JPH05267907A

JPH05267907A - 誘電体フィルタ

Info

Publication number: JPH05267907A
Application number: JP9242992A
Authority: JP
Inventors: Kazuhisa Yamazaki; 和久山崎; Hisao Sato; 久夫佐藤
Original assignee: FDK Corp
Current assignee: FDK Corp
Priority date: 1992-03-19
Filing date: 1992-03-19
Publication date: 1993-10-15

Abstract

(57)【要約】【目的】小型化でＱ値の高い誘電体フィルタを提供す
ること。【構成】第１〜第４誘電体ブロック１０ａ〜１０ｄを
積層配置して誘電体ブロック本体１０を形成する。第２
〜第４誘電体ブロック１０ｂ〜１０ｄの上面所定位置に
入出力端子パターン１２，１２′，１２″，１２，１
２′，１２″並びに共振器内導体パターン１３，１４，
１５，１３′，１４′，１５′，１３″，１４″，１
５″を形成し、それら各パターンは上下方向に一致させ
ている。そして、上下に一致させた各パターン相互は、
スルーホール１８にて結合されている。なお、誘電体ブ
ロック本体１０の周囲には、アース層１６が形成されて
いる。【効果】上下に一致するパターンは見掛上１本の太い
棒状の共振器内導体となり、その表面積が大きく抵抗損
が低下し、Ｑ値が増加する。また、スルーホールにより
結合度合いが向上すると共に、パターン間での負荷容量
が低下する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、誘電体フィルタに関す
るもので、より具体的には積層配置された複数の誘電体
ブロック間に所定形状の共振器内導体を介在させてなる
ストリップライン型の誘電体フィルタの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】誘電体フィルタは、自動車電話や携帯電
話その他各種の移動体通信用回路の構成部品に利用され
ている。そして、係る移動体通信では、回線需要の増大
に対処するため、その使用周波数帯をＶＨＦ帯からＵＨ
Ｆ帯へと超高周波化に移行している。それに伴い、誘電
体フィルタの形状・構成も多種多様のものが開発されて
いる。そして、小型かつ高品質でしかも安価な誘電体フ
ィルタの提供を目的としたものの一例として特開昭５７
−２０４６０２号公報に示されたものがある。

【０００３】すなわち、この公報に開示された誘電体フ
ィルタは、図５に示すように、一対の矩形平板状の誘電
体ブロック１，１間に、所定形状の金属プレート２を介
在させている。そして、この金属プレート２は、１／４
波長またはその正数倍で共振する共振器内導体２ａと、
その共振器内導体２ａの片側を共通に接続した接地導体
２ｂとから構成されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記した従来の誘電体
フィルタでは、確かに円筒状の誘電体の所定部位を導体
で被覆してなる１／４波長同軸誘電体共振器等からなる
誘電体フィルタに比べると小型，高品質，安価なものと
なるが、係る誘電体フィルタを実装する携帯電話等の装
置本体のさらなる小型化の要求に対応すべく、誘電体フ
ィルタの高さ方向、すなわち、誘電体ブロック１の肉厚
を薄くすると、Ｑ値が低下して、特性の劣化を生じると
いう新たな問題を生じ、小型（薄型）化に支障を生じて
しまう。

【０００５】本発明は、上記した背景に鑑みてなされた
もので、その目的とするところは、小型でかつ低損失の
誘電体フィルタを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため、本発明に係る誘電体フィルタでは、３枚以上の誘
電体ブロックを積層配置して形成される誘電体ブロック
本体と、その誘電体ブロック間に形成される共振器内導
体とを備えた誘電体フィルタであって、前記共振器内導
体が異なる前記誘電体ブロック間に上下方向に一致する
ように配置された複数の共振器内導体パターンから構成
した。

【０００７】

【作用】上下方向に一致するように配置された複数の共
振器内導体パターンは、見掛上１本の共振器内導体を構
成していると見ることができる。よって、その１本の共
振器内導体の表面積は、複数の共振器内導体パターンの
表裏面を合わせたものとなり、増大する。その結果、抵
抗損が低下し、Ｑ値が増加する。よって、薄型化を図っ
たとしても従来の金属プレートを用いた誘電体フィルタ
と同等の特性が得られる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明に係る好適な実施例を添付図面
を参照にして詳述する。図１は、本発明に係る誘電体フ
ィルタの第１実施例を示している。同図に示すように、
本発明の誘電体フィルタは、まず、略同一平面形状から
なる矩形平板状の４枚の誘電体ブロック１０ａ，１０
ｂ，１０ｃ，１０ｄを順次積層配置して、誘電体ブロッ
ク本体１０を形成している。そして、便宜上各誘電体ブ
ロックを上から順に第１〜第４誘電体ブロック１０ａ〜
１０ｄと称すると、同図（Ｃ）から明らかなように、第
１誘電体ブロック１０ａ，第４誘電体ブロック１０ｄの
肉厚（約１〜２mm）に比較し、第２誘電体ブロック１０
ｂ，第３誘電体ブロック１０ｃの肉厚（約数１０μｍ）
を薄く設定している。

【０００９】そして、第１誘電体ブロック１０ａと第２
誘電体ブロック１０ｂとの間に画成される間隙、すなわ
ち、第２誘電体ブロック１０ｂの上面所定位置に平面略
Ｌ字状の入出力端子パターン１２，１２を形成してい
る。この入出力端子パターン１２，１２の一端１２ａ，
１２ａは、誘電体ブロック本体１０の一側壁面（便宜上
「前面」と称し、以後この面を基準として説明する）Ａ
上に達しており、他端１２ｂ，１２ｂは、係る前面Ａに
隣接する側面Ｂ，Ｃにそれぞれ達するように形成されて
いる。

【００１０】また、それら両入出力端子パターン１２，
１２の間には、３本の帯状の共振器内導体パターン１
３，１４，１５が平行に形成されている。そしてこれら
各共振器内導体パターン１３，１４，１５は、ともにそ
の一端１３ａ，１４ａ，１５ａが上記入出力端子パター
ン１２，１２の一端１２ａ，１２ａが位置する前面Ａ上
に位置し、他端が後面Ｄに向けて延長配置され、その他
端と後面Ｄとの間には所定の距離が形成されている。

【００１１】さらに、第３誘電体ブロック１０ｃ並びに
第４誘電体ブロック１０ｄの上面所定位置にも、上記構
成の入出力端子パターン１２，１２並びに共振器内導体
パターン１３，１４，１５と同一形状からなる各パター
ン１２′，１２′，１３′，１４′，１５′，１２″，
１２″，１３″，１４″，１５″をそれぞれ形成してい
る。これにより、各誘電体ブロック間に形成した入出力
端子パターン（１２，１２′，１２″），（１２，１
２′，１２″）並びに共振器内導体パターン（１３，１
３′，１３″），（１４，１４′，１４″），（１５，
１５′，１５″）は、上下方向に略一致するようになっ
ている。

【００１２】さらに本例では、上記入出力端子パターン
１２，１２（１２′，１２′，１２″，１２″も同様）
の他端１２ｂ，１２ｂの周囲を除く、誘電体ブロック本
体１０のほぼ全周囲にわたって導体で囲繞し、アース層
１６を形成している。そして、このアース層１６に、上
記した入出力端子パターン１２，１２，１２′，１
２′，１２″，１２″並びに共振器内導体パターン１
３，１４，１５，１３′，１４′，１５′，１３″，１
４″，１５″の一端が接続され、接地される。

【００１３】そして、上記した構成にすることにより、
本実施例では、上下に隣接する３本のパターンを見掛上
１本の太い棒状の共振器内導体と見ることができ、その
表面積を見ると、３本のパターンの表裏面を合わせた６
面分を有し、従来の金属プレート（表裏２面分にごく僅
かな側面分を加えたもの）に比較して増大する。その結
果、１本とみなせる共振器内導体パターンの抵抗値が下
がり、損失が少なくなり、Ｑ値が増大する。そして、係
る効果は、上下に隣接する３本のパターンの間隔、すな
わち、第２，第３誘電体ブロック１０ｂ，１０ｃの肉厚
が薄いほど一体化の度合いが増し、良好となる。

【００１４】ここで、上記構成からなる誘電体フィルタ
の製造方法の一例について図２に基づいて説明すると、
例えば低温焼結可能な誘電体セラミックグリーンシート
を用いて所定厚さからなる第４誘電体ブロック１０ｄを
製造後、その第４誘電体ブロック１０ｄの上面所定位置
に、導体ペーストをスクリーン印刷などして入出力端子
パターン１２″，１２″並びに共振器内導体パターン１
３″，１４″，１５″を形成する。次いで、上記各パタ
ーンを覆うようにして第４誘電体ブロック１０ｄの上面
側に誘電体セラミックグリーンシートを用いて第３誘電
体ブロック１０ｃを積層形成する。この時、上述したご
とく、第４誘電体ブロック１０ｄの厚さに比し第３誘電
体ブロック１０ｃの厚さを薄くしている。そして、その
第３誘電体ブロック１０ｃの上面所定位置に、上記と同
様にして各パターン１２′，１２′，１３′，１４′，
１５′を形成する。以後、上記操作を繰り返すことによ
り、層間に各種パターンを備えた４層の誘電体ブロック
が積層形成される。

【００１５】この状態で上下方向に加圧した後、その各
誘電体ブロックの露出した外周囲所定部位に導体膜（ア
ース層１６となる）を塗布し、次いで同時焼結すること
により一回の焼結で、誘電体フィルタが製造される。

【００１６】図３は本発明に係る誘電体フィルタの第２
実施例を示している。同図に示すように、本例では上記
した第１実施例と基本的には同一の構成をとっている
が、さらに、第２誘電体ブロック１０ｂ並びに第３誘電
体ブロック１０ｃの所定位置、より具体的には上記各パ
ターンの形成された部位にスルーホール１８を形成して
いる。これにより、上下に隣接する入出力端子パターン
（１２，１２′，１２″），（１２，１２′，１２″）
同士が直接接続されて一体化される。同様に、共振器内
導体パターン（１３，１３′，１３″），（１４，１
４′，１４″），（１５，１５′，１５″）同士も直接
接続されることになる。

【００１７】係る構成にすることにより、一体化がより
進み、上下３枚のパターンの結合状態が向上し、さら
に、上記スルーホール１８の分だけ表面積が増加するた
め、上記した第１実施例における各種効果（損失の低減
等）に比し、よりいっそうの効果が発揮される。また、
係るスルーホール１８を設けることにより、上下に隣接
するパターン間に生じる分布容量を低減させることがで
き、性能の向上が図られる。

【００１８】また、上記スルーホール１８を形成する箇
所並びに設置個数は任意であるが、設置する個数が多い
ほど上記した効果が向上する。なお、その他の構成並び
に作用・効果は上記した第１実施例と同様であるため、
その詳細な説明は省略する。

【００１９】なお、上記した各実施例では、いずれもグ
リーンシートを用い比較的肉薄の誘電体ブロックを用い
て構成した例について説明したが、本発明はこれに限る
ことなく、例えば図４に示すように、予め偏平矩形状に
形成された焼結体を用いて構成するようにしても良い。
そして係る場合に、第２〜第４誘電体ブロック１０′ｂ
〜１０′ｄとなる焼結体の上面所定部位に導体ペースト
をスクリーン印刷等にて塗布した後低温焼結したり、エ
ッチング等することにより各パターンを形成した後、各
誘電体ブロック１０′ａ〜１０′ｄを層状に配置し、隣
接する誘電体ブロック同士を接着その他の手段にて固定
する。

【００２０】そして、図示するごとく、４枚の誘電体ブ
ロック１０′ａ〜１０′ｄを同一形状のものから構成し
た場合には、部品の共通化が図れ、製造作業の容易性を
図ると共にコストの低減も図ることができる。

【００２１】また、上記の図４に示す焼結体からなる誘
電体ブロックを用いて形成する誘電体フィルタに対して
も上記した第２実施例のようにスルーホールを設けるこ
とにより上下に隣接するパターン同士を接続するように
しても良い（図示省略）。

【００２２】さらに本発明では、共振器内導体パターン
で挟まれた第２，第３誘電体ブロック１０ｂ，１０ｃ，
１０′ｂ，１０′ｃの誘電率を、他の第１，第４誘電体
ブロック１０ａ，１０ｄ，１０′ａ，１０′ｄの誘電率
より大きくするようにしても良い。係る場合には、複数
の共振器内導体パターン相互の一体化の度合いが増すた
め、上記した各種効果のさらなる向上が図れる。

【００２３】なお、上記した各実施例では、第２〜第４
誘電体ブロックの上面所定位置に各種パターンを形成す
るようにしたが、第１〜第３誘電体ブロックの下面所定
位置に各パターンを形成するようにしても良く、或いは
適宜選択されたパターンをそれぞれ両面に別けて形成す
るようにしてももちろん良い。

【００２４】また、上記した各実施例では、いずれも一
平面上に３本の共振器内導体パターンを備えた誘電体フ
ィルタについて説明したが、本発明はこれに限ること無
く、１本或いは複数の共振器内導体パターンを有するも
のでも良く、さらに、上下方向に配置する数も同様に任
意であるのはもちろんである。そしてまた、スルーホー
ルを形成する場合に、上記した実施例のようにすべての
パターン間を接続するように形成する必要はなく、一部
のパターン間のみをスルーホールで接続するようにして
も良い。

【００２５】

【発明の効果】以上のように、本発明に係る誘電体フィ
ルタでは、上下に配置された複数のパターンで見掛上１
本の中心導体を構成することができるため、抵抗損が低
減し、Ｑ値が増大することができる。つまり、Ｑ値を同
等とすれば小型化（薄形）可能となる。

【００２６】また、上下に配置されたパターン間をスル
ーホールで接続した場合には、上記した効果が向上する
ばかりでなく、パターン間に生じる分布容量も小さくす
ることができる。

【００２７】さらに、上下方向に一致させた複数の共振
器内導体パターン間の間隔を小さくしたり、或いは係る
部位に位置する誘電体ブロックの誘電率を大きくした場
合には、上記した共振器内導体パターン間の一体化の度
合いが上昇し、上記した各種効果がさらに向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）は本発明に係る誘電体フィルタの第１実
施例を示す斜視図である。（Ｂ）はパターン部を拡大し
て示す斜視図である。（Ｃ）は図（Ａ）におけるＣ−Ｃ
線矢視断面図である。

【図２】本実施例に係る誘電体フィルタの製造工程を説
明するための図である。

【図３】（Ａ）は本発明に係る誘電体フィルタの第２実
施例のパターン部を拡大して示す斜視図である。（Ｂ）
は本例における図１（Ｃ）に対応する断面図である。

【図４】本発明に係る誘電体フィルタの変形例を示す図
である。

【図５】従来の誘電体フィルタの一例を示す斜視図であ
る。

【符号の説明】

１０誘電体ブロック本体１０ａ〜１０ｄ，１０′ａ〜１０′ｄ第１〜第４誘電
体ブロック１３，１４，１５，１３′，１４′，１５′，１３″，
１４″，１５″共振器内導体１８スルーホール

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】３枚以上の誘電体ブロックを積層配置し
て形成される誘電体ブロック本体と、その誘電体ブロッ
ク間に形成される共振器内導体とを備えた誘電体フィル
タであって、前記共振器内導体が異なる前記誘電体ブロック間に上下
方向に一致するように配置された複数の共振器内導体パ
ターンから構成されてなることを特徴とする誘電体フィ
ルタ。
【請求項２】前記上下方向に一致するように配置され
た複数の共振器内導体パターンが、前記誘電体ブロック
に上下に貫通状態に形成されたスルーホールで接続され
たことを特徴とする請求項１に記載の誘電体フィルタ。
【請求項３】前記複数の共振器内導体パターンの間隔
を前記共振器内導体パターンと前記誘電体ブロック本体
表面との間隔より短くしたことを特徴とする請求項１ま
たは２に記載の誘電体フィルタ。
【請求項４】前記複数の共振器内導体パターンで挟ま
れた前記誘電体ブロックの誘電率を他の誘電体ブロック
の誘電率より大きくしたことを特徴とする請求項１〜３
のいずれか１項に記載の誘電体フィルタ。