JP3808386B2 - 積層ストリップラインフィルタ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば携帯電話や無線LAN等の無線通信機器その他の各種通信機器等において使用される積層ストリップラインフィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話機等の移動体通信機器等に使用されるフィルタは、移動体通信機器等の薄型化・小型化の要求に伴い、誘電体同軸型共振器を用いたフィルタから分布定数回路を共振器に用いた積層ストリップラインフィルタへと進展してきている。
【0003】
そのような従来の積層ストリップラインフィルタとして、特開平9−331201号公報には、図6に透視斜視図および図7に透視平面図で示す構成のものが提案されている。
【0004】
図6および図7において、1は第1の誘電体層、2は第1の誘電体層1の上に積層された第2の誘電体層、3は第2の誘電体層2の上に積層された第3の誘電体層、10は第1の誘電体層1の下面に配された第1の接地電極、11は第3の誘電体層3の上面に配された第2の接地電極、12および13は第1の誘電体層1および第2の誘電体層2の間に配された第1の片端開放矩形状共振電極および第1の片端短絡矩形状共振電極、14および15は第2の誘電体層2および第3の誘電体層3の間に配された第2の片端開放矩形状共振電極および第2の片端短絡矩形状共振電極である。
【0005】
第1および第2の片端開放矩形状共振電極12・14は、それぞれ略同一の形状を有し、積層方向から見て平行に、かつ第1の片端開放矩形状共振電極12の一部と第2の片端開放矩形状共振電極14の一部とが第2の誘電体層2を挟んで略同一の幅を有して重なる第1の結合部16を形成するように対向して配されている。
【0006】
また、第1および第2の片端短絡矩形状共振電極13・15は、それぞれ略同一の形状を有し、積層方向から見て平行に、かつ第1の片端短絡矩形状共振電極13の一部と第2の片端短絡矩形状共振電極15の一部とが第2の誘電体層2を挟んで略同一の幅を有して重なる第2の結合部17を形成するように対向して配されている。
【0007】
さらに、第1の片端開放矩形状共振電極12の開放端18と反対側の端部と、第1の片端短絡矩形状共振電極13の短絡端19と反対側の端部とが電気的に接続され、第2の片端開放矩形状共振電極14の開放端18と反対側の端部と、第2の片端短絡矩形状共振電極15の短絡端19と反対側の端部とが電気的に接続される構成となっている。なお、図6においては第1および第2の結合部16・17の図示は省略し、図7においては第1および第2の接地電極10・11の図示は省略している。
【0008】
そして、第1および第2の片端開放矩形状共振電極12・14の幅W1、第1および第2の片端短絡矩形状共振電極13・15の幅W2、第1の結合部16の幅W3、ならびに第2の結合部17の幅W4を調整することによって、第1および第2の片端開放矩形状共振電極12・14間ならびに第1および第2の片端短絡矩形状共振電極13・15間で形成される結合として容量性結合が支配的となる場合は、通過帯域に対して低域側に減衰極を1個有するフィルタ特性を、またこれに対して誘導性結合が支配的となる場合は、通過帯域に対して高域側に減衰極を1個有するフィルタ特性を実現していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の積層ストリップラインフィルタにおいては、第1および第2の結合部16・17の中心周波数に対する電気長θ11・θ12と、第1の片端開放矩形状共振電極12における第1の結合部16を除く部分の中心周波数に対する電気長θ13と、第2の片端開放矩形状共振電極14における第1の結合部16を除く部分の中心周波数に対する電気長θ14と、第1の片端短絡矩形状共振電極13における第2の結合部17を除く部分の中心周波数に対する電気長θ15と、第2の片端短絡矩形状共振電極15における第2の結合部17を除く部分の中心周波数に対する電気長θ16と(各電気長をそれぞれ図7中に一点鎖線で示す)が、θ11=θ13=θ14,θ12=θ15=θ16の条件を満たさなければ、所望のフィルタ特性が得られないという制限があった。
【0010】
このため、従来の積層ストリップラインフィルタにおいては、積層ストリップラインフィルタの小型化を図るべく第1および第2の片端開放矩形状共振電極12・14ならびに第1および第2の片端短絡矩形状共振電極13・15の形状を矩形状から不用意に変化させると、θ11=θ13=θ14,θ12=θ15=θ16の条件が崩れてしまい、フィルタ特性が大きく変化してしまうために所望のフィルタ特性が得られなくなってしまうという問題点があり、この結果、積層ストリップラインフィルタの小型化を実現することが困難であるという問題点があった。
【0011】
本発明は上記問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、安定したフィルタ特性が得られるとともに、設計の自由度が大きく小型化が容易な積層ストリップラインフィルタを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層ストリップラインフィルタは、
第1の誘電体層と、この第1の誘電体層の上に積層された第2の誘電体層と、この第2の誘電体層の上に積層された第3の誘電体層と、前記第1の誘電体層の下面に配された第1の接地電極と、前記第3の誘電体層の上面に配された第2の接地電極と、前記第1および第2の誘電体層の間に配された第1の片端開放共振電極および第1の片端短絡共振電極と、前記第2および第3の誘電体層の間に配された第2の片端開放共振電極および第2の片端短絡共振電極とから成り、
前記第1および第2の片端開放共振電極は、それぞれ略同一の幅を有する略L字形の形状を有し、積層方向から見て長さ方向に略同一の幅で重なる第1の結合部を形成するように対向して配され、
前記第1および第2の片端短絡共振電極は、それぞれ、略同一の幅を有する略L字形の形状を有し、積層方向から見て長さ方向に略同一の幅で重なる第2の結合部を形成するように対向して配され、
前記第1および第2の片端短絡共振電極は、それぞれ短絡端が接地接続導体を介して前記第1または第2の接地電極と電気的に接続され、
前記第1の片端開放共振電極の開放端と反対側の端部と、前記第1の片端短絡共振電極の短絡端と反対側の端部とが電気的に接続され、
前記第2の片端開放共振電極の開放端と反対側の端部と、前記第2の片端短絡共振電極の短絡端と反対側の端部とが電気的に接続されており、
前記第1および第2の結合部の中心周波数に対する電気長θ1およびθ2と、前記第1の片端開放共振電極における前記第1の結合部を除く部分の中心周波数に対する電気長θ3と、前記第2の片端開放共振電極における前記第1の結合部を除く部分の中心周波数に対する電気長θ4と、前記第1の片端短絡共振電極における前記第2の結合部を除く部分の中心周波数に対する電気長θ5と、前記第2の片端短絡共振電極における前記第2の結合部を除く部分の中心周波数に対する電気長θ6とが、θ3>θ1>θ4,θ5<θ2<θ6およびθ3−θ1≒θ1−θ4≒θ6−θ2≒θ2−θ5<10°の関係を満たすことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の積層ストリップラインフィルタによれば、第1および第2の結合部の中心周波数に対する電気長θ1・θ2と、第1の片端開放共振電極における第1の結合部を除く部分の中心周波数に対する電気長θ3と、第2の片端開放共振電極における第1の結合部を除く部分の中心周波数に対する電気長θ4と、第1の片端短絡共振電極における第2の結合部を除く部分の中心周波数に対する電気長θ5と、第2の片端短絡共振電極における第2の結合部を除く部分の中心周波数に対する電気長θ6とが、θ3>θ1>θ4,θ5<θ2<θ6およびθ3−θ1≒θ1−θ4≒θ6−θ2≒θ2−θ5<10°の関係を満たすように配されていることから、電気長θ3,電気長θ1および電気長θ4の変化によって生じるフィルタ特性の変動を、電気長θ5,電気長θ2および電気長θ6の変化によって吸収することができるので、第1および第2の片端開放共振電極ならびに第1および第2の片端短絡共振電極を略L字形の形状に折り曲げることによって生じるフィルタ特性の変動を実用上問題ないレベルに抑えることができ、この結果、所望のフィルタ特性が安定して得られるとともに、その特性を確保しつつ設計の自由度が大きい、小型化が容易な積層ストリップラインフィルタを提供することができる。
【0014】
また、本発明の積層ストリップラインフィルタは、上記構成において、前記接地接続導体が前記誘電体層の内部に形成された貫通導体および/または側面に形成された端子電極であることを特徴とするものである。
【0015】
このように接地接続導体が貫通導体および/または端子電極であるものとすることにより、積層された複数の誘電体層の間に形成する積層ストリップラインフィルタの設計自由度が向上し、小型で高性能な積層ストリップラインフィルタを提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の積層ストリップラインフィルタを図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1は本発明の積層ストリップラインフィルタの実施の形態の一例を示す透視斜視図であり、図2は図1を積層方向から見た透視平面図である。図1および図2において、21は第1の誘電体層、22は第1の誘電体層21の上に積層された第2の誘電体層、23は第2の誘電体層22の上に積層された第3の誘電体層、30は第1の誘電体層21の下面に配された第1の接地電極、31は第3の誘電体層23の上面に配された第2の接地電極、32および33はそれぞれ第1および第2の誘電体層21・22の間に配された第1の片端開放共振電極および第1の片端短絡共振電極、34および35はそれぞれ第2および第3の誘電体層22・23の間に配された第2の片端開放共振電極および第2の片端短絡共振電極、36は積層方向から見た場合の対向して配された第1および第2の片端開放共振電極32・34が長さ方向に略同一の幅で互いに重なることにより形成される第1の結合部、37は積層方向から見た場合の対向して配された第1および第2の片端短絡共振電極33・35が長さ方向に略同一の幅で互いに重なることにより形成される第2の結合部、38は第1および第2の片端開放共振電極32・34の開放端、39は第1および第2の片端短絡共振電極33・35の短絡端である。なお、図1においては第1および第2の結合部36・37の図示は省略し、図2においては第1および第2の接地電極30・31の図示は省略している。
【0018】
そして、図1および図2に示すように、第1および第2の片端開放共振電極32・34は、それぞれ略同一の幅を有する矩形状共振電極が直角に折り曲げられた形の、略L字状の形状を有するとともに、積層方向から見て長さ方向に略同一の幅で重なる第1の結合部36を形成するように上下で対向して配されている。また、第1および第2の片端短絡共振電極33・35は、それぞれ短絡端39が接地接続導体(図示せず)を介して第1または第2の接地電極30・31と電気的に接続されており、これら第1および第2の片端短絡共振電極33・35は、それぞれ略同一の幅を有する矩形状共振電極が直角に折り曲げられた形の、略L字状の形状を有するとともに、積層方向から見て長さ方向に略同一の幅で重なる第2の結合部37を形成するように上下で対向して配されている。
【0019】
そして、第1の片端開放共振電極32の開放端38と反対側の端部と、第1の片端短絡共振電極33の短絡端39と反対側の端部とが電気的に接続され、第2の片端開放共振電極34の開放端38と反対側の端部と、第2の片端短絡共振電極35の短絡端39と反対側の端部とが電気的に接続されている。通常は、フィルタの損失を低減させるとともに、小型なフィルタを形成するという観点から、この例のように、それぞれの端部同士は直接に接続される。
【0020】
さらに、本発明の積層ストリップラインフィルタにおいては、第1および第2の結合部36・37の中心周波数に対する電気長θ1・θ2と、第1の片端開放共振電極32における第1の結合部36を除く部分の中心周波数に対する電気長θ3と、第2の片端開放共振電極34における第1の結合部36を除く部分の中心周波数に対する電気長θ4と、第1の片端短絡共振電極33における第2の結合部37を除く部分の中心周波数に対する電気長θ5と、第2の片端短絡共振電極35における第2の結合部37を除く部分の中心周波数に対する電気長θ6とが、θ3>θ1>θ4,θ5<θ2<θ6およびθ3−θ1≒θ1−θ4≒θ6−θ2≒θ2−θ5<10°の関係を満たすように配されている。
【0021】
本発明の積層ストリップラインフィルタによれば、このような構成としたことにより、電気長θ3,電気長θ1および電気長θ4の変化によって生じるフィルタ特性の変動を、電気長θ5,電気長θ2および電気長θ6の変化によって吸収することができるので、第1および第2の片端開放共振電極ならびに第1および第2の片端短絡共振電極を略L字形の形状に折り曲げることによって生じるフィルタ特性の変動を実用上問題ないレベルに抑えることができ、この結果、所望のフィルタ特性が安定して得られるとともに、その特性を確保しつつ設計の自由度が大きい、小型化が容易な積層ストリップラインフィルタを提供することができる。
【0022】
また、このような構成の本発明の積層ストリップラインフィルタは、接地接続導体として第1および第3の誘電体層21・23ならびに必要に応じて第2の誘電体層22の内部に形成された貫通導体および/または側面に形成された端子電極を用いて構成することにより、積層された複数の誘電体層の内部に形成する積層ストリップラインフィルタの設計自由度が向上し、小型で高性能な積層ストリップラインフィルタを提供することができる。
【0023】
本発明の積層ストリップラインフィルタを形成するに当たり、第1〜第3の誘電体層21〜23、第1および第2の接地電極30・31、第1および第2の片端開放共振電極32・34、第1および第2の片端短絡共振電極33・35、接地接続導体は、それぞれ周知の高周波用配線基板に使用される種々の材料・形態のものを使用することができる。
【0024】
本発明の積層ストリップラインフィルタに用いる第1〜第3の誘電体層21〜23としては、例えばアルミナセラミックス・ムライトセラミックス等のセラミックス材料やガラスセラミックス等の無機系材料、あるいは四ふっ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン;PTFE)・四ふっ化エチレン−エチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合樹脂;ETFE)・四ふっ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン−パーフルテロアルキルビニルエーテル共重合樹脂;PFA)等のフッ素樹脂やガラスエポキシ樹脂・ポリイミド等の樹脂系材料等が用いられる。これらの材料による第1〜第3の誘電体層21〜23の形状や寸法(厚みや幅・長さ)は、使用される周波数や用途等に応じて設定される。
【0025】
本発明の積層ストリップラインフィルタにおける第1および第2の接地電極30・31、第1および第2の片端開放共振電極32・34、第1および第2の片端短絡共振電極33・35、接地接続導体は、高周波信号伝送用の金属材料の導体層、例えばCu層・Mo−Mnのメタライズ層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの・Wのメタライズ層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの・Cr−Cu合金層・Cr−Cu合金層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの・Ta2N層上にNi−Cr合金層およびAuメッキ層を被着させたもの・Ti層上にPt層およびAuメッキ層を被着させたもの、またはNi−Cr合金層上にPt層およびAuメッキ層を被着させたもの等を用いて、厚膜印刷法あるいは各種の薄膜形成方法やメッキ法等により形成される。その厚みや幅も、伝送される高周波信号の周波数や用途等に応じて設定される。
【0026】
本発明の積層ストリップラインフィルタに用いる第1〜第3の誘電体層21〜23の作製にあたっては、例えば誘電体層がガラスセラミックスから成る場合であれば、まず誘電体層となるガラスセラミックスのグリーンシートを準備し、必要に応じてこれに所定の打ち抜き加工を施して貫通導体となる貫通孔を形成した後、スクリーン印刷法によりCu等の導体ペーストを貫通孔に充填するとともに、所定の共振電極および接地電極や端子電極の導体層のパターンを印刷塗布する。次に、850〜1000℃で焼成を行ない、最後に各導体層上にNiメッキおよびAuメッキを施す。
【0027】
図3は、図1および図2に示す構成の本発明の積層ストリップラインフィルタならびに図6および図7に示す従来の積層ストリップラインフィルタについて、容量性結合が支配的な場合に得られるフィルタ特性を示したものである。
【0028】
図3において横軸は周波数(単位:GHz)を、縦軸は挿入損失(単位:dB)を、f0は中心周波数を、BWは通過帯域を、frは減衰極を表す。図3に示すフィルタ特性は、通過帯域BWの低域側に減衰極frを1個形成するという特徴を有する。図1および図2に示す構成の本発明の積層ストリップラインフィルタならびに図6および図7に示す従来の積層ストリップラインフィルタは、ともに図3に示すフィルタ特性を実現することができるものである。
【0029】
図4は、図6および図7に示す従来の積層ストリップラインフィルタ(θ11=θ13=θ14,θ12=θ15=θ16)について、通過帯域BW内のVSWR(電圧定在波比)特性を示したものである。図4において、横軸は周波数(単位:GHz)を、縦軸は通過帯域BW内のVSWRを表す。
【0030】
一般に、積層ストリップラインフィルタに対して要求される通過帯域BW内の最大VSWRの値は1.5程度であり、図4に示す通過帯域BW内のVSWR特性は、この要求を満足している。
【0031】
次に、図5は、図1および図2に示す構成の本発明の積層ストリップラインフィルタにおいて、θ3>θ1>θ4,θ5<θ2<θ6の条件下で、Δθ=θ3−θ1=θ1−θ4=θ6−θ2=θ2−θ5としてΔθを変化させた場合のシミュレーションを実施した結果について、Δθの変化量に対する通過帯域内最大VSWRの変化量の例を示した線図である。
【0032】
このシミュレーションは、図1および図2において、第1の結合部36の特性インピーダンスZ1と、第2の結合部37の特性インピーダンスZ2と、第1の片端開放共振電極32における第1の結合部36を除く部分、または第2の片端開放共振電極34における第1の結合部36を除く部分の特性インピーダンスZ3と、第1の片端短絡共振電極33における第2の結合部37を除く部分、または第2の片端短絡共振電極35における第2の結合部37を除く部分の特性インピーダンスZ4を、Z1=22.752Ω,Z2=46.758Ω,Z3=8.137Ω,Z4=9.492Ωに設定し、θ1=θ2=90°としてθ3>θ1>θ4,θ5<θ2<θ6の条件下でΔθを変化させた場合の検討を実施したものである。
【0033】
図5において、横軸はΔθ(単位:°)を、縦軸は通過帯域内最大VSWRを表している。
【0034】
一般に、積層ストリップラインフィルタに対して要求される通過帯域内最大VSWRの値は1.5程度である。しかしながら、図6および図7に示す従来の積層ストリップラインフィルタ(θ11=θ13=θ14,θ12=θ15=θ16)においては、図4に示すように通過帯域BW内の最大VSWRの値として1.5以下であったものが、θ11=θ13=θ14,θ12=θ15=θ16の条件が崩れると、θ11〜θ16の変動が約1°程度で通過帯域内最大VSWRは1.5を超えていた。
【0035】
これに対し、図5に示す結果から明らかなように、本発明の積層ストリップラインフィルタによれば、通過帯域内最大VSWRの値として1.5を指標とした場合、Δθの変動を約10°まで許容することができ、この範囲内であれば、第1および第2の片端開放共振電極32.34ならびに第1および第2の片端短絡共振電極33・35を略L字状の形状とすることによって生じるフィルタ特性の変動を実用上問題ないレベルに抑えることができることが確認できた。この結果、本発明のストリップラインフィルタによれば、所望のフィルタ特性を確保しつつ、設計の自由度が大きい、小型化が容易な積層ストリップラインフィルタを提供することができる。
【0036】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更・改良を加えることは何ら差し支えない。
【0037】
例えば、本発明の積層ストリップラインフィルタを構成する第1および第2の片端開放共振電極32・34ならびに第1および第2の片端短絡共振電極33・35は直角に折り曲げた形状に限定されるものではなく、それぞれ角部を円弧状として曲げた形状等で形成してもよい。
【0038】
【発明の効果】
本発明の積層ストリップラインフィルタによれば、第1および第2の結合部の中心周波数に対する電気長θ1・θ2と、第1の片端開放共振電極における第1の結合部を除く部分の中心周波数に対する電気長θ3と、第2の片端開放共振電極における第1の結合部を除く部分の中心周波数に対する電気長θ4と、第1の片端短絡共振電極における第2の結合部を除く部分の中心周波数に対する電気長θ5と、第2の片端短絡共振電極における第2の結合部を除く部分の中心周波数に対する電気長θ6とが、θ3>θ1>θ4,θ5<θ2<θ6およびθ3−θ1≒θ1−θ4≒θ6−θ2≒θ2−θ5<10°の関係を満たすように配されていることから、電気長θ3,電気長θ1および電気長θ4の変化によって生じるフィルタ特性の変動を、電気長θ5,電気長θ2および電気長θ6の変化によって吸収することができるので、第1および第2の片端開放共振電極ならびに第1および第2の片端短絡共振電極を略L字形の形状に折り曲げることによって生じるフィルタ特性の変動を実用上問題ないレベルに抑えることができ、この結果、所望のフィルタ特性が安定して得られるとともに、その特性を確保しつつ設計の自由度が大きい、小型化が容易な積層ストリップラインフィルタを提供することができる。
【0039】
また、本発明の積層ストリップラインフィルタは、接地接続導体が誘電体層の内部に形成された貫通導体および/または側面に形成された端子電極であるものとしたときには、積層された複数の誘電体層の間に形成する積層ストリップラインフィルタの設計自由度が向上し、小型で高性能な積層ストリップラインフィルタを提供することができる。
【0040】
以上のように、本発明によれば、安定したフィルタ特性が得られるとともに、設計の自由度が大きく小型化が容易な積層ストリップラインフィルタを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層ストリップラインフィルタの実施の形態を示す透視斜視図である。
【図2】本発明の積層ストリップラインフィルタの実施の形態を示す透視平面図である。
【図3】本発明の積層ストリップラインフィルタおよび従来の積層ストリップラインフィルタにおける挿入損失を示す線図である。
【図4】本発明の積層ストリップラインフィルタおよび従来の積層ストリップラインフィルタにおける通過帯域内のVSWRを示す線図である。
【図5】本発明の積層ストリップラインフィルタにおけるΔθの変化量に対する、通過帯域内最大VSWRを示す線図である。
【図6】従来の積層ストリップラインフィルタの例を示す透視斜視図である。
【図7】従来の積層ストリップラインフィルタの例を示す透視平面図である。
【符号の説明】
21・・・第1の誘電体層
22・・・第2の誘電体層
23・・・第3の誘電体層
30・・・第1の接地電極
31・・・第2の接地電極
32・・・第1の片端開放共振電極
33・・・第1の片端短絡共振電極
34・・・第2の片端開放共振電極
35・・・第2の片端短絡共振電極
36・・・第1の結合部
37・・・第2の結合部
38・・・開放端
39・・・短絡端

Claims (2)

  1. 第1の誘電体層と、該第1の誘電体層の上に積層された第2の誘電体層と、該第2の誘電体層の上に積層された第3の誘電体層と、前記第1の誘電体層の下面に配された第1の接地電極と、前記第3の誘電体層の上面に配された第2の接地電極と、前記第1および第2の誘電体層の間に配された第1の片端開放共振電極および第1の片端短絡共振電極と、前記第2および第3の誘電体層の間に配された第2の片端開放共振電極および第2の片端短絡共振電極とから成り、
    前記第1および第2の片端開放共振電極は、それぞれ略同一の幅を有する略L字形の形状を有するとともに積層方向から見て長さ方向に略同一の幅で重なる第1の結合部を形成するように対向して配され、
    前記第1および第2の片端短絡共振電極は、それぞれ略同一の幅を有する略L字形の形状を有するとともに積層方向から見て長さ方向に略同一の幅で重なる第2の結合部を形成するように対向して配され、
    前記第1および第2の片端短絡共振電極は、それぞれ短絡端が接地接続導体を介して前記第1または第2の接地電極と電気的に接続され、
    前記第1の片端開放共振電極の開放端と反対側の端部と、前記第1の片端短絡共振電極の短絡端と反対側の端部とが電気的に接続され、
    前記第2の片端開放共振電極の開放端と反対側の端部と、前記第2の片端短絡共振電極の短絡端と反対側の端部とが電気的に接続されており、
    前記第1および第2の結合部の中心周波数に対する電気長θ1およびθ2と、前記第1の片端開放共振電極における前記第1の結合部を除く部分の中心周波数に対する電気長θ3と、前記第2の片端開放共振電極における前記第1の結合部を除く部分の中心周波数に対する電気長θ4と、前記第1の片端短絡共振電極における前記第2の結合部を除く部分の中心周波数に対する電気長θ5と、前記第2の片端短絡共振電極における前記第2の結合部を除く部分の中心周波数に対する電気長θ6とが、θ3>θ1>θ4,θ5<θ2<θ6およびθ3−θ1≒θ1−θ4≒θ6−θ2≒θ2−θ5<10°の関係を満たすことを特徴とする積層ストリップラインフィルタ。
  2. 前記接地接続導体が前記誘電体層の内部に形成された貫通導体および/または側面に形成された端子電極であることを特徴とする請求項1記載の積層ストリップラインフィルタ。
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