JP2002265908A - 振動を吸収する接着剤組成物 - Google Patents
振動を吸収する接着剤組成物Info
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Abstract
が大きく、高温下の施工においても接着性の良好な低弾
性アクリル系接着剤を提供することを目的とする。 【解決手段】 重合物の伸びが20℃で200%以上、
ガラス転移温度が0℃以下の重合性単量体、乾性油、固
形パラフィン、クメンハイドロパーオキサイド、ハイド
ロキノン、マンガン石鹸、コバルト石鹸を含有する接着
剤組成物を構成とする。
Description
ンクリートやモルタル表面へ強固に接着し、高温での作
業性が良好な、振動を吸収する接着剤組成物に関する。
こと、環境に優しいことなどから、成形材料、塗料、接
着剤などの分野で幅広く利用されている。しかしなが
ら、硬化物は一般に硬くて伸びが小さく、コンクリート
構造体の接着に用いた場合には、地震時などの振動時に
構造体を破壊してしまう欠点がある。
動しても、接合部から構造物が破壊することがないよう
に振動変位を吸収することができる、低弾性のアクリル
系接着剤が開発された。
接着剤の一般的な硬化重合開始剤系としては、安定性が
良く、取り扱いが容易なクメンハイドロパーオキサイド
と、速硬化性能を与えるコバルト石鹸との組み合わせが
一般的に使用されている。
リート構造体に対して使用される接着剤は、一般に、屋
外においても使用される場合が多く、季節などにより、
使用温度が変動する。
被着体の表面温度が50℃を超えてしまう場合がある。
クメンハイドロパーオキサイドと、速硬化性能を与える
コバルト石鹸の反応による分解が速すぎることが災いし
て、激しいラジカル再結合による失活や連鎖移動などが
起こり、その結果として、重合開始効率の低下や、重合
体の分子量の低下により、接着剤硬化物の弾性率の低
下、あるいは硬化不良が発生する問題がある。
リート構造物に対して、安定した接着性を発現するアク
リル系接着剤組成物を提供することを目的とする。
の伸びが20℃で200%以上であり、分子中に少なく
とも1個以上のフェニル基を有するアクリル酸エステル
モノマーを(A+B)100重量部に対して40重量部
以上、(B)重合物のガラス転移温度が0℃以下で、分
子中に少なくとも1個以上のフェニル基を有するアクリ
ル酸エステルモノマーを(A+B)100重量部に対し
て10重量部以上、60重量部以下含有し、さらに(A
+B)100重量部に対し(C)乾性油1〜20重量
部、(D)固形パラフィン0.2〜5.0重量部、
(E)クメンハイドロパーオキサイド0.2〜4.0重
量部、(F)ハイドロキノン0.005〜0.20重量
部、(G)マンガン石鹸をマンガン量として0.005
〜0.20重量部、(H)コバルト石鹸をコバルト量と
して0.005〜0.20重量部、含有することを特徴
とする高度な伸びを有する接着剤組成物である。
20℃で200%以上であり、少なくとも分子中に1個
以上のフェニル基を有する(A)成分のアクリル酸エス
テルモノマーは、一般に用いられるアクリル系であっ
て、例えば、2−ヒドロキシ−3−フエノキシプロピル
アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性アク
リレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変
性アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド
変性アクリレートなどであり、アルキルフェノールのエ
チレンオキサイド、もしくはプロピレンオキサイド変性
アクリレート類であり、これらのオリゴマーであっても
よい。
ステルモノマーは、硬化物の物性を調整する目的で単独
にて用いても良いし、2種類以上混合して用いても良
い。
ステルモノマーは、硬化物を柔軟にし、かつ、高度な伸
び特性を付与させるために、(A)成分+(B)成分=
100重量部中の少なくとも40重量部以上が必要であ
り、50量部以上が特に好ましい。
が0℃以下で、分子中に少なくとも1個以上のフェニル
基を有する(B)成分のアクリル酸エステルモノマー
は、例えば、フェノール(エチレンオキサイド2モル変
性)アクリレート、フェノール(エチレンオキサイド4
モル変性)アクリレート、ノニルフェノール(エチレン
オキサイド4モル変性)アクリレート、ノニルフェノー
ル(プロピレンオキサイド2.5モル変性)アクリレー
トなどであり、硬化物の物性を調整する目的で単独にて
用いても良いし、2種類以上混合して用いても良い。
温での柔軟性を付与させる成分であり、(A)成分+
(B)成分=100重量部中の少なくとも10重量部が
必要であり、60重量部以下が好ましい。
を超えて配合すると硬化物の伸びが低下する場合があり
好ましくない。
は、少なくとも金属石鹸の作用により、空気硬化する不
飽和炭化水素結合を1分子中に複数有する油脂類の総称
で、例えば、亜麻仁油、ボイル油、魚油などから変性し
た乾性油などである。
で単独にて用いても良いし、2種類以上混合して用いて
も良い。
は、硬化物の柔軟性を損なわず、表面の乾燥性を付与さ
せる成分であり、(A)成分+(B)成分=100重量
部に対して、1重量部以上が必要であり、20重量部以
下が好ましい。
満では、表面乾燥効果が不十分であり、20重量部を超
えて配合すると、主として強度低下が大きくなるので好
ましくない。
フィンは、組成物の硬化に際して、モノマー類の酸素に
よる重合妨害、即ち、嫌気性を緩和する目的で添加する
成分である。融点42℃〜44℃のパラフィンから、融
点68〜70℃のパラフィンに至るまで、2℃刻みのも
のが一般に入手可能である。本発明に用いる(D)成分
である固形パラフィンとしては、より高融点のパラフィ
ンを使用しても良い。
成分+(B)成分=100重量部に対して、0.2〜
5.0重量部添加する。
重量部未満では嫌気性を緩和する効果が小さく、5.0
重量部を超えると硬化樹脂の伸びが減少したり、強度の
低下もあり好ましくない。
イドロパーオキサイドは、自然分解性が小さく、本発明
の(G)成分であるマンガン石鹸や、(H)成分である
コバルト石鹸と酸化還元反応、所謂、レドックス反応を
惹起して、本発明の(A)、(B)成分であるアクリル
モノマーをラジカル重合させるラジカル重合開始剤系で
ある。
イドロパーオキサイドは、(A)成分+(B)成分=1
00重量部に対して0.2〜4.0重量部用いられる。
0.2重量部未満では硬化不良が発生する。また、4.
0重量部以上では保存安定性の低下が著しく、好ましく
ない。
キノンは、所謂、ラジカル重合禁止剤である。真夏など
の、高温下の施工で接着剤を使用する場合には、硬化時
間が短すぎるために作業時間が確保できない問題があ
る。
することにより、硬化時間を長くし、作業時間を確保す
ることができる。
発明に用いる(G)成分であるマンガン石鹸、(H)成
分であるコバルト石鹸を添加する前の接着剤組成物の保
存安定性も向上する。
キノンは、(A)成分+(B)成分=100重量部に対
して0.005〜0.20重量部使用することが好まし
い。
キノンは、0.005重量部未満では効果が明確でな
く、0.20重量部を超える添加量では硬化不十分にな
る。特に好ましい範囲は、0.01〜0.10重量部で
ある。
石鹸は、例えば、ナフテン酸マンガン、オクテン酸マン
ガンなどが挙げられる。
有量のものが市販されているが、通常、マンガン含有量
が6〜8重量%のものが使用される。
石鹸は、(A)成分+(B)成分=100重量部にマン
ガン量として0.005〜0.20重量部用いる。マン
ガン量が0.005重量部未満では硬化不良を発生する
ケースがあり、好ましくない。0.20重量部を超える
場合は高温での可使時間が短くなりすぎ好ましくない。
〜0.05重量部である。
石鹸は、主として硬化時間時間制御の目的で添加する。
石鹸は、例えば、ナフテン酸コバルト、オクテン酸コバ
ルトなどが挙げられる。
有量のものが市販されているが、通常、コバルト含有量
が6〜12量%のものが使用される。
(B)成分=100重量部に対し、コバルト量として
0.005〜0.20重量部である。
果が小さすぎるので好ましくない。0.20重量部を超
える量では50℃以上の温度で硬化しなくなることがあ
るので、好ましくない。
〜0.05重量部である。
ば、トリエタノールアミン、N,N−ジ(2−ヒドロキ
シエチル)−P−トルイジン、N,N−ジ(2−ヒドロ
キシエチル)アニリンなどの第3級アミン類を促進剤と
して、単独もしくは組み合わせて用いても良い。
他に、シラン系カップリング剤、紫外線吸収剤、染料、
顔料、発泡剤などの添加剤を必要に応じて添加しても良
い。
ィラー成分を、組成物を安価にしたり、特性の調整など
の目的で添加しても良い。
致している。
単独、もしくは複数配合しても良い。本発明はこれらを
限定するものではない。
おいて考えられたものであり、本発明は、この考察によ
り限定されるものではない。
中にフェニル基を有するアクリルモノマー類の、クメン
ハイドロパーオキサイドと金属石鹸レドックス開始系で
の重合反応である。
ルト石鹸を単独で使用する場合には、50℃以上の高温
になると、クメンハイドロパーオキサイドの分解が速す
ぎることが災いして、ラジカルの失活効率の増大や、激
しい連鎖移動などにより、重合の停止や分子量の著しい
低下が起こると考えられ、その結果として硬化不良など
が発生すると考えられる。
イドとマンガン石鹸系の硬化時間が、コバルト石鹸系に
比べ極端に遅いことを発見した。
くなることなどから、ラジカル発生速度がコバルト石鹸
系に比べ格段に遅い、即ち、組成物系中のラジカル濃度
が低いと考えた。
とにより、クメンハイドロパーオキサイドの高温での高
速分解を防ぎ、安定な特性を得ることができると考え
た。
化時間が遅すぎるケースがあり、そのような場合にはコ
バルト石鹸を併用することで、主として、早期に大部分
がコバルト石鹸から発生すると考えられるラジカルを、
重合禁止剤で捕捉失活させることで、高温保存時の安定
性と高温硬化性を両立させることができることを見出し
た。
る。
し、フェニル基を含有するアクリル酸エステルモノマー
として、アロニックスM5700(東亜合成社製、2−
ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート)6
2gとアロニックスM−111(東亜合成社製、ノニル
フェノールエチレンオキサイド変性アクリレート)9
g、重合体が0゜以下のガラス転移温度を有するアクリ
ル酸エステルとして、アロミックスM113(東亜合成
社製、ノニルフェノール(エチレンオキサイド4モル変
性)アクリレート)29g、亜麻仁油(関東化学社)6
gを混合した。
製、融点47゜固形パラフィン)0.50g、ハイドロ
キノン0.06g、炭酸カルシウム粉(白石カルシウム
社製)110gを、上記モノマー混合液に添加した液
を、攪拌しながら65℃に加熱してパラフィンを溶解さ
せ、攪拌しながら30℃まで冷却した。
開始剤として、パークミルH(日本油脂社製、クメンハ
イドロパーオキサイド80%含有液)2.2g添加攪拌
し、更に、促進剤としてN,N−ジ(2−ヒドロキシエ
チル)−P−トルイジン0.2gを添加攪拌混合した
(組成物1)。
秤量し、オクトライフMn8(シント−ファイン社製、
金属石鹸コバルト含有量8%オクテン酸マンガン)0.
3gを、オクトライフCo12(シント−ファイン社
製、金属石鹸コバルト含有量12%オクテン酸コバル
ト)0.3gを添加混合すると、約5分で発熱しながら
硬化した。
ライフCo12を添加、攪拌した組成物で、日向に置い
た(日向表面温度51℃)40mm×40mm×15m
mのJIS R5201モルタル試験片を、接着剤層が
1mmになるように、直径1mmのピアノ線をスペーサ
ーにして接着した。
っ張り速度1mm/分で引き剥がした結果、凝集破壊を
示し、伸びは480%、強度は0.8N/mm2であっ
た。
クトライフMn8を1.0g添加、混合した以外は実施
例1と同様に評価した。
トライフCo12を0.5gに変えた以外は、実施例1
と同様に評価した。
できたが、接着性評価の際には一部接着部が未硬化(高
粘度液状)であることが確認された。
着剤が有する環境に優しい特性と、短時間硬化特性など
の長所を生かし、従来のアクリル系接着剤が猛暑炎天下
で硬化不良を起こす問題点を改善し、このような過酷な
条件下でも、コンクリート構造物への接着の作業ができ
るようになった。
Claims (1)
- 【請求項1】 (A)重合物の伸びが20℃で200%
以上であり、分子中に少なくとも1個以上のフェニル基
を有するアクリル酸エステルモノマーを(A+B)10
0重量部に対して40重量部以上、(B)重合物のガラ
ス転移温度が0℃以下で、分子中に少なくとも1個以上
のフェニル基を有するアクリル酸エステルモノマーを
(A+B)100重量部に対して10重量部以上、60
重量部以下含有し、さらに(A+B)100重量部に対
し(C)乾性油1〜20重量部、(D)固形パラフィン
0.2〜5.0重量部、(E)クメンハイドロパーオキ
サイド0.2〜4.0重量部、(F)ハイドロキノン
0.005〜0.20重量部、(G)マンガン石鹸をマ
ンガン量として0.005〜0.20重量部、(H)コ
バルト石鹸をコバルト量として0.005〜0.20重
量部、含有することを特徴とする高度な伸びを有する接
着剤組成物。
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