JP2002293125A - 車両用空調機の制御装置 - Google Patents

車両用空調機の制御装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 快適性をより一層高めることができるように
改良された車両用空調機の制御装置を提供する。 【解決手段】 内気センサ（６）の検出値、外気センサ
（７）の検出値、および設定温度（４・５）などから目
標吹き出し温度を演算すると共に、日射センサ（２）で
検出した日射量に基づく日射補正係数で前記目標吹き出
し温度を補正するようにしてなる車両用空調機の制御装
置の前記日射補正係数を、身体が直接受ける直達日射成
分に対する値（１１Ｌ・１１Ｒ）と、車体が受けて室温
を上昇させる車体負荷日射成分に対する値（１２）との
２種類とする。これにより、乗員が実際に受ける日射量
に対応した目標吹き出し温度を設定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用空調機の制
御装置に関し、特に、日射量に応じて自動的に吹き出し
温度を調節するように構成された車両用空調機の制御装
置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来、車両用自動制御式空調機において
は、日射センサによる日射検出量に基づいて吹き出し温
度の自動補正が行われることが一般的である。
【０００３】他方、乗員に対する太陽のふく射熱は、窓
から射し込む日射により身体に直接伝達される直達日射
成分と、車室内の空気を介して伝達される車体負荷日射
成分との２通りの経路で伝達される。直達日射成分は、
主に上半身に熱を与え、その伝熱率は太陽の方位並びに
仰角に大きく影響される（図２参照）。そして車体負荷
日射成分は、全身に熱を与え、太陽方位の影響をさほど
受けず、仰角の影響のみを受ける（図３参照）。なお、
図２並びに図３は、左側前席に対する太陽の位置を横軸
上に表しており、０度は正面前方から、−９０度は車体
中心に対して左方から、＋９０度は車体中心に対して右
方から、１８０度は後方からの日射をそれぞれ表してい
る。特に図２のグラフから、太陽が比較的高い位置（仰
角６０度）にあるときは、自席の側に太陽がある時のサ
イドウィンドウからの日射で伝熱量がピークとなり、太
陽が比較的低い位置（仰角３０度）にあるときは、自席
の反対側に太陽がある時のフロントウィンドウからの日
射で伝熱量がピークとなることが分かる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、従来は、単
に日射センサが受ける日射量に応じて目標吹き出し温度
を補正しているにとどまり、太陽と車両との位置関係や
吹き出し口の位置などに応じて日射補正値を加減してい
るわけではないため、例えば、太陽と車両との位置関係
が、乗員の身体は日射を受けないが日射センサは日射を
受ける状況にあると、日射センサが受けた日射量に応じ
た日射補正が加わってしまっていた。
【０００５】つまり、従来の車両用空調機の制御装置に
よると、太陽の位置の違いにより、乗員が受ける日射熱
と空調機の制御量とが必ずしも一致するものとはなら
ず、例えば、日射が当たっている上半身が快適となるよ
うに温度を設定すると、日射が当たらない下半身に吹き
付ける冷気が過剰となってしまったり、運転席には日射
が当たっているが助手席は日陰になっているような状況
では、両者を共にちょうど良い温度に調節することがで
きなくなってしまうなど、乗員、乗客全員の快適性を十
分に満足させる温度制御を行うことはできなかった。
【０００６】本発明は、このような従来技術の問題点を
解消すべく案出されたものであり、その主な目的は、快
適性をより一層高めることができるように改良された車
両用空調機の制御装置を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】このような目的を果たす
ために、本願請求項１の発明においては、内気センサ
（６）の検出値、外気センサ（７）の検出値、および設
定温度（４・５）などから目標吹き出し温度を演算する
と共に、日射センサ（２）で検出した日射量に基づく日
射補正係数で前記目標吹き出し温度を補正するようにし
てなる車両用空調機の制御装置の前記日射補正係数を、
身体が直接受ける直達日射成分による値（１１Ｌ・１１
Ｒ）と、車体が受けて室温を上昇させる車体負荷日射成
分による値（１２）との２種類とすることとした。
【０００８】このようにすれば、乗員が実際に受ける日
射量に対応した目標吹き出し温度を設定することができ
る。
【０００９】また、本願請求項２の発明は、内気センサ
の検出値、外気センサの検出値、および設定温度などか
ら目標吹き出し温度を演算すると共に、日射センサで検
出した日射量に基づく日射補正係数で前記目標吹き出し
温度を補正するようにしてなる車両用空調機の制御装置
において、上下に配設された吹き出し口と、該上下の吹
き出し口を切り替える吹き出し口切り替え手段とを備
え、前記上下の吹き出し口の前記目標吹き出し温度を補
正する前記日射補正係数が、第１≧第２なる２つの値と
されることを特徴とするものとした。
【００１０】このようにすれば、日射が当たっている上
半身が快適となるように温度を設定した際に、日射が当
たらない下半身も快適となるように温度が調節される。
【００１１】特に請求項２の構成において、上側の吹き
出し温度は前記２つの値の合計値で制御し、下側の吹き
出し温度は前記第２の値のみで制御するもの（請求項
３）としたり、前記上下の吹き出し口から同時に吹き出
し可能な吹き出し口切り替え手段を備えると共に、上側
の吹き出し温度は前記第１の値で制御し、下側の吹き出
し温度は前記第２の値で制御するもの（請求項４）とし
たりすると共に、前記第１の値は太陽の位置に応じて変
化する値であり、前記第２の値は太陽の方位に関わらず
概ね一定の値であるもの（請求項５）とすれば、より一
層きめ細かく温度制御して車内環境を最適化することが
できる。
【００１２】さらに、本願請求項６の発明、即ち、内気
センサの検出値、外気センサの検出値、および設定温度
などから目標吹き出し温度を演算すると共に、日射セン
サで検出した日射量に基づく日射補正係数で前記目標吹
き出し温度を補正するようにしてなる車両用空調機の制
御装置において、上下および左右に配設された吹き出し
口と、該上下左右の吹き出し口の温度を個別に調節可能
な温度調節手段とを備え、上側の吹き出し温度は太陽の
位置に応じた左右別々の補正値で制御し、下側の吹き出
し温度は太陽の方位に関わらず左右共通の補正値で制御
する構成とすれば、いかなる状況にあっても空調機の吹
き出し温度を最適化することが可能となる。
【００１３】
【発明の実施の形態】以下に添付の図面を参照して本発
明について詳細に説明する。
【００１４】図１は、本発明に基づき構成された空調機
の制御装置のブロック図である。本発明による制御装置
は、ＧＰＳシステム１と、ＧＰＳシステム１から得られ
た太陽と車両との位置関係に基づいて日射センサ２の出
力を補正する日射補正量演算手段３と、右席温度設定器
４、左席温度設定器５、内気温センサ６、外気温センサ
７の各出力に基づいて目標吹き出し温度を演算する目標
吹き出し温度演算手段８とからなり、冷気と暖気とを混
合するエアミックスダンパからなる温度調節手段９ａ〜
９ｄを備え、左右各席の上下に配設された吹き出し口へ
の送風を適宜に切り替えるための吹き出し口切り替え手
段１０の制御を行うものである。なお、温度調節手段９
ａ〜９ｄ並びに吹き出し口切り替え手段１０について
は、周知の機構を適用し得るので、その構造についての
説明は省略する。
【００１５】まず、ＧＰＳシステム１により、現時点に
おける太陽と車両との位置関係、つまり車体中心に対す
る日射の方向と仰角とを把握し、この太陽と車両との位
置関係に基づいて日射センサ２の検出値の補正を行う。
【００１６】日射補正量演算手段３には、右席並びに左
席のそれぞれに対する直達日射補正量マップ１１Ｌ・１
１Ｒと、車室内全体としての車体負荷日射補正量マップ
１２とが格納してある。これらの補正量マップ１１Ｌ・
１１Ｒ・１２は、図２並びに図３に示した伝熱特性線図
に対応しており、直達日射補正量マップ１１Ｌ・１１Ｒ
に関しては、左席用と右席用とは互いに対称形である。
例えば、図２に示した通り、高仰角位置でかつ自席の側
に太陽がある時、並びに低仰角位置でかつ自席の反対側
に太陽がある時に上半身に対する伝熱量がピークとなっ
ているので、このような時は、日射センサ２からの基準
値に対する補正量が多目にされる。そして車体負荷日射
補正量マップ１２は、図３に示した通り方位角の影響が
小さく、太陽の位置が高いほどガラスからの総入熱で室
温が上昇する傾向にあることから、仰角のみに基づいて
その補正量が設定されている。
【００１７】これらの補正値に基づいて左席上・下、右
席上・下の各吹き出し口の吹き出し温度目標値を算出
し、各吹き出し口に対応する温度調節手段９ａ〜９ｄを
個々に制御する。
【００１８】上下の吹き出し口の基本的な吹き出し温度
目標値は、下式の通りである。 Ｔaovnt＝Ｆ（Ｔam，Ｔset，Ｔr）−（Ｋ1＋Ｋ2）×Ｔs
un Ｔaoft＝Ｆ（Ｔam，Ｔset，Ｔr）−Ｋ2×Ｔsun 但し、Ｔaovnt：上側吹き出し口の目標吹き出し温度 Ｔaoft：下側吹き出し口の目標吹き出し温度 Ｔam ：外気センサ温度 Ｔset ：設定温度 Ｔr ：内気センサ温度 Ｋ1 ：直達日射補正係数 Ｋ2 ：車体負荷日射補正係数 Ｔsun ：日射センサの出力
【００１９】上側と下側との吹き出し口の切り替えを吹
き出し口切り替え手段１０で行えるようにされた空調機
においては、上側の吹き出し温度は、直達日射補正係数
と車体負荷日射補正係数との合計値（Ｋ1＋Ｋ2）で制御
し，下側の吹き出し温度は、車体負荷日射補正係数（Ｋ
2）のみで制御することにより、太陽の位置に応じた車
内温度のより一層の最適化を実現できる。
【００２０】また、上下の吹き出し温度を個々に独立制
御可能な空調機で上下の吹き出し口から同時に吹き出す
場合（バイレベル）は、上側の吹き出し温度は直達日射
補正係数（Ｋ1）のみで制御し、下側の吹き出し温度は
車体負荷日射補正係数（Ｋ2）のみで制御するようにす
ると良い。
【００２１】さらに、上下左右の吹き出し口の吹き出し
温度を個々に独立制御できる空調機においては、上側の
吹き出し温度は、太陽の位置（方位角及び仰角）に応じ
て左右別々の直達日射補正係数を用いて制御し、下側の
吹き出し温度は、左右共通の車体負荷日射補正係数（太
陽方位角に関わらない一定値を仰角に応じて持ち替え
る）を用いて制御するようにすると良い。
【００２２】なお、本発明は、ＧＰＳシステム１からの
日射の方位および仰角情報によらず、日射方位および仰
角情報を直接出力し得る３Ｄ日射センサ１５を適用させ
ることもできるし（図４参照）、また、日射の方位およ
び仰角に応じて補正された出力が得られるような指向性
を持たせた日射センサ１６・１７を適用させることもで
きる（図５参照）。
【００２３】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、身
体に直接当たる日射成分についての補正を行う直達日射
補正係数と、車内温度を上昇させる日射成分についての
補正を行う車体負荷日射補正係数との２種類の日射補正
係数を用意し、乗員に日射が直接当たる場合と、乗員が
車両の陰になる場合とで異なる日射補正を行うこととし
たので、いかなる状況にあっても空調機の吹き出し温度
を最適化することが可能となり、車内環境のより一層の
快適化を達成する上に多大な効果を奏することができ
る。
【００２４】特に、乗員に日射が直接当たり上半身が過
度に暑くなる場合には、上側の吹き出し温度は直達日射
補正係数で日射補正を行い、日射が直接には当たりにく
い下半身に対する下側の吹き出し温度は車体負荷日射係
数で日射補正を行うことにより、上半身、下半身共に丁
度良い吹き出し温度に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明装置の全体ブロック図
【図２】直達日射成分の特性グラフ
【図３】車体負荷日射成分の特性グラフ
【図４】別の実施形態の全体ブロック図
【図５】さらに別の実施形態の全体ブロック図
【符号の説明】
１ ＧＰＳシステム ２ 日射センサ ３ 日射補正値演算手段 ４ 右席温度設定器 ５ 左席温度設定器 ６ 内気温センサ ７ 外気温センサ ８ 目標温度演算手段 ９ 温度調節手段 １０ 吹き出し口切り替え手段 １１ 直達日射補正量マップ １２ 車体負荷日射補正量マップ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 内気センサの検出値、外気センサの検出
    値、および設定温度などから目標吹き出し温度を演算す
    ると共に、日射センサで検出した日射量に基づく日射補
    正係数で前記目標吹き出し温度を補正するようにしてな
    る車両用空調機の制御装置であって、 前記日射補正係数は、身体が直接受ける直達日射成分に
    よる値と、車体が受けて室温を上昇させる車体負荷日射
    成分による値との２種類であることを特徴とする車両用
    空調機の制御装置。
  2. 【請求項２】 内気センサの検出値、外気センサの検出
    値、および設定温度などから目標吹き出し温度を演算す
    ると共に、日射センサで検出した日射量に基づく日射補
    正係数で前記目標吹き出し温度を補正するようにしてな
    る車両用空調機の制御装置であって、 上下に配設された吹き出し口と、該上下の吹き出し口を
    切り替える吹き出し口切り替え手段とを備え、 前記上下の吹き出し口の前記目標吹き出し温度を補正す
    る前記日射補正係数が、第１≧第２なる２つの値とされ
    ることを特徴とする車両用空調機の制御装置。
  3. 【請求項３】 上側の吹き出し温度は前記２つの値の合
    計値で制御し、下側の吹き出し温度は前記第２の値のみ
    で制御することを特徴とする請求項２に記載の車両用空
    調機の制御装置。
  4. 【請求項４】 前記上下の吹き出し口から同時に吹き出
    し可能な吹き出し口切り替え手段を備えると共に、上側
    の吹き出し温度は前記第１の値で制御し、下側の吹き出
    し温度は前記第２の値で制御することを特徴とする請求
    項２に記載の車両用空調機の制御装置。
  5. 【請求項５】 前記第１の値は太陽の位置に応じて変化
    する値であり、前記第２の値は太陽の方位に関わらず概
    ね一定の値であることを特徴とする請求項２乃至４のい
    ずれかに記載の車両用空調機の制御装置。
  6. 【請求項６】 内気センサの検出値、外気センサの検出
    値、および設定温度などから目標吹き出し温度を演算す
    ると共に、日射センサで検出した日射量に基づく日射補
    正係数で前記目標吹き出し温度を補正するようにしてな
    る車両用空調機の制御装置であって、 上下および左右に配設された吹き出し口と、該上下左右
    の吹き出し口の温度を個別に調節可能な温度調節手段と
    を備え、 上側の吹き出し温度は太陽の位置に応じた左右別々の補
    正値で制御し、下側の吹き出し温度は太陽の方位に関わ
    らず左右共通の補正値で制御することを特徴とする車両
    用空調機の制御装置。
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