JP2968736B2 - 磁気ヘッドスライダ用セラミック材料 - Google Patents
磁気ヘッドスライダ用セラミック材料Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に磁気ヘッドス
ライダ用に用いるセラミック材料に関する。 【0002】 【従来の技術とその問題点】最近、高密度記録用磁気ヘ
ッドのヘッド磁気回路構成材料として、高透磁率を有す
るパーマロイ薄膜が使用されている。このような磁気ヘ
ッドのスライダ材料としてはセラミック材料が一般に用
いられているが、その場合、CS/S特性(スライダ摺
動面の耐摩耗性等)が良好なこと、緻密な構造で硬度が
大きく、かつ切断、溝入れ、鏡面加工等の各工程におい
て、加工性に優れていることなどが要求される。 この
ような要求を満たすものとして、アルミナー炭化チタン
(Al2 O3 −TiC)焼結体が挙げられる。 【0003】例えば、特開昭55−163665号に記
載のAl2 O3 とTiCとの混合物をホットプレス法に
よって焼成して得られるもので、飛行磁気ヘッドのスラ
イダ要素に用いられるもの、 【0004】特開昭56−140066号に記載のAl
2 O3 とTiCに、酸化イットリウム(固溶体あるいは
複合物の構成成分として含まれる場合もある)または炭
化イットリウム(ダブルカーバイドあるいは複合物の構
成成分として含まれる場合もある)の形でイットリウム
を添加して、熱間等方等圧加圧(HIP)法によって得
られるもの、 【0005】特開昭57−135772号に記載のAl
2 O3 、TiCおよびTiO2 に、MgO、NiO、C
r2 O3 、ZrO2 から選ばれる少なくとも1つの快削
性付与剤とY2 O3 とを添加して、HIP法によって得
られるものなどである。 【0006】この他に、MoあるいはWを単体もしくは
炭化物の形で添加して焼成し、Al2 O3 −TiC焼結
体を得る方法も挙げられる。 【0007】さらには、特公昭60−54266号に記
載のMgO,Y2 O3 ,CrO3 ,NiOのうちの少な
くとも1種以上およびZrO2 を含む酸化アルミニウム
(粉末の平均粒径1μm 以下)と炭酸化チタン粉末を含
む炭化チタン粉末(粉末の平均粒径1μm 以下)とを混
合して還元性の雰囲気で焼結して得られるもの、特公昭
51−569号および同53ー14568号に記載の炭
化チタン粉末、酸化チタン粉末、アルミナ粉末の混合粉
末をホットプレスして得られるものなどが挙げられる。 【0008】しかし、以上のような方法で得られたAl
2 O3 −TiC焼結体は、いずれも切断加工速度を大き
くすると、チッピング発生率が高く、粒脱落しやすくな
ること、また、鏡面加工時にも粒脱落しやすいこと等の
加工性に問題を残している。 【0009】チッピング発生率を低下させるために、セ
ラミック工具材料用のセラミック焼結体では、Fe族の
金属が単体もしくは酸化物の形で添加されているが、非
磁性でなくなり、磁気ヘッドスライダ材料として用いる
場合に好ましくない事態が生ずる。 【0010】そこで、このような問題を解消した、Al
2 O3 −TiC焼結体として、本発明者等は、Ga,B
a,CeおよびNbの酸化物の少なくとも1種を添加し
たものを提案している(特願昭59−278810
号)。 【0011】しかし、このものでも、特に磁気ヘッドス
ライダを製造する上で加工性、信頼性、CS/S特性の
上で充分ではなく、この点の改善が望まれている。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特に
粒脱落がなく、加工性が非常によく、緻密な構造を有
し、硬度が大きく、非磁性であり、信頼性およびCS/
S特性が高い磁気ヘッドスライダ用として有用なセラミ
ック材料を提供することにある。 【0013】 【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(5)の本発明により達成される。 (1)炭化チタンとアルミナとを含む混合物中に炭化チ
タンを30〜40重量%含むセラミック材料であって、
焼結体中の炭化チタンの平均粒径が1.0〜2.5μm
であり、炭化チタンのうち粒径が0.1μm以下のもの
が10重量%以下であることを特徴とする磁気ヘッドス
ライダ用セラミック材料。 (2)30〜40重量%の炭化チタンとアルミナとを含
む混合物100重量部に対し、Ga,Ba,Ce,Nb
およびTiの酸化物の少なくとも1種を0.01〜10
重量部含むセラミック材料であって、焼結体中の炭化チ
タンの平均粒径が1.0〜2.5μmであり、炭化チタ
ンのうち粒径が0.1μm以下のものが10重量%以下
であることを特徴とする磁気ヘッドスライダ用セラミッ
ク材料。 (3)炭化チタンとアルミナとを含む混合物中に炭化チ
タンを5〜40重量%含むセラミック材料であって、焼
結体中の炭化チタンの平均粒径が1.5〜2.5μmで
あり、炭化チタンのうち粒径が0.1μm以下のものが
10重量%以下であることを特徴とする磁気ヘッドスラ
イダ用セラミック材料。 (4)5〜40重量%の炭化チタンとアルミナとを含む
混合物100重量部に対し、Ga,Ba,Ce,Nbお
よびTiの酸化物の少なくとも1種を0.01〜10重
量部含むセラミック材料であって、焼結体中の炭化チタ
ンの平均粒径が1.5〜2.5μmであり、炭化チタン
のうち粒径が0.1μm以下のものが10重量%以下で
あることを特徴とする磁気ヘッドスライダ用セラミック
材料。 (5)炭化チタンを30〜40重量%含む上記(3)ま
たは(4)の磁気ヘッドスライダ用セラミック材料。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的構成につい
て詳細に説明する。本発明のセラミック材料は、アルミ
ナ−炭化チタン焼結体である。そして、焼結体中での炭
化チタン(TiC)の平均粒径は、1.0〜2.5μ
m、好ましくは1.5〜2.0μmである。 【0015】TiCの焼結体中での平均粒径が1.0μ
m未満では加工性が非常に悪く、2.5μmをこえると
強度の低下がみられるからである。 【0016】TiCの粒度分布としては、粒径0.5〜
2.0μmのTiCがTiC粒子の総数の80%以上と
なるようなものである。この測定は電子顕微鏡写真等に
より行なえばよい。 【0017】また、焼結体中でのTiCのうち0.1μ
m以下の粒径のものが10重量%以下、より好ましくは
総数の10%以下ないし0であることが好ましい。0.
1μm以下の粒径のTiCは、表面の活性が高く、特に
スライダとして用いた時の信頼性試験およびCS/S特
性上、欠陥の原因となるからである。 【0018】アルミナ−炭化チタン焼結体は、アルミナ
(Al2 O3 )の粉末と炭化チタン(TiC)の粉末の
混合物を含有するものであり、好ましくは、さらに、G
a、Ba、Ce、Nb、およびTiの酸化物から選ばれ
た少なくとも1種を含有するものである。 【0019】そして、このようなアルミナ−炭化チタン
焼結体は、アルミナ(Al2 O3 )の粉末と炭化チタン
(TiC)の粉末の混合物に、一般に、好ましくは、さ
らに、Ga,Ba,Ce,Nbの酸化物(例えば、Ga
O、CeO2 、Nb2 O5 等)または焼成により酸化物
となる化合物、例えば、炭酸化合物(例えば、BaCO
3 、CaCo3 、SrCO3 等)の化合物の粉末、なら
びにTiの酸化物から選ばれた少なくとも1種を添加し
て、焼成してなるものである。 【0020】Tiの酸化物等の添加方法としては、
(1)Tiの酸化物(TiO2 、TiO、Ti2 O3
等)の粉末あるいは少なくとも表面がTiの酸化物であ
る粉末または焼成により酸化物となる化合物、例えば、
Tiのアルコキシド([(CH3 )2 CHO]4 Ti
等)の粉末を直接添加する方法、(2)アルミナ−炭化
チタン焼結体をホットプレス法、熱間等方等圧加圧(H
IP)法等により焼成する際、酸素雰囲気を用いること
により炭化チタンの一部をTiの酸化物、TiO2 とす
る方法などが挙げられる。これらの方法は単独で用いて
も併用してもよい。 【0021】Tiの酸化物、TiO2 はAl2 O3 −T
iC焼結体においてAl2 O3 とTiCとの間に介在し
てAl2 O3 とTiCとの粒結合を強固にする役目を果
たすと考えられる。 【0022】Al2 O3 粉末は微粉化することが好まし
く、平均粒子径が0.1〜1μm 、特に0.4〜0.6
μm であることが好ましい。 【0023】TiC粉末は微粉化することが好ましく、
平均粒子径が0.1〜3μm 、特に0.5〜1.5μm
であることが好ましい。 【0024】Al2O3とTiCとの混合比率は、Al
2O3が60〜95重量%、好ましくは60〜70重量
%を占め、これに対応して残りの40〜5重量%、好ま
しくは40〜30重量%をTiCが占める。 【0025】TiCが5重量%より少ないと、TiCの
添加効果が小さく、Al2 O3 も粒成長しやすくなり、
40重量%を超えると、加工性が急激に悪化するからで
ある。 【0026】Al2 O3 −TiC混合物に添加するG
a,Ba,Ce,Nbの酸化物や炭酸化合物等の粉末の
平均粒子径は0.1〜3μm 、特に0.5〜1μm であ
ることが好ましい。 【0027】また、添加量はAl2 O3 −TiC混合物
100重量部に対して0.01〜10重量部、特に1〜
7重量部であることが好ましい。 【0028】これらの添加量が0.01重量部より少な
いと、本発明の効果の実効がなくなり、10重量部をこ
えると、添加物の焼結体内における偏在が急激に増すか
らである。 【0029】この場合、Ga、Ba、CeおよびNbの
酸化物の少なくとも1種を0.01〜5重量部、あるい
はまたTiの酸化物を0.01〜5重量部含有させれば
よいが、両者をそれぞれ0.01〜5重量部含有させる
ことが望ましい。 【0030】また、Al2 O3 −TiC混合物にTiの
酸化物またはアルコキシドを粉末として直接添加する場
合、Tiの酸化物またはアルコキシドの粉末の平均粒子
径は0.1〜3μm 、特に0.5〜1.0μm であるこ
とが好ましい。 【0031】上記における各酸化物の同定および定量に
は、ICP発光分光分析法および酸素気流中の燃焼赤外
吸収法を用いればよい。 【0032】Al2 O3 −TiC焼結体は、通常、Al
2 O3 粉末およびTiC粉末の混合物に、好ましくは、
さらに、Ga,Ba,Ce,Nbの酸化物や炭酸化合物
等の粉末、またはTiの酸化物やアルコキシド等の粉末
を添加混合した後、成形体とし、酸素雰囲気中あるいは
非酸化性雰囲気中でのホットプレス焼結法により、この
成形体を焼結し、放冷して得られる。 【0033】この場合の焼結温度は1500〜1800
℃、特に1650〜1750℃が好ましい。 【0034】温度が1500℃より低いと、緻密な焼結
体が得られず、1800℃より高いと、添加物の昇華が
増し、表面層と内部が異構造になるからである。また、
プレス圧力は200〜300Kg/cm2 程度である。 【0035】非酸化性雰囲気としては、N2 、Ar、H
e等の不活性ガス、H2 、CO、各種炭化水素等、ある
いはこれらの混合雰囲気、さらには真空等種々のもので
あってよい。 【0036】焼結時間は、一般に1〜3時間である。 【0037】なお、焼結に際しては、原料粉末の成形体
を酸素雰囲気中あるいは非酸化性雰囲気中(例えば、1
200℃まで真空中、その後はAr雰囲気中等が好まし
い)で予備焼結し、次いでHIP炉内でこの予備焼結体
を焼結する熱間等方等圧加圧(HIP)法を用いてもよ
い。予備焼結の温度は1400〜1650℃、その時間
は1〜3時間とするのがよい。また、HIP法における
温度は1300〜1500℃、焼結時間は1〜5時間、
圧力は1000〜1500Kg/cm2 であり、酸素雰
囲気中あるいはAr等の不活性雰囲気中で行えばよい。 【0038】この場合、室温で酸素ガス、Arガス等を
300〜400kg/cm2 まで加圧し、その後、上記
のように加熱により圧力をかける。 【0039】ホットプレス法、HIP法を行なう際、酸
素雰囲気、非酸化性雰囲気のいずれを選択するかについ
ては、Tiの酸化物の添加方法に主に依存する。 【0040】Tiの酸化物やアルコキシド等の粉末を直
接添加する場合は非酸化性雰囲気とすることが好まし
い。非酸化性雰囲気にするのは、TiCの酸化を防止す
るためである。 【0041】一方、焼成中にTiCをTiの酸化物とす
る必要がある場合は酸素雰囲気とすることが好ましい。 【0042】添加したTiの酸化物やアルコキシド等は
いずれの添加方法によらず、焼結後、ほとんど酸化物と
して残存し、前記したように粒結合を強固にしている。 【0043】また、添加したGa,Ba,Ce,Nbの
酸化物や炭酸化合物も、焼結後、ほとんど酸化物として
残存し、Ti化合物同様、粒結合を強固にする働きをす
ると考えられる。 【0044】いずれの化合物も金属の状態で残るのは、
結合状態が悪く粒脱落の原因となり、好結果を得ない
が、本発明の焼結体には金属状態で残らないことがX線
分析により確認されている。 【0045】このようにして得られたAl2 O3 −Ti
C焼結体は、ビッカース硬度の高い水準を保持したまま
で、強度を95Kg/mm2 から70〜80Kg/mm
2 に下げることができ、切断加工性を2倍程度に挙げる
ことが可能となる。 【0046】また、鏡面加工の際、生ずる粒脱落もおこ
りにくい。 【0047】以上述べてきた本発明のセラミック材料は
種々の用途に有用である。 特に磁気ヘッドスライダ材
料としてのAl2 O3 −TiC焼結体は、いわゆる飛行
型の磁気ヘッドの基体ないしスライダのみならず、フロ
ッピーヘッドなどのスライダや各種ダミーブロック等に
適用することができる。 【0048】 【発明の具体的作用効果】本発明によれば、炭化チタン
5〜40重量%と、アルミナとを含む混合物またはこの
混合物100重量部に対し、好ましくは、さらにGa,
Ba,Ce,Nbの酸化物や炭酸化合物等の少なくとも
1種ならびにTiの酸化物やアルコキシド等を酸化物の
形で0.01〜10重量部含有するように添加したもの
(この場合Ga,Ba,Ce,Nbの酸化物の少なくと
も1種を0.01〜5重量部、あるいはまたTiの酸化
物を0.01〜5重量部含有すればよいが、両者をそれ
ぞれ0.01〜5重量部含有することが望ましい。)か
ら焼結体を作成しており、焼結体での炭化チタンの中心
粒径が1.0〜2.5μm であり、0.1μm 以下の粒
径のものを10重量%以下に規制するため、加工性が非
常によく、緻密な構造を有し、硬度が大きく、非磁性で
あり、信頼性が高く、粒脱落がないセラミック材料が得
られる。そして、磁気ヘッドスライダ材料として、CS
/S特性も極めて良好である。従って、高密度記録用磁
気ヘッドスライダ材料としての使用が期待される。 【0049】 【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
の効果をさらに詳細に説明する。 実施例1 平均粒径0.5μm のAl2 O3 (純度99.9%)粉
末と平均粒径0.7μm のTiC(純度99%、炭素含
有量19%以上でその1%以下は遊離コクエンである)
とを重量比で7:3の割合で混合したものにBaOを2
重量%添加し、ボールミルにより20時間湿式混合を行
った。 【0050】混合したスラリーを乾燥造粒し、内径77
mmの黒鉛型に充填した。これを真空雰囲気中で1時
間、焼結温度1500〜1800℃、プレス圧力200
〜300Kg/cm2 でホットプレス焼結を行った。 【0051】冷却後、焼結体を型から取り出し、#20
0ダイヤモンド砥石にて加工し、3インチφ、4mm厚
の試料100を作製した。 【0052】このように作製した焼結体中でのTiCの
平均粒径は1.5μm であり、粒度分布は電子顕微鏡写
真で観察したところ、粒径0.5〜2.0μm のTiC
がTiC粒子の総数の92%であった。また、0.1μ
m 以下の粒径を有するTiCは5%であった。 【0053】上記において、焼結体を作製する際原料と
なるTiCの粒径を0.3μm とする他は、同様にして
試料200を作製した。 【0054】このように作製した焼結体中でのTiCの
平均粒径は0.8μm であり、粒度分布は電子顕微鏡写
真で観察したところ、粒径0.5〜1.5μm のTiC
がTiC粒子の総数の80%であった。また、0.1μ
m 以下の粒径を有するTiCは15%であった。 【0055】上記の試料100,200について、特性
を以下に示す。なお特性の評価方法は下記のとおりであ
る。 【0056】(1)鏡面加工性 各試料をグリーンカーバイド(GC)砥粒でラップ加工
した後、ダイヤモンド砥粒でポリシング加工し、2次電
子像の回折および表面あらさ計により粒脱落の有無を調
べた。 【0057】また、X線マイクロアナライザーを用いて
X線像を得、表面の分析を行い、脱落部の組成を調べ
た。 【0058】(2)磁性 試料振動型マグネトメータ(VSM)により磁性の有無
を調べた。 【0059】(3)切断加工性 (a)切断性(定圧切断実験) 1軸スラストベアリングの上にガラスを接着し、その上
に試料(幅30mm、厚さ4mm)を接着し、この試料
を500gおよび1000gのおもりで引っぱり、ダイ
ヤモンド切断砥石で切断加工したときの切断速度を測定
した。 【0060】(b)チッピング発生(定速切断実験) 定速送り(25mm/min)により、ダイヤモンド切
断砥石で切断加工したとき、切断面から10μm 以上の
深さのチッピングの発生率(幅30mm、厚さ4mmの
試料について30mmあたりの発生率)を顕微鏡(20
0倍)で調べた。 【0061】(4)CS/S特性 (a)耐摩耗性 試料の薄膜素子を一括形成してスライダ形状に加工し、
磁気ヘッドについてコンタクトスタート/ストップを2
万回繰り返した時の摩耗の程度(μm )を調べた。 【0062】(b)粒脱落(電解評価) 白金と試料との間に1Vの電圧を印加し、電解作用によ
るTiCの粒脱落の程度を調べた。 【0063】表面粗さの指標であるRmax で表わす。 【0064】 試 料 No 100 (本発明) 200 (比較) 鏡面加工性(粒脱落) 無 有 磁 性 無 無 切断加工性 切断加工速度(mm/min) 42 25 チッピング発生 5個以内 5〜10個 CS/S 特性 耐摩耗性( μm /2万回) <0.5 1.0 粒脱落 Rmax≦100 A Rmax>1000A 【0065】以上の結果より、本発明の試料は、鏡面加
工性、切断加工性およびCS/S特性のいずれについて
も優れていることがわかる。また、非磁性であり、鏡面
加工性が良好なことからスライダ摺動面の鏡面加工が容
易となり、信頼性もよく磁気ヘッドスライダ材料として
適していることもわかる。なお、本発明の試料はビッカ
ース硬度も高い値であった。 【0066】実施例2 実施例1の試料100を作製する際用いたAl2 O3 :
TiC=7:3(重量比)の割合で混合したもの100
重量部に対して、各種添加物(表1)を、表1に示すよ
うな割合で添加したほかは試料100と同様に、試料1
01〜109(表1)を作製した。 【0067】また、実施例1の試料200を作製する際
用いたAl2 O3 :TiC=7:3(重量比)の割合で
混合したもの100重量部に対して、各種添加物(表
1)を、表1に示すような割合で添加したほかは試料2
00と同様に、試料201〜203(表1)を作製し
た。 【0068】これらの試料について実施例1と同様に特
性を評価した。結果を表1に示す。 【0069】ただし、チッピング発生については、5個
以内を○、5〜10個を△、それ以上を×で表わす。ま
た、粒脱落については、Rmax が100A以下であるも
のを○、100〜1000Aであるものを△、1000
Aをこえるものを×で表わす。 【0070】粒度分布については92%を占める粒径の
範囲を示した。 【0071】 【表1】【0072】表1より本発明の効果は明らかである。そ
して、添加物を含有させることにより、特性、特に粒脱
落が改善される。 【0073】実施例3 実施例1で用いたAl2 O3 粉末とTiC粉末(粒径
0.7μm )とを重量比で65:35の割合で混合した
ものに、BaOを2重量%添加し、実施例1と同様の処
理をし、本発明の試料Aを作製した。ただし、焼成雰囲
気は酸素雰囲気とした。この場合TiCの10重量%が
Tiの酸化物へと変化した。 【0074】また、焼結体中でのTiCの平均粒径は
1.5μm であり、粒度分布は電子顕微鏡写真で観察し
たところ、粒径0.5〜2.0μm の粒子の占める割合
が92%であり、0.1μm 以下の粒径を有するTiC
は5%であった。 【0075】上記において、焼結体を作製する際原料と
なるTiCの粒径が0.3μm のもの(実施例1で使用
したもの)を用いた他は同様の処理をし、比較の試料B
を作製した。この場合TiCの11重量%がTiの酸化
物へと変化した。 【0076】また、焼結体中でのTiCの平均粒径は
0.8μm であり、粒度分布は粒径0.5〜1.5μm
の粒子が占める割合が80%であり、0.1μm 以下の
粒径を有するTiCは15%であった。 【0077】この試料について実施例1と同様に特性を
評価した。結果を以下に示す。 【0078】 試 料 A B 鏡面加工性(粒脱落) 無 有 磁 性 無 無 切断加工性 切断加工速度(mm/min) 42 23 チッピング発生 5個以内 5〜10個 CS/S 特性 耐摩耗性( μm /2万回) <0.5 1.1 粒脱落 Rmax≦100 A Rmax>1000A 【0079】結果より本発明の効果は明らかである。
ライダ用に用いるセラミック材料に関する。 【0002】 【従来の技術とその問題点】最近、高密度記録用磁気ヘ
ッドのヘッド磁気回路構成材料として、高透磁率を有す
るパーマロイ薄膜が使用されている。このような磁気ヘ
ッドのスライダ材料としてはセラミック材料が一般に用
いられているが、その場合、CS/S特性(スライダ摺
動面の耐摩耗性等)が良好なこと、緻密な構造で硬度が
大きく、かつ切断、溝入れ、鏡面加工等の各工程におい
て、加工性に優れていることなどが要求される。 この
ような要求を満たすものとして、アルミナー炭化チタン
(Al2 O3 −TiC)焼結体が挙げられる。 【0003】例えば、特開昭55−163665号に記
載のAl2 O3 とTiCとの混合物をホットプレス法に
よって焼成して得られるもので、飛行磁気ヘッドのスラ
イダ要素に用いられるもの、 【0004】特開昭56−140066号に記載のAl
2 O3 とTiCに、酸化イットリウム(固溶体あるいは
複合物の構成成分として含まれる場合もある)または炭
化イットリウム(ダブルカーバイドあるいは複合物の構
成成分として含まれる場合もある)の形でイットリウム
を添加して、熱間等方等圧加圧(HIP)法によって得
られるもの、 【0005】特開昭57−135772号に記載のAl
2 O3 、TiCおよびTiO2 に、MgO、NiO、C
r2 O3 、ZrO2 から選ばれる少なくとも1つの快削
性付与剤とY2 O3 とを添加して、HIP法によって得
られるものなどである。 【0006】この他に、MoあるいはWを単体もしくは
炭化物の形で添加して焼成し、Al2 O3 −TiC焼結
体を得る方法も挙げられる。 【0007】さらには、特公昭60−54266号に記
載のMgO,Y2 O3 ,CrO3 ,NiOのうちの少な
くとも1種以上およびZrO2 を含む酸化アルミニウム
(粉末の平均粒径1μm 以下)と炭酸化チタン粉末を含
む炭化チタン粉末(粉末の平均粒径1μm 以下)とを混
合して還元性の雰囲気で焼結して得られるもの、特公昭
51−569号および同53ー14568号に記載の炭
化チタン粉末、酸化チタン粉末、アルミナ粉末の混合粉
末をホットプレスして得られるものなどが挙げられる。 【0008】しかし、以上のような方法で得られたAl
2 O3 −TiC焼結体は、いずれも切断加工速度を大き
くすると、チッピング発生率が高く、粒脱落しやすくな
ること、また、鏡面加工時にも粒脱落しやすいこと等の
加工性に問題を残している。 【0009】チッピング発生率を低下させるために、セ
ラミック工具材料用のセラミック焼結体では、Fe族の
金属が単体もしくは酸化物の形で添加されているが、非
磁性でなくなり、磁気ヘッドスライダ材料として用いる
場合に好ましくない事態が生ずる。 【0010】そこで、このような問題を解消した、Al
2 O3 −TiC焼結体として、本発明者等は、Ga,B
a,CeおよびNbの酸化物の少なくとも1種を添加し
たものを提案している(特願昭59−278810
号)。 【0011】しかし、このものでも、特に磁気ヘッドス
ライダを製造する上で加工性、信頼性、CS/S特性の
上で充分ではなく、この点の改善が望まれている。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特に
粒脱落がなく、加工性が非常によく、緻密な構造を有
し、硬度が大きく、非磁性であり、信頼性およびCS/
S特性が高い磁気ヘッドスライダ用として有用なセラミ
ック材料を提供することにある。 【0013】 【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(5)の本発明により達成される。 (1)炭化チタンとアルミナとを含む混合物中に炭化チ
タンを30〜40重量%含むセラミック材料であって、
焼結体中の炭化チタンの平均粒径が1.0〜2.5μm
であり、炭化チタンのうち粒径が0.1μm以下のもの
が10重量%以下であることを特徴とする磁気ヘッドス
ライダ用セラミック材料。 (2)30〜40重量%の炭化チタンとアルミナとを含
む混合物100重量部に対し、Ga,Ba,Ce,Nb
およびTiの酸化物の少なくとも1種を0.01〜10
重量部含むセラミック材料であって、焼結体中の炭化チ
タンの平均粒径が1.0〜2.5μmであり、炭化チタ
ンのうち粒径が0.1μm以下のものが10重量%以下
であることを特徴とする磁気ヘッドスライダ用セラミッ
ク材料。 (3)炭化チタンとアルミナとを含む混合物中に炭化チ
タンを5〜40重量%含むセラミック材料であって、焼
結体中の炭化チタンの平均粒径が1.5〜2.5μmで
あり、炭化チタンのうち粒径が0.1μm以下のものが
10重量%以下であることを特徴とする磁気ヘッドスラ
イダ用セラミック材料。 (4)5〜40重量%の炭化チタンとアルミナとを含む
混合物100重量部に対し、Ga,Ba,Ce,Nbお
よびTiの酸化物の少なくとも1種を0.01〜10重
量部含むセラミック材料であって、焼結体中の炭化チタ
ンの平均粒径が1.5〜2.5μmであり、炭化チタン
のうち粒径が0.1μm以下のものが10重量%以下で
あることを特徴とする磁気ヘッドスライダ用セラミック
材料。 (5)炭化チタンを30〜40重量%含む上記(3)ま
たは(4)の磁気ヘッドスライダ用セラミック材料。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的構成につい
て詳細に説明する。本発明のセラミック材料は、アルミ
ナ−炭化チタン焼結体である。そして、焼結体中での炭
化チタン(TiC)の平均粒径は、1.0〜2.5μ
m、好ましくは1.5〜2.0μmである。 【0015】TiCの焼結体中での平均粒径が1.0μ
m未満では加工性が非常に悪く、2.5μmをこえると
強度の低下がみられるからである。 【0016】TiCの粒度分布としては、粒径0.5〜
2.0μmのTiCがTiC粒子の総数の80%以上と
なるようなものである。この測定は電子顕微鏡写真等に
より行なえばよい。 【0017】また、焼結体中でのTiCのうち0.1μ
m以下の粒径のものが10重量%以下、より好ましくは
総数の10%以下ないし0であることが好ましい。0.
1μm以下の粒径のTiCは、表面の活性が高く、特に
スライダとして用いた時の信頼性試験およびCS/S特
性上、欠陥の原因となるからである。 【0018】アルミナ−炭化チタン焼結体は、アルミナ
(Al2 O3 )の粉末と炭化チタン(TiC)の粉末の
混合物を含有するものであり、好ましくは、さらに、G
a、Ba、Ce、Nb、およびTiの酸化物から選ばれ
た少なくとも1種を含有するものである。 【0019】そして、このようなアルミナ−炭化チタン
焼結体は、アルミナ(Al2 O3 )の粉末と炭化チタン
(TiC)の粉末の混合物に、一般に、好ましくは、さ
らに、Ga,Ba,Ce,Nbの酸化物(例えば、Ga
O、CeO2 、Nb2 O5 等)または焼成により酸化物
となる化合物、例えば、炭酸化合物(例えば、BaCO
3 、CaCo3 、SrCO3 等)の化合物の粉末、なら
びにTiの酸化物から選ばれた少なくとも1種を添加し
て、焼成してなるものである。 【0020】Tiの酸化物等の添加方法としては、
(1)Tiの酸化物(TiO2 、TiO、Ti2 O3
等)の粉末あるいは少なくとも表面がTiの酸化物であ
る粉末または焼成により酸化物となる化合物、例えば、
Tiのアルコキシド([(CH3 )2 CHO]4 Ti
等)の粉末を直接添加する方法、(2)アルミナ−炭化
チタン焼結体をホットプレス法、熱間等方等圧加圧(H
IP)法等により焼成する際、酸素雰囲気を用いること
により炭化チタンの一部をTiの酸化物、TiO2 とす
る方法などが挙げられる。これらの方法は単独で用いて
も併用してもよい。 【0021】Tiの酸化物、TiO2 はAl2 O3 −T
iC焼結体においてAl2 O3 とTiCとの間に介在し
てAl2 O3 とTiCとの粒結合を強固にする役目を果
たすと考えられる。 【0022】Al2 O3 粉末は微粉化することが好まし
く、平均粒子径が0.1〜1μm 、特に0.4〜0.6
μm であることが好ましい。 【0023】TiC粉末は微粉化することが好ましく、
平均粒子径が0.1〜3μm 、特に0.5〜1.5μm
であることが好ましい。 【0024】Al2O3とTiCとの混合比率は、Al
2O3が60〜95重量%、好ましくは60〜70重量
%を占め、これに対応して残りの40〜5重量%、好ま
しくは40〜30重量%をTiCが占める。 【0025】TiCが5重量%より少ないと、TiCの
添加効果が小さく、Al2 O3 も粒成長しやすくなり、
40重量%を超えると、加工性が急激に悪化するからで
ある。 【0026】Al2 O3 −TiC混合物に添加するG
a,Ba,Ce,Nbの酸化物や炭酸化合物等の粉末の
平均粒子径は0.1〜3μm 、特に0.5〜1μm であ
ることが好ましい。 【0027】また、添加量はAl2 O3 −TiC混合物
100重量部に対して0.01〜10重量部、特に1〜
7重量部であることが好ましい。 【0028】これらの添加量が0.01重量部より少な
いと、本発明の効果の実効がなくなり、10重量部をこ
えると、添加物の焼結体内における偏在が急激に増すか
らである。 【0029】この場合、Ga、Ba、CeおよびNbの
酸化物の少なくとも1種を0.01〜5重量部、あるい
はまたTiの酸化物を0.01〜5重量部含有させれば
よいが、両者をそれぞれ0.01〜5重量部含有させる
ことが望ましい。 【0030】また、Al2 O3 −TiC混合物にTiの
酸化物またはアルコキシドを粉末として直接添加する場
合、Tiの酸化物またはアルコキシドの粉末の平均粒子
径は0.1〜3μm 、特に0.5〜1.0μm であるこ
とが好ましい。 【0031】上記における各酸化物の同定および定量に
は、ICP発光分光分析法および酸素気流中の燃焼赤外
吸収法を用いればよい。 【0032】Al2 O3 −TiC焼結体は、通常、Al
2 O3 粉末およびTiC粉末の混合物に、好ましくは、
さらに、Ga,Ba,Ce,Nbの酸化物や炭酸化合物
等の粉末、またはTiの酸化物やアルコキシド等の粉末
を添加混合した後、成形体とし、酸素雰囲気中あるいは
非酸化性雰囲気中でのホットプレス焼結法により、この
成形体を焼結し、放冷して得られる。 【0033】この場合の焼結温度は1500〜1800
℃、特に1650〜1750℃が好ましい。 【0034】温度が1500℃より低いと、緻密な焼結
体が得られず、1800℃より高いと、添加物の昇華が
増し、表面層と内部が異構造になるからである。また、
プレス圧力は200〜300Kg/cm2 程度である。 【0035】非酸化性雰囲気としては、N2 、Ar、H
e等の不活性ガス、H2 、CO、各種炭化水素等、ある
いはこれらの混合雰囲気、さらには真空等種々のもので
あってよい。 【0036】焼結時間は、一般に1〜3時間である。 【0037】なお、焼結に際しては、原料粉末の成形体
を酸素雰囲気中あるいは非酸化性雰囲気中(例えば、1
200℃まで真空中、その後はAr雰囲気中等が好まし
い)で予備焼結し、次いでHIP炉内でこの予備焼結体
を焼結する熱間等方等圧加圧(HIP)法を用いてもよ
い。予備焼結の温度は1400〜1650℃、その時間
は1〜3時間とするのがよい。また、HIP法における
温度は1300〜1500℃、焼結時間は1〜5時間、
圧力は1000〜1500Kg/cm2 であり、酸素雰
囲気中あるいはAr等の不活性雰囲気中で行えばよい。 【0038】この場合、室温で酸素ガス、Arガス等を
300〜400kg/cm2 まで加圧し、その後、上記
のように加熱により圧力をかける。 【0039】ホットプレス法、HIP法を行なう際、酸
素雰囲気、非酸化性雰囲気のいずれを選択するかについ
ては、Tiの酸化物の添加方法に主に依存する。 【0040】Tiの酸化物やアルコキシド等の粉末を直
接添加する場合は非酸化性雰囲気とすることが好まし
い。非酸化性雰囲気にするのは、TiCの酸化を防止す
るためである。 【0041】一方、焼成中にTiCをTiの酸化物とす
る必要がある場合は酸素雰囲気とすることが好ましい。 【0042】添加したTiの酸化物やアルコキシド等は
いずれの添加方法によらず、焼結後、ほとんど酸化物と
して残存し、前記したように粒結合を強固にしている。 【0043】また、添加したGa,Ba,Ce,Nbの
酸化物や炭酸化合物も、焼結後、ほとんど酸化物として
残存し、Ti化合物同様、粒結合を強固にする働きをす
ると考えられる。 【0044】いずれの化合物も金属の状態で残るのは、
結合状態が悪く粒脱落の原因となり、好結果を得ない
が、本発明の焼結体には金属状態で残らないことがX線
分析により確認されている。 【0045】このようにして得られたAl2 O3 −Ti
C焼結体は、ビッカース硬度の高い水準を保持したまま
で、強度を95Kg/mm2 から70〜80Kg/mm
2 に下げることができ、切断加工性を2倍程度に挙げる
ことが可能となる。 【0046】また、鏡面加工の際、生ずる粒脱落もおこ
りにくい。 【0047】以上述べてきた本発明のセラミック材料は
種々の用途に有用である。 特に磁気ヘッドスライダ材
料としてのAl2 O3 −TiC焼結体は、いわゆる飛行
型の磁気ヘッドの基体ないしスライダのみならず、フロ
ッピーヘッドなどのスライダや各種ダミーブロック等に
適用することができる。 【0048】 【発明の具体的作用効果】本発明によれば、炭化チタン
5〜40重量%と、アルミナとを含む混合物またはこの
混合物100重量部に対し、好ましくは、さらにGa,
Ba,Ce,Nbの酸化物や炭酸化合物等の少なくとも
1種ならびにTiの酸化物やアルコキシド等を酸化物の
形で0.01〜10重量部含有するように添加したもの
(この場合Ga,Ba,Ce,Nbの酸化物の少なくと
も1種を0.01〜5重量部、あるいはまたTiの酸化
物を0.01〜5重量部含有すればよいが、両者をそれ
ぞれ0.01〜5重量部含有することが望ましい。)か
ら焼結体を作成しており、焼結体での炭化チタンの中心
粒径が1.0〜2.5μm であり、0.1μm 以下の粒
径のものを10重量%以下に規制するため、加工性が非
常によく、緻密な構造を有し、硬度が大きく、非磁性で
あり、信頼性が高く、粒脱落がないセラミック材料が得
られる。そして、磁気ヘッドスライダ材料として、CS
/S特性も極めて良好である。従って、高密度記録用磁
気ヘッドスライダ材料としての使用が期待される。 【0049】 【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
の効果をさらに詳細に説明する。 実施例1 平均粒径0.5μm のAl2 O3 (純度99.9%)粉
末と平均粒径0.7μm のTiC(純度99%、炭素含
有量19%以上でその1%以下は遊離コクエンである)
とを重量比で7:3の割合で混合したものにBaOを2
重量%添加し、ボールミルにより20時間湿式混合を行
った。 【0050】混合したスラリーを乾燥造粒し、内径77
mmの黒鉛型に充填した。これを真空雰囲気中で1時
間、焼結温度1500〜1800℃、プレス圧力200
〜300Kg/cm2 でホットプレス焼結を行った。 【0051】冷却後、焼結体を型から取り出し、#20
0ダイヤモンド砥石にて加工し、3インチφ、4mm厚
の試料100を作製した。 【0052】このように作製した焼結体中でのTiCの
平均粒径は1.5μm であり、粒度分布は電子顕微鏡写
真で観察したところ、粒径0.5〜2.0μm のTiC
がTiC粒子の総数の92%であった。また、0.1μ
m 以下の粒径を有するTiCは5%であった。 【0053】上記において、焼結体を作製する際原料と
なるTiCの粒径を0.3μm とする他は、同様にして
試料200を作製した。 【0054】このように作製した焼結体中でのTiCの
平均粒径は0.8μm であり、粒度分布は電子顕微鏡写
真で観察したところ、粒径0.5〜1.5μm のTiC
がTiC粒子の総数の80%であった。また、0.1μ
m 以下の粒径を有するTiCは15%であった。 【0055】上記の試料100,200について、特性
を以下に示す。なお特性の評価方法は下記のとおりであ
る。 【0056】(1)鏡面加工性 各試料をグリーンカーバイド(GC)砥粒でラップ加工
した後、ダイヤモンド砥粒でポリシング加工し、2次電
子像の回折および表面あらさ計により粒脱落の有無を調
べた。 【0057】また、X線マイクロアナライザーを用いて
X線像を得、表面の分析を行い、脱落部の組成を調べ
た。 【0058】(2)磁性 試料振動型マグネトメータ(VSM)により磁性の有無
を調べた。 【0059】(3)切断加工性 (a)切断性(定圧切断実験) 1軸スラストベアリングの上にガラスを接着し、その上
に試料(幅30mm、厚さ4mm)を接着し、この試料
を500gおよび1000gのおもりで引っぱり、ダイ
ヤモンド切断砥石で切断加工したときの切断速度を測定
した。 【0060】(b)チッピング発生(定速切断実験) 定速送り(25mm/min)により、ダイヤモンド切
断砥石で切断加工したとき、切断面から10μm 以上の
深さのチッピングの発生率(幅30mm、厚さ4mmの
試料について30mmあたりの発生率)を顕微鏡(20
0倍)で調べた。 【0061】(4)CS/S特性 (a)耐摩耗性 試料の薄膜素子を一括形成してスライダ形状に加工し、
磁気ヘッドについてコンタクトスタート/ストップを2
万回繰り返した時の摩耗の程度(μm )を調べた。 【0062】(b)粒脱落(電解評価) 白金と試料との間に1Vの電圧を印加し、電解作用によ
るTiCの粒脱落の程度を調べた。 【0063】表面粗さの指標であるRmax で表わす。 【0064】 試 料 No 100 (本発明) 200 (比較) 鏡面加工性(粒脱落) 無 有 磁 性 無 無 切断加工性 切断加工速度(mm/min) 42 25 チッピング発生 5個以内 5〜10個 CS/S 特性 耐摩耗性( μm /2万回) <0.5 1.0 粒脱落 Rmax≦100 A Rmax>1000A 【0065】以上の結果より、本発明の試料は、鏡面加
工性、切断加工性およびCS/S特性のいずれについて
も優れていることがわかる。また、非磁性であり、鏡面
加工性が良好なことからスライダ摺動面の鏡面加工が容
易となり、信頼性もよく磁気ヘッドスライダ材料として
適していることもわかる。なお、本発明の試料はビッカ
ース硬度も高い値であった。 【0066】実施例2 実施例1の試料100を作製する際用いたAl2 O3 :
TiC=7:3(重量比)の割合で混合したもの100
重量部に対して、各種添加物(表1)を、表1に示すよ
うな割合で添加したほかは試料100と同様に、試料1
01〜109(表1)を作製した。 【0067】また、実施例1の試料200を作製する際
用いたAl2 O3 :TiC=7:3(重量比)の割合で
混合したもの100重量部に対して、各種添加物(表
1)を、表1に示すような割合で添加したほかは試料2
00と同様に、試料201〜203(表1)を作製し
た。 【0068】これらの試料について実施例1と同様に特
性を評価した。結果を表1に示す。 【0069】ただし、チッピング発生については、5個
以内を○、5〜10個を△、それ以上を×で表わす。ま
た、粒脱落については、Rmax が100A以下であるも
のを○、100〜1000Aであるものを△、1000
Aをこえるものを×で表わす。 【0070】粒度分布については92%を占める粒径の
範囲を示した。 【0071】 【表1】【0072】表1より本発明の効果は明らかである。そ
して、添加物を含有させることにより、特性、特に粒脱
落が改善される。 【0073】実施例3 実施例1で用いたAl2 O3 粉末とTiC粉末(粒径
0.7μm )とを重量比で65:35の割合で混合した
ものに、BaOを2重量%添加し、実施例1と同様の処
理をし、本発明の試料Aを作製した。ただし、焼成雰囲
気は酸素雰囲気とした。この場合TiCの10重量%が
Tiの酸化物へと変化した。 【0074】また、焼結体中でのTiCの平均粒径は
1.5μm であり、粒度分布は電子顕微鏡写真で観察し
たところ、粒径0.5〜2.0μm の粒子の占める割合
が92%であり、0.1μm 以下の粒径を有するTiC
は5%であった。 【0075】上記において、焼結体を作製する際原料と
なるTiCの粒径が0.3μm のもの(実施例1で使用
したもの)を用いた他は同様の処理をし、比較の試料B
を作製した。この場合TiCの11重量%がTiの酸化
物へと変化した。 【0076】また、焼結体中でのTiCの平均粒径は
0.8μm であり、粒度分布は粒径0.5〜1.5μm
の粒子が占める割合が80%であり、0.1μm 以下の
粒径を有するTiCは15%であった。 【0077】この試料について実施例1と同様に特性を
評価した。結果を以下に示す。 【0078】 試 料 A B 鏡面加工性(粒脱落) 無 有 磁 性 無 無 切断加工性 切断加工速度(mm/min) 42 23 チッピング発生 5個以内 5〜10個 CS/S 特性 耐摩耗性( μm /2万回) <0.5 1.1 粒脱落 Rmax≦100 A Rmax>1000A 【0079】結果より本発明の効果は明らかである。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.炭化チタンとアルミナとを含む混合物中に炭化チタ
ンを30〜40重量%含むセラミック材料であって、焼
結体中の炭化チタンの平均粒径が1.0〜2.5μmで
あり、炭化チタンのうち粒径が0.1μm以下のものが
10重量%以下であることを特徴とする磁気ヘッドスラ
イダ用セラミック材料。 2.30〜40重量%の炭化チタンとアルミナとを含む
混合物100重量部に対し、Ga,Ba,Ce,Nbお
よびTiの酸化物の少なくとも1種を0.01〜10重
量部含むセラミック材料であって、焼結体中の炭化チタ
ンの平均粒径が1.0〜2.5μmであり、炭化チタン
のうち粒径が0.1μm以下のものが10重量%以下で
あることを特徴とする磁気ヘッドスライダ用セラミック
材料。 3.炭化チタンとアルミナとを含む混合物中に炭化チタ
ンを5〜40重量%含むセラミック材料であって、焼結
体中の炭化チタンの平均粒径が1.5〜2.5μmであ
り、炭化チタンのうち粒径が0.1μm以下のものが1
0重量%以下であることを特徴とする磁気ヘッドスライ
ダ用セラミック材料。 4.5〜40重量%の炭化チタンとアルミナとを含む混
合物100重量部に対し、Ga,Ba,Ce,Nbおよ
びTiの酸化物の少なくとも1種を0.01〜10重量
部含むセラミック材料であって、焼結体中の炭化チタン
の平均粒径が1.5〜2.5μmであり、炭化チタンの
うち粒径が0.1μm以下のものが10重量%以下であ
ることを特徴とする磁気ヘッドスライダ用セラミック材
料。 5.炭化チタンを30〜40重量%含む請求項3または
4の磁気ヘッドスライダ用セラミック材料。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP8277117A JP2968736B2 (ja) | 1996-09-27 | 1996-09-27 | 磁気ヘッドスライダ用セラミック材料 |
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JP8277117A JP2968736B2 (ja) | 1996-09-27 | 1996-09-27 | 磁気ヘッドスライダ用セラミック材料 |
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JP61149225A Division JPH062617B2 (ja) | 1986-06-25 | 1986-06-25 | 磁気ヘッドスライダ用セラミック材料 |
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Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
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JP4009292B2 (ja) * | 2005-01-06 | 2007-11-14 | Tdk株式会社 | 磁気ヘッドスライダ用材料、磁気ヘッドスライダ、及び磁気ヘッドスライダ用材料の製造方法 |
-
1996
- 1996-09-27 JP JP8277117A patent/JP2968736B2/ja not_active Expired - Lifetime
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