JP2002272260A - 現地植物の種子を利用した植生マットおよび植生工法 - Google Patents

現地植物の種子を利用した植生マットおよび植生工法

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JP2002272260A
JP2002272260A JP2001079972A JP2001079972A JP2002272260A JP 2002272260 A JP2002272260 A JP 2002272260A JP 2001079972 A JP2001079972 A JP 2001079972A JP 2001079972 A JP2001079972 A JP 2001079972A JP 2002272260 A JP2002272260 A JP 2002272260A
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Hisashi Wakamatsu
久資 若松
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 現地表土に含まれた現地採取種子を少量
用いて少量の表土を有効に活用して植生の回復を図るこ
とにより、表土の採取場所を裸地化させることなく所望
の緑化対象部に、現存する植物を用いた植生の復元を可
能とする現地植物の種子を利用した植生マットおよび植
生工法を提供する。 【解決手段】 生分解性の繊維からなる表裏一対の被覆
シート2,3を適宜の間隔をおいて縫合し、一方の被覆
シート2に、その縫合間隔に合わせて形成されて両被覆
シート2,3の間に現地植物の種子Aを含む現地表土5
を充填する開口2aを形成してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表土に含まれる埋土
種子を利用し、樹木による緑化対象面の緑化を行うため
の現地植物の種子を利用した植生マットおよび植生工法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、表土に含まれる埋土種子を利
用して緑化する工法が提案されている。また、樹木を導
入した緑化施工をおこなう場合、緑化対象面上に耐久性
のあるネットを張設してその上から、樹木種子に肥料、
保水材、土壌改良材等を配合した厚層基材を吹き付ける
吹付工法や、樹木種子を配合した植生基材を袋体やマッ
ト状紙布片等にセットした植生マットを緑化対象面に敷
設する施工方法等が採用されている。
【0003】このような施工方法では、ネットによって
肥料や保水材、土壌改良材等と共に樹木種子を緑化対象
面上に安定に定着させることができ、また、ネットやマ
ットによって緑化対象面が保護されるため、早期安定緑
化を図りやすいという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、緑化対
象面を現地植物によって緑化するためには、他の部分か
ら採取した表土を客土したり、土のうなどに詰め込んで
これを緑化対象面に設置することがあり、大量の表土を
採取する必要があるので、表土の採取場所が裸地化して
しまうという恐れがあった。
【0005】また、上述した従来の施工方法では、数種
の樹木種子が無作為に播種されることになるため、発芽
後に、樹木間の競争によって互いに被圧を受け、目的と
する樹木種子を確実に所定場所に生育させることが困難
となる場合があった。
【0006】加えて、苗木や植裁木を植設する場合に
は、緑化対象面に植裁穴を掘設したり、周囲に覆土を施
したり、また、乾燥防止や雑草類の生育防止を図るため
に、周囲に米松、ベニヤ板、コモ、ダンボール、麻布等
々の被覆材を敷設する必要もあり、施工に大変な手間を
要するという難点があった。
【0007】本発明はこのような実情を考慮に入れてな
されたものであって、現地表土に含まれた現地採取種子
を少量用いて少量の表土を有効に活用して植生の回復を
図ることにより、表土の採取場所を裸地化させることな
く所望の緑化対象部に、現存する植物を用いた植生の復
元を可能とする現地植物の種子を利用した植生マットお
よび植生工法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解
決するための手段を以下のように構成している。第1発
明の現地植物の種子を利用した植生マットは、生分解性
の繊維からなる被覆シートと、この被覆シートの裏面側
に適宜の間隔をおいて取り付けられ、内部に現地植物の
種子を含む現地表土を充填してなる袋体とを有すること
を特徴としている。(請求項1)
【0009】第2発明の現地植物の種子を利用した植生
マットは、生分解性の繊維からなる表裏一対の被覆シー
トと、両被覆シートの間に適宜の間隔をおいて取り付け
られ、内部に現地植物の種子を含む現地表土を充填する
袋体とを有することを特徴としている。(請求項2)
【0010】第3発明の現地植物の種子を利用した植生
マットは、生分解性の繊維からなる表裏一対の被覆シー
トを適宜の間隔をおいて縫合してなり、両被覆シートの
間に現地植物の種子を含む現地表土を充填可能とするこ
とを特徴としている。(請求項3)
【0011】前記請求項1〜3の何れの発明において
も、現地植物の種子は植生マットによって所定の間隔を
おいて植えられるので、各種子は互いの成長に伴って互
いに被圧する必要がなく、きわめて効率的に成長するこ
とができる。つまり、少量の現地植物の種子を有効に活
用して成長できるので、より少ない現地表土を採取する
だけで、所定の緑化対象部分を緑化できる。
【0012】また、前記被覆シートは生分解性の繊維か
らなる天然素材であるから適度の耐久性があり保温性に
優れ、高い蒸発抑制力を有しており、緑化対象面に張り
付け施工すると、緑化対象面の表層土壌の移動・流亡を
効果的に防止することができる。さらに、被覆シートは
一般的に施工後2年ないし5年で腐食してしまい、後に
残留せず、公害問題が生じない。
【0013】前記植生マットが、適宜の間隔をおいて開
口を形成してなる生分解性の繊維からなる被覆シート
と、この被覆シートの開口から被覆シートの裏面側に取
り付けられると共に、内部に現地植物の種子を含む現地
表土を充填する袋体とを有する場合、および、前記植生
マットが、適宜の間隔をおいて開口を形成してなる生分
解性の繊維からなる表面被覆シートと、この表面被覆シ
ートに適宜の間隔をおいて縫合された裏面被覆シート
と、前記表面被覆シートの裏面側に取り付けられると共
に、表面被覆シートの開口から挿入されて内部に現地植
物の種子を含む現地表土を充填する袋体とを有する場合
には、植生マットを緑化対象面に張り付け施工した後
に、開口から現地植物の種子を含む現地表土を充填する
ことが可能となり、それだけ、施工を容易に行うことが
できる。
【0014】前記現地植物の種子を利用した植生マット
において、前記袋体内に現地植物の種子の成長を促す植
生基材を充填した場合には、現地表土に含まれる現地植
物の種子をより確実に発芽させることができ、より少な
い表土種子を用いて確実に目的とする樹木を健全に生育
させることができる。
【0015】同様に、植生マットが、生分解性の繊維か
らなる表裏一対の被覆シートを適宜の間隔をおいて縫合
し、一方の被覆シートに、その縫合間隔に合わせて形成
されて両被覆シートの間に現地植物の種子を含む現地表
土を充填する開口を形成してなる場合には、表裏一対の
被覆シートを設けてこれを適宜の間隔で縫合することに
より、開口を形成した部分に袋体を取付ける必要がな
く、それだけ植生マットの製造コストを引き下げること
ができる。また、前記両被覆シートの間に現地植物の種
子の成長を促す植生基材を充填してなる場合には、現地
植物の種子をより安定して発芽させることができる。
【0016】なお、上述した現地植物の種子を利用した
植生マットにおいて、植生マットの表面を構成する被覆
シートを、目合い1〜2cmの粗目のヤシネットとする
ことにより、周辺から飛来してきた種子が定着しやすく
なり、以後自然な緑化が達成されるようになるので、望
ましい。しかしながら、被覆シートはヤシネットに限定
されるものではなく、例えばジュート繊維などを用いた
ネットであってもよい。さらには、被覆シートとして、
ヤシ繊維やジュート繊維の不織布によって形成されるシ
ートであってもよい。また、被覆シートとして不織布な
どからなるシートとネットとを重ねて用いてもよい。
【0017】第4発明の植生工法は、適宜の間隔をおい
て開口が形成され、この開口に袋体を取り付けてなる生
分解性の繊維からなる被覆シートを緑化対象面に敷設
し、この被覆シートの開口から前記袋体内に、現地植物
の種子を含む現地表土を充填することを特徴としてい
る。(請求項4)
【0018】第5発明の植生工法は、適宜の間隔をおい
て縫合され、少なくとも一方にその縫合間隔にあわせた
開口を形成してなる表裏一対の生分解性の繊維からなる
被覆シートを緑化対象面に敷設し、両被覆シートの間に
現地植物の種子を含む現地表土を充填することを特徴と
している。(請求項5)
【0019】なお、前記植生工法は、被覆シートの裏面
側に、内部に現地植物の種子を含む現地表土を充填して
なる袋体を適宜の間隔をおいて取り付けた後に、この被
覆シートを緑化対象面に敷設することを特徴とするもの
であってもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の現地植物の種子を
利用した植生マット1の実施形態を詳細に説明する。図
1は植生マット1の斜視図、図2は断面図であって、図
1(A),(B)は植生マット1の製造過程を示すもの
であり、図1(C)は部分拡大図である。また、図2
(A)は現地植物の種子を利用した植生マット1を用い
た植生工法を示すものであり、図2(B)は施工後の状
態を示すものである。
【0021】図1,2において、本例の植生マット1
は、表面被覆シート2と、裏面被覆シート3とからなっ
ている。本例の表面被覆シート2は例えば生分解性の繊
維材としてヤシ繊維で編織された粗目のネット材、裏面
被覆シート3は例えば生分解性の繊維材としてジュート
繊維を用いた不織布3aとジュート繊維を用いたネット
3bとを合わせてなるシート材である。
【0022】4は両被覆シート2,3を適宜の間隔をお
いて縫合する縫合糸、2aは縫合糸4による縫合部の間
隔間隔に合わせて表面被覆シート2に切り込み2bを設
けることによって形成された開口、5は開口2aから両
被覆シート2,3の間に投入される現地植物の種子Aを
含む現地表土である。なお、種子Aは主として樹木の種
子を含むほうが望ましいが、草本植物の種子であっても
よい。
【0023】前記表面被覆シート2は素材(ひも状)の
太さが1〜10mm,例えば5mmで、10×10cm
当り、5〜10本,例えば7本の構成とし、1〜2mm
の目合いを有するヤシ繊維を用いた粗目のネットとする
ことにより、保温性に優れ、蒸発抑制力が高い機能を持
っており、緑化対象面(例えば法面N)に張り付け施工
すると表面の表土の移動や流亡を防止する機能を高める
ことができると共に、周辺から飛来してきた種子が定着
しやすくなるので好ましい。また、ヤシネットからなる
表面被覆シート2は一般的には、施工後2年ないし5年
で腐食し、残留物を残さないので好ましい。
【0024】ヤシネット素材の太さは1mm以下とする
と強度が低下し、流水により破断するおそれがあり、ま
た、ネットとしての閉塞性が低下し、ネットの被覆効果
が低下する。また、10mm以上では、閉塞性が大きす
ぎ、植物ネットからの出芽に支障をきたし、編織性が悪
くなる。ヤシネットの網目を10×10cm当り5〜1
5本とすることも、ネットの閉塞性を適度に保ち、被覆
効果と植物の出芽性を考慮したものである。
【0025】しかしながら、本発明の被覆シート2はヤ
シネットに限定されるものではない。すなわち、生分解
性の被覆シート2に使用できる素材としては、麻(ジュ
ート)の粗目の布片(ヘシアンクロス)、生分解性樹脂
ネット、レーヨン不織布、クラフトパルプ等があり、ま
た、生分解性の合成樹脂としては、例えばキトサンとセ
ルロースの複合体などの天然高分子系の合成樹脂、微生
物発酵脂肪族ポリエステル(例えば島津製作所の商品
名、ラクトロン)やバイオセルロースなどの発酵生産系
の合成樹脂、さらには、化学合成系の合成樹脂として、
脂肪族のポリエステルe−カプロラクトン系や、ジカル
ボン酸とジグリコールの縮合であるe−カプロラクトン
系の脂肪族ポリエステル(例えば昭和高分子の商品名、
ビオノーレ)などを使用することができる。
【0026】また、表面被覆シート2をネットにする必
要はなく、水溶性の繊維を用いて形成された不織布など
のシートや、ネットとシートの二重構造であってもよ
い。なお、表面被覆シート2を不織布などからなるシー
トとする場合には、前記種子Aの発芽を助けるための切
り込みを設けるなどの変形も可能である。
【0027】同様に裏面被覆シート3についても、本例
ではジュート繊維を用いた不織布3aとジュート繊維を
用いたネット3bとを合わせてなるものとしているが、
これをヤシ繊維などの任意の生分解性の繊維を用いたネ
ットまたは不織布などを用いたシートとしてもよい。
【0028】縫合糸4としては、材質は生分解性樹脂繊
維の糸、麻糸、綿糸等が腐食性の製品の構成として使用
可能で、必ずしも腐食しなくてもよい場合(一部の構成
材料が耐腐食性機能をもっていて法面Nの保護効果を持
続させる必要のある場合)には、耐腐食性のポリエステ
ル、ビニロン等の糸が使用できる。これらの糸は主に撚
り糸が使用され、0.5〜3mmの太さの糸が使用さ
れ、ポリエステル等のプラスチック糸の場合にはモノフ
ィラメント状の糸が使用でき、この場合には0.3mm
程度の太さの糸でも高張力のプラスチック糸を使用すれ
ば可能である。縫合の目合いは、3〜50cmの間隔で
長手方向に縫合すればよい。
【0029】次に、前記現地植物の種子を利用した植生
マット1の製造例および施工例を説明する。まず、図1
(A)に示すように、縫合糸4を用いて表面被覆シート
2を裏面被覆シート3に適宜の間隔をおいて長手方向に
縫合し、かつ、縫合間隔に合わせて縫合部と縫合部の間
に位置するように複数(本例では4つ)の切り込み2
b,2b…を長手方向に適宜の間隔をおいて形成する。
【0030】そして、図1(B)に示すように、縫合さ
れた両被覆シート2,3は法面Nに設置する場合に縫合
糸4による縫合方向が法面Nの等高線にほゞ平行になる
ように配置し、必要に応じて図外のアンカーや止め釘に
よって法面Nに固定される。なお、切り込み2b,2b
…の形状は、やゝ円弧を描くように形成されることによ
り、図1(C),2(A)に示すように、この切り込み
2bを開いて開口2aを形成するときには円弧を形成し
た部分を持ってこれを開くことが可能であると共に、開
口2a内に投入される現地表土5のためのガイドとして
の役割を果たすので、施工が容易となる。
【0031】そして、前記両被覆シート2,3を法面N
に設置した状態で、図2(A)に示されるように、開口
2aから現地植物の種子Aを含む現地表土5を充填す
る。このとき現地表土5は所定の間隔をおいて点々と形
成された開口2aが位置する部分の両被覆シート2,3
の間に充填されるものであるから、その分量を削減する
ことができる。
【0032】つまり、現地表土5は緑化対象面Nの近傍
に位置する森林から、その表土をコアンダ効果を利用し
たエジェクタポンプや人手などによって採取するもので
あるが、植生マット1の設置に用いられる現地表土5が
ごく微量で済むので、現地表土5の採取量を削減するこ
とができ、これによって、現地表土5の採取場所の裸地
化を防止することができる。
【0033】また、現地表土5を充填した植生マット1
の敷設後は、図2(B)に示すように、表面被覆シート
2が現地表土5の上面を覆い、裏面被覆シート3が現地
表土5の下面を覆うことになる。したがって、現地表土
5は表面被覆シート2によって水分の蒸発が抑制される
と共に、裏面被覆シート3の不織布3aによる保湿効果
を得ることができるので乾燥地帯や降雨の少ない時にお
いても種子Aの発芽および生育のための水分を十分に確
保することができる。
【0034】表面被覆シート2は保温効果に優れてお
り、かつ、凍結を防止することも可能であると共に、雨
風によって現地表土5が移動したり、流亡することを防
止できる。つまり、表面被覆シート2によって発芽育成
促進効果を得て、種子Aの樹木による早期安定緑化をよ
り確実に行うことができる。なお、種子Aが発芽する
と、その根はジュート繊維の不織布3aおよびネット3
bの間を介して法面Nにまで達し、種子Aが法面Nに根
を下ろすことができるので、長期的には地表面Nに根を
下ろすことができる。
【0035】一方、前記現地表土5を充填しない部分に
おいては植生マット1によって太陽光がある程度遮断さ
れて、他の草本植物の成長をある程度抑制することも可
能である。つまり、周囲の植物の成長によって種子Aの
成長が被圧されることがない。また、現地表土5は点々
と充填されるので、現地表土5に含まれる各種子Aが相
互に被圧することもなく確実な生育を達成できる。
【0036】これらに加えて、本発明の現地植物の種子
を利用した植生マット1は現地植物の種子Aを用いるも
のであるから、現地の気候に極めて適合した植物を育成
することができる。したがって、前記種子Aは一旦発芽
して生育すると確実に環境に馴染んで生育することがで
き、安定した自然な緑化を達成することができる。
【0037】加えて、被覆シート2,3を構成するヤシ
ネットや、ジュート繊維のネットには適度の耐久性があ
り、法面Nの表層土の崩落防止効果を得ることができ
る。従って、前記植生マット1は急傾斜地にも適用可能
である。さらに、被覆シート2,3は何れも生分解性の
繊維からなるので、樹木が生育した適当な時期に腐食消
失するので、生育した樹木の根元を締めつけてその成長
を阻害することも、公害問題を発生させない。
【0038】図3は本発明の別の例を示す図であって、
図3(A)は施工方法を示す断面図、図3(B)は施工
後の状態を示す縦断面図である。図3において、図1,
2に示した例と異なる点は、現地表土5を袋体6に充填
している点である。また、本例の裏面被覆シート3はジ
ュート繊維のネット3bによって形成されており、両被
覆シート2,3は縫合される必要はなく、図外のホッチ
キスを使用した接合など適宜の方法でより簡単に張り合
わされている。その他の部分は図1,2とほゞ同じであ
るから、同一の符号を付すことによりその詳細な説明を
省略する。
【0039】本例の袋体6は例えば、水溶性、水解性、
腐食性の材質の布片からなり、具体的には、ボンリック
紙,不織布,クラフトパルプ紙等を使用する。本例の植
生マット1は、現地表土5を袋体6内に充填し、その口
部6aを閉じるとともに、適宜の縫合糸7によって、表
面被覆シート2の開口2aから表面被覆シート2の裏面
側に取り付けられることにより形成されるものである。
なお、本発明の袋体6は縫合糸7によって取り付けられ
ることに限定するものではない。すなわち、ホッチキス
などを用いてより簡単に取り付けられてもよい。
【0040】本例のように、現地表土5を袋体6内に充
填した場合には、たとえ法面Nに凹凸があっても裏面被
覆シート3の裏からの現地表土5の流亡を確実に防ぐこ
とができる。したがって、より少ない現地表土5を点々
と配置することが可能となり、それだけ現地表土5の使
用量を削減でき、その採取場所の裸地化を防止できる。
また、種子Aを袋体6内の現地表土5と密着させること
ができるので、保水性を高めると共により容易に栄養分
を吸収することが可能となる。
【0041】図4は図3の現地植物の種子を利用した植
生マット1の変形例を示す図であって、図3に示した例
と異なる点は、植生袋8を袋体6内に設けた点である。
植生袋8は例えば、水溶性、水解性、腐食性の材質の布
片からなる袋体8a内に、植生基材9を充填したもので
ある。また、A’は植物の種子である。つまり、植生基
材9に植物の種子A’を混入することにより、植物の導
入を積極的に行うことができる。
【0042】前記袋体8aは、具体的には、ボンリック
紙,不織布,クラフトパルプ紙等を用いて形成されてお
り、植生基材9は例えば、バーミキュライト,ピートモ
ス,イソライト,粒状タンカル,サチュライド(撥水抑
制剤),粒状ベントナイト,肥料としては、グリーンマ
ップ(商品名、日本合同肥料株式会社製),コーティン
グ肥料(ハイコントロール),熔成燐肥等、種子として
はヤマモミジ,シャリンバイ,ブナ,ドングリ類(クヌ
ギ,アラカシ,シラカシ等)及び、草本種子(外来牧草
種、在来の野草類)等を混合したものである。
【0043】また、植生基材9としては、キチン,キト
サン(抗菌成分を有する素材)の不織布を用いたり、こ
れらの細片、粉末を植生袋3の充填材として使用しても
よく、このようにすれば、発芽不良や不均一を解消して
樹木種子の均一な発芽促進を図ることができる。
【0044】本例のように、袋体6内に植生基材9を充
填することにより、これに投入される種子A,A’は植
生基材9によって水分や栄養分の補給を行うことがで
き、種子A,A’の生育を助けることができる。つま
り、現地表土5の使用量がさらに少なくて済み所定の場
所に目的とする樹木を被圧の影響を受けることなく確実
に生育させることができる。また、その袋体8aは天然
素材であり、樹木が生育した適当な時期に腐食消失する
ので、生育した樹木の根元を締めつけてその成長を阻害
することも、公害問題を発生させることもない。
【0045】なお、本例では植生基材9を袋体8aに充
填した状態で袋体6内に挿入する例を示しており、予め
植生基材9が充填された袋体6を用意しておくことによ
り、施工にかかる手間をできるだけ少なくすることが可
能であるが、本発明はこの点を限定するものではない。
すなわち、植生基材9はそのままの状態で現地表土5と
共に開口2a内(図1,2参照)または袋体6内(図3
参照)に投入してもよい。この場合、袋体6を別途用意
する必要がないので、その製造コストを削減することが
できる。
【0046】図5,6は、本発明の別の実施形態を示す
図であり、図5(A)は植生マット1を用いた施工例を
示す斜視図、図5(B),(C)は部分拡大図、図6
(A)は施工例を示す断面図、図6(B)は施工後の状
態を示す断面図である。本例において図1〜4に示した
部材と同じ符号を付した部材は同一または同等の部材で
あるからその詳細な構成の説明を省略する。
【0047】本例の植生マット1は1枚の被覆シート2
の裏面側に適宜の間隔をおいて袋体6を取り付けてなる
ものであり、例えば図5(A),(B)に示すように法
面Nに敷設した後に、袋体6が取り付けられた部分の少
し上方に位置する部分にカッターKなどによって切り込
み2bを開設することにより、開口2aを形成する。な
お、この切り込み2bは植生マット1の製造過程におい
て予め形成されていてもよいことはいうまでもない。ま
た、前記切り込み2bを不連続に切断した切れ目とし
て、植生マット1の敷設現場における手間を少なくする
ようにしてもよい。
【0048】次いで、作業者は図5(C),6(A)に
示すように、切り込み2bを開くことにより、袋体6の
口部6aを開いて、この袋体6内に主として樹木の現地
植物の種子Aを含む現地表土5を充填する。そして、図
6(B)に示すように、袋体6の口部6aを縫合糸7を
用いて開口2aの裏面側に縫合することによって閉じ
る。なお、この縫合糸7による縫合に代えてホッチキス
による固定を行ってもよいことはいうまでもない。ま
た、現地表土5に加えて図4に示した植生袋8や植生基
材9を投入してもよい。
【0049】さらに、図5,6に示した植生マット1の
製造過程において、現地表土5をあらかじめ袋体6内に
充填できる場合には、前記切り込み2b(開口2a)を
あえて形成する必要はない。つまり、植生マット1はそ
れぞれ現地表土5を充填して口部6aを閉じた状態の袋
体6を被覆シート2の裏面側に所定の間隔をおいて取り
付けて形成されていてもよい。この場合、施工時には植
生マット1を法面Nに敷設するだけでよく施工時にかか
る手間を最小限に抑えることが可能となる。
【0050】加えて、上述した各例においては、切り込
み2b(開口2a)が法面Nの等高線に対してほゞ平行
(横方向)になるように形成された例を示しているが、
本発明はこの切り込み2b(開口2a)の形成する方向
を限定するものではない。すなわち、切り込み2b(開
口2a)を等高線に対してほゞ直角(縦方向)に形成し
てもよい。この場合、植生マット1の表面に障害物とな
る部分がないので、豪雨が生じた場合などには、流水が
植生マット1の表面をスムーズに流れると共に、開口部
から直接流水が入らないので、流水による現地表土5や
種子Aの離散および流失や袋体6の損傷などを防ぐこと
ができる。
【0051】同様に、上述した各例では、植生マット1
の表面側に位置する被覆シート2に開口2aを形成した
例を示しているが、本発明はこれに限定するものではな
い。すなわち、上述の切り込み(開口)は、裏面側に位
置する被覆シート3に形成されてもよい。このように構
成することにより、植生マット1の表面に障害物となる
部分がないので、豪雨などによって生じた流水が植生マ
ット1の表面をスムーズに流れると共に、開口部から直
接流水が入らないので、流水による現地表土5や種子A
の離散および流失や袋体6の損傷などを防ぐことができ
る。なお、表面側の被覆シート2に開口2aを設けない
場合には、種子Aが発芽し易いように、被覆シート2に
小さく切欠きを形成することができる。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の樹木種子
袋付き植生マットによれば、現地表土の使用量を削減す
ることができるので、現地表土の採取場所が裸地化する
ことを防止ししながら、現地植物を用いた緑化を行うこ
とができる。また、各種子は所定の間隔をおいて植生さ
れるので、発芽した植物同士が互いに被圧を受けること
がなく、目的とする樹木を所望の位置に健全に生育させ
ることができる。
【0053】また、植生マットの構成素材が生分解性の
天然素材なので、適当な時期に腐食するため、自然に優
しい。そしてヤシシートと生分解性のネット又は布片を
重ね合わすので、雨水や表面流水に対して侵食防止効果
が優れており、樹木生育まで高い保護効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現地植物の種子を利用した植生マット
の一例を示す斜視図である。
【図2】前記植生マットの断面図である。
【図3】前記植生マットの別の例をを示す断面図であ
る。
【図4】図3に示す植生マットの変形例を示す断面図で
ある。
【図5】前記植生マットの別の変形例を示す斜視図であ
る。
【図6】前記植生マットの断面図である。
【符号の説明】
1…植生マット、2…表面被覆シート、2a…開口、3
…裏面被覆シート、4…縫合糸(縫合部)、5…現地表
土、6…袋体、9…植生基材、A…種子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2B022 AA01 AB02 AB20 BA02 BA11 BB05 2B027 NC02 NC14 NC21 NC24 NC27 NC32 NC36 NC37 ND03 NE02 NE06 NE09 QA05 2B051 AB01 AC02 CB02 CB26 CB29 CB35 2D044 DA12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性の繊維からなる被覆シートと、
    この被覆シートの裏面側に適宜の間隔をおいて取り付け
    られ、内部に現地植物の種子を含む現地表土を充填して
    なる袋体とを有することを特徴とする現地植物の種子を
    利用した植生マット。
  2. 【請求項2】 生分解性の繊維からなる表裏一対の被覆
    シートと、両被覆シートの間に適宜の間隔をおいて取り
    付けられ、内部に現地植物の種子を含む現地表土を充填
    する袋体とを有することを特徴とする現地植物の種子を
    利用した植生マット。
  3. 【請求項3】 生分解性の繊維からなる表裏一対の被覆
    シートを適宜の間隔をおいて縫合してなり、両被覆シー
    トの間に現地植物の種子を含む現地表土を充填可能とす
    ることを特徴とする現地植物の種子を利用した植生マッ
    ト。
  4. 【請求項4】 適宜の間隔をおいて開口が形成され、こ
    の開口に袋体を取り付けてなる生分解性の繊維からなる
    被覆シートを緑化対象面に敷設し、この被覆シートの開
    口から前記袋体内に、現地植物の種子を含む現地表土を
    充填することを特徴とする植生工法。
  5. 【請求項5】 適宜の間隔をおいて縫合され、少なくと
    も一方にその縫合間隔にあわせた開口を形成してなる表
    裏一対の生分解性の繊維からなる被覆シートを緑化対象
    面に敷設し、両被覆シートの間に現地植物の種子を含む
    現地表土を充填することを特徴とする植生工法。
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