JP2007320206A - アルミニウム塗装材 - Google Patents

アルミニウム塗装材 Download PDF

Info

Publication number
JP2007320206A
JP2007320206A JP2006153949A JP2006153949A JP2007320206A JP 2007320206 A JP2007320206 A JP 2007320206A JP 2006153949 A JP2006153949 A JP 2006153949A JP 2006153949 A JP2006153949 A JP 2006153949A JP 2007320206 A JP2007320206 A JP 2007320206A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wax
aluminum
coating film
resin coating
lanolin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2006153949A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoki Kitamura
北村直紀
Mutsuko Watanabe
渡辺睦子
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Sky KK
Original Assignee
Furukawa Sky KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Sky KK filed Critical Furukawa Sky KK
Priority to JP2006153949A priority Critical patent/JP2007320206A/ja
Publication of JP2007320206A publication Critical patent/JP2007320206A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】

樹脂被覆膜表面に所定の溶融混合ワックス組成物を塗布することにより、耐カジリ性及び耐ビルトアップ性に優れたアルミニウム塗装材を提供する。
【解決手段】アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム基材と、当該アルミニウム基材の少なくとも一方の面に形成した樹脂被覆膜と、当該樹脂被覆膜表面に塗布した溶融混合ワックス組成物であって、20〜80重量部のパラフィンワックスと、10〜60重量部のカルナバワックスと、10〜60重量部のラノリンワックスとの溶融混合ワックス組成物と、を備えた塗装材。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム塗装材に関し、特に、アルミニウム基材の少なくとも一方の面に樹脂被覆膜を設け、その上に所定の組成を有するワックス組成物を塗布したアルミニウム塗装材であって、成形加工における潤滑性不足による樹脂被覆膜のカジリ現象が低減され、かつ、金型に対するワックス成分のビルドアップが低減されたアルミニウム塗装材に関する。
アルミニウム又はアルミニウム合金(以下、「アルミニウム基材」と記す)は、軽量で適度な機械的特性を有し、かつ美感、成形加工性、耐食性等に優れた特徴を有しているため、各種容器類、建材、家電材、および自動車材等に広く用いられている。
特に、コイル状にしたアルミニウム基材の板をプレス機に連続的に供給する方式の成形加工は生産性に優れるため、上記用途に広く採用されている。このような用途のアルミニウム基材は、耐食性や耐溶出性を更に向上させるため、外観を向上させるため、ならびに、傷付きを防止する等のために、その表面に樹脂塗料が塗装されることも多い。この際に、アルミニウム基材には何らかの下地処理(例えばリン酸クロメート、クロム酸クロメート、リン酸亜鉛又はリン酸ジルコニウム等)が通常施される。
アルミニウム基材の樹脂塗装とプレス加工の前後関係は、アルミニウム缶蓋や一部の熱交換器フィンのように、樹脂塗装を施してからプレスするプレコート方式と、アルミニウム缶ボディや自動車パネルのようにプレスした後に塗装を施すポストコート方式に分かれる。
プレコート方式では、塗装されたアルミニウム基材(以下、「アルミニウム塗装材」と記す)のプレス成形性を向上させるため、被覆膜表面に潤滑剤の層を形成させることが一般的に行われている。具体的には、被覆膜用塗料の成分に植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス又は石油系ワックス等をインナーワックスとして添加し、塗装、焼付によりワックス成分を被覆膜表面に析出させる方法や、塗装後の被覆膜表面に石油系ワックス等をアウターワックスとして塗布する方法などが挙げられる。更に、インナーワックスとアウターワックスとを併用する方法もある。これらの方法によれば、アルミニウム塗装材に潤滑性が付与されるため、プレス成形性の向上に一定の効果があり、その結果として、製品品質の安定性、プレス金型寿命の延長等に寄与する。
このような潤滑剤層の形成に関しては、種々の提案がなされている。特許文献1には、樹脂被覆膜の樹脂固形分に対して0.2重量%以上のラノリンをインナーワックスとして添加した上に、パラフィンワックス又はマイクロクリスタリンワックスをアウターワックスとして10〜100mg/mの量で塗布する方法が記載されている。
:特開2002−283496号公報
また、特許文献2、3には、カルナバワックスとパラフィンワックスとの溶融混合ワックス組成物を用いることにより、耐カジリ性及び耐ビルドアップ性に効果が発揮されることが記載されている。
:特開2005−314450号公報 :特開2005−314451号公報
しかしながら、上述の従来技術においては以下に示すような問題点がある。
すなわち、近年になってプレス速度の高速化が益々進み、また加工精度に対する要求も厳しくなっていることに対応して、プレス金型の設計がより高度になっている。しかしながら、こうしたプレス加工機に従来技術に基づいたアルミニウム塗装材を適用すると、潤滑性が不足するため、加工時に強い力を受ける部分、例えばアルミニウム缶蓋における端面、スコア部及びリベット部等において、金型への樹脂被覆膜の焼付きや樹脂被覆膜の剥離などの、いわゆるカジリ現象を生じることがある。このようなカジリ現象はプレス成形品の商品価値を著しく損なうため、その防止対策が求められていた。
また、カジリ対策としてアルミニウム塗装材表面に加工用潤滑油を塗布する方法も考えられるものの、加工後に洗浄工程が必要とされることや、潤滑油そのものが樹脂被覆膜に損傷を与えることがある等の問題があり、必ずしも有効な手段ではない。
また、カジリ現象の他に、ワックス成分が金型に付着して堆積する、いわゆるビルドアップ現象が生じることもある。これは、金型に堆積したワックス成分によって金型が設計通りに機能せず、成形品の加工精度や、成形品の傷付きを引き起こすため、その対策が強く求められている。
カジリ現象の対策としては、アルミニウム塗装材表面のワックス成分の総量を増やすことが最も容易であり、これによってある程度までは有効である。一方、ビルドアップ現象はカジリ現象と相反する特性であり、その対策としてはアルミニウム塗装材表面のワックス成分の総量を減らすことが最も容易であり、これによってある程度までは有効である。したがって、カジリ現象とビルドアップ現象の両方の対策としては、適切なワックス量とする必要がある。しかしながら、既存のワックスでは最適値を見出すのにも限界がある。
ところで、従来のインナーワックス方式は、樹脂被覆膜中にワックスが含有されているため、被覆膜自体に潤滑性が備わる利点はある。しかしながら、樹脂被覆膜中から表面に析出するワックス量や成分は、樹脂被覆膜用塗料の種類や塗料に混合するワックスの種類、或いは、塗装焼付設備の炉内温度、風速、ライン速度といった製造条件等、多様なパラメータに依存する。そのため、樹脂被覆膜表面におけるワックスの量と組成を高精度で制御し、安定的に製造することが困難であった。また、例えばアルミニウム缶蓋材の製造において、樹脂被覆膜用塗料を溶剤系から水性へと転換したり、ゲージダウンのための板厚減少等の細かな変更がある場合には、析出させるワックスの量および組成に合わせて製造条件を再設計する必要が生じて開発コストが増加する。
更にインナーワックス方式では、製造後のコイル保管状態によってはワックス量が経時変化してしまう。例えば夏期における倉庫内など、40〜50℃程度もの高温で保管する際には、樹脂被覆膜中のワックスの再浮上、析出が生起することによって、ワックス量が増加してしまう。
また、カルナバワックスとパラフィンワックスとの溶融ワックス組成物を用いた上記従来例では、得られるワックス組成物の耐カジリ性、耐ビルドアップ性の効果が不十分であり、より厳しい成形加工には適用できないこと等の問題点があった。
発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特許請求の範囲に記載の条件を満たすことにより、耐カジリ性および耐ビルドアップ性に優れたアルミニウム塗装材が得られることを見出し、上記問題点を解決するに至った。
本発明は請求項1において、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム基材と、当該アルミニウム基材の少なくとも一方の面に形成した樹脂被覆膜と、当該樹脂被覆膜表面に塗布した溶融混合ワックス組成物であって、全体を100%とした際に、20〜80%のパラフィンワックスと、10〜60%のカルナバワックスと、10〜60%のラノリンワックスとの重量比率を有する溶融混合ワックス組成物と、を備えたアルミニウム塗装材とした。
本発明は請求項2において、前記アルミニウム基材と樹脂被覆膜との間に下地皮膜を設けるようにした。
本発明により、樹脂被覆膜表面に所定のワックス組成物を塗布したことにより、耐カジリ性及び耐ビルドアップ性に優れたアルミニウム塗装材が得られる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明に係るアルミニウム塗装材は、アルミニウム基材面に形成した樹脂被覆膜表面に、所定組成を有する溶融混合ワックス組成物を塗布することによって得られる。
A.アルミニウム基材
本発明で用いるアルミニウム基材としては、(純)アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられ、アルミニウム合金としては、3000系や5000系が好適に用いられる。また、アルミニウム材の他に、亜鉛めっき鋼、アルミニウムめっき鋼、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼、ステンレス鋼等も用いることができる。これら基材は、板状のものが好適に用いられる。
B.樹脂被覆膜
本発明では、アルミニウム基材の少なくとも一方の面に樹脂被覆膜が形成される。樹脂被覆膜は、ベース樹脂を溶媒である有機溶剤や水等に溶解又は分散した塗料をアルミニウム基材表面に塗布し、乾燥後に焼付けすることによって形成される。塗料の塗布には、ロールコート法、バーコート法、浸漬法等が用いられ、焼付け温度は、通常、200〜300℃である。
なお、アルミニウム基材に樹脂を被覆する前にその表面に下地処理を施して下地皮膜を形成することにより、樹脂被覆膜の密着性が良好となり成形加工性の向上に寄与する。下地皮膜としては、リン酸亜鉛皮膜やリン酸ジルコニウム皮膜等のノンクロメート皮膜、リン酸クロメート皮膜などのクロメート皮膜が挙げられる。更に、下地処理の前に、アルミニウム基材をアルカリ脱脂等によって前処理するのが好ましい。
樹脂被覆膜のベース樹脂としては、エポキシ樹脂、エポキシ/アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ/尿素樹脂、エポキシ/フェノール樹脂等の樹脂が用いられる。
C.ワックス
パラフィンワックス、カルナバワックス及びラノリンワックスはいずれも既知物質であり、従来方法においてもアルミニウム塗装材に用いられてきた実績がある。具体的には、ラノリンワックスとカルナバワックスは主にインナーワックスとして、パラフィンワックスはアウターワックスとして、それぞれ活用されてきた。また、ラノリンワックスをインナーワックスとして含有する樹脂塗料を塗装、焼付し、パラフィンワックスをアウターワックスとして塗布する塗装材の製造方法も、広く一般に実施されている。しかしながら、これら従来例では、インナーワックスを樹脂被覆膜中及びその表面に適正に分布させるのが困難であり、また樹脂被覆膜表面では各ワックス成分がそれぞれ独立して存在するに過ぎず、カジリ現象の防止に対して特別な機能を有するものではなかった。
本発明者らは、パラフィンワックス、カルナバワックス及びラノリンワックスを、それぞれ固体の状態で所定配合比率をもって予め混合しておき、これを加熱・溶融したワックス組成物、或いは、これら各ワックスをそれぞれ別個に溶融してものを混合したワックス組成物を、樹脂被覆膜表面に塗布することにより、カジリ現象及びビルドアップ現象の防止に優れたアルミニウム塗装板が得られることを見出した。
本発明においては、パラフィンワックス、カルナバワックス及びラノリンワックスを単に混合するだけではなく、これらワックスをそれぞれの融点以上であって200℃以下の温度で加熱し、これらワックスを溶融状態にして攪拌・混合することによって、これらワックスが溶融混合したワックス組成物を用いることに特徴がある。
加熱温度がパラフィンワックス、カルナバワックス及びラノリンワックスの融点に達しない場合には、当然のことながら両ワックスの溶融混合物は得られない。なお、パラフィンワックスの融点は40〜75℃程度であり、カルナバワックスの融点は80〜90℃程度であり、ラノリンワックスの融点は35〜50℃程度である。一方、加熱温度が200℃を超えると、パラフィンワックスの引火点が約210℃以上であることから製造上において爆発の危険性があること、これらワックスが酸化変質を受け易いこと等から好ましくない。更に、エネルギーコストの観点からは、加熱温度を100℃以下とすることが好ましい。
溶融混合ワックス組成物におけるパラフィンワックス、カルナバワックス及びラノリンワックスの重量比率は、全体を100%とした際に、パラフィンワックスは20〜80%の範囲にあり、カルナバワックスは10〜60%の範囲にあり、ラノリンワックスは10〜60%の範囲にあるものとする。各ワックスの上記重量比率の上限と下限を基にした総重量比率は必ずしも100%を示さないが、各ワックスの上記重量比率の範囲は、全体を100%とした際に、各ワックスの重量比率が少なくともその範囲内にあることを必要とするものである。全体を100%とした際に、すなわち、本発明者らの実験的知見によると、上記重量比率にて三種のワックスを溶融混合することにより、パラフィンワックスの適度な潤滑性と、カルナバワックスの適度な皮膜強度と、ラノリンワックスの適度な柔軟性とを合わせもった優れた特性を有するものとなる。なお、各ワックス成分の上記重量部は、共通する基準重量に対してのものである。
上記混合重量比率において、パラフィンワックスが20重量%未満では、ワックス組成物に十分な潤滑作用が得られない。カルナバワックスが10重量%に満たないと、ワックス組成物に十分な皮膜強度が付与されない。ラノリンワックスが10重量%に満たないと、ワックス組成物に十分な柔軟性が付与されない。このように三種のワックス成分の含有量が上記重量比率に満たないと、耐カジリ性及び耐ビルドアップ性を満足できない。一方、パラフィンワックスが80重量%を超えると、ワックス組成物の皮膜強度や柔軟性が不足する。カルナバワックスが60重量%を超えると、ワックス組成物に十分な潤滑性と柔軟性が付与されない。ラノリンワックスが60重量%を超えると、ワックス組成物に十分な潤滑性と皮膜強度が付与されない。このように三種のワックス成分の含有量が上記重量比率を超えると、耐カジリ性及び耐ビルドアップ性を満足できない。
パラフィンワックスについては、パラフィンワックスとして市販されているものであれば特に限定されるものではないが、融点が70℃以下のものを用いることによりカジリ現象の防止が顕著となる。これは、パラフィンワックスの融点はその分子量と相関関係を有し、70℃以下の融点の分子量を有するパラフィンワックスにおいて、カルナバワックスとラノリンワックス分子とに対する相溶作用が顕著に生起するためと考えられる。融点が70℃より高いパラフィンワックスでは、カルナバワックス分子とラノリンワックス分子とに対する相溶作用が十分に生起せず、混合ワックス組成物が十分な耐カジリ性及び耐ビルドアップ性を示さない場合もある。
カルナバワックスには、原料のカルナバ椰子の葉によって1号〜3号までの等級のものがある。本発明では、いずれの等級のものを用いてもよい。また、ラノリンワックスには、液状ラノリン(曇り点約15℃)、精製ラノリン(融点約40℃)、硬質ラノリン(融点43〜50℃)が市販されており、いずれのラノリンワックスも用いることができるが、本発明では融点40℃程度の精製ラノリンが適度な柔軟性を有するため好適に用いられる。
溶融混合ワックス組成物は、以下のようにして調製される。室温において攪拌装置を用いて、固体状態のパラフィンワックスと、カルナバワックスと、ラノリンワックスとを上記配合比率で混合する。次いでこの固体状の混合ワックスを、攪拌棒等の攪拌部材を用いて、上記加熱温度において攪拌しながら混合する。混合は、加熱温度、攪拌手段、攪拌速度等によって適宜選択されるが、好ましくは1分間以上行なわれる。
このようにして調製した溶融混合ワックス組成物は、通常のアウターワックス方式によって、樹脂被覆膜表面に塗布される。塗布方法には、静電塗装法、ロールコート法等が用いられる。アウターワックス方式は、インナーワックス方式に比べて、ワックス成分を樹脂被覆膜表面に高精度で均一塗布することができること、塗布量の制御が容易であること、樹脂被覆膜中にワックス組成物を添加する必要がないこと等の点において有利である。また、溶融混合ワックス組成物の塗布量は特に限定されるものではないが、10〜100mg/m、好ましくは10〜50mg/mにて良好な耐ビルドアップ性が得られる。
なお、ワックス組成物には、防腐剤、防錆剤、レベリング剤、着色剤、界面活性剤等のワックス成分以外の成分を必要に応じて添加してもよい。
以下に、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1〜7及び比較例1〜5
アルミニウム基材として、板状のJIS 5182−H19合金(板厚0.26mm)を用いた。このアルミニウム合金板の両面に、前処理として市販の水酸化ナトリウム系アルカリ脱脂剤を用いて100mg/mのエッチング量でアルカリエッチングを施した。次いで、両エッチング面にリン酸クロメート剤を用いてリン酸クロメート処理(Cr換算による形成量20mg/m)を施した。更に、インナーワックスを含有していない水性アクリル変性エポキシ塗料(溶媒として水を用いた)を、樹脂固形分が5g/m量となるように両リン酸クロメート処理面に塗布した。次いで、樹脂塗料を塗布したアルミニウム合金板を、雰囲気温度270℃で30秒間焼付けて(板到達温度は250℃であった)樹脂被覆膜を形成した。
表1に示す性状のパラフィンワックス、カルナバワックス及びラノリンワックスを用いて、表2に示す条件で溶融混合ワックス組成物を調製した。この溶融混合ワックス組成物を静電塗装法により、表2に示す塗布量で樹脂被覆膜の表面に塗布した。なお、表1に示すように、カルナバワックスとラノリンワックスとは1種類であるのに対して、パラフィンワックスは融点の異なる2種類を用いた。なお、比較例5では、ラノリンワックス、カルナバワックスおよびパラフィンワックスを100℃で、この順に別々に静電塗装を行ない、ワックス組成物を混合溶融状態でないものとした。
Figure 2007320206
Figure 2007320206
このようにして作製したアルミニウム塗装材の試料について、以下のようにして摺動性試験、堆積試験、缶蓋成形試験及び総合評価を行なった。結果を表3に示す。
Figure 2007320206
摺動性試験
バウデン試験機(試験荷重500g、摺動速度0.6mm/秒、鋼球直径3/16インチ)にて、100往復目の動摩擦係数を測定した。表3の評価おいて、動摩擦係数が0.10未満を◎、0.10以上を○、100往復に達する前にカジリ現象が発生した場合を×し、◎及び○を合格とした、×として不合格とした。
堆積試験
バウデン試験機(試験荷重200g、摺動速度5.6mm/秒、鋼球直径3/8インチ)にて5回摺動した後に、ステンレスボールに転写したワックス量を、ワックスを中心に顕微鏡で倍率200倍において、400μm×400μmの視野で観察した。表3の評価おいて、転写ワックス量が先に記載した視野の10%未満を占める場合を◎、10%以上で25%未満を占める場合を○、25%以上の場合を×とした。◎と○を合格とし、×を不合格とした。
缶蓋成形試験
缶蓋の成形性について試験した。一般的なアルミニウム缶蓋のプレス成形工程、すなわち、シェルプレスにてシェル加工した後、コンバージョンプレスにより缶蓋形状に成形する工程において、連続して20,000個の試料を加工した。この中から、無作為に50個を抽出し、端面、スコア部及びリベット部を観察した。目視にて認識できる程度の塗膜剥がれをカジリと判断し、その発生個数を数えた。表3の評価において、端面、スコア部及びリベット部のいずれにもカジリ現象が発生しない場合を◎、端面、スコア部及びリベット部において発生したカジリ現象の個数が、いずれも10個以下の場合を○、端面、スコア部及びリベット部のいずれかにおいて発生したカジリ現象の個数が10個を超える場合を×とした。◎と○を合格とし、×を不合格とした。
また、連続成形した最後の50枚に対し、スコア残厚とパネル形状について目視検査を行った。目視にて認識できる程度の形状異常を、金型へのワックスビルドアップに起因する形状不良と判断し、その発生個数を数えた。表3の評価において、スコア残厚とパネル形状のいずれについても形状不良が発生しない場合を◎とし、スコア残厚とパネル形状のいずれかにおいて発生した形状不良の個数が、いずれも10個以下の場合を○とした。◎及び○を合格とした。
総合評価
摺動試験、堆積試験、ならびに、缶蓋成形試験における耐カジリ性と成形性試験における耐ビルドアップ性の総合評価においては、これらのうち最も低い評価をもって総合評価とした。総合評価が◎又は○の場合を合格とし、×の場合を不合格とした。
表3から明らかなように、本発明の条件を満たす実施例1〜7では、摺動性、堆積性ならびに、缶蓋成形性における耐カジリ性及び耐ビルドアップ性のいずれも優れ総合評価が合格であり、良好な潤滑性が得られカジリ現象及びビルドアップ現象を効果的に防止できた。また、実施例6では堆積試験におけるワックス転写量が若干多く、実施例7では塗膜カジリ性が若干劣るものの、いずれも缶蓋成形試験では良好な結果を示し、総合評価は合格であり実用上は問題がないことが確認された。
これに対し、比較例1ではパラフィンワックスの含有量が少な過ぎたため、摺動試験においてカジリ現象が発生し、かつ、缶蓋成形試験においても耐カジリ性を満たしていなかった。これは、パラフィンワックスが有する潤滑性が不足したためである。
比較例2では、カルナバワックスとラノリンワックスの含有量が少な過ぎたため、摺動試験においてカジリ現象が発生し、かつ、缶蓋成形試験においても耐カジリ性を満たしていなかった。これは、カルナバワックスの有する塗膜強度と、ラノリンワックスの有する柔軟性が不足したためである。
比較例3では、カルナバワックスの含有量が多過ぎたため、塗膜強度は有するものの潤滑性と柔軟性が不足しており脆弱な塗膜状態になっているため、摺動試験においてカジリ現象が発生し、かつ、缶蓋成形試験においても耐カジリ性を満たしていなかった。
比較例4では、ラノリンワックスの含有量が多過ぎたため、塗膜強度が不足して摺動試験においてカジリ現象が発生し、かつ、缶蓋成形試験においても耐カジリ性を満たしていなかった。更に、ワックス組成物の粘着性が高いことによって、堆積試験における金型へのビルドアップも発生した。
比較例5では、ラノリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックスの順に別々に静電塗装を行ったので、ワックス組成物が溶融混合状態になかった。その結果、摺動試験における耐カジリ性を満たさなかった。
以上のように、本発明では、樹脂被覆膜表面に、パラフィンワックス、カルナバワックス及びラノリンワックスを所定重量比率で混合し例えば両ワックスの融点以上であって200℃以下の温度にて溶融混合して得られるワックス組成物を塗布することにより、耐カジリ性及び耐ビルドアップ性に優れた成形加工用のアルミニウム塗装材を得ることができる。

Claims (2)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム基材と、当該アルミニウム基材の少なくとも一方の面に形成した樹脂被覆膜と、当該樹脂被覆膜表面に塗布した溶融混合ワックス組成物であって、全体を100%とした際に、20〜80%のパラフィンワックスと、10〜60%のカルナバワックスと、10〜60%のラノリンワックスとの重量比率を有する溶融混合ワックス組成物と、を備えたことを特徴とするアルミニウム塗装材。
  2. 前記アルミニウム基材と樹脂被覆膜との間に下地皮膜を設けた、請求項1に記載のアルミニウム塗装材。
JP2006153949A 2006-06-01 2006-06-01 アルミニウム塗装材 Withdrawn JP2007320206A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006153949A JP2007320206A (ja) 2006-06-01 2006-06-01 アルミニウム塗装材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006153949A JP2007320206A (ja) 2006-06-01 2006-06-01 アルミニウム塗装材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007320206A true JP2007320206A (ja) 2007-12-13

Family

ID=38853398

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006153949A Withdrawn JP2007320206A (ja) 2006-06-01 2006-06-01 アルミニウム塗装材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007320206A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5061575A (en) Lubricating resin coated steel strips having improved formability and corrosion resistance
MX2010009954A (es) Metodo para ajustar el coeficiente de friccion de una pieza de trabajo metalica.
JP5782198B2 (ja) アルカリ可溶型潤滑皮膜を有する鋼板、その製造方法および組成物
JP5188090B2 (ja) 塗布液およびクリヤーコート鋼板
JP2010064293A (ja) アルミニウム塗装板及びアルミニウム缶蓋
JP4424305B2 (ja) クリヤーコート鋼板とそれに用いる水系塗布液
JP5582109B2 (ja) 耐端面赤錆性に優れたクリアコート鋼板
JP2010247347A (ja) プレコート冷延鋼板およびこの製造方法
JP2007320206A (ja) アルミニウム塗装材
JP2007320205A (ja) アルミニウム塗装材
JPH0577357A (ja) 加工後外観に優れた樹脂被覆複合鋼板
JP5245020B1 (ja) 成形加工用アルミニウム塗装板材
JP2007319803A (ja) アルミニウム塗装材
JP2696461B2 (ja) プレス性および耐摺動摩耗性に優れた硬質潤滑めっき鋼板
JP2007320204A (ja) アルミニウム塗装材
JP3990663B2 (ja) 表面処理金属板、及びその製造方法、並びにこの製造方法に用いる潤滑樹脂と潤滑樹脂塗料組成物
JP4554980B2 (ja) 耐ビルドアップ性に優れたワックス組成物および耐ビルドアップ性に優れた成形加工用アルミニウム塗装板
WO2023132106A1 (ja) 潤滑皮膜被覆亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法
JP3207747B2 (ja) 冷延鋼板を基板とした塗膜密着性、耐パンチング性および耐プレッシャーマーク性に優れたガードフィルムフリー型プレコート鋼板
JPH0494771A (ja) 耐食性,溶接性に優れた潤滑性薄膜樹脂鋼板
JP2007216180A (ja) 成型加工性に優れたアルミニウム塗装板
JP2857989B2 (ja) 溶接性及び深絞り加工性にすぐれる表面処理金属板及びその製造方法
JP2006160968A (ja) 耐カジリ性に優れたワックス組成物、それを用いた成形加工用アルミニウム塗装板及びその製造方法
JP2002309385A (ja) 成形性に優れた良環境対応型潤滑表面処理金属製品
JPH0539458A (ja) プレス成形性、塗装性及び耐食性にすぐれる樹脂塗装 鋼板

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20090804