JP2006074830A - 方向性結合器 - Google Patents

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Abstract

【課題】アイソレーション特性やダイレクティビティに優れ、挿入損失や反射特性の劣化などが少ない、小型、高性能の方向性結合器を提供する。
【解決手段】主線路1及び副線路2の、少なくとも一部の領域1a,2aを、その側部が互いに略平行になるように配設することにより、主線路1と副線路2をライン結合(分布定数型結合)させたサイドエッジ型の方向性結合器において、副線路2の線路長を、主線路1の線路長よりも長くする。
また、主線路を、略直線状の線路又は所定の位置で曲折した略直線状の線路からなり、かつ、スパイラル状に周回していない構造とし、副線路を、所定の位置で曲折した略直線状の線路からなり、スパイラル状に周回している構造とする。
【選択図】図2

Description

本願発明は、方向性結合器に関し、詳しくは、携帯電話のような移動体通信機器の出力モニタなどに使用される方向性結合器に関する。
従来、方向性結合器は、使用周波数における1/4波長の導体パターン2本を互いに平行に形成し、その1本を主線路として、該主線路に信号を流したときに、他方の線路の一端に、主線路を伝搬する電力に比例した信号が出力されることを利用して、携帯電話の出力調整用モニタなどとして広く使用されている。
ところで、近年の携帯電話などの移動体通信機器の急速な小型化に伴い、方向性結合器をはじめとする使用部品の小型化への要求が高まるに至り、これに応えるため、線路をミアンダ状に蛇行させたり、スパイラル状やヘリカル状に巻回したりして、導体パターンの形成に必要な面積や容積を減らすことにより、方向性結合器の小型化を図っている。
特に、線路(導体)をスパイラル状やヘリカル状に形成した場合、インダクタンス成分を効率よく取得することが可能になり、形成すべき線路の長さを短くすることが可能になるという利点がある。
しかし、線路(導体)をスパイラル状やヘリカル状に構成した場合、アイソレーション特性の劣化が生じるという問題点がある。
アイソレーション特性は、主線路と副線路の間隔などを調整することにより改善することが可能であるが、その場合、主線路と副線路の結合度が低くなる傾向があり、結合度とアイソレーションの比であるダイレクティビティを改善することが困難であるのが実情である。
また、結合度を高くする方法として、線路長を長くする方法が考えられるが、主線路を長くすると、挿入損失の増大を引き起こすという問題点がある。
また、小型化にともない、導体パターン形成するために許容される面積が小さくなる結果、十分な線路長を確保することが困難になったり、接続する回路との整合性が悪くなって反射特性の劣化を招いたりするという問題点がある。
本願発明は、上記問題点を解決するものであり、アイソレーション特性やダイレクティビティに優れ、挿入損失や反射特性の劣化などが少なく、小型で高性能の方向性結合器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本願発明(請求項1)の方向性結合器は、
主線路及び副線路の、少なくとも一部の領域を、平面的にみた場合にその側部が互いに略平行になるように配設することにより、主線路と副線路をライン結合(分布定数型結合)させるとともに、
前記副線路の線路長を、前記主線路の線路長よりも長くしたこと
を特徴としている。
また、請求項2の方向性結合器は、前記主線路が、略直線状の線路又は所定の位置で曲折した略直線状の線路からなる、スパイラル状に周回しない線路であり、かつ、前記副線路が、略直線状の線路を所定の複数の位置で曲折させてなる、スパイラル状に周回した線路であることを特徴としている。
また、請求項3の方向性結合器は、前記主線路及び前記副線路が、感光性導電材料及び/又は感光性レジストを用いたフォトリソグラフィー法により形成されたものであることを特徴としている。
また、請求項4の方向性結合器は、前記主線路の所定の領域において、前記副線路が前記主線路の両側に配設されていることを特徴としている。
また、請求項5の方向性結合器は、前記主線路の線幅が、前記副線路の線幅よりも大きいことを特徴としている。
また、請求項6の方向性結合器は、前記主線路と前記副線路の少なくとも一方が、絶縁層を介して積層された複数の導体をビアホールにより接続することにより形成された積層型構造を有していることを特徴としている。
また、請求項7の方向性結合器は、絶縁層を介して前記主線路の上側と下側に配設された導体を、ビアホールにより接続することにより、前記副線路が形成されていることを特徴としている。
また、本願発明(請求項8)の方向性結合器は、
絶縁層を介して主線路と副線路を積層し、かつ、前記主線路と前記副線路の少なくとも一部を、絶縁層を介して重畳させることにより、主線路と副線路をライン結合(分布定数型結合)させるとともに、
前記副線路の線路長を、前記主線路の線路長よりも長くしたこと
を特徴としている。
また、請求項9の方向性結合器は、前記主線路が、略直線状の線路又は所定の位置で曲折した略直線状の線路からなる、スパイラル状に周回しない線路であり、かつ、前記副線路が、略直線状の線路を所定の複数の位置で曲折させてなる、スパイラル状に周回した線路であることを特徴としている。
上述のように、本願発明(請求項1)の方向性結合器は、主線路及び副線路の、少なくとも一部の領域を、その側部が互いに略平行になるように配設することにより、主線路と副線路をライン結合(分布定数型結合)させたサイドエッジ型の方向性結合器において、副線路の線路長を、主線路の線路長よりも長くするようにしているので、アイソレーション特性を改善し、かつ、ダイレクティビティを確保しながら所望の結合度を得ることが可能になる。
また、主線路の線路長を長くすることがないため、挿入損失の増加、反射特性の劣化などの発生を抑制して、電池駆動の移動体通信機器では電力消費量を抑えることが可能になる。
なお、請求項1の発明において、「主線路及び副線路の、少なくとも一部の領域を、その側部が互いに略平行になるように配設する」とは、例えば、主線路と副線路の一部を、略同一平面上において、略平行に配設し、互いの側部を対向させることにより、主線路と副線路を結合(ライン結合)させることを意味する概念であり、主線路と副線路を絶縁層を介して重畳させることにより、両者を結合させるようにした場合(ブロードサイド型結合)を含まない概念である。
ただし、本願請求項1〜7の発明は、「主線路と副線路を絶縁層を介して重畳させる」ことにならないような態様で、主線路と副線路を異なる平面上に配設することを排除するものではない。
また、「主線路と副線路をライン結合(分布定数型結合)させた」とは、主線路と副線路を、容量成分Cとインダクタンス成分Lによる分布定数的な結合により結合させた状態を意味する概念であって、2つのコイルが磁気的に結合しているようなコイル結合を含まない概念である。
また、請求項2の方向性結合器のように、副線路をスパイラル状に形成し線路長を長くすることにより、高い結合度を得ることが可能になり、かつ、アイソレーションを低く抑えることが可能になる。
また、電池駆動の端末機においては信号の減衰を防ぐことにより、効率よく信号を伝送することが可能になり、長時間駆動を可能ならしめることができる。
また、主線路を、略直線状の線路又は所定の位置で曲折した略直線状の線路からなる非スパイラル状の線路とし、副線路を、所定の位置で曲折した略直線状の線路からなるスパイラル状の線路とすることにより、複雑な配線パターンを必要とすることなく、所望の特性を備えた信頼性の高い方向性結合器を形成することが可能になる。
また、請求項3の方向性結合器のように、主線路及び副線路を、感光性導電材料及び/又は感光性レジストを用いたフォトリソグラフィー法により形成するようにした場合、微細で高精度の配線パターンを形成して、所望の特性を備えた方向性結合器を得ることが可能になる。
また、請求項4の方向性結合器のように、主線路の所定の領域において、副線路が主線路の両側に配設された構成とした場合、主線路とその両側の副線路の結合により、請求項2の方向性結合器より高い結合度を得ることが可能になる。
また、請求項5の方向性結合器のように、主線路の線幅を、副線路の線幅よりも大きくした場合、主線路を信号が通過する際の損失を抑えることが可能になるため、電力消費量を抑えた効率のよい信号の伝送を行うことが可能になる。
また、請求項6の方向性結合器のように、主線路と副線路の少なくとも一方を、絶縁層を介して積層した複数の電極をビアホールを介して接続することにより形成した積層型構造とすることにより、配線密度を高めて、方向性結合器のさらなる小型化を図ることができる。
また、請求項7の方向性結合器のように、絶縁層を介して主線路の上側と下側に配設された導体を、ビアホールにより接続することにより副線路を形成するようにした場合、絶縁層の厚みを調節することにより、線路のパターンを変えることなく結合度を調整して、容易に種々の結合度の方向性結合器を得ることが可能になる。
また、本願発明(請求項8)の方向性結合器のように、絶縁層を介して積層された主線路と副線路の少なくとも一部を、互いに対向させる(絶縁層を介して重畳させる)ことにより、主線路と副線路をライン結合(分布定数型結合)させるようにした場合にも、線路のパターンを変えることなく、絶縁層の厚みを調節するだけで、容易に種々の結合度の方向性結合器を得ることが可能になり、小型、高性能の方向性結合器を得ることが可能になる。
また、この請求項8の方向性結合器の場合にも、副線路の線路長を、主線路の線路長よりも長くすることにより、アイソレーション特性を改善し、かつ、ダイレクティビティを確保しながら所望の結合度を得ることが可能になるとともに、主線路の線路長を長くすることがないため、挿入損失の増加、反射特性の劣化などの発生を抑制して、電池駆動の移動体通信機器では電力消費量を抑えることが可能になる。
また、請求項9の方向性結合器のように、副線路をスパイラル状に形成するとともに、副線路の線路長を主線路の線路長よりも長くすることにより、上記請求項2の方向性結合器の場合と同様に、高い結合度を得ることが可能になり、かつ、アイソレーションを低く抑えることが可能になる。
また、電池駆動の端末機においては信号の減衰を防ぐことにより、効率よく信号を伝送することが可能になり、長時間駆動を可能ならしめることができる。
また、主線路を、略直線状の線路又は所定の位置で曲折した略直線状の線路からなる非スパイラル状の線路とし、副線路を、所定の位置で曲折した略直線状の線路からなるスパイラル状の線路とすることにより、複雑な配線パターンを必要とすることなく、所望の特性を備えた信頼性の高い方向性結合器を形成することが可能になる。
以下、本願発明の実施の形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
[実施形態1]
図1(a)は本願発明の一実施形態にかかる方向性結合器の外観構成を示す斜視図、図1(b)は導体(下層側の内部導体パターン)の配設態様を示す斜視図、図2(a),(b)は主線路及び副線路を構成する上層側及び下層側の内部導体パターンを示す平面図であり、図3は図2(a),(b)の上層側及び下層側の内部導体を積み重ねた状態を示す平面図である。
この実施形態1の方向性結合器は、図1〜図3に示すように、アルミナなどの絶縁体からなる素子10中に、2層構造を有する主線路1及び副線路2が配設され、かつ、素子10の両側部に主線路1の両端部と導通する外部電極11a,11b、副線路2と導通する外部電極12a,12bが配設された構造を有している。
すなわち、この実施形態1の方向性結合器は、主線路1及び副線路2の、一部の領域1a,2aが、互いに略平行になり、それぞれの側部が対向して並走するような態様で配設された、いわゆるサイドエッジ型の方向性結合器であって、主線路と副線路がライン結合(分布定数型結合)することにより、結合線路が形成されている。
また、この実施形態1の方向性結合器においては、主線路1及び副線路2が2層構造を有しており、絶縁層33(図2、3、6、7など)を介して配設された上層側の主線路用内部導体21aと下層側の主線路用内部導体21bを、ビアホール23により接続することにより主線路1が形成され、上層側の副線路用内部導体22aと下層側の副線路用内部導体22bをビアホール24により接続することにより副線路2が形成されている。
次に、この実施形態1の方向性結合器の製造方法について説明する。なお、以下では、1つの方向性結合器を製造する場合について説明するが、通常は、マザー基板上に多数個分の主線路及び副線路を形成した後、所定の位置で切断して、個々の方向性結合器に分割することにより、多数個の方向性結合器を同時に製造する方法が適用される。
(1)まず、図4(a),(b)に示すように、基板31上に、内部導体形成用の導体膜32を成膜する。
なお、基板31としては、種々のセラミック基板(例えば、アルミナ基板、ガラスセラミック基板、ガラス基板、フェライト基板、誘電体基板)などを用いることが可能である。
また、内部導体形成用の導体膜32の成膜方法としては、印刷工法、薄膜形成工法(スパッタリング、蒸着など)の種々の成膜プロセスを用いることが可能である。
(2)それから、フォトリソグラフィー法により導体膜32をパターニングして、図5(a),(b)に示すような、所定の内部導体パターン21b,22bを形成する。
なお、フォトリソグラフィー法により内部導体パターン21b,22bを形成するにあたっては、例えば、上記の導体膜32上にフォトレジストをコートした後、その上から所定のパターンのフォトマスクを介して露光し、現像を行って不要なフォトレジストを現像液(溶剤)により除去した後、導体膜32のフォトレジストにより被覆されていない部分(不要部分)をエッチングなどの方法により除去することにより、所定の内部導体パターン21b,22bを形成することができる。
なお、内部導体パターンを形成するにあたっては、ウェットエッチング、ドライエッチング、リフトオフ、アディティブ、セミアディティブなどの種々の方法を用いることが可能である。
また、場合によっては、導電ペーストを、所定のマスクパターンを介して基板上に印刷する方法により、内部導体パターンを形成することも可能である。
なお、内部導体パターンの形成には、上述のように、公知の種々の方法を適用することが可能であるが、微細で高精度の配線パターンを効率よく形成するためには、フォトリソグラフィー法を用いることが望ましい。
(3)次に、図6(a),(b)に示すように、内部導体パターン21b,22bが形成された基板31の表面全体を覆うように、絶縁層33を形成する。
なお、この実施形態1では、絶縁層33として、ガラス、ポリイミドなどに感光性材料を配合した感光性ガラス、感光性ポリイミドなどを用いることが可能である。
そして、フォトリソグラフィー法により、図6(a),(b)に示すように、ビアホール23,24(基板31上の導体パターン21b,22bと、後の工程で絶縁層33上に形成されることになる内部導体パターン21a,21bを接続するためのビアホール23,24)を、絶縁層33に形成する。
なお、フォトリソグラフィー法を用いない場合には、絶縁層33の構成材料として、感光性材料を含まないガラスやポリイミドなどを用いることが可能である。
(4)それから、内部導体パターン21b,22bの形成方法と同様のフォトリソグラフィー法により、図7(a),(b)に示すように、絶縁層33上に内部導体パターン21a,22aを形成する。
(5)次に、図8(a),(b)に示すように、内部導体パターン21a,22aが形成された面全体を外装用絶縁材料35で被覆した後、外装用絶縁材料35上の所定の位置にマーキング材料を印刷することにより、位置決め用マーク36を形成する。
なお、多数個を同時に製造する方法の場合には、この位置決め用マーク36を形成した後、マザー基板を切断することにより、個々の素子10に分割する。
(6)それから、素子10の所定の位置に、導電ペーストを塗布、焼き付けする方法などにより、外部電極11a,11b、及び外部電極12a,12bを形成する。これにより、図1に示すような方向性結合器が得られる。
上述のように構成された、この実施形態1の方向性結合器は、主線路1及び副線路2の一部の領域1a,2aを、その側部が互いに略平行になるように配設して、主線路1と副線路2をライン結合(分布定数型結合)させるとともに、副線路2の線路長を、主線路1の線路長よりも長くしているので、アイソレーション特性を改善することが可能になるとともに、ダイレクティビティを確保しながら所望の結合度を得ることが可能になる。
また、主線路の線路長が短いため、挿入損失の増加、反射特性の劣化などの発生を抑制して、電池駆動の移動体通信機器では電力消費量を抑えることが可能になる。
なお、上記実施形態1では、主線路及び副線路をそれぞれ2層構造としているが、主線路及び副線路を単層構造とすることも可能であり、また、3層以上の多層構造とすることも可能である。
[実施形態2]
図9(a)は本願発明の一実施形態にかかる方向性結合器の外観構成を示す斜視図、図9(b)は導体(主線路を構成する内部導体パターン)の配設態様を示す斜視図、図10は主線路及び副線路を構成する内部導体パターンを示す分解斜視図である。
この実施形態2の方向性結合器は、図9,図10に示すように、アルミナなどの絶縁体からなる素子10中に、1層構造を有する主線路1及び2層構造を有する副線路2が配設されているとともに、素子10の側面部に主線路1の両端部と導通する外部電極11a,11b、副線路2と導通する外部電極12a,12bが配設された構造を有している。
また、この実施形態2の方向性結合器においては、副線路2が2層構造を有しており、主線路用内部導体21の上層側に配設された副線路用内部導体22aと主線路用内部導体21の下層側に配設された副線路用内部導体22bをビアホール34a,34bにより接続することにより副線路2が形成されている。
そして、この実施形態2の方向性結合器においては、主線路1及び副線路2の、一部の領域1a,2aを、絶縁層33a,33bを介して互いに対向(重畳)させることにより、主線路1と副線路2をライン結合(分布定数型結合)させるように構成されている。
次に、この実施形態2の方向性結合器の製造方法について説明する。なお、以下では、上記実施形態1の場合と同様に、1つの方向性結合器を製造する場合について説明するが、通常は、マザー基板上に多数個分の主線路及び副線路を形成した後、所定の位置で切断して、個々の方向性結合器に分割することにより、多数個の方向性結合器を同時に製造する方法が適用される。
なお、基板の種類、内部導体パターンや絶縁層などに用いる材料の種類、成膜方法やフォトリソグラフィー法による内部導体パターンの形成方法などは、上記実施形態1の場合と同様である。
(1)まず、図11(a),(b)に示すように、基板31上に、下層側の副線路を形成するための内部導体形成用の導体膜32を成膜する。
(2)それから、フォトリソグラフィー法により導体膜32をパターニングして、図12(a),(b)に示すような、下層側の副線路用の内部導体パターン22bを形成する。
(3)次に、図13(a),(b)に示すように、下層側の副線路用の内部導体パターン22bが形成された基板31の表面全体を覆うように、絶縁層33bを形成するとともに、絶縁層33bに、フォトリソグラフィー法により、ビアホール34b(下層側の副線路用の内部導体パターン22bと、上層側の副線路用の内部導体パターン22aを接続するためのビアホール34b)を形成する。
(4)それから、図14(a),(b)に示すように、絶縁層33b上に、主線路用の内部導体パターン21を形成する。
(5)次に、図15(a),(b)に示すように、内部導体パターン21が形成された基板31の表面全体を覆うように絶縁層33aを形成するとともに、絶縁層33aに、フォトリソグラフィー法により、ビアホール34a(下層側の副線路用の内部導体パターン22bと、上層側の副線路用の内部導体パターン22aを接続するためのビアホール34a)を形成する。
(6)それから、図16(a),(b)に示すように、絶縁層33a上に、副線路用の内部導体パターン22aを形成するとともに、ビアホール34a及びビアホール34bを介して、上層側及び下層側の、複線路用の内部導体パターン22aと22bを導通させる。
(7)そして、図17(a),(b)に示すように、外装用絶縁材料35で被覆した後、外装用絶縁材料35上の所定の位置にマーキング材料を印刷して、位置決め用マーク36を形成する。
なお、多数個を同時に製造する方法の場合には、この位置決め用マーク36を形成した後、マザー基板を切断することにより、個々の素子10に分割する。
(8)それから、素子10の所定の位置に、導電ペーストを塗布、焼き付けする方法などにより、外部電極11a,11b、及び外部電極12a,12bを形成する。これにより、図9に示すような方向性結合器が得られる。
上述のように構成された、この実施形態2の方向性結合器においては、副線路2の線路長を、主線路1の線路長よりも長くしているので、上記実施形態1の場合と同様に、アイソレーション特性を改善することが可能になるとともに、ダイレクティビティを確保しながら所望の結合度を得ることができるようになる。
また、主線路1と、副線路2の一部の領域1a,2aを、絶縁層33a,33bを介して互いに対向(重畳)させることにより、主線路1と副線路2をライン結合(分布定数型結合)させるようにしているので、絶縁層33a,33bの厚みを調節することにより、線路のパターンを変えることなく結合度を調整することが可能になり、容易に種々の結合度の方向性結合器を得ることが可能になる。
なお、上記実施形態2では、主線路が一層構造である場合を例にとって説明したが、主線路を2層以上の多層構造とすることも可能である。
また、上記実施形態2においては、主線路1と、副線路2の一部の領域1a,2aを、絶縁層33a,33bを介して互いに対向(重畳)させることにより、主線路1と副線路2をライン結合(分布定数型結合)させるようにしているが、図18(a),(b)に示すように、主線路1と、副線路2の一部の領域1a,2aを、絶縁層33a,33bを介して互いに対向(重畳)させることなく、平面的みた場合に、主線路1と、副線路2の一部の領域1a,2aが略平行になるように配設することにより、主線路1と副線路2をライン結合(分布定数型結合)させるように構成することも可能である。
なお、本願発明は、上記実施形態1及び2に限定されるものではなく、主線路及び副線路の具体的なパターン、積層構造とする場合の積層数などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
上述のように、本願発明によれば、アイソレーション特性やダイレクティビティに優れ、挿入損失や反射特性の劣化などが少なく、小型で高性能の方向性結合器を提供することが可能になる、したがって、本願発明は、携帯電話のような移動体通信機器の出力モニタなどに使用される方向性結合器などの技術分野に広く適用することが可能である。
(a)は本願発明の一実施形態(実施形態1)にかかる方向性結合器の外観構成を示す斜視図、(b)は下層側の内部導体パターンの配設態様を示す斜視図である。 (a)は本願発明の実施形態1にかかる方向性結合器の主線路及び副線路を構成する上層側の内部導体パターンを示す平面図、(b)は下層側の内部導体パターンを示す平面図である。 図2(a),(b)の上層側及び下層側の内部導体パターンを積み重ねた状態を示す平面図である。 本願発明の実施形態1にかかる方向性結合器の製造方法の一工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。 本願発明の実施形態1にかかる方向性結合器の製造方法の他の工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。 本願発明の実施形態1にかかる方向性結合器の製造方法のさらに他の工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。 本願発明の実施形態1にかかる方向性結合器の製造方法のさらに他の工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。 本願発明の実施形態1にかかる方向性結合器の製造方法のさらに他の工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。 (a)は本願発明の他の実施形態(実施形態2)にかかる方向性結合器の外観構成を示す斜視図、(b)は主線路を構成する内部導体パターンの配設態様を示す斜視図である。 本願発明の実施形態2にかかる方向性結合器の主線路及び副線路を構成する内部導体パターンを示す分解斜視図である。 本願発明の実施形態2にかかる方向性結合器の製造方法の一工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。 本願発明の実施形態2にかかる方向性結合器の製造方法の他の工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。 本願発明の実施形態2にかかる方向性結合器の製造方法のさらに他の工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。 本願発明の実施形態2にかかる方向性結合器の製造方法のさらに他の工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。 本願発明の実施形態2にかかる方向性結合器の製造方法のさらに他の工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。 本願発明の実施形態2にかかる方向性結合器の製造方法のさらに他の工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。 本願発明の実施形態2にかかる方向性結合器の製造方法のさらに他の工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。 本願発明の変形例にかかる方向性結合器の主線路及び副線路を構成する内部導体パターンを示す分解斜視図である。
符号の説明
1 主線路
1a 主線路の一部の領域
2 副線路
2a 副線路の一部の領域
10 素子
11a,11b,12a,12b 外部電極
21 主線路用内部導体(内部導体パターン)
21a 上層側の主線路用内部導体(内部導体パターン)
21b 下層側の主線路用内部導体(内部導体パターン)
22a 上層側の副線路用内部導体(内部導体パターン)
22b 下層側の副線路用内部導体(内部導体パターン)
23,24 ビアホール
31 基板
32 内部導体形成用の導体膜
33 絶縁層
33a,33b 絶縁層
34 ビアホール
34a,34b ビアホール
35 外装用絶縁材料
36 位置決め用マーク

Claims (9)

  1. 主線路及び副線路の、少なくとも一部の領域を、平面的にみた場合にその側部が互いに略平行になるように配設することにより、主線路と副線路をライン結合(分布定数型結合)させるとともに、
    前記副線路の線路長を、前記主線路の線路長よりも長くしたこと
    を特徴とする方向性結合器。
  2. 前記主線路が、略直線状の線路又は所定の位置で曲折した略直線状の線路からなる、スパイラル状に周回しない線路であり、かつ、前記副線路が、略直線状の線路を所定の複数の位置で曲折させてなる、スパイラル状に周回した線路であることを特徴とする請求項1記載の方向性結合器。
  3. 前記主線路及び前記副線路が、感光性導電材料及び/又は感光性レジストを用いたフォトリソグラフィー法により形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の方向性結合器。
  4. 前記主線路の所定の領域において、前記副線路が前記主線路の両側に配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方向性結合器。
  5. 前記主線路の線幅が、前記副線路の線幅よりも大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方向性結合器。
  6. 前記主線路と前記副線路の少なくとも一方が、絶縁層を介して積層された複数の導体をビアホールにより接続することにより形成された積層型構造を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方向性結合器。
  7. 絶縁層を介して前記主線路の上側と下側に配設された導体を、ビアホールにより接続することにより、前記副線路が形成されていることを特徴とする請求項6記載の方向性結合器。
  8. 絶縁層を介して主線路と副線路を積層し、かつ、前記主線路と前記副線路の少なくとも一部を、絶縁層を介して重畳させることにより、主線路と副線路をライン結合(分布定数型結合)させるとともに、
    前記副線路の線路長を、前記主線路の線路長よりも長くしたこと
    を特徴とする方向性結合器。
  9. 前記主線路が、略直線状の線路又は所定の位置で曲折した略直線状の線路からなる、スパイラル状に周回しない線路であり、かつ、前記副線路が、略直線状の線路を所定の複数の位置で曲折させてなる、スパイラル状に周回した線路であることを特徴とする請求項8記載の方向性結合器。
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