JP2004051447A - ガラス状炭素フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】曲げ強度にすぐれ、高密度でガスバリヤ性にもすぐれ、かつ高精度な加工が可能なガラス質炭素フィルムを作製する。
【解決手段】100〜200℃の範囲における平均線膨張係数が2.5×10−5cm/cm/℃以下、または/および複屈折が0.13以上であるポリイミドフィルム、または/および特殊な分子構造の繰り返し単位をもつポリイミドの中から選択された少なくとも2種類のポリイミドの共重合体、あるいは混合体からなるフィルムを、700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事を特徴とするガラス質炭素フィルムの製造方法により上記課題を解決しうる。
【選択図】なし
【解決手段】100〜200℃の範囲における平均線膨張係数が2.5×10−5cm/cm/℃以下、または/および複屈折が0.13以上であるポリイミドフィルム、または/および特殊な分子構造の繰り返し単位をもつポリイミドの中から選択された少なくとも2種類のポリイミドの共重合体、あるいは混合体からなるフィルムを、700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事を特徴とするガラス質炭素フィルムの製造方法により上記課題を解決しうる。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池用のセパレータ、ガスケット、発熱体、等として使用される、高導電性、高弾力性、高ガスバリヤ性、易加工性をもったガラス状炭素フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス状炭素フィルムは抜群の耐熱性、耐薬品性、熱伝導性、電気伝導性、低ガス透過性のため放熱材料、耐熱シール材、ガスケット、燃料電池用セパレータ、等として使用されている。中でも燃料電池のセパレータとしての用途はガラス状炭素の大きな用途になろうとしている。
【0003】
固体高分子型燃料電池用セパレータは、燃料電池に流入する反応ガスの流路を確保し、燃料電池で発電した電気を外部に伝達し、燃料電池で生じた熱を放熱する役目を果たしている。したがって、セパレータには高い電気伝導度を持つこと、強靭である事、高ガスバリヤ性を持つ事、溝加工が容易に行なえる事、軽量である事、安価である事、などが求められる。
【0004】
この様なセパレータ用として、一般には炭素材料が用いられるが、その炭素セパレータの一般的な製造方法としてはグラファイト材料にフェノール樹脂等の樹脂を含浸したもの、あるいはグラファイト表面にガラス状炭素を被覆したものが用いられる。しかしながらこれらの製造法では、ガスバリヤ性を確保するために、何度も含浸と乾燥を繰り返す必要があり、高価なものとなると言う欠点があった。
【0005】
一方、セパレータとしてガラス状炭素を用いる事も出来る。この様なセパレータはリン酸型燃料電池ではしばしば用いられるが、溝加工が困難で脆いと言う欠点を有していた。この様な問題点を解決するために、例えば特開平7−194333では、膨張黒鉛粉末とフェノール樹脂、あるいは膨張黒鉛とカルボジイミド樹脂、あるいはそれらの焼結体からなるセパレータが開示されている。しかし、この様なセパレータにおいても精密な溝加工は技術的には非常に困難で、あらかじめ金型でプレス加工したり、製造後に機械加工を施したりする必要があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特定のポリイミドフィルムを原料として用いたガラス質炭素フィルムの製造法に関し、特に従来のガラス質炭素フィルムの欠点であった、脆さ、加工性を大幅に改良したガラス質炭素フィルムの製造法に関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
我々は、上記の問題を解決するために、種々の高分子フィルムの熱処理によるガラス質炭素フィルムの作製を検討した。我々は特にポリイミドを取り上げ各種ポリイミドフィルムのガラス質炭素化を試みた。その結果、多くのポリイミドはガラス質炭素フィルムへの転化は可能ではあるが、その多くが脆いガラス質炭素フィルムであるのに対し、本発明の、特定のポリイミドフィルムを700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する方法によって得られるガラス状炭素フィルムは、脆さや加工性を大幅に改良されたフィルムであることを見出した。
【0008】
本発明の第一は、100〜200℃の範囲におけるフィルム面方向の平均線膨張係数が2.5×10−5cm/cm/℃以下であるポリイミドフィルムを700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事を特徴とするガラス状炭素フィルムの製造方法であり、曲げ強度にすぐれ、高密度でガスバリヤ性にすぐれるガラス質炭素フィルムを得る事が出来る。
【0009】
我々は種々のポリイミドと、脆いガラス状炭素しか得られないポリイミドを検討し、出発原料のどの様な物性値が最終的なガラス質炭素の強靭性に影響を与えるかを研究した。その結果、ポリイミドフィルムの線膨張係数がガラス状炭素フィルムの強靭性に関係することが分った。ここで言う線膨張係数はフィルム面方向の線膨張係数である。線膨張係数はフィルム面方向の分子の配向性を最も良く表す物性であり、線膨張係数が小さい事はフィルム面方向の分子の配向が高い事をしめす。この様な分子の配向性は見かけ上ガラス質のように見える炭素の中で分子配向性が何らかの形で保持されており、その事が強靭性向上に影響するものと思われる。従って、分子配向性の高いポリイミドを使用する事でガラス質炭素の強靭性が向上するものと考えられる。ガラス質という定義は分子配向のない状態を表すので、この様な記述は矛盾しているが、ここで言う分子の配向性は例えばX線回折などの方法で検出されないものであって、見かけ上はガラス質炭素となっていると言えるのである。また、本発明の手法で得られるガラス質炭素は高密度で、その内部に気孔をほとんど含んでおらず、すぐれたガスバリヤ性を示すと言う特徴も有している。
本発明の第二は、複屈折が0.13以上であるポリイミドフィルムを700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事を特徴とするガラス状炭素フィルムの製造方法である。複屈折の値はフィルム面方向の分子の配向性をより直接的に表す物性値であり、種々の検討の結果、その値が0.13以上である場合には優れたガラス状炭素フィルムへの転化が実現できる事が分った。分子配向性の高いポリイミドを使用する事で、ガラス質炭素の強靭性が向上するものと考えられる。また、本発明の手法で得られるガラス質炭素は高密度でその内部に気孔をほとんど含んでおらず、すぐれたガスバリヤ性を示すと言う特徴も有している。
【0010】
本発明の第三は、100〜200℃の範囲におけるフィルム面方向の平均線膨張係数が2.5×10−5cm/cm/℃以下であり、かつ複屈折が0.13以上であるポリイミドフィルムを700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事を特徴とするガラス状炭素フィルムの製造方法である。
【0011】
本発明の第四は、下記、一般式(1)、(2)、(3)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも2種以上の繰り返し単位を有するポリイミドの共重合体、あるいは一般式(1)で表されるポリイミド共重合体、一般式(2)で表されるポリイミド共重合体、一般式(3)で表されるポリイミド共重合体からなる群からから選択される少なくとも2種以上のポリイミド共重合体の混合物を含むフィルムを、700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事、を特徴とするガラス状炭素フィルムの製造方法である。
【0012】
【化8】
【0013】
【化9】
【0014】
【化10】
【0015】
であり、R1は、
【0016】
【化11】
【0017】
からなる群から選択される2価の有機基であって、R2はそれぞれ独立して、−CH3、−Cl、−Br、−F、または−CH3Oであり、
Rは
【0018】
【化12】
【0019】
であって、ここでnは1〜3の整数。そしてXおよびYはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数6以下の低級アルキル基、または炭素数6以下のアルコキシ基、そしてAは、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、または−CH2−、である。
【0020】
この様なポリイミドを使用する事で、曲げ強度にすぐれ、高密度でその内部に気孔をほとんど含まないガラス質炭素が得られ、それらはすぐれたガスバリヤ性を示す。この様なポリイミドを出発原料とすると、ガラス状炭素への転化が600℃付近から徐々に始まるが、処理時間の観点から、実質的にはガラス質炭素への処理温度は700℃以上である事が必要である。一方、2400℃を超えると、ガラス質炭素からグラファイトへの転化が始まり、2400℃以上ではグラファイトに転化してしまう。
【0021】
本発明の第五は、前記ポリイミドフィルムが、上記一般式(1)、(2)および下記一般式(6)、(7)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも3種以上の繰り返し単位を有するポリイミドの共重合体、あるいは一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体、一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体、および一般式(6)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体、一般式(7)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体からなる群からから選択される少なくとも3種以上のポリイミド共重合体の混合物を含むポリイミドフィルムを、700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事、を特徴とするガラス状炭素フィルムの製造方法である。
【0022】
【化13】
【0023】
【化14】
【0024】
すなわち一般式(4)、(5)、(6)、(7)で表される繰り返し単位を持つ、すくなくとも2種類以上のポリイミドの共重合体あるいは混合物、よりなる高分子フィルムを、700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事を特徴とするガラス状炭素フィルムの製造方法である。この様なポリイミドを使用する事で曲げ強度にすぐれ、高密度でその内部に気孔をほとんど含まないガラス質炭素が得られ、それらはすぐれたガスバリヤ性を示す。
【0025】
本発明の第六は、前記ポリイミドフィルムが、一般式(1)、(2)で表される繰り返し単位をもつポリイミド共重合体を含むポリイミドフィルムであって、4、4‘−オキシジアニリンおよびパラフェニレンジアミンをモル比で9/1〜4/6の割合で含むジアミンを用いて得られるポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項4または5に記載のグラファイトフィルムの製造方法である。この様なポリイミドを使用する事で曲げ強度にすぐれ、高密度でその内部に気孔をほとんど含まないガラス質炭素が得られ、それらはすぐれたガスバリヤ性を示す。
【0026】
本発明の第七は、前記ポリイミドフィルムが、一般式(1)、(2)、(6)、(7)で表される繰り返し単位をもつポリイミド共重合体を含むポリイミドフィルムであって、それぞれの繰り返し単位の数を、a、b、c、dとし、a+b+c+dをsとしたとき、(a+b)/s、(a+c)/s、(b+d)/s、(c+d)/sが0.25〜0.75を満たすポリイミドフィルムである、請求項4〜6に記載のグラファイトフィルムの製造方法である。この様なポリイミドを使用する事で曲げ強度にすぐれ、高密度でその内部に気孔をほとんど含まないガラス質炭素が得られ、それらはすぐれたガスバリヤ性を示す。
【0027】
本発明の第八は、ポリイミド100重量部に対して5〜100重量部のグラファイト構造をもつ炭素粒子を含むポリイミドフィルムを、700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事、を特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のガラス状炭素フィルムの製造方法である。グラファイト粒子の添加でガラス質炭素の電気伝導度を制御する事ができる。この様なポリイミドを使用する事で、電気伝導度のさらに改良されたガラス質炭素を得る事が出来る。
【0028】
本発明の第九は、前記ポリイミドフィルムとして、両面または片面に溝が形成されたポリイミドフィルムを用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のガラス状炭素フィルムの製造方法である。この様な方法で容易に精密な加工を施したガラス質炭素を得る事が出来る。
【0029】
本発明の第十は、前記溝が形成されたポリイミドフィルムが、アルカリエッチングにより溝が形成されたポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項9記載のガラス状炭素フィルムの製造方法である。この様な方法で容易に精密な加工を施したガラス質炭素を得る事が出来る。
【0030】
本発明の第十一は、前記溝が形成されたポリイミドフィルムが、レーザー加工法により溝が形成されたポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項9記載のガラス状炭素フィルムの製造方法である。この様な方法で容易に精密な加工を施したガラス質炭素を得る事が出来る。
【0031】
本発明の第十二は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法によって得られるガラス状炭素フィルムの両面あるいは片面に、レーザー加工法によって溝構造を形成する事を特徴とするガラス質炭素フィルムの製造方法である。
本発明の第十三は、ガラス質炭素フィルムに用いるためのポリイミドフィルムであって、100〜200℃の範囲における平均線膨張係数が2.5×10−5cm/cm/℃以下であるポリイミドフィルムである。
本発明の第十四は、ガラス質炭素フィルムに用いるためのポリイミドフィルムであって複屈折が0.13以上であるポリイミドフィルム
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリイミドフィルムは、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶剤溶液を、エンドレスベルト、ステンレスドラムなどの支持体上に流延し、乾燥・イミド化させることにより製造される。 本発明に用いられるポリアミド酸の製造方法としては公知の方法を用いることができ、通常、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、得られたポリアミド酸有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られ、この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
【0033】
重合方法としてはあらゆる公知の方法を用いることができるが、特に好ましい重合方法として次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
【0034】
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
【0035】
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
【0036】
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
【0037】
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。
【0038】
ここで、本発明にかかるポリイミド前駆体ポリアミド酸組成物に用いられる材料について説明する。
【0039】
本発明におけるポリイミドを得るのに適当な酸無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物を含み、これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用い得る。
【0040】
本発明にかかるポリイミド前駆体ポリアミド酸組成物において使用し得る適当なジアミンとしては、4,4‘−オキシジアニリン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン及びそれらの類似物などが挙げられる。
【0041】
本発明におけるポリイミドは、平均線膨張係数の点から下記一般式(1)、(2)、(3)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも2種以上の繰り返し単位を有するポリイミドの共重合体、あるいは一般式(1)で表されるポリイミド共重合体、一般式(2)で表されるポリイミド共重合体、一般式(3)で表されるポリイミド共重合体からなる群からから選択される少なくとも2種以上のポリイミド共重合体の混合物であることが好ましい。
【0042】
【化15】
【0043】
【化16】
【0044】
【化17】
【0045】
であり、R1は、
【0046】
【化18】
【0047】
からなる群から選択される2価の有機基であって、R2はそれぞれ独立して、−CH3、−Cl、−Br、−F、または−CH3Oであり、
Rは
【0048】
【化19】
【0049】
であって、ここでnは1〜3の整数。そしてXおよびYはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数6以下の低級アルキル基、または炭素数6以下のアルコキシ基、そしてAは、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、または−CH2−、である。
【0050】
また、前記ポリイミドフィルムが、上記一般式(1)、(2)および下記一般式(6)、(7)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも3種以上の繰り返し単位を有するポリイミドの共重合体、あるいは一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体、一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体、および一般式(6)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体、一般式(7)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体からなる群からから選択される少なくとも3種以上のポリイミド共重合体の混合物であることも好ましい。
【0051】
【化20】
【0052】
【化21】
【0053】
本発明において用いられるポリイミド前駆体ポリアミド酸組成物において最も適当な酸二無水物はピロメリット酸二無水物及びまたはp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)あり、これら単独もしくは2者の合計モルが全酸二無水物に対して40モル%以上、更には50モル%以上、更には70モル%以上、また更には80モル%以上用いるのが好ましい。
【0054】
また、アミン化合物は、4,4‘−オキシジアニリン及びp−フェニレンジアミンをモル比で9/1〜4/6の範囲で用いるのが好ましい。これら2種のジアミンのモル比がこの範囲を外れると、線膨張係数が大きくなる、フィルムが脆弱となり耐屈曲性が低下するなどの問題が起きやすくなる。
【0055】
また、同じく平均線膨張係数の点から一般式(1)、(2)、(6)、(7)で表される繰り返し単位をもつポリイミド共重合体であって、それぞれの繰り返し単位の数を、a、b、c、dとし、a+b+c+dをsとしたとき、(a+b)/s、(a+c)/s、(b+d)/s、(c+d)/sが0.25〜0.75を満たすことが好ましい。
【0056】
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用い得る。
【0057】
これらポリアミド酸溶液からポリイミドフィルムを製造する方法については従来公知の方法を用いることができる。この方法には熱イミド化法と化学イミド化法が挙げられる。化学キュア法は、ポリアミド酸有機溶媒溶液に、無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表されるイミド化触媒とを作用させる方法である。化学イミド化法に熱イミド化法を併用してもよい。加熱条件は、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ等により、変動し得る。これらのうちで化学イミド化法または化学イミド化法と熱イミド化法の併用を採用する方が熱イミド化法の場合よりも線膨張係数が小さくなる傾向があり好ましい。
【0058】
この様にして100〜200℃の範囲における平均線膨張係数が2.5×10−5cm/cm/℃以下、好ましくは2.0×10−5cm/cm/℃以下、更に好ましくは1.5×10−5cm/cm/℃以下、であるポリイミドフィルムを得ることができる。フィルムの線膨張係数はTMA(熱機械分析装置)を用いて、まず試料を10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させたのち一旦室温まで空冷し、再度10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させ、2回目の昇温時から100℃〜200℃の平均線膨張係数とした。また更にフィルムの弾性率については、200kg/mm2、以上であり、更には250kg/mm2、以上、より好ましくは350kg/mm2、以上である事が好ましい。
【0059】
線膨張係数、あるいは弾性率の値は、ガラス状炭素フィルムの作成に大きな影響を与える。これらは出発原料フィルム内部での分子の配向性を反映したものであり、線膨張係数は出来る限り小さいほうが、弾性率はその値が大きいほどすぐれた配向性を持つ、という事によっている。我々は種々検討の結果、中でも線膨張係数は強靭なガラス状炭素フィルムの物性に重要な影響を及ぼす事が分った。
【0060】
また、本発明に用いられるポリイミドフィルムは、面内配向性を示す複屈折Δnが0.13以上、好ましくは0.15以上、最も好ましくは0.16以上であることが好ましい。ここでいう複屈折とはフィルム面内方向の屈折率と厚み方向の屈折率の差であり、本明細書においてはフィルム面内X方向の複屈折Δnxは下式で与えられる。
複屈折Δnx=(面内X方向の屈折率Nx)−(厚み方向の屈折率Nz)
具体的測定方法を説明すると、フィルム試料をくさび形に切り出してナトリウム光をフィルム面内のX方向に垂直な方向から当て、偏光顕微鏡で観察すると干渉縞がみられる。この干渉縞の数をnとすると、フィルム面内X方向の複屈折Δnxは、
Δn=n×λ/d
で表される。ここで、λはナトリウム光の波長589nm、dは試料の巾(nm)である。詳しくは「新実験化学講座」第19巻(丸善(株))などに記載されている。
なお、前記した「複屈折Δnがフィルム面内のどの方向においても」とは、例えばフィルム製膜時の流れ方向を基準として、面内の0゜方向、45゜方向、90゜方向、135゜方向のどの方向においても、の意味である。
【0061】
ここでいう複屈折とはフィルム面内の任意方向の屈折率と厚み方向の屈折率の差であり、下式で与えられる。
【0062】
複屈折Δn=(面内方向の屈折率Nx)−(厚み方向の複屈折Nz)
具体的測定方法を簡単に例示すると、フィルム試料をくさび形に切り出してナトリウム光を用いて厚み方向から光を当て、偏光顕微鏡で観察すると干渉縞がみられる。この干渉縞の数をnとすると、複屈折Δnは、
Δn=n×λ/d
で表される。ここで、λはナトリウム光の波長589nm、dは試料の巾(nm)である。詳しくは「新実験化学講座」第19巻(丸善(株))などに記載されている。
【0063】
次に、ポリイミドフィルムの炭素化のプロセスについて述べる。
【0064】
本発明では出発物質であるポリイミドフィルムを窒素ガスなどの非酸化性ガス中で加熱し、炭素化を行なう。加熱は通常2400℃以下の温度で行い、例えば、10℃/分昇温速度で予備処理を行った場合には最高温度で10分間程度の保持を行なう事が望ましい。炭素化処理の段階ではひずみやしわの少ない炭素フィルムとすることができるという点から、フィルムの破壊が起きない程度の圧力を加える事が好ましい。圧力が大きすぎると炭素化の過程でのフィルムの収縮のために破壊が起きる。
【0065】
本発明におけるポリイミドを出発原料とするガラス質炭素は、同じ条件で熱処理した時、一般式(2)で表される最も代表的なポリイミド(Dupont社、Kapton)よりも優れた電気伝導度を示す。
【0066】
また、ガラス状炭素フィルムを2400℃以上の温度で熱処理すると、グラファイト構造に転化しはじめるが、その際には炭素−炭素結合の開裂・再結合化が起きなくてはならない。我々の発明になるガラス状炭素フィルムは、式(2)で表現されるポリイミドより作製したガラス状炭素フィルムより100℃以上も低い温度でグラファイト化が進行する事が分った。グラファイト化が低温で起きると言う事は、その開裂・再結合が最小のエネルギーで起きると言う事を示している。出発ポリイミドフィルムのフィルムの面方向への二次元的な分子配向は炭素化フィルムの炭素配列に影響を与え、それはグラファイト化の際の炭素−炭素結合の開裂・再結合化のエネルギーを少なくする効果を持つと考えられる。この事は、逆にいえば我々の開発したガラス状炭素フィルムが分子配向を実現した形の物であり、これは一見同じにみえるガラス状炭素が、実は出発ポリイミドフィルムの分子配向を反映しており、その結果、電気伝導に代表される物性が異なったものになると考えられる。
【0067】
本発明のポリイミド樹脂に熱硬化性樹脂の添加が可能である。熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、フルフリルアルコール、フラン樹脂、ジビニルベンゼン樹脂、ホルムアルデヒドもしくはパラホルムアルデヒドを共重合させたもの、等が有効に使用できる。これらの熱硬化性樹脂は、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸の状態、あるいはゲル状態で添加する事が好ましい。
【0068】
本発明においては、ガラス質炭素の電気伝導度を制御できるという点から、ポリイミド100重量部に対して10〜100重量部のグラファイト構造をもつ炭素粒子を添加する事が好ましい。ガラス質炭素の電気伝導度は、無論その処理温度によって変わるが、グラファイト(炭素)粒子を添加する事によってもその電気伝導度を制御する事ができる。最適添加量は、目的とする電気伝導度の大きさ、グラファイト粒子の添加量、粒子の大きさ、によって決定される。電気伝導度を大きくするためにはより多量のグラファイトの添加が必要であり、添加粒子の大きさが小さいほど少量の添加量で同じ電気伝導度を得る事が出来る。膨張黒鉛、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、気相成長炭素繊維、気相成長グラファイト繊維、などは特に好ましく用いる事が出来る。これらのグラファイト構造をもつ炭素あ粒子はポリイミド前駆体であるポリアミック酸の状態、あるいはゲル状態で添加する事が好ましい。
【0069】
ガラス質炭素を燃料電池のセパレータとして使用する際には、その表面に水素とガス状の水が通る溝構造を作製する事が求められる。しかし、通常の高分子材料に溝構造を作成し、それを歪なく焼結し、ガラス質炭素にする事は必ずしも容易ではない。ポリイミドはアルカリエッチングによって容易に加工が出来、またレーザー加工によっても容易に溝構造の形成ができる。本発明に用いるポリイミドではこれらの溝加工を施したフィルムをひずみが入る事無く、しかも均一にガラス状炭素に転化させる事ができる。この時、本発明のポリイミドではガラス状炭素への転化の際に生じる収縮が均一に起こるので、その収縮率をあらかじめ測定しておけば任意の大きさのガラス質炭素を作る事ができる。
【0070】
すなわち、本発明のポリイミドフィルムではその両面あるいは片面に、アルカリエッチングにより溝構造を形成し、しかる後に、700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事によって容易にガラス質フィルム構造体を得る事ができる。アルカリエッチングは、例えば、エタノール/1N−KOH水溶液(80Vol/20Vol)の溶液にポリイミドフィルムを浸漬する事によって容易に行なう事ができる。この時、所望の溝構造を形成するためにはレジスト膜などを用いてその表面に所望のパターンを形成しておけば良い。
【0071】
ポリイミドはレーザー加工によっても容易に溝構造の形成ができる。この場合にはレーザーによる加工はあらかじめポリイミドフィルムに施しておいても良いし、熱処理によってガラス質炭素にしたあとのフィルムに施してもよい。本発明のポリイミドフィルムの収縮は500℃付近で最も大きく起きるので、その様な温度領域以上であらかじめ熱処理したフィルムにレーザー加工によって溝構造を作製する事は好ましい。
【0072】
レーザーとしては、炭酸ガスレーザー、UV−YAGレーザー、エキシマレーザーなどのレーザーを使用する事ができる。特にUV−YAGレーザー、炭酸ガスレーザーはそのコストパフォーマンスの観点から見て望ましいレーザーの一つである。
【0073】
本発明のポリイミドでは、熱処理によってこれらの加工を施したフィルムをひずみが入る事無く、均一に収縮・炭素化させることが出来る。均一に収縮させるためには熱処理時に圧力を印加しておく事は好ましい。この時印加する圧力は、1000〜10g/cm2である事が望ましく、200〜20g/cm2の範囲である事はより好ましい。無論これらの圧力の大きさは一度に処理するフィルムの枚数や厚さにより影響されるので、上記範囲に限定されるものではない。
【0074】
また、フィルム処理の際にはフィルム同士の融着を避け、フィルム間の滑りを良くする目的で、フィルムの間にセパレータを挟む事が好ましい。金属フィルムやグラファイトフィルム、などはこの目的に有効に使用できる。また無機酸化物粉末、グラファイト粉末、などをフィルム間に介在させておき、フィルム間のすべりを良くする事は有効である。
【0075】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
【0076】
以下の実施例において、フィルムの線膨張係数は熱機械分析装置(TMA:セイコー電子製SSC/5200H;TMA120C)を用いて、測定試料サイズ:3mm幅×20mm長で所定の治具にセットし、引張モードで3gの荷重をかけて、窒素雰囲気下、まず試料を10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させたのち一旦室温まで空冷し、再度10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させ、2回目の昇温時から100℃〜200℃の平均線膨張係数とした。
【0077】
(実施例1)
ピロメリット酸二無水物、4,4‘−オキシジアニリン、p−フェニレンジアミンをモル比で4/3/1の割合で合成したポリアミド酸の18wt%のDMF溶液100gに無水酢酸20gとイソキノリン10gからなる硬化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を120℃で150秒間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルムを300℃、400℃、500℃で各30秒間加熱してポリイミドフィルム(試料A)を製造した。製造したフィルムは、フィルム厚さ25μm、100〜200℃の面方向の平均線膨張係数が1.6×10−5cm/cm/℃、複屈折率が0.14のフィルムと、厚さ50μm、100〜200℃の面方向の平均線膨張係数が1.6×10−5cm/cm/℃、複屈折率が0.14のフィルムの2種類であった。
【0078】
電気炉を用いて、それぞれの厚さの試料Aフィルムを窒素ガス中、10℃/分の速度で600℃まで昇温し、600℃で1時間保って予備処理した。
【0079】
次に得られた炭素化フィルムをグラファイト基板で挟み、円筒状グラファイトヒーターの内部にセットした。炉を20℃/分の昇温速度で2400℃までの適当な最高温度まで昇温、最高温度で10分間保持し、その後20℃/分の速度で降温した。処理はアルゴン雰囲気で0.5kg/cm2の加圧下で行なった。得られたガラス質炭素フィルムは強靭で弾性率の高いものであった。
【0080】
炭素化の進行状況は、フィルム面方向の電気伝導度を測定する事によって行った。その結果を表1に示す。この実施例のポリイミド(試料A)では700℃でガラス状炭素への転化が起きており、電気伝導度、密度、曲げ強度、気孔率のいずれもすぐれた特性を示した。2400℃の温度では電気伝導度の値が急激に大きくなり、それに伴って曲げ強度の低下、密度の低下がはじる。これはこの温度からグラファイト化反応が進行する事を示している。
【0081】
【表1】
【0082】
(比較例1)
ピロメリット酸二無水物と4,4‘−ジアミノジフェニルエーテルをモル比で1/1の割合で合成したポリアミド酸の18wt%のDMF溶液100gに無水酢酸20gとイソキノリン10gからなる硬化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を120℃で150秒間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルムを300℃、400℃、500℃で各30秒間加熱して、一般式(2)で表される最も代表的なポリイミドを合成し、フィルム(Dupont社製:カプトンHフィルム相当)を作製した。作成したフィルムは、厚さ25μm、100〜200℃の平均線膨張係数は3.2×10−5cm/cm/℃、複屈折が0.11のフィルムと、厚さ50μm、100〜200℃の平均線膨張係数が3.0×10−5cm/cm/℃、複屈折が0.10の2種類である。これらのフィルムについて、実施例1と同じ方法で熱処理・炭素化を行った。得られた炭素化フィルムの密度、電気伝導度、曲げ強度、気孔率の値を表2に示す。密度と気孔率には大きな差異は認められないが、電気伝導度、曲げ強度には関しては、実施例1で示した本発明になるポリイミド(試料A)を原料にして得られる炭素化フィルムに比較してかなり劣るものであり、この事から、本発明のポリイミドから得られるガラス質炭素フィルムの優位性が明らかとなった。
【0083】
【表2】
【0084】
(実施例2)
ピロメリット酸二無水物、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミンをモル比で3/2/1の割合で合成したポリアミド酸の18wt%のDMF溶液100gに無水酢酸20gとイソキノリン10gからなる硬化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を120℃で150秒間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルムを300℃、400℃、500℃で各30秒間加熱してポリイミドフィルム(試料B)を製造した。製造したフィルムは、厚さ25μm、100〜200℃の平均線膨張係数が0.9×10−5cm/cm/℃、複屈折0.15のフィルムと、厚さ50μm、100〜200℃の平均線膨張係数が1.0×10−5cm/cm/℃、複屈折0.15の2種類のフィルムあった。このフィルムを用いて実施例1と同じ方法でガラス質炭素フィルムの作製を行なった。得られたガラス質炭素フィルムの特性を表3に示す。その特性は実施例1とほぼ同じであった。
【0085】
【表3】
【0086】
(実施例3)
ピロメリット酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、パラフェニレンジアミン、4−4‘ジアミノジフェニルエーテル、をそれぞれモル比で1/1/1/1となるようにして合成したポリアミド酸の18wt%のDMF溶液100gに無水酢酸20gとイソキノリン10gからなる硬化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。その後実施例1とおなじ方法でポリイミドフィルム(試料C)を得た。得られたフィルムは、厚さ25μm、100〜200℃の平均線膨張係数が0.8×10−5cm/cm/℃、複屈折0.16のフィルムと、厚さ50μm、100〜200℃の平均線膨張係数が0.9×10−5cm/cm/℃、複屈折0.15の2種類のフィルムあった。
【0087】
得られたフィルムを原料として、実施例1と同じ方法でガラス状質炭素フィルムを作製し、その電気伝導度、密度、曲げ強度、気孔率を測定した。その結果を表4に示す。この結果から実施例3のポリイミドを出発原料として用いても優れた特性のガラス質炭素が得られる事が分った。
【0088】
【表4】
【0089】
(実施例4)
ピロメリット酸二無水物、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミンをモル比で4/3/1の割合で合成したポリアミド酸の18wt%のDMF溶液100gを合成し、これに3種類のグラファイト粉末(膨張黒鉛、気相成長グラファイト繊維、活性炭を添加・混錬した。次に無水酢酸20gとイソキノリン10gからなる硬化剤を混合、攪拌し、実施例1と同じ方法で50μm厚のポリイミドフィルムを製膜した。得られたポリイミド膜を実施例1と同じ方法で800℃で熱処理した。得られたフィルムは、膨張黒鉛20部入り、厚さ50μm、100〜200℃の平均線膨張係数が1.4×10−5cm/cm/℃のフィルム、グラファイト20部入り、厚さ50μm、100〜200℃の平均線膨張係数が1.0×10−5cm/cm/℃のフィルム、活性炭20部入り、厚さ50μm、100〜200℃の平均線膨張係数が1.4×10−5cm/cm/℃のフィルム、この様にして得られたガラス質炭素フィルムの物性を表5に示す。グラフファイトの添加により電気伝導度の大幅に改良されたガラス質炭素フィルムを得る事が出来た。
【0090】
【表5】
【0091】
(実施例5)
実施例1と同じ方法でポリイミドフィルム(試料A:厚さ50μm)を作製し、その表面にフォトレジストを用いて幅100μmのパターンを形成した。つぎに、エタノール/1N−KOH水溶液(80Vol/20Vol)の溶液にポリイミドフィルムを浸漬して深さ10μmの溝を作製した。こうして得られたポリイミドを実施例1の方法で熱処理してガラス質炭素フィルムを作製した。800℃の熱処理で約20%の収縮が観察され(面積比64%に収縮)、溝幅は80μmとなった。しかし、この時溝の深さは10μmでほとんど変化しなかった。すなわち、本発明のポリイミドはフィルムの面方向(X−Y方向)には均一収縮するが、フィルムの厚さ方向(Z方向)にはほとんど収縮しない事が分った。
【0092】
また、800℃以上の温度領域ではこれ以上の収縮はほとんど起こらない。従って、この事を考慮して置く事によって希望のサイズのガラス質炭素フィルムを容易に作製する事ができた。
【0093】
(実施例6)
実施例3と同じ方法でポリイミドフィルム(試料C:厚さ50μm)を作製し、得られたフィルムを原料として、実施例1と同じ方法で1000℃にて熱処理を行い、ガラス状質炭素フィルムを作製した。こうして得られたガラス質炭素の表面にUV―YAGレーザーをもちいて幅100μm、深さ10μmの溝を作製した。得られたガラス質炭素はUV−YAGレーザーで容易に溝構造を作製する事ができ、得られたフィルムの物性は実施例3と同じであった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池用のセパレータ、ガスケット、発熱体、等として使用される、高導電性、高弾力性、高ガスバリヤ性、易加工性をもったガラス状炭素フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス状炭素フィルムは抜群の耐熱性、耐薬品性、熱伝導性、電気伝導性、低ガス透過性のため放熱材料、耐熱シール材、ガスケット、燃料電池用セパレータ、等として使用されている。中でも燃料電池のセパレータとしての用途はガラス状炭素の大きな用途になろうとしている。
【0003】
固体高分子型燃料電池用セパレータは、燃料電池に流入する反応ガスの流路を確保し、燃料電池で発電した電気を外部に伝達し、燃料電池で生じた熱を放熱する役目を果たしている。したがって、セパレータには高い電気伝導度を持つこと、強靭である事、高ガスバリヤ性を持つ事、溝加工が容易に行なえる事、軽量である事、安価である事、などが求められる。
【0004】
この様なセパレータ用として、一般には炭素材料が用いられるが、その炭素セパレータの一般的な製造方法としてはグラファイト材料にフェノール樹脂等の樹脂を含浸したもの、あるいはグラファイト表面にガラス状炭素を被覆したものが用いられる。しかしながらこれらの製造法では、ガスバリヤ性を確保するために、何度も含浸と乾燥を繰り返す必要があり、高価なものとなると言う欠点があった。
【0005】
一方、セパレータとしてガラス状炭素を用いる事も出来る。この様なセパレータはリン酸型燃料電池ではしばしば用いられるが、溝加工が困難で脆いと言う欠点を有していた。この様な問題点を解決するために、例えば特開平7−194333では、膨張黒鉛粉末とフェノール樹脂、あるいは膨張黒鉛とカルボジイミド樹脂、あるいはそれらの焼結体からなるセパレータが開示されている。しかし、この様なセパレータにおいても精密な溝加工は技術的には非常に困難で、あらかじめ金型でプレス加工したり、製造後に機械加工を施したりする必要があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特定のポリイミドフィルムを原料として用いたガラス質炭素フィルムの製造法に関し、特に従来のガラス質炭素フィルムの欠点であった、脆さ、加工性を大幅に改良したガラス質炭素フィルムの製造法に関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
我々は、上記の問題を解決するために、種々の高分子フィルムの熱処理によるガラス質炭素フィルムの作製を検討した。我々は特にポリイミドを取り上げ各種ポリイミドフィルムのガラス質炭素化を試みた。その結果、多くのポリイミドはガラス質炭素フィルムへの転化は可能ではあるが、その多くが脆いガラス質炭素フィルムであるのに対し、本発明の、特定のポリイミドフィルムを700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する方法によって得られるガラス状炭素フィルムは、脆さや加工性を大幅に改良されたフィルムであることを見出した。
【0008】
本発明の第一は、100〜200℃の範囲におけるフィルム面方向の平均線膨張係数が2.5×10−5cm/cm/℃以下であるポリイミドフィルムを700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事を特徴とするガラス状炭素フィルムの製造方法であり、曲げ強度にすぐれ、高密度でガスバリヤ性にすぐれるガラス質炭素フィルムを得る事が出来る。
【0009】
我々は種々のポリイミドと、脆いガラス状炭素しか得られないポリイミドを検討し、出発原料のどの様な物性値が最終的なガラス質炭素の強靭性に影響を与えるかを研究した。その結果、ポリイミドフィルムの線膨張係数がガラス状炭素フィルムの強靭性に関係することが分った。ここで言う線膨張係数はフィルム面方向の線膨張係数である。線膨張係数はフィルム面方向の分子の配向性を最も良く表す物性であり、線膨張係数が小さい事はフィルム面方向の分子の配向が高い事をしめす。この様な分子の配向性は見かけ上ガラス質のように見える炭素の中で分子配向性が何らかの形で保持されており、その事が強靭性向上に影響するものと思われる。従って、分子配向性の高いポリイミドを使用する事でガラス質炭素の強靭性が向上するものと考えられる。ガラス質という定義は分子配向のない状態を表すので、この様な記述は矛盾しているが、ここで言う分子の配向性は例えばX線回折などの方法で検出されないものであって、見かけ上はガラス質炭素となっていると言えるのである。また、本発明の手法で得られるガラス質炭素は高密度で、その内部に気孔をほとんど含んでおらず、すぐれたガスバリヤ性を示すと言う特徴も有している。
本発明の第二は、複屈折が0.13以上であるポリイミドフィルムを700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事を特徴とするガラス状炭素フィルムの製造方法である。複屈折の値はフィルム面方向の分子の配向性をより直接的に表す物性値であり、種々の検討の結果、その値が0.13以上である場合には優れたガラス状炭素フィルムへの転化が実現できる事が分った。分子配向性の高いポリイミドを使用する事で、ガラス質炭素の強靭性が向上するものと考えられる。また、本発明の手法で得られるガラス質炭素は高密度でその内部に気孔をほとんど含んでおらず、すぐれたガスバリヤ性を示すと言う特徴も有している。
【0010】
本発明の第三は、100〜200℃の範囲におけるフィルム面方向の平均線膨張係数が2.5×10−5cm/cm/℃以下であり、かつ複屈折が0.13以上であるポリイミドフィルムを700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事を特徴とするガラス状炭素フィルムの製造方法である。
【0011】
本発明の第四は、下記、一般式(1)、(2)、(3)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも2種以上の繰り返し単位を有するポリイミドの共重合体、あるいは一般式(1)で表されるポリイミド共重合体、一般式(2)で表されるポリイミド共重合体、一般式(3)で表されるポリイミド共重合体からなる群からから選択される少なくとも2種以上のポリイミド共重合体の混合物を含むフィルムを、700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事、を特徴とするガラス状炭素フィルムの製造方法である。
【0012】
【化8】
【0013】
【化9】
【0014】
【化10】
【0015】
であり、R1は、
【0016】
【化11】
【0017】
からなる群から選択される2価の有機基であって、R2はそれぞれ独立して、−CH3、−Cl、−Br、−F、または−CH3Oであり、
Rは
【0018】
【化12】
【0019】
であって、ここでnは1〜3の整数。そしてXおよびYはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数6以下の低級アルキル基、または炭素数6以下のアルコキシ基、そしてAは、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、または−CH2−、である。
【0020】
この様なポリイミドを使用する事で、曲げ強度にすぐれ、高密度でその内部に気孔をほとんど含まないガラス質炭素が得られ、それらはすぐれたガスバリヤ性を示す。この様なポリイミドを出発原料とすると、ガラス状炭素への転化が600℃付近から徐々に始まるが、処理時間の観点から、実質的にはガラス質炭素への処理温度は700℃以上である事が必要である。一方、2400℃を超えると、ガラス質炭素からグラファイトへの転化が始まり、2400℃以上ではグラファイトに転化してしまう。
【0021】
本発明の第五は、前記ポリイミドフィルムが、上記一般式(1)、(2)および下記一般式(6)、(7)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも3種以上の繰り返し単位を有するポリイミドの共重合体、あるいは一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体、一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体、および一般式(6)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体、一般式(7)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体からなる群からから選択される少なくとも3種以上のポリイミド共重合体の混合物を含むポリイミドフィルムを、700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事、を特徴とするガラス状炭素フィルムの製造方法である。
【0022】
【化13】
【0023】
【化14】
【0024】
すなわち一般式(4)、(5)、(6)、(7)で表される繰り返し単位を持つ、すくなくとも2種類以上のポリイミドの共重合体あるいは混合物、よりなる高分子フィルムを、700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事を特徴とするガラス状炭素フィルムの製造方法である。この様なポリイミドを使用する事で曲げ強度にすぐれ、高密度でその内部に気孔をほとんど含まないガラス質炭素が得られ、それらはすぐれたガスバリヤ性を示す。
【0025】
本発明の第六は、前記ポリイミドフィルムが、一般式(1)、(2)で表される繰り返し単位をもつポリイミド共重合体を含むポリイミドフィルムであって、4、4‘−オキシジアニリンおよびパラフェニレンジアミンをモル比で9/1〜4/6の割合で含むジアミンを用いて得られるポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項4または5に記載のグラファイトフィルムの製造方法である。この様なポリイミドを使用する事で曲げ強度にすぐれ、高密度でその内部に気孔をほとんど含まないガラス質炭素が得られ、それらはすぐれたガスバリヤ性を示す。
【0026】
本発明の第七は、前記ポリイミドフィルムが、一般式(1)、(2)、(6)、(7)で表される繰り返し単位をもつポリイミド共重合体を含むポリイミドフィルムであって、それぞれの繰り返し単位の数を、a、b、c、dとし、a+b+c+dをsとしたとき、(a+b)/s、(a+c)/s、(b+d)/s、(c+d)/sが0.25〜0.75を満たすポリイミドフィルムである、請求項4〜6に記載のグラファイトフィルムの製造方法である。この様なポリイミドを使用する事で曲げ強度にすぐれ、高密度でその内部に気孔をほとんど含まないガラス質炭素が得られ、それらはすぐれたガスバリヤ性を示す。
【0027】
本発明の第八は、ポリイミド100重量部に対して5〜100重量部のグラファイト構造をもつ炭素粒子を含むポリイミドフィルムを、700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事、を特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のガラス状炭素フィルムの製造方法である。グラファイト粒子の添加でガラス質炭素の電気伝導度を制御する事ができる。この様なポリイミドを使用する事で、電気伝導度のさらに改良されたガラス質炭素を得る事が出来る。
【0028】
本発明の第九は、前記ポリイミドフィルムとして、両面または片面に溝が形成されたポリイミドフィルムを用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のガラス状炭素フィルムの製造方法である。この様な方法で容易に精密な加工を施したガラス質炭素を得る事が出来る。
【0029】
本発明の第十は、前記溝が形成されたポリイミドフィルムが、アルカリエッチングにより溝が形成されたポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項9記載のガラス状炭素フィルムの製造方法である。この様な方法で容易に精密な加工を施したガラス質炭素を得る事が出来る。
【0030】
本発明の第十一は、前記溝が形成されたポリイミドフィルムが、レーザー加工法により溝が形成されたポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項9記載のガラス状炭素フィルムの製造方法である。この様な方法で容易に精密な加工を施したガラス質炭素を得る事が出来る。
【0031】
本発明の第十二は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法によって得られるガラス状炭素フィルムの両面あるいは片面に、レーザー加工法によって溝構造を形成する事を特徴とするガラス質炭素フィルムの製造方法である。
本発明の第十三は、ガラス質炭素フィルムに用いるためのポリイミドフィルムであって、100〜200℃の範囲における平均線膨張係数が2.5×10−5cm/cm/℃以下であるポリイミドフィルムである。
本発明の第十四は、ガラス質炭素フィルムに用いるためのポリイミドフィルムであって複屈折が0.13以上であるポリイミドフィルム
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリイミドフィルムは、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶剤溶液を、エンドレスベルト、ステンレスドラムなどの支持体上に流延し、乾燥・イミド化させることにより製造される。 本発明に用いられるポリアミド酸の製造方法としては公知の方法を用いることができ、通常、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、得られたポリアミド酸有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られ、この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
【0033】
重合方法としてはあらゆる公知の方法を用いることができるが、特に好ましい重合方法として次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
【0034】
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
【0035】
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
【0036】
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
【0037】
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。
【0038】
ここで、本発明にかかるポリイミド前駆体ポリアミド酸組成物に用いられる材料について説明する。
【0039】
本発明におけるポリイミドを得るのに適当な酸無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物を含み、これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用い得る。
【0040】
本発明にかかるポリイミド前駆体ポリアミド酸組成物において使用し得る適当なジアミンとしては、4,4‘−オキシジアニリン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン及びそれらの類似物などが挙げられる。
【0041】
本発明におけるポリイミドは、平均線膨張係数の点から下記一般式(1)、(2)、(3)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも2種以上の繰り返し単位を有するポリイミドの共重合体、あるいは一般式(1)で表されるポリイミド共重合体、一般式(2)で表されるポリイミド共重合体、一般式(3)で表されるポリイミド共重合体からなる群からから選択される少なくとも2種以上のポリイミド共重合体の混合物であることが好ましい。
【0042】
【化15】
【0043】
【化16】
【0044】
【化17】
【0045】
であり、R1は、
【0046】
【化18】
【0047】
からなる群から選択される2価の有機基であって、R2はそれぞれ独立して、−CH3、−Cl、−Br、−F、または−CH3Oであり、
Rは
【0048】
【化19】
【0049】
であって、ここでnは1〜3の整数。そしてXおよびYはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数6以下の低級アルキル基、または炭素数6以下のアルコキシ基、そしてAは、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、または−CH2−、である。
【0050】
また、前記ポリイミドフィルムが、上記一般式(1)、(2)および下記一般式(6)、(7)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも3種以上の繰り返し単位を有するポリイミドの共重合体、あるいは一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体、一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体、および一般式(6)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体、一般式(7)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体からなる群からから選択される少なくとも3種以上のポリイミド共重合体の混合物であることも好ましい。
【0051】
【化20】
【0052】
【化21】
【0053】
本発明において用いられるポリイミド前駆体ポリアミド酸組成物において最も適当な酸二無水物はピロメリット酸二無水物及びまたはp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)あり、これら単独もしくは2者の合計モルが全酸二無水物に対して40モル%以上、更には50モル%以上、更には70モル%以上、また更には80モル%以上用いるのが好ましい。
【0054】
また、アミン化合物は、4,4‘−オキシジアニリン及びp−フェニレンジアミンをモル比で9/1〜4/6の範囲で用いるのが好ましい。これら2種のジアミンのモル比がこの範囲を外れると、線膨張係数が大きくなる、フィルムが脆弱となり耐屈曲性が低下するなどの問題が起きやすくなる。
【0055】
また、同じく平均線膨張係数の点から一般式(1)、(2)、(6)、(7)で表される繰り返し単位をもつポリイミド共重合体であって、それぞれの繰り返し単位の数を、a、b、c、dとし、a+b+c+dをsとしたとき、(a+b)/s、(a+c)/s、(b+d)/s、(c+d)/sが0.25〜0.75を満たすことが好ましい。
【0056】
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用い得る。
【0057】
これらポリアミド酸溶液からポリイミドフィルムを製造する方法については従来公知の方法を用いることができる。この方法には熱イミド化法と化学イミド化法が挙げられる。化学キュア法は、ポリアミド酸有機溶媒溶液に、無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表されるイミド化触媒とを作用させる方法である。化学イミド化法に熱イミド化法を併用してもよい。加熱条件は、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ等により、変動し得る。これらのうちで化学イミド化法または化学イミド化法と熱イミド化法の併用を採用する方が熱イミド化法の場合よりも線膨張係数が小さくなる傾向があり好ましい。
【0058】
この様にして100〜200℃の範囲における平均線膨張係数が2.5×10−5cm/cm/℃以下、好ましくは2.0×10−5cm/cm/℃以下、更に好ましくは1.5×10−5cm/cm/℃以下、であるポリイミドフィルムを得ることができる。フィルムの線膨張係数はTMA(熱機械分析装置)を用いて、まず試料を10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させたのち一旦室温まで空冷し、再度10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させ、2回目の昇温時から100℃〜200℃の平均線膨張係数とした。また更にフィルムの弾性率については、200kg/mm2、以上であり、更には250kg/mm2、以上、より好ましくは350kg/mm2、以上である事が好ましい。
【0059】
線膨張係数、あるいは弾性率の値は、ガラス状炭素フィルムの作成に大きな影響を与える。これらは出発原料フィルム内部での分子の配向性を反映したものであり、線膨張係数は出来る限り小さいほうが、弾性率はその値が大きいほどすぐれた配向性を持つ、という事によっている。我々は種々検討の結果、中でも線膨張係数は強靭なガラス状炭素フィルムの物性に重要な影響を及ぼす事が分った。
【0060】
また、本発明に用いられるポリイミドフィルムは、面内配向性を示す複屈折Δnが0.13以上、好ましくは0.15以上、最も好ましくは0.16以上であることが好ましい。ここでいう複屈折とはフィルム面内方向の屈折率と厚み方向の屈折率の差であり、本明細書においてはフィルム面内X方向の複屈折Δnxは下式で与えられる。
複屈折Δnx=(面内X方向の屈折率Nx)−(厚み方向の屈折率Nz)
具体的測定方法を説明すると、フィルム試料をくさび形に切り出してナトリウム光をフィルム面内のX方向に垂直な方向から当て、偏光顕微鏡で観察すると干渉縞がみられる。この干渉縞の数をnとすると、フィルム面内X方向の複屈折Δnxは、
Δn=n×λ/d
で表される。ここで、λはナトリウム光の波長589nm、dは試料の巾(nm)である。詳しくは「新実験化学講座」第19巻(丸善(株))などに記載されている。
なお、前記した「複屈折Δnがフィルム面内のどの方向においても」とは、例えばフィルム製膜時の流れ方向を基準として、面内の0゜方向、45゜方向、90゜方向、135゜方向のどの方向においても、の意味である。
【0061】
ここでいう複屈折とはフィルム面内の任意方向の屈折率と厚み方向の屈折率の差であり、下式で与えられる。
【0062】
複屈折Δn=(面内方向の屈折率Nx)−(厚み方向の複屈折Nz)
具体的測定方法を簡単に例示すると、フィルム試料をくさび形に切り出してナトリウム光を用いて厚み方向から光を当て、偏光顕微鏡で観察すると干渉縞がみられる。この干渉縞の数をnとすると、複屈折Δnは、
Δn=n×λ/d
で表される。ここで、λはナトリウム光の波長589nm、dは試料の巾(nm)である。詳しくは「新実験化学講座」第19巻(丸善(株))などに記載されている。
【0063】
次に、ポリイミドフィルムの炭素化のプロセスについて述べる。
【0064】
本発明では出発物質であるポリイミドフィルムを窒素ガスなどの非酸化性ガス中で加熱し、炭素化を行なう。加熱は通常2400℃以下の温度で行い、例えば、10℃/分昇温速度で予備処理を行った場合には最高温度で10分間程度の保持を行なう事が望ましい。炭素化処理の段階ではひずみやしわの少ない炭素フィルムとすることができるという点から、フィルムの破壊が起きない程度の圧力を加える事が好ましい。圧力が大きすぎると炭素化の過程でのフィルムの収縮のために破壊が起きる。
【0065】
本発明におけるポリイミドを出発原料とするガラス質炭素は、同じ条件で熱処理した時、一般式(2)で表される最も代表的なポリイミド(Dupont社、Kapton)よりも優れた電気伝導度を示す。
【0066】
また、ガラス状炭素フィルムを2400℃以上の温度で熱処理すると、グラファイト構造に転化しはじめるが、その際には炭素−炭素結合の開裂・再結合化が起きなくてはならない。我々の発明になるガラス状炭素フィルムは、式(2)で表現されるポリイミドより作製したガラス状炭素フィルムより100℃以上も低い温度でグラファイト化が進行する事が分った。グラファイト化が低温で起きると言う事は、その開裂・再結合が最小のエネルギーで起きると言う事を示している。出発ポリイミドフィルムのフィルムの面方向への二次元的な分子配向は炭素化フィルムの炭素配列に影響を与え、それはグラファイト化の際の炭素−炭素結合の開裂・再結合化のエネルギーを少なくする効果を持つと考えられる。この事は、逆にいえば我々の開発したガラス状炭素フィルムが分子配向を実現した形の物であり、これは一見同じにみえるガラス状炭素が、実は出発ポリイミドフィルムの分子配向を反映しており、その結果、電気伝導に代表される物性が異なったものになると考えられる。
【0067】
本発明のポリイミド樹脂に熱硬化性樹脂の添加が可能である。熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、フルフリルアルコール、フラン樹脂、ジビニルベンゼン樹脂、ホルムアルデヒドもしくはパラホルムアルデヒドを共重合させたもの、等が有効に使用できる。これらの熱硬化性樹脂は、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸の状態、あるいはゲル状態で添加する事が好ましい。
【0068】
本発明においては、ガラス質炭素の電気伝導度を制御できるという点から、ポリイミド100重量部に対して10〜100重量部のグラファイト構造をもつ炭素粒子を添加する事が好ましい。ガラス質炭素の電気伝導度は、無論その処理温度によって変わるが、グラファイト(炭素)粒子を添加する事によってもその電気伝導度を制御する事ができる。最適添加量は、目的とする電気伝導度の大きさ、グラファイト粒子の添加量、粒子の大きさ、によって決定される。電気伝導度を大きくするためにはより多量のグラファイトの添加が必要であり、添加粒子の大きさが小さいほど少量の添加量で同じ電気伝導度を得る事が出来る。膨張黒鉛、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、気相成長炭素繊維、気相成長グラファイト繊維、などは特に好ましく用いる事が出来る。これらのグラファイト構造をもつ炭素あ粒子はポリイミド前駆体であるポリアミック酸の状態、あるいはゲル状態で添加する事が好ましい。
【0069】
ガラス質炭素を燃料電池のセパレータとして使用する際には、その表面に水素とガス状の水が通る溝構造を作製する事が求められる。しかし、通常の高分子材料に溝構造を作成し、それを歪なく焼結し、ガラス質炭素にする事は必ずしも容易ではない。ポリイミドはアルカリエッチングによって容易に加工が出来、またレーザー加工によっても容易に溝構造の形成ができる。本発明に用いるポリイミドではこれらの溝加工を施したフィルムをひずみが入る事無く、しかも均一にガラス状炭素に転化させる事ができる。この時、本発明のポリイミドではガラス状炭素への転化の際に生じる収縮が均一に起こるので、その収縮率をあらかじめ測定しておけば任意の大きさのガラス質炭素を作る事ができる。
【0070】
すなわち、本発明のポリイミドフィルムではその両面あるいは片面に、アルカリエッチングにより溝構造を形成し、しかる後に、700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事によって容易にガラス質フィルム構造体を得る事ができる。アルカリエッチングは、例えば、エタノール/1N−KOH水溶液(80Vol/20Vol)の溶液にポリイミドフィルムを浸漬する事によって容易に行なう事ができる。この時、所望の溝構造を形成するためにはレジスト膜などを用いてその表面に所望のパターンを形成しておけば良い。
【0071】
ポリイミドはレーザー加工によっても容易に溝構造の形成ができる。この場合にはレーザーによる加工はあらかじめポリイミドフィルムに施しておいても良いし、熱処理によってガラス質炭素にしたあとのフィルムに施してもよい。本発明のポリイミドフィルムの収縮は500℃付近で最も大きく起きるので、その様な温度領域以上であらかじめ熱処理したフィルムにレーザー加工によって溝構造を作製する事は好ましい。
【0072】
レーザーとしては、炭酸ガスレーザー、UV−YAGレーザー、エキシマレーザーなどのレーザーを使用する事ができる。特にUV−YAGレーザー、炭酸ガスレーザーはそのコストパフォーマンスの観点から見て望ましいレーザーの一つである。
【0073】
本発明のポリイミドでは、熱処理によってこれらの加工を施したフィルムをひずみが入る事無く、均一に収縮・炭素化させることが出来る。均一に収縮させるためには熱処理時に圧力を印加しておく事は好ましい。この時印加する圧力は、1000〜10g/cm2である事が望ましく、200〜20g/cm2の範囲である事はより好ましい。無論これらの圧力の大きさは一度に処理するフィルムの枚数や厚さにより影響されるので、上記範囲に限定されるものではない。
【0074】
また、フィルム処理の際にはフィルム同士の融着を避け、フィルム間の滑りを良くする目的で、フィルムの間にセパレータを挟む事が好ましい。金属フィルムやグラファイトフィルム、などはこの目的に有効に使用できる。また無機酸化物粉末、グラファイト粉末、などをフィルム間に介在させておき、フィルム間のすべりを良くする事は有効である。
【0075】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
【0076】
以下の実施例において、フィルムの線膨張係数は熱機械分析装置(TMA:セイコー電子製SSC/5200H;TMA120C)を用いて、測定試料サイズ:3mm幅×20mm長で所定の治具にセットし、引張モードで3gの荷重をかけて、窒素雰囲気下、まず試料を10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させたのち一旦室温まで空冷し、再度10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させ、2回目の昇温時から100℃〜200℃の平均線膨張係数とした。
【0077】
(実施例1)
ピロメリット酸二無水物、4,4‘−オキシジアニリン、p−フェニレンジアミンをモル比で4/3/1の割合で合成したポリアミド酸の18wt%のDMF溶液100gに無水酢酸20gとイソキノリン10gからなる硬化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を120℃で150秒間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルムを300℃、400℃、500℃で各30秒間加熱してポリイミドフィルム(試料A)を製造した。製造したフィルムは、フィルム厚さ25μm、100〜200℃の面方向の平均線膨張係数が1.6×10−5cm/cm/℃、複屈折率が0.14のフィルムと、厚さ50μm、100〜200℃の面方向の平均線膨張係数が1.6×10−5cm/cm/℃、複屈折率が0.14のフィルムの2種類であった。
【0078】
電気炉を用いて、それぞれの厚さの試料Aフィルムを窒素ガス中、10℃/分の速度で600℃まで昇温し、600℃で1時間保って予備処理した。
【0079】
次に得られた炭素化フィルムをグラファイト基板で挟み、円筒状グラファイトヒーターの内部にセットした。炉を20℃/分の昇温速度で2400℃までの適当な最高温度まで昇温、最高温度で10分間保持し、その後20℃/分の速度で降温した。処理はアルゴン雰囲気で0.5kg/cm2の加圧下で行なった。得られたガラス質炭素フィルムは強靭で弾性率の高いものであった。
【0080】
炭素化の進行状況は、フィルム面方向の電気伝導度を測定する事によって行った。その結果を表1に示す。この実施例のポリイミド(試料A)では700℃でガラス状炭素への転化が起きており、電気伝導度、密度、曲げ強度、気孔率のいずれもすぐれた特性を示した。2400℃の温度では電気伝導度の値が急激に大きくなり、それに伴って曲げ強度の低下、密度の低下がはじる。これはこの温度からグラファイト化反応が進行する事を示している。
【0081】
【表1】
【0082】
(比較例1)
ピロメリット酸二無水物と4,4‘−ジアミノジフェニルエーテルをモル比で1/1の割合で合成したポリアミド酸の18wt%のDMF溶液100gに無水酢酸20gとイソキノリン10gからなる硬化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を120℃で150秒間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルムを300℃、400℃、500℃で各30秒間加熱して、一般式(2)で表される最も代表的なポリイミドを合成し、フィルム(Dupont社製:カプトンHフィルム相当)を作製した。作成したフィルムは、厚さ25μm、100〜200℃の平均線膨張係数は3.2×10−5cm/cm/℃、複屈折が0.11のフィルムと、厚さ50μm、100〜200℃の平均線膨張係数が3.0×10−5cm/cm/℃、複屈折が0.10の2種類である。これらのフィルムについて、実施例1と同じ方法で熱処理・炭素化を行った。得られた炭素化フィルムの密度、電気伝導度、曲げ強度、気孔率の値を表2に示す。密度と気孔率には大きな差異は認められないが、電気伝導度、曲げ強度には関しては、実施例1で示した本発明になるポリイミド(試料A)を原料にして得られる炭素化フィルムに比較してかなり劣るものであり、この事から、本発明のポリイミドから得られるガラス質炭素フィルムの優位性が明らかとなった。
【0083】
【表2】
【0084】
(実施例2)
ピロメリット酸二無水物、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミンをモル比で3/2/1の割合で合成したポリアミド酸の18wt%のDMF溶液100gに無水酢酸20gとイソキノリン10gからなる硬化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を120℃で150秒間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルムを300℃、400℃、500℃で各30秒間加熱してポリイミドフィルム(試料B)を製造した。製造したフィルムは、厚さ25μm、100〜200℃の平均線膨張係数が0.9×10−5cm/cm/℃、複屈折0.15のフィルムと、厚さ50μm、100〜200℃の平均線膨張係数が1.0×10−5cm/cm/℃、複屈折0.15の2種類のフィルムあった。このフィルムを用いて実施例1と同じ方法でガラス質炭素フィルムの作製を行なった。得られたガラス質炭素フィルムの特性を表3に示す。その特性は実施例1とほぼ同じであった。
【0085】
【表3】
【0086】
(実施例3)
ピロメリット酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、パラフェニレンジアミン、4−4‘ジアミノジフェニルエーテル、をそれぞれモル比で1/1/1/1となるようにして合成したポリアミド酸の18wt%のDMF溶液100gに無水酢酸20gとイソキノリン10gからなる硬化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。その後実施例1とおなじ方法でポリイミドフィルム(試料C)を得た。得られたフィルムは、厚さ25μm、100〜200℃の平均線膨張係数が0.8×10−5cm/cm/℃、複屈折0.16のフィルムと、厚さ50μm、100〜200℃の平均線膨張係数が0.9×10−5cm/cm/℃、複屈折0.15の2種類のフィルムあった。
【0087】
得られたフィルムを原料として、実施例1と同じ方法でガラス状質炭素フィルムを作製し、その電気伝導度、密度、曲げ強度、気孔率を測定した。その結果を表4に示す。この結果から実施例3のポリイミドを出発原料として用いても優れた特性のガラス質炭素が得られる事が分った。
【0088】
【表4】
【0089】
(実施例4)
ピロメリット酸二無水物、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミンをモル比で4/3/1の割合で合成したポリアミド酸の18wt%のDMF溶液100gを合成し、これに3種類のグラファイト粉末(膨張黒鉛、気相成長グラファイト繊維、活性炭を添加・混錬した。次に無水酢酸20gとイソキノリン10gからなる硬化剤を混合、攪拌し、実施例1と同じ方法で50μm厚のポリイミドフィルムを製膜した。得られたポリイミド膜を実施例1と同じ方法で800℃で熱処理した。得られたフィルムは、膨張黒鉛20部入り、厚さ50μm、100〜200℃の平均線膨張係数が1.4×10−5cm/cm/℃のフィルム、グラファイト20部入り、厚さ50μm、100〜200℃の平均線膨張係数が1.0×10−5cm/cm/℃のフィルム、活性炭20部入り、厚さ50μm、100〜200℃の平均線膨張係数が1.4×10−5cm/cm/℃のフィルム、この様にして得られたガラス質炭素フィルムの物性を表5に示す。グラフファイトの添加により電気伝導度の大幅に改良されたガラス質炭素フィルムを得る事が出来た。
【0090】
【表5】
【0091】
(実施例5)
実施例1と同じ方法でポリイミドフィルム(試料A:厚さ50μm)を作製し、その表面にフォトレジストを用いて幅100μmのパターンを形成した。つぎに、エタノール/1N−KOH水溶液(80Vol/20Vol)の溶液にポリイミドフィルムを浸漬して深さ10μmの溝を作製した。こうして得られたポリイミドを実施例1の方法で熱処理してガラス質炭素フィルムを作製した。800℃の熱処理で約20%の収縮が観察され(面積比64%に収縮)、溝幅は80μmとなった。しかし、この時溝の深さは10μmでほとんど変化しなかった。すなわち、本発明のポリイミドはフィルムの面方向(X−Y方向)には均一収縮するが、フィルムの厚さ方向(Z方向)にはほとんど収縮しない事が分った。
【0092】
また、800℃以上の温度領域ではこれ以上の収縮はほとんど起こらない。従って、この事を考慮して置く事によって希望のサイズのガラス質炭素フィルムを容易に作製する事ができた。
【0093】
(実施例6)
実施例3と同じ方法でポリイミドフィルム(試料C:厚さ50μm)を作製し、得られたフィルムを原料として、実施例1と同じ方法で1000℃にて熱処理を行い、ガラス状質炭素フィルムを作製した。こうして得られたガラス質炭素の表面にUV―YAGレーザーをもちいて幅100μm、深さ10μmの溝を作製した。得られたガラス質炭素はUV−YAGレーザーで容易に溝構造を作製する事ができ、得られたフィルムの物性は実施例3と同じであった。
Claims (14)
- 100〜200℃の範囲におけるフィルム面方向の平均線膨張係数が2.5×10−5cm/cm/℃以下であるポリイミドフィルムを700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事を特徴とするガラス状炭素フィルムの製造方法。
- 複屈折が0.13以上であるポリイミドフィルムを700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事を特徴とするガラス状炭素フィルムの製造方法。
- 100〜200℃の範囲におけるフィルム面方向の平均線膨張係数が2.5×10−5cm/cm/℃以下であり、かつ複屈折が0.13以上であるポリイミドフィルムを700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事を特徴とするガラス状炭素フィルムの製造方法。
- 下記、一般式(1)、(2)、(3)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも2種以上の繰り返し単位を有するポリイミドの共重合体、あるいは一般式(1)で表されるポリイミド共重合体、一般式(2)で表されるポリイミド共重合体、一般式(3)で表されるポリイミド共重合体からなる群からから選択される少なくとも2種以上のポリイミド共重合体の混合物を含むフィルムを、700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事、を特徴とするガラス状炭素フィルムの製造方法。
Rは
- 前記ポリイミドフィルムが、上記一般式(1)、(2)および下記一般式(6)、(7)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも3種以上の繰り返し単位を有するポリイミドの共重合体、あるいは一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体、一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体、および一般式(6)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体、一般式(7)で表される繰り返し単位を有するポリイミド共重合体からなる群からから選択される少なくとも3種以上のポリイミド共重合体の混合物を含むポリイミドフィルムを、700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事、を特徴とするガラス状炭素フィルムの製造方法。
- 前記ポリイミドフィルムが、一般式(1)、(2)で表される繰り返し単位をもつポリイミド共重合体を含むポリイミドフィルムであって、4、4‘−オキシジアニリンおよびパラフェニレンジアミンをモル比で9/1〜4/6の割合で含むジアミンを用いて得られるポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項4または5に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記ポリイミドフィルムが、一般式(1)、(2)、(6)、(7)で表される繰り返し単位をもつポリイミド共重合体を含むポリイミドフィルムであって、それぞれの繰り返し単位の数を、a、b、c、dとし、a+b+c+dをsとしたとき、(a+b)/s、(a+c)/s、(b+d)/s、(c+d)/sが0.25〜0.75を満たすポリイミドフィルムである、請求項4〜6に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- ポリイミド100重量部に対して5〜100重量部のグラファイト構造をもつ炭素粒子を含むポリイミドフィルムを、700℃以上、2400℃以下の温度で熱処理する事、を特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のガラス状炭素フィルムの製造方法。
- 前記ポリイミドフィルムとして、両面または片面に溝が形成されたポリイミドフィルムを用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のガラス状炭素フィルムの製造方法。
- 前記溝が形成されたポリイミドフィルムが、アルカリエッチングにより溝が形成されたポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項9記載のガラス状炭素フィルムの製造方法。
- 前記溝が形成されたポリイミドフィルムが、レーザー加工法により溝が形成されたポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項9記載のガラス状炭素フィルムの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法によって得られるガラス状炭素フィルムの両面あるいは片面に、レーザー加工法によって溝構造を形成する事を特徴とするガラス質炭素フィルムの製造方法。
- ガラス質炭素フィルムに用いるためのポリイミドフィルムであって、100〜200℃の範囲における平均線膨張係数が2.5×10−5cm/cm/℃以下であるポリイミドフィルム。
- ガラス質炭素フィルムに用いるためのポリイミドフィルムであって複屈折が0.13以上であるポリイミドフィルム
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