JP2002283496A - 成形加工用アルミニウム塗装板 - Google Patents
成形加工用アルミニウム塗装板Info
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Abstract
付けによって塗膜表面ににじみ出る潤滑剤が連続プレス
時にプレス機の金型に堆積して、プレス成形品が汚れた
り所定の寸法の成形品が得られなくなったりすることを
防止できる成形加工用アルミニウム塗装板を提供する。 【解決手段】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
なる基板2を設け、基板2の両面に樹脂塗料からなる塗
膜3を設け、塗膜3上にワックス層4を設ける。塗膜3
には潤滑剤として、塗膜3の樹脂固形分に対して0.2
質量%以上のラノリンを添加する。ワックス層4はパラ
フィンワックス又はマイクロクリスタリンワックスから
構成し、塗布量を10乃至100mg/m2とする。
Description
ルミニウム合金からなる基板の少なくとも片面に潤滑剤
を含有する塗料が塗装された成形加工用アルミニウム塗
装板に関し、特に、プレス成形時に金型における潤滑剤
の堆積の低減を図った成形加工用アルミニウム塗装板に
関する。
(以下、総称してアルミニウム板という)は、耐食性が
良好で軽量であることから、飲料缶材料、建材、電機及
び電子部品を含む家電材並びに自動車材等の用途に広く
適用されている。
は、通常、アルミニウム板を所定の形状にプレス成形し
て適用する。アルミニウム板のプレス成形は、プレス機
に枚葉状のシートを1枚ずつ供給して行う方法と、プレ
ス機にコイル状のアルミニウム板を連続的に供給して行
う方法とがあり、後者は生産性が優れた製造方法として
前記用途の事業分野において広く採用されている。
性のより一層の向上、外観の向上及びキズ付きの防止等
を目的として、表面に塗料が塗布されて使用されること
が多い。
ス成形後に塗料を塗布する方法と、アルミニウム板のプ
レス成形前に塗料を塗布する方法とがある。後者の場合
には、塗料が塗布されたアルミニウム板(以下、アルミ
ニウム塗装板という)のプレス成形性を向上させること
を目的として、塗料に潤滑剤を添加して塗装後の塗膜表
面に潤滑剤を付与することが一般的に行われている。
ス、動物系ワックス、鉱物系ワックス及び石油系ワック
ス等の天然ワックス並びに合成炭化水素系ワックス、変
性ワックス、水素化ワックス及び脂肪酸類ワックス等の
合成ワックスがあり、例えば、動物系ワックスのラノリ
ン、植物系ワックスのカルナウバ、石油系ワックスのマ
イクロクリスタリン又は合成炭化水素系ワックスのポリ
エチレンが、単独添加又は複合添加されて使用されてい
る。これらの潤滑剤が添加された塗料が塗装されたアル
ミニウム塗装板は、潤滑剤が添加されていない塗料が塗
装されたアルミニウム塗装板と比較して、明らかに成形
性が向上する。
が低く、また、塗料を塗装した後の乾燥及び焼き付け工
程において塗膜の表面ににじみ出やすい。このため、潤
滑剤としてラノリンが添加された塗膜は、他の潤滑剤が
添加された塗膜と比較して、低温での潤滑性が優れてい
る。
従来の技術には以下に示すような問題点がある。アルミ
ニウム板に、潤滑剤として少なくともラノリンを含む塗
料を塗装してアルミニウム塗装板を作製し、このアルミ
ニウム塗装板を連続的にプレス加工する場合、塗料の乾
燥及び焼き付けによってラノリンが塗膜表面ににじみ出
る。これにより、アルミニウム塗装板の潤滑性は向上す
るものの、このにじみ出たラノリンがプレス機の金型に
堆積するという問題が発生する。このため、以後この金
型によって成形されるプレス成形品が汚れたり、所定の
寸法の成形品が得られなくなったりするという不具合が
発生する。
料中の樹脂固形分に対して0.2質量%以上になると発
生しやすくなる傾向があり、ラノリンと他の潤滑剤とを
複合添加した場合には、より発生しやすくなる傾向があ
る。
のラノリンの添加量を低減又は無添加にするという方法
が考えられるが、これによりアルミニウム塗装板の潤滑
性が低下する。アルミニウム塗装板のプレス条件によっ
ては、所望の潤滑効果を得るために、ラノリンの添加が
必須である。
のであって、低温での潤滑性が優れ、潤滑剤を含む塗料
が塗装されたアルミニウム塗装板を連続的にプレスする
場合において、塗料の乾燥及び焼き付けによって塗膜表
面ににじみ出る潤滑剤がプレス機の金型に堆積し、プレ
ス成形品が汚れたり所定の寸法の成形品が得られなくな
ったりすることを防止できる成形加工用アルミニウム塗
装板を提供することを目的とする。
アルミニウム塗装板は、アルミニウム又はアルミニウム
合金からなる基板と、この基板の少なくとも片面に設け
られ樹脂及びこの樹脂の固形分に対して0.2質量%以
上のラノリンを含む塗膜と、この塗膜の表面に設けられ
た塗布量が10乃至100mg/m2であるワックス層
と、を有することを特徴とする。
形分に対して0.2質量%以上のラノリンが塗膜に添加
されているため、低温での潤滑性が優れる。また、成形
加工用アルミニウム塗装板の表層部にワックス層を設け
ることにより、このワックス層のワックスがプレス機の
金型に転写されて金型の表面に薄くコーティングされ
る。これにより、塗膜の表面ににじみ出たラノリンが金
型に付着して堆積することを防止することができる。更
に、プレス機への成形加工用アルミニウム塗装板の供給
に伴って、ワックスを金型に連続的に供給することがで
きるため、成形加工用アルミニウム塗装板を連続的にプ
レスする場合においても、前記効果が永続的に発揮され
る。なお、樹脂の固形分とは、樹脂から溶剤を除いた量
をいう。また、前記基板はクロメート処理が施されてい
てもよい。
ス及びマイクロクリスタリンワックスのうち少なくとも
1種のワックスからなることができる。
付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本実施例
に係る成形加工用アルミニウム塗装板の構成を示す断面
図である。本実施例に係る成形加工用アルミニウム塗装
板1においては、アルミニウム又はアルミニウム合金か
らなる基板2が設けられ、基板2の両面に樹脂塗料及び
潤滑剤を含む塗膜3が設けられ、塗膜3上にはワックス
層4が設けられている。なお、基板2及び塗膜3により
アルミニウム塗装板が構成され、このアルミニウム塗装
板及びワックス層4により成形加工用アルミニウム塗装
板1が構成されている。
エポキシ系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、フェ
ノール系樹脂、アルキド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂
及びエチレンアイオノマー系樹脂並びにこれらの樹脂の
共重合体からなる樹脂塗料を使用することができる。ま
た、これらの樹脂塗料の溶媒は、溶剤系溶媒及び水性溶
媒のいずれでもよい。塗膜3には潤滑剤として、塗膜3
の樹脂固形分に対して0.2質量%以上のラノリンが含
有されている。
はマイクロクリスタリンワックスを使用することができ
る。ワックス層4の塗布量は、10乃至100mg/m
2である。
ついて説明する。
固形分に対して0.2質量%以上 塗膜中におけるラノリンの含有量が塗膜中の樹脂の固形
分に対して0.2質量%未満であると、ラノリンの潤滑
剤としての効果が十分に発揮されず、成形加工用アルミ
ニウム塗装板の潤滑性が劣る。従って、塗膜中における
ラノリンの含有量は、樹脂の固形分に対して0.2質量
%以上とする。
/m2 ワックス層の塗布量が10mg/m2未満であると、ラ
ノリンが金型に付着し堆積することを防止する効果が小
さい。一方、ワックス層の塗布量が100mg/m2を
超えると、ラノリンの金型への堆積は防止できるもの
の、ワックスが金型に過剰に付着し、堆積しやすくな
る。従って、ワックス層の塗布量は10乃至100mg
/m2とする。
装板1の製造方法について説明する。先ず、アルミニウ
ム又はアルミニウム合金からなる基板2を用意し、この
表面上に塗膜3を塗装する。このとき、塗膜3には、塗
膜3の樹脂固形分に対して0.2質量%以上のラノリン
を添加する。次いで、塗膜3の乾燥及び焼き付けを行
う。その後、塗膜3上にパラフィンワックス又はマイク
ロクリスタリンワックスを塗布し、ワックス層4を形成
する。塗膜3上にワックス層4を塗布する方法には、溶
融したワックスをアトマイザにより霧化し静電塗油機を
使用して塗布する方法及び溶融したワックスをロールコ
ータにより塗布する方法等がある。これにより、成形加
工用アルミニウム塗装板1が製造される。
は、塗膜3を塗装後の乾燥及び焼き付け工程において、
塗膜3の表面にラノリンがにじみ出る。しかしながら、
成形加工用アルミニウム塗装板1をプレス機(図示せ
ず)によりプレス成形すると、ワックス層4のワックス
がプレス機の金型に転写され、金型の表面に薄くコーテ
ィングされる。これにより、ラノリンが金型に付着して
堆積することを防止することができる。ワックス層4
は、静電塗装機により塗布しても、ロールコータにより
塗布しても、効果は同じである。また、成形加工用アル
ミニウム塗装板1においては、塗膜3に添加する潤滑剤
としてラノリンを使用しているため、低温での潤滑性が
良好である。
特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説
明する。JISA5182−H19に記載されている板
厚が0.25mmのアルミニウム合金板を用意し、この
アルミニウム合金板にCr量が15mg/m2になるよ
うにりん酸クロメート処理を施した。次に、このりん酸
クロメート処理後のアルミニウム合金板の両面に、表1
に示す潤滑剤を添加したアクリル変性エポキシ塗料を乾
燥後の膜厚が5μmになるように塗布し、ガスオーブン
加熱方式の乾燥炉により焼き付けを行い塗膜を形成し
た。この後、静電塗油機を使用してパラフィンワックス
(日本精蝋製135)又はマイクロクリスタリンワック
ス(日本精蝋製Hi−Mic−1070)を塗布してワ
ックス層を形成し、成形加工用アルミニウム塗装板を作
製した。また、比較のために、塗膜を形成した後にワッ
クスを塗布しない成形加工用アルミニウム塗装板も作製
した。このようにして作製された成形加工用アルミニウ
ム塗装板における塗膜中の潤滑剤の種類及び濃度並びに
ワックス層におけるワックスの種類及び塗布量を表1に
示す。表1において、例えばNo.6は、塗膜中に潤滑
剤としてラノリン及びポリエチレンが夫々塗膜中の樹脂
固形分に対して0.5質量%添加され、更にワックス層
がパラフィンからなり、その塗布量が30mg/m2で
あることを示す。
用アルミニウム塗装板を、外径が2+4/16インチ
(204径)の飲料缶蓋シェルの形状にプレス成形し、
プレス成形品を作製した。図2は、このプレス成形品の
形状を示す断面図である。図2に示すように、プレス成
形品5の形状は底面が円形の浅い皿状であり、最大径が
64mm、底面の直径が52mm、高さが7mmであ
る。このプレス成形において、成形速度を90spmと
し、連続的に20000ストローク成形した後、金型に
おける潤滑剤及びワックスの堆積状態を観察した。潤滑
剤及びワックスの堆積量が極めて少ない場合を◎、少な
い場合を○、多い場合を×とし、堆積量に応じて×−○
−◎の順で結果を判定した。潤滑剤及びワックスの堆積
量が◎又は○であれば、プレス成形品が汚れたり所定の
寸法の成形品が得られなくなったりすることを防止でき
る。この判定結果を表1に示す。
板について、低温での潤滑性を評価した。評価は、この
成形加工用アルミニウム塗装板の摩擦係数を測定するこ
とにより行った。摩擦係数の測定方法は、相手材として
プレス機の金型を想定して表面を鏡面研磨した工具鋼を
使用し、測定温度は30乃至40℃とした。潤滑性を評
価は、摩擦係数が0.07以下のものを良好(○)とし
た。この評価結果を表1に示す。
例である。実施例No.1乃至8は、塗膜中にラノリン
又はラノリンの混合物からなる潤滑剤が添加され、塗膜
上に塗布量が10乃至100mg/m2であるワックス
層が設けられているため、金型への潤滑剤の堆積量が少
なく、低温での潤滑性が良好であった。
2は比較例である。比較例No.9はワックスの塗布量
が150mg/m2と多すぎるため、金型への潤滑剤の
堆積は抑えられたものの、ワックス自体が金型に堆積し
た。また、比較例No.10乃至12はワックス層が形
成されていないため、金型における潤滑剤の堆積量が多
かった。
用アルミニウム塗装板においては、潤滑剤としてラノリ
ンを含有する塗膜を形成し、この塗膜上にワックス層を
形成しているため、低温での潤滑性が優れると共に、塗
膜表面ににじみ出たラノリンが連続プレス加工時に金型
に堆積することを防止できる。これにより、アルミニウ
ム成形品の汚染及び成形品の寸法精度の低下を防止でき
る。
塗装板の構成を示す断面図である。
面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
なる基板と、この基板の少なくとも片面に設けられ樹脂
及びこの樹脂の固形分に対して0.2質量%以上のラノ
リンを含む塗膜と、この塗膜の表面に設けられた塗布量
が10乃至100mg/m2であるワックス層と、を有
することを特徴とする成形加工用アルミニウム塗装板。 - 【請求項2】 前記ワックス層はパラフィンワックス及
びマイクロクリスタリンワックスのうち少なくとも1種
のワックスからなることを特徴とする請求項1に記載の
成形加工用アルミニウム塗装板。
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