JP4986959B2 - バンドパスフィルタ、これを用いた高周波モジュール及び通信機器装置 - Google Patents

バンドパスフィルタ、これを用いた高周波モジュール及び通信機器装置 Download PDF

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Description

本発明は、バンドパスフィルタ及びこれを用いた通信機器装置に関するものである。通信機器装置は、例えば、携帯電話、無線LAN、UWBのような無線通信機器に好適に用いることができる。
従来から、通信機器装置にはバンドパスフィルタが用いられている。通過帯域の外側で入力信号を減衰させる減衰極を備えたバンドパスフィルタを用いることにより、所定の通過帯域における良好な通信が可能となる。そのため、大きな減衰量が得られるバンドパスフィルタが求められている。
そこで、特許文献1に記載のように、誘電体層が積層されてなる積層体と、この積層体の1つの層間に相互に電磁界結合するように互い違いに配置され、1/4波長共振器として機能する帯状の4つの共振電極と、最前段の共振電極及び最後段の共振電極の一方端の近傍でアース電位に接続された共振電極結合導体とを備えるバンドパスフィルタが提案されている。特許文献1に記載のバンドパスフィルタは、上記の共振電極結合導体を備えることにより、通過帯域よりも低域側及び高域側における信号の減衰を大きくすることができる。
特開2008−118615号公報
しかしながら、近年新しい通信システムが実用化されてきており、従来と比べ、急峻な減衰特性を有するバンドパスフィルタが求められている。特許文献1に記載のバンドパスフィルタを用いた場合であっても、通過帯域よりも低域側及び高域側における信号の減衰には限界がある。また、特許文献1に記載のバンドパスフィルタでは、共振電極結合導体を介した誘導性の結合により伝達された信号と隣り合う共振電極同士の容量の結合により伝達された信号とを、互いに打ち消し合わせることにより、通過帯域よりも低域側及び高域側の両方において減衰極を形成しているため、共振電極を偶数個にしなければならない制約があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、従来と比較して急峻な減衰特性を有するバンドパスフィルタ並びにこれを用いた無線通信モジュール及び通信機器装置を提供することを目的とする。
本発明のバンドパスフィルタは、第1の誘電体層を含む複数の誘電体層が積層され、積層方向の第1の端部と第2の端部とを有する積層体と、該積層体の前記第1の端部に配設された基準電極と、前記第1の誘電体層の主面上であって前記積層体の第1の側面から該第1の側面と反対側に位置する第2の側面に向かって並設され、それぞれ一方の端部が開放端であるとともに他方の端部が互いに電気的に接続された複数の第1の共振電極と、前記複数の第1の共振電極間にそれぞれ位置して、他方の端部が開放端であるとともに一方の端部が互いに電気的に接続された複数の第2の共振電極とを備えている。そして、前記誘電体層を介して前記第1の共振電極及び前記第2の共振電極よりも前記積層体の第2の端部側に位置し、前記複数の第1の共振電極の一つにおける他方の端部側と前記複数の第2の共振電極の一つにおける一方の端部側とを電気的に接続する第1の結合導体と、前記誘電体層を介して前記第1の結合導体よりも前記積層体の第2の端部側に位置し、前記複数の第1の共振電極の他の一つにおける他方の端部側と前記複数の第2の共振電極の他の一つにおける一方の端部側とを電気的に接続する第2の結合導体とを更に備え、前記第1の結合導体と前記第2の結合導体とが前記誘電体層を介して立体交差している。
本発明のバンドパスフィルタは、誘電体層を介して第1の共振電極及び第2の共振電極よりも積層体の第2の端部側に位置し、複数の第1の共振電極の一つにおける他方の端部側と複数の第2の共振電極の一つにおける一方の端部側とを電気的に接続する第1の結合導体と、誘電体層を介して第1の結合導体よりも積層体の第2の端部側に位置し、複数の第1の共振電極の他の一つにおける他方の端部側と複数の第2の共振電極の他の一つにおける一方の端部側とを電気的に接続する第2の結合導体とを更に備え、第1の結合導体と第2の結合導体とが誘電体層を介して立体交差していることを特徴としている。
このように、誘電体層を介して立体交差する第1の結合導体と第2の結合導体とを有していることにより、通過帯域の低域側に2つの減衰極を有することができる。この2つの減衰極の周波数を適宜設定することにより、バンドパスフィルタの低域側の減衰特性を急峻なものとすることができる。
以下、本発明のバンドパスフィルタについて図面を用いて詳細に説明する。
図1、2に示すように、本発明の第1の実施形態にかかるバンドパスフィルタ1は、第1の誘電体層3aを含む複数の誘電体層3が積層され、積層方向の第1の端部5aと第2の端部5bとを有する積層体5と、積層体5の第1の端部5aに配設された基準電極(第1の基準電極7a)と、第1の誘電体層3aの主面上であって積層体5の第1の側面から第1の側面と反対側に位置する第2の側面に向かって並設され、それぞれ一方の端部が開放端であるとともに他方の端部が互いに電気的に接続された複数の第1の共振電極9と、複数の第1の共振電極9間にそれぞれ位置して、他方の端部が開放端であるとともに一方の端部が互いに電気的に接続された複数の第2の共振電極11とを備えている。
そして、誘電体層3を介して第1の共振電極9及び第2の共振電極11よりも積層体5の第2の端部5b側に位置し、複数の第1の共振電極9の一つにおける他方の端部側と複数の第2の共振電極11の一つにおける一方の端部側とを電気的に接続する第1の結合導体13と、誘電体層3を介して第1の結合導体13よりも積層体5の第2の端部5b側に位置し、複数の第1の共振電極9の他の一つにおける他方の端部側と複数の第2の共振電極11の他の一つにおける一方の端部側とを電気的に接続する第2の結合導体15と、を更に備え、第1の結合導体13と第2の結合導体15とが誘電体層3を介して立体交差している。
本実施形態におけるバンドパスフィルタ1は、複数の第1の共振電極9の一つにおける他方の端部側と複数の第2の共振電極11の一つにおける一方の端部側とをそれぞれ電気的に接続する第1の結合導体13及び第2の結合導体15を更に備えている。そのため、第1の共振電極9と第2の共振電極11とからなる共振電極が奇数個である場合にも、最も第1の側面側に位置する共振電極(以下、最前段の共振電極ともいう)及び最も第2の側面側に位置する共振電極(以下、最後段の共振電極ともいう)に第1の結合導体13及び第2の結合導体15からなる結合導体を電気的に接続して、通過帯域よりも低域側及び高域側の両方において減衰極を形成することができる。
具体的には、本実施形態では、最前段の共振電極である第1の共振電極9aに第1の結合導体13が電気的に接続されるとともに最後段の共振電極である第1の共振電極9bに第2の結合導体15が電気的に接続されている。このように、最前段の共振電極及び最後段の共振電極がそれぞれ異なる結合導体に接続されている。そのため、最前段の共振電極及び最後段の共振電極において、結合導体を介した誘導性の結合により伝達された信号と隣り合う共振電極同士の容量の結合により伝達された信号とを、互いに打ち消し合わせることができる。結果として、共振電極が奇数個であっても、通過帯域よりも低域側及び高域側の両方において減衰極を形成することができる。
結合導体を備えることにより、この結合導体と電気的に接続された2つの共振電極間で誘導性の結合を生じさせることができる。そして、本実施形態のように、第1の結合導体13及び第2の結合導体15が上記のように平面視した場合に交差するように配設されていることにより、第1の結合導体13を介した誘導性の結合による信号の伝達路と第2の結合導体15を介した誘導性の結合による信号の伝達路が平面視で交差するように形成される。これにより、第1の結合導体13を備えていることによる減衰極と第2の結合導体15を備えていることによる減衰極とが形成される。つまり、通過帯域よりも低域側及び高域側の両方においてそれぞれ2つの減衰極が形成される。従って、バンドパスフィルタ1の低域側の減衰量を大きくすることができるとともに、減衰特性を急峻なものとすることができる。
図2に示すように、共振電極が奇数個であっても、通過帯域よりも低域側及び高域側の両方において減衰極を形成することができるが、図3に示すように、共振電極が偶数個であっても、通過帯域よりも低域側及び高域側の両方において減衰極を形成することができる。
図3においては、第1の共振電極9及び第2の共振電極11が、互い違いとなるように配設されている。また、図3においては、最前段の共振電極が第1の共振電極9であるとともに最後段の共振電極が第2の共振電極11である。そして、図3においては、最前段の共振電極と最後段の共振電極とが第1の結合導体13により電気的に接続されている。また、最後段の共振電極よりも第1の側面側に位置する第1の共振電極9cと最前段の共振電極よりも第2の側面側に位置する第2の共振電極11cとが第2の結合導体15により電気的に接続されている。これにより、共振電極が偶数個であっても、通過帯域よりも低域側及び高域側の両方において減衰極を形成することができる。
また、本実施形態のバンドパスフィルタ1は、図2に示すように、第1の誘電体層3aを含む複数の誘電体層3が積層され、積層方向の第1の端部5aと第2の端部5bとを有する積層体5を備えている。本実施形態において、第2の端部5bとしては積層体5の下面が対応している。また、第1の端部5aとしては積層体5の上面が対応している。積層体5及び誘電体層3の形状や寸法は、使用される周波数や用途に応じて設定される。
誘電体層3としては、例えば、セラミック材料のような無機材料及び樹脂材料を用いることができる。具体的には、セラミック材料としては、例えば、アルミナセラミックス、ムライトセラミックス及びガラスセラミックスを用いることができる。また、樹脂材料としては、例えば、四フッ化エチレン―エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン;PTFE)、四フッ化エチレン―エチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン―エチレン共重合樹脂;ETFE)及び四フッ化エチレン―パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン―パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂;PFA)のようなフッ素樹脂、ガラスエポキシ樹脂並びにポリイミドを用いることができる。
本実施形態のバンドパスフィルタ1は、図2に示すように、積層体5の第2の端部5bに配設された第2の基準電極7bを備えている。また、本実施形態のバンドパスフィルタ1は、図2に示すように、積層体5の第1の端部5aに配設された第1の基準電極7aを備えている。第1の基準電極7aは、入力配線17および出力配線19の第1の端部5aに露出した部分の周囲を除いた略全面に配置されている。第1の基準電極7a及び第2の基準電極7bは、アース電位のような基準電位となるよう外部配線(非図示)に接続される。第1の基準電極7a及び第2の基準電極7bは、第1の共振電極9及び第2の共振電極11とともにストリップライン共振器を構成している。
第2の基準電極7bとしては、金属材料を用いることができる。具体的には、金属材料としてCu,Cr,Mo,Mn,Ni,Ag,Au,Pt及びこれらの合金を用いることができる。別途形成された第2の基準電極7bを積層体5の第2の端部5b上に配設してもよく、これらの金属材料を含有する金属ペーストを積層体5の第2の端部5b上に配設し、焼成することによって第2の基準電極7bを形成してもよい。また、これらの金属材料を配設した後にNi,Auメッキを形成してもよい。第1の基準電極7a、入力配線17及び出力配線19についても、同様の部材を用いればよい。
本実施形態のバンドパスフィルタ1は、図2に示すように、第1の誘電体層3aの主面上であって積層体5の第1の側面から第1の側面と反対側に位置する第2の側面に向かって並設され、それぞれ一方の端部が開放端であるとともに他方の端部が互いに電気的に接続された複数の第1の共振電極9と、複数の第1の共振電極9間にそれぞれ位置して、他方の端部が開放端であるとともに一方の端部が互いに電気的に接続された複数の第2の共振電極11とを備えている。
このように、第1の共振電極9と第2の共振電極11とが、いわゆるインターデジタル型に配置されることにより、第1の共振器電極9と第2の共振電極11とで強い磁界結合をさせることができる。そのため、それぞれの共振モードにおける共振周波数の間の周波数間隔を広くできる。これにより、バンドパスフィルタ1の通過帯域を広くすることができる。
なお、本実施形態においては、共振電極として、第1の共振電極9を4つ備えるとともに第2の共振電極11を3つ備えているが、特にこの数に限られるものではなく、さらに多くの共振電極を備えていてもよい。
また、本実施形態のように、第1の誘電体層3aを平面視した場合に、第1の共振電極9及び第2の共振電極11を取り囲むように内部基準電極21を備えていることが好ましい。このような内部基準電極21を備えていることにより、第1の共振電極9及び第2の共振電極11から発生する電磁波の周囲への漏洩を低減することができるからである。
なお、第1の共振電極9及び第2の共振電極11としては、第2の基準電極7bと同様の金属材料を用いることができる。
また、本実施形態のバンドパスフィルタ1は、第1の共振電極9に信号を入力するための入力電極23及び第2の共振電極11から信号を出力するための出力電極25を備えている。入力電極23には入力配線17を介して信号が入力される。本実施形態における入力電極23は、誘電体層3を介して最も第1の側面側に位置する第1の共振電極9aと対向している。
入力電極23は、本実施形態のように誘電体層3を介して対向していることが好ましい。これにより、共振モードの共振周波数の間に位置する周波数における挿入損失を抑制することができるからである。結果として、通過帯域の全域に渡って平坦で損失の少ない通過特性を有するバンドパスフィルタ1とすることができる。
また、入力電極23は、最も第1の側面側に位置する第1の共振電極9a以外の第1の共振電極9と誘電体層3を介して対向していてもよいが、本実施形態のように最も第1の側面側に位置する第1の共振電極9aと誘電体層3を介して対向していることが好ましい。
また、本実施形態のバンドパスフィルタ1は、第2の共振電極11から信号を出力するための出力電極25を備えている。出力電極25からは出力配線19を介して信号が出力される。本実施形態における出力電極25は、誘電体層3を介して最も第2の側面側に位置する第2の共振電極11bと対向している。
出力電極25は、本実施形態のように誘電体層3を介して対向していることが好ましい。これにより、共振モードの共振周波数の間に位置する周波数における挿入損失を抑制することができるからである。結果として、通過帯域の全域に渡って平坦で損失の少ない通過特性を有するバンドパスフィルタ1とすることができる。
また、出力電極25は、最も第2の側面側に位置する第2の共振電極11b以外の第2の共振電極11と誘電体層3を介して対向していてもよいが、本実施形態のように最も第2の側面側に位置する第2の共振電極11bと誘電体層3を介して対向していることが好ましい。
なお、入力電極23及び出力電極25としては、上記する第2の基準電極7bと同様の金属材料を用いることができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明をする。
図4に示すように、本実施形態のバンドパスフィルタ1は、第1の実施形態と比較して、第1の結合導体13が、最も第1の側面側に位置する第1の共振電極9aにおける他方の端部側及び最も第2の側面側に位置する第2の共振電極11bの一方の端部側とを電気的に接続され、第2の結合導体15が、最も第2の側面側に位置する第1の共振電極9bにおける他方の端部側及び最も第1の側面側に位置する第2の共振電極11aの一方の端部側とを電気的に接続されていることを特徴としている。
このように、最も第1の側面側に位置する第1の共振電極9a及び第2の共振電極11aと最も第2の側面側に位置する第1の共振電極9b及び第2の共振電極11bに対して第1の結合導体13又は第2の共振電極11が電気的に接続されていることにより、各々の隣り合う共振電極同士で容量性の結合により伝達された信号を、第1の結合導体13及び第2の結合導体15を介した誘導性の結合により伝達された信号により打ち消すことができる。言い換えれば、第1の結合導体13及び第2の結合導体15を介した誘導性の結合により伝達された信号により打ち消されない、隣り合う共振電極同士で容量性の結合により伝達された信号の発生を抑止することができる。結果として、バンドパスフィルタ1の通過特性において、通過帯域の両端近傍における減衰極の形成をより確実なものとすることができる。
また、本実施形態に示すように、積層体5を平面視した場合に、第1の結合導体13に電気的に接続される第1の共振電極9及び第2の共振電極11の間には、第1の共振電極9及び第2の共振電極11がそれぞれ1つずつ位置していることが好ましい。
より具体的には、本実施形態のように、第1の共振電極9が3つであって、第2の共振電極11が2つであることが好ましい。これにより、各々の隣り合う共振電極同士で容量性の結合により伝達された信号を、第1の結合導体13及び第2の結合導体15を介した誘導性の結合により伝達された信号により打ち消して、通過帯域の両端近傍における減衰極の形成をより確実なものとしつつも、共振電極の数を必要最低限の数に抑えることで、高い減衰特性を有しながらも、バンドパスフィルタ1を小型化することができるからである。
また、第2の結合導体15が、1つの誘電体層3を介して第1の結合導体13よりも第2の端部5b側に位置することが好ましい。後述する第3の実施形態と異なり、1つの誘電体層3を介して第1の結合導体13よりも第2の端部5b側に位置することにより、積層方向に垂直な方向の積層体5の断面積が大きくなることを抑制できるからである。第1の結合導体13及び第2の結合導体15を同一の誘電体層3の主面上に形成した場合、第1の結合導体13と第2の結合導体15とが短絡しないように、一方が他方を迂回するように配設されなければならない。これは、積層方向に垂直な方向における積層体5の断面積が大きくなることにつながってしまう。しかしながら、本実施形態のバンドパスフィルタ1においては、第2の結合導体15が、1つの誘電体層3を介して第1の結合導体13よりも第2の端部5b側に位置しているため、第1の結合導体13と第2の結合導体15の一方が他方を迂回する必要がないので、積層方向に垂直な方向における積層体5の断面積が大きくなることを抑制できる。積層方向に垂直な方向の幅の小さいバンドパスフィルタ1が求められる場合には、本実施形態のバンドパスフィルタ1が有効となる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明をする。
図5に示すように、本実施形態のバンドパスフィルタ1は、第1の誘電体層3aを含む複数の誘電体層3が積層され、積層方向の第1の端部5aと第2の端部5bとを有する積層体5と、積層体5の第2の端部5bに配設された基準電極7(第1の基準電極7a)と、第1の誘電体層3aの主面上であって積層体5の第1の側面から第1の側面と反対側に位置する第2の側面に向かって並設され、それぞれ一方の端部が開放端であるとともに他方の端部が互いに電気的に接続された複数の第1の共振電極9と、複数の第1の共振電極9間にそれぞれ位置して、他方の端部が開放端であるとともに一方の端部が互いに電気的に接続された複数の第2の共振電極11とを備えている。
そして、誘電体層3を介して第1の共振電極9及び第2の共振電極11よりも積層体5の第2の端部5b側に位置し、複数の第1の共振電極9の一つにおける他方の端部側と複数の第2の共振電極11の一つにおける一方の端部側とをそれぞれ電気的に接続する第1の結合導体13及び第2の結合導体15が同一の誘電体層3上に備えられている。
既に示したように、第1の結合導体13を介した誘導性の結合による信号の伝達路と第2の結合導体15を介した誘導性の結合による信号の伝達路とが平面視で交差するように形成されることにより、通過帯域よりも低域側及び高域側の両方においてそれぞれ2つの減衰極を形成することができる。そのため、第1の実施形態に示すように、積層体5を平面視した場合に、第1の結合導体13と第2の結合導体15とが交差している必要は必ずしもない。
本実施形態においては、第1の結合導体13を介した誘導性の結合による信号の伝達路と第2の結合導体15を介した誘導性の結合による信号の伝達路とが平面視で交差するように、第1の結合導体13及び第2の結合導体15が同一の誘電体層3上に備えられている。このように、第1の結合導体13と第2の結合導体15とが、異なる誘電体層3上に配設されていないことから、積層体5の厚みを小さくすることができる。厚みの小さいバンドパスフィルタ1が求められる場合には、本実施形態のバンドパスフィルタ1が有効となる。
次に、本発明の高周波モジュール及び無線通信機器について以下に説明する。
図6に示すように、本実施形態の高周波モジュール27は、上記いずれかに記載のバンドパスフィルタ1と、バンドパスフィルタ1の第1の端部側(図6においては上面側)に配設され、バンプ29を介してバンドパスフィルタ1と電気的に接続された集積回路31と、バンドパスフィルタ1の第2の端部側(図6においては下面側)に配設され、バンプ29を介してバンドパスフィルタ1と電気的に接続されたプリント基板33とを備えている。
そして、本実施形態の無線通信機器35は、上記の高周波モジュール27と、プリント基板33を介してバンドパスフィルタ1に電気的に接続されたベースバンド部37と、プリント基板33を介してバンドパスフィルタ1に電気的に接続されたアンテナ39とを備えている。
本実施形態の高周波モジュール27および無線通信機器35によれば、従来のバンドパスフィルタ1と比較して、上記いずれかに記載の実施形態のバンドパスフィルタ1を用いた場合は、通過帯域の低域側で大きな減衰量を得られるとともに急峻な減衰特性を得られるため、バンドパスフィルタ1を通過する受信信号および送信信号の減衰が少なくなるとともにノイズも減少する。これにより、受信感度が向上するとともに、送信信号の不要な信号を効率的に除去することができ、結果として受信感度が高く消費電力が少ない高性能な高周波モジュール27および無線通信機器35を得ることができる。
なお、本実施形態においては、集積回路31が、バンドパスフィルタ1の第1の端部側に配設されるとともにバンプ29を介してバンドパスフィルタ1と電気的に接続している。また、プリント基板33が、バンドパスフィルタ1の第2の端部側に配設されるとともにバンプ29を介してバンドパスフィルタ1と電気的に接続されている。ここで、バンドパスフィルタ1を内蔵した基板を用いて、集積回路31を、基体の第1の端部側に配設するとともにバンプ29を介して基体と電気的に接続し、プリント基板33を、基体の第2の端部側に配設するとともにバンプ29を介して基体と電気的に接続してもよい。
UWBのハイバンド規格に用いられるような、通過帯域が7.8〜9.7GHzのバンドパスフィルタとして、図7に示す実施形態のバンドパスフィルタ1の伝送特性を電磁界シミュレータにて計算した。
図7に示すように、本実施例のバンドパスフィルタ1は、図4に示すバンドパスフィルタ1と比較して、第2の結合導体15及び入力電極23が、誘電体層3を介して第1の共振電極9及び第2の共振電極11よりも積層体5の第2の端部5b側に位置している。また、第1の結合導体13及び出力電極25が、誘電体層3を介して第1の共振電極9及び第2の共振電極11よりも積層体5の第1の端部5a側に位置している。
さらに、入力電極23及び出力電極25は、それぞれ入力配線17および出力配線19を介して接続されている。
このように、第1の誘電体層3aに形成される第1の共振電極9及び第2の共振電極11を挟んで積層方向に対称な構成とすることにより、バンドパスフィルタとして平面視して略対称な構成とすることができ、本発明のバンドパスフィルタの設計を容易とすることができる。
なお、第2の結合導体15及び入力電極23を、誘電体層3を介して第1の共振電極9及び第2の共振電極11よりも積層体5の第1の端部5a側に位置するように構成するとともに、第1の結合導体13及び出力電極25を、誘電体層3を介して第1の共振電極9及び第2の共振電極11よりも積層体5の第2の端部5b側に位置するように構成しても構わない。
第1の共振電極9及び第2の共振電極11の共振器の幅は0.33mm、共振器の長さは2.37mmとした。第1の共振電極9及び第2の共振電極11の共振器間のギャップは、第1の側面より第2の側面へ向ってそれぞれ0.27mm、0.32mm、0.32mm、0.27mmとした。第1の共振電極9と内部基準電極21の接続部分から第1の共振電極9側へ0.15mmの位置において、ビアを介して第1の共振電極9を第1の結合導体13に接続した。また、第2の共振電極11と内部基準電極21の接続部分から第2の共振電極11側へ0.15mmの位置において、ビアを介して第2の共振電極11を第1の結合導体15に接続した。
入力電極23及び出力電極25は、第1の共振電極9a、9bと平面視でみて略同一形状で、誘電体層3を介して対向するように配置した。また、積層体5の厚みは0.9mmとし、第1の共振電極9及び第2の共振電極11は積層体5の積層方向中央部に配置した。また、第1の共振電極9及び第2の共振電極11と、第1の結合導体13及び第2の結合導体15との間の誘電体層3の厚みは0.3mmとした。第1の共振電極9及び第2の共振電極11と、入力電極23及び出力電極25との間の誘電体層3の厚みは0.15mmとした。
また、本実施例におけるバンドパスフィルタとして、積層体5には比誘電率が9.4のガラスセラミックスを用い、第1の共振電極9、第2の共振電極11、第1の結合導体13、第2の結合導体15、入力電極23、出力電極25、入力配線17及び出力配線19にAgメタライズを用いた。
このような図7に示すようなバンドパスフィルタ1の通過特性は、図8の線図に実線の特性曲線で示すようなものとなる。図8に示す線図において、縦軸は挿入損失(単位:dB)を、横軸は周波数(単位:GHz)を示す。
図8に示すように、従来のバンドパスフィルタに比べ、低域側に新たに減衰極が発現していることがわかる。また、この減衰極を適切な場所に配置することにより、例えば、携帯電話で使用される周波数0.8〜2.2GHz付近において大きな減衰量を得ることができる。
本発明の第1の実施形態におけるバンドパスフィルタを示す斜視図である。 図1に示す実施形態の分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態におけるバンドパスフィルタの他の例を示す分解斜視図である。 本発明の第2の実施形態におけるバンドパスフィルタを示す分解斜視図である。 本発明の第3の実施形態におけるバンドパスフィルタを示す分解斜視図である。 本発明の一実施形態にかかる高周波モジュール及び無線通信機器を示す概念図である。 本発明の一実施形態にかかるバンドパスフィルタを示す分解斜視図である。 図7に示すバンドパスフィルタの伝送特性の測定結果を示す図である。
符号の説明
1・・・バンドパスフィルタ
3・・・誘電体層
5・・・積層体
5a・・・第1の端部
5b・・・第2の端部
7a・・・第1の基準電極
7b・・・第2の基準電極
9・・・第1の共振電極
11・・・第2の共振電極
13・・・第1の結合導体
15・・・第2の結合導体
17・・・入力配線
19・・・出力配線
21・・・内部基準電極
23・・・入力電極
25・・・出力電極
27・・・高周波モジュール
29・・・バンプ
31・・・集積回路
33・・・プリント基板
35・・・無線通信機器
37・・・ベースバンド部
39・・・アンテナ

Claims (7)

  1. 第1の誘電体層を含む複数の誘電体層が積層され、積層方向の第1の端部と第2の端部とを有する積層体と、
    該積層体の前記第1の端部に配設された基準電極と、
    前記第1の誘電体層の主面上であって前記積層体の第1の側面から該第1の側面と反対側に位置する第2の側面に向かって並設され、それぞれ一方の端部が開放端であるとともに他方の端部が互いに電気的に接続された複数の第1の共振電極と、
    前記複数の第1の共振電極間にそれぞれ位置して、他方の端部が開放端であるとともに一方の端部が互いに電気的に接続された複数の第2の共振電極とを備えたバンドパスフィルタであって、
    前記誘電体層を介して前記第1の共振電極及び前記第2の共振電極よりも前記積層体の第2の端部側に位置し、前記複数の第1の共振電極の一つにおける他方の端部側と前記複数の第2の共振電極の一つにおける一方の端部側とを電気的に接続する第1の結合導体と、
    前記誘電体層を介して前記第1の結合導体よりも前記積層体の第2の端部側に位置し、前記複数の第1の共振電極の他の一つにおける他方の端部側と前記複数の第2の共振電極の他の一つにおける一方の端部側とを電気的に接続する第2の結合導体とを更に備え、
    前記第1の結合導体と前記第2の結合導体とが前記誘電体層を介して立体交差していることを特徴とするバンドパスフィルタ。
  2. 前記第1の結合導体が、最も前記第1の側面側に位置する第1の共振電極における他方の端部側及び最も前記第2の側面側に位置する第2の共振電極の一方の端部側とを電気的に接続され、前記第2の結合導体が、最も前記第2の側面側に位置する第1の共振電極における他方の端部側及び最も前記第1の側面側に位置する第2の共振電極の一方の端部側とを電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のバンドパスフィルタ。
  3. 前記第1の共振電極は3つであって、前記第2の共振電極は2つであることを特徴とする請求項2に記載のバンドパスフィルタ。
  4. 前記積層体を平面視した場合に、前記第1の結合導体に電気的に接続される前記第1の共振電極及び前記第2の共振電極の間には、前記第1の共振電極及び前記第2の共振電極がそれぞれ1つずつ位置していることを特徴とする請求項1に記載のバンドパスフィルタ。
  5. 前記第2の結合導体は、1つの前記誘電体層を介して前記第1の結合導体よりも第2の端部側に位置することを特徴とする請求項1に記載のバンドパスフィルタ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のバンドパスフィルタと、前記バンドパスフィルタの第1の端部及び第2の端部に配設されたバンプと、前記バンドパスフィルタの第2の端部側に配設され、前記バンプを介して前記バンドパスフィルタと電気的に接続された集積回路と、前記バンドパスフィルタの前記第1の端部側に配設され、バンプを介して前記バンドパスフィルタと電気的に接続されたプリント基板とを備えたことを特徴とする高周波モジュール。
  7. 請求項6に記載の高周波モジュールと、前記プリント基板を介して前記バンドパスフィルタに電気的に接続されたベースバンド部と、前記プリント基板を介して前記バンドパスフィルタに電気的に接続されたアンテナとを備えたことを特徴とする通信機器装置。
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