JP2002293634A - 炭化珪素質焼結体及びこれを用いた磁気ヘッドスライダ用基板 - Google Patents

炭化珪素質焼結体及びこれを用いた磁気ヘッドスライダ用基板

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JP2002293634A
JP2002293634A JP2001100384A JP2001100384A JP2002293634A JP 2002293634 A JP2002293634 A JP 2002293634A JP 2001100384 A JP2001100384 A JP 2001100384A JP 2001100384 A JP2001100384 A JP 2001100384A JP 2002293634 A JP2002293634 A JP 2002293634A
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Masahito Nakanishi
政仁 中西
Michihiko Koshida
充彦 越田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】緻密質であって、研磨等の機械加工やイオン照
射による表面加工後の表面平滑性が高く、金属不純物が
少なく、しかも非磁性の炭化珪素質焼結体を提供する。 【解決手段】炭化珪素を主成分とし、アルミナとイット
リアとを含む炭化珪素質焼結体において、相対密度が9
9%以上で、かつアルミナとイットリアの合計含有量が
1.2〜5.2重量%、不純物として含まれる磁性金属
の総量が700重量ppm以下であり、シリカを実質的
に含まない炭化珪素質焼結体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオンミリング法
または反応性イオンエッチング法などのイオン照射によ
って表面加工するのに適した炭化珪素質焼結体に関する
もので、具体的には上述のようなイオン照射によって表
面加工された磁気へッドスライダ用基板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ハードディスクドライブ等に用い
られる磁気記録媒体は急速に高密度化が要求されるよう
になってきている。この高密度化に対応できるように、
記録再生用磁気ヘッドは、従来のフェライト等を使用し
た磁気ヘッドに代わり、磁気記録の高密度化に好適な磁
性薄膜を利用した薄膜へッドが注目されている。特に、
磁気抵抗効果を用いたMR(Magnetro Res
istive)ヘッドやGMR(Giant MR)ヘ
ッド等の注目度が高くなっている。
【0003】このような記録再生用磁気ヘッドは、磁気
ディスク表面から浮上しており、その浮上量は20nm
程度と極めて小さい。通常、磁気ディスクの内周と外周
の周速の違いで磁気ヘッドの浮上量の差が発生するた
め、その差を低減しようとして、浮上面に正圧部を設け
るだけでなく、浮上面の一部に微小な溝(凹部)を凹設
することで、負圧部を形成し、磁気ディスクの内外周で
浮上量を一定にしようとする磁気ヘッドが提案されてい
る(特開平9−305967号公報参照)。
【0004】このような磁気ヘッドを作製するには、先
ず、基板から切り出された磁気ヘッドスライダの浮上面
に対して研磨処理を施した後、この浮上面に負圧部用の
溝を凹設する。この負圧部用の溝は、その深さが数ミク
ロン程度と非常に浅く、かつ高い加工精度が要求される
ため、その加工には通常イオンビームによるイオンミリ
ング法、反応性イオンエッチング法等のイオン照射を利
用した方法が用いられている。
【0005】従来、このような磁気へッドスライダの材
料としては、機械加工が容易で、浮上面が平滑であると
ともに、優れた耐摩耗性および耐チッビング性が求めら
れることから、アルミナ−炭化チタン(TiC)系のセ
ラミックスが用いられていた。
【0006】しかしながら、近年高密度化の要求ととも
に、磁気記録の読み取り、書き込み素子であるトランス
デューサーの形状の微細化により、記録再生時の発熱が
大きくなるに従い、トランスデューサーから磁気ヘッド
スライダへの熱伝導による温度上昇の抑制の要求が高く
なり、高熱伝導性を有する薄膜磁気へッドスライダが必
要となってきている。そこで、アルミナ−炭化チタン系
のセラミックスと同等な弾性率、強度、硬度を備えなが
ら、高い熱伝導率を有する材料として、炭化珪素が注目
されるようになっている。
【0007】このような炭化珪素としては、本件出願人
が先に提案した焼結助剤としてアルミナ、イットリア及
びシリカを添加した炭化珪素質焼結体を、薄膜磁気ヘッ
ドスライダに用いることが考えられる(特公平7−12
980号公報参照)。
【0008】また、反応焼結法により珪素を含浸させた
炭化珪素質焼結体を磁気ヘッドスライダに用いることも
提案されている(特開平10−251086号公報参
照)。
【0009】さらに、炭化珪素とアルミナとを混合さ
せ、ホットプレスまたは熱間静水圧プレスにより形成し
た炭化珪素質焼結体を磁気ヘッドスライダに用いること
も提案されている(特開平7−237963号公報参
照)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公平
7−12980号公報で提案された炭化珪素質焼結体で
は、予めアルミナ、イットリアのみならず、シリカまで
焼結助剤として添加しているため、焼結過程で液相の占
める割合が大きく、そのため、気孔が十分抜けきらず、
高温ガスタービン用部品、自動車用エンジン部品等大型
の構造部品には好適であっても、磁気ヘッドスライダ用
基板等表面平滑性を要求される部品に用いるには決して
好適とは言えなかった。
【0011】さらに、上記炭化珪素質焼結体では、液相
の占める割合が大きいため、磁気ヘッドスライダ用基板
に用いるには、熱伝導率が小さく、放熱性が不十分であ
った。その結果、磁気記録の読み取り、書き込み素子で
あるトランスデューサーが蓄熱しやすいことで、磁気ヘ
ッドスライダを所定の位置に保持することができなくな
り、温度上昇によってトランスデューサーの感度が劣化
したり、トランスデューサーの突出部と磁気ディスクと
の衝突により再生エラーが発生したりするおそれがあっ
た。
【0012】また、特開平10−251086号公報で
提案されたスライダでは、珪素と炭化珪素粒子とが混在
しているため、イオンミリング加工を行おうとすると、
エッチング速度に差が発生し、磁気ヘッドスライダ表面
の凹凸が大きくなるため、浮上中の動作が安定しないと
いう問題があった。
【0013】また、特開平7−237963号公報で提
案されたスライダでは、アルミナが5〜60体積%と多
量に含有されており、炭化珪素質焼結体中にアルミナが
多く混在するために、表面平滑性が得られにくいという
問題があった。
【0014】そこで、本発明は非磁性、緻密質であって
研磨等の機械加工やイオン照射による表面加工後の表面
平滑性が高く、気孔の少ない、しかも放熱性の良好な炭
化珪素質焼結体及び磁気ヘッドスライダ用基板を提供す
ることを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の炭化珪素質焼結
体は、炭化珪素を主成分とし、アルミナとイットリアと
を含む炭化珪素質焼結体において、相対密度が99%以
上で、かつアルミナとイットリアの合計含有量が1.2
〜5.2重量%、不純物として含まれる磁性金属の総量
が700重量ppm以下であり、シリカを実質的に含ま
ないことを特徴とする。
【0016】また、上記炭化珪素質焼結体は、残留磁束
密度が4μT(マイクロテスラ)以下であることを特徴
とする。
【0017】また、上記炭化珪素質焼結体は、熱伝導率
が80W/m・K以上であることを特徴とする。
【0018】また、上記炭化珪素質焼結体は、炭化珪素
粉末に、アルミナとイットリアの粉末を1.2〜5.2
重量%添加した原料を所定形状に成形した後、不活性ガ
ス雰囲気中または真空中で1900〜2050℃の温度
で焼成した仮焼体を、さらに不活性ガス雰囲気中で前記
焼成の温度以上の温度で熱間静水圧プレス(HIP)す
ることにより得られることを特徴とする。
【0019】また、上記炭化珪素質焼結体中の気孔の最
大径が1.0μm以下であって、その数が200個/m
2以下であることを特徴とする。
【0020】さらに、本発明の磁気ヘッドスライダ用基
板は、上記炭化珪素質焼結体からなることを特徴とす
る。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の炭化珪素質焼結体は、炭
化珪素を主成分とし、アルミナとイットリアとを含む炭
化珪素質材料からなり、相対密度が99%以上で、かつ
アルミナとイットリアの合計含有量が1.2〜5.2重
量%、不純物として含まれる磁性金属の総量が700重
量ppm以下であって、シリカを実質的に含まないこと
を特徴とする。
【0022】ここで、炭化珪素の相対密度が99%以上
であることが重要であり、好ましくは99.5%以上、
さらに好適には99.8%以上が良い。この相対密度が
99%よりも低いと、気孔が多いため、機械加工やイオ
ンミリング法または反応性イオンエッチングなどのイオ
ン照射による表面加工でも表面平滑性が得られ難いから
である。
【0023】また、アルミナとイットリアは比較的少量
で焼結助剤として働き、その合計含有量を1.2重量%
以上としたのは、1.2重量%未満では、緻密化が進行
しないからである。
【0024】また、アルミナとイットリアの合計含有量
を5.2重量%以下としたのは、5.2重量%を超える
と過剰のアルミナとイットリアが炭化珪素粒子で構成さ
れる3粒子境界中に析出するが、炭化珪素結晶粒子を構
成する炭素、珪素のスパッタ率がアルミニウムやイット
リウムのスパッタ率より小さいために、後のイオン照射
により炭化珪素結晶粒子が選択的に除去され、表面平滑
性を得られなくなるからである。
【0025】アルミナとイットリアの合計含有量のより
好ましい範囲としては、下限2.0重量%、上限4.0
重量%である。
【0026】また、不純物として含まれる磁性金属とし
ては、Ti、Fe、Cr、Niがあり、これら磁性金属
の総量が上記炭化珪素質焼結体中700重量ppm以下
であることが重要である。
【0027】上記不純物の総量が700重量ppmを超
える場合、上記炭化珪素質焼結体を磁気ヘッドスライダ
用基板に用いると、残留磁化が発生し、磁気記録に悪影
響を及ぼすからである。また、上記不純物の総量が70
0重量ppmを超える場合、金属含有粒子が多いため
に、焼成中に凝集あるいは偏在する結果、後のイオン照
射による表面加工で凹設された溝の表面平滑性が損なわ
れるからである。
【0028】より好ましい範囲としては、500重量p
pm以下、さらに好ましい範囲としては300重量pp
m以下である。
【0029】また、上記炭化珪素質焼結体がシリカを実
質的に含まないことで、液相の占める割合を低減するこ
とができ、液相中に内在する気孔の数も減少させられ
る。但し、炭化珪素の原料粉末中に数百重量ppm程度
のシリカが混入していても何等差し支えない。後の焼成
でシリカは、炭化珪素に還元されるからである。
【0030】また、上記炭化珪素質焼結体の残留磁束密
度は、4μT以下であることが好ましい。上記炭化珪素
質焼結体の残留磁束密度を4μT以下とすることによ
り、残留磁化の影響を低減することができ、安定した磁
気記録ができるからである。
【0031】より好ましい範囲としては1μT以下、さ
らに好ましい範囲としては0.8μT以下である。
【0032】また、上記炭化珪素質焼結体の熱伝導率は
80W/m・K以上であることが好ましい。本発明によ
る炭化珪素質焼結体の熱伝導率は一般に知られている酸
化物添加系炭化珪素焼結体のそれより高いことが特徴で
ある。そのメカニズムは詳細不明であるが、Ti、F
e、Cr、Niなどの金属不純物を少なくし、且つ焼結
体の結晶を小さくすることにより、これら金属不純物の
固溶による炭化珪素結晶中の格子の乱れの低減と粒界相
の薄肉の低減が熱伝導率の向上に寄与しているものと思
われる。
【0033】上記炭化珪素質焼結体の熱伝導率を80W
/m・K以上にすると、磁気ヘッドスライダ基板に適用
しても、熱伝導率が大きく、放熱性が十分であるため
に、磁気記録の読み取り、書き込み素子であるトランス
デューサーを磁気ヘッドスライダ用基板の所定の位置に
取り付けた後、記録再生時に発熱してもトランスデュー
サーの感度が劣化したり、トランスデューサーの突出部
と磁気ディスクとの衝突するようなことがなくなるから
である。
【0034】なお、上記炭化珪素質焼結体の熱伝導率
は、より好ましい範囲としては100W/m・K以上で
ある。
【0035】以上のように構成された本発明に係る炭化
珪素質焼結体は、研磨等の機械加工やイオン照射による
表面加工を行っても十分な表面平滑性が得られ、気孔の
少ない、しかも放熱性の良好な炭化珪素質焼結体とな
る。
【0036】次に、本発明の炭化珪素質焼結体の製造方
法について説明する。
【0037】先ず、炭化珪素の原料粉末として、炭化珪
素を主成分とし、Ti、Fe、Cr、Niが総量700
重量ppm以下である原料を使用する。また、平均粒径
5μm以下、好ましくは1μm以下の炭化珪素の原料粉
末を用いることが、焼結性確保のために好ましい。
【0038】上記炭化珪素の原料粉末に、アルミナとイ
ットリアの合計含有量を1.2〜5.2重量%、さらに
好適には2.0〜4.0重量%の割合で添加、調合す
る。その後、上記の通り調合された粉末をプラスチック
または炭化珪素を内壁として設けられた容器内で、ポリ
イミドまたは炭化珪素などのボールを用いて混合し、成
形用のバインダー等を加え、噴霧乾燥機等を用いて造粒
する。
【0039】得られた造粒粉を所望の成形手段、例え
ば、金型プレス、冷間静水圧プレスなどにより任意の形
状に成形し、場合によっては、切削により所望の成形体
を得る。
【0040】そして、上記成形体をアルゴン等の不活性
ガス雰囲気または真空中1900〜2050℃の温度で
焼成し、得られた仮焼体を、同じくアルゴン等の不活性
ガス雰囲気中で、上記焼成温度以上の温度で、熱間静水
圧プレス(HIP)することが緻密化を促進させるとい
う観点から重要である。
【0041】なお、上記焼成及び熱間静水圧プレス(H
IP)における保持時間はいずれも1〜2時間程度でよ
く、熱間静水圧プレス(HIP)の圧力は100MPa
以上、好適には150MPa以上にすればよい。
【0042】ここで、焼成の雰囲気を不活性ガス雰囲気
または真空中としたのは、酸化雰囲気で焼成すると炭化
珪素が酸化され多量のシリカを生成するからであり、ま
た、窒化雰囲気で焼成すると炭化珪素が窒化され多量の
窒化珪素を生成するからである。熱間静水圧プレス(H
IP)の雰囲気を不活性ガス雰囲気としたのも同じ理由
からである。
【0043】また、焼成の温度を1900〜2050℃
としたのは、1900℃未満では仮焼体が得られないか
らであり、2050℃より高いと、平均粒径5μm以下
という微粉を用いる場合、微粉であるために粒成長が著
しく進行し、気孔の粒界への移動と粒成長に伴う気孔の
粗大化が生じるからである。
【0044】また、焼成した仮焼体を焼成以上の温度で
熱間静水圧プレス(HIP)するのは、焼成後に残存し
た気孔を減らすためであり、熱間静水圧プレス(HI
P)の温度が焼成の温度より低ければ、気孔を十分減ら
すことができないからである。
【0045】なお、熱間静水圧プレス(HIP)の温度
は焼成の温度より高いほうがより好適であり、その差が
50℃以上であると、さらに好適である。
【0046】このようにして本発明に係る炭化珪素質焼
結体を得ることができ、必要に応じて、焼成後に機械加
工を施し、その後、熱間静水圧プレス(HIP)を行っ
てもよい。
【0047】また、以上のような製法により、上記炭化
珪素質焼結体の気孔の最大径を1.0μm以下とし、そ
の数を200個/mm2以下にすることで、研磨等の機
械加工やイオン照射による表面加工を行っても表面平滑
性が得られ易くなる。
【0048】ここで、1.0μm以下の気孔の数が20
0個/mm2以下というのは、走査電子顕微鏡(SE
M)の倍率を4000倍、観察面積1箇所当たりの面積
1000μm2に設定して、上記炭化珪素質焼結体の鏡
面加工した面を10箇所観察した際、その合計面積10
000μm2に1.0μm以下の気孔が2個以下である
ことに相当し、少なくとも10箇所観察することが望ま
しい。
【0049】なお、1.0μm以下の気孔の数の好まし
い範囲としては、100個/mm2以下、さらに好まし
い範囲としては、50個/mm2以下である。
【0050】なお、このようにして得られる炭化珪素質
焼結体は、チャージアップを未然に防止するために室温
での体積固有抵抗が109Ω・cm以下であることが好ま
しい。
【0051】本発明の磁気ヘッドスライダ用基板を得る
には、平均粒径0.5μmのダイヤモンド砥粒により上
記炭化珪素質焼結体の上下面を表面粗さ(Ra)が1n
m以下になるように鏡面加工すればよい。
【0052】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定される
ものではない。
【0053】先ず、平均粒径0.59μmであって、T
i、Fe、Cr、Ni等の磁性金属の不純物量が表1に
示されるような炭化珪素の原料粉末を各種準備し、これ
を出発原料とした。この出発原料に、平均粒径0.6μ
mのアルミナ粉末及び平均粒径1.0μmのイットリア
粉末を表1に示す重量比率で秤量して加え、ポリエチレ
ン製容器内でポリイミドボールを用いて混合し、乾燥さ
せた。
【0054】そして、乾燥させた粉末を成形用バインダ
ーとしてパラフィンワックスを溶解させた有機溶媒に添
加混合し、前記有機溶媒を除去することで造粒粉を得
た。次に、この造粒粉を金型に充填し、100MPaの
圧力でプレス成形を行い、直径76mm、厚さ6mmの
成形体を得た。
【0055】この成形体をアルゴンガス雰囲気中、19
00〜2100℃の範囲内で適宜温度を設定し、保持時
間を1時間として焼成を行った。その後、アルゴンガス
雰囲気中、200MPaの圧力下で、温度を適宜設定
し、熱間静水圧プレス(HIP)を行い、直径60m
m、厚さ5mmの炭化珪素質焼結体を得た。
【0056】得られた炭化珪素質焼結体(以下、焼結体
という。)を研磨し、アルキメデス法により密度を測定
し、理論密度を3.22として相対密度を求めた。
【0057】また、残留磁束密度については、この焼結
体より長さ3mm、幅3mm、厚み1.2mmに切り出
し、交番力磁力計(東京インスツルメンツ製 2900
−04C型)を用いて測定した。
【0058】また、この焼結体の一部を切り出し、IC
P(Inductively Coupled Pla
sma)分析によって金属不純物量を測定した。
【0059】また、この焼結体の熱伝導率をJIS R
1611−1997に準拠して測定した。
【0060】さらに、上記焼結体を0.069Paの真
空中に保持し、1000V、200mAのアルゴンビー
ムを鏡面加工を施した面に照射し、この面の表面粗さを
原子間力顕微鏡(AFM)にて測定した。測定について
は、アルゴンビームを照射した面上、20μm×20μ
mの範囲を10箇所サンプリングし、その平均値を表面
粗さ(Ra)とした。
【0061】上述したような方法で、測定した結果を表
1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】表1からわかるように、本発明の試料N
o.2〜5,7〜10,12〜15,17〜24につい
ては、残留磁束密度が4μT以下と低い上、熱伝導率も
80W/m・K以上と良好であった。
【0064】また、上記試料は、1.0μmより大きな
気孔がなく、また、最大径1.0μm以下の気孔の数も
200個/mm2以下と少ない上、表面粗さ(Ra)も
10nm以下と小さく、良好であった。
【0065】一方、本発明の範囲外の試料No.1は、
焼成の温度が低いために、緻密化が進行せず、相対密度
が低くなり、磁気ヘッド用スライダ基板に用いることは
できなかった。
【0066】また、試料No.6は、アルミナとイット
リアの合計含有量が1.2重量%未満であったために、
緻密化が進行せず、No.1と同様、相対密度が低くな
り磁気ヘッド用スライダ基板に用いることはできなかっ
た。
【0067】また、試料No.11は、アルミナとイッ
トリアの合計含有量が5.2重量%を超えていたため
に、アルゴンビームによる照射で表面粗さ(Ra)が1
1.6nmと大きくなり、表面平滑性を著しく損ねた。
【0068】また、試料No.16は、不純物であるT
i、Fe、Ni、Crの総量が700重量ppmを超え
ていたために、残留磁束密度が7μTと大きかった。
【0069】また、試料No.25は、焼成の温度が高
いために、気孔が粗大化し、最大径1.0μmを超える
気孔が80個/mm2とかなり発生しており、表面粗さ
(Ra)も13.8nmと大きかった。
【0070】また、試料No.26は、熱間静水圧プレ
ス(HIP)の温度が熱間静水圧プレス(HIP)前の
焼成の温度より低いために、焼成後に残存した気孔を十
分減らすことができず、最大径1.0μmより大きな気
孔が残り、表面粗さ(Ra)も12.6nmと大きかっ
た。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、炭化珪素を主成分と
し、アルミナとイットリアとを含む炭化珪素質材料から
なり、相対密度が99%以上で、かつアルミナとイット
リアの合計含有量が1.2〜5.2重量%、不純物とし
て含まれる磁性金属の総量が700重量ppm以下であ
って、実質的にシリカを含まない炭化珪素質焼結体とす
ることで、緻密質で、研磨等の機械加工やイオンミリン
グ法または反応性イオンエッチングなどのイオン照射に
よっても表面平滑性が損なわれず、しかも残留磁化を低
減することが可能となる。
【0072】また、残留磁束密度を4μT以下の炭化珪
素質焼結体とすることにより、残留磁化の影響を低減す
ることができ、安定した磁気記録が可能となる。
【0073】また、熱伝導率を80W/m・K以上の炭
化珪素質焼結体とすることにより、磁気ヘッド用スライ
ダ基板に適用しても、放熱性が十分であるために、磁気
記録の読み取り、書き込み素子であるトランスデューサ
ーを磁気ヘッドスライダ用基板の所定の位置に取り付け
た後、記録再生時に発熱してもトランスデューサーの感
度が劣化したり、トランスデューサーの突出部と磁気デ
ィスクとの衝突するようなことがなくなる。
【0074】また、炭化珪素粉末に、アルミナとイット
リアの粉末を1.2〜5.2重量%添加した原料を所定
形状に成形した後、不活性ガス雰囲気または真空中19
00〜2050℃の温度で焼成した後、さらに不活性ガ
ス雰囲気中で焼成に用いた温度以上の温度で熱間静水圧
プレス(HIP)することで、気孔の少ない、緻密質な
炭化珪素質焼結体となる。
【0075】また、上記炭化珪素質焼結体を鏡面加工し
た後、その鏡面加工した面に存在する気孔の最大径が
1.0μm以下であって、その数を200個/mm2
下とすることにより、イオン照射によっても表面平滑性
が損なわれない。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭化珪素を主成分とし、アルミナとイット
    リアとを含む炭化珪素質焼結体において、相対密度が9
    9%以上で、かつアルミナとイットリアの合計含有量が
    1.2〜5.2重量%、不純物として含まれる磁性金属
    の総量が700重量ppm以下であり、シリカを実質的
    に含まないことを特徴とする炭化珪素質焼結体。
  2. 【請求項2】残留磁束密度が4μT(マイクロテスラ)
    以下であることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素
    質焼結体。
  3. 【請求項3】熱伝導率が80W/m・K以上であること
    を特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素質焼結
    体。
  4. 【請求項4】炭化珪素粉末に、アルミナとイットリアの
    粉末を1.2〜5.2重量%添加した原料を所定形状に
    成形した後、不活性ガス雰囲気または真空中で1900
    〜2050℃の温度で焼成した仮焼体を、さらに不活性
    ガス雰囲気中で前記焼成温度以上の温度で熱間静水圧プ
    レス(HIP)することにより得られることを特徴とす
    る炭化珪素質焼結体。
  5. 【請求項5】上記炭化珪素質焼結体中の気孔の最大径が
    1.0μm以下であって、その数が200個/mm2
    下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに
    記載の炭化珪素質焼結体。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5のいずれかに記載の炭化珪
    素質焼結体からなることを特徴とする磁気ヘッドスライ
    ダ用基板。
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