1時間加熱を行った。本実施例で作成したシー
ト電池の構成を図3に示す。
【0195】
【表3】
【0196】3−4.電池性能の評価 前記方法で作成したシート型電池について、電流密度
1.3mA/cm2、充電終止電圧4.2V、放電終止
電圧2.6V、の条件で充放電を30回繰り返し、30
サイクル目における放電容量を求めた。これを同一処方
の5個の電池について調べ、その平均をその電池の容量
とした。このようにして各々の電池の容量を求め,SB
−1に対する相対容量を求めた。また、それぞれの電池
について200サイクル目の放電容量を求め、10サイ
クル目の放電容量に対する比を計算しサイクル容量とし
て表わした。それぞれの値を表4に示した。
【0197】
【表4】
【0198】上記の結果より、本発明の電解質組成物
は、容量の大きな低下が見られずにサイクル性を向上さ
せていることがわかる。
【0199】
【発明の効果】本発明によると、実質的に揮発せず、か
つ電化輸送能に優れた新規なポリシロキサン塩及び該塩
を含有する新規な電解質組成物を提供し、さらに該電解
質組成物を含み、耐久性とイオン伝導性に優れた電気化
学電池、耐久性と光変換特性に優れた光電気化学電池、
及び電池容量を低下させず、しかもサイクル特性に優れ
た非水二次電池を提供することを提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光電変換素子の一例を示す概略構成
図である。
【図2】 実施例2で作成した光電気化学電池の構成を
示す断面図である。
【図3】 実施例3で作成したシート型電池の構成を示
す図である。
【符号の説明】
1 導電性ガラス 2 導電剤層 3 TiO2電極 4 色素層 5 電解質 6 白金層 7 ガラス 10 光電変換素子 12 導電層 14 下塗り層 16 感光層 18 電荷輸送層 20 対極導電層 24 半導体層 28 基板 31 正極シート 32 高分子固体電解質 33 負極シート 34 正極端子 35 負極端子 s 半導体微粒子 d 色素 t 電荷輸送材料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J035 BA02 CA16M CA19U CA191 CA26M CA26N FB02 LA02 LB20 5G301 CA30 CD01 5H029 AJ05 AK03 AL02 AL04 AL06 AL07 AL12 AM00 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 AM10 AM16 BJ04 BJ12 DJ09 HJ02 5H032 AA07 AS19 CC17 EE04 EE16 EE20

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表される原子団と、
    スルホンアミド、ジスルホンイミド、N−アシルスルホ
    ンアミド、アルコール、フェノール及びスルホン酸のう
    ち少なくとも1つからプロトンが解離してなるアニオン
    部と、周期律表第1族又は第2族に属する金属イオン及
    び/又は有機カチオンであるカチオン部と、を構造中に
    有する塩を含有することを特徴とする電解質組成物。 【化1】 前記一般式(I)において、R1、R2は、アルキル基、
    アリール基又はアルコキシ基を表す。nは3以上の数を
    表す。
  2. 【請求項2】 前記塩が、下記一般式(III−a)及
    び下記一般式(III−b)のいずれかの構造で表され
    る塩である請求項1に記載の電解質組成物。 【化2】 前記一般式(III−a)及び前記一般式(III−
    b)において、R1及びR2は、各々独立にアルキル基を
    表す。X1及びX2は、各々独立に、前記カチオン部を表
    す。X1及びX2は互いに同じであっても異なってもよ
    い。L1及びL2は、アルキレン基を含んだ2価連結基を
    表す。Y1及びY2は、前記アニオン部を含む置換基を表
    す。Y1及びY2は互いに同じであっても異なってもよ
    い。R3は、置換若しくは無置換のアルキル基を表す。
    nは3以上の数を表す。
  3. 【請求項3】 前記R1及びR2が炭素原子数1〜3のア
    ルキル基であり、前記L1及びL2が各々独立に−(CH
    23−及び−(CH23OCH2CH2−のいずれかで表
    される2価連結基であり、Y1及びY2が各々独立に下記
    一般式(IV−a)及び一般式(IV−b)のいずれか
    の構造で表されるアニオン部を含む置換基である請求項
    1又は2に記載の電解質組成物。 【化3】 前記一般式(IV−a)及び一般式(IV−b)におい
    て、R5は炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
  4. 【請求項4】 前記カチオン部が、リチウムイオンであ
    る請求項1から3のいずれかに記載の電解質組成物。
  5. 【請求項5】 前記カチオン部が、一般式(II−
    a)、一般式(II−b)、及び一般式(II−c)で
    表されるカチオン部のうちいずれかである請求項1から
    3のいずれかに記載の電解質組成物。 【化4】 前記一般式(II−a)において、Qy1は、窒素原子と
    ともに、5員環又は6員環の芳香族カチオンを形成しう
    る原子団を表す。Ry1は、置換若しくは無置換のアルキ
    ル基又はアルケニル基を表す。前記一般式(II−b)
    において、Ay1は、窒素原子又はリン原子を表す。
    y1、Ry2、Ry3及びRy4は、置換若しくは無置換のア
    ルキル基、又は置換若しくは無置換のアルケニル基を表
    す。また、Ry1、Ry2、Ry3及びRy4のうち、2以上が
    互いに連結してAy1を含む非芳香族環を形成してもよ
    い。前記一般式(II−c)において、Ry1、Ry2、R
    y3、Ry4、Ry5及びRy6は、置換若しくは無置換のアル
    キル基又は置換若しくは無置換のアルケニル基を表し、
    それらのうち、2つ以上が互いに連結して環構造を形成
    してもよい。前記一般式(II−a)、一般式(II−
    b)、及び一般式(II−c)で表される化合物は、Q
    y1又はRy1〜Ry6を介して多量体を形成してもよい。
  6. 【請求項6】 請求項1から5のいずれかに記載の電解
    質組成物を含むことを特徴とする電気化学電池。
  7. 【請求項7】 請求項1から5のいずれかに記載の電解
    質組成物を含むことを特徴とする非水二次電池。
  8. 【請求項8】 請求項1から5のいずれかに記載の電解
    質組成物を含む電荷移動層と、色素で増感された半導体
    を含む感光層と、対向電極と、を有することを特徴とす
    る光電気化学電池。
  9. 【請求項9】 下記一般式(III−a)及び下記一般
    式(III−b)のいずれかの構造で表されることを特
    徴とするポリシロキサン塩。 【化5】 前記一般式(III−a)及び前記一般式(III−
    b)において、R1及びR2は、各々独立に炭素原子数1
    〜3のアルキル基を表す。X1及びX2は、リチウムイオ
    ンを表す。L1及びL2は、各々独立に−(CH23−及
    び−(CH23OCH2CH2−のいずれかで表される2
    値連結基を表す。Y1及びY2は、各々独立に下記一般式
    (IV−a)及び一般式(IV−b)のいずれかの構造
    で表されるアニオン部を含む置換基を表す。R3は、置
    換若しくは無置換のアルキル基を表す。nは3以上の数
    を表す。 【化6】 前記一般式(IV−a)及び一般式(IV−b)におい
    て、R5は炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
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