JP2002274827A - 高配向グラファイト層状シ−ト物及びその製造方法 - Google Patents

高配向グラファイト層状シ−ト物及びその製造方法

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JP2002274827A JP2001075546A JP2001075546A JP2002274827A JP 2002274827 A JP2002274827 A JP 2002274827A JP 2001075546 A JP2001075546 A JP 2001075546A JP 2001075546 A JP2001075546 A JP 2001075546A JP 2002274827 A JP2002274827 A JP 2002274827A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 層状構造を有し柔軟性および靭性を持つ高配
向グラファイト層状シ−ト物及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 20〜200℃における線膨張係数が2
0ppm/℃以下であるポリイミドフィルムから得ら
れ、SEMによる断面観察によってグラファイト層状構
造を有し、厚みが1〜50μmである高配向グラファイ
ト層状シ−ト物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高配向グラファ
イト層状シ−ト物及びその製造方法に関し、さらに詳し
くは層状構造を有し柔軟性および靭性を持つ高配向グラ
ファイト層状シ−ト物及びその製造方法に関する。本発
明の高配向グラファイト層状シ−ト物は、電気伝導体と
してあるいは熱伝導体として放熱材、均熱材に利用され
る。
【0002】
【従来の技術】近年、高分子膜を炭化させて炭化膜とし
て使用する技術が提案されている。これにはセルロ−
ス、熱硬化性樹脂、ピッチタ−ルを前駆体に用いたもの
が多い。また、グラファイトの製造方法として、特開昭
61−275114号公報、特開昭61−275115
号公報、特開昭61−275117号公報になど特定の
耐熱性高分子フィルムを熱処理するグラファイトの製造
方法が開示されている。
【0003】グラファイトは抜群の耐熱性、耐薬品性、
高電気伝導性等を有するため、工業材料として重要な地
位を占め、ガスケット、電極、発熱体、構造材として広
く使用されている。中でも高配向性グラファイトはX線
や中性子線に対する優れた分光、反射特性を有するた
め、X線や中性子線のモノクロメ−タ−、あるいはフィ
ルタ−として広く用いられている。
【0004】このような目的に使用されるグラファイト
としては、天然に産するものを使用するのが一つの方法
であるが、良質のグラファイトは生産量が非常に限られ
ており、しかも、取り扱いにくい粉末状、またはリン片
状であるため、人工的にグラファイトを製造することが
行われている。
【0005】従来、このような人工的なグラファイトの
製造方法としては、気相中での炭化水素ガスの高温分解
沈積と、その熱間加工による方法があり、圧力を印加し
つつ3400℃で長時間再焼鈍することによりグラファ
イトを製造する。
【0006】このようにして製造されるグラファイト
は、高配向性グラファイト(HOPG)と呼ばれ、天然
の単結晶グラファイトと比較して優れた特性を有してい
る。しかし、この製造方法は製造工程が極めて複雑であ
り、かつ歩留りも著しく低く、その結果、製造された高
配向性グラファイトは極めて高価なものであった。
【0007】ポリイミドフィルムから柔軟性のあるグラ
ファイトシ−トを直接的に得る方法として、特公平1−
49642号公報が知られている。このシ−トは、芳香
族系ポリイミドフィルムを窒素やArなどの不活性ガス
雰囲気中で予備熱処理を行い、その後、さらに同じく不
活性ガス雰囲気中で、ある昇温速度で高温熱処理を行う
ことによって得られる。
【0008】この発明により、予備熱処理と高温熱処理
時の昇温速度等の焼成条件を制御することによって、焼
成後の厚さを制御したグラファイトシ−トを作製するこ
とができる。しかしながら、この製法では焼成条件を最
適に制御できないと、焼成後のグラファイトはシ−ト形
状とならなかったり、柔軟性をもたせることが困難とな
る場合がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、層
状構造を有し柔軟性および靭性を持つ高配向グラファイ
ト層状シ−ト物及びその製造方法を提供することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、20〜20
0℃における線膨張係数が20ppm/℃以下であるポ
リイミドフィルムから得られ、SEMによる断面観察に
よってグラファイト層状構造を有し、厚みが1〜50μ
mである高配向グラファイト層状シ−ト物に関する。
【0011】また、この発明は、厚みが1〜80μm
で、20〜200℃における線膨張係数が20ppm/
℃以下であるポリイミドフィルムを不活性ガス雰囲気下
で比較的低温で焼成することにより炭化膜とし、これを
さらに高温でグラファイト化する高配向グラファイト層
状シ−ト物の製造方法に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下にこの発明の好ましい態様を
列記する。 1)厚みが、出発材料であるポリイミドフィルムの厚み
以下である前記の高配向グラファイト層状シ−ト物。 2)ポリイミドフィルムを不活性ガス雰囲気下で100
0〜2000℃で焼成することにより炭化膜とし、これ
を2600〜3000℃でグラファイト化する前記の高
配向グラファイト層状シ−ト物の製造方法。
【0013】3)ポリイミドフィルムが、イミダゾ−ル
類を添加したポリアミック酸溶液から得られたポリイミ
ドフィルムである前記の高配向グラファイト層状シ−ト
物の製造方法。 4)ポリイミドフィルムが、面配向性を制御したもので
ある前記の高配向グラファイト層状シ−ト物の製造方
法。
【0014】この発明においては、厚みが1〜80μm
で、20〜200℃における線膨張係数が20ppm/
℃以下、好適には5〜20ppm/℃であり、特に引張
弾性率が500kg/mm以上であるポリイミドフィ
ルムを出発材料とする。前記のポリイミドフィルムは、
ポリイミド前駆体フィルムを熱イミド化および/または
化学イミド化することによって得られる。前記のポリイ
ミド前駆体とは、テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミ
ン成分とを重合して得られたポリアミック酸あるいはそ
の部分的にイミド化したものであり、化学イミド化剤の
不存在下あるいは存在下に熱処理(熱処理或いは化学処
理)してポリイミドとすることができるものである。
【0015】前記のテトラカルボン酸成分と芳香族ジア
ミン成分とは、有機溶媒中に大略等モル溶解、重合し
て、対数粘度(30℃、濃度;0.5g/100mL
NMP)が0.3以上、特に0.5〜7であるポリアミ
ック酸であるポリイミド前駆体が製造される。また、重
合を約80℃以上の温度で行った場合に、部分的に閉環
した部分イミド化物であるポリイミド前駆体が製造され
る。
【0016】前記のテトラカルボン酸成分としては、
3,3’,4,4’− ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物(以下、s−BPDAと略記することもある)が
好ましいが、2,3,3’,4’− ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物(以下、a−BPDAと略記するこ
ともある)、2,3,3’,4’− 又は3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、あるいは2,
3,3’,4’− 又は3,3’,4,4’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸の塩またはそれらのエステル化誘導
体であってもよい。ビフェニルテトラカルボン酸成分
は、上記の各ビフェニルテトラカルボン酸類の混合物で
あってもよい。
【0017】また、前記のテトラカルボン酸成分は、前
述のビフェニルテトラカルボン酸類のほかに、ピロメリ
ット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)
スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エ−
テル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエ−
テル、ブタンテトラカルボン酸、あるいはそれらの酸無
水物、塩またはエステル化誘導体などのテトラカルボン
酸類であってもよい。
【0018】前記の芳香族ジアミンとしては、p−フェ
ニレンジアミンが好ましいがその一部(85モル%以
下)を4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,
3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエ−テ
ル、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェ
ニルエ−テルなどで置き換えてp−フェニレンジアミン
と組み合わせることが好ましい。また、前記の芳香族ジ
アミン成分としては、ジアミノピリジンであってもよ
く、具体的には、2,6−ジアミノピリジン、3,6−
ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、3,4
−ジアミノピリジンなども挙げられる。
【0019】前記のポリイミドフィルムは、例えば以下
のようにして製造することができる。先ず、ビフェニル
テトラカルボン酸類とフェニレンジアミン、好適には
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物とp−フェニレンジアミンとをN,N−ジメチルア
セトアミドやN−メチル−2−ピロリドンなどのポリイ
ミドの製造に通常使用される有機極性溶媒中で、好まし
くは10〜80℃で1〜30時間重合して、ポリマ−の
対数粘度(測定温度:30℃、濃度:0.5g/100
ml溶媒、溶媒:N−メチル−2−ピロリドン)が0.
3以上、特に0.5〜7、ポリマ−濃度が10〜35重
量%であり、回転粘度(30℃)が500〜8000ポ
イズであるポリアミック酸(イミド化率:5%以下)溶
液を得る。
【0020】次いで、例えば上記のようにして得られた
ポリアミック酸溶液に、イミダゾ−ル類、特に、1,2
−ジメチルイミダゾ−ルを、特にポリアミック酸のアミ
ック酸単位に対して0.005〜2倍当量、好適には
0.005〜0.8倍当量、特に0.02〜0.8倍当
量程度の量含有させることが好ましい。1,2−ジメチ
ルイミダゾ−ルの一部または全部を、イミダゾ−ル、ベ
ンズイミダゾ−ル、N−メチルイミダゾ−ル、N−ベン
ジル−2−メチルイミダゾ−ル、2−メチルイミダゾ−
ル、2−エチル−4−メチルイミダゾ−ル、5−メチル
ベンズイミダゾ−ル、イソキノリン、3,5−ジメチル
ピリジン、3,4−ジメチルピリジン、2,5−ジメチ
ルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、4−n−プロ
ピルピリジンなどで置き換えてもよい。
【0021】上記のポリアミック酸溶液に、リン化合物
を、好ましくはこのポリアミック酸100重量部に対し
て0.01〜5重量部、特に0.01〜3重量部、その
中でも特に0.01〜1重量部の割合で有機リン化合
物、好適には(ポリ)リン酸エステル、リン酸エステル
のアミン塩あるいは無機リン化合物を添加し、さらに好
適には無機フィラ−を、特にポリアミック酸100重量
部に対して0.1〜3重量部のコロイダルシリカ、窒化
珪素、タルク、酸化チタン、燐酸カルシウム(好適には
平均粒径0.005〜5μm、特に0.005〜2μ
m)を添加してポリイミド前駆体溶液組成物を得る。
【0022】このポリイミド前駆体溶液組成物を平滑な
表面を有するガラスあるいは金属製の支持体表面に連続
的に流延して前記溶液の厚み25〜300μm程度、特
に50〜200μmの薄膜を形成し、その薄膜を乾燥す
る際に、乾燥条件を調整し、温度:100〜200℃、
時間:1〜30分間乾燥することにより、固化フィルム
中、前記溶媒及び生成水分からなる揮発分含有量が30
〜50重量%程度、イミド化率が5〜80%程度である
長尺状固化フィルム(自己支持性フィルム)を形成し、
上記固化フィルムを支持体表面から剥離する。
【0023】前記の固化フィルムを、さらに乾燥条件を
調整して、温度:室温(25℃)〜250℃、時間:
0.5〜30分間程度乾燥する乾燥工程を加えてもよ
い。これらの乾燥工程の少なくとも一部で固化フィルム
の幅方向の両端縁を把持し延伸した状態を保つことによ
って、幅方向(TD)あるいは両方向(MD、TD)に
少し延伸してもよい。
【0024】ポリイミドフィルムは、次いで、好適には
キュア炉内において固化フィルムを高温に加熱して乾燥
およびイミド化を完了させて得ることができる。すなわ
ち、前記のようにして得られた固化フィルムを必要であ
ればさらに乾燥して、乾燥フィルムの幅方向の両端縁を
把持した状態で、キュア炉内における最高加熱温度:4
00〜500℃程度、特に475〜500℃程度の温度
が0.5〜30分間となる条件で該乾燥フィルムを加熱
して乾燥およびイミド化して、残揮発物量0.4重量%
以下程度で、イミド化を完了することによって長尺状の
厚みが1〜80μm、好適には3〜50μmで、前記の
線膨張係数を有するポリイミドフィルムを好適に製造す
ることができる。上記のようにして得られたポリイミド
フィルムを、好適には低張力下あるいは無張力下に20
0〜400℃程度の温度で加熱して応力緩和処理して、
巻き取ってもよい。
【0025】この発明においては、3,3’,4,4’
−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む芳香族テ
トラカルボン酸成分とp−フェニレンジアミンを含む芳
香族ジアミン成分とを前記溶媒中で重合させたポリアミ
ック酸の溶液をド−プとして支持体上に流延し、支持体
から剥離した自己支持性フィルムを前記条件で加熱乾燥
することによって、厚み1〜80μmの、特に面配向度
を高く制御されたポリイミドフィルムを得ることができ
る。
【0026】この発明においては、好適には前記のポリ
イミドフィルムを不活性ガス雰囲気下で1000〜20
00℃で焼成することにより炭化膜とし、これをさらに
2600〜3000℃でグラファイト化する高配向グラ
ファイト層状シ−ト物を得ることができる。
【0027】炭化膜を得るには、ポリイミドフィルム
を、不活性雰囲気下で前記温度範囲内で加熱し、炭化す
ればよい。前記の炭化における不活性雰囲気とは、酸素
など酸化活性の気体がないことが必要であり、アルゴ
ン、ヘリウム、窒素などが適当である。特に炭化には、
アルゴンが好ましい。
【0028】ポリイミドフィルムを炭化する際、分解物
がスム−ズに留去するように、またいったん蒸発した分
解物が再び沈着しないように、不活性ガスの気流中で行
うのが好ましい。前記炭化はポリイミドフィルムが徐々
に炭化するのが好ましく、昇温速度30℃/分以下、特
に0.5〜30℃/分程度の速度で昇温することが好ま
しい。
【0029】次いで、得られた炭化フィルムを、さらに
不活性雰囲気下で2600〜3000℃でグラファイト
化して、高配向グラファイト層状シ−ト物を得ることが
できる。このとき加熱と同時に圧力を加えながら処理し
てもよい。この場合、等方加圧の装置で加熱するのが好
ましい。等方加圧処理すると、結晶化に伴う収縮に対し
等方的に圧力が追従する為に、初期形状を略保持しなが
ら等方的に試料全体が収縮するので、前駆体フィルムの
形状、構造のグラファイト層状物を作製したい場合に
は、特に好ましい。
【0030】また、フィルム面に圧力を加える方法とし
ては、加熱しながら、耐熱性の多孔板、またはフィルム
シ−トに挟み込み、炭化及び黒鉛膜の形状に整えるのに
好適である。例えば、炭素板、炭素フィルムに挟むのが
よい。
【0031】この発明のグラファイト層状物は、結晶子
サイズが大きく、好適には(002)面方向についての
結晶子サイズが90Å(オングストロ−ム)以上、特に
100〜1000Åであり、特にC軸格子定数が6.8
0Å以下、特に6.70Å以下である。
【0032】この発明のグラファイト層状物は、好適に
は結晶化度が75%以上、好適には90%以上、特に9
5%以上あり、しなやかで強くしかも柔軟性を有する層
構造であるため、横方向への電気伝導性および熱伝導性
に優れ、電気伝導体としてあるいは熱伝導体として好適
である。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。以下の各例において、フィルムの厚み、線膨張係
数、引張弾性率、格子定数、結晶化度、結晶子サイズは
以下によって求めたものである。
【0034】フィルムの厚み フィルム厚みは、市販の接触式マイクロメ−タ−及び走
査型電子顕微鏡による断面観察によって測定した。 線膨張係数 ポリイミドフィルムの線膨張係数(20〜200℃):
300℃で30分加熱して応力緩和したサンプルをTM
A装置(引張りモ−ド、2g荷重、試料長10mm、2
0℃/分)で測定した。 引張弾性率:ASTM D882に従って測定(M
D)
【0035】格子定数 (002)面、(101)面の面間隔より、グラファイ
ト結晶の格子定数を求めた。 結晶化度 グラファイト膜の結晶化度は、グラファイト膜を粉にし
て、X線回折を測定し、Ruland法により測定し
た。 結晶子サイズ (002)面、(101)面のピ−クの半値幅より、S
hellerの式に従って求めた。
【0036】実施例1〜5 1)ポリイミドフィルムの作成 酸二無水物として、3,3’,4,4’−ビフェニルテ
トラカルボン酸二無水物(s−BPDA)を、ジアミン
成分としてp−フェニレンジアミン(PDA)、4,
4’−ジアミノジフェニルエ−テル(ODA)、もしく
はPDAとODAの両方を所定の比で混合したものを用
い、s−BPDAに対するジアミン成分のモル比が0.
994で且つ該モノマ−成分の合計重量が16重量%に
なるように1−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶
解し、温度40℃、10時間重合を行ってポリイミド前
駆体溶液を得た。ポリイミド前駆体溶液の溶液粘度は6
000ポイズであった。得られたポリイミド前駆体溶液
を、ガラス基板上に厚みが約15〜180μmになるよ
うに流延し、大気中で80℃から180℃までの熱処理
を行いゲル化を行った。その後ゲル化したフィルムをピ
ンテンタ−に張り直し固定した状態で、大気中にて12
0℃から400℃までの熱処理を行うことにより、フィ
ルムの膜厚み、面配向性の異なるフィルムを数種類作成
した。
【0037】2)イミド化触媒添加ポリイミドフィルム
の作成 酸二無水物として、3,3’,4,4’−ビフェニルテ
トラカルボン酸二無水物(s−BPDA)を、ジアミン
成分としてPDAを用い、s−BPDAに対するジアミ
ン成分のモル比が0.994で且つ該モノマ−成分の合
計重量が16重量%になるようにNMPに溶解し、さら
にイミド化触媒として1,2−ジメチルイミダゾ−ルを
固形分成分に対して2重量%になるように溶液に添加し
た。この溶液を温度40℃、10時間攪拌することによ
り重合反応を行ってポリイミド前駆体溶液を得た。ポリ
イミド前駆体溶液の溶液粘度は6800ポイズであっ
た。得られたポリイミド前駆体溶液を、ガラス基板上に
厚みが約40〜100μmになるように流延し、大気中
で80℃から180℃までの熱処理を行いゲル化を行っ
た。その後ゲル化したフィルムをピンテンタ−に張り直
し固定した状態で、大気中にて120℃から400℃ま
での熱処理を行うことにより、フィルムの膜厚み、分子
の面配向性、の異なるフィルムを数種類作成した。いず
れのポリイミドフィルムも、700kg/mm以上の
引張弾性率(MD)を有していた。
【0038】3)炭化フィルムの作成 前記の1)および2)で得られたポリイミドフィルム
を、窒素ガス気流中で、通気性の炭素シ−トで両面を挟
んで、10℃/分の速度で20℃から1400℃まで昇
温し、1400℃で120分保持した。得られたフィル
ムは光沢を呈しており、また外観形状は破損も無くフラ
ットで炭素化前の状態を保持していた。X線回折により
得られた結果では、炭化膜(フィルム)はわずかに結晶
の様相を示し、ル−ランド(Ruland)法により求
めた結晶化度は15〜40%であった。
【0039】4)グラファイトフィルムの作成 前記の3)で得られた炭化フィルムに、熱間等方圧プレ
ス装置(HIP)で黒鉛化熱処理を施した。炭素フィル
ムを通気性の炭素シ−トで一枚一枚挟んでHIPチャン
バ−内にセットした。アルゴンガスで加圧しながら10
〜20℃/分の速度で昇温し、2600度で2000気
圧の条件で1時間保持し、その後は徐々に減圧しながら
炉冷して、グラファイトフィルム(シ−ト)を得た。得
られたフィルムの外観はHIP処理前と変わらず形状を
保持しており、灰色がかった光沢を呈していた。
【0040】5)グラファイトフィルム(シ−ト)のキ
ャラクタリゼ−ション 得られたグラファイトシ−トは、X線回折及び走査型電
子顕微鏡(SEM)観察及び透過型電子顕微鏡(TE
M)観察により評価した。いずれも層状構造を有し柔軟
性および靭性を有していた。また、配向の高さは試料1
>試料?>試料?>試料?>試料?の順番であった。表
1にポリイミドフィルムの製膜条件とグラファイトフィ
ルムの性状を示す。いずれのフィルムも黒鉛化度は98
%以上と評価された。
【0041】
【表1】
【0042】各々のグラファイトフィルムのSEMによ
る断面観察図を図1〜図5に示す。グラファイト層状構
造が発達している様子がよくわかる。図1〜図3を比較
すると、膜厚が薄いほど一枚一枚のグラファイト層が大
きく成長している傾向にある。また、イミド化触媒であ
るイミダゾ−ルを添加したものの方がグラファイト結晶
の成長を促進する。また、線膨張係数が小さいほど、面
配向性が高くグラファイト結晶が大きく成長している。
【0043】
【発明の効果】この発明によれば、層状構造を有し柔軟
性および靭性を持つ高配向グラファイト層状シ−ト物を
得ることができる。また、この発明の方法によれば、ポ
リイミドフィルムから任意の結晶子サイズ、厚みの高配
向グラファイト層状シ−ト物を安定的かつ精密に製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1のグラファイトフィルムのS
EMによる断面観察図(倍率:10000倍)である。
【図2】図2は、実施例2のグラファイトフィルムのS
EMによる断面観察図である。
【図3】図3は、実施例3のグラファイトフィルムのS
EMによる断面観察図である。
【図4】図4は、実施例4のグラファイトフィルムのS
EMによる断面観察図である。
【図5】図5は、実施例5のグラファイトフィルムのS
EMによる断面観察図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 茂 千葉県市原市五井南海岸8番の1 宇部興 産株式会社高分子研究所内 Fターム(参考) 4G032 AA04 AA13 BA04 GA12 4G046 EA03 EB02 EC03 EC05 EC06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】20〜200℃における線膨張係数が20
    ppm/℃以下であるポリイミドフィルムから得られ、
    SEMによる断面観察によってグラファイト層状構造を
    有し、厚みが1〜50μmである高配向グラファイト層
    状シ−ト物。
  2. 【請求項2】厚みが、出発材料であるポリイミドフィル
    ムの厚み以下である請求項1記載の高配向グラファイト
    層状シ−ト物。
  3. 【請求項3】厚みが1〜80μmで、20〜200℃に
    おける線膨張係数が20ppm/℃以下であるポリイミ
    ドフィルムを不活性ガス雰囲気下で比較的低温で焼成す
    ることにより炭化膜とし、これをさらに高温でグラファ
    イト化する高配向グラファイト層状シ−ト物の製造方
    法。
  4. 【請求項4】ポリイミドフィルムを不活性ガス雰囲気下
    で1000〜2000℃で焼成することにより炭化膜と
    し、これを2600〜3000℃でグラファイト化する
    請求項3記載の高配向グラファイト層状シ−ト物の製造
    方法。
  5. 【請求項5】ポリイミドフィルムが、イミダゾ−ル類を
    添加したポリアミック酸溶液から得られたポリイミドフ
    ィルムである請求項3あるいは4記載の高配向グラファ
    イト層状シ−ト物の製造方法。
  6. 【請求項6】ポリイミドフィルムが、面配向性を制御し
    たものである請求項3〜5のいずれかに記載の高配向グ
    ラファイト層状シ−ト物の製造方法。
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