JP4637334B2 - 電解質組成物および電気化学電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な電解質組成物及びそれを用いた電気化学電池、特に非水二次電池及び光電気化学電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
非水二次電池や色素増感太陽電池などの電気化学電池に用いられる電解質は、目的に応じたイオンを含み、そのイオンを電極間に輸送する機能(イオン伝導という)を持つ媒体である。例えば、非水二次電池の代表であるリチウム二次電池では、リチウムイオンの輸送が、色素増感太陽電池では、ヨウ素イオン及びヨウ素三量体イオンの伝導性が問題となる。これら電池においては、一般に、イオン伝導性が高い溶液系が電解質として多く用いられているが、電池に組み込んだ際の溶媒の枯渇や漏れが電池の耐久性を低下させるなどの問題がある。また、リチウム二次電池においては溶液を密閉するため、金属容器を用いなければならないため、電池質量が重くなり、電池形状にも自由度を持たせることが困難である。
【0003】
このような溶液系電解質の欠点を克服するため、近年、種々の電解質が提案されている。溶液電解質をポリマーマトリックスに浸潤させたいわゆるゲル電解質は、溶液系電解質に対して、イオン伝導度の低下が小さく電池性能が低下しない点で有利であるが、溶媒の揮発を完全に抑止することはできず、溶液系電解質が有する問題を完全に解決することはできない。また、塩をポリエチレンオキシドなどのポリマーに溶解したポリマー電解質は、溶液系電解質の問題を解決するものとして期待されるが、イオン伝導度は未だ十分ではない。一方、対アニオンがBF4 -、(CF3SO22-などのイミダゾリウム塩やピリジニウム塩は、室温で液状の室温溶融塩であり、リチウムイオン電池用の電解質として、提案されているが、電解質の機械的強度とイオン伝導性とが相反し、溶融塩自身の粘性を上げたり、ポリマーを含有させるなどの手段で、機械的強度を強くした場合にはイオン伝導度の低下がみられる。さらに、上記のような電解質では、イオン伝導性の温度依存性が大きく、特に低温でのイオン伝導性が不十分である。
【0004】
ところで、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電は単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、テルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の化合物太陽電池が実用化、もしくは研究開発の対象となっているが、普及させる上で製造コスト、原材料の確保、エネルギーペイバックタイムの長さなどの問題点を克服する必要がある。一方、大面積化や低価格化を指向した有機材料を用いた太陽電池もこれまでにも多く提案されているが、変換効率が低く、耐久性も悪いという問題がある。
【0005】
こうした状況の下、色素によって増感された酸化物半導体を用いた光電変換素子(以後、色素増感光電変換素子と略す)及びこれを用いた光電気化学電池についての技術がNature(第353巻、第737〜740頁、1991年)及び米国特許4927721号等に開示された。前記開示された電池は負極として機能する光電変換素子、電荷輸送層及び対極からなる。前記光電変換素子は導電性支持体及び感光層からなり、前記感光層は表面に色素が吸着した半導体を含む。前記電荷輸送層は酸化還元体からなり、負極と対極(正極)との間で電荷輸送を担う。この方式の電池は安価で、比較的高いエネルギー変換効率(光電変換効率)が得られる点で有望であるが、電荷輸送層としてヨウ化カリウム等の塩を電解質とする水溶液(電解液)を用いているため、長期にわたって使用すると電解液の蒸散、枯渇により光電変換効率が著しく低下したり、電池として機能しなくなるという問題がある。
【0006】
この問題に対し、電解液の枯渇防止方法として、WO95/18456号に低融点化合物であるイミダゾリウム塩を電解質として使用する方法が記載されている。この方法によれば、従来、電解質の溶媒として用いていた水や有機溶剤が不要、あるいは少量で済むため、耐久性は改善されるが、未だ実用上の耐久性としては不十分である。また、イミダゾリウム塩を高濃度にすると粘度が高くなるとともに電荷輸送能が低下し、光電変換効率が低くなるという問題がある。さらには、トリアゾリウム塩を電解質として使用する方法もあるが、この方法においてもイミダゾリウム塩と同様の問題が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電気化学電池においては、低分子溶媒を含有する電解質組成物を使用した場合は、溶媒の揮発や液漏れにより電池性能が低下するという耐久性の点で問題がある。一方、室温で液体の塩をベースとした、いわゆる溶融塩電解質を使用した場合には、低沸点の化合物を含まないため揮発による電池性能の劣化を防止するには有効であるが、一般に粘度が高いため電荷輸送能が低いという欠点がある。
【0008】
本発明は、前記諸問題に鑑みさなれたものであって、耐久性及び電荷輸送性能に優れた電解質組成物を提供することを課題とする。また本発明は、経時での性能低下の少ない電気化学電池を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(1)で表される塩を含むことを特徴とする電解質組成物である。
【0010】
【化3】
【0011】
式(1)中、R1及びR2は各々置換若しくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、又はアミノ基を表し、但し、R 1 及びR 2 の少なくとも一つが置換又は無置換のエチレンオキシ基を含み、Yは有機又は無機のカチオンを表す。
【0012】
<2> 前記一般式(1)中、Yが下記一般式(2−a)、(2−b)及び(2−c)のいずれかで表される有機カチオンである<1>に記載の電解質組成物である。
【0013】
【化4】
【0014】
式(2−a)中、Qy1は窒素原子と共に5又は6員環の芳香族カチオンを形成し得る原子団を表し、Ry1は置換若しくは無置換のアルキル基又はアルケニル基を表す。式(2−b)中、Ay1は窒素原子又はリン原子を表し、Ry1、Ry2、Ry3及びRy4は各々置換若しくは無置換のアルキル基又はアルケニル基を表す。また、Ry1、Ry2、Ry3及びRy4のうち2つ以上が互いに結合してAy1を含む非芳香族環を形成していてもよい。式(2−c)中、Ry1、Ry2、Ry3、Ry4、Ry5及びRy6は各々置換若しくは無置換のアルキル基又はアルケニル基を表し、Ry3、Ry4、Ry5及びRy6のうち2つ以上が互いに結合して環構造を形成していてもよい。式(2−a)、式(2−b)及び式(2−c)で表される化合物は各々Qy1、Ry1、Ry2、Ry3、Ry4、Ry5又はRy6を中心として多量体を形成していてもよい。
【0015】
<3> 前記一般式(1)中、Yがリチウムカチオンである<1>に記載の電解質組成物である。
> 前記一般式(1)中、R1及びR2のいずれか一つがフッ素置換アルキル基を含む<1>から<>までのいずれかに記載の電解質組成物である。
> 前記一般式(1)中、R1、R2及びYの少なくとも一つが重合性基を含む<1>から<>までのいずれかに記載の電解質組成物である。
> 前記一般式(1)中、アニオン及びカチオンの少なくとも一方が高分子である<1>から<>までのいずれかに記載の電解質組成物である。
> ヨウ素塩化合物およびヨウ素を含む<1>から<>までのいずれかに記載の電解質組成物である。
> 前記一般式(1)で表される塩を少なくとも2種含み、少なくとも1種はYがリチウムカチオンの塩であり、他方はYが前記一般式(2−a)、(2−b)及び(2−c)のいずれかで表されるカチオンの塩である<3>から<>までのいずれかに記載の電解質組成物である。
<9> 前記一般式(1)で表される塩を含むことを特徴とする電解質組成物。
式(1)中、R 1 及びR 2 は各々置換若しくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、又はアミノ基を表し、Yは有機又は無機のカチオンを表す。但し、アニオン及びカチオンの少なくとも一方が高分子である。
<10> 前記一般式(1)で表される塩と、ヨウ素塩化合物およびヨウ素と、を含むことを特徴とする電解質組成物。
式(1)中、R 1 及びR 2 は各々置換若しくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、又はアミノ基を表し、Yは有機又は無機のカチオンを表す。
<11> 前記一般式(1)で表される塩を少なくとも2種含み、少なくとも1種はYがリチウムカチオンの塩であり、他方はYが前記一般式(2−a)、(2−b)及び(2−c)のいずれかで表されるカチオンの塩であることを特徴とする電解質組成物。
式(1)中、R 1 及びR 2 は各々置換若しくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、又はアミノ基を表し、Yは有機又は無機のカチオンを表す。
式(2−a)中、Q y1 は窒素原子と共に5又は6員環の芳香族カチオンを形成し得る原子団を表し、R y1 は置換若しくは無置換のアルキル基又はアルケニル基を表す。式(2−b)中、A y1 は窒素原子又はリン原子を表し、R y1 、R y2 、R y3 及びR y4 は各々置換若しくは無置換のアルキル基又はアルケニル基を表す。また、R y1 、R y2 、R y3 及びR y4 のうち2つ以上が互いに結合してA y1 を含む非芳香族環を形成していてもよい。式(2−c)中、R y1 、R y2 、R y3 、R y4 、R y5 及びR y6 は各々置換若しくは無置換のアルキル基又はアルケニル基を表し、R y3 、R y4 、R y5 及びR y6 のうち2つ以上が互いに結合して環構造を形成していてもよい。式(2−a)、式(2−b)及び式(2−c)で表される化合物は各々Q y1 、R y1 、R y2 、R y3 、R y4 、R y5 又はR y6 を中心として多量体を形成していてもよい。
【0016】
12> <1>から<11>までのいずれかに記載の電解質組成物を含む電気化学電池である。
13> 前記電解質組成物を含む電荷輸送層と、色素で増感された半導体を含む感光層と、対極とを有し、且つ光電気化学電池であることを特徴とする<12>に記載の電気化学電池である。
14> 非水二次電池であることを特徴とする<12>に記載の電気化学電池である。
<15> 前記一般式(1)で表される塩を含有する電解質組成物を含む電荷輸送層と、色素で増感された半導体を含む感光層と、対極とを有する光電気化学電池。
式(1)中、R 1 及びR 2 は各々置換若しくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、又はアミノ基を表し、Yは有機又は無機のカチオンを表す。
【0017】
【発明の実施の形態】
[電解質組成物]
本発明の電解質組成物は前記一般式(1)で表される塩を含むことを特徴とする。一般的に、25℃にて液体又は低融点の固体である塩、いわゆる溶融塩と呼ばれる化合物は、溶媒電解質に含まれる低分子溶媒と比較して沸点が高く、枯渇しにくい点で有利である。その一方で、一般的に、溶融塩は粘性が高く、電荷輸送能が溶媒電解質に比較して劣るという問題があった。前記塩を含む本発明の電解質組成物は、粘性が高い状態で高い電荷輸送性能を示すので、電荷輸送性能を損なうことなく、高い耐久性を有する。従って、電気化学電池の電解質として用いた場合に、経時での性能低下の少ない耐久性に優れた電気化学電池を提供することができる。
【0018】
前記一般式(1)中、R1及びR2は各々置換基を表す。R1及びR2が各々表す置換基としては、置換若しくは無置換のアルキル基、アルコキシ基及びアミノ基が好ましい。中でも、R1及びR2のうち一方がフッ素化アルキル基(好ましくは−CF3、−C25、−C715など)であるか、それらを含む基であるのが好ましい。R1及びR2は各々さらに置換基を有してもよく、該置換基としては、後述する一般式(3)中のR7が表す置換基として例示する置換基が好ましい。
【0019】
1及びR2の少なくともいずれか一方は置換又は無置換のエチレンオキシ基を含むことが好ましい。前記置換又は無置換のエチレンオキシ基を含む置換基は下記一般式(3)で表される。
【0020】
【化5】
【0021】
前記一般式(3)中、R3、R4、R5及びR6は各々水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。R3〜R6は全て水素原子であるか、いずれか一つがメチル基であるのが好ましい。
【0022】
前記一般式(3)中、R7は置換基を表す。R7として、好ましい置換基は、置換していてもよいアルキル基〔好ましくは炭素原子数(以下C数)が1〜24であり、より好ましくは(C数)が1〜10であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、i−プロピル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、2−ヘキシルデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシルメチル、オクチルシクロヘキシル〕、置換していても縮環していてもよいアリール基(好ましくはC数6〜24、例えばフェニル、4−メチルフェニル、3−シアノフェニル、2−クロロフェニル、2−ナフチル)、置換していても縮環していてもよい複素環基(含窒素複素環基のときは環中の窒素が4級化していてもよい。好ましくはC数2〜24、例えば4−ピリジル、2−ピリジル、1−オクチルピリジニウム−4−イル、2−ピリミジル、2−イミダゾリル、2−チアゾリル)、アルコキシ基〔好ましくはC数1〜24、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチルオキシ、メトキシエトキシ、メトキシペンタ(エチルオキシ)、アクリロイルオキシエトキシ、ペンタフルオロプロポキシ〕、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜24、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜24、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、シアノ基、フルオロ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、および重合性基(好ましくはビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、桂皮酸残基など)が挙げられる。
【0023】
前記一般式(3)中、nは1〜20のいずれかの整数を表す。nは3〜20であるのが好ましい。nが2以上の場合及び前記一般式(1)中にエチレンオキシ基が2以上含まれる場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。
【0024】
前記一般式(1)中、Yは有機又は無機のカチオンを表す。Yが有機カチオンである場合、該有機カチオンとしては、前記一般式(2−a)、(2−b)及び(2−c)のいずれかで表される有機カチオンが好ましい。
【0025】
前記式(2−a)中、Qy1は窒素原子と共に5又は6員環の芳香族カチオンを形成し得る原子団を表す。Ry1は置換若しくは無置換のアルキル基又はアルケニル基を表す。
【0026】
前記式(2−b)中、Ay1は窒素原子又はリン原子を表し、Ry1、Ry2、Ry3及びRy4は各々置換若しくは無置換のアルキル基又はアルケニル基を表す。Ry1、Ry2、Ry3及びRy4のうち2つ以上が互いに結合してAy1を含む非芳香族環を形成していてもよい。
【0027】
前記式(2−c)中、Ry1、Ry2、Ry3、Ry4、Ry5及びRy6は各々、置換若しくは無置換のアルキル基又はアルケニル基を表す。Ry1、Ry2、Ry3、Ry4、Ry5及びRy6のうち2つ以上が互いに結合して環構造を形成していてもよい。
【0028】
前記式(2−a)、式(2−b)及び式(2−c)で表されるカチオンは、Qy1、Ry1、Ry2、Ry3、Ry4、Ry5又はRy6を中心として多量体を形成していてもよい。
【0029】
前記式(2−a)中、Qy1で表される原子団の構成原子は、炭素、水素、窒素、酸素及び硫黄から選択される原子であるのが好ましい。Qy1と窒素原子とで完成される芳香族6員環としては、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン及びトリアジンが好ましく、より好ましくはピリジンである。Qy1と窒素原子とで完成される芳香族5員環としては、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール及びトリアゾールが好ましく、オキサゾール、チアゾール及びイミダゾールが好ましく、オキサゾール及びイミダゾールが特に好ましい。
【0030】
前記式(2−a)、(2−b)及び(2−c)中のRy1〜Ry6の置換若しくは無置換のアルキル基としては、炭素原子数(以下C数)が1〜24のアルキル基が好ましい。前記アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であっても、また環式であってもよい。例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、i−プロピル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、2−ヘキシルデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、シクロペンチル等が挙げられる。前記置換若しくは無置換のアルケニル基としては、C数が2〜24のアルケニル基が好ましい。前記アルケニル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。例えばビニル、アリル等が挙げられる。Ry1〜Ry6としては、好ましくはC数3〜18のアルキル基及びC数2〜18のアルケニル基であり、より好ましくはC数4〜6のアルキル基である。
【0031】
y1で表される原子団の構成原子及びRy1〜Ry6が置換可能な場合、これらは置換基を有していてもよい。前記置換基の好ましい例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、シアノ基、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシなど)、アリーロキシ基(フェノキシなど)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオなど)、アシル基(アセチル、プロピオニル、ベンゾイルなど)、スルホニル基(メタンスルホニル、ベンゼンスルホニルなど)、アシルオキシ基(アセトキシ、ベンゾイルオキシなど)、スルホニルオキシ基(メタンスルホニオキシ、トルエンスルホニルオキシなど)、ホスホニル基(ジエチルホスホニルなど)、アミド基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミドなど)、カルバモイル基(N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイルなど)、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、2−カルボキシエチル、ベンジルなど)、アリール基(フェニル、トルイルなど)、複素環基(例えば、ピリジル、イミダゾリル、フラニルなど)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニルなど)、重合性基(ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基及び桂皮酸残基など)などが挙げられる。
【0032】
Yが無機カチオンである場合、該無機カチオンとしては、アルカリ金属イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン等)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が挙げられる。本発明の電解質組成物を、リチウム二次電池用の電解質の用途に供する場合は、リチウムイオンをカチオンとして含む塩を使用することができる。
【0033】
前記一般式(1)中、R1、R2及びYの少なくとも一つが重合性基を含んでいると(R1及びR2そのものが重合性基である場合を含む)、電解質組成物を重合させて使用する場合には好ましい。前記重合性基としては、エチレン性不飽和基(たとえば、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基など)が好ましく、特にアクリロイル基が好ましい。
【0034】
以下に、前記一般式(1)で表される塩の具体例(例示化合物F−1〜29)を示すが、本発明に使用可能な塩はこれらの具体例に限定されるものではい。また、具体例中のカチオンとアニオンとの組合せをかえて構成される塩等も具体例として挙げることができる。
但し、一般式(1)において、アニオン及びカチオンの少なくとも一方が高分子の場合、ヨウ素塩化合物およびヨウ素を更に含む電解質組成物の場合、及び一般式(1)で表される塩を少なくとも2種含み、少なくとも1種はYがリチウムカチオンの塩であり、他方はYが一般式(2−a)、(2−b)及び(2−c)のいずれかで表されるカチオンの塩である電解質組成物の場合を除いては、R 1 及びR 2 の少なくとも一つが置換又は無置換のエチレンオキシ基を含む一般式(1)で表される塩を用いる。
【0035】
【化6】
【0036】
【化7】
【0037】
【化8】
【0038】
【化9】
【0039】
【化10】
【0040】
前記一般式(1)で表される塩において、カチオン(Y)及び/又はアニオン(R1−CO−N-−SO2−R2)は高分子であってもよい。アニオンが高分子である場合、前記塩のアニオンであるR1−CO−N-−SO2−R2で表される部分構造は、ポリマーの主鎖を構成している繰り返し単位として含まれていても、ポリマーの主鎖から多数伸びた側鎖の部分構造として含まれていてもよい。また、前記一般式(2−a)〜(2−c)のいずれかで表されるカチオンが高分子である場合は、前記一般式(2−a)〜(2−c)のいずれかで表される部分構造は、ポリマーの主鎖を構成している繰り返し単位として含まれていても、ポリマーの主鎖から多数伸びた側鎖の部分構造として含まれていてもよい。前記部分構造を含む高分子は、重合性基を構造中に含むアニオン又はカチオンを単独であるいは他のモノマーと共に重合することによって得られる。例えば、前記一般式(1)で表される塩において、アニオン中のR1及び/又はR2が重合性基である又は重合性基を置換基として有する化合物を重合することによって得られる。また、前記一般式(2−a)〜(2−c)で表されるカチオンにおいて、Ry1〜Ry6が重合性基である若しくは重合性基を置換基として有する、又はQy1で表される原子団の構成原子が置換基として重合性基を有するカチオンを重合することによって得られる。
【0041】
前記一般式(1)で表される塩は、融点が100℃以下であるのが好ましく、80℃以下であるのがより好ましく、60℃以下であるのがさらに好ましい。融点の下限には、特に限定はない。
【0042】
本発明の電解質組成物を電池に組み込む場合、加熱溶解して電極に塗布あるいは浸透させるか、低沸点溶媒(例えばメタノール、アセトニトリル、塩化メチレン)等を用いて電極に塗布あるいは浸透させ、その後溶媒を加熱により除去する方法等にて電池内に組み込むことができる。
また、前記一般式(1)で表される塩のうちアニオン及び/又はカチオンが重合性基を含む場合は、重合開始剤と共に電極に組み込んだ後に、熱又は光により重合することも可能である。
【0043】
本発明の電解質組成物としては、好ましくは50質量%までの溶媒等と混合して用いてもよいが、優れた耐久性及び光電変換効率を実現するためには、一般式(1)で表される塩を70質量%以上含有させるのが好ましく、80質量%以上含有させるのがより好ましく、90質量%以上含有させるのが最も好ましい。
【0044】
本発明の電荷質組成物は、前記一般式(1)で表される塩とともに、所望により他の成分を含有していてもよい。
本発明の電解質組成物は、前記一般式(1)で表される塩とともに溶媒を含有していてもよい。前記電解質組成物中における溶媒の含有量は、前記一般式(1)で表される塩の含有量以下であるのが好ましい。使用する溶媒としては、粘度が低くイオン易動度を向上したり、又は誘電率が高く有効キャリアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発現できる化合物であることが望ましい。このような溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルなどの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、カルボン酸エステル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル等のエステル類、ジメチルスルフォキシド、スルフォランなど非プロトン極性物質、水などを用いることができる。この中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、エステル類が特に好ましい。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記溶媒としては、耐揮発性による耐久性向上の観点にて常圧(1気圧)における沸点は200℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましく、270℃以上がさらに好ましいが、この性質を有するものに限定されるものではない。
【0045】
前記塩が重合性基を有し、それらを電池に充填する前後で重合する場合は、本発明の電質組成物中には、前記一般式(1)で表される塩とともに、前記塩の重合を開始し得る重合開始剤を含有させることができる。また、前記一般式(1)で表される塩と重合可能な他のモノマー(架橋剤を含む)を含有させることもできる。重合には、大津隆行・木下雅悦共著:高分子合成の実験法(化学同人)や大津隆行:講座重合反応論1ラジカル重合(I)(化学同人)に記載された一般的な高分子合成法であるラジカル重合法を利用することができ、熱重合開始剤を用いる熱重合法と光重合開始剤を用いる光重合法の双方が利用可能である。
【0046】
好ましく使用される熱重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシドなどの過酸化物系開始剤等が含まれる。好ましく用いられる光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許244828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許35493676号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。前記電解質組成物における前記重合開始剤の好ましい添加量は、前記塩の含有量に対し0.01質量%以上20質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。重合により得られる重合体の好ましい分子量(数平均分子量)は、前記塩が単官能モノマーである場合は5,000〜100万であり、さらに好ましくは1万〜50万である。また、前記塩が多官能モノマーである場合、あるいは架橋剤を用いた場合は、上記の分子量のポリマーが3次元網目構造を形成する。
【0047】
本発明の電解質組成物を光電気化学電池の電解質に用いる場合は、前記電解質組成物中には、電荷キャリアとしてI-とI3 -を含む電解質を併用することが好ましく、それらは任意の塩の形で添加することができる。I3 -塩は、ヨウ素塩(I-塩)の存在下、ヨウ素(I2)を加え、電解質組成物中で生成させるのが一般的であり、その際、加えたI2と同量のI3 -が生成する。従って、本発明の電解質組成物を光電気化学電池に利用する場合は、前記電解質組成物中に、ヨウ素塩化合物及びヨウ素を含有させるのが好ましい。好ましいヨウ素塩化合物の対カチオンとしては、前述の式(2−a)、(2−b)又は(2−c)で表されるものが挙げられる。本発明の電解質組成物中、I-の濃度は10〜90質量%であるのが好ましく、30〜70質量%であるのが更に好ましい。その際残りの電解質成分が全て、一般式(1)で表される塩であることが好ましい。また、本発明の電解質組成物において、I3 -はI-に対して、0.1〜50モル%であることが好ましく、0.1〜20モル%であることがより好ましく、0.5〜10モル%であることがさらに好ましく、0.5〜5モル%であることが最も好ましい。
【0048】
本発明の電解質組成物は、前記塩とともに別の溶融塩を含んでいてもよい。好ましく併用される溶融塩としては、前記一般式(2−a)、(2−b)及び(2−c)のいずれかで表される有機カチオンと、任意のアニオンとを組合せたものが挙げられる。前記任意のアニオンとしては、ハロゲン化物イオン(Cl-、Br-等)、SCN-、BF4 -、PF6 -、ClO4 -、(CF3SO22-、(CF3CF2SO22-、CH3SO3 -、CF3SO3 -、CF3COO-、Ph4-、(CF3SO23-等が好ましく、SCN-、CF3SO3 -、CF3COO-、(CF3SO22-又はBF4 -であるのがより好ましい。また、LiIなどのヨウ素塩やCF3COOLi、CF3COONa、LiSCN、NaSCNなどのアルカリ金属塩を添加することもできる。アルカリ金属塩の添加量は、0.02〜2質量%程度であるのが好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。
【0049】
本発明の電解質組成物には、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2などの金属ヨウ化物;4級イミダゾリウム化合物のヨウ素塩;テトラアルキルアンモニウム化合物のヨウ素塩;Br2とLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物;あるいはBr2とテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合物の臭素塩;フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯体;ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物;ビオロゲン色素;及びヒドロキノン−キノン;等を含有させることもできる。含有させる場合、これらの化合物の使用量は、電解質組成物の全質量中、30質量%以下であることが好ましい。
【0050】
本発明の電解質組成物をリチウムイオン電池に用いる場合には、電解質組成物が含有する化合物の少なくとも一種類は、カチオンがリチウムイオンであるリチウム塩を用いる。前記リチウム塩は、前記一般式(1)で表される塩(Yがリチウムイオン)であっても、他のリチウム塩であってもよい。その他のリチウム塩としては、イミドアニオン((CF3SO22-、(CF3CF2SO22-)、又はホウ素(B)、リン(P)及びイオウ(S)から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含有するフッ化物アニオン(BF4 -、PF6 -、CF3SO3 -、C(CF3SO2)3 -など)と、リチウムイオンとの塩が好ましい。本発明の電解質組成物において、リチウム塩として前記一般式(1)で表される塩を用いる場合、前記リチウム塩とリチウム塩以外の前記一般式(1)で表される塩(例えばYが有機カチオン)とを併用してもよい。前記リチウム塩と併用可能な塩としては、前記一般式(1)中、Yが前記一般式(2−a)〜(2−c)のいずれかで表される有機カチオンである塩が好ましい。本発明の電解質組成物における前記リチウム塩(前記一般式(1)で表されるリチウム塩を除く)の含有量としては、前記一般式(1)で表される塩に対して1質量%以上70質量%以下であるのが好ましく、20質量%以上50質量%以下であるのがより好ましい。
【0051】
本発明の電解質組成物は、化学反応及び金属メッキ等の反応溶媒、CCD(電荷結合素子)カメラ、種々の電気化学電池(いわゆる電池)に用いることができる。電池の中でも、非水二次電池(特に、リチウム二次電池)又は下記の半導体を用いた光電気化学電池の電解質に用いるのが好ましく、特に、光電気化学電池に用いるのがより好ましい。
【0052】
[光電気化学電池]
以下に、本発明の電解質組成物を利用した本発明の光電気化学電池について説明する。
本発明の光電気化学電池は、前記電解質組成物を含む電荷輸送層と、色素で増感された半導体を含む感光層と、対極とを有し、いわゆる以下に説明する光電変換素子を外部回路で仕事をさせるように構成したものである。本発明の光電気化学電池は、前記電荷輸送層が本発明の電解質組成物を含有しているので、光電変換性能に優れるとともに、経時での電池性能の劣化が小さい優れた耐久性を示す。
【0053】
〔1〕光電変換素子
図1に、本発明に適用可能な光電変換素子の一例を示す。
光電変換素子10は、導電層12、下塗り層14、感光層16、電荷輸送層18及び対極導電層20の順次積層してなる。感光層16は、色素dによって増感した半導体層24と、電荷輸送材料tとからなる。半導体層24は、半導体微粒子sからなる多孔性の層であり、半導体微粒子sの間には空隙が形成され、該空隙に電荷輸送材料tが浸透している。電荷輸送材料tは、電荷輸送層18に用いる材料と同じ成分からなる。導電層12の下には基板26、及び対極導電層20の下には基板28が配置されている。基板26、28は光電変換素子に強度を付与するためのものであり、なくてもよい。また、それぞれの層の境界、例えば、導電層12と感光層16との境界、感光層16と電荷輸送層18との境界、電荷輸送層18と対極導電層20との境界等では、各層の構成成分同士が相互に拡散混合していてもよい。尚、光電変換素子10には、いずれか又は双方から光を入射してもよく、光を入射する側の導電層12と基板26及び/又は対極導電層20と基板28を、それぞれ光透過性を有する材料から構成することができる。
【0054】
次に、光電変換素子10の作用について説明する。尚、半導体微粒子sがn型である場合について説明する。
光電変換素子10に光が入射すると、入射した光は感光層16に達し、色素d等によって吸収され、励起状態の色素dを生成する。励起された色素d等は、高エネルギーの電子を半導体微粒子sの伝導帯に渡し、自らは酸化体となる。前記伝導帯に移った電子は半導体微粒子sのネットワークにより導電層12に到達する。従って、導電層12は対極導電層20に対して負の電位を持つ。光電変換素子10を光電池に利用した態様では、この光電池を外部回路につなぐと、導電層12中の電子は外部回路で仕事をしながら対極導電層20に達する。電子は、電荷輸送材料が電解質である場合は、この電解質成分(例えばI-)を還元するとともに、生成した還元体(例えばI3 -)が色素dの酸化体を還元して元に戻す。光を照射し続けることにより、一連の反応が引き続き起こり、電気を取り出すことができる。
【0055】
以下、前記光電変換素子の各層に使用可能な材料及びその形成方法について説明する。尚、以下で、「導電性支持体」というときは、導電層12のみ、及び導電層12と任意で設ける基板26からなるものの双方を含み、「対極」というときは、対極導電層20のみ、及び対極導電層20と任意で設ける基板26からなるものの双方を含む。
【0056】
(A)導電性支持体
導電性支持体は、(1)導電層の単層、又は(2)導電層及び基板の2層からなる。(1)の場合は、導電層として強度や密封性が十分に保たれるような材料が使用され、例えば、金属材料(白金、金、銀、銅、亜鉛、チタン、アルミニウム等又はこれらを含む合金)を用いることができる。(2)の場合、感光層側に導電剤を含む導電層を有する基板を使用することができる。好ましい導電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、亜鉛、チタン、アルミニウム、インジウム等又はこれらを含む合金)、炭素、又は導電性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素又はアンチモンをドープしたもの等)が挙げられる。導電層の厚さは0.02〜10μm程度が好ましい。
【0057】
導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲は50Ω/□以下であり、さらに好ましくは20Ω/□以下である。
【0058】
導電性支持体側から光を照射する場合には、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。実質的に透明であるとは、可視〜近赤外領域(400〜1200nm)の光の一部又は全域において透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であるのが好ましく、80%以上がより好ましい。特に、感光層が感度を有する波長域の透過率が高いことが好ましい。
【0059】
透明導電性支持体としては、ガラス又はプラスチック等の透明基板の表面に導電性金属酸化物からなる透明導電層を塗布又は蒸着等により形成したものが好ましい。透明導電層として好ましいものは、フッ素もしくはアンチモンをドーピングした二酸化スズあるいはインジウム−スズ酸化物(ITO)である。透明基板には低コストと強度の点で有利なソーダガラス、アルカリ溶出の影響のない無アルカリガラスなどのガラス基板のほか、透明ポリマーフィルムを用いることができる。透明ポリマーフィルムの材料としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等がある。十分な透明性を確保するために、導電性金属酸化物の塗布量はガラス又はプラスチックの支持体1m2当たり0.01〜100gとするのが好ましい。
【0060】
透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが好ましい。金属リードの材質は白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀、等の金属が好ましい。金属リードは透明基板に蒸着、スパッタリング等で設置し、その上に導電性の酸化スズ又はITO膜からなる透明導電層を設けるのが好ましい。金属リード設置による入射光量の低下は、好ましくは10%以内、より好ましくは1〜5%とする。
【0061】
(B)感光層
前記感光層は、光を吸収して電荷分離を行い、電子と正孔を生ずる機能を有する。前記感光層は色素増感された半導体を含む。色素増感された半導体では、光吸収及びこれによる電子及び正孔の発生は主として色素において起こり、半導体はこの電子(又は正孔)を受け取り、伝達する役割を担う。本発明で用いる半導体は、光励起下で伝導体電子がキャリアーとなり、アノード電流を与えるn型半導体であることが好ましい。
【0062】
(1)半導体
半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、III−V系化合物半導体、金属のカルコゲナイド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物、又はそれらの複合物等)、又はペロブスカイト構造を有する化合物(例えばチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等)等を使用することができる。
【0063】
好ましい金属のカルコゲナイドとして、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、又はタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン又はビスマスの硫化物、カドミウム又は鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素又は銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物等が挙げられる。さらには、Mxyz又はM1 x2 yz(M、M1及びM2はそれぞれ金属元素、Oは酸素原子、x、y及びzは価数が中性になる組み合わせの数)で表される複合物も好ましく用いることができる。
【0064】
本発明に用いる半導体の好ましい具体例は、Si、TiO2、SnO2、Fe23、WO3、ZnO、Nb25、CdS、ZnS、PbS、Bi23、CdSe、CdTe、SrTiO3、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2等であり、より好ましくはTiO2、ZnO、SnO2、Fe23、WO3、Nb25、CdS、PbS、CdSe、SrTiO3、InP、GaAs、CuInS2又はCuInSe2であり、特に好ましくはTiO2又はNb25であり、最も好ましくはTiO2である。TiO2はアナターゼ型結晶を70%以上含むTiO2が好ましく、特に好ましくは100%アナターゼ型結晶のTiO2である。また、これらの半導体中の電子電導性を上げる目的で金属をドープする事も有効である。ドープする金属としては2価、3価の金属が好ましい。半導体から電荷輸送層へ逆電流が流れるのを防止する目的で、半導体に1価の金属をドープする事も有効である。
【0065】
本発明に用いる半導体は単結晶でも多結晶でもよいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム等の観点からは多結晶が好ましく、半導体微粒子からなる多孔質膜が特に好ましい。また、一部アモルファス部分を含んでいてもよい。
【0066】
半導体微粒子の粒径は一般にnm〜μmのオーダーであるが、投影面積を円に換算したときの直径から求めた一次粒子の平均粒径は5〜200nmであるのが好ましく、8〜100nmがより好ましい。また分散液中の半導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は0.01〜30μmが好ましい。粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合してもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは25nm以下であるのが好ましく、より好ましくは10nm以下である。入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、粒径の大きな、例えば100nm以上、300nm程度の半導体粒子を混合することも好ましい。
【0067】
半導体微粒子の種類も異なる2種以上の混合であってもよい。2種以上の半導体微粒子を混合して使用する場合、1種はTiO2、ZnO、Nb25もしくはSrTiO3であることが好ましい。またもう1種としてはSnO2、Fe23、WO3であることが好ましい。さらに好ましい組み合わせとしては、ZnOとSnO2、ZnOとWO3又はZnO、SnO2とWO3などの組み合わせを挙げることができる。2種以上の半導体微粒子を混合して用いる場合、それぞれの粒径が異なっていてもよい。特に上記1種目で挙げた半導体微粒子の粒径が大きく、2種目以降で挙げた半導体微粒子が小さい組み合わせが好ましい。好ましくは大きい粒径の粒子が100nm以上で、小さい粒径の粒子が15nm以下の組み合わせである。
【0068】
半導体微粒子の作製法としては、作花済夫の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)、技術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法、杉本忠夫の「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイズ形態制御」、まてりあ,第35巻,第9号,1012〜1018頁(1996年)に記載のゲル−ゾル法が好ましい。またDegussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分解により酸化物を作製する方法も好ましい。
【0069】
半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾル−ゲル法、ゲル−ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高温加水分解法はいずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)に記載の硫酸法及び塩素法を用いることもできる。さらにゾル−ゲル法として、Barbeらのジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティー,第80巻,第12号,3157〜3171頁(1997年)に記載の方法や、Burnsideらのケミストリー・オブ・マテリアルズ,第10巻,第9号,2419〜2425頁に記載の方法も好ましい。
【0070】
(2)半導体微粒子層
前記半導体は、例えば、前記導電性支持体上に形成された半導体微粒子層の形態で使用される。半導体微粒子を導電性支持体上に塗布するには、半導体微粒子の分散液又はコロイド溶液を導電性支持体上に塗布する方法の他に、前述のゾル−ゲル法等を使用することもできる。光電変換素子の量産化、半導体微粒子液の物性、導電性支持体の融通性等を考慮した場合、湿式の製膜方法が比較的有利である。湿式の製膜方法としては、塗布法、印刷法、電解析出法及び電着法が代表的である。また、金属を酸化する方法、金属溶液から配位子交換等で液相にて析出させる方法(LPD法)、スパッタ等で蒸着する方法、CVD法、あるいは加温した基板上に熱分解する金属酸化物プレカーサーを吹き付けて金属酸化物を形成するSPD法を利用することもできる。
【0071】
半導体微粒子の分散液を作製する方法としては、前述のゾル−ゲル法の他に、乳鉢ですり潰す方法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法等が挙げられる。
【0072】
分散媒としては、水又は各種の有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、シトロネロール、ターピネオール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル等)が挙げられる。分散の際、必要に応じて例えばポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのようなポリマー、界面活性剤、酸、又はキレート剤等を分散助剤として用いてもよい。ポリエチレングリコールの分子量を変えることで、分散液の粘度が調節可能となり、さらに剥がれにくい半導体層を形成したり、半導体層の空隙率をコントロールできるので、ポリエチレングリコールを添加することは好ましい。
【0073】
塗布方法としては、アプリケーション系としてローラ法、ディップ法等、メータリング系としてエアーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメータリングを同一部分にできるものとして、特公昭58−4589号に開示されているワイヤーバー法、米国特許2681294号、同2761419号、同2761791号等に記載のスライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ましい。また汎用機としてスピン法やスプレー法も好ましい。湿式印刷方法としては、凸版、オフセット及びグラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェット厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択する。
【0074】
半導体微粒子の層は単層に限らず、粒径の違った半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類が異なる半導体微粒子(あるいは異なるバインダー、添加剤)を含有する塗布層を多層塗布したりすることもできる。一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効である。
【0075】
一般に半導体微粒子層の厚さ(感光層の厚さと同じ)が厚くなるほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため、光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。したがって、半導体微粒子層の好ましい厚さは0.1〜100μmである。光電池に用いる場合、半導体微粒子層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜25μmがより好ましい。半導体微粒子の支持体1m2当たりに対する塗布量は、0.5〜100gが好ましく、3〜50gがより好ましい。
【0076】
半導体微粒子を導電性支持体上に塗布した後で半導体微粒子同士を電子的に接触させるとともに、塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるために、加熱処理するのが好ましい。好ましい加熱温度の範囲は40℃以上700℃以下であり、より好ましくは100℃以上600℃以下である。また加熱時間は10分〜10時間程度である。ポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い支持体を用いる場合、高温処理は支持体の劣化を招くため、好ましくない。またコストの観点からもできる限り低温(例えば50℃〜350℃)であるのが好ましい。低温化は、5nm以下の小さい半導体微粒子や鉱酸、金属酸化物プレカーサーの存在下での加熱処理等により可能となり、また、紫外線、赤外線、マイクロ波等の照射や電界、超音波を印加することにより行うこともできる。同時に不要な有機物等を除去する目的で、上記の照射や印加のほか加熱、減圧、酸素プラズマ処理、純水洗浄、溶剤洗浄、ガス洗浄等を適宜組み合わせて併用することが好ましい。
【0077】
加熱処理後、半導体微粒子の表面積を増大させたり、半導体微粒子近傍の純度を高め、色素から半導体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキ処理や三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。また、半導体微粒子から電荷輸送層へ逆電流が流れるのを防止する目的で、粒子表面に色素以外の電子電導性の低い有機物を吸着させることも有効である。吸着させる有機物としては疎水性基を有する物が好ましい。
【0078】
半導体微粒子層は、多くの色素を吸着することができるように大きい表面積を有することが好ましい。半導体微粒子の層を支持体上に塗布した状態での表面積は、投影面積に対して10倍以上であるのが好ましく、さらに100倍以上であるのが好ましい。この上限は特に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0079】
(3)色素
感光層に用いる増感色素は、可視域や近赤外域に吸収を有し、半導体を増感し得る化合物なら任意に用いることができ、有機金属錯体色素、メチン色素、ポルフィリン系色素又はフタロシアニン系色素が好ましい。また、光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、二種類以上の色素を併用又は混合することができる。この場合、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように、併用又は混合する色素とその割合を選ぶことができる。
【0080】
こうした色素は半導体微粒子の表面に対して吸着能力の有る適当な結合基(interlocking group)を有しているのが好ましい。好ましい結合基としては、COOH基、OH基、SO3H基、−P(O)(OH)2基又は−OP(O)(OH)2基のような酸性基、あるいはオキシム、ジオキシム、ヒドロキシキノリン、サリチレート又はα−ケトエノレートのようなπ伝導性を有するキレート化基が挙げられる。なかでもCOOH基、−P(O)(OH)2基又は−OP(O)(OH)2基が特に好ましい。これらの基はアルカリ金属等と塩を形成していてもよく、また分子内塩を形成していてもよい。またポリメチン色素の場合、メチン鎖がスクアリリウム環やクロコニウム環を形成する場合のように酸性基を含有する場合、この部分を結合基として有していてもよい。
【0081】
以下、感光層に用いる好ましい増感色素を具体的に説明する。
(a)有機金属錯体色素
色素が金属錯体色素である場合、金属フタロシアニン色素、金属ポルフィリン色素又はルテニウム錯体色素が好ましく、ルテニウム錯体色素が特に好ましい。ルテニウム錯体色素としては、例えば米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号等の各明細書、及び、特開平7−249790号、特表平10−504512号、世界特許98/50393号、特開2000−26487号等の各公報に記載の錯体色素が挙げられる。
【0082】
さらに前記色素がルテニウム錯体色素である場合、下記一般式(5)で表されるルテニウム錯体色素が好ましい。
(A1tRu(B−a)u(B−b)v(B−c)w
前記一般式(5)中、A1は1又は2座の配位子を表す。A1はCl、SCN、H2O、Br、I、CN、NCO、SeCN、β−ジケトン類、シュウ酸及びジチオカルバミン酸の誘導体からなる群から選ばれる配位子であるのが好ましい。tが2以上の場合、2以上のA1は同一でも異なっていてもよい。前記一般式(5)中、B−a、B−b及びB−cはそれぞれ独立に下記式(B−1)〜(B−10)のいずれかで表される配位子を表す。tは0〜3のいずれかの整数を表し、u、v及びwは各々0又は1を表し、前記一般式(5)で表されるルテニウム錯体が6配位錯体となる様に、配位子の種類に応じて適宜組み合わされる。
【0083】
【化11】
【0084】
前記式(B−1)〜(B−10)中、Raは水素原子又は置換基を表し、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12の置換又は無置換のアルキル基、炭素原子数7〜12の置換又は無置換のアラルキル基、炭素原子数6〜12の置換又は無置換のアリール基、酸性基(これらの酸性基は塩を形成していてもよい)又はキレート化基が挙げられる。アルキル基及びアラルキル基のアルキル部分は直鎖状でも分岐状でもよい。また、前記アリール基及びアラルキル基のアリール部分は単環でも多環(縮合環、環集合)でもよい。前記一般式(5)中、B−a、B−b及びB−cは同一でも異なっていてもよい。
【0085】
有機金属錯体色素の好ましい具体例(例示化合物R−1〜17)を以下に示すが、本発明に用いられる色素は以下の具体例に限定されるものではない。
【化12】
【0086】
【化13】
【0087】
(b)メチン色素
本発明に使用する好ましいメチン色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素などのポリメチン色素である。本発明で好ましく用いられるポリメチン色素としては、例えば、特開平11−35836号、特開平11−67285号、特開平11−86916号、特開平11−97725号、特開平11−158395号、特開平11−163378号、特開平11−214730号、特開平11−214731号、特開平11−238905号、特開2000−26487号、欧州特許892411号、同911841号及び同991092号の各明細書に記載の色素が挙げられる。好ましいメチン色素の具体例を以下に示す。
【0088】
【化14】
【0089】
【化15】
【0090】
(4)半導体微粒子への色素の吸着
半導体微粒子に色素を吸着させるには、色素の溶液中に良く乾燥した半導体微粒子層を有する導電性支持体を浸漬するか、色素の溶液を半導体微粒子層に塗布する方法を用いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等が使用可能である。浸漬法の場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7−249790号に記載されているように加熱還流して行ってもよい。また後者の塗布方法としては、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等がある。色素を溶解する溶媒として好ましいのは、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド等)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン類(アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素(へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等)やこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0091】
色素の全吸着量は、多孔質半導体電極基板の単位表面積(1m2)当たり0.01〜100mmolが好ましい。また色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒子1g当たり0.01〜1mmolの範囲であるのが好ましい。前記範囲の色素吸着量とすることにより半導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素が少なすぎると増感効果が不十分となり、また色素が多すぎると半導体に付着していない色素が浮遊し、増感効果を低減させる原因となる。色素の吸着量を増大させるためには、吸着前に加熱処理を行うのが好ましい。加熱処理後、半導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さずに、半導体電極基板の温度が60〜150℃の間で素早く色素の吸着操作を行うのが好ましい。また、色素間の凝集などの相互作用を低減する目的で、無色の化合物を色素に添加し、半導体微粒子に共吸着させてもよい。この目的で有効な化合物は界面活性な性質、構造をもった化合物であり、例えば、カルボキシル基を有するステロイド化合物(例えばケノデオキシコール酸)や下記の例のようなスルホン酸塩類が挙げられる。
【0092】
【化16】
【0093】
未吸着の色素は、吸着後速やかに洗浄により除去するのが好ましい。湿式洗浄槽を使い、アセトニトリル等の極性溶剤、アルコール系溶剤のような有機溶媒で洗浄を行うのが好ましい。色素を吸着した後にアミン類や4級塩を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としては、ピリジン、4−t−ブチルピリジン及びポリビニルピリジン等が挙げられ、好ましい4級塩としてはテトロブチルアンモニウムヨージド及びテトラヘキシルアンモニウムヨージド等が挙げられる。これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0094】
(C)電荷輸送層
電荷輸送層は色素の酸化体に電子を補充する機能を有する電荷輸送材料を含有する層である。この電荷輸送層に用いることのできる代表的な電荷輸送材料の例としては、(i)イオン輸送材料として、酸化還元対のイオンが溶解した溶液(電解液)、酸化還元対の溶液をポリマーマトリクスのゲルに含浸したいわゆるゲル電解質、酸化還元対イオンを含有する溶融塩電解質、さらには固体電解質が挙げられる。また、イオンがかかわる電荷輸送材料のほかに、(ii)固体中のキャリアー移動がかかわる電荷輸送材料として、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料を用いることもできる。本発明では、この電荷輸送層に本発明の電解質組成物を使用するが、これ以外の上記電荷輸送材料を併用することもできる。
【0095】
(1)電荷輸送層の形成
電荷輸送層の形成方法に関しては2通りの方法が考えられる。1つは感光層の上に先に対極を貼り合わせておき、その間隙に液状の電荷輸送層を挟み込む方法である。もう1つは感光層上に直接、電荷輸送層を付与する方法で、対極はその後付与することになる。
【0096】
前者の場合、電荷輸送層の挟み込み方法として、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセス、又は常圧より低い圧力にして間隙の気相を液相に置換する真空プロセスを利用できる。
【0097】
後者の場合、湿式の電荷輸送層においては未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置を施すことになる。またゲル電解質の場合には湿式で塗布して重合等の方法により固体化する方法があり、その場合には乾燥、固定化した後に対極を付与することもできる。電解液のほか湿式有機正孔輸送材料やゲル電解質を付与する方法としては、前述の半導体微粒子層や色素の付与と同様の方法を利用できる。
【0098】
(D)対極
対極は前記の導電性支持体と同様に、導電性材料からなる対極導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と支持基板から構成されていてもよい。対極導電層に用いる導電材としては、金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素、又は導電性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、フッ素ドープ酸化スズ、等)が挙げられる。この中でも白金、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウムを対極層として好ましく使用することができる。対極の好ましい支持基板の例は、ガラス又はプラスチックであり、これに上記の導電剤を塗布又は蒸着して用いる。対極導電層の厚さは特に制限されないが、3nm〜10μmが好ましい。対極層の表面抵抗は低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲としては50Ω/□以下であり、さらに好ましくは20Ω/□以下である。
【0099】
導電性支持体と対極のいずれか一方又は両方から光を照射してよいので、感光層に光が到達するためには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質的に透明であればよい。発電効率の向上の観点からは、導電性支持体を透明にして、光を導電性支持体側から入射させるのが好ましい。この場合対極は光を反射する性質を有するのが好ましい。このような対極としては、金属又は導電性の酸化物を蒸着したガラス又はプラスチック、あるいは金属薄膜を使用できる。
【0100】
対極は、電荷輸送層上に直接導電材を塗布、メッキ又は蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有する基板の導電層側を貼り付ければよい。また、導電性支持体の場合と同様に、特に対極が透明の場合には、対極の抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが好ましい。なお、好ましい金属リードの材質及び設置方法、金属リード設置による入射光量の低下等は導電性支持体の場合と同じである。
【0101】
(E)その他の層
対極と導電性支持体の短絡を防止するため、予め導電性支持体と感光層の間に緻密な半導体の薄膜層を下塗り層として塗設しておくことが好ましく、電荷輸送層に電子輸送材料や正孔輸送材料を用いる場合は、特に有効である。下塗り層として好ましいのはTiO2、SnO2、Fe23、WO3、ZnO、Nb25であり、さらに好ましくはTiO2である。下塗り層は、例えばElectrochim. Acta 40, 643−652(1995)に記載されているスプレーパイロリシス法の他、スパッタ法等により塗設することができる。下塗り層の好ましい膜厚は5〜1000nm以下であり、10〜500nmがさらに好ましい。
【0102】
また、電極として作用する導電性支持体と対極の一方又は両方の外側表面、導電層と基板の間又は基板の中間に、保護層、反射防止層等の機能性層を設けてもよい。これらの機能性層の形成には、その材質に応じて塗布法、蒸着法、貼り付け法等を用いることができる。
【0103】
本発明の光電気化学電池は、前記した各々の構成物の劣化や内容物の揮散を防止するために、側面をポリマーや接着剤等で密封するのが好ましい。
【0104】
本発明の光電気化学電池は、基本的に前記光電変換素子と同様の構成であり、前記光電変換素子をリード線等を介して外部回路に接続し、外部回路で仕事をさせるように構成したものである。前記導電性支持体及び前記対極にリード線等を介して接続される外部回路自体は、公知のものを使用できる。また、本発明の光電気化学電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとり得る。前記太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構造等が知られており、本発明の光電気化学電池も使用目的や使用場所及び環境により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。具体的には、特願平11−8457号の明細書に記載の構造や態様を適用することが好ましい。
【0105】
[非水二次電池]
以下に、本発明の電解質組成物を利用した本発明の非水二次電池について説明する。
本発明の非水二次電池は、本発明の電解質組成物を含むことを特徴とする。本発明の非水二次電池は、本発明の電解質組成物を含有しているので、容量を大きく低下させることなく、優れたサイクル性を示す。
【0106】
本発明の電解質組成物を非水二次電池に用いる場合、正極活物質は可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物でもよいが、特にリチウム含有遷移金属酸化物が好ましい。本発明で用いられる好ましいリチウム含有遷移金属酸化物正極活物質としては、リチウム含有Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Wを含む酸化物が挙げられる。またリチウム以外のアルカリ金属(周期律表の第1(IA)族、第2(IIA)族の元素)、及び/又はAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを混合してもよい。混合量は遷移金属に対して0〜30mol%が好ましい。
【0107】
本発明で用いられるより好ましいリチウム含有遷移金属酸化物正極活物質としては、リチウム化合物/遷移金属化合物(ここで遷移金属とは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Wから選ばれる少なくとも1種)の合計のモル比が0.3〜2.2になるように混合して合成することが好ましい。
【0108】
本発明で用いられる特に好ましいリチウム含有遷移金属酸化物正極活物質としては、リチウム化合物/遷移金属化合物(ここで遷移金属とは、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種)の合計のモル比が0.3〜2.2になるように混合して合成することが好ましい。
【0109】
本発明で用いられる特に好ましいリチウム含有遷移金属酸化物正極活物質は、Lig32(M3はCo、Ni、Fe及びMnから選ばれる1種以上、g=0〜1.2)を含む材料、又はLih4 24(M4はMn、h=0〜2)で表されるスピネル構造を有する材料であり、M3及びM4としては遷移金属以外にAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P又はBなどを混合してもよい。混合量は遷移金属に対して0〜30mol%が好ましい。
【0110】
本発明で用いられる最も好ましいリチウム含有遷移金属酸化物正極活物質としては、LigCoO2、LigNiO2、LigMnO2、LigCojNi(1-j)2、LihMn24(ここでg=0.02〜1.2、j=0.1〜0.9)が挙げられる。ここで、上記のg値は、充放電開始前の値であり、充放電により増減する。
【0111】
正極活物質は、リチウム化合物と遷移金属化合物を混合、焼成する方法や溶液反応など、公知の方法により合成することができるが、特に焼成法が好ましい。
【0112】
本発明で用いる正極活物質の平均粒子サイズは特に限定されないが、0.1〜50μmが好ましい。比表面積としては特に限定されないが、BET法で0.01〜50m2/gが好ましい。また正極活物質5gを蒸留水100mlに溶かした時の上澄み液のpHとしては7以上12以下が好ましい。
【0113】
所定の粒子サイズにするには、良く知られた粉砕機や分級機を用いることができる。例えば、乳鉢、ボールミル、振動ボールミル、振動ミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが用いられる。焼成によって得られた正極活物質は水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。
【0114】
本発明で用いられる負極活物質の一つは、リチウムの吸蔵放出が可能な炭素質材料である。炭素質材料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石油ピッチ、天然黒鉛、気相成長黒鉛等の人造黒鉛、及びPAN系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。さらに、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、活性炭素繊維等の各種炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、平板状の黒鉛等を挙げることもできる。
これらの炭素質材料は、黒鉛化の程度により難黒鉛化炭素材料と黒鉛系炭素材料に分けることもできる。また炭素質材料は、特開昭62−22066号公報、特開平2−6856号公報、同3−45473号公報に記載される面間隔や密度、結晶子の大きさを有することが好ましい。
炭素質材料は、単一の材料である必要はなく、特開平5−90844号公報記載の天然黒鉛と人造黒鉛の混合物、特開平6−4516号公報記載の被覆層を有する黒鉛等を用いることもできる。
【0115】
本発明に使用可能な負極活物質の他の例としては、酸化物、及び/又はカルコゲナイドが挙げられる。
【0116】
特に非晶質酸化物、及び/又はカルコゲナイドが好ましい。ここでいう「非晶質」とはCuKα線を用いたX線回折法で2θ値で20°から40°の領域に頂点を有するブロードな散乱帯を有する物であり、結晶性の回折線を有してもよい。好ましくは2θ値で40°以上70°以下にみられる結晶性の回折線の内最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下にみられるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の100倍以下であり、さらに好ましくは5倍以下であり、特に好ましくは、結晶性の回折線を有さないことである。
【0117】
本発明では中でも半金属元素の非晶質酸化物、及び/又はカルコゲナイドが好ましく、周期律表第13(IIIB)族〜15(VB)族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、Sb、Biの単独あるいはそれらの2種以上の組み合わせからなる酸化物、カルコゲナイドが選ばれる。
【0118】
例えば、Ga23、SiO、GeO、SnO、SnO2、PbO、PbO2、Pb23、Pb24、Pb34、Sb23、Sb24、Sb25、Bi23、Bi24、SnSiO3、GeS、SnS、SnS2、PbS、PbS2、Sb23、Sb25、SnSiS3などが好ましい。また、これらは、酸化リチウムとの複合酸化物、例えば、Li2SnO2であってもよい。
【0119】
本発明の負極材料においてはSn、Si、Geを中心とする非晶質酸化物がさらに好ましく、中でも下記一般式(6)で表される非晶質酸化物であることが好ましい。
一般式(6)
SnM1 d2 ef
式中、M1は、Al、B、P及びGeから選ばれる少なくとも一種以上の元素、M2は周期律表第1(IA)族元素、第2(IIA)族元素、第3(IIIA)族元素及びハロゲン元素から選ばれる少なくとも一種以上の元素を表し、dは0.2以上2以下の数字、eは0.01以上1以下の数字で0.2<d+e<2、fは1以上6以下の数字を表す。
【0120】
Snを主体とする非晶質酸化物としてはたとえば次の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
C− 1 SnSiO3
C− 2 Sn0.8Al0.20.30.2Si0.53.6
C− 3 SnAl0.40.5Cs0.10.53.65
C− 4 SnAl0.40.5Mg0.10.53.7
C− 5 SnAl0.40.4Ba0.080.43.28
C− 6 SnAl0.40.5Ba0.08Mg0.080.33.26
C− 7 SnAl0.10.2Ca0.10.1Si0.53.1
C− 8 SnAl0.20.4Si0.42.7
C− 9 SnAl0.20.1Mg0.10.1Si0.52.6
C−10 SnAl0.30.40.2Si0.53.55
C−11 SnAl0.30.40.5Si0.54.3
C−12 SnAl0.10.10.3Si0.63.25
C−13 SnAl0.10.1Ba0.20.1Si0.62.95
C−14 SnAl0.10.1Ca0.20.1Si0.62.95
C−15 SnAl0.40.2Mg0.1Si0.63.2
C−16 SnAl0.10.30.1Si0.53.05
C−17 SnB0.10.50.1SiO3.65
C−18 SnB0.50.1Mg0.10.53.05
本発明の非晶質酸化物、及び/又はカルコゲナイトは、焼成法、溶液法のいずれの方法も採用することができるが、焼成法がより好ましい。焼成法では、それぞれ対応する元素の酸化物、カルコゲナイトあるいは化合物をよく混合した後、焼成して非晶質酸化物及び/又はカルコゲナイトを得るのが好ましい。これらは、既に公知の方法により作製できる。
【0121】
本発明に用いられる負極材料の平均粒子サイズは0.1〜60μmが好ましい。所定の粒子サイズにするには、良く知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことが出来る。所望の粒径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いることができる。
【0122】
本発明のSn、Si、Geを中心とする非晶質酸化物負極材料に併せて用いることができる負極材料としては、リチウムイオン又はリチウム金属を吸蔵・放出できる炭素材料や、リチウム、リチウム合金、リチウムと合金可能な金属が挙げられる。
【0123】
本発明の電極合剤には、導電剤、結着剤やフィラーなどの他に、非プロトン性有機溶媒が添加される。
【0124】
前記導電剤は、構成された電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよい。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−148,554号)など)、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体(特開昭59−20,971号)などの導電性材料を1種又はこれらの混合物として含ませることができる。黒鉛とアセチレンブラックの併用がとくに好ましい。その添加量は、1〜50質量%が好ましく、特に2〜30質量%が好ましい。カーボンや黒鉛では、2〜15質量%が特に好ましい。
【0125】
本発明では電極合剤を保持するための結着剤を用いることができる。結着剤の例としては、多糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられる。好ましい結着剤としては、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸Na、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸Na、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンを挙げることができる。特にポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
これらの結着剤は単独又は混合して用いることができる。結着剤の添加量が少ないと電極合剤の保持力・凝集力が弱い。多すぎると電極体積が増加し電極単位体積あるいは単位質量あたりの容量が減少する。このような理由で結着剤の添加量は1〜30質量%が好ましく、特に2〜10質量%が好ましい。
【0126】
前記フィラーは、構成された電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維が用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0〜30質量%が好ましい。
【0127】
本発明の電解質組成物は安全性確保のためにセパレーターと併用して使用することが可能である。安全性確保のため併用されるセパレーターは80℃以上で上記の隙間を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能を持つことが必要であり、閉塞温度が90℃以上、180℃以下であることが好ましい。
【0128】
セパレーターの孔の形状は通常円形や楕円形で、大きさは0.05μmから30μmであり、0.1μmから20μmが好ましい。さらに延伸法、相分離法で作った場合のように、棒状や不定形の孔であってもよい。これらの隙間の占める比率すなわち気孔率は20%から90%であり、35%から80%が好ましい。
【0129】
これらのセパレーターは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの単一の材料であっても、2種以上複合化材料であってもよい。特に孔径、気孔率や孔の閉塞温度などを変えた2種以上の微多孔フィルムを積層したものが特に好ましい。
【0130】
正・負極の集電体としては、構成された電池において化学変化を起こさない電子伝導体が用いられる。
【0131】
正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他に、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、特に好ましいのはアルミニウム、アルミニウム合金である。
【0132】
負極の集電体としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましく、特に好ましいのは銅あるいは銅合金である。
【0133】
集電体の形状は、通常フィルムシート状のものが使用されるが、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。厚みは、特に限定されないが、1〜500μmである。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも望ましい。
【0134】
電池の形状はシート、角、シリンダーなどいずれにも適用できる。正極活物質や負極材料の合剤は、集電体の上に塗布(コート)、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。塗布方法としては、例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法及びスクイーズ法を挙げることができる。その中でもブレード法、ナイフ法及びエクストルージョン法が好ましい。塗布は、0.1〜100m/分の速度で実施されることが好ましい。この際、合剤の溶液物性、乾燥性に合わせて、上記塗布方法を選定することにより、良好な塗布層の表面状態を得ることができる。塗布は、片面ずつ逐時でも両面同時でもよい。
【0135】
また、塗布は連続でも間欠でもストライプでもよい。その塗布層の厚み、長さや巾は、電池の形状や大きさにより決められるが、片面の塗布層の厚みは、ドライ後の圧縮された状態で、1〜2000μmが好ましい。
【0136】
電極シート塗布物の乾燥及び脱水方法は、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び低湿風を単独あるいは組み合わせた方法を用いることできる。乾燥温度は80〜350℃の範囲が好ましく、特に100〜250℃の範囲が好ましい。含水量は、電池全体で2000ppm以下が好ましく、正極合剤、負極合剤や電解質ではそれぞれ500ppm以下にすることが好ましい。シートのプレス法は、一般に採用されている方法を用いることができるが、特にカレンダープレス法が好ましい。プレス圧は、特に限定されないが、0.2〜3t/cm2が好ましい。カレンダープレス法のプレス速度は0.1〜50m/分が好ましく、プレス温度は室温〜200℃が好ましい。正極シートに対する負極シート幅の比は、0.9〜1.1が好ましく、0.95〜1.0が特に好ましい。正極活物質と負極材料の含有量比は、化合物種類や合剤処方により異なる。
【0137】
正・負の電極シートをセパレーターを介して重ね合わせた後、そのままシート状電池に加工したり、折りまげた後角形缶に挿入し、缶とシートを電気的に接続した後、本発明の電解質組成物を注入し、封口板を用いて角形電池を形成する。また、正・負の電極シートをセパレーターを介して重ね合わせ巻いた後、シリンダー状缶に挿入し、缶とシートを電気的に接続した後、本発明の電解質組成物を注入し、封口板を用いてシリンダー電池を形成する。この時、安全弁を封口板として用いることができる。安全弁の他、従来から知られている種々の安全素子を備えつけてもよい。例えば、過電流防止素子として、ヒューズ、バイメタル、PTC素子などが用いられる。
【0138】
また、安全弁のほかに電池缶の内圧上昇の対策として、電池缶に切込を入れる方法、ガスケット亀裂方法あるいは封口板亀裂方法あるいはリード板との切断方法を利用することができる。また、充電器に過充電や過放電対策を組み込んだ保護回路を具備させるか、あるいは独立に接続させてもよい。
【0139】
また、過充電対策として、電池内圧の上昇により電流を遮断する方式を具備することができる。このとき、内圧を上げる化合物を合剤あるいは電解質に含ませることができる。内圧を上げる為に用いられる化合物の例としては、Li2CO3、LiHCO3、Na2CO3、NaHCO3、CaCO3、MgCO3などの炭酸塩などを挙げることができる。
【0140】
缶やリード板は、電気伝導性をもつ金属や合金を用いることができる。例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、銅、アルミニウムなどの金属あるいはそれらの合金が用いられる。
【0141】
キャップ、缶、シート、リード板の溶接法は、公知の方法(例、直流又は交流の電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用いることができる。封口用シール剤は、アスファルトなどの従来から知られている化合物や混合物を用いることができる。
【0142】
本発明の非水二次電池の用途は、特に限定されないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
【0143】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
実施例1 化合物の合成
【0144】
【化17】
【0145】
1.例示化合物F−5の合成例
1−1.中間体M−2の合成
M−1(53.5g、300mmol)を塩化メチレン(150ml)に溶解し、塩化チオニル(28ml、380mmol)/塩化メチレン(50ml)溶液を加え、4時間加熱還流した。冷却後、水(30ml)を加え塩化メチレンで抽出し、抽出液を濃縮後、M−2(54g)を得た。
【0146】
1−2.中間体M−3の合成
トリフルオロスルホンアミド(14.9g、100mmol)をアセトニトリル(200ml)/トリエチルアミン(28ml、200mmol)に溶解し、氷冷下、M−2(19.7g、100mmol)/アセトニトリル(50ml)溶液を滴下した。室温下、1時間反応させた後、反応液を1N−HCl水溶液で中和し、塩化メチレンで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、カラム精製して14gのM−3を得た。
【0147】
1−3.F−5の合成
上記で得た、M−3(5g,16.2mmol)をテトラヒドロフラン(30ml)に溶解し、LiOH(388mg、16.2mmol)/水(5ml)溶液を添加した。反応混合物を濃縮し、テトラヒドロフラン(20ml)を加え不溶物をろ過後、更に濃縮し、減圧乾燥(60℃、1mmHg)後、目的のF−5(5g)を油状物として得た。構造は1H−NMRにて確認した。
【0148】
2.例示化合物F−6の合成例
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヨージド(2.4g、10mmol)を塩化メチレン(20ml)/水(20 ml)に溶解し、F−5(3.15g,10mmol)を加え、攪拌した。塩化メチレン相を分液し、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトにて精製し、F−1(4.2g)を無色の油状物として得た。
【0149】
実施例2 光電気化学電池
2−1.二酸化チタン分散液の調製
内側をテフロンコーティングした内容積200mlのステンレス製ベッセルに二酸化チタン(日本アエロジル社 Degussa P−25)15g、水45g、分散剤(アルドリッチ社製、Triton X−100)1g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグラインダーミル(アイメックス社製)を用いて1500rpmにて2時間分散した。分散物からジルコニアビーズをろ過して除いた。この場合の二酸化チタンの平均粒径は2.5μmであった。このときの粒径はMALVERN社製マスターサイザーにて測定したものである。
【0150】
2−2.色素を吸着したTiO2 電極(電極A)の作製
フッ素をドープした酸化スズをコーティングした導電性ガラス(旭硝子製TCOガラス−Uを20mm×20mmの大きさに切断加工したもの)の導電面側にガラス棒を用いて上記の分散液を塗布した。この際、導電面側の一部(端から3mm)に粘着テープを張ってスペーサーとし、粘着テープが両端にくるようにガラスを並べて一度に8枚ずつ塗布した。塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日間風乾した。次に、このガラスを電気炉(ヤマト科学製マッフル炉FP−32型)に入れ、450℃にて30分間焼成した。このガラスを取り出し、冷却した後、色素R−1のエタノール溶液(3×10-4モル/リットル)に3時間浸漬した。色素の染着したガラスを4−tert−ブチルピリジンに15分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自然乾燥させた。このようにして得られた感光層の厚さは10μmであり、半導体微粒子の塗布量は20g/m2であった。なお、導電性ガラスの表面抵抗は約30Ω/□であった。
【0151】
2−3.光電気化学電池の作製
上述のようにして作製した色増感されたTiO2電極基板(1cm×1cm)に、表1に示した前記一般式(1)で表される塩あるいは比較例用の塩を含む電解質組成物(E−102〜E−112)のアセトニトリル溶液(アセトニトリルは組成物と同質量)を塗布し、60℃、減圧下で、TiO2電極に染み込ませながらアセトニトリルを留去した。さらに電解質によっては、表1に示す条件で重合を行った後、これらの電極に、同じ大きさの白金蒸着ガラスを重ね合わせ光電気化学電池(サンプルP−102〜112)を得た(表1)。また、溶媒を用いた電解液(表1のE−101)は、上記と同じ色素増感されたTiO2電極基板(2cm×2cm)に、その電極と同じ大きさの白金蒸着ガラスと重ね合わせた後、両ガラスの隙間に毛細管現象を利用して電解液を染み込ませ、光電気化学電池(サンプルP−101)を作製した。
【0152】
本実施例により、導電性ガラス(ガラス上に導電剤層が設層されたもの)、TiO2電極、色素層、電解質、白金層及びガラスが順に積層された光電気化学電池が作製された。以下に、本発明の塩の代わりに使用した表1中のRE−1及びRE−2の構造と、I−1の構造とを示す。
【0153】
【表1】
【0154】
【化18】
【0155】
2−4.光電変換効率の測定
500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM1.5 フィルター(Oriel社製)およびシャープカットフィルター(KenkoL−41)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させ、この光の強度を80mW/cm2に調整した。
【0156】
前述の光電気化学電池の導電性ガラスと白金蒸着ガラスにそれぞれ、ワニ口クリップを接続し、35℃にて、模擬太陽光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレーSMU238型)にて測定した。これにより求められた光電気化学電池の開放電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、形状因子(FF)[=最大出力/(開放電圧×短絡電流)]、および変換効率(η)と恒温恒湿(80℃、70%R.H.)下で、400時間経時した後の短絡電流密度の低下率を一括して表2に示した。
【0157】
【表2】
【0158】
溶媒を用いた比較電解液を用いた光電気化学電池(P−101)は初期性能が低く、溶媒が揮発するため耐久性が非常に悪い。また、比較化合物の溶融塩RE−1、RE−2を用いた電池(P−102、P−103、P−104)は経時での劣化は小さいが光電変換性能が十分ではない。それらに対して、前記一般式(1)で表される塩を含有する電荷質組成物を用いたときは、短絡電流密度、変換効率等の初期性能、耐久性ともに優れている。このような効果はいずれの色素を用いた場合にもみられた。
【0159】
実施例3 リチウム2次電池
3−1.正極シートの作製
正極活物質として、LiCoO2を43質量部、鱗片状黒鉛2質量部、アセチレンブラック2質量部、さらに結着剤としてポリアクリロニトリル3質量部を加え、アクリロニトリル100質量部を媒体として混練して得られたスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔にエクストルージョン式塗布機を使って塗設し、乾燥後カレンダープレス機により圧縮成形した後、端部にアルミニウム製のリード板を溶接し、厚さ95μm、幅54mm×長さ49mmの正極シートを作製した。
【0160】
3−2.負極シートの作製
負極活物質としてメソフェースピッチ系炭素材料(ペトカ社)を43質量部、導電剤としてアセチレンブラック2質量部及びグラファイト2質量部の割合で混合し、さらに結着剤としてポリアクリロニトリルを3質量部を加え、N‐メチルピロリドン100質量部を媒体として混練して負極合剤スラリーを得た。
負極合剤スラリーを厚さ10μmの銅箔にエクストルージョン式塗布機を使って塗設し、乾燥後カレンダープレス機により圧縮成形して厚さ46μm、幅55mm×長さ50mmの負極シートを作製した。負極シートの端部にニッケル製のリード板を溶接した後、露点−40℃以下の乾燥空気中で230℃で1時間熱処理した。熱処理は遠赤外線ヒーターを用いて行った。
【0161】
3−3.シート電池の作製
負極シート及び正極シートはそれぞれ露点−40℃以下の乾燥空気中で230℃で30分脱水乾燥した。ドライ雰囲気中で、幅54mm×長さ49mmの脱水乾燥済み正極シート、幅60mm×長さ60mmに裁断したセパレータ(ポリエチレン多孔フィルム)および不織布を積層し、不織布の上に表3に示した組成の電解質(E−202〜211)を同量のアセトニトリルに溶解した液を塗布し、50℃で減圧下、アセトニトリルを留去した。また溶媒を用いた電解液(E−201)は、そのまま不織布に染み込ませた。表3に示すように、用いる電解質によっては加熱による重合を施した。その上に幅55mm×長さ50mmの脱水乾燥済み負極シートを積層し、ポリエチレン(50μm)‐ポリエチレンテレフタレート(50μm)のラミネートフイルムよりなる外装材を使用し4縁を真空下で熱融着して密閉し、シート型電池(B−101〜111)を作製した。図2にシート型電池の構成を模式的に示した。正極シート31、高分子固体電解質32、負極シート33、正極端子34及び負極端子35を図2に示す配置で構成し、シート型電池(B−101〜111)を作製した。実施例用及び比較用の電池に使用した表3中のRE−3の構造について以下に示す。
【0162】
【表3】
【0163】
【化19】
【0164】
3−4.電池性能の評価
上記の方法で作製したシート型電池について、電流密度2.3mA/cm2、充電終止電圧4.2V、及び放電終止電圧2.6Vの条件で充放電を10回繰り返し、10サイクル目における放電容量を求めた。これを同一処方の5個の電池について調べ、その平均をその電池の容量とした。このようにして各々の電池の容量を求め,SB−1に対する相対容量を求めた。また、それぞれの電池の200サイクル目の放電容量を求め、10サイクル目の放電容量に対する比を計算しサイクル容量として表わした。それぞれの値を表4に示した。
【0165】
【表4】
【0166】
上記の結果より、本発明の化合物を含む溶融塩電解質は、容量の低下がみられずにサイクル性を向上させていることがわかる。
【0167】
【発明の効果】
本発明によれば、実質的に揮発せず、かつ電荷輸送性能に優れた電解質組成物が提供でき、これを利用することにより、経時での性能低下の少ない耐久性に優れた電気化学電池、特に、光電変換特性に優れ、経時での特性劣化が少ない光電気化学電池及び電池容量を低下させず、しかもサイクル特性の優れた非水二次電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図2】 実施例3で作製したシート電池の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 ・・・・・・光電変換素子
12 ・・・・・・導電層
14 ・・・・・・下塗り層
16 ・・・・・・感光層
18 ・・・・・・電荷輸送層
20 ・・・・・・対極導電層
24 ・・・・・・半導体層
28 ・・・・・・基板
31 ・・・・・・正極シート
32 ・・・・・・高分子固体電解質
33 ・・・・・・負極シート
34 ・・・・・・正極端子
35 ・・・・・・負極端子
s ・・・・・・半導体微粒子
d ・・・・・・色素
t ・・・・・・電荷輸送材料

Claims (15)

  1. 下記一般式(1)で表される塩を含むことを特徴とする電解質組成物。
    (式(1)中、R1及びR2は各々置換若しくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、又はアミノ基を表し、但し、R 1 及びR 2 の少なくとも一つが置換又は無置換のエチレンオキシ基を含み、Yは有機又は無機のカチオンを表す。)
  2. 前記一般式(1)中、Yが下記一般式(2−a)、(2−b)及び(2−c)のいずれかで表される有機カチオンである請求項1に記載の電解質組成物。
    (式(2−a)中、Qy1は窒素原子と共に5又は6員環の芳香族カチオンを形成し得る原子団を表し、Ry1は置換若しくは無置換のアルキル基又はアルケニル基を表す。式(2−b)中、Ay1は窒素原子又はリン原子を表し、Ry1、Ry2、Ry3及びRy4は各々置換若しくは無置換のアルキル基又はアルケニル基を表す。また、Ry1、Ry2、Ry3及びRy4のうち2つ以上が互いに結合してAy1を含む非芳香族環を形成していてもよい。式(2−c)中、Ry1、Ry2、Ry3、Ry4、Ry5及びRy6は各々置換若しくは無置換のアルキル基又はアルケニル基を表し、Ry3、Ry4、Ry5及びRy6のうち2つ以上が互いに結合して環構造を形成していてもよい。式(2−a)、式(2−b)及び式(2−c)で表される化合物は各々Qy1、Ry1、Ry2、Ry3、Ry4、Ry5又はRy6を中心として多量体を形成していてもよい。)
  3. 前記一般式(1)中、Yがリチウムカチオンである請求項1に記載の電解質組成物。
  4. 前記一般式(1)中、R1及びR2のいずれか一つがフッ素置換アルキル基を含む請求項1からまでのいずれか1項に記載の電解質組成物。
  5. 前記一般式(1)中、R1、R2及びYの少なくとも一つが重合性基を含む請求項1からまでのいずれか1項に記載の電解質組成物。
  6. 前記一般式(1)中、アニオン及びカチオンの少なくとも一方が高分子である請求項1からまでのいずれか1項に記載の電解質組成物。
  7. ヨウ素塩化合物およびヨウ素を含む請求項1からまでのいずれか1項に記載の電解質組成物。
  8. 前記一般式(1)で表される塩を少なくとも2種含み、少なくとも1種はYがリチウムカチオンの塩であり、他方はYが前記一般式(2−a)、(2−b)及び(2−c)のいずれかで表されるカチオンの塩である請求項3からまでのいずれか1項に記載の電解質組成物。
  9. 下記一般式(1)で表される塩を含むことを特徴とする電解質組成物。
    (式(1)中、R1及びR2は各々置換若しくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、又はアミノ基を表し、Yは有機又は無機のカチオンを表す。但し、アニオン及びカチオンの少なくとも一方が高分子である。
  10. 下記一般式(1)で表される塩と、ヨウ素塩化合物およびヨウ素と、を含むことを特徴とする電解質組成物。
    (式(1)中、R1及びR2は各々置換若しくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、又はアミノ基を表し、Yは有機又は無機のカチオンを表す。)
  11. 下記一般式(1)で表される塩を少なくとも2種含み、少なくとも1種はYがリチウムカチオンの塩であり、他方はYが下記一般式(2−a)、(2−b)及び(2−c)のいずれかで表されるカチオンの塩であることを特徴とする電解質組成物。
    (式(1)中、R1及びR2は各々置換若しくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、又はアミノ基を表し、Yは有機又は無機のカチオンを表す。)
    (式(2−a)中、Qy1は窒素原子と共に5又は6員環の芳香族カチオンを形成し得る原子団を表し、Ry1は置換若しくは無置換のアルキル基又はアルケニル基を表す。式(2−b)中、Ay1は窒素原子又はリン原子を表し、Ry1、Ry2、Ry3及びRy4は各々置換若しくは無置換のアルキル基又はアルケニル基を表す。また、Ry1、Ry2、Ry3及びRy4のうち2つ以上が互いに結合してAy1を含む非芳香族環を形成していてもよい。式(2−c)中、Ry1、Ry2、Ry3、Ry4、Ry5及びRy6は各々置換若しくは無置換のアルキル基又はアルケニル基を表し、Ry3、Ry4、Ry5及びRy6のうち2つ以上が互いに結合して環構造を形成していてもよい。式(2−a)、式(2−b)及び式(2−c)で表される化合物は各々Qy1、Ry1、Ry2、Ry3、Ry4、Ry5又はRy6を中心として多量体を形成していてもよい。)
  12. 請求項1から11までのいずれか1項に記載の電解質組成物を含む電気化学電池。
  13. 前記電解質組成物を含む電荷輸送層と、色素で増感された半導体を含む感光層と、対極とを有し、且つ光電気化学電池であることを特徴とする請求項12に記載の電気化学電池。
  14. 非水二次電池であることを特徴とする請求項12に記載の電気化学電池。
  15. 下記一般式(1)で表される塩を含有する電解質組成物を含む電荷輸送層と、色素で増感された半導体を含む感光層と、対極とを有する光電気化学電池。
    (式(1)中、R1及びR2は各々置換若しくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、又はアミノ基を表し、Yは有機又は無機のカチオンを表す。)
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