JP2008271502A - フィルタ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 UWB用のフィルタに適した、通過帯域が広く、通過帯域の外側により急峻な減衰特性を有するフィルタ装置を提供する。
【解決手段】 誘電体層1aが積層された積層体1と、積層体1を挟んで対向して配置された接地電極2a・2aと、積層体1内で互いに電磁界結合するように横並びに整列され、短絡端と開放端を有する複数の共振器電極3(3a〜3d)と、共振器電極3の1つと電磁界結合するように配置され、短絡端および開放端を有する減衰共振器電極4と、共振器電極3の初段3aに接続された入力端子電極5と、共振器電極3の最終段3dに接続された出力端子電極6とからなり、減衰共振器電極4は開放端が複数に分岐した形状であり、短絡端から分岐した開放端の各先端までの長さがそれぞれ異なるフィルタ装置である。各先端までの長さに応じた複数の減衰極を形成でき、急峻な減衰特性を有するフィルタ装置とすることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば携帯電話、無線LAN(Local Area Network)、UWB(Ultra Wide Band)等の無線通信機器その他の各種通信機器等において使用されるフィルタ装置に関するものである。
近年、携帯電話機や無線LAN等の様々な用途で無線通信機器が用いられるようになっており、各無線通信機器において使用される周波数が互いに近くなっていることから、これらの無線通信機器には、所望周波数帯域の信号のみを選択的に通過させるとともに、通過帯域の低周波側および高周波側に近接した信号帯域における不所望信号の混入を防止して良質の通信を行ない得るようにするために、通過周波数帯域の低周波側および高周波側の減衰帯域にそれぞれ減衰極を備えた帯域通過特性を有するフィルタ装置が搭載されている。
情報伝送容量の増加に伴い、無線通信機器は使用可能な周波数帯域において、高周波化と広帯域化とで利用帯域幅を拡張して情報伝送容量を確保するようになってきている。そのため、通過帯域が広く、通過帯域の近傍に減衰極を有する(急峻な減衰特性を有する)フィルタ装置が求められるようになってきている。また、無線通信機器に対する小型化薄型化の要求により、複数の誘電体と電極とを積層したフィルタ装置が採用されている。
従来のフィルタ装置として、図13に分解斜視図で示すような、多数の誘電体シート11aが積層・接合されて焼結一体化されている誘電体チップ11の内部に、短絡端と開放端とが互い違いとなるインターデジタル型に配置された複数の共振器内導体13と内挿入出力電極15b・16bとが埋設され、誘電体チップ11の外面には、共振器外導体12aと外部入出力電極15a・16aとが設けられているストリップ線路型の積層誘電体フィルタにおいて、共振器内導体13a・13dの短絡端と開放端とが互い違いとなるインターデジタル型であり、隣接する共振器内導体13a・13dの短絡端近傍の共振器外導体12a・12a間を繋ぐ短絡端接続パターン17が埋設されたものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。これによば、短絡端接続パターン17を形成する層の位置や、パターン幅などのパターン形状を変えることにより、通過帯域付近の任意の周波数に減衰極を設定し、急峻な減衰特性を得ることができるというものである。
特開平11−88009号公報
近年、新しい通信手段として着目されているUWBは、10m程度の短い距離において広い周波数帯域を使用して大容量のデータ転送を実現するものであり、例えば米国FCC(Federal Communication Commission)の規定によると3.1〜10.6GHzという非常に広い周波数帯域を使用する計画となっている。そして、日本では、無線LANのIEEE802.11.aにおいて使用される5.15GHz〜5.25GHzを避ける形で、3.4GHz〜4.8GHz程度の帯域を使用するローバンドと7.25GHz〜10.25GHz程度の帯域を使用するハイバンドとに分割された規格が立案されている。このため、ローバンド用のフィルタであれば、3.4GHz〜4.8GHz程度の広い帯域を使用する(通過させる)のに対してわずかに0.35GHzしか離れていない5.15GHzでは減衰するという非常に急峻な減衰特性が求められている。
しかしながら、従来のフィルタ装置では、通過帯域よりも低域側または高域側にそれぞれ1つの減衰極を発生させることしかできないため、例えばUWBのローバンドのような広い通過帯域の両側で急峻に減衰する極を形成すると、この減衰極よりさらに高周波側および低周波側に減衰特性の跳ね上がりのある減衰特性となってしまうので、通過帯域の高周波側の無線LANで使用する帯域における減衰量が十分ではなく、その無線LANと干渉してしまうという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、通過帯域よりも低域側および高域側に減衰極をより急峻に発生させることのできる、例えばUWB用にも用いることのできるフィルタ装置を提供することにある。
本発明のフィルタ装置は、複数の誘電体層が積層されてなる積層体と、該積層体を挟んで対向するように配置された接地電極と、前記積層体内において互いに電磁界結合するように平面視で横並びに整列され、それぞれ一方端が短絡端で他方端が開放端である複数の共振器電極と、該共振器電極間以外の前記積層体内において前記共振器電極の1つと電磁界結合するように配置され、一方端が短絡端で他方端が開放端である少なくとも1つの減衰共振器電極と、前記横並びに整列された共振器電極の初段に接続された入力端子電極と、前記横並びに整列された共振器電極の最終段に接続された出力端子電極とからなるフィルタ装置であって、前記減衰共振器電極は前記開放端が複数に分岐した形状であり、前記短絡端から分岐した前記開放端の各先端までの長さがそれぞれ異なることを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ装置は、上記構成において、一端が前記誘電体層を挟んで初段の前記共振器電極の短絡端と対向し、他端が前記誘電体層を挟んで最終段の前記共振器電極の短絡端部と対向して配置され、これら一端および他端が対向している前記共振器電極の短絡端にそれぞれ電気的に接続された結合電極を有することを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ装置は、上記各構成において、前記接地電極と前記共振器電極との間において前記誘電体層を挟んで前記接地電極と対向するとともに、複数の前記共振器電極の開放端にそれぞれ電気的に接続された複数の容量電極を有することを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ装置は、上記各構成において、前記入力端子電極は、前記共振器電極の初段に沿った形状で、前記誘電体層を挟んで前記共振器電極の初段と対向するように配置されて前記共振器電極の初段と電磁界結合する内部入力端子電極と、前記積層体の外表面に形成され、前記内部入力端子電極に前記共振器電極の初段の前記開放端側で接続された外部入力端子電極とを具備し、前記出力端子電極は、前記共振器電極の最終段に沿った形状で、前記誘電体層を挟んで前記共振器電極の最終段と対向するように配置されて前記共振器電極の最終段と電磁界結合する内部出力端子電極と、前記積層体の外表面に形成され、前記内部出力端子電極に前記共振器電極の最終段の前記開放端側で接続された外部出力端子電極とを具備していることを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ装置は、上記各構成において、前記入力端子電極および前記出力端子電極は、前記誘電体層を挟んで前記共振器電極と対向するように配置され、それぞれ前記共振器電極と電磁界結合することを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ装置は、上記各構成において、複数の前記共振器電極は、インターデジタル型に配置されていることを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ装置は、上記各構成において、複数の前記共振器電極は、コムライン型に配置されていることを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ装置は、上記各構成において、前記共振器電極が形成された前記誘電体層間に、平面視で複数の前記共振器電極を取り囲むように内部接地電極が形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ装置は、上記構成において、前記容量電極の一部が前記誘電体層を挟んで前記内部接地電極と対向するように配置されていることを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ装置は、上記各構成において、前記誘電体層を挟んで前記接地電極または前記内部接地電極と対向するとともに前記減衰共振器電極の開放端に電気的に接続された第2容量電極を有することを特徴とするものである。
本発明のフィルタ装置によれば、共振器電極の1つと電磁界結合するように配置され、一方端が短絡端で他方端が開放端である少なくとも1つの減衰共振器電極を有し、減衰共振器電極は開放端が複数に分岐した形状であり、短絡端から分岐した開放端の各先端までの長さがそれぞれ異なることから、減衰共振器電極により共振器電極による減衰極と通過帯域との間に反作用共振器(ノッチフィルタ)として機能する減衰極を形成することができるので、所望の通過帯域を有し、かつ特定の周波数における不要信号を除去した、より急峻な減衰特性を有するフィルタ装置とすることができるとともに、減衰共振器電極の短絡端から分岐した開放端の各先端までの電気長に応じた複数の減衰極を形成することができるので、短絡端から分岐した開放端の各先端までの長さを調整して複数の減衰極の位置を調整することにより、容易により急峻な減衰特性を有するフィルタ装置とすることができる。
また、本発明のフィルタ装置によれば、一端が誘電体層を挟んで初段の共振器電極の短絡端と対向し、他端が誘電体層を挟んで最終段の共振器電極の短絡端部と対向して配置され、これら一端および他端が対向している共振器電極の短絡端にそれぞれ電気的に接続された結合電極を有するときには、結合の弱い初段の共振器電極と最終段の共振器電極との間の結合を強めることができるので、フィルタの通過帯域により近い位置周波数(通過帯域の低域側または高域側)に減衰極を形成することができ、より急峻な減衰特性を有するフィルタ装置を提供することができる。
また、本発明のフィルタ装置によれば、接地電極と前記共振器電極との間において誘電体層を挟んで接地電極と対向するとともに、複数の共振器電極の開放端にそれぞれ電気的に接続された複数の容量電極を有するときには、容量電極と接地電極との距離は共振器電極と接地電極との距離より短くなり、これにより共振器電極と接地電極との間の結合がより強くなり共振器電極のC結合が強化されるので、各共振器電極の長さを短縮することができ、より小型のフィルタ装置を提供することができる。
また、本発明のフィルタ装置によれば、入力端子電極が、共振器電極の初段に沿った形状で、誘電体層を挟んで共振器電極の初段と対向するように配置されて共振器電極の初段と電磁界結合する内部入力端子電極と、積層体の外表面に形成され、内部入力端子電極に共振器電極の初段の開放端側で接続された外部入力端子電極とを具備し、出力端子電極が、共振器電極の最終段に沿った形状で、誘電体層を挟んで共振器電極の最終段と対向するように配置されて共振器電極の最終段と電磁界結合する内部出力端子電極と、積層体の外表面に形成され、内部出力端子電極に共振器電極の最終段の開放端側で接続された外部出力端子電極とを具備している場合は、入力端子電極と初段の共振器電極との間および出力端子電極と最終段の共振器電極との間において、磁界による結合と電界による結合とが加算されて強い結合が生じるので、これにより、従来の1/4波長共振器を利用したフィルタで実現可能だった帯域より広い通過帯域であっても、それぞれの共振モードの共振周波数の間に位置する周波数における挿入損失が大きく増加することのない、広い通過帯域の全域に渡って平坦で低損失な通過特性を有するフィルタ装置を提供することができる。
また、本発明のフィルタ装置によれば、複数の共振器電極がインターデジタル型に配置されている場合は、磁界による結合と電界による結合とが加算されることにより、各共振器電極間においてより強い結合が生じる。これにより、それぞれの共振モードにおける共振周波数の間の周波数間隔を、従来の1/4波長共振器を利用したフィルタで実現可能だった帯域を超えて調整することができ、広帯域な通過帯域を有するフィルタ装置とすることができる。また、インターデジタル型に配置された共振器電極間の結合は強い磁界結合となり、共振器電極の幅を小さくして磁界を強める必要がないので、共振器電極のパターン幅を大きくすることによって共振器電極の電気抵抗を小さくし、共振器の急峻性共振の鋭さを示すQ値(quality factor)を高くすることができる。その結果として、広い通過帯域を有し急峻な減衰特性を有する、例えばUWB用途のバンドパスフィルタに適したフィルタ装置となる。
また、本発明のフィルタ装置によれば、複数の共振器電極がコムライン型に配置されている場合は、インターデジタル型と比べて共振器電極間の結合が弱いことから、通過帯域が狭く急峻な特性が得られ、また共振器電極のパターン幅を小さくできることにより小型化できるため、携帯電話用や無線LAN等の比較的小型の無線機器に適したフィルタ装置となる。
また、本発明のフィルタ装置によれば、共振器電極が形成された誘電体層間に、平面視で複数の共振器電極を取り囲むように内部接地電極が形成されているときには、内部接地電極が共振器電極の周囲を環状に取り囲むことによって、共振器電極から発生する電磁波の周囲への漏洩を低減することができる。この効果は、モジュール基板の中の一部の領域に本発明のフィルタ装置が形成される場合に、モジュール基板の他の領域への悪影響を防止する上で特に有用である。
また、本発明のフィルタ装置によれば、容量電極の一部が誘電体層を挟んで内部接地電極と対向するように配置されているときには、内部接地電極は共振器電極が形成された誘電体層間と同じ誘電体層間に形成されており、容量電極を内部接地電極と結合させるように対向させると共振器電極と容量電極との電気的接続を行なう貫通導体等の配線長を短くすることができるので、この配線による不要なインダクタンスを減らすことができ、電極間の配線のインダクタンスによる副次的な共振のない優れたフィルタ特性を有するフィルタ装置とすることができる。
また、本発明のフィルタ装置によれば、接地電極または内部接地電極と減衰共振器電極との間において誘電体層を挟んで接地電極または内部接地電極と対向するとともに減衰共振器電極の開放端に電気的に接続された第2容量電極を有するときには、第2容量電極により減衰共振器電極と接地電極または内部接地電極との間の結合がより強くなり減衰共振器電極のC結合が強化されるので、減衰共振器電極の長さを短縮することができ、より小型のフィルタ装置を提供することができる。この効果は、減衰共振器電極により通過帯域より低周波側に減衰極を形成する場合に、減衰共振器電極の長さが長くなってフィルタ装置が大型化してしまうことを防止する上で特に有用である。
本発明のフィルタ装置について以下に詳細に説明する。図1〜図8はそれぞれ本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例を示す分解斜視図である。図1〜図8において、1aは誘電体層、1は誘電体層1aが積層されてなる積層体、2aは接地電極、2bは内部接地電極、3a,3b,3c,3e,3dは共振器電極、4は減衰共振器電極、5は入力端子電極、6は出力端子電極、7は結合電極、8は容量電極、9は第2容量電極である。また、破線は、誘電体層1aの上下に位置する導体層(例えば共振器電極3aと入力端子電極5)を電気的に接続するための誘電体層1aを貫通する貫通導体があることを示している。
本発明のフィルタ装置は、複数の誘電体層1aが積層されてなる積層体1と、この積層体1を挟んで対向するように配置された接地電極2a・2aと、積層体1内において互いに電磁界結合するように平面視で横並びに整列され、それぞれ一方端が短絡端で他方端が開放端である複数の共振器電極3a〜3eと、この共振器電極3a〜3e間以外の積層体1内において共振器電極3a〜3eの1つと電磁界結合するように配置され、一方端が短絡端で他方端が開放端である少なくとも1つの減衰共振器電極4と、横並びに整列された共振器電極の初段3aに接続された入力端子電極5と、横並びに整列された共振器電極の最終段3dに接続された出力端子電極6とからなるフィルタ装置であって、減衰共振器電極4は開放端が複数に分岐した形状であり、短絡端から分岐した開放端の各先端までの長さがそれぞれ異なることを特徴とするものである。
本発明のフィルタ装置によれば、共振器電極3a〜3eの1つと電磁界結合するように配置され、一方端が短絡端で他方端が開放端である少なくとも1つの減衰共振器電極4を有し、減衰共振器電極4は開放端が複数に分岐した形状であり、短絡端から分岐した開放端の各先端までの長さがそれぞれ異なることから、減衰共振器電極4により共振器電極3による減衰極と通過帯域との間に反作用共振器(ノッチフィルタ)として機能する減衰極を形成することができるので、所望の通過帯域を有し、かつ特定の周波数における不要信号を除去した、より急峻な減衰特性を有するフィルタ装置とすることができるとともに、減衰共振器電極4の短絡端から分岐した開放端の各先端までの電気長に応じた複数の減衰極を形成することができるので、短絡端から分岐した開放端の各先端までの長さを調整して複数の減衰極の位置を調整することにより、容易により急峻な減衰特性を有するフィルタ装置とすることができる。
また、本発明のフィルタ装置は、上記構成において、一端が誘電体層を挟んで初段の共振器電極3aの短絡端と対向し、他端が誘電体層を挟んで最終段の共振器電極3dの短絡端部と対向して配置され、これら一端および他端が対向している共振器電極3a・3dの短絡端にそれぞれ電気的に接続された結合電極7を有することを特徴とするものである。このような構成としたときには、結合の弱い初段の共振器電極3aと最終段の共振器電極3dとの間の結合を強めることができるので、フィルタの通過帯域により近い位置周波数(通過帯域の低域側または高域側)に減衰極を形成することができ、より急峻な減衰特性を有するフィルタ装置を提供することができる。
また、本発明のフィルタ装置は、上記構成において、接地電極2aと共振器電極3a,3b,3c,3d,3eとの間において誘電体層1aを挟んで接地電極2aと対向するとともに、複数の共振器電3a,3b,3c,3d,3eの開放端にそれぞれ電気的に接続された複数の容量電極8を有することを特徴とするものである。このような構成によれば、容量電極8と接地電極2aとの距離は共振器電極3a,3b,3c,3d,3eと接地電極2aとの距離より短く、これにより共振器電極3a,3b,3c,3d,3eと接地電極2aとの間の結合がより強くなり共振器電極3a,3b,3c,3d,3eと接地電極2aとのC結合が強化されるので、各共振器電極3a,3b,3c,3d,3eの長さを短縮することができ、より小型なフィルタ装置を提供することができる。
また、本発明のフィルタ装置は、上記構成において、図1〜図3に示す例のように、複数の共振器電極3a〜3eは、インターデジタル型に配置されていることを特徴とするものである。複数の共振器電極3a〜3eをインターデジタル型に配置したときには、共振器電極3a〜3e間の結合は磁界による結合と電界による結合とが加算されることにより、各共振器電極3a〜3e間においてより強い結合が生じることによって、それぞれの共振モードにおける共振周波数の間の周波数間隔を、従来の1/4波長共振器を利用したフィルタで実現可能だった帯域を超えて調整することができ、広帯域な通過帯域を有するフィルタ装置とすることができる。また、インターデジタル型に配置された共振器電極3a〜3e間の結合は強い磁界結合となり、共振器電極3a〜3eのパターン幅を小さくして磁界を強める必要がないので、共振器電極3a〜3eのパターン幅を大きくすることによって共振器電極3a〜3eの電気抵抗を小さくし、共振器の急峻性共振の鋭さを示すQ値(quality factor)を高くすることができる。その結果として、広い通過帯域を有し急峻な減衰特性を有する、例えばUWB用途のバンドパスフィルタに適したフィルタ装置とすることができる。
また、本発明のフィルタ装置は、図4に示す例のように、上記構成において、複数の共振器電極3a〜3dは、コムライン型に配置されていることを特徴とするものである。コムライン型に配置された共振器電極3a〜3dは、インターデジタル型と比べて共振器電極3a〜3d間の結合が弱いことから、通過帯域が狭く急峻な特性が得られ、また各共振器電極3a〜3dのパターン幅を小さくできることにより小型化できるため、携帯電話用や無線LAN等の比較的小型の無線機器に適したフィルタ装置となる。
接地電極2a・2aは、誘電体層1aが積層された積層体1の上下面に、入力端子電極5および出力端子電極6の周囲を除いたほぼ全面に配置されており、接地電位に接続されている。
共振器電極3a,3b,3c,3d,3eは、積層体1の1つの層間に横並びに配置されて相互に電磁界結合(エッジ結合)している。隣り合う共振器電極3a,3b,3c,3d,3e同士の間隔は小さい方が強い結合が得られ、容易に通過帯域を広くできるので好ましいが、短絡端から開放端の間において互いに短絡しないようにして等間隔に良好に形成するには、例えば、0.05〜0.5mm程度に設定される。横並びに配置されて相互に電磁界結合するためには、共振器電極3a,3b,3c,3d,3eの形状は細長い帯状のものであるのが好ましい。共振器電極3a〜3eは、積層体1内において互いに電磁界結合するように平面視で横並びに整列されていればよい。通常は、例えば図1に示す例のように、4つの共振器電極3a〜3dが1つの誘電体層1a・1a間に配置されるが、共振器電極3a,3cを1つの誘電体層1a・1a間に配置し、共振器電極3b,3dを誘電体層1aを1層介した別の誘電体層1a・1a間に配置してもよい。このように配置すると、隣り合う共振器電極間における短絡がないのでその形成は容易になるので好ましいが、誘電体層1aの層数が増加してフィルタ装置の厚みは厚いものとなる。
共振器電極3a,3b,3c,3d,3eは、上下の接地電極2a・2aと共にストリップライン共振器を構成しており、短絡端が上下の接地電極2a・2aに接続されて接地電位に接続されることによって1/4波長共振器として機能する。共振器電極3a,3b,3c,3d,3eと上下の接地電極2a・2aとの接続は、図1に示す例のように、共振器電極3a〜3dを形成した層間に共振器電極3a,3b,3c,3dの短絡端同士を接続するための導体層を設け、この導体層と貫通導体(図示せず。)とにより接続したり、この導体層を誘電体層1aの端部まで延ばして誘電体層1aの端面(積層体1の側面)に形成した端面導体(図示せず。)により接続したりすればよい。共振器電極3a,3b,3c,3dの短絡端同士を接続するための導体層を設けない場合は、共振器電極3a,3b,3c,3dのそれぞれを貫通導体により接地電極2a・2aに接続してもよいし、共振器電極3a〜3dの短絡端を誘電体層1aの端部まで延ばして誘電体層1aの端面(積層体1の側面)に形成した端面導体により接地電極2a・2aに接続してもよい。端面導体で接続すると、共振器電極3a〜3dから発生する電磁波の周囲への漏洩を低減するシールド層として端面導体を機能させることができ、貫通導体の場合でも、その間隔を小さくしたり、共振器電極3a〜3dの周りに二重以上に配列し、側面から見てできるだけ貫通導体を隙間なく配置したりすれば同様にシールドの機能がより顕著になるので好ましい。図1に示す例のように、共振器電極3a,3b,3c,3dの短絡端同士を接続するための導体層を設けると、共振器電極3a,3b,3c,3dの短絡端を接地電極2a・2aに接続するのが容易となるので好ましい。
共振器電極3は、図1,図2および図4に示す例では4つ(3a〜3d)設けられているが、例えば図3に示す例のように5つの共振器電極3(3a〜3e)を設けてもよいし、またはそれ以上の個数で設けてもよく、損失が大きくならない程度の個数であればよい。UWBのローバンド用途では損失と減衰特性のバランスから4つが好ましい。
減衰共振器電極4は、共振器電極3a〜3d間以外の積層体1内、例えば図1に示す例のように、共振器電極3a〜3dが形成された誘電体層1a・1a間とは異なる誘電体層1a・1a間において共振器電極3a〜3dの1つと電磁界結合するように配置され、一方端が接地電極2a・2aに接続された短絡端で、他方端が他とは接続されていない開放端である。減衰共振器電極4と接地電極2a・2aとの接続は、図1に示す例のように、減衰共振器電極4の短絡端を誘電体層1aの端部まで延ばし、誘電体層1aの端面(積層体1の側面)に形成した端面導体(図示せず。)により接続してもよいし、貫通導体により接続してもよい。
減衰共振器電極4は共振器電極3a〜3eの1つと電磁界結合するが、その結合量の調整により所望の減衰特性を得ることができる。例えば、所望の結合量が得られていない場合は、通過帯域の外側でカットオフ周波数の極めて近傍の帯域で急峻な減衰特性を得られても、減衰共振器電極4による減衰極の高域側(減衰極間)で減衰特性の跳ね上がりが生じるのに対し、所望の結合量が得られている場合は、このような減衰特性の跳ね上がりは生じず、急峻で跳ね上がりのない減衰特性を得ることができる。
この結合量は、減衰共振器電極4と共振器電極3a〜3eとの間に介在する誘電体層1aの厚みや、それぞれの電極の幅や長さおよび平面方向の位置による対向する部分の面積により調整することができるが、減衰共振器電極4の向きによっても調整することができる。減衰共振器電極4を接地電位に接続される側が逆の関係になるような共振器電極3a〜3eと対向するように、すなわち減衰共振器電極4の短絡端と共振器電極3a〜3eの短絡端とが逆になるように重ねて配置すると、磁界による結合が加算されて両電極間の結合がより強い結合となる。逆に結合を小さくするには、減衰共振器電極4の短絡端から開放端への向かう方向と共振器電極3a〜3eの短絡端から開放端へかう方向とが同じになるように配置すればよい。
減衰共振器電極4の形状は、共振器電極3a〜3eとの結合量に応じてその形状を調整すればよいが、全体としては共振器電極3a〜3eに沿った帯状のもので開放端が複数に分岐しているものが好ましい。
減衰共振器電極4の開放端の形状は、図9(a)〜(f)にそれぞれ平面図でその一例を示す例のように、複数に分岐し、短絡端から分岐した開放端の各先端までの長さがそれぞれ異なるものであれば特に制限はない。図9(a)に示す例のように分岐する方向(角度)が直線状の本体部に対してそれぞれ90度(この例ではいわゆるT字状)であってもよいし、図9(b)に示す例のように90度より小さい角度(この例ではいわゆるY字状)であってもよいし、また図9(c)に示す例のように互いに異なる角度(この例では90度と0度)であってもよい。また、図9(d)に示す例のように分岐点から先端までが曲線状(この例ではいわゆる曲線的なY字状)でもよく、短絡端から開放端までの本体部も同様に曲線状でもよい。また、分岐の数も図9(a)〜図9(d)に示すような2つだけでなく、図9(e)および図9(f)に示す例のように3つに分岐(図9(e)に示す例ではいわゆるt字状、図9(f)に示す例ではいわゆるf字状)してもよいし、あるいはそれ以上の数に分岐していてもよい。短絡端から分岐した開放端の各先端までの長さや分岐の数は、求められるフィルタ特性により必要な減衰極の周波数や減衰極の数に応じて設定すればよい。また、図9(f)に示す例のように、分岐した先端部を折れ曲がった形状としてもよく、このようにすると、短絡端から分岐した開放端の各先端までの長さが分岐点から直線状で異なっている図9(e)に示す例に対して、フィルタ装置の長さに対する減衰共振器電極4の長さの割合が小さくなるので、フィルタ装置を小型のものとすることができる。また、図5に示す例は、短絡端から分岐した2つの開放端の各先端までのそれぞれの長さは図2に示す例と同様であるが、図2に示す例に対して、短絡端から分岐点までの長さが短い(分岐点がより短絡端側に位置する)例である。このような例の場合の減衰共振器電極4の形状は、図7や図8に示す例のような形状でもよい。また、このような例の場合も、分岐した先端部を折れ曲がった形状としてもよく、図6に示す例のように複数回折れ曲がった形状としてもよい。
例えば、減衰共振器電極4の開放端の形状を図9(a)に示すような2つに分岐したT字状の形状として、共振器電極3a〜3eと減衰共振器電極4との間の誘電体層1aの比誘電率が9.4で、厚みが200μm、接地電極2aと減衰共振器電極4との間の誘電体層1aの比誘電率が9.4で、厚みが150μmの場合には、減衰共振器電極4のパターンの線幅を200μmとし、減衰共振器電極4の短絡端から分岐した開放端の各先端までの長さをそれぞれ4.42mmおよび4.38mmとすると、5.17GHzおよび5.21GHzに減衰極を持たせることができる。これによれば、従来のフィルタ装置のように共振器電極3a〜3eと結合電極7とで2.5GHzおよび5.3GHzのみに減衰極を持たせた場合に比較して、通過帯域の4.8GHzと減衰極の5.3GHzとの間にも2つの減衰極を持たせることができるので、通過帯域の高周波側がより急峻な減衰特性となる。また、減衰共振器電極4の短絡端から分岐した開放端の各先端までの長さをそれぞれ8.7mmおよび4.38mmとすると、2.7GHzおよび5.2GHzに減衰極を持たせることができるので、通過帯域の低周波側および高周波側の両方がより急峻な減衰特性となる。
このように、減衰共振器電極4により通過帯域の低周波側および高周波側の両方に減衰極を形成する場合は、減衰共振器電極4は、短絡端から分岐した開放端の各先端までのそれぞれの長さが大きく異なる形状となる。上記の例の場合において、例えば、減衰共振器電極4を短絡端から4mmの位置に分岐点を設けたT字状として、分岐点から一方の先端までの長さを4.7mmとし、分岐点から他方の先端までの長さを0.38mmとすると、減衰共振器電極4の全体の長さ(すなわち短絡端から一方の先端までの長さ=8.7mm)に対して、分岐点から他方の先端までの長さ(0.38mm)がかなり小さくなるので、一方の先端側へ電流が集中して他方の先端側へは電流が流れにくくなり、短絡端から他方の先端までの長さに応じた減衰極が形成されにくくなる。このようなことから、短絡端から分岐した開放端の各先端までのそれぞれの長さを大きく異ならせる場合は、分岐点から各先端までの長さがある程度長くなるように、図6に示す例のような、分岐点が短絡端側に近い位置にある形状が好ましい。一方、減衰共振器電極4の短絡端から分岐した開放端の各先端までのそれぞれの長さの差が小さい場合(互いに近い周波数に減衰極を形成する場合)は、電流が開放端の先端まで均等に流れやすいことから、減衰共振器電極4の分岐点は短絡端から離れていても構わない。短絡端側に近い位置に分岐点を有する形状とすると、減衰共振器電極4の線幅を小さくしなければならないので、例えば図2に示す例のような、形成がより容易である、分岐点が短絡端からより離れた形状の方が好ましい。
減衰共振器電極4の数は、共振器電極3の形成領域の中心に対して対称となるようにペア(一対)で設置するのが好ましい。このようにすると、フィルタ装置を作製する際に位置ずれが発生しても、減衰共振器電極4と共振器電極3との結合が一方が強まる方向に変化した場合であっても、他方は弱まる方向に変化するため、全体の結合量は大きく変化しないので設計値とのずれの小さいものを作るのが容易となる。
例えば、図1に示す例のように、2つの減衰共振器電極4・4がそれぞれ共振器電極3の第2段3bおよび第3段3cと電磁界結合するように配置されている場合は、平面視で、一方の減衰共振器電極4は共振器電極3の初段3a側にずれて共振器電極3の第2段3bと重なり、他方の減衰共振器電極4は同じ幅だけ共振器電極3の最終段3d側にずれて共振器電極3の第3段3cと重なるように配置されていれば、減衰共振器電極4の長さ方向に対して垂直方向の位置ずれにより一方の減衰共振器電極4と共振器電極3の第2段3bとの結合が弱まっても、その分他方の減衰共振器電極4と共振器電極3の第3段3cとの結合は強まるので、全体の結合量は変化せず、設計値とのずれの小さいものを作るのが容易となるので好ましい。このとき図1に示す例のように、共振器電極3a〜3dがインターデジタル型に配置されている場合は、それぞれの結合量が等しくなるように、2つの減衰共振器電極4・4の向き(短絡端および開放端の位置)を逆にし、形状は共振器電極3の形成領域の中心に対して点対称にするとよい。
減衰共振器電極4の開放端は、図3に示す例のように、誘電体層1aを介して平面視で容量電極8と重なっていることが好ましい。これにより、減衰共振器電極4のC結合が強化されるので、減衰共振器電極4の長さを短縮することができる。また、容量電極8は共振器電極3の開放端に電気的に接続されているので、容量電極8の形状や配置により減衰共振器電極4と容量電極8との重なりを調整することで、上述した減衰共振器電極4と共振器電極3a〜3eとの電磁界結合量を調整し、所望の減衰特性を得ることができる。
図11(a)および(b)は、それぞれ本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例を示す平面図であり、減衰共振器電極4の開放端と容量電極8の平面視での重なりの一例を示すものである。減衰共振器電極4と容量電極8とが平面視で重なる場合は、図11(a)および(b)に示す例のように、減衰共振器電極4の開放端の形状は短絡端から開放端の方向に対して直角で互いに反対方向の2つと、短絡端から開放端の方向に延びた1つとに分岐した形状とし、容量電極8は辺の長さが減衰共振器電極4の幅より大きい方形であり、その辺が減衰共振器電極4のパターンと直交するように重なっているのが好ましい。このようにすると、フィルタ装置を作製する際に位置ずれが発生しても、容量電極8は辺の長さを減衰共振器電極4の幅に対して位置ずれ量より大きく(100μm程度)しておけば、減衰共振器電極4と容量電極8とが重なる部分の面積が変化しないので、減衰共振器電極4と容量電極8との間の結合の大きさが設計値とのずれの小さいものを作るのが容易となる。
入力端子電極5および出力端子電極6は、図1に示す例のように、貫通導体等の配線導体により電気的に接続してもよいが、誘電体層1aを挟んで共振器電極3a・3dと対向するように配置し、それぞれ共振器電極3a・3dと電磁界結合するようにしてもよい。この場合、図2〜図4に示す例のように、入力端子電極5は、共振器電極3の初段3aに沿った形状で、誘電体層1aを挟んで共振器電極3の初段3aと対向するように配置されて共振器電極3の初段3aと電磁界結合する内部入力端子電極5bと、積層体1の外表面に形成され、内部入力端子電極5bに共振器電極3の初段3aの開放端側で接続された外部入力端子電極5aとを具備し、出力端子電極6は、共振器電極3の最終段3dに沿った形状で、誘電体層1aを挟んで共振器電極3の最終段3dと対向するように配置されて共振器電極3の最終段3dと電磁界結合する内部出力端子電極6bと、積層体1の外表面に形成され、内部出力端子電極6bに共振器電極3の最終段3dの開放端側で接続された外部出力端子電極6aとを具備しているのが好ましい。このような構成により、入力端子電極5と初段の共振器電極3aとの間および出力端子電極6と最終段の共振器電極3dとの間において、磁界による結合と電界による結合とが加算されて強い結合が生じるので、従来の1/4波長共振器を利用したフィルタで実現可能だった帯域より広い通過帯域であっても、それぞれの共振モードの共振周波数の間に位置する周波数における挿入損失が大きく増加することのない、広い通過帯域の全域に渡って平坦で低損失な通過特性を有するフィルタ装置を提供することができる。この結果、広い通過帯域を有し急峻な減衰特性を有する、例えばUWB用途のバンドパスフィルタに適したフィルタ装置となる。
内部入力端子電極5bと外部入力端子電極5aとの接続、および内部出力端子電極6bと外部出力端子電極6aとの接続は、図2〜図4に示す例のように、誘電体層1aを貫通する貫通導体で行なえばよい。また、内部入力端子電極5b,外部入力端子電極5a,内部出力端子電極6bおよび外部出力端子電極6aをそれぞれ誘電体層1aの端部まで延ばして、端面導体で接続することもできる。共振器電極3a〜3dと接地電極2a・2aとの接続を端面導体で行なう場合は、端面導体の形成が導体ペーストの印刷等により他の電極と同時に行なえるので、製造上で都合がよい。
結合電極7は、結合の弱い初段の共振器電極3aと最終段の共振器電極3dとの間の結合を強めるために設けるものであり、例えば図1に示す例において、第2段3bと第3段3cとの結合が増えると、共振器電極3a〜3dと接地電極2a・2aとで形成される基本的なフィルタの中心周波数がずれるなど通過帯域内のフィルタ特性が変わることととなり、減衰共振器電極4や結合電極7を加えることによる減衰特性の設計が複雑になってしまう。また、結合電極7において初段の共振器電極3aに対向する部分と最終段の共振器電極3dに対向する部分とを接続するパターンの線幅が大きいと、結合電極7自身が接地電極のように機能することから共振器電極3a〜3dによる磁界に影響を与えることにより、フィルタのQ値が低下して通過帯域の損失が大きくなってしまう。そのため、初段の共振器電極3aに対向する部分と最終段の共振器電極3dに対向する部分とを接続する部分は、共振器電極3b・3cと対向する面積を小さくして結合をできるだけ小さくするために、小さい幅のパターンで、第2段および第3段の共振器電極3b・3cと直交するように設けるとよい。また、初段の共振器電極3aおよび最終段の共振器電極3dに対向する部分までの距離を大きくすることにより結合を小さくするために、この直交する部分をさらに1層以上の誘電体層1aを挟んだ位置に形成して、貫通導体により初段の共振器電極3aに対向する部分および最終段の共振器電極3dに対向する部分に接続してもよい。
結合電極7と共振器電極3a・3dとの間の誘電体層1aの層数により結合電極7と共振器電極3a・3dとの間の距離を変更したり、結合電極7のパターン幅や長さ等のパターン形状や平面視での位置により結合電極7と共振器電極3a・3dとが重なる面積を変更したりすることで、結合電極7と共振器電極3a・3dとの間の電磁界結合度の強弱を調整でき、減衰極が生じる周波数を任意に設定できる。共振器電極3a・3dとの間で十分な結合が得られ、フィルタ装置を作製する際の位置ずれにより初段の共振器電極3aおよび最終段の共振器電極3d以外の共振器電極3b・3cとの結合が発生してしまうことがないように、結合電極7の初段の共振器電極3aに対向する部分および最終段の共振器電極3dに対向する部分は、共振器電極3a・3dの形状に沿った帯状で、共振器電極3a・3dより幅の小さい形状とするのがよい。
容量電極8と共振器電極3a〜3eとは、貫通導体で電気的に接続される。容量電極8と共振器電極3a〜3eとが平面視で重なると、その重なった面積分だけ共振器電極3a〜3eと接地電極2aとの結合が小さくなってしまい、また、例えば共振器電極3aに接続された容量電極8と他の共振器電極3b〜3eとが平面視で重なると、初段の共振器電極3aと他の共振器電極3b〜3eとの結合量が変わってしまうので、図1から図4に示す例のように、容量電極8を長方形や楕円形のような細長い形状とし、共振器電極3a〜3eの開放端と容量電極8の一方端とを接続し、容量電極8の他方端を共振器電極3a〜3eの開放端を延長する方向に向けるとよい。
容量電極8は、図1,図2および図4に示す例では、共振器電極3a〜3dに対して誘電体層1aを挟んで上方にそれぞれ1つずつ設けられているが、図3に示す例のように共振器電極3a〜3eの上下に設けてもよいし、共振器電極3a〜3eの下方にそれぞれ1つずつあるいは上方または下方のいずれかにそれぞれ1つずつ設けてもよい。
また、本発明のフィルタ装置は、図2〜図4に示す例のように、上記構成において、共振器電極3a〜3dが形成された誘電体層1a間に、平面視で複数の共振器電極3a〜3dを取り囲むように内部接地電極2bが形成されていることを特徴とするものである。内部接地電極2bが共振器電極3a〜3dの周囲を取り囲むことによって、共振器電極3a〜3dから発生する電磁波の周囲への漏洩を低減することができる。この効果はモジュール基板の中の一部の領域にフィルタ装置が形成される場合に、モジュール基板の他の領域への悪影響を防止する上で特に有用である。内部接地電極2bは、上述した共振器電極3a,3b,3c,3dの短絡端同士を接続するための導体層と共振器電極3a,3b,3c,3dの並びの両側に形成された導体層とからなる環状のものである。接地電極2aと共振器電極3a,3b,3c,3dとの接続を、内部接地電極2bの共振器電極3a,3b,3c,3dの並びの両側に位置する部分でも行なえば、共振器電極3a〜3dから発生する電磁波の周囲への漏洩をより効果的に低減することができる。
内部接地電極2bと共振器電極3a,3dとの距離は、共振器電極3a,3dによる磁界に影響を与えてフィルタのQ値が低下し通過帯域の損失が大きくなってしまわないように、共振器電極3a,3dによる磁束が通過できる距離があればよく、共振器電極3a,3dと接地電極2aとの間の距離より大きいことが好ましい。
また、本発明のフィルタ装置は、上記構成において、容量電極8の一部が誘電体層1aを挟んで内部接地電極2bと対向するように配置されていることを特徴とするものである。図10は図2に示すフィルタ装置のA−A断面の一例を示す断面図である。内部接地電極2bは共振器電極3a〜3dが形成された誘電体層1a・1a間と同じ誘電体層1a・1a間に形成されており、容量電極8を内部接地電極2bと結合させるように対向させると、容量電極8を接地電極2aのみと結合させるように対向させた場合(図6に破線で示した容量電極8aの場合)と比較して、共振器電極3a〜3dと容量電極8との電気的接続を行なう貫通導体等の配線長を短くすることができるので、この配線による不要なインダクタンスを減らすことができ、インダクタンスによる副次的な共振のない優れたフィルタ特性を有するフィルタ装置とすることができる。また、共振器電極3a〜3dと容量電極8との電気的接続を行なう貫通導体等の配線長が同じ場合であっても、容量電極8と内部接地電極2bとの間の静電容量が加わるので、共振器電極3a〜3dの開放端と接地電位との間の静電容量がさらに増加し、共振器電極3a〜3dの長さを短縮することができるので、より小型のバンドパスフィルタとしてのフィルタ装置を得ることができる。
また、本発明のフィルタ装置は、図7または図8に示す例のように、上記各構成において、誘電体層1aを挟んで接地電極2aまたは内部接地電極2bと対向するとともに減衰共振器電極4の開放端に電気的に接続された第2容量電極9を有することを特徴とするものである。第2容量電極9を有することにより、減衰共振器電極4と接地電極2aまたは内部接地電極2bとの間の結合がより強くなり減衰共振器電極4のC結合が強化されるので、減衰共振器電極4の長さを短縮することができ、より小型のフィルタ装置を提供することができる。この効果は、減衰共振器電極4により通過帯域より低周波側に減衰極を形成する場合に、図6に示す例のように減衰共振器電極4の長さが長くなって、フィルタ装置が大型化したり、減衰共振器電極4の形成が困難になってしまったりすることを防止する上で特に有用である。
第2容量電極9は、図7に示す例のような、接地電極2aと対向して貫通導体により減衰共振器電極4の開放端に接続された形状や、図8に示す例のような、減衰共振器電極4の開放端を延長して接続した内部接地電極2bと対向する形状がある。内部接地電極2bに対向する場合でも、内部接地電極2bにより近い位置に第2容量電極9を配置して貫通導体により接続してもよい。このように第2容量電極9は、接地電極2aまたは内部接地電極2bと減衰共振器電極4との間において誘電体層1aを挟んで接地電極2aまたは内部接地電極2bと対向するように配置されていると、減衰共振器電極4のC結合がより強化され、より小型のフィルタ装置とすることができるので好ましい。
共振器電極3a〜3eに対する、減衰共振器電極4、入力端子電極5、出力端子電極6、結合電極7および容量電極8の平面視の配置やそれぞれとの距離(間に介在する誘電体層1aの厚みまたは層数)は、図1〜図8に示す例のように特に制限はなく、所望の減衰特性となるように各電極と共振器電極3a〜3eとの結合を調整するように設定すればよい。
誘電体層1aとしては、例えば、アルミナ,ムライト,窒化アルミニウム,BaO−TiO系,CaO−TiO系,MgO−TiO系およびガラスセラミックス等のセラミック材料、あるいは四ふっ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン;PTFE),四ふっ化エチレン−エチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合樹脂;ETFE),四ふっ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン−パーフルテロアルキルビニルエーテル共重合樹脂;PFA)等のフッ素樹脂やガラスエポキシ樹脂,ポリイミド等の有機樹脂材料が用いられる。これらの材料による誘電体層1aの形状や寸法(厚みや幅,長さ)は、使用される周波数や用途等に応じて設定される。セラミック材料の場合は、より高周波の信号を伝送することが可能な、Au,Ag,Cu等の低抵抗金属からなる導体材料と同時焼成が可能な低温焼成セラミックスが好ましい。
接地電極2a,内部接地電極2b,共振器電極3a〜3e,減衰共振器電極4,入力端子電極5,出力端子電極6,結合電極7,容量電極8,第2容量電極9は、誘電体層1aがセラミック材料からなる場合は、W,Mo,Mo−Mn,Au,Ag,Cu等の金属を主成分とするメタライズ層により形成される。また、誘電体層1aが樹脂系材料からなる場合は、厚膜印刷法,各種の薄膜形成方法,めっき法あるいは箔転写法等により形成した金属層や、このような金属層上にめっき層を形成したもの、例えばCu層,Cr−Cu合金層,Cr−Cu合金層上にNiめっき層およびAuめっき層を被着させたもの,TaN層上にNi−Cr合金層およびAuめっき層を被着させたもの,Ti層上にPt層およびAuめっき層を被着させたもの,Ni−Cr合金層上にPt層およびAuめっき層を被着させたもの等が挙げられる。その厚みや幅は、伝送される高周波信号の周波数や用途等に応じて設定される。
誘電体層1a,接地電極2a,内部接地電極2b,共振器電極3a〜3e,減衰共振器電極4,入力端子電極5,出力端子電極6,結合電極7,容量電極8,第2容量電極9の形成は、従来周知の方法を用いればよい。例えば誘電体層1aがガラスセラミックスから成る場合であれば、まずそれら誘電体層1aとなるガラスセラミックスのグリーンシートを準備し、グリーンシート上にスクリーン印刷法によりAg等の導体ペーストを所定形状で印刷塗布して接地電極2a,内部接地電極2b,共振器電極3a〜3e,減衰共振器電極4,入力端子電極5,出力端子電極6,結合電極7,容量電極8の各電極パターンを形成する。次に、これらの電極パターンが形成されたグリーンシートを重ねて圧着するなどして積層体を作製し、この積層体を850〜1000℃で焼成することにより形成する。その後、外表面に露出している導体層上には、NiめっきおよびAuめっき等のめっき皮膜を形成する。誘電体層1aが有機樹脂材料から成る場合であれば、例えば有機樹脂シート上に接地電極2a,内部接地電極2b,共振器電極3a〜3e,減衰共振器電極4,入力端子電極5,出力端子電極6,結合電極7,容量電極8の各電極パターン形状に加工したCu箔を転写し、Cu箔が転写された有機樹脂シートを積層して接着剤で接着することにより形成する。
接地電極2aと共振器電極3a〜3eの短絡端とを接続する接続導体は、それらの間に位置する誘電体層1a内に形成された貫通導体または誘電体層1aの端面に形成された端面導体の形態で形成することにより、積層されたそれら誘電体層1aの内部に形成するフィルタ装置の設計自由度が向上するとともに、より小型で高性能なフィルタ装置とすることができる。
このような接続導体となる貫通導体や側面導体は、誘電体層1aがガラスセラミックス等のセラミックスから成る場合には、貫通導体は、例えば前述の製造方法において接地電極2a,内部接地電極2b,共振器電極3a〜3e,減衰共振器電極4,入力端子電極5,出力端子電極6,結合電極7,容量電極8,第2容量電極9の各電極パターンを形成する前に、グリーンシートに金型加工やレーザー加工によりあらかじめ形成しておいた貫通孔内に同様の導体ペーストを印刷法等により充填することで形成することができ、端面導体は、例えば共振器電極3a〜3eの電極パターンの短絡端を端面に露出させたグリーンシート積層体を形成した後、同様の導体ペーストをグリーンシート積層体の側面に印刷することにより形成することができる。また、端面導体は、グリーンシートに共振器電極3a〜3eの列の幅程度の貫通穴を形成しておき、共振器電極3a〜3eの電極パターンの短絡端をこの貫通穴に接するように形成した後、グリーンシートの積層前または積層後に導体ペーストを貫通穴の内面に印刷し、または貫通穴に充填して、貫通穴の部分で切断することによっても形成することができる。誘電体層1aが樹脂系材料から成る場合も同様に、グリーンシートに代えて有機樹脂シートを用い、導体ペーストの印刷やめっきにより貫通孔内に貫通導体を形成したり、薄膜法等により側面導体を形成したりすればよい。共振器電極3a〜3eの電極パターンの短絡端を積層体の側面に露出させるには、共振器電極3a〜3eの電極パターンの短絡端がグリーンシート(あるいは有機樹脂シート)の端部に位置するように形成したり、共振器電極3a〜3eの電極パターンを形成したグリーンシート(有機樹脂シート)を積層した後に、共振器電極3a〜3eの電極パターンの短絡端が側面に露出するように積層体を切断したりすればよい。
具体的には、UWBのローバンド規格に用いられるような、通過帯域の中心周波数が3.9GHzのバンドパスフィルタとしてのフィルタ装置は、図2に示すような形態であれば、例えば誘電体層1aとして比誘電率が9.4のガラスセラミックスを用い、接地電極2a,内部接地電極2b,共振器電極3a〜3d,減衰共振器電極4,入力端子電極5,出力端子電極6,結合電極7,容量電極8および貫通導体にAgメタライズを用いることにより得られる。比誘電率が9.4のガラスセラミックスは、例えば、ガラス成分としてPbO,B,SiO,Al,ZnOおよびアルカリ土類金属酸化物を主成分とする結晶化ガラスが50質量%とフィラー成分としてアルミナが50質量%とからなるものを用いればよい。
このとき、誘電体層1aは、厚みを上から順に、250μm,200μm,100μm,450μmとした。接地電極2a・2aは、寸法を3.25mm×4.5mmとし、内部接地電極2bは外寸を3.25mm×4.5mmで内寸(開口の寸法)を2.85mm×3.35mmとする。この開口内に寸法が0.4mm×3.2mmの共振器電極3a,3b,3c,3dを0.15mm間隔で横並びに整列し、各短絡端を内部接地電極2bに接続して、各開放端と内部接地電極2bとの間隔を0.15mm、共振器電極3aおよび3dと内部接地電極2bとの間隔を0.4mmとなるように配置する。内部接地電極2bと積層体1の上下面の接地電極2a・2aとは、外周部に配列した直径0.1mmの貫通導体で接続する。減衰共振器電極4・4は、0.2mm幅で短絡端から3.9mmの位置で互いに逆の方向に90度折れ曲がり、分岐点(折れ曲がった箇所)からそれぞれ0.52mmおよび0.48mm延びた形状(短絡端から分岐した開放端の各先端までの長さがそれぞれ4.42mmおよび4.38mm)とする。2つの減衰共振器電極4・4を、それぞれ第2段の共振器電極3bおよび第3段の共振器電極3cと0.17mm×3.2mmの範囲で重なるように初段の共振器電極3aおよび最終段の共振器電極3d側にずらして、折れ曲がった長さが0.48mmの方を内側にして2つの減衰共振器電極4・4を共振器電極3の形成領域の中心に対して点対称に配置する。入力端子電極5は、0.3mm×3.15mmの内部入力端子電極5bを共振器電極の初段3aの開放端側と平面視で0.3mm×2.8mmの範囲で重なるように配置し、0.4mm×0.4mmの外部入力端子電極5aと直径0.1mmの貫通導体で接続する。出力端子電極6も同様に0.3mm×3.15mmの内部出力端子電極6bを共振器電極の最終段3dの開放端側と平面視で0.3mm×2.8mm重なるように配置し、0.4mm×0.4mmの外部出力端子電極6aと直径0.1mmの貫通導体で接続する。結合電極7は、0.1mm×1.825mmのもの2つを0.1mm幅の導体層で接続したクランク形とし、共振器電極の初段3aおよび最終段3dそれぞれの短絡端側と平面視で0.1mm×1.725mmの範囲で重なるように配置し、内部接地電極2bと重なる部分の中心で直径0.1mmの貫通導体により接続する。容量電極8は0.6mm×0.7mmの寸法で、共振器電極3a,3b,3c,3dの開放端部と平面視で0.2mm×0.4mmの範囲で重なるように配置し、重なる部分の中心で直径0.1mmの貫通導体により接続する。また、容量電極8は内部接地電極2bとも0.35mm×0.6mmの範囲の重なりを有している。
このような例の本発明のフィルタ装置のフィルタ特性は、図12の線図に実線の特性曲線で示すようなものとなる。また、このような例の本発明のフィルタ装置によるフィルタ特性に対して、減衰共振器電極4のみを有さないフィルタ装置(比較例)において得られるフィルタ特性は、図12に破線の特性曲線で示すようなものとなる。図12に示す線図において、縦軸は挿入損失(単位:dB)を、横軸は周波数(単位:GHz)を示す。
図12に示すフィルタ特性から、本発明のフィルタ装置のフィルタ特性は、通過帯域より高周波側の減衰極と通過帯域との間の5.17GHzおよび5.21GHzにおいてそれぞれ小さい減衰極を有し、これにより、比較例に対してより急峻な減衰特性を有するようになっていることがわかる。同様の構成で、短絡端から開放端までの長さを4.44mmおよび4.36mmとすると、5.15GHzおよび5.23GHzにおいてそれぞれ小さい極を形成することができる。
また、誘電体層1a、各電極および貫通導体に同様の材料を用いて、図8に示すような形態で、以下のような寸法にしてもよい。誘電体層1aは、厚みを上から順に、450μm,100μm,100μm,250μm,100μmとする。接地電極2a・2aは、寸法を3.25mm×4.7mmとし、内部接地電極2bは外寸を3.25mm×4.7mmで内寸(開口の寸法)を2.85mm×3.35mmとする。この開口内に寸法が0.4mm×3.2mmの共振器電極3a,3b,3c,3dを0.15mm間隔で横並びに整列し、各短絡端を内部接地電極2bに接続して、各開放端と内部接地電極2bとの間隔を0.15mm、共振器電極3aおよび3dと内部接地電極2bとの間隔を0.4mmとなるように配置する。内部接地電極2bと積層体1の上下面の接地電極2a・2aとは、外周部に配列した直径0.1mmの貫通導体で接続する。減衰共振器電極4は、初段の共振器電極3aの0.06mm外側に初段の共振器電極3aに平行に配置した初段の共振器電極3aの開放端側を短絡端とした0.1mm×3.7mmの導体層と、幅方向の中心を第2段の共振器電極3bと揃えて平行に配置した0.1mm×2.4mmの導体層とを、短絡端から1.5mmの位置で0.76mm×0.1mmの導体層で接続した形状(短絡端から分岐した開放端の各先端までの長さは、それぞれ3.9mmおよび4.66mm)とする。減衰共振器電極4・4の分岐した開放端の各先端には、それぞれ幅×長さが0.75mm×0.6mmおよび0.4mm×0.6mmである第2容量電極9・9を、それぞれの幅方向の中心を揃えて接続する。図8に示す例のように同様の第2容量電極9・9を有する減衰共振器電極4を共振器電極3の形成領域の中心に対して点対称に配置する。入力端子電極5は、0.3mm×3.15mmの内部入力端子電極5bを共振器電極の初段3aの開放端側と平面視で0.3mm×2.8mmの範囲で重なるように配置し、0.4mm×0.4mmの外部入力端子電極5aと直径0.1mmの貫通導体で接続する。出力端子電極6も同様に0.3mm×3.15mmの内部出力端子電極6bを共振器電極の最終段3dの開放端側と平面視で0.3mm×2.8mm重なるように配置し、0.4mm×0.4mmの外部出力端子電極6aと直径0.1mmの貫通導体で接続する。結合電極7は、0.1mm×1.825mmのもの2つを0.1mm幅の導体層で接続したクランク形とし、共振器電極の初段3aおよび最終段3dそれぞれの短絡端側と平面視で0.1mm×1.725mmの範囲で重なるように配置し、内部接地電極2bと重なる部分の中心で直径0.1mmの貫通導体により接続する。容量電極8は0.6mm×0.7mmの寸法で、共振器電極3a,3b,3c,3dの開放端部と平面視で0.2mm×0.4mmの範囲で重なるように配置し、重なる部分の中心で直径0.1mmの貫通導体により接続する。また、容量電極8は内部接地電極2bとも0.35mm×0.6mmの範囲の重なりを有している。
このような例の本発明のフィルタ装置のフィルタ特性は、図13の線図に実線の特性曲線で示すようなものとなる。図13に示す線図において、縦軸は挿入損失(単位:dB)を、横軸は周波数(単位:GHz)を示す。破線の特性曲線は、図12と同様の比較例の特性曲線である。
図13に示すフィルタ特性から、本発明のフィルタ装置は、通過帯域より低周波側の減衰極と通過帯域との間の2.7GHzにおいて小さい減衰極を有し、また通過帯域より高周波側の減衰極と通過帯域との間の5.2GHzにおいて小さい減衰極を有しており、これにより通過帯域の低域側および高域側の両方で、より急峻な減衰特性を有するようになっていることがわかる。また、この例において第2容量電極9を設けずに2.7GHzに減衰極を持たせるには、減衰共振器電極4の短絡端から開放端までの長さを8.7mmとしなければならず、より大型のフィルタ装置としなければ形成するのが困難となる。
以上のことから、本発明のフィルタ装置は一方端が短絡端で他方端が開放端であり、短絡端から分岐した開放端の各先端までの長さがそれぞれ異なる減衰共振器電極4を有することから、減衰共振器電極4の短絡端から分岐した開放端の各先端までの電気長に応じた複数の減衰極を形成することができるので、短絡端から分岐した開放端の各先端までの長さを調整して複数の減衰極の位置を調整することにより、広い通過帯域を有するとともに、より急峻な減衰特性を有するものであることがわかる。
なお、比較例に対してさらに容量電極8を有さない従来のフィルタ装置において、本発明のフィルタ装置(および比較例のフィルタ装置)と同様の周波数に減衰極を有するものとするには、共振器電極3a〜3dを長くしなければならず、フィルタ装置の大きさが大きくなってしまうばかりでなく、減衰極よりさらに高周波側に減衰特性の跳ね上がりがあり、無線LANで使用する帯域に対する減衰帯域において十分に減衰していないフィルタ特性となってしまう。
本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例を模式的に示す分解斜視図である。 本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例を模式的に示す分解斜視図である。 本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例を模式的に示す分解斜視図である。 本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例を模式的に示す分解斜視図である。 本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例を模式的に示す分解斜視図である。 本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例を模式的に示す分解斜視図である。 本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例を模式的に示す分解斜視図である。 本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例を模式的に示す分解斜視図である。 (a)〜(f)は、それぞれ本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例を示す平面図である。 図2に示すフィルタ装置のA−A断面の一例を示す断面図である。 (a)および(b)は、それぞれ本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例を示す平面図である。 図2に示すフィルタ装置の伝送特性のシミュレーション結果を示す図である。 図8に示すフィルタ装置の伝送特性のシミュレーション結果を示す図である。 従来のフィルタ装置を示す分解斜視図である。
符号の説明
1・・・積層体
1a・・・誘電体層
2a・・・接地電極
2b・・・内部接地電極
3a,3b,3c,3d,3e・・・共振器電極
4・・・減衰共振器電極
5・・・入力端子電極
6・・・出力端子電極
7・・・結合電極
8・・・容量電極
9・・・第2容量電極

Claims (9)

  1. 複数の誘電体層が積層されてなる積層体と、
    該積層体を挟んで対向するように配置された接地電極と、
    前記積層体内において互いに電磁界結合するように平面視で横並びに整列され、それぞれ一方端が短絡端で他方端が開放端である複数の共振器電極と、
    該共振器電極間以外の前記積層体内において前記共振器電極の1つと電磁界結合するように配置され、一方端が短絡端で他方端が開放端である少なくとも1つの減衰共振器電極と、
    前記横並びに整列された共振器電極の初段に接続された入力端子電極と、
    前記横並びに整列された共振器電極の最終段に接続された出力端子電極と
    からなるフィルタ装置であって、
    前記減衰共振器電極は前記開放端が複数に分岐した形状であり、前記短絡端から分岐した前記開放端の各先端までの長さがそれぞれ異なることを特徴とするフィルタ装置。
  2. 一端が前記誘電体層を挟んで初段の前記共振器電極の短絡端と対向し、他端が前記誘電体層を挟んで最終段の前記共振器電極の短絡端部と対向して配置され、これら一端および他端が対向している前記共振器電極の短絡端にそれぞれ電気的に接続された結合電極を有することを特徴とする請求項1記載のフィルタ装置。
  3. 前記接地電極と前記共振器電極との間において前記誘電体層を挟んで前記接地電極と対向するとともに、複数の前記共振器電極の開放端にそれぞれ電気的に接続された複数の容量電極を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載のフィルタ装置。
  4. 前記入力端子電極は、前記共振器電極の初段に沿った形状で、前記誘電体層を挟んで前記共振器電極の初段と対向するように配置されて前記共振器電極の初段と電磁界結合する内部入力端子電極と、前記積層体の外表面に形成され、前記内部入力端子電極に前記共振器電極の初段の前記開放端側で接続された外部入力端子電極とを具備し、前記出力端子電極は、前記共振器電極の最終段に沿った形状で、前記誘電体層を挟んで前記共振器電極の最終段と対向するように配置されて前記共振器電極の最終段と電磁界結合する内部出力端子電極と、前記積層体の外表面に形成され、前記内部出力端子電極に前記共振器電極の最終段の前記開放端側で接続された外部出力端子電極とを具備していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のフィルタ装置。
  5. 複数の前記共振器電極は、インターデジタル型に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のフィルタ装置。
  6. 複数の前記共振器電極は、コムライン型に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のフィルタ装置。
  7. 前記共振器電極が形成された前記誘電体層間に、平面視で複数の前記共振器電極を取り囲むように内部接地電極が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のフィルタ装置。
  8. 前記容量電極の一部が前記誘電体層を挟んで前記内部接地電極と対向するように配置されていることを特徴とする請求項7記載のフィルタ装置。
  9. 前記誘電体層を挟んで前記接地電極または前記内部接地電極と対向するとともに前記減衰共振器電極の開放端に電気的に接続された第2容量電極を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のフィルタ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010232987A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Kyocera Corp フィルタ装置、これを用いた無線通信モジュール及び通信機器装置

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