JP2003047330A - 埋土種子による植物導入方法と植生袋 - Google Patents
埋土種子による植物導入方法と植生袋Info
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Abstract
全面にわたって万遍なく、植生の遷移促進が合理的に達
成される植物導入方法を提供する。 【解決手段】 埋土種子による植物導入方法であって、
埋土種子を含む森林表層土1を、種子の発根・発芽を許
容する袋体3に収容して、植生袋2を構成する一方、埋
土種子の通芽を可能としたマット9またはネット7に、
植生袋2の挿入用スリット8を適宜の間隔で形成して、
このマット9またはネット7を法面N上に張設し、か
つ、スリット8を通して法面N上に植生袋2を配置し
て、この植生袋2を法面に固定する。
Description
崩壊した裸地法面などに対する埋土種子による植物導入
方法と植物導入用の植生袋とに関する。
せた植生の遷移は、長期間を経てもなかなか進み難いこ
とから、近年では、シードバンクと称される埋土種子を
含んだ森林表層土を活用して、これを積極的に法面に導
入し、植生の遷移を促進させる工夫がなされいる。
への導入に際しては、森林表層土そのものを法面に播き
出したり、適宜に植生基材を混合して法面に吹き付けた
りする施工形態が取られているが、広大な範囲の法面全
面にわたって森林表層土を施工するためには、大量の森
林表層土を必要とし、そのための森林表層土の採取作業
が大変であるだけでなく、多大の労力と時間とを必要と
する点で問題があった。
て、法面上での森林表層土の疎密が生じたり幼苗が倒れ
たりし、法面全面での埋土種子の生育に偏りが生じて、
法面の全面を万遍なく緑化させることも困難であった。
のであって、その目的は、森林表層土の小量の導入であ
りながら、法面の全面にわたって万遍なく、植生の遷移
促進が合理的に達成される植物導入方法を提供する点に
ある。
導入方法は、埋土種子を含む森林表層土を、種子の発根
・発芽を許容する袋体に収容して、植生袋を構成する一
方、埋土種子の通芽を可能としたマットまたはネット
に、植生袋の挿入用スリットを適宜の間隔で形成して、
このマットまたはネットを法面上に張設し、かつ、スリ
ットを通して法面上に植生袋を配置して、この植生袋を
法面に固定することを特徴としている(請求項1)。
はネットを張設することで、降雨による法面表層土の流
亡防止を期することができる。これに加えて、埋土種子
を含む森林表層土を収容した植生袋が、法面の全面にわ
たって適宜の間隔で配置されて、これが固定されること
から、降雨による植生袋の移動も確実に防止されるよう
になる。
盤にして、埋土種子が生育するのであって、これによっ
て埋土種子による法面の緑化が、適宜の間隔を隔てて万
遍なく開始されるようになり、この植生がやがては土壌
を生成することを繰り返すことで、植生による土壌が法
面の全面にわたって生成されるのであって、法面の全面
に対する森林化の緑化が、数年を経て達成されるように
なる。
量の森林表層土を導入するだけで、法面の全面にわたっ
て万遍なく、植生の遷移促進が合理的に達成されるので
あって、森林表層土の導入量が少なくて済むことから、
森林表層土の採取作業が楽になることは勿論のこと、植
生袋の設置にしても、これを少ない人手によって短時間
で楽に行うことができる。
ルフェスク、クリーピングレッドフェスク、ベントグラ
ス、よもぎ、すすき、めどはぎ、イタチチハギ等の外来
草本や、在来草本、在来木本などの一種または二種以上
の法面緑化用植物種子を添付もしくは吹き付けさせてお
けば、これらは初期生長が早いことから、法面の早期の
緑化を図る上で好適である(請求項2)。
上記の一種または二種以上の法面緑化用の植物種子を、
例えば土壌改良材、保水剤、有機堆肥、化学肥料、植物
性繊維などを適宜に混合した植生基材に含ませて、これ
を法面に吹き付ける導入形態をとることも好適である。
を、植生袋の設置後に吹き付ける場合は、埋土種子によ
る植生が、初期生長の早い植生によって被圧を受けない
ようにするために、植生袋の上面に植生基材の受け止め
シートに敷いて、植生基材の吹き付け完了後にシートを
取り外すことが望ましく、逆に、法面緑化用の植物種子
を含む植生基材を、植生袋の設置前に吹き付ける場合
は、植生袋の設置部に相当する面部にシートを敷いて、
植生基材の吹き付け完了後にシートを取り外し、そこに
植生袋を設置して、埋土種子による植生が、初期生長の
早い植生によって被圧されないようにすればよい。
表層土そのもの、若しくは、上記の土壌改良材などによ
る植生基材に、埋土種子を含む森林表層土を含ませたも
のを選択し、この植物導入基材を収容してなる植生袋と
して、植物種子の発根・発芽を許容するシート、例え
ば、水解性の紙や不織布、水溶性のポリビニールアルコ
ールのシート、その他、木綿製のネットを張り付けたボ
ンリック紙などを用いて、植物導入基材の収容口を備え
た例えば筒状や方形の袋体を形成し、この袋体に植物導
入基材を収容し、かつ、収容口をスティプラーなどによ
って閉じてなるものを選択できる。
袋として、植物種子の発根・発芽を許容するシートを、
上下の辺部を重ねるように三つ折りにし、かつ、この三
つ折りシートの左右の辺部を接合して、上下の辺部によ
って植物導入基材の収容口を形成し、この収容口を備え
た三つ折りシートの袋体に植物導入基材を収容してなる
ものを選択できる(請求項3)。
よれば、重なり合った上下の辺部を拡げることで、植物
導入基材の収容口が形成されるのであって、この収容口
を通して袋体に植物導入基材を収容し、かつ、上下の辺
部を元に戻すように、この上下の辺部を重ね合わせるこ
とで、収容口が閉じられるのであって、この構成によれ
ば、収容口の閉じ手段を要しないことに加えて、三つ折
りのシートの左右の辺部を接合するだけであることか
ら、植生袋がコスト的に安価に提供される。
を受けないようにする上で、袋体の周部に防草シートを
備えることが望ましい(請求項4)。
に基づいて説明する。図1及び図2は、例えば切土法面
Nの緑化初期の施工状況を示し、具体的には、埋土種子
による植物導入の施工状況を示しており、この施工に際
して、シードバンクと称される埋土種子を含んだ森林表
層土1を採取して、この森林表層土1を収容した植生袋
2を多数用意する。
芽を許容するシートとして、例えば木綿製のネットを張
り付けたボンリック紙を選択して、このシートの上下の
辺部3a,3bを重ねるように三つ折りにし、かつ、こ
の三つ折りにしたシートの左右の辺部3c,3cを縫合
などの手段4によって接合して、森林表層土1を収容す
るための袋体3を作製する。
bを拡げて、ここに形成された収容口5を通して、三つ
折りシートの袋体3に森林表層土1を収容し、この後、
上下の辺部3a,3bを元に戻すように、この上下の辺
部3a,3bを重ね合わせて、収容口5を閉じるのであ
り、このようにして構成した植生袋2の多数を用意する
のである。
て、この実施の形態では、ボンリック紙を選択している
が、その他に、例えば水解性の紙や不織布、水溶性のポ
リビニールアルコールのシートなどが選択され、また、
袋体3として、三つ折りのシート構成のものを示してい
るが、図4(A),(B)に示すように、ボンリック紙
や水解性の紙、不織布などのシートを用いて、袋体3
を、収容口5を備えた例えば筒状や方形などの形状に構
成してもよいのであり、この袋体3に森林表層土1を収
容し、かつ、収容口5をスティプラーなどで閉じること
で、植生袋2が作製される。
は、これを緑化すべき法面N周辺の埋土種子を含むもの
を選択することが望ましく、この森林表層土1の採取に
際しては、図5に示すように、例えば小灌木やカヤ、笹
などの下層植生を下刈りして排除し、落葉が溜まったA
00層と、分解しかけた落葉の腐植が溜まったA0 層と、
腐植と土とが混ざったA1 層と、養分の抜けたA2 層と
を対象にして、これらを例えば耕運爪6などを用いて解
し、これを採取すればよいのである。
べき法面Nの周辺に限られるものではなく、例えば大規
模な土地造成を行うニュータウンの開発域や道路等の建
設域なども採取対象とされる。
物導入基材として、これをそのまま袋体3に収容して、
植生袋2を構成してもよいのであるが、例えば土壌改良
材、保水剤、有機堆肥、化学肥料、植物性繊維などを適
宜に混合した植生基材に、埋土種子を含む森林表層土1
を含ませたものを植物導入基材として、これを袋体3に
収容して植生袋2を構成してもよいのであり、以下、埋
土種子を含む森林表層土1もしくは埋土種子を含む森林
表層土1を植生基材に含ませたものを植物導入基材と称
するが、適宜に森林表層土1と称することもある。
ライト、高吸水性ポリマーなどが選択され、土壌改良材
としては、ピートモス、バーク堆肥、ベントナイトが選
択される。
工に際して、埋土種子の通芽を可能としたマット(例え
ばヤシ繊維を主体とした植物繊維を不織布状に混紡した
シート状のもの等。)を用意し、このマット9に、植生
袋2を挿入するための横方向のスリット8を適宜の間隔
で形成し、かつ、このマット9を法面N上に張設して、
スリット8を通して法面Nに植生袋2を配置するのであ
り、そして、アンカーピン10などを用いて、この植生
袋2を法面Nに固定し、必要に応じて、合成樹脂製や金
属製などの補強用のネット7によってマット9を被覆す
るのである。
設したマット9が、法面Nの表層土ならびに植生袋2に
収容の植物導入基材1の乾燥を防止し、降雨による法面
表層土の流亡も防止する。
れた植生袋2は、マット9で覆われることに加えて、ア
ンカーピン10などによって法面Nに固定されること
で、降雨による植生袋2の移動はもとより、袋体3が腐
食した後の植物導入基材1の流亡も確実に防止されるの
である。
土種子は、土壌の少ない又は土壌のない法面Nであって
も、植物導入基材1を植生基盤にして発芽し、よく生育
するのであって、これによって埋土種子による法面Nの
緑化が、適宜の間隔を隔てて万遍なく開始されることに
なる。
土壌を生成し、かつ、これを繰り返すことで、土壌の生
成域が広まって、遂には法面の全面にわたって土壌が生
成されるのであって、数年を経ることで、法面の全面に
わたる緑化が達成されることになる。
の森林表層土1を導入するだけで、法面Nの全面にわた
って万遍なく植生の遷移が促進されて、景観の保全が早
期に達成されるのであって、森林表層土1の導入量が少
なくて済むことから、森林表層土1の採取作業が楽にな
ることは勿論のこと、植生袋2の設置にしても、これを
少ない人手によって短時間で楽に行うことができる。
を日当たりのよい圃場で単木的に実生させると、成立年
で茎長が15cm、1年で114cm、2年で290c
m、3年で458cm、4年では521cmにまで達
し、胸高直径(DBH)は4.4cmで、地際では8.
5cmにまで生育し、群落状態では、3000本/ha
の植栽密度の下で、10年で樹高が平均8m、DBHが
平均8cm(大きいものでは16cm)に達するとの報
告がある。
樹高50〜90cmの2年生の幼齢木が花を付けたとの
報告もあり、このことから、森林表層土1に別途、コナ
ラの種子を含ませることが好ましく、その他、シラカシ
やアラカシ、クヌギなでのドングリ類の種子を含ませる
ことも好適であって、これらは早い時期に結実して種子
を法面上に供給することから、植生の遷移が早期に実現
される利点がある。
て、図6に示すように、ネット7にスリット8を形成し
て、このネット7を法面N上に設置し、かつ、スリット
8を通して植生袋2を法面Nに配置して、これをアンカ
ーピン10などで法面Nに固定する施工の手段をとって
も、上記と同様の埋土種子による植物導入を実現するこ
とができる。
ット8を横方向に向けて形成し、図6に示す実施の形態
では、スリット8を縦方向に向けて形成しているが、ス
リット8を斜め方向に向けて形成してもよく、これらを
複合させてもよいのである。
は、植生袋2の挿通が容易で、作業性が優れる点で好適
であり、スリット8を縦方向に向けて形成した場合は、
縦方向における引っ張り強度の低下が生じないことか
ら、特にネット7を対象とする場合に好適である。
トールフェスク、クリーピングレッドフェスク、ベント
グラス、よもぎ、すすき、めどはぎ、イタチチハギ等の
外来草本や、在来草本、在来木本などの一種または二種
以上の法面緑化用植物種子を添付もしくは吹き付けさせ
ておけば、これらは初期生長が早いことから、法面Nの
早期の緑化を図る上で好適である。
種子の植生が、上記の初期生長の早い植生によって被圧
を受けないようにする上で、図7(A),(B)に示す
ように、平面視での大きさが植生袋2よりもやゝ小さな
発根用の開口部11を形成した防草シート(材質は特定
されるものではないが、例えば厚手のビニールシート材
など)12を植生袋2に備えて、植生袋2の周部での植
物種子の発芽あるいは生育を阻害させることが望まし
い。尚、図7(A),(B)には、図3に示した植生袋
2を表示しているが、図4(A),(B)に示した植生
袋2も同様に防草シートを備えることもできる。
ット9に添付もしくは吹き付けさせることに代えて、上
記の一種または二種以上の法面緑化用の植物種子を、例
えば土壌改良材、保水剤、有機堆肥、化学肥料、植物性
繊維などを適宜に混合した植生基材に含ませて、これを
法面Nに吹き付ける導入形態をとっても、法面Nの早期
緑化を図ることができる。
2の設置後に吹き付ける場合は、埋土種子による植生
が、初期生長の早い植生によって被圧を受けないように
するために、植生袋2の上面に植生基材の受け止めシー
トに敷いて、植生基材の吹き付け完了後にシートを取り
外すことが望ましく、逆に、法面緑化用の植物種子を含
む植生基材を、植生袋2の設置前に吹き付ける場合は、
植生袋2の設置部に相当する面部にシートを敷いて、植
生基材の吹き付け完了後にシートを取り外し、そこに植
生袋2を設置して、埋土種子による植生が、初期生長の
早い植生によって被圧されないようにすればよい。
含む植物導入基材1を収容して、これをスリット8を通
して法面N上に配置することに限られるものではなく、
その他の植物種子を含む植物導入基材を収容して、か
つ、ネット7またはマット9を用いずして、これを法面
Nに直接的に配置するような法面Nの緑化に用いること
も可能である。
明によれば、小量の森林表層土を導入するだけで、法面
の全面にわたって万遍なく、植生の遷移促進が合理的に
達成される植物導入方法が提供されるのであって、この
方法によれば、森林表層土の導入量が少なくて済むこと
から、森林表層土の採取作業が楽になることは勿論のこ
と、植生袋の設置にしても、これを少ない人手によって
短時間で楽に行うことができる。
じ手段を必要としない植生袋がコスト的に安価に提供さ
れる。
断面図である。
植生袋の斜視図である。
る植生袋の説明図である。
る。
生袋の斜視図、(B)は防草シートを取り付けた植生袋
の斜視図である。
シートの辺部、5…収容口、7…ネット、8…スリッ
ト、9…マット、12…防草シート。
Claims (4)
- 【請求項1】 埋土種子を含む森林表層土を、種子の発
根・発芽を許容する袋体に収容して、植生袋を構成する
一方、埋土種子の通芽を可能としたマットまたはネット
に、植生袋の挿入用スリットを適宜の間隔で形成して、
このマットまたはネットを法面上に張設し、かつ、スリ
ットを通して法面上に植生袋を配置して、この植生袋を
法面に固定することを特徴とする埋土種子による植物導
入方法。 - 【請求項2】 マットまたはネットに法面緑化用の植物
種子を添付もしくは吹き付けしてなる請求項1に記載さ
れた埋土種子による植物導入方法。 - 【請求項3】 植物導入基材を収容してなる植生袋であ
って、植物種子の発根・発芽を許容するシートを、上下
の辺部を重ねるように三つ折りにし、かつ、この三つ折
りシートの左右の辺部を接合して、上下の辺部によって
植物導入基材の収容口を形成し、この収容口を備えた三
つ折りシートの袋体に植物導入基材を収容して成ること
を特徴とする植生袋。 - 【請求項4】 袋体の周部に防草シートを備えてなる請
求項3に記載された植生袋。
Priority Applications (1)
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JP2001241039A JP4926344B2 (ja) | 2001-08-08 | 2001-08-08 | 埋土種子による植物導入方法 |
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