JP2005079657A - 積層フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】入力端子電極と出力端子電極との間の静電結合量を少なくして、減衰域での充分な減衰量を得ることを可能にした、周波数選択性の高い、小型の積層フィルタを提供する。
【解決手段】矩形状をなす複数の誘電体層1a〜1lを導体パターンを介して積層した積層体1の両主面に一対のグランド端子電極4を形成するとともに、両主面間に位置する平行な2つの側面に入力端子電極2及び出力端子電極3を一部対向させて部分的に形成した積層フィルタ10において、入力端子電極2と出力端子電極3との対向領域に位置する誘電体層1e〜1hの誘電率を、非対向領域に位置する誘電体層1a〜1d、1i〜1lの誘電率に比し小さく設定した。
【選択図】図1

Description

本発明は、通信機器等に用いられる積層フィルタに関するものである。
従来より、携帯電話や携帯情報端末等の通信機器には、積層フィルタが用いられている。
かかる積層フィルタは、矩形状をなす複数の誘電体層を、導体パターンを介して積層した積層体から成るものであり、この積層体の両主面に、一対のグランド端子電極が形成され、前記両主面間に位置する平行な2つの側面に、入力端子電極及び出力端子電極が一部対向して部分的に形成された構造を有している(例えば、特許文献1参照。)。
また積層フィルタの内部には、上述した端子電極に接続されるストリップライン等の共振器が形成されており、所定の周波数帯を選択的に通過させるバンドパスフィルタを構成している。
特開2003−179404号公報
しかしながら、上述した従来の積層フィルタにおいては、小型化及び使用周波数が高周波領域になるにつれて、入力端子電極と出力端子電極との距離が小さくなっており、これに従い、入力端子電極と出力端子電極との間の静電結合量が大きくなり、入力端子電極から出力端子電極へと直接通過する電気信号の量が大きくなってしまうので、積層フィルタとしては、減衰域での充分な減衰量を得ることが困難となっていた。
一方、静電結合量を小さくするために、積層フィルタを構成する誘電体層の誘電率を小さくすると、内部に形成するストリップラインが長くなるので、積層フィルタを小型化することが困難となる。
本発明は、上述した課題に鑑み案出されたものであり、その目的は、入力端子電極と出力端子電極との間の静電結合量を少なくして、減衰域での充分な減衰量を得ることを可能とした、周波数選択性の高い、小型の積層フィルタを提供することにある。
本発明の積層フィルタは、矩形状をなす複数の誘電体層を導体パターンを介して積層した積層体の両主面に一対のグランド端子電極を形成するとともに、前記両主面間に位置する平行な2つの側面に入力端子電極及び出力端子電極を一部対向させて部分的に形成した積層フィルタにおいて、前記入力端子電極と前記出力端子電極との対向領域に位置する誘電体層の誘電率を、非対向領域に位置する誘電体層の誘電率に比し小さく設定したことを特徴とするものである。
また本発明の積層フィルタは、前記入力端子電極と前記出力端子電極との対向領域に位置する誘電体層の誘電率ε1が10〜30、非対向領域に位置する誘電体層の誘電率ε2が30〜100に設定されていることを特徴とするものである。
本発明の積層フィルタによれば、前記入力端子電極と前記出力端子電極との対向領域に位置する誘電体層の誘電率を、非対向領域に位置する誘電体層の誘電率に比し小さく設定したことにより、入力端子電極と出力端子電極との間の静電容量が小さくなり、減衰域で充分な減衰量が得られ、高周波域での周波数選択性を高くすることが可能となる。
一方では、前記入力端子電極と前記出力端子電極との非対向領域の誘電率が高くしており、この非対向領域で共振器となるストリップラインを形成することにより、ストリップラインを短く形成することができるので、積層フィルタを小型化することが可能となる。
また本発明の積層フィルタによれば、前記入力端子電極と前記出力端子電極との対向領域に位置する誘電体層の誘電率ε1が10〜30、非対向領域に位置する誘電体層の誘電率ε2が30〜100に設定されていることにより、低温での焼成が可能なセラミック材料を用いることが可能となり、内部の導体パターンにインピーダンス特性の良いAgやCu等を用いることができるので、フィルタ特性のQ値を高くすることが可能となる。
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例に係る積層フィルタの外観斜視図、図2は本発明の一実施例に係る積層フィルタの分解斜視図である。同図に示す積層フィルタ10は、積層体1の表面には、入力端子電極2、出力端子電極3及びグランド端子電極4が形成された構造を有している。
積層体1は、矩形状をなす誘電体層1a〜1lを積層した構成となっており、誘電体層1a〜1lの材料としては、誘電体セラミック材料、焼結助剤、低融点ガラス材料等が用いられている。誘電体セラミック材料としては、例えばBaO−TiO系、Ca−TiO系、MgO−TiO系等のセラミック材料が用いられ、これらのセラミック材料を用いる場合には、焼結温度が低いので、同時焼成により、後述するような高導電率材料を内蔵することができるので、インピーダンスの低い伝送線路を備えた部品とすることが可能である。また焼結助剤としては、例えば、BiVO、CuO、LiO、B等が用いられ、各誘電体層1a〜1lの厚みは、例えば50μm〜300μmに設定される。
上記積層体1の表面に形成されたグランド端子電極4は、上記積層体の両主面に形成された一対の外部電極であり、外部の回路との電気的な接続に用いられる。その材質としては、例えばAgやCu等の金属を主成分とする導電性の高い導体材料が好適に用いられる。また、グランド端子電極4の表面には、酸化腐食等を防止する目的で、Auメッキ膜、Ni−Auメッキ膜、若しくはNi−Snメッキ等が被着される。
入力端子電極2及び出力端子電極3は、上記積層体1の両主面間に位置する平行な2つの側面に、一部対向させて部分的に形成した外部電極である。材質としては上述したグランド端子電極4と同一材料が用いられる。
また積層体1の内部には、導体パターンが形成されており、上記積層体1は、誘電体層1a〜1lを、種々の導体パターンを介して積層した構成となっている。導体パターンの材質としては、例えば、Ag、Ag−Pd、Au、Cu等の導電性の高い導体材料が好適に用いられる。本実施形態においては、2本のストリップライン共振器を形成しており、所定の周波数帯を選択的に通過させるバンドパスフィルタを構成する。
上記バンドパスフィルタの構成としては、まず、誘電体層1jの主面に、2つのストリップライン5a、6aが平行に設けられている。そして、これら2つのストリップライン5a、6aには、それぞれビアホール導体5c、6cを介して、誘電体層1cの主面に設けられた容量電極5b、6bが接続されている。また、ストリップライン5aは、誘電体層1gの主面に設けられた整合電極2aを介して入力端子電極2と接続しており、ストリップライン6aは、誘電体層1gの主面に設けられた整合電極3aを介して出力端子電極3と接続している。
ここで、ストリップライン5a、6aと誘電体層1jを介して対向する誘電体層1kの主面に設けられたグランド電極4aは、ビアホール導体4cを介してグランド端子電極4と接続している。更に、容量電極5b、6bと誘電体層1bを介して対向し、誘電体層1bの主面に設けられたグランド電極4bは、ビアホール導体4dを介してグランド端子電極4と接続している。
このような積層フィルタ10は、積層体1に形成されたストリップライン5a、6aがそれぞれ電磁静電結合することによって構成するものである。更に、ストリップライン5a、6a及び容量電極5b、6bは、対向するグランド電極4a、4bとの間で容量成分を形成するようになっている。積層フィルタ10は、等価回路としては、図3に示すような共振回路で示され、特定の周波数帯を選択的に通過させるバンドパスフィルタとして機能する。
本実施形態の積層フィルタは、次のようにして製作した。
先ず、複数のセラミックグリーンシートを準備する。セラミック材料としては、MgTiO−CaTiO−SiO−Bを主成分としたセラミックグリーンシートAと、TiO−Nd−BaTiOを主成分としたセラミックグリーンシートBを用いた。各誘電体層の厚みは5μm〜300μmに設定する。
一部のセラミックグリーンシートには、打ち抜き型やパンチングマシーン等を用いて、所定位置にビアホールを打ち抜き形成し、各ビアホールに導体ペーストを充填する。また、各セラミックグリーンシートの主面には、必要に応じて配線用の導体パターンを従来周知のスクリーン印刷法により、導体ペーストを被膜形成する。これら、充填や印刷に用いる導体ペーストは、Ag粉末を、有機ビヒクル中に分散させたものを用いる。このような複数のセラミックグリーンシートを積層し、得られた積層シートを所定の条件で熱圧着して一体化する。
次に、積層シートを、複数個の未焼成積層体に切断・分割し、得られた未焼成積層体を、焼成路を用いて、ピーク温度が930℃の温度プロファイルにて脱バイ・焼成することで、積層体1が得られる。
そして、Agを主成分とする導体材料を用いて作製した導体ペーストを、積層体1の表面に従来周知のディップ法やスクリーン印刷等によって所定パターンに塗布し、これを高温で焼成し、表面にNi−Snメッキ処理を施すことによって、積層体1の表面にグランド端子電極4、入力端子電極2及び出力端子電極3が形成された積層フィルタ10が制作される。
実施形態の積層フィルタ10において、誘電体層1e〜1hは、焼成前ではセラミックグリーンシートAが対応し、その誘電率ε1は18であり、また、誘電体層1a〜1d、1i〜1lは、焼成前ではセラミックグリーンシートBが対応し、その誘電率ε2は66である。
このように、入力端子電極2と出力端子電極3との対向領域に位置する誘電体層1e〜1hの誘電率を、非対向領域に位置する誘電体層1a〜1d、1i〜1lの誘電率に比し小さく設定したことにより、入力端子電極2と出力端子電極3との間の静電容量が小さくなり、減衰域で充分な減衰量が得られ、高周波域での周波数選択性を高くすることが可能となる。
一方では、入力端子電極2と出力端子電極2との非対向領域の誘電率が高くしており、この非対向領域で共振器となるストリップラインを形成することにより、ストリップラインを短く形成することができるので、積層フィルタ10を小型化することが可能となる。
特に本実施形態では、入力端子電極2と出力端子電極3との対向領域に位置する誘電体層1e〜1hの誘電率ε1が10〜30、非対向領域に位置する誘電体層1a〜1d、1i〜1lの誘電率ε2が30〜100に設定されていることにより、低温での焼成が可能なセラミック材料を用いることが可能となり、内部の導体パターンにインピーダンス特性の良いAgやCu等を用いることができるので、フィルタ特性のQ値を高くすることが可能となる。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
例えば、上述した実施形態では、誘電体層はセラミック材料が用いられているが、これに代えて、有機材料を用いても構わない。また、有機材料をベースにして、セラミックフィラーを含ませた複合材料を用いても構わない。
また、上述した実施形態では、共振器が主面に形成したストリップラインで構成されているが、これに限らず、例えば、ビアホール導体のみでも共振器を構成することは可能である。
更に、本実施形態を説明する図では、グランド電極4は積層体1の両主面の一部に形成されているが、これに限らず、入力端子電極2及び出力端子電極3の非形成領域を略全面的に被覆させても良く、これにより、積層フィルタ10は外部からの電磁波ノイズに対してフィルタ特性を安定させることができる。
図1は本発明の一実施例に係る積層フィルタの外観斜視図である。 本発明の一実施例に係る積層フィルタの分解斜視図である。 積層フィルタの等価回路図である。
符号の説明
1・・・積層体
2・・・入力端子電極
3・・・出力端子電極
4・・・グランド端子電極
4a、4b・・・グランド電極
5a、6a・・・ストリップライン
5b、6b・・・容量電極
4c、4d、5c、6c・・・ビアホール電極
10・・・積層フィルタ

Claims (2)

  1. 矩形状をなす複数の誘電体層を導体パターンを介して積層した積層体の両主面に一対のグランド端子電極を形成するとともに、前記両主面間に位置する平行な2つの側面に入力端子電極及び出力端子電極を一部対向させて部分的に形成した積層フィルタにおいて、
    前記入力端子電極と前記出力端子電極との対向領域に位置する誘電体層の誘電率を、非対向領域に位置する誘電体層の誘電率に比し小さく設定したことを特徴とする積層フィルタ。
  2. 前記入力端子電極と前記出力端子電極との対向領域に位置する誘電体層の誘電率ε1が10〜30、非対向領域に位置する誘電体層の誘電率ε2が30〜100に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルタ。
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