JP2006238057A - 積層ストリップラインフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 高減衰でかつ小型な積層ストリップラインフィルタを提供する
【解決手段】3層以上の誘電体層を積層してなる積層体10の内部に、一端が短絡端19とされ、他端が開放端18とされた第1,第2の線路導体11,12を、間に誘電体層を挟んで少なくとも一部が対向するように配設させるとともに、これら第1,第2の線路導体11,12に対して誘電体層の積層方向両側に一対の接地電極15を配設し、更に一対の接地電極15間に、一端が短絡端19とされ、他端が開放端18とされた第3,第4の線路導体13,14を、それぞれ前記第1,第2の線路導体11,12と連結導体を介して電気的に接続した状態で、且つ積層方向と直交する方向にずらして配置させている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば携帯電話や無線LAN等の無線通信機器その他の各種通信機器等において使用される、線路導体により構成された高周波回路用の積層ストリップラインフィルタに関するものである。
近年、携帯電話機等の移動体通信機器等に使用されるフィルタは、移動体通信機器等の薄型化および小型化の要求に伴い、誘電体同軸型共振器を用いたフィルタから分布定数回路を共振器に用いた積層ストリップラインフィルタへと進展してきている。
このような従来の積層ストリップラインフィルタの例として、特開平9−331201号公報には、図9の分解斜視図および図10の透視平面図に示す構成のものが提案されている。
図9および図10において、30は第1乃至第3の誘電体層30a乃至30cを順次積層した誘電体、31,32は、第1の誘電体層30a−第2の誘電体層30b間に配設された第1の片端開放線路導体,第1の片端短絡線路導体であり、第1の片端開放線路導体31の開放端37と反対側の端部と第1の片端短絡線路導体32の短絡端38と反対側の端部とが電気的に接続されている。33,34は第2の誘電体層30b−第3の誘電体層30c間に配設された第2の片端開放線路導体,第2の片端短絡線路導体であり、第2の片端開放線路導体33の開放端37と反対側の端部と、第2の片端短絡線路導体34の短絡端38と反対側の端部とが電気的に接続されている。35は誘電体30の上下両側に配設された一対の接地電極、36は接続導体である。誘電体30内において第1,第2の片端開放線路導体31,33は積層方向から見てそれぞれ少なくとも一部が対向するように配設されて、電磁界的に結合しているとともに、第1,第2の片端短絡線路導体32,34は積層方向から見てそれぞれ少なくとも一部が対向するように配設され電磁界的に結合している。なお、図10においては、一対の接地電極35、接続導体36の図示は省略している。
そして、第1,第2の片端短絡線路導体32,34の短絡端38は、接続導体36を介して一対の接地電極35にそれぞれ電気的に接続される構成となっていた。
図11は、上記の従来の積層ストリップラインフィルタの構成を回路図で示したものである。また図12は、上記の従来の積層ストリップラインフィルタで実現されるフィルタ特性を示したものである。
そして、第1,第2の片端開放線路導体31,33の幅W1、第1,第2の片端短絡線路導体32,34の幅W2、第1の片端開放線路導体31と第2の片端開放線路導体33とが誘電体層30bを挟んで互いに重なる幅W3、ならびに第1の片端短絡線路導体32と第2の片端短絡線路導体34とが誘電体層30bを挟んで互いに重なる幅W4を調整することにより、第1の片端開放線路導体31−第2の片端開放線路導体33間ならびに第1の片端短絡線路導体32−第2の片端短絡線路導体34間で形成される電磁界結合として容量性結合が支配的となる場合は、通過帯域に対して低域側に減衰極を1個有するフィルタ特性(図12−a)を、逆に誘導性結合が支配的となる場合は、通過帯域に対して高域側に減衰極を1個有するフィルタ特性(図12―b)を実現していた。
また、従来の積層ストリップラインフィルタの別な例として、特開平8−70201号公報に、図13に示す構成のものが提案されている。図13は図9に対して、第3の片端開放線路導体39、ならびに、第3の片端短絡線路導体40が更に追加されることによって、従来の積層ストリップラインフィルタが2段接続される構成となっており、積層ストリップラインフィルタの接続段数を増やすことで、通過帯域外の減衰量の増大を実現していた。
これに対し、近年、携帯電話や無線LAN等の無線通信機器が各種台頭してきており、混在する無線通信の周波数信号の中から所望の無線通信の周波数信号を選択する為、各種通信機器等において使用されるフィルタに対して、通過帯域外の減衰量増大の要求が顕在化してきている。また、無線通信機器の小型化の動向に対し、各種通信機器の内部で使用されるフィルタに対しても益々小型化の要求が強まってきている。
特開平9−331201号公報 特開平8−70201号公報
しかしながら、特開平9−331201号公報で提案されている上記従来の積層ストリップラインフィルタにおいては、通過帯域に対して低域側に減衰極を1個、あるいは、高域側に減衰極を1個しか形成できないため、通過帯域外の減衰量を充分に確保できないという問題があった。
また、特開平8−70201号公報で提案されている従来の積層ストリップラインフィルタを2段接続して通過帯域外の減衰量を増大させる手法は、フィルタを2段接続する構成となっている為、積層ストリップラインフィルタの平面方向のサイズが大きくなり、小型化の要求に対応できないという問題があった。
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、高減衰でかつ小型な積層ストリップラインフィルタを提供することにある。
本発明の積層ストリップラインフィルタは、複数の誘電体層を積層してなる積層体の内部に、一端が短絡端とされ、他端が開放端とされた第1,第2の線路導体を、間に誘電体層を挟んで少なくとも一部が対向するように配設させるとともに、これら第1,第2の線路導体に対して誘電体層の積層方向両側に一対の接地電極を配設し、更に一対の接地電極間に、一端が短絡端とされ、他端が開放端とされた第3,第4の線路導体を、それぞれ第1,第2の線路導体と連結導体を介して電気的に接続した状態で、且つ積層方向と直交する方向にずらして配置させたことを特徴とするものである。
また、本発明の積層ストリップラインフィルタは、第1,第3の線路導体の開放端同士、第2,第4の線路導体の開放端同士が連結導体を介して接続されていることを特徴とするものである。
また、本発明の積層ストリップラインフィルタは、第1,第2の線路導体の線幅を異ならせたことを特徴とするものである。
本発明の積層ストリップラインフィルタによれば、複数の誘電体層を積層してなる積層体の内部に、一端が短絡端とされ、他端が開放端とされた第1,第2の線路導体を、間に誘電体層を挟んで少なくとも一部が対向するように配設させるとともに、これら第1,第2の線路導体に対して誘電体層の積層方向両側に一対の接地電極を配設し、更に一対の接地電極間に、一端が短絡端とされ、他端が開放端とされた第3,第4の線路導体を、それぞれ第1,第2の線路導体と連結導体を介して電気的に接続した状態で、且つ積層方向と直交する方向にずらして配置させたことにより、第1,第2の線路導体で通過帯域の低域側、または、高域側に減衰極を1つ形成できることに加えて、連結導体と第3の線路導体で形成される共振回路、および、連結導体と第4の線路導体で形成される共振回路によって、通過帯域の高域側に新たな減衰極を1つ形成することができるので、積層ストリップラインフィルタの段数を増やすことなく、通過帯域外の減衰量を更に増大させることができる。この結果、高減衰でかつ小型な積層ストリップラインフィルタを提供することができる。
本発明の積層ストリップラインフィルタによれば、第1,第3の線路導体の開放端同士、第2,第4の線路導体の開放端同士が連結導体を介して接続されていることにより、第1,第3の線路導体の開放端同士が電気的に共通の開放端となるとともに、第2,第4の線路導体の開放端同士が電気的に共通の開放端となる為、連結導体を介して電気的に接続したことによって生じる、第1の線路導体の開放端に至る電気長と連結導体を経由して第3の線路導体の開放端に至る電気長の差、および、第2の線路導体の開放端に至る電気長と連結導体を経由して第4の線路導体の開放端に至る電気長の差を緩和することができ、これらの開放端に至る電気長の差に起因して生じる通過帯域の高域側での反共振現象を抑圧することができる。この結果、通過帯域外の減衰量を更に増大させることができ、更に高減衰でかつ小型な積層ストリップラインフィルタを提供することができる。
本発明の積層ストリップラインフィルタによれば、第1,第2の線路導体の線幅を異ならせたことにより、複数の誘電体層を積層する工程において積層ずれが発生する場合においても、積層ずれによる、第1,第2の線路導体間の電磁界結合量の変化を更に低減することができ、これにより、フィルタ特性の減衰極の周波数変動を更に低減することができる。加えて、第1,第2の線路導体の線幅を異ならせることにより、第1,第2の線路導体の線幅の差に起因する開放端側の容量性追加成分と、短絡端側の誘導性追加成分とを相殺させることができ、積層ストリップラインフィルタの入出力インピーダンスの変動を低減することができる。この結果、より高性能な積層ストリップラインフィルタを提供することができる。
本発明の積層ストリップラインフィルタについて図面を用いて以下に説明する。なお、以下の実施の形態では、パーソナルコンピュータとプリンタ等の周辺機器を無線で繋いだシステム等である無線LAN(周波数帯域5GHz)の周波数に対応した積層ストリップラインフィルタについて説明する。
図1は本発明の第1の積層ストリップラインフィルタの実施の形態の一例を示す分解斜視図であり、図2は図1を積層方向から見た透視平面図である。
図1および図2において、10aは第1の誘電体層、10bは第2の誘電体層、10cは第3の誘電体層、11は第1の線路導体、12は第2の線路導体、13は第3の線路導体、14は第4の線路導体、15は接地電極、16は連結導体、17は接続導体である。そして、第1乃至第3の誘電体層10a乃至10cは順次積層されて積層体10に含まれる。
そして、第1乃至第4の線路導体11乃至14は、それぞれ開放端18と短絡端19を有し、第1の誘電体層10a−第2の誘電体層10b間に第1の線路導体11と第3の線路導体13が配設され、第2の誘電体層10b−第3の誘電体層10c間に第2の線路導体12と第4の線路導体14が配設され、第1,第2の線路導体11,12がそれぞれ第3,第4の線路導体13,14と連結導体16を介して電気的に接続されている。
そして、更に第1の誘電体層10aの下側と第3の誘電体層10cの上側に一対の接地電極15が配設されており、第1乃至第4の線路導体11乃至14のそれぞれの短絡端19は接続導体17を介して接地電極15に電気的に接地されている。また、第1の線路導体11と第2の線路導体12は、間に第2の誘電体層10bを挟んで少なくとも一部が対向するように配設されている。なお、図2においては、一対の接地電極15、接続導体17の図示は省略している。
本発明の第1の積層ストリップラインフィルタに用いる第1乃至第3の誘電体層10a乃至10cを含む積層体10は、例えばアルミナセラミックス・ムライトセラミックス等のセラミックス材料やガラスセラミックス等の無機系材料、あるいは四ふっ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン;PTFE)・四ふっ化エチレン−エチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合樹脂;ETFE)・四ふっ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン−パーフルテロアルキルビニルエーテル共重合樹脂;PFA)等のフッ素樹脂やガラスエポキシ樹脂・ポリイミド等の樹脂系材料等が用いられる。これらの材料による第1乃至第3の誘電体層10a乃至10cを含む積層体10の形状や寸法(厚みや幅・長さ)は、使用される周波数や用途等に応じて設定される。
本発明の第1の積層ストリップラインフィルタに用いる第1乃至第4線路導体11乃至14、一対の接地電極15、連結導体16、接続導体17は、高周波信号伝送用の金属材料の導体層、例えばCu層・Mo−Mnのメタライズ層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの・Wのメタライズ層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの・Cr−Cu合金層・Cr−Cu合金層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの・TaN層上にNi−Cr合金層およびAuメッキ層を被着させたもの・Ti層上にPt層およびAuメッキ層を被着させたもの、またはNi−Cr合金層上にPt層およびAuメッキ層を被着させたもの等を用いて、厚膜印刷法あるいは各種の薄膜形成方法やメッキ法等により形成される。その厚みや幅も、伝送される高周波信号の周波数や用途等に応じて設定される。
なお、以上の本発明の第1の積層ストリップラインフィルタを構成する材料や形成方法については、後述する本発明の第2の積層ストリップラインフィルタについても同様である。
本発明の第1の積層ストリップラインフィルタに用いる第1乃至第3の誘電体層10a乃至10cを含む積層体10の作製にあたっては、例えば誘電体層10a乃至10cを含む各誘電体層がガラスセラミックスから成る場合であれば、まず誘電体層となるガラスセラミックスのグリーンシートを準備し、これに所定の打ち抜き加工を施して貫通導体となる貫通孔を形成した後、スクリーン印刷法によりCu等の導体ペーストを貫通孔に充填するとともに、所定の各線路導体のパターンおよびその他の導体層のパターンを印刷塗布する。次に、850〜1000℃で焼成を行ない、最後に各導体層上にNiメッキおよびAuメッキを施す。
図3は、図1および図2に示す本発明の第1の積層ストリップラインフィルタの回路図であり、図4は図1および図2に示す本発明の第1の積層ストリップラインフィルタで実現できるフィルタ特性図である。
本発明の第1の積層ストリップラインフィルタは、第1乃至第3の誘電体層10a乃至10cが順次積層された積層体10の内部に、一端が短絡端19とされ、他端が開放端18とされた第1,第2の線路導体11,12を、間に第2の誘電体層10bを挟んで少なくとも一部が対向するように配設させるとともに、これら第1,第2の線路導体11,12に対して積層体10の積層方向両側に一対の接地電極15を配設し、更に一対の接地電極15間に、一端が短絡端19とされ、他端が開放端18とされた第3,第4の線路導体13,14を、それぞれ第1,第2の線路導体11,12と連結導体16を介して電気的に接続した状態で、且つ積層方向と直交する方向にずらして配置させたことにより、図3に連結導体16と第3の線路導体13で形成される共振回路1、および、連結導体16と第4の線路導体14で形成される共振回路2を構成することができる。この結果、第1,第2の線路導体で通過帯域の低域側、または、高域側に減衰極を1つ形成できることに加えて、この共振回路1と共振回路2によって、通過帯域の高域側に新たな減衰極を1つ形成することができ、図4−(a)または図4−(b)に示す減衰極を2つ有するフィルタ特性を実現できる。この結果、積層ストリップラインフィルタの段数を増やすことなく、通過帯域外の減衰量を更に増大させることができるので、高減衰でかつ小型な積層ストリップラインフィルタを提供することができる。
図5は図1および図2に示す本発明の第1の積層ストリップラインフィルタの周波数特性を示すグラフである。図5において、横軸は周波数(単位:GHz)を、縦軸は積層ストリップラインフィルタの周波数特性を信号減衰量(単位:dB)で表わし、実線の特性曲線は本発明の第1の積層ストリップラインフィルタの周波数特性を、破線の周波数特性は従来の積層ストリップラインフィルタの周波数特性を示している。なお、本発明の第1の積層ストリップラインフィルタ、ならびに、従来の積層ストリップラインフィルタにおける第1乃至第3の誘電体層10a乃至10cの厚みはそれぞれ同一に設定されている。
図5の結果より、本発明の第1の積層ストリップラインフィルタによれば、図3に示す共振回路1と共振回路2によって、従来の積層ストリップラインフィルタに比べて、通過帯域の高域側に新たな減衰極を1つ形成することができ、減衰極を2つ有するフィルタ特性を実現できることがわかる。この結果、積層ストリップラインフィルタの段数を増やすことなく、通過帯域外の減衰量を更に増大させることができるので、高減衰でかつ小型な積層ストリップラインフィルタを提供することができる。例えば、図5に示す例の場合、本発明の第1の積層ストリップラインフィルタは、従来の積層ストリップラインフィルタに対し、平面方向のサイズが30%小さくなっている。
なお、第1乃至第4線路導体11乃至14は、フィルタの仕様等に応じて、図6および図7に示すように、各々の線路導体の開放端側の線幅と短絡端側の線幅を任意に設定すればよい。
次に、本発明の第2の積層ストリップラインフィルタについて実施の一形態を図6の分解斜視図、および、図7の透視平面図に示す。なお、図6および図7において、図1および図2と同じ部位には同じ符号を付している。
図6および図7は、図1および図2に対し、更に第1の線路導体11の開放端18と第3の線路導体13の開放端18とを連結導体16で接続するともに、第2の線路導体12の開放端18と第4の線路導体14の開放端18とを連結導体16で接続した構成となっている。そして、この構成にすることにより、第1,第3の線路導体11,13の開放端18同士が電気的に共通の開放端となるとともに、第2,第4の線路導体12,14の開放端18同士が電気的に共通の開放端となる為、連結導体16を介して電気的に接続したことによって生じる、第1の線路導体11の開放端18に至る電気長と連結導体16を経由して第3の線路導体13の開放端18に至る電気長の差、および、第2の線路導体12の開放端18に至る電気長と連結導体16を経由して第4の線路導体14の開放端18に至る電気長の差を緩和することができ、これらの開放端に至る電気長の差に起因して生じる通過帯域の高域側での反共振現象を抑圧することができる。この結果、通過帯域外の減衰量を更に増大させることができ、更に高減衰でかつ小型な積層ストリップラインフィルタを提供することができる。
図8は図6および図7に示す本発明の第2の積層ストリップラインフィルタの周波数特性を示すグラフである。図8において、横軸は周波数(単位:GHz)を、縦軸は積層ストリップラインフィルタの周波数特性を信号減衰量(単位:dB)で表わし、実線の特性曲線は本発明の第2の積層ストリップラインフィルタの周波数特性を、破線の周波数特性は本発明の第1の積層ストリップラインフィルタの周波数特性を示している。なお、本発明の第1および第2の積層ストリップラインフィルタにおける第1乃至第3の誘電体層10a乃至10cの厚みはそれぞれ同一に設定されている。
図8の結果より、本発明の第2の積層ストリップラインフィルタによれば、第1の線路導体11の開放端18と第3の線路導体13の開放端18とを連結導体16で接続するともに、第2の線路導体12の開放端18と第4の線路導体14の開放端18とを連結導体16で接続したことによって、第1,第3の線路導体11,13の開放端18同士が電気的に共通の開放端となるとともに、第2,第4の線路導体12,14の開放端18同士が電気的に共通の開放端となる為、連結導体16を介して電気的に接続したことによって生じる、第1の線路導体11の開放端18に至る電気長と連結導体16を経由して第3の線路導体13の開放端18に至る電気長の差、および、第2の線路導体12の開放端18に至る電気長と連結導体16を経由して第4の線路導体14の開放端18に至る電気長の差を緩和することができ、これらの開放端に至る電気長の差に起因して生じる通過帯域の高域側での反共振現象を抑圧することができる。この結果、通過帯域外の減衰量を更に増大させることができ、更に高減衰でかつ小型な積層ストリップラインフィルタを提供することができる。
さらに、このような構成の本発明の積層ストリップラインフィルタは、第1,第2の線路導体11,12の線幅を異ならせたことにより、複数の誘電体層を積層する工程において積層ずれが発生する場合においても、積層ずれによる、第1,第2の線路導体11,12間の電磁界結合量の変化を更に低減することができ、これにより、フィルタ特性の減衰極の周波数変動を更に低減することができる。加えて、第1,第2の線路導体の線幅11,12を異ならせることにより、第1,第2の線路導体11,12の線幅の差に起因する開放端側の容量性追加成分と、短絡端側の誘導性追加成分とを相殺させることができ、積層ストリップラインフィルタの入出力インピーダンスの変動を低減することができる。この結果、より高性能な積層ストリップラインフィルタを提供することができる。
なお、第1,第2の線路導体11,12の線幅の差異は、第1,第2の線路導体11,12の線幅の差に起因する開放端側の容量性追加成分と短絡端側の誘導性追加成分とを相殺させる様に、開放端側の線幅の差異と短絡端側の線幅の差異を任意に設定すればよい。
なお、本発明の積層ストリップラインフィルタは、以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えても何ら差し支えない。例えば、本発明の積層ストリップラインフィルタは、図1に示す例では、第1の線路導体11と第3の線路導体13とが同一平面上に配されるとともに、第2の線路導体12と第4の線路導体14とが同一平面上に配設されているが、この形態に限られるものではなく、各々の線路導体を任意の平面に配設して構成しても良い。任意の平面に配設することによって、積層された複数の誘電体層の内部に形成する積層ストリップラインフィルタの設計自由度が更に向上し、更に小型で高性能な積層ストリップラインフィルタを提供することができる。
また、積層ストリップラインフィルタの形成に使用される第1乃至第4の線路導体11乃至14は、図1の例では、各線路導体の長さが略同一に設定されているが、各々の線路導体の長さを任意に設定しても良い。
また、本発明の積層ストリップラインフィルタは、図1に示す例では、第1の誘電体層10aの下側と第3の誘電体層10cの上側に一対の接地電極15が配設され、一対の接地電極15の間に第1乃至第4の線路導体11乃至14が配設される構成となっているが、この形態に限られるものではなく、一対の接地電極15間に更に別の接地電極を複数挿入しても良い。一対の接地電極15間に更に別の接地電極を複数挿入することにより、第1乃至第4の線路導体11乃至14の線路幅を更に調整することが可能となり、積層された複数の誘電体層の内部に形成する積層ストリップラインフィルタの設計自由度が更に向上し、更に小型で高性能な積層ストリップラインフィルタを提供することができる。
また、積層ストリップラインフィルタの形成に使用される第1乃至第4の線路導体11乃至14は、図1の例ではそれぞれ単一の線路導体で形成されているが、それぞれ電磁気的に1つの伝送線路とみなせるような複数の導体で形成してもよい。
また、積層ストリップラインフィルタの使用されるシステムはGSM(Gobal System for Mobile Communications)やDCS(Digital Cell System)やBluetoothなどでもよい。
また、積層ストリップラインフィルタの形成に使用される積層体10は、図1の例では、第1乃至第3の誘電体層10a乃至10cの3層を含む場合を示しているが、誘電体の層数を4層以上で形成してもよい。
本発明の積層ストリップラインフィルタの実施の形態の一例を示す分解斜視図である。 本発明の積層ストリップラインフィルタの実施の形態の一例を示す透視平面図である。 本発明の積層ストリップラインフィルタの回路図である。 本発明の積層ストリップラインフィルタにおける信号減衰量(単位:dB)示す線図である。 本発明の積層ストリップラインフィルタおよび従来の積層ストリップラインフィルタにおける信号減衰量(単位:dB)示す線図である。 本発明の積層ストリップラインフィルタの他の実施の形態を示す分解斜視図である。 本発明の積層ストリップラインフィルタの他の実施の形態を示す透視平面図である。 本発明の積層ストリップラインフィルタにおける信号減衰量(単位:dB)示す線図である。 従来の積層ストリップラインフィルタの実施の形態の一例を示す分解斜視図である。 従来の積層ストリップラインフィルタの実施の形態の一例を示す透視平面図である。 従来の積層ストリップラインフィルタの回路図である。 従来の積層ストリップラインフィルタにおける信号減衰量(単位:dB)示す線図である。 従来の積層ストリップラインフィルタの他の実施の形態を示す分解斜視図である。
符号の説明
10:積層体
10a〜10c:第1〜第3の誘電体層
11:第1の線路導体
12:第2の線路導体
13:第3の線路導体
14:第4の線路導体
15:接地電極
16:連結導体
17:接続導体
18:開放端
19:短絡端

Claims (3)

  1. 複数の誘電体層を積層してなる積層体の内部に、一端が短絡端とされ、他端が開放端とされた第1,第2の線路導体を、間に前記誘電体層を挟んで少なくとも一部が対向するように配設させるとともに、これら第1,第2の線路導体に対して前記誘電体層の積層方向両側に一対の接地電極を配設し、更に前記一対の接地電極間に、一端が短絡端とされ、他端が開放端とされた第3,第4の線路導体を、それぞれ前記第1,第2の線路導体と連結導体を介して電気的に接続した状態で、且つ前記積層方向と直交する方向にずらして配置させたことを特徴とする積層ストリップラインフィルタ。
  2. 前記第1,第3の線路導体の開放端同士、前記第2,第4の線路導体の開放端同士が連結導体を介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の積層ストリップラインフィルタ。
  3. 前記第1,第2の線路導体の線幅を異ならせたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層ストリップラインフィルタ。
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