JP2002289406A - 過電流保護素子 - Google Patents

過電流保護素子

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JP2002289406A
JP2002289406A JP2001088243A JP2001088243A JP2002289406A JP 2002289406 A JP2002289406 A JP 2002289406A JP 2001088243 A JP2001088243 A JP 2001088243A JP 2001088243 A JP2001088243 A JP 2001088243A JP 2002289406 A JP2002289406 A JP 2002289406A
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JP2001088243A
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Hajime Tsujiha
一 辻葩
Hiroto Komatsu
博登 小松
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Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より高い抵抗上昇が期待できる過電流保護素
子を提供する。 【解決手段】 シート形の導電性組成物の両面に金属箔
をそれぞれ貼着する。そして、導電性組成物を、結晶化
度40%以上である高分子組成物(常温において、成分
中40%以上の重量が高分子の結晶で占められている組
成物)60〜70[体積%]と、カーボン粉末30〜4
0[体積%](真比重=1.85で換算した体積%)
と、所定の内容のキレート化合物の粉末0.1〜5.0
[体積%]とを混練して調製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温度に依存して電
気抵抗が増加する特性、すなわち、PTC特性を有する
過電流保護素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】過電流保護素子は、図示しないが、セラ
ミック系と高分子系とに大別される。後者の過電流保護
素子は、高分子を構成成分とするシート形の導電性組成
物の表裏両面に、ニッケル等の金属箔がそれぞれ貼着さ
れることにより構成される。導電性組成物は、高分子に
導電性微粒子が分散し、正常な電流が供給されている場
合には、低抵抗値を示し、過電流が突発的に発生する場
合、高抵抗値を示して導通を遮断し、携帯電話等の回路
を有効に保護する。
【0003】係る遮断機能を高めるため、導電性組成物
として、高密度ポリエチレン等の結晶化度の高い高分子
が使用されている。このような結晶化度の高い高分子が
使用される理由としては、過負荷による発熱でポリエチ
レンの融点に達すると、高分子の結晶が溶融して体積が
急激に膨張し、個々の導電性微粒子同士の距離が大きく
なって抵抗値が上昇する(以下、トリップ特性という)こ
とにある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、過電流保護
素子は、そのトリップ特性が性能を決定する要因となっ
ている。従来の過電流保護素子は、室温時の抵抗に対し
て高温時には1,000〜10,000倍抵抗が上昇す
るが、耐高電圧性に鑑みると、より高い抵抗値の上昇が
求められる。
【0005】本発明は、上記に鑑みなされたもので、よ
り高い抵抗上昇が期待できる過電流保護素子を提供する
ことを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、より高い
抵抗上昇について鋭意研究したところ、過電流保護素子
を構成する導電性組成物に、シアノキノン系、ハロキノ
ン系等の有機系配位子を有するキレート化合物(電荷移
動錯体、荷電制御剤)を配合すれば、上記課題を達成で
きるのを見出し、本発明を完成させた。すなわち、請求
項1記載の発明においては、上記課題を達成するため、
シート形の導電性組成物の両面に金属箔をそれぞれ設け
たものにおいて、上記導電性組成物は、結晶化度40%
以上である高分子組成物60〜70[体積%]と、カー
ボン粉末30〜40[体積%]と、下記(A)の内容のキ
レート化合物の粉末0.1〜5.0[体積%]とを混練
してなることを特徴としている。
【0007】なお、過電流保護素子は、より高い抵抗上
昇と同時に、室温における抵抗値がより低い(例えば、
φ3.0mm、厚さ0.3mmで0.2Ω以下の抵抗
値)と高性能であると評価されるが、室温において低抵
抗になる配合について種々検討したところ、限定された
条件である複数の高分子を配合すると、カーボンの粒子
が偏在して抵抗値を1/3 程度に低減できる効果を確認
した。そこで、請求項1記載の過電流保護素子における
好適な実施形態を確立した。すなわち、請求項2記載の
発明において、上記導電性組成物は、N種類の高分子と
カーボン粉末とからなる混合物であり、N種類の高分子
のうち、融点が80℃以上である高分子がn種類存在す
るものであり、N、nは整数であって、以下の条件
(1)〜(3)を満たすものであることが好ましい。 (1)N≧2 …(式1) (2)N≧n≧1 …(式2) (3)n種類の高分子が有する融点を、低いほうからT
1、T2、…Tn-1、Tnとし、最も高い融点であるTn
次に高い融点であるTn-1とが数式3を満たすこと。 25.0≧Tn−Tn-1≧5.0(単位は℃) …(式3)
【0008】また、結晶性高分子は成形収縮が大きいの
で、金属箔との密着に問題があるが、金属と親和性を有
する官能基をもつ高分子として(B)から選択されるエラ
ストマーを配合すれば、金属箔との接着を確保すること
ができるのを確認した。そこで、請求項3記載の発明に
おいては、結晶化度40%以上である高分子組成物であ
って、この高分子組成物の重量中、5〜70%が下記の
(B)から選択されるエラストマー又はこれを構成成分
とする混合物であることが好ましい。 (B)以下の(B−1)、(B−2)のエラストマー、
若しくは(B−3)の混合物。 (B−1)カルボン酸若しくはその無水化物を有するエ
ラストマー。 (B−2)水酸基やエポキシ基を有するエラストマー。 (B−3)(B−1)、(B−2)のエラストマーを構
成成分とする混合物。 さらに、請求項3記載の(B)が、無水マレイン酸を付
加してなるエチレン−αオレフィン共重合体、又はエチ
レン−αオレフィン−ジエン共重合体であると良い。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
を説明すると、本実施形態における過電流保護素子は、
シート形の導電性組成物の表裏両面に金属箔をそれぞれ
貼着し、導電性組成物を、結晶化度40%以上である高
分子組成物(常温において、成分中40%以上の重量が
高分子の結晶で占められている組成物)60〜70[体
積%]と、カーボン粉末30〜40[体積%](真比重
=1.85で換算した体積%)と、下記(A)の内容のキ
レート化合物の粉末0.1〜5.0[体積%]とを混練
して調製するようにしている。
【0010】先ず、キレート化合物について説明する
と、キレート化合物は、請求項1の(A)に記載した内
容であり、(A−1)から選択される元素の陽イオンと、
(A−2)から選択される原子団を陰イオンとするものに
限定される。この(A)のキレート化合物は、電子を一時
的に貯蔵する機能があり、トリップ性能を高める特性を
有する。キレート化合物は、通常、粉末にされる。本発
明に係るキレート化合物は、粉末の平均粒径について特
に制限されるものではないが、混練や成形時の作業性を
考慮すると、500[μm]以下が望ましい。粉末に、
抗酸化剤や分散剤等の添加物を配合することも可能であ
る。
【0011】キレート化合物の配合量は、導電性組成物
中、0.1[体積%]以下では効果がなく、逆に5.0
[体積%]を超えると、成形における作業性が低下す
る。そこで、本発明に係るキレート化合物の配合量は、
0.5〜5.0[体積%]の範囲が好ましく、効果や配
合量を考慮すると、1.0〜3.0[体積%]の範囲が
最適である。
【0012】次に、本発明に係るカーボン粉末について
説明する。カーボン粉末は、平均粒径が10〜200n
m程度のカーボン粒子(一次粒子)の集合体であり、一次
粒子の平均粒径や凝集してなる塊状粒子(二次粒子)の粒
径、PH等粒子の表面における化学的特性等が異なる多
種のグレードがある。この過電流保護素子に使用される
カーボン粉末は、通常、平均粒径10〜200nm程度
のカーボン粒子(一次粒子)の集合体であるが、本発明に
おいても同様の粒径が良い。本発明においては、粒子の
表面におけるPH等、特に限定されるものではなく、任
意に選択することができる。
【0013】カーボン粉末の一次粒子は、凝集して凝集
粒子を形成するが、過電流保護素子に使用される場合に
は、凝集粒子の凝集の程度が選択基準としては重要にな
る。一般に、凝集粒子における凝集の目安として、粒子
の集合体である粉末のDBP吸油量(ある一定の条件下
で100gの粉末が吸収できるジブチルテレフタレート
の体積)が使用される。過電流保護素子においては、D
BP吸油量が40〜150[cm3/100g]のカー
ボン粉末を選択するのが一般的であるので、本発明にお
いても同様のDBP吸油量にすると良い。カーボン粉末
の配合量は、導電性組成物中、30[体積%]以下では
室温時の抵抗値が高く過電流保護素子としては不適当で
あり、逆に40[体積%]を超えると、カーボン粒子間
の距離が小さくなり、トリッブ特性を期待することがで
きない。そこで、本発明に係るカーボン粉末の配合量
は、30〜40[体積%]の範囲が好ましい。
【0014】なお、カーボン粉末は、吸湿性に富んだ材
料であり、吸湿で作業効率が著しく低下するので、吸湿
性に配慮した配合が望ましい。カーボン粉末を配合した
組成物の吸湿性は、カーボン粉末の吸湿性能(DBP吸
油量)と配合量とに依存するので、本発明のカーボン粉
末のDBP吸油量は40〜100[cm3/100g]
で、その配合量は30〜36[体積%]が好ましい。
【0015】次に、本発明に係る導電性組成物について
説明する。本発明における導電性組成物は、結晶化度4
0%以上である高分子組成物と、カーボン粉末とから構
成されている。ここでいう高分子組成物とは、常温にお
いて、成分のうち40%以上の重量が高分子の結晶で占
められている組成物を指す。高分子組成物における結晶
化度は、40%以下の場合には、過電流保護素子として
不充分なトリップ特性となるので、40%以上の結晶化
度を要する。この結晶化度の上限はないが、高い方が望
ましい。
【0016】高分子組成物には、 結晶化度20%
以上の高分子の単体、 複数の結晶化度20%以上の
高分子からなる混合物、 及びと、その他の高分
子、オリゴマー、フィラー、安定剤、その他の添加物質
との混合物といった形態がある。なお、常温で高分子の
結晶が成分の20%以上の重量を占める配合組成で、高
分子や添加物質をカーボン粉末と共に同時に混練し、導
電性組成物を調製した場合には、上記及びの形態で
ある組成物を用いたと解釈することができる。
【0017】以下に、本発明に係る導電性組成物の結晶
性高分子を例示すると、密度が0.94以上のポリエチ
レン、ホモタイプのポリプロピレン、密度が1.95以
上のポリフッ化ビニリデン、ポリフェニリデンエーテル
等の液晶性ポリマーがあげられる。本発明においては、
これらを任意に選択することができる。結晶性高分子
は、係る高分子であれば、分子量、短鎖や長鎖の分岐の
状態、シンジオタックチック、アイソタックチック、ア
タックチック等分子のコーホメーション等の分子構造的
特徴にもなんら制限はなく自由である。なお、一般的な
過電流保護素子は、130℃程度の発熱により電流を遮
断するので、融点が120〜140℃の範囲にあるポリ
エチレンを選択することが好ましい。このポリエチレン
の中でも、密度が0.93を上回る高密度ポリエチレン
が適しており、この高密度ポリエチレン中、密度が0.
95を上回るものは結晶化度が90%を超え、トリップ
特性にきわめて優れているので、さらに良い。
【0018】本発明は、吸湿を考慮してカーボンの添加
量を36[体積%]までとするが、低抵抗を発現するに
は不利な配合である。請求項2記載の発明は、係る欠点
を補うことのできる過電流保護素子である。本発明者等
は、融点の異なる複数の高分子からなる系において、溶
融状態から冷却されて系が完全に固体になるまでの挙動
について常々関心があった。特に、高分子が溶融状態か
ら固化する時点に異種物質を排斥する挙動には特に注目
しており、その挙動を利用すれば、導電性組成物の高性
能化が期待できるので、鋭意研究した。その結果、請求
項2記載の条件を満たせば、低抵抗を実現できることを
見出した。具体的には、導電性組成物を融点の異なる複
数の高分子からなる組成物とし、融点の高い高分子が固
化する時に、結晶性高分子とカーボン粒子とを排斥させ
れば、カーボン粒子に富んだ結晶部分が形成され、低抵
抗が期待できる。
【0019】上記において、カーボン粒子に富んだ結晶
部分を構成する結晶性高分子に対し、異種の高分子は少
なくとも一種類以上高分子を要するから、請求項2記載
のN は2以上で上限はない。また、過電流保護素子と
しては、少なくとも80℃以上での耐熱性を要し、後述
するように、本発明は接着性を付与するためにエラスト
マーを配合するが、このエラストマー以外の高分子は、
80℃以上の融点を有することが要求されるので、数式
(2)に示す条件が要求される。また、請求2記載の配合
はカーボン粒子に富んだ結晶部分を構成する結晶性高分
子に、異種の高分子を配合する方法であるが、結晶性高
分子よりも高い融点を有する高分子は、複数あるとトリ
ップ特性が顕著でなくなるので一種類であるのが望まれ
る。請求項2記載のТn-1 は結晶性高分子の融点を示
し、Тn は結晶性高分子よりも高い融点を有する高分子
の融点である。
【0020】Тn-1 に対してТnが5℃より高くないと
効果が期待できず、25℃を超えると、顕著なトリップ
特性が期待できなくなるので、数式(3)に示す条件が要
求される。この温度差は10〜20℃の範囲が望まし
い。そして、固化時での排斥作用を考慮すると、Тn
以下の温度において、結晶性高分子は、Тn-1を示す高
分子(結晶性高分子よりも高い融点を有する高分子)に対
して非相溶であることが好ましい。なお、結晶性高分子
よりも低い融点を有する高分子は、複数でも良い。後述
する請求項3、4記載の過電流保護素子は、接着性を付
与するために限定したエラストマーを配合するが、この
エラストマーが融点を有していない高分子の場合があ
る。この場合、結晶性高分子の融点において、塑性変形
が可能な温度域であるならば、結晶性高分子よりも低い
融点の高分子に該当すると解釈することとする。
【0021】請求項2記載の配合については、特に限定
はなく、任意に選択することができる。但し、カーボン
粒子に富んでいる結晶の重量が導電性組成物を構成する
高分子組成物の40%以上を占めるように配合する必要
がある。
【0022】請求項3記載の導電性組成物の配合に用い
る金属と接着性を有するエラストマーは、カルボン酸又
はその無水化物等の酸性を呈する官能基、水酸基、エポ
キシ基等金属との親和性を有する官能基をもつ高分子に
限定される。請求項3における(B−3)の混合物とは、
これらのエラストマーを構成成分とするものをいう。具
体的には、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エ
チレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)等のエ
チレン−αオレフィン−ジエン共重合体、スチレン−エ
チレン−ブタジエン共重合体等のスチレン系ゴム、ポリ
エステル系ゴム、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴム、
イソプレン系ゴム、天然ゴム等の未架橋のゴムに上記官
能基が導入されてなるエラストマー等があげられる。
【0023】一般に、エラストマーとは、室温において
分子運動が活発である糸状重合体として定義付けられる
が、本発明も同様である。このエラストマーは、ムーニ
ー粘度、分子内の分岐、分子量分布等の分子構造的特性
が任意であり、本発明においても制限はない。また、幾
種類かの混合物でも良い。上記官能基を有するエラスト
マーの製法としては、不飽和結合を有するエラストマー
(例えば、未架橋のゴム)に、上記官能基を有する不飽和
炭素のモノマー又は重合体を、パーオキサイドを用いて
行うのが主流であるが、架橋助剤又は橋かけ剤を併用す
る等、本発明においてその製造方法を自由に選択するこ
とができる。
【0024】請求項3記載の(B)の高分子は、単一の高
分子でも良いし、何種類かの混合物でも良い。(B−3)
の混合物とは、上記高分子を主成分とした混合物をい
う。例えば、上記未架橋のゴム又は非架橋性ゴムに、パ
ラフィンオイル等の可塑剤の添加により流動性について
改質してあったり、他の高分子やフィラー等により補強
されたものをいう。
【0025】請求項4記載の発明は、エチレン−αオレ
フィン共重合体及びエチレン−αオレフィン−ジエン共
重合体に無水マレイン酸を付加してなるエラストマーを
選択した過電流保護素子である。係るエラストマーは、
原料である上記共重合体に、マレイン酸を付加反応させ
ることにより得られる。このエラストマーの製造方法
は、パーオキサイドを用いるのが主流であるが、架橋助
剤又は橋かけ剤を併用する等、本発明においてその製造
方法は自由に選択できる。エチレン−αオレフィン共重
合体及びエチレン−αオレフィン−ジエン共重合体のα
オレフィンの種類に関し、αオレフィンについては、一
般に炭素の数が3のプロピレンが使用されるが、本発明
において特に制限はない。
【0026】エチレン-αオレフィン−ジエン共重合体
のジエンについては、エチルノルポルネンやジシクロペ
ンタジエン及びビニルノルボルネン等が通常使用されて
いるが、本発明においては特に制限がない。ジエンのコ
ンテントについても同様である。両者の共重合体におけ
るエチレン構成比、ムーニー粘度、分子内の分岐、分子
量分布等の分子構造的特性は、任意であり特に制限はな
く、パラフィンオイルの添加により流動性が改質してあ
ったり、他の高分子やフィラー等で補強されたものでも
良い。また、この重合体に付加する無水マレイン酸の量
についても特に限定はないが、市販のものは0.2〜
5.5wt%であり、より多い方が望ましい。
【0027】なお、エチレン構成比について、結晶性高
分子としてポリエチレンを使用する場合には、共重合体
のエチレン構成比を結晶成分として換算することができ
る。例えば、結晶性高分子ポリエチレンを選択し、ポリ
エチレン100体積部に対して50体積部の無水マレイ
ン酸変性のエチレン−プロピレン−ジエン共重合体(エ
チレン構成比40%)を配合する場合、高分子組成物1
50体積部中、120体積部を結晶成分として扱うこと
ができる。そして、(B)から選択される高分子、又はこ
れを構成成分とする高分子組成物の配合量は、結晶性高
分子100体積部に対して10体積部未満の場合には、
金属箔との接着性に欠け、逆に70体積部以上の場合、
結晶成分が少ないので、トリップ性能が不充分となる。
そこで、本発明においては、10〜70体積部、好まし
くは15〜40体積部の範囲が良い。
【0028】請求項3、4記載の発明は、請求項2記載
の発明と併用することもできる。例えば、結晶性高分子
としてポリエチレンを選択し(結晶度が90%)、ポリエ
チレンよりも高い融点を有する高分子としてポリアクリ
レート(結晶度が30%)、金属との接着性付与用の高分
子として無水マレイン酸変性のエチレン−プロピレン−
ジエン共重合体(エチレン構成比が20%)を配合し、構
成比がポリエチレン100重量部に対してポリアクリレ
ート100重量部、共重合体50重量部である場合、高
分子組成物250重量部中、結晶成分が130重量部で
あるので、結晶度を52%として扱うことができる。
【0029】本発明に係る過電流保護素子は、導電性組
成物がニッケルや銅等の金属箔に挟持された構造に構成
される。この点、従来の過電流保護素子における導電性
組成物は、金属箔との接着性に欠けるので、電析により
得る箔(数μm のデンドライト様の凹凸を有する)、プ
レス成形やスラッシュ等の粗面化処理を施した箔等が使
用される。これに対し、本発明に係る過電流保護素子
は、箔の表面状態になんら制限がなく、従来の過電流保
護素子では接着しないので敬遠されていた平滑な箔をも
使用することができる。例えば、従来は粗面化が施され
た箔に限定されていたため、ニッケルや銅等の素材に限
定されていたが、本発明に係る過電流保護素子によれ
ば、金、白金、パラジウム等の低抵抗な金属、ステンレ
スや鉄等安価な素材を選択することができる。つまり、
本発明の過電流保護素子は、金属箔の素材についてなん
ら制限がない。また、厚さについても同様に制限される
ものではない。
【0030】本発明に係る過電流保護素子は、加圧ニー
ダ、バンバリー、二本ロール、押出機等の混練装置によ
り混合され、押出機やカレンダー装置でシーティングさ
れ、その後、金属箔との積層を経てから任意の形状に打
ち抜かれる。本発明においては、製法や装置を自由に選
択することができる。また、一般にPTC特性を高める
ため、放射線や電子線の照射により架橋が施されたり、
数から数十の回数でトリップさせることにより導電粒子
の偏在を発達させる等の後処理が行われるが、本発明に
おいても上記処理の実施が望ましい。照射量は、一般的
に放射線については30〜200KGry程度、電子線
については3〜20MRaであるが、本発明でも同様の
照射量が良い。なお、本発明に係る過電流保護素子にお
いては、放射線や電子線の照射により、金属との接着強
度(剥離強度)が50〜500%程度にまで向上するとい
う効果が期待できる。
【0031】また、市販化されている過電流保護素子に
は、全面あるいは一部にハンダが積層されることがある
が、本発明でも同様の形態に構成することができる。以
上のような過電流保護素子は、打ち抜かれた形、ハンダ
の積層方法により、Disc strap、Terminal device、Str
ap、SMD等の形態をとり、一次電池、二次電池の保
護、自動車等のモータ保護、スピーカ保護、携帯電話等
における充電電池の保護、コンピュータ回路の保護等の
用途に使用される。
【0032】以下、本発明に係る過電流保護素子の実施
例を比較例と共に説明する。なお、本発明は、以下の実
施例になんら限定されるものではない。また、以下の実
施例・比較例では、PTC特性で評価しているが、評価
方法の詳細は、以下の通りである。 PTC特性の測定方法 金属箔と導電性組成物とを一体化して10×10mmの
サイズに裁断し、これに電線をハンダを介して接合(両
側の金属箔に接合)し、電線を抵抗測定器に接続して過
電流保護素子の抵抗を測定する。測定は、過電流保護素
子をオーブンに入れて30、80、100、110、1
20、130、140℃の環境で行う。測定の方法は、
30℃から順次昇温し、測定温度に達したら、5分間そ
の温度を維持するとともに、その時(5分間保持した
時)の抵抗値をプロットし、次の測定温度に昇温して測
定する。
【0033】実施例・比較例1 先ず、表1に示す2点のシート状物(100×100m
m、厚さ5mm)の片側に、電解液から析出させて得た
ニッケル箔(厚さ25μm、このニッケル箔は平滑面
と、数μmの凹凸になった粗面とを有する)をプレス成
形(加熱温度は220℃)で貼り合わせ、2点のラミネ
ート物を作製した。ニッケル箔は、その粗面をシート状
物に向けてラミネートした。こうして得られた2点のラ
ミネート物に10[MRad]の電子線を電子線照射装
置により照射し、10×10mmのサイズに裁断して過
電流保護素子を作製した。これらの過電流保護素子にお
けるPTC特性を確認したところ、図1に示す結果を得
た。
【0034】比較例1は、従来の過電流保護素子を使用
した例であり、140℃の時に室温時の抵抗に対する抵
抗上昇が約1,000倍程度に止まった。これに対し、
本発明に係る過電流保護素子は、抵抗が約20,000
倍上昇し、顕著な効果を得ることができた。
【0035】
【表1】
【0036】実施例・比較例2 先ず、表2に示す2点のシート状物(100×100m
m、厚さ5mm)の片側に、電解液から得た上記実施例
・比較例1と同様のニッケル箔をプレス成形で貼り合わ
せ、2点のラミネート物を作製した。その他の部分につ
いては、実施例・比較例1と同様にして過電流保護素子
を作製した。これらの過電流保護素子におけるPTC特
性を確認したところ、図2に示す結果を得た。また、3
0℃の抵抗値を確認したところ、表3に示す結果を得
た。
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】抵抗値に関し、導電性組成物に異種の高分
子を配合した実施例2、比較例2では、一種類の高分子
からなる実施例1に対し、約1/3の数値となった。ま
た、抵抗上昇について、比較例2では140℃の時に室
温時の約20,000倍、実施例2では約200,00
0,000倍となった。したがって、本発明に係る過電
流保護素子は、室温時には低抵抗を示し、抵抗上昇にお
いても優れた効果が期待できる。
【0040】実施例・比較例3 先ず、表4に示す2点のシート状物(100×100m
m、厚さ5mm)の片側に、圧延して得た金箔(厚さ1
0μm、この金箔は、表裏両面が平滑面になっている)
をプレス成形(加熱温度は220℃)で貼り合わせ、2
点のラミネート物を作製した。その他の部分について
は、実施例・比較例1と同様にして過電流保護素子を作
製した。これらの過電流保護素子におけるPTC特性を
確認したところ、図3の結果を得た。また、30℃の抵
抗値を確認したところ、表5の結果を得た。
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】抵抗値に関し、導電性組成物に異種の高分
子を配合した実施例3、比較例3では、80[mΩ]程
度の優れた結果を得ることができた。従来の配合では金
箔等の低抵抗の素材を選択することができなかったが、
本発明によれば、このように低抵抗を実現することがで
きる。また、抵抗上昇について、比較例3では140℃
の時に室温時の約20,000倍、実施例3では約20
0,000,000倍となった。したがって、本発明に
係る過電流保護素子は、室温時には低抵抗を示し、抵抗
上昇においても優れた効果が期待できる。
【0044】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、より高い
抵抗上昇を期待できる過電流保護素子を提供することが
できるという効果がある。特に、100〜150℃の範
囲で抵抗値を急激に上昇させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る過電流保護素子の実施例・比較例
1を示すR−T曲線グラフである。
【図2】本発明に係る過電流保護素子の実施例・比較例
2を示すR−T曲線グラフである。
【図3】本発明に係る過電流保護素子の実施例・比較例
3を示すR−T曲線グラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート形の導電性組成物の両面に金属箔
    をそれぞれ設けた過電流保護素子において、 上記導電性組成物は、結晶化度40%以上である高分子
    組成物60〜70[体積%]と、カーボン粉末30〜4
    0[体積%]と、下記(A)の内容のキレート化合物の粉
    末0.1〜5.0[体積%]とを混練してなることを特
    徴とする過電流保護素子。 (A) (A−1)から選択される元素の陽イオンと、(A
    −2)から選択される原子団を陰イオンとするキレート
    化合物。 (A−1) 銅、鉄、コバルト、ニッケル、白金、チタ
    ン、窒素、硫黄、セレニウム。 (A−2) テトラシアノキノジメタン、ハロキノン、テ
    トラシアノキノン、テトラシアノアントラセン、テトラ
    シアノアントラキノン、過塩素酸、ヨウ素、フタロシア
    ニン、キノリン、メチルフェナジン、テトラチオフルバ
    レン、テトラチオテトラセン、ジベンゾフェノチアジ
    ン、ヘキサメチレンテトラセレノフルバレン、テヘロ環
    状化合物のモノマー、テヘロ環状化合物の重合体。
  2. 【請求項2】 上記導電性組成物は、N種類の高分子と
    カーボン粉末とからなる混合物であり、N種類の高分子
    のうち、融点が80℃以上である高分子がn種類存在す
    るものであり、N、nは整数であって、以下の条件
    (1)〜(3)を満たすものである請求項1記載の過電
    流保護素子。 (1)N≧2 …(式1) (2)N≧n≧1 …(式2) (3)n種類の高分子が有する融点を、低いほうからT
    1、T2、…Tn-1、Tnとし、最も高い融点であるTn
    次に高い融点であるTn-1とが数式3を満たすこと。 25.0≧Tn−Tn-1≧5.0(単位は℃) …(式3)
  3. 【請求項3】 結晶化度40%以上である高分子組成物
    であって、この高分子組成物の重量中、5〜70%が下
    記の(B)から選択されるエラストマー又はこれを構成
    成分とする混合物である請求項1又は2記載の過電流保
    護素子。 (B)以下の(B−1)、(B−2)のエラストマー、
    若しくは(B−3)の混合物。 (B−1)カルボン酸若しくはその無水化物を有するエ
    ラストマー。 (B−2)水酸基やエポキシ基を有するエラストマー。 (B−3)(B−1)、(B−2)のエラストマーを構
    成成分とする混合物。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の(B)が、無水マレイン
    酸を付加してなるエチレン−αオレフィン共重合体、又
    はエチレン−αオレフィン−ジエン共重合体である過電
    流保護素子。
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