JP2002280810A - 方向性結合器 - Google Patents

方向性結合器

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JP2002280810A
JP2002280810A JP2001076191A JP2001076191A JP2002280810A JP 2002280810 A JP2002280810 A JP 2002280810A JP 2001076191 A JP2001076191 A JP 2001076191A JP 2001076191 A JP2001076191 A JP 2001076191A JP 2002280810 A JP2002280810 A JP 2002280810A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 主線路及び副線路が十分な自己インダクタン
ス値を有するとともに、挿入損失が少なく小型の方向性
結合器を得る。 【解決手段】 絶縁性基板1の上面に、フォトリソグラ
フィ技術を用いた方法により主線路用及び副線路用導体
パターン2a,3aを形成する。主線路用導体パターン
2aと副線路用導体パターン3aは、並走した状態で渦
巻形状に形成されている。そして、主線路の自己インダ
クタンス値を副線路の自己インダクタンス値より低くす
るため、副線路用導体パターン3aの線路幅が、主線路
用導体パターン2aの線路幅より狭く設定されている。
より具体的には、副線路用導体パターン3aの線路幅を
主線路用導体パターン2aの線路幅の50%以上90%
以下に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は方向性結合器、特に
移動体通信機器等に用いられる方向性結合器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、方向性結合器として、セラミ
ック基板上にλ/4線路を2本平行に形成し、それぞれ
の線路(主線路及び副線路)の両端を外部電極に接続し
てなるものが知られている。しかし、方向性結合器の小
型化に伴い、セラミック基板のパターン形成領域が小さ
くなると、この領域内に平行な2本の直線状線路を形成
することが困難になってきた。そのため、線路を蛇行形
状や渦巻形状にし、小さいパターン形成領域内に線路を
形成する工夫が採られてきた。特に、渦巻形状の線路
は、直線形状の線路と比較して、短い線路長で同等の自
己インダクタンス値を得ることができる。
【0003】また、主線路と副線路の組み合わせ構造と
しては、上述のように、同一平面上(同一層)に隣り合
うように主線路と副線路を配置する、いわゆるサイドエ
ッジ型構造がある。あるいは、主線路と副線路を絶縁体
層を挟んで配置する、いわゆるブロードサイド型構造が
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、方向性
結合器の小型化がさらに進むと、パターン形成領域はさ
らに縮小される。従って、その僅かな領域内に、必要な
自己インダクタンス値を有した主線路及び副線路を形成
することが困難になる。特に、副線路が十分な自己イン
ダクタンス値を得られない場合には、方向性結合器のア
イソレーションが悪くなるという問題がある。
【0005】また、必要な自己インダクタンス値を確保
するために、単に主線路と副線路の線路幅を細くして
も、線路の抵抗値増加を招き、信号の伝送損失の増加と
なる。これは、消費電力の増大を招くため、移動体通信
機器、特に電池駆動の通信機器にとっては無視すること
ができない問題である。
【0006】そこで、本発明の目的は、主線路及び副線
路が十分な自己インダクタンス値を有するとともに、挿
入損失が少なく小型の方向性結合器を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】以上の目的を達
成するため、本発明に係る方向性結合器は、高周波信号
が伝送される主線路と、主線路と同一平面上に配設さ
れ、主線路との対向部分で電磁気的に結合する副線路と
を備え、主線路の自己インダクタンス値を副線路の自己
インダクタンス値より低くしたことを特徴とする。ここ
に、主線路の自己インダクタンス値を副線路の自己イン
ダクタンス値より低くする構造として、例えば、副線路
の線路幅を主線路の線路幅より狭くする。より具体的に
は、副線路の線路幅を主線路の線路幅の50%以上90
%以下に設定するようにする。
【0008】以上の構成により、大きな自己インダクタ
ンス値を必要とする副線路は、線路幅を相対的に狭くす
ることで大きな自己インダクタンス値が確保される。一
方、副線路と比較して大きな自己インダクタンス値を必
要としない主線路は、線路幅を相対的に広くすることで
線路の抵抗値が小さく抑えられる。このとき、主線路の
電極厚みを5μm以上に設定し、かつ、主線路と副線路
の電極厚みの比を2:1に設定することにより、主線路
と副線路の合成抵抗値がさらに小さくなり、信号の伝送
損失が抑えられる。
【0009】また、同一平面上に配置された主線路及び
副線路を絶縁体層を挟んで積層し、各層の主線路同士並
びに副線路同士をそれぞれ絶縁体層に設けたビアホール
を介して電気的に直列に接続することにより、多層構造
の方向性結合器が得られる。この方向性結合器は、主線
路及び副線路のそれぞれの線路長を長くすることができ
るため、高周波帯域ではより高い結合度が得られ、低周
波帯域でも十分な結合度が得られる。
【0010】また、本発明に係る方向性結合器は、高周
波信号が伝送される主線路と、主線路との間に絶縁体層
を挟んで積層され、主線路との対向部分で電磁気的に結
合する副線路とを備え、副線路の線路幅を主線路の線路
幅より狭く設定し、かつ、主線路の自己インダクタンス
値を副線路の自己インダクタンス値より低くしたことを
特徴とする。ここに、グランド電極が主線路又は副線路
の少なくともいずれか一つの線路に絶縁体層を挟んで対
向していることが好ましい。これにより、いわゆるブロ
ードサイド型構造の方向性結合器が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る方向性結合器
の実施の形態について、その製造方法と共に、添付の図
面を参照して説明する。
【0012】[第1実施形態、図1〜図6]図1に示す
ように、絶縁性基板1の上面を平滑な面になるように研
磨した後、厚膜印刷法あるいはスパッタリング、蒸着等
の薄膜形成法により主線路用導体パターン2a、副線路
用導体パターン3a及び引出し線路5,6を絶縁性基板
1の上面に形成する。
【0013】薄膜形成法は、例えば以下に説明する方法
である。絶縁性基板1の上面の略全面に比較的膜厚の薄
い導電性膜をスパッタリングや蒸着などで形成した後、
フォトレジスト膜(例えば感光性樹脂膜等)をスピンコ
ート又は印刷により導電性膜の略全体に形成する。次
に、フォトレジスト膜の上面に所定の画像パターンが形
成されたマスクフィルムを被せ、紫外線等を照射する等
の方法により、フォトレジスト膜の所望の部分を硬化さ
せる。次に、硬化した部分を残してフォトレジスト膜を
剥がした後、露出した部分の導電性膜をエッチングで除
去し、所望のパターン形状の導電体(主線路用及び副線
路用導体パターン2a,3a等)を形成する。この後、
硬化したフォトレジスト膜を除去する。そして、このよ
うな、いわゆるフォトリソグラフィ技術を用いた方法に
おいて、ウエットエッチング法、ドライエッチング法、
リフトオフ法、アディティブ法、セミアディティブ法等
の周知の工法が適宜採用される。
【0014】さらに、別の薄膜形成法として、絶縁性基
板1の上面に感光性導電ペーストを塗布し、その後所定
の画像パターンが形成されたマスクフィルムを被せて露
光し、現像する方法でもよい。特に、感光性導電ペース
トを用いると、導電性膜の膜厚が厚い状態で微細加工が
可能となり、本発明の実施においては低損失が確保でき
る。また、線路間の間隔を狭くすることができるため、
線路間の結合度を高く取得できるなどの利点もある。
【0015】また、厚膜印刷法は、例えば所望のパター
ン形状を有した開口を備えたスクリーン版を絶縁性基板
1の上面に被せた後、導電性ペーストをスクリーン版の
上から塗布し、スクリーン版の開口から露出した絶縁性
基板1の上面に、比較的膜厚の厚い所望のパターン形状
の導電体(主線路用及び副線路用導体パターン2a,3
a等)を形成する方法である。
【0016】主線路用導体パターン2aと副線路用導体
パターン3aは、並走した状態で(言い換えると同一巻
回方向で)渦巻形状に形成されている。そして、後述の
主線路2の自己インダクタンス値Laを副線路3の自己
インダクタンス値Lbより低くするため、副線路用導体
パターン3aの線路幅が、主線路用導体パターン2aの
線路幅より狭く設定されている。より具体的には、副線
路用導体パターン3aの線路幅を主線路用導体パターン
2aの線路幅の50%以上90%以下に設定することが
好ましい。これにより、僅かなパターン形成領域に設け
た主線路用及び副線路用導体パターン2a,3aにおい
ても、アイソレーションを大きくとることができ、絶縁
性基板1上のパターン配置を最適にすることができる。
この結果、方向性結合器のサイズを拡大することなく、
特性を向上させることができる。
【0017】ここで、仮に、本第1実施形態の方向性結
合器と同一周波数帯用の方向性結合器を、従来のように
主線路用と副線路用導体パターンの線路幅を互いに等し
くし、主線路及び副線路のそれぞれの自己インダクタン
ス値が略等しくなるようにして設計したときの自己イン
ダクタンス値をLoとする。このインダクタンス値Lo
に対して、本第1実施形態は、主線路2の自己インダク
タンス値Laと副線路3の自己インダクタンス値Lbと
の間に、以下の関係式(1)又は(2)のいずれか一方
が成立するように設計した。
【0018】La<Lb=Lo…(1) La=Lo<Lb…(2)
【0019】関係式(1)の場合は、副線路用導体パタ
ーン3aの線路幅を従来の方向性結合器の線路用導体パ
ターンの線路幅と等しくし、主線路用導体パターン2a
の線路幅を従来の方向性結合器の線路用導体パターンの
線路幅より太くしたものである。一方、関係式(2)の
場合は、主線路用導体パターン2aの線路幅を従来の方
向性結合器の線路用導体パターンの線路幅と等しくし、
副線路用導体パターン3aの線路幅を従来の方向性結合
器の線路用導体パターンの線路幅より細くしたものであ
る。
【0020】また、副線路3の自己インダクタンス値L
bをより高くするために、副線路用導体パターン3a
は、主線路用導体パターン2aの外側寄りの位置を並走
している。
【0021】さらに、本第1実施形態では、主線路用導
体パターン2aの電極厚みを5μm以上にし、かつ、主
線路用導体パターン2aと副線路用導体パターン3aの
電極厚みの比が2:1になるようにした。つまり、副線
路3を伝搬する高周波信号の電力より、主線路2を伝搬
する高周波信号の電力の方が大きいからである。これに
より、主線路2と副線路3の合成抵抗値がさらに小さく
なり、信号の伝送損失をより抑えることができる。
【0022】引出し線路5は、その一端が主線路用導体
パターン2aに接続され、他端が絶縁性基板1の左端の
奥側の辺に露出している。引出し線路6は、その一端が
副線路用導体パターン3aに接続され、他端が絶縁性基
板1の左端の手前側の辺に露出している。
【0023】絶縁性基板1の材料としては、ガラス、ガ
ラスセラミックス、アルミナ、フェライト、Si、Si
2等が用いられる。主線路用及び副線路用導体パター
ン2a,3a、並びに、引出し線路5,6の材料として
は、Ag,Ag−Pd,Cu,Ni,Al等の導電性材
料が使用される。
【0024】次に、図2に示すように、開口部10a,
10bを有した絶縁体層10が形成される。すなわち、
液状の絶縁性材料を絶縁性基板1の上面の全面にスピン
コート又は印刷等により塗布、乾燥及び焼成して絶縁体
層10を形成する。絶縁性材料には、例えば感光性ポリ
イミド樹脂や感光性ガラスペースト等が使用される。通
常のポリイミド樹脂やガラスペーストを使用すると、所
望のパターンに加工するためには、レジスト層を形成
し、該レジスト層を加工する必要がある。しかし、感光
性ポリイミド樹脂や感光性ガラスペーストを使用する
と、直接、全面塗布された感光性材料を加工できるた
め、レジスト塗布およびレジスト剥離の工程を省くこと
ができ、効率良い加工工程となる。
【0025】次に、絶縁体層10の上面に所定の画像パ
ターンが形成されたマスクフィルムを被せ、紫外線等を
照射する等の方法により、絶縁体層10の所望の部分を
硬化させる。次に、絶縁体層10の未硬化部分を除去
し、開口部10a,10bを形成する。開口部10aに
は、渦巻形状の主線路用導体パターン2aの一端部22
が露出している。開口部10bには、渦巻形状の副線路
用導体パターン3aの一端部23が露出している。
【0026】次に、図3に示すように、主線路用導体パ
ターン2b、副線路用導体パターン3b及び引出し線路
15,16が、主線路用導体パターン2a等を形成した
場合と同様に、厚膜印刷法あるいはスパッタリング、蒸
着等の薄膜形成法により形成される。絶縁体層10の開
口部10a,10bには導電性材料が充填され、ビアホ
ール28,29とされる。
【0027】主線路用導体パターン2bは、ビアホール
28を介して主線路用導体パターン2aの端部22に電
気的に直列に接続し、主線路2を構成している。副線路
用導体パターン3bは、ビアホール29を介して副線路
用導体パターン3aの端部23に電気的に直列に接続
し、副線路3を構成している。主線路用導体パターン2
aと2b、並びに、副線路用導体パターン3aと3b
は、それぞれ絶縁体層10の厚み方向に略重なり合って
いる。引出し線路15は、その一端が主線路用導体パタ
ーン2bに接続され、他端が絶縁性基板1の右端の奥側
の辺に露出している。引出し線路16は、その一端が副
線路用導体パターン3bに接続され、他端が絶縁性基板
1の右端の手前側の辺に露出している。
【0028】次に、図4に示すように、液状の絶縁性材
料を絶縁性基板1の上面側全面にスピンコート又は印刷
等により塗布、乾燥および焼成して、主線路用及び副線
路用導体パターン2b,3bおよび引出し線路15,1
6を被履した絶縁体層10とする。この後、必要に応じ
て、絶縁性基板1の下面に広面積のグランド電極を形成
する。
【0029】次に、絶縁性基板1の奥側及び手前側の側
面部に、それぞれ入出力外部電極31,32、33,3
4を設ける。入力外部電極31は引出し線路5に電気的
に接続し、出力外部電極32は引出し線路15に電気的
に接続している。同様に、入力外部電極33は引出し線
路6に電気的に接続し、出力外部電極34は引出し線路
16に電気的に接続している。外部電極31〜34は、
Ag,Ag−Pd,Cu,NiCr,NiCu,Ni等
の導電性ペーストを塗布、焼付けた上に湿式電解めっき
によりNi,Sn,Sn−Pbなどの金属膜が形成され
たり、また、スパッタリング、蒸着などによって形成さ
れる。
【0030】こうして得られたストリップライン型構造
の方向性結合器39は、主線路2と副線路3が同一平面
上で対向している部分で電磁気的にライン結合してい
る。副線路3は、主線路2を伝搬する高周波信号の電力
に比例した出力を取り出すことができる。
【0031】そして、大きな自己インダクタンス値を必
要とする副線路3は、線路幅を相対的に狭くすることで
大きな自己インダクタンス値を確保することができる。
この結果、大きなアイソレーションを有した方向性結合
器39を得ることができる。図5に、方向性結合器39
のアイソレーション特性(実線41参照)を示す。図5
には、比較のため、従来の方向性結合器のアイソレーシ
ョン特性(点線44参照)も併せて記載している。そし
て、副線路3と比較して、大きな自己インダクタンス値
を必要としない主線路2は、線路幅を相対的に広くする
ことで線路の抵抗値を小さく抑えることができる。従っ
て、方向性結合器39の挿入損失を低くでき(図5にお
いて、実線42で表示した挿入損失特性を参照)、電池
駆動の移動体通信機器等の消費電力を抑えることができ
る。
【0032】また、方向性結合器39は、主線路と副線
路を絶縁体層を挟んで異なる層に配置した構造ではない
ため、層間において発生するアライメントずれや層間絶
縁体層の厚みばらつきなどに起因する特性のばらつきが
生じない。
【0033】なお、本第1実施形態の方向性結合器39
は、同一平面上に配設された主線路用及び副線路用導体
パターン層が2層のものであるが、必要に応じて1層に
したり、3層以上にしたりしてもよいことは言うまでも
ない。2層以上の多層構造にすると、主線路2及び副線
路3の線路長を長くすることができ、高周波帯域で高い
結合度を得ることができると共に、低周波帯域でも十分
な結合度を得ることができる(図5において、実線43
で表示した結合度特性を参照)。
【0034】また、図6は、副線路/主線路の比とアイ
ソレーションの関係を示すグラフである。図6より、副
線路の線路幅を主線路の線路幅の90%以下に設定する
と、アイソレーション特性向上の効果が上がってくるこ
とが確認できる。なお、副線路の線路幅を主線路の線路
幅の50%以上に設定することが好ましいのは、副線路
の線路幅をあまり狭くすると、副線路の抵抗値が増加
し、信号の伝送損失が無視できなくなるからである。
【0035】[第2実施形態、図7及び図8]第2実施
形態は、いわゆるブロードサイド型構造の方向性結合器
について説明する。
【0036】図7に示すように、方向性結合器51は、
主線路52、副線路53、グランド電極54,55をそ
れぞれ表面に設けた絶縁性のセラミックグリーンシート
60を、上側及び下側にそれぞれ保護用セラミックグリ
ーンシート60を配置して積層し、焼成してなるもので
ある。
【0037】主線路52は、両端52a,52bがそれ
ぞれグリーンシート60の奥側の辺の左右に露出してい
る。副線路53は、両端53a,53bがそれぞれグリ
ーンシート60の手前側の辺の左右に露出している。そ
して、主線路52の自己インダクタンス値Laを副線路
53の自己インダクタンス値Lbより低くするため、副
線路53の線路幅が主線路52の線路幅より狭く設定さ
れている。より具体的には、副線路53の線路幅を主線
路52の線路幅の50%以上90%以下に設定すること
が好ましい。
【0038】主線路52と副線路53は、セラミックグ
リーンシート60を間に挟んで対向している直線形状の
部分で電磁気的にライン結合している。グランド電極5
4,55は、主線路52及び副線路53を間にして上側
及び下側に配置されている。これら主線路52等は、厚
膜印刷法あるいは、スパッタリング、蒸着等の薄膜形成
法(フォトリソグラフィ法)により形成される。
【0039】以上の構成からなるグリーンシート60
は、積み重ねられ、一体的に焼成され積層体とされる。
図8に示すように、この積層体の端面部には、主線路5
2の入出力外部電極61,62、副線路53の入出力外
部電極63,64、並びに、グランド外部電極65,6
6が形成される。入出力外部電極61,62は、それぞ
れ主線路52の端部52a,52bに電気的に接続され
ている。入出力外部電極63,64は、それぞれ副線路
53の端部53a,53bに電気的に接続されている。
グランド外部電極65,66は、グランド電極54,5
5に接続されている。この方向性結合器51は、前記第
1実施形態の方向性結合器39と同様の作用効果を奏す
る。
【0040】[他の実施形態]なお、本発明に係る方向
性結合器は前記実施形態に限定するものではなく、その
要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0041】前記実施形態は個産の場合を例にして説明
しているが、量産する場合には、複数の方向性結合器を
備えたマザー基板(ウエハ)の状態で製造し、最終工程
でダイシング、スクライブブレイク、レーザ等の工法に
より製品サイズ毎に切り出す方法が効果的である。
【0042】さらに、方向性結合器は、回路パターンが
形成されているプリント基板上に直接に主線路と副線路
を形成することによって構成されたものであってもよ
い。また、主線路及び副線路の形状は任意であって、前
記実施形態の渦巻形状や直線形状の他に、蛇行形状等で
あってもよい。
【0043】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、主線路と副線路が同一平面上で対向している
部分で電磁気的に結合し、主線路の自己インダクタンス
値を副線路の自己インダクタンス値より低くしたので、
大きなアイソレーションが得られるとともに、挿入損失
を低くできる。特に、副線路の線路幅を主線路の線路幅
の50%以上90%以下とすることにより、僅かなパタ
ーン形成領域に設けた主線路及び副線路においても、ア
イソレーションを大きくとることができ、方向性結合器
のサイズを拡大することなく、特性を向上させることが
できる。
【0044】また、いわゆるブロードサイド型構造の方
向性結合器において、副線路の線路幅を主線路の線路幅
より狭く設定し、かつ、主線路の自己インダクタンス値
を副線路の自己インダクタンス値より低くすることによ
り、主線路及び副線路が十分な自己インダクタンス値を
有するとともに、挿入損失が少なく小型の方向性結合器
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る方向性結合器の第1実施形態を示
す斜視図。
【図2】図1に続く製造手順を示す斜視図。
【図3】図2に続く製造手順を示す斜視図。
【図4】図3に続く製造手順を示す斜視図。
【図5】図4に示した方向性結合器のアイソレーション
特性、挿入損失特性及び結合度特性を示すグラフ。
【図6】副線路/主線路の比とアイソレーションの関係
を示すグラフ。
【図7】本発明に係る方向性結合器の第2実施形態の構
成を示す分解斜視図。
【図8】図7に示した方向性結合器の外観斜視図。
【符号の説明】
1…絶縁性基板 2…主線路 2a,2b…主線路用導体パターン 3…副線路 3a,3b…副線路用導体パターン 10…絶縁体層 28,29…ビアホール 39…方向性結合器 51…方向性結合器 52…主線路 53…副線路 54,55…グランド電極 60…セラミックグリーンシート

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波信号が伝送される主線路と、 前記主線路と同一平面上に配設され、前記主線路との対
    向部分で電磁気的に結合する副線路とを備え、 前記主線路の自己インダクタンス値を前記副線路の自己
    インダクタンス値より低くしたこと、 を特徴とする方向性結合器。
  2. 【請求項2】 同一平面上に配置された前記主線路及び
    副線路を絶縁体層を挟んで積層し、各層の主線路同士並
    びに副線路同士をそれぞれ前記絶縁体層に設けたビアホ
    ールを介して電気的に直列に接続したことを特徴とする
    請求項1記載の方向性結合器。
  3. 【請求項3】 前記副線路の線路幅を前記主線路の線路
    幅より狭くするとともに、前記主線路の電極厚みを5μ
    m以上に設定し、かつ、前記主線路と副線路の電極厚み
    の比を2:1に設定したことを特徴とする請求項1又は
    請求項2記載の方向性結合器。
  4. 【請求項4】 前記副線路の線路幅を前記主線路の線路
    幅の50%以上90%以下としたことを特徴とする請求
    項1又は請求項2記載の方向性結合器。
  5. 【請求項5】 高周波信号が伝送される主線路と、 前記主線路との間に絶縁体層を挟んで積層され、前記主
    線路との対向部分で電磁気的に結合する副線路とを備
    え、 前記副線路の線路幅を前記主線路の線路幅より狭く設定
    し、かつ、前記主線路の自己インダクタンス値を前記副
    線路の自己インダクタンス値より低くしたこと、 を特徴とする方向性結合器。
  6. 【請求項6】 グランド電極が前記主線路又は前記副線
    路の少なくともいずれか一つの線路に絶縁体層を挟んで
    対向していることを特徴とする請求項5記載の方向性結
    合器。
  7. 【請求項7】 前記主線路および前記副線路が感光性導
    電ペーストを用いてフォトリソグラフィ法にて形成さ
    れ、かつ、前記絶縁体層が感光性ガラスペーストを用い
    てフォトリソグラフィ法にて形成されていることを特徴
    とする請求項2〜請求項6のいずれかに記載の方向性結
    合器。
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