JP2002258839A - 電子弦楽器 - Google Patents

電子弦楽器

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JP2002258839A
JP2002258839A JP2001359883A JP2001359883A JP2002258839A JP 2002258839 A JP2002258839 A JP 2002258839A JP 2001359883 A JP2001359883 A JP 2001359883A JP 2001359883 A JP2001359883 A JP 2001359883A JP 2002258839 A JP2002258839 A JP 2002258839A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 再撥時等に自然な楽音を発生させることがで
きる電子弦楽器を提供する。 【解決手段】 弦部材51の撥弦動作は、ピエゾセンサ
15によって検出され、キーオン検出部5aから第1の
トリガ信号が出力され、楽音が発生する。一方、弦部材
51は導電性材料で構成され、指で触れるとミュート回
路部78のラインにハムがのり(第2のトリガ信号)、
接触が検出される。タッチ(指等で接触)が検出された
場合は、タッチされた弦(CH:チャネル)について、
発生している楽音のレベルを所定値(20db)だけ低
下させることでミュートする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、弦部材の操作を
検出して楽音を電気的に発生するようにした電子弦楽器
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、弦部材を備え、この弦部材の操作
を検出して楽音を電気的に発生するようにした電子弦楽
器が知られている。この電子弦楽器では、例えば、楽器
全体をギター型に構成し、楽器本体部(胴体部)に設け
た擬似的な弦としての弦部材の撥弦動作を、弦部材の移
動や振動等を介して検出し、その検出信号をトリガとし
て楽音を発生するようにしている。この楽器では例え
ば、棹部に設けた操作子で音高を決定すると共に、胴体
部の弦部材を撥いて楽音発生のタイミングの決定や自動
演奏の歩進の制御等を行うようにしている。
【0003】ところで、ギター等の一般の弦楽器では、
弦が振動して発音が継続されている場合でも、同じ弦に
ついて次の撥弦動作がなされ得る。すなわち、同じ弦の
再撥が通常行われる。この再撥の場合は一般に、それま
で振動していた弦に指が接触した時点でその振動が急激
に減衰し、一旦音がほとんどなくなるが、その直後に
は、弦が弾かれて再び大きく振動し、大きい音で発音が
なされる。従って、再撥直前に音が鳴っていた場合は、
再撥時にその音が一時的にミュートされることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の電子弦楽器では、主として、弦部材の撥弦動作から
検出したタイミングやベロシティ等に基づき楽音制御が
なされ、再撥時等の態様が十分に考慮されていなかった
ため、楽音の遷移が不自然な場合があった。例えば、弦
が振動しているうちにその弦が再撥された場合、再撥前
の振動による発音が一旦ミュートされることなくいきな
り次のアタックタイムに入ることになり、その結果、発
生する音が実際のギター等の弦楽器とは異なるものに聞
こえる場合がある。このように、特に再撥時における楽
音の発生が不自然な場合があるという問題があった。
【0005】本発明は上記従来技術の問題を解決するた
めになされたものであり、その目的は、再撥時等に自然
な楽音を発生させることができる電子弦楽器を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の請求項1の電子弦楽器は、棹部に設けられ音
高を決定するための音高決定手段(3)と、所定方向に
沿って延び、前記所定方向に直交する方向に移動自在に
楽器本体に取り付けられた弦部材(51)と、前記弦部
材の移動を検出することで、撥弦動作を示す第1のトリ
ガ信号を出力する第1トリガ発生手段(5a)と、前記
弦部材への接触を検出することで、前記第1のトリガ信
号とは異なる第2のトリガ信号を出力する第2トリガ発
生手段(5b)と、前記音高決定手段により決定された
音高、前記第1トリガ発生手段により出力された第1の
トリガ信号及び前記第2トリガ発生手段により出力され
た第2のトリガ信号に基づいて、楽音を制御する楽音制
御手段(73)とを備えたことを特徴とする。
【0007】この構成によれば、決定された音高、出力
された第1のトリガ信号及び出力された第2のトリガ信
号に基づいて楽音が制御される。例えば、決定された音
高及び第1のトリガ信号に基づいて楽音を発生させ、且
つ第2のトリガ信号に基づいてその楽音をミュートする
ようにすれば、発音継続中に再撥や消音のために弦に指
等で触れると、第2のトリガ信号が出力され、楽音がミ
ュートされることで楽音レベルが抑制される。その結
果、発音が継続している再撥時においては、楽音レベル
が一旦低下してから立ち上がるので、ギター等における
楽音に近いものを再現することができる。消音時にも自
然な減衰を与えることができる。よって、再撥時等に自
然な楽音を発生させることができる。
【0008】請求項2の電子弦楽器は、上記請求項1記
載の構成において、前記弦部材は複数存在し、前記音高
決定手段による音高の決定、前記第1トリガ発生手段に
よる前記第1のトリガ信号の出力及び前記第2トリガ発
生手段による前記第2のトリガ信号の出力は、前記複数
の各弦毎に各々なされるように構成し、前記楽音発生制
御手段は、前記音高決定手段により決定された音高及び
前記第1トリガ発生手段により出力された第1のトリガ
信号に基づいて楽音を発生させると共に、前記第2トリ
ガ発生手段により前記第2のトリガ信号が出力された場
合は、前記複数の弦のうち少なくとも前記第2のトリガ
信号の発生元である弦に対応する楽音をミュートするこ
とを特徴とする。
【0009】この構成によれば、複数の各弦毎に各々、
決定された音高及び第1のトリガ信号に基づいて楽音が
発生し、第2のトリガ信号が出力された場合は、前記複
数の弦のうち少なくとも前記第2のトリガ信号の発生元
である弦に対応する楽音がミュートされる。例えば、複
数の弦に対応する楽音の発生中に、再撥や消音のために
ある弦に指等で触れると、少なくともその弦に対応する
楽音のレベルが抑制される。その結果、発音が継続して
いる再撥時において、少なくとも再撥した弦については
楽音レベルが一旦低下してから立ち上がるので、各弦毎
にギター等における楽音に近いものを再現することがで
き、再撥時の楽音を一層自然なものにすることができ
る。消音時にも自然な減衰を与えることができる。ま
た、いずれかの弦について第2のトリガ信号が出力され
た場合に、他の弦あるいは全ての弦について楽音のレベ
ルを抑制するようにしてもよく、この場合は、練習用等
に利用範囲を広げることができる。よって、再撥時等に
一層自然な楽音を発生させると共に、利用範囲を広げる
ことができる。
【0010】請求項3の電子弦楽器は、棹部に設けられ
音高を決定するための音高決定手段(3)と、所定方向
に沿って延び、前記所定方向に直交する方向に移動自在
に楽器本体に取り付けられた弦部材(51)と、前記弦
部材の移動を検出することで、撥弦動作を示す第1のト
リガ信号を出力する第1トリガ発生手段(5a)と、前
記音高決定手段により決定された音高及び前記第1トリ
ガ発生手段により出力された第1のトリガ信号に基づい
て、楽音を発生する楽音発生手段(78)とを備えた電
子弦楽器であって、前記弦部材への接触を検出すること
で、前記第1のトリガ信号とは異なる第2のトリガ信号
を出力する第2トリガ発生手段(5b)と、前記第2ト
リガ発生手段により出力された第2のトリガ信号に基づ
いて、前記楽音発生手段により発生される楽音をミュー
トするミュート手段(78、90)とを備えたことを特
徴とする。
【0011】この構成によれば、決定された音高及び出
力された第1のトリガ信号に基づいて楽音が発生され、
出力された第2のトリガ信号に基づいて、発生される楽
音がミュートされる。これにより、発音継続中に再撥や
消音のために弦に指等で触れると、第2のトリガ信号が
出力され、楽音がミュートされることで楽音レベルが抑
制される。その結果、発音が継続している再撥時におい
て、楽音レベルが一旦低下してから立ち上がるので、ギ
ター等における楽音に近いものを再現することができ
る。消音時にも自然な減衰を与えることができる。よっ
て、再撥時等に自然な楽音を発生させることができる。
【0012】請求項4の電子弦楽器は、上記請求項3記
載の構成において、前記弦部材は複数存在し、前記音高
決定手段による音高の決定、前記第1トリガ発生手段に
よる前記第1のトリガ信号の出力及び前記第2トリガ発
生手段による前記第2のトリガ信号の出力は、前記複数
の各弦毎に各々なされるように構成し、前記第2トリガ
発生手段により前記第2のトリガ信号が出力された場合
は、前記ミュート手段は、前記複数の弦のうち少なくと
も前記第2のトリガ信号の発生元である弦に対応する楽
音をミュートすることを特徴とする。
【0013】この構成によれば、複数の各弦毎に各々、
決定された音高及び第1のトリガ信号に基づいて楽音が
発生し、第2のトリガ信号が出力された場合は、複数の
弦のうち少なくとも第2のトリガ信号の発生元である弦
に対応する楽音がミュートされる。例えば、複数の弦に
対応する楽音の発生中に、再撥や消音のためにある弦に
指等で触れると、少なくともその弦に対応する楽音のレ
ベルが抑制される。その結果、発音が継続している再撥
時において、少なくとも再撥した弦については楽音レベ
ルが一旦低下してから立ち上がるので、各弦毎にギター
等における楽音に近いものを再現することができ、再撥
時の楽音を一層自然なものにすることができる。消音時
にも自然な減衰を与えることができる。また、いずれか
の弦について第2のトリガ信号が出力された場合に、他
の弦あるいは全ての弦について楽音のレベルを抑制する
ようにしてもよく、この場合は、練習用等に利用範囲を
広げることができる。よって、再撥時等に一層自然な楽
音を発生させると共に、利用範囲を広げることができ
る。
【0014】請求項5の電子弦楽器は、上記請求項3ま
たは4記載の構成において、前記ミュート手段による楽
音のミュートを禁止させる禁止手段を備えたことを特徴
とする。
【0015】この構成によれば、第2のトリガ信号の発
生にかかわりなく、楽音のミュートが禁止される。例え
ば、どの弦を弾いても自動演奏データに従って曲が進行
していくようなモード時に、左手で弦を操作すると共
に、右手で楽音の効果操作子を操作するような場合のよ
うに、ミュートを強制的に禁止させたい場合に対応可能
である。よって、利用範囲を拡大して使い勝手を向上す
ることができる。
【0016】請求項6の電子弦楽器は、複数の弦部材を
備え、前記各弦部材が複数の発音チャネルに個々に対応
する電子弦楽器において、和音を構成する楽符の音高及
び発音タイミングをチャネル別に時系列的に指示する演
奏データ指示手段(74)と、前記演奏データ指示手段
により指示された音高及び発音タイミングに基づいて楽
音を発生する楽音発生手段(77)と、前記演奏データ
指示手段により、任意のチャネルについて発音タイミン
グが和音構成用として指示されたときに、該指示された
発音タイミングを有するすべての和音構成音を前記チャ
ネルから各々発音させると共に、発音中のチャネルに対
応する弦部材への接触があったときは、前記和音構成音
のうち接触があった弦部材に対応する和音構成音のみを
ミュートさせる発音ミュート手段(73)とを備えたこ
とを特徴とする。
【0017】この構成により、和音を構成する楽符の音
高及び発音タイミングがチャネル別に時系列的に指示さ
れると、それらに基づいて楽音信号が発生する。任意の
チャネルについて発音タイミングが和音構成用として指
示されたときに、該指示された発音タイミングを有する
すべての和音構成音が前記チャネルから各々発音される
と共に、発音中のチャネルに対応する弦部材への接触が
あったときは、前記和音構成音のうち接触があった弦部
材に対応する和音構成音のみがミュートされる。
【0018】これにより、例えば自動演奏において、和
音が発音されている場合に、一部の弦部材について指等
で接触したときは、その弦部材に対応する和音構成音の
みがミュートされるので、伴奏にメリハリを付けること
ができる。例えば、和音構成音の同時発音中に下側の複
数の和音構成音に対応する弦部材に指等でタッチすれ
ば、メロディ部(カウンタメロディのようなもの)が引
き立つような演奏をリアルタイムでできる。逆に、和音
構成音の同時発音中に上側の(複数の)和音構成音に対
応する弦部材に指等でタッチすれば、ベース演奏部が引
き立ち、弦部材へのタッチの態様によって、ウォーキン
グベースのような演奏をリアルタイムでできる。このよ
うに、演奏をリアルタイムでアレンジすることができ
る。
【0019】なお、請求項6において、楽符とは音符、
休符を指す。また、和音のほか、複音に適用するように
してもよい。なお、和音構成音を発音する場合、マニュ
アルでも自動でも半自動でもよい。なお、「演奏データ
指示手段」による指示は、例えば、メモリや外部乃至先
生からの演奏データ指示のほか、自分のマニュアル演奏
による指示でもよい。メモリによる指示の場合は、集団
演奏教習装置等の親機からの指示であってもよい。ま
た、音高に応じてフレットが発光可能に構成し、「演奏
データ指示手段」による指示に、フレット発光指示を含
めるようにしてもよい。
【0020】請求項7の電子弦楽器は、棹部に設けられ
音高を決定するための音高決定手段と、所定方向に沿っ
て延び、前記所定方向に直交する方向に移動自在に楽器
本体に取り付けられた弦部材と、前記棹部に設けられた
被接触部と、前記弦部材の移動を検出することで、撥弦
動作を示す第1のトリガ信号を出力する第1トリガ発生
手段と、前記音高決定手段により決定された音高及び前
記第1トリガ発生手段により出力された第1のトリガ信
号に基づいて、楽音を発生する楽音発生手段とを備えた
電子弦楽器であって、前記弦部材への接触を検出するこ
とで、前記第1のトリガ信号とは異なる第2のトリガ信
号を出力する第2トリガ発生手段と、前記被接触部への
接触を検出することで、前記第1、第2のトリガ信号と
は異なる接触検出信号を出力する接触検出信号出力手段
と、前記第2トリガ発生手段により出力された第2のト
リガ信号及び前記接触検出信号出力手段により出力され
た接触検出信号に基づいて、前記楽音発生手段により発
生される楽音の減衰特性を制御する楽音制御手段とを備
えたことを特徴とする。
【0021】この構成によれば、決定された音高及び出
力された第1のトリガ信号に基づいて楽音が発生され、
出力された第2のトリガ信号及び接触検出信号に基づい
て、発生される楽音の減衰特性が制御される。これによ
り、例えば、発音継続中に、棹部の被接触部に左手等で
接触した状態で、再撥や消音のために弦に指等で触れる
と、接触検出信号及び第2のトリガ信号が出力され、例
えば、楽音がミュート、完全消音、または漸次急速減衰
される等のように、楽音の減衰特性が制御される。その
結果、発音が継続している再撥時において、楽音レベル
が所望の減衰特性にて一旦低下してから立ち上がるの
で、ギター等における楽音に近いものを再現することが
できる。消音時にも自然な減衰を与えることができる。
よって、再撥時等に自然な楽音を発生させることができ
る。
【0022】なお、請求項7において、弦部材を指等で
触れたときのハムノイズ、または、弦部材及び棹部の被
接触部を介する人体通電(人体アース)のいずれによっ
ても弦部材への接触が検出されるようにするのが望まし
い。
【0023】なお、請求項7において、奏者の任意によ
り、前記楽音制御手段による強制的な減衰処理を禁止さ
せる禁止手段を設けるようにしてもよい。例えば、第2
のトリガ信号及び接触検出信号の発生にかかわりなく、
楽音をミュート、完全消音、または漸次急速減衰される
等のような、強制的な減衰処理を禁止させ、自然減衰の
ような処理だけを一律に行うようなモードを設定できる
ようにしてもよい。これにより、利用範囲を拡大させて
使い勝手を向上することができる。
【0024】なお、上記請求項1〜4または7におい
て、「音高決定手段」は、例えば略フレット間長を有す
る押下スイッチとして構成される。「第1トリガ発生手
段」は、例えばピエゾ素子を用い、急激な力や加速度が
生じたときに生じる信号出力を利用して、弦部材の移動
を検出するものである。「第2トリガ発生手段」は、例
えば弦部材を導電性材料で構成し、弦部材を指等で触れ
たとき、ハムノイズがのることを利用して接触を検出す
るものである。
【0025】なお、上記請求項2〜6において、「ミュ
ート」には、楽音レベルを低下させることのほか、楽音
発生を完全に停止すること、自然減衰より早く急速減衰
させることも含まれる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0027】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第
1の実施の形態に係る電子弦楽器の平面図(同図
(a))、及び部分底面図(同図(b))である。本電
子弦楽器は、ギター型に形成され、胴体部1(楽器本
体)及び棹部2から成る。棹部2には、音高スイッチ部
3(音高決定手段)、パネル操作部4が設けられ、胴体
部1には、弦入力部5、メモリスロット6が設けられ
る。後述するように、本電子弦楽器は、左手でギターの
フレット間を押さえるときのようにして音高スイッチ部
3で音高を設定すると共に、右手でギターの弦を撥弦す
るようにして弦入力部5の弦部材51(後述)を撥くこ
とで、例えばギターの演奏操作や発音を擬似的に実現し
たものである。
【0028】パネル操作部4には、表示部40、モード
設定スイッチ41(41A、41B)のほか、不図示の
各種スイッチが設けられ、パネル操作部4は、楽器種類
やモード設定の入力のほか、テンポ表示等の各種情報の
表示に用いられる。メモリスロット6には所定のメモリ
カードが挿入可能で、メモリカードに格納された曲デー
タを本装置で鳴らしたり、楽曲の進行に従って押弦操作
を光でガイドしたりすることができる。
【0029】同図(b)に示すように、棹部2の裏面
(背面乃至底面)1aには棹部背面センサ103(被接
触部、接触検出信号出力手段の一部)が設けられる。棹
部背面センサ103は、導電性金属板(例えばステンレ
ス)で構成され、後述するように、CPU73及びその
周辺回路(以下、「CPU周辺回路100」と称する)
に電気的に接続されている。
【0030】図2は、弦入力部5を胴体部1から取り外
し、裏側からみた底面図である。同図上側(後述するフ
レキシブルケーブル86側)が棹部2側である。図3
は、図2のA−A線に沿う部分断面図である。図4は、
センサ体10の分解斜視図である。なお、図2には、下
ケース25、基板26は表されておらず、後述するフレ
キシブルケーブル86及びステイ87が取り付けられて
いない状態が示されている。なお、基板26の内側(弦
部材51側)には、音源回路及び/又はその制御回路の
部品がはんだ付けされている(図示せず)。
【0031】図1に示すように、弦部材51は、6本
(51a〜51f)設けられ、ギターの弦の太さに倣
い、弦部材51aが最も太く、51b…51fという順
序で細くなっている。弦部材51は導電性の材料で構成
されている。
【0032】図3に示すように、弦部材51は、棹部2
の長手方向(所定方向)に延びる撥弦部51Wと、撥弦
部51Wの両端部において胴体部1側に屈曲した後再び
棹部2の長手方向に延びる軸部51Xを有し、さらに両
軸部51Xから胴体部1側に屈曲して一端部51Y(リ
ンク部)、他端部51Z(図2参照)が形成されてい
る。なお、弦部材51a、51c、51eでは、棹部2
側が他端部51Z、反棹部2側(棹部2の反対側)が一
端部51Yとなり、弦部材51b、51d、51fで
は、棹部2側が一端部51Y、反棹部2側が他端部51
Zとなる。弦入力部5にはさらに軸支部18が設けら
れ、弦部材51は両軸部51Xで軸支部18に軸支され
ている。これにより、弦部材51は、軸部51Xを中心
として弦部材51の並び方向(図1の左右方向)に回動
可能にされる。
【0033】弦入力部5には、各弦部材51に対応して
センサ体10が6個設けられている。センサ体10は、
図2に示すように、弦部材51の一端部51Y側に配置
される。すなわち、弦部材51a、51c、51eに対
応するものが反棹部2側に配設され、弦部材51b、5
1d、51fに対応するものが棹部2側に配設されてい
る。
【0034】弦入力部5にはさらに、ストッパ用ゴム材
19が設けられている。ストッパ用ゴム材19は、各弦
部材51に対応して設けられ、弦部材51の他端部51
Z側に配設される。1対のストッパ用ゴム材19で形成
される間隙に各弦部材51の他端部51Zが挿通される
(図2)。弦部材51が軸部51Xを中心として回動す
るとき、ストッパ用ゴム材19は弦部材51の回動角度
を規制する役割を果たす。棹部2側及び反棹部2側共
に、弦部材51の並び方向において、センサ体10とス
トッパ用ゴム材19とは交互に配置されており、いわゆ
る千鳥状の配置となっている。これにより、弦部材51
の並び方向において隣接するセンサ体10間の間隔が大
きくなっている。弦入力部5には、基板26がネジ止め
固定され、さらに弦入力部5は下ケース25にネジ止め
固定される(図3)。
【0035】図4に示すように、センサ体10は、板バ
ネ14、ゴム体16、保持部材11、ピエゾセンサ15
及びブロック材17等で構成される。板バネ14は金属
等で構成され弾性を有し、その基端部14aが保持部材
11にネジ12(図2)で取り付けられ、片持ち梁のよ
うになっている。ブロック材17は弦入力部5の台座2
7に固着され(図2、図3)、ブロック材17に保持部
材11がネジ13(図2)で取り付けられる。板バネ1
4の先端部(自由端部)14bには、ゴム体16が取り
付けられている。ゴム体16には穴16aが形成されて
おり、この穴16aを弦部材51の一端部51Yが貫通
している(図3)。これにより、板バネ14の先端部1
4bが、ゴム体16を介して弦部材51の一端部51Y
とリンクする。
【0036】板バネ14にはピエゾセンサ15が設けら
れている。ピエゾセンサ15は、ピエゾ素子でなり、板
バネ14の長手方向における略中央に取り付けられ、板
バネ14が撓む現象を介して弦部材51の撥弦動作を検
出する。すなわち、板バネ14は、弦部材51が軸部5
1Xを中心として回動するとき、撓んでピエゾセンサ1
5に出力信号を生じさせる。なお、板バネ14の厚さに
適当な変化をもたせることで、板バネ14におけるピエ
ゾセンサ15の近傍が撓みやすくして、検出の感度を向
上するようにしてもよい。
【0037】板バネ14はまた、撥弦操作を解除した
後、その弾性により、弦部材51を非撥弦時初期位置
(板バネ14の撓みがない状態における弦部材51の位
置)に復帰させる役割をも果たす。弦部材51の回動時
における弦の並び方向への可動量は、快適な操作を保障
するべく、4〜6mmに設定される。
【0038】図3に示すように、フレキシブルケーブル
86は、弦入力部5の棹部2側に設けられる。ケーブル
86は、台座27に取り付けられたステイ87にネジ8
5で取り付けられる。ケーブル86は6本の弦部材51
に対応して6本の信号ラインを有し(図示せず)、その
基端部86aにおいて、対応する弦部材51の軸部51
Xに各信号ラインがそれぞれ当接している。弦部材51
は導電体で構成され、弦部材51に触れるとその信号が
ケーブル86に通じるようになっている。後述するよう
に、ケーブル86の6本の信号ラインは、後述するミュ
ート回路部78のラインLN1〜LN6に電気的に接続
されている。
【0039】かかる構成において、奏者は、通常はピッ
キングと同じ要領で弦部材51を指またはピックではじ
けばよい。例えば、撥弦のために弦部材51に弦の並び
方向への力を加えると、弦部材51が軸部51Xを中心
に回動し、一端部51Y、他端部51Zが撥弦部51W
とは平面的にみて反対方向に移動する。一端部51Yと
ゴム体16がリンクされていることで、板バネ14は撓
む。また、強い力を加えた場合は、他端部51Zがスト
ッパ用ゴム材19に当接して弦部材51の回動が停止す
る。弦部材51をはじく、すなわち弦部材51を付勢し
た状態からその付勢力を解除すると、板バネ14の弾性
によって弦部材51が初期位置に急激に戻ろうとする。
そのとき弦部材51に大きな加速度が与えられ、ピエゾ
センサ15が検出信号を出力する。なお、ピエゾセンサ
15は所定の閾値を超えた場合にのみ出力信号を発生す
るようになっている。
【0040】ピエゾセンサ15は、移動加速度に応じた
信号を出力するので、弦部材51に弦の並び方向に向か
って急激な力を作用させるような演奏時にも、出力を発
生する。なお、ピエゾセンサ15は、弦部材51の移動
ファクタとして、通常は、弦部材51の移動加速度を検
出し、それに応じた信号を出力すると捕らえることがで
きるが、弦部材51に対する力の変化(率)に応じた信
号を出力すると捕らえることもできる。通常は、奏者か
らみれば、弦部材51を撥弦する強さに応じた出力が得
られることになる。
【0041】なお、上述したように、弦の太さは、アコ
ースティックギターと同様に、弦部材51aが最も太
く、51b…51fという順序で細くなっているが、撥
弦時においてアコースティックギターと同様の復帰力乃
至撥弦力のキースケーリングを付加するようにしてもよ
い。そのためには、例えば、板バネ14について、弦部
材51のうち太い弦に対応するものほど厚みを厚くす
る、幅を広くする、切れ込みを小さくする(またはなく
す)、というように、板バネ14の力学特性を弦毎6段
階(または2〜3段階)で設定すればよい。これによ
り、本物のアコースティックギターの演奏感覚により近
づけることができる。
【0042】一方、棹部2には、図1に示すように、フ
レット34及びフレット部材35がそれぞれ複数設けら
れている。フレット34はギターにおけるフレットに対
応する位置に設けられる。本実施の形態におけるフレッ
ト34は、振動する弦の長さを規定するというギターの
フレットとしての機能を果たすものではなく、押弦の際
における位置のめやすとなるものである。各フレット3
4の間隔は、ギターの場合に倣い高音域ほど狭くなって
いる。
【0043】フレット間領域は12音階の設定を最低限
可能とすべく12個存在する。ここで、例えば、図1に
示す「FR」が1つのフレット間領域である。なお、上
記12音階よりも高音域側のフレットは、通常のギター
においても上級者以外はあまり用いないため、本電子弦
楽器では、上記高音域にフレット間領域を設ける代わり
に、パネル操作部4を配置する領域として利用すること
で、省スペース化及び操作性の向上が図られている。
【0044】フレット部材35は、図1に示すように、
各フレット34間に設けられ、同一のフレット間領域に
6個ずつ並列配置されている。各フレット部材35の棹
部2の長手方向における長さは、その両端のフレット3
4の間隔と略同じ長さ、すなわち略フレット間長となっ
ている。フレット部材35は、全体が透光材で形成され
る。
【0045】フレット部材35は、下方に押し込み可能
になっており、さらに押弦解除後には、下方に設けた不
図示の弾性体によって元の非押下位置に復帰するように
なっている。
【0046】図示はしないが、フレット部材35の下方
には基板が設けられ、この基板上に固定接点とそれに対
応する可動接点との組で構成される押弦スイッチがフレ
ット部材35毎に設けられる。この押弦スイッチでは、
フレット部材35の押下、及び押下解除の動作によっ
て、固定接点と可動接点とが離接して、フレット部材3
5の押下動作が検出される。また、上記基板上において
フレット部材35の直下には、LEDが各フレット部材
35毎に設けられる。
【0047】図5は、本実施の形態の電子弦楽器におけ
る楽音発生及び発光の制御を実現するための機能構成の
概略を示すブロック図である。
【0048】CPU73(楽音制御手段、発音ミュート
手段)には、CPUバス70を介して、上記した音高ス
イッチ部3、弦入力部5及びメモリスロット6が接続さ
れるほか、ROM71、RAM72、ナビ用APC(オ
ートプレイコード)メモリ74(演奏データ指示手
段)、TCL(テンポクロック)75、オートリズムメ
モリ76、音源部77、ミュート回路部78、棹部背面
センサ103、通信インターフェイス(通信I/F)1
14及び発光部79が接続されている。弦入力部5は、
キーオン検出部5a(第1トリガ発生手段)及びミュー
ト検出部5b(第2トリガ発生手段)を備える。キーオ
ン検出部5aはCPUバス70に接続され、ミュート検
出部5bはミュート回路部78に接続されている。音源
部77には、D/Aコンバータ80を介してサウンドシ
ステム(SS)81が接続されている。通信I/F11
4は通信ネットワーク115を接続する。
【0049】音高スイッチ部3は、押下されたフレット
部材35に対応する押弦スイッチから検出信号を出力
し、この出力が各弦部材51に対応する複数のフレット
部材35のうちのいずれが押下されたかを示す音高信号
となる。この出力信号はCPU73に供給される。な
お、同じ弦部材51に対応するフレット部材35が2以
上押下された場合は、より高音域側のフレット部材35
のみがオンされたとして処理される。何も出力されない
場合は、その弦は開放弦であるとして処理される。
【0050】キーオン検出部5aの機能は、上述したセ
ンサ体10によって実現される。すなわち、上述したよ
うに、センサ体10のピエゾセンサ15により、弦部材
51を撥弦する強さに応じた出力が得られるので、この
出力により弦部材51の撥弦の有無、タイミング及び撥
弦強さが規定される。一方、ミュート検出部5bは、弦
部材51に対する奏者の指等の接触を検出する。このミ
ュート検出部5bの機能は、弦部材51及びケーブル8
6によって実現される。
【0051】撥弦タイミング及び撥弦強さを示す信号
(以下、「第1のトリガ信号」と称する)を出力するの
がキーオン検出部5aであり、弦部材51に対する指等
の接触があったことを示す信号(以下、「第2のトリガ
信号」と称する)を出力するのがミュート検出部5bで
ある。キーオン検出部5a、ミュート検出部5b、ミュ
ート回路部78は6本の弦部材51の各々に対応して構
成され、上記第1、第2のトリガ信号は各弦部材51毎
に発生する。
【0052】図6は、ミュート回路部78及び棹部背面
センサ103を含む楽音減衰制御機構部の構成を模式的
に示す図である。
【0053】ミュート回路部78は、ラインLN1にお
いて、高周波カット用のコイル89、100KΩの抵抗
82、入力が高インピーダンスで波形整形機能を有する
CMOS構成のICからなるインバータ83、ダイオー
ド84及び平滑回路85が直列に接続されて構成され、
平滑回路85がCPU周辺回路100に接続されてい
る。また、抵抗82とインバータ83との間には、イン
バータ83の出力状態を規定する4.7MΩのプルアッ
プ抵抗87が接続されている。この抵抗87の一端から
電圧(+V)が印加され、他端に接続された抵抗82と
で、入力接地時の接地電圧を規定する。
【0054】また、平滑回路85とCPU周辺回路10
0との間には、回路ST1が接続されている。回路ST
1は、エミッタを接地したスイッチングトランジスタT
R1とベースへのバイアス抵抗rbとから成る。バイア
ス抵抗rbにはスイッチSWm(禁止手段)が接続され
ている。スイッチSWmがオープンの場合は、トランジ
スタTR1がオフとなっているので、コレクタ、エミッ
タ間はオフ状態となり、電流が流れない。
【0055】さらに、ラインLN1におけるコイル89
の入力側には、フレキシブルケーブル86に対応する信
号ラインが接続される。スイッチSWmは全回路ST1
〜ST6に接続されている。他の5本の弦部材51に対
応するミュート回路部78(不図示のラインLN2〜L
N6、及びLN21〜LN61が対応)についても同様
に構成される。従って、各弦部材51はケーブル86を
介してラインLN1〜LN6に接続される。
【0056】棹部背面センサ103は、ラインLN7
(接触検出信号出力手段の一部)を通じて接地されると
共にCPU周辺回路100に接続され、左手等の接触に
よる出力を「接触検出信号」として送出する。また、6
個のセンサ体10で検出された各弦部材51の撥弦動作
がキーオン検出部5aの6ビットの出力信号としてイン
ターフェイス回路102に入力され、該回路102で3
ビットにビット変換された後、CPU周辺回路100に
送出される。なお、インターフェイス回路102は、図
示はしないが、コイルからなる高周波カット用フィル
タ、整流回路、信号増幅器、bit変換器等から構成さ
れる。
【0057】本楽器は、電源として電池を使用可能であ
り、さらに、外付けもしくは内装構造のAC/DCアダ
プタ101を備え、商用電源ACも利用することができ
る。商用電源ACを利用する場合は、AC/DCアダプ
タ101により変換された直流電源がCPU周辺回路1
00に供給される。
【0058】本実施の形態では、再発音での弦部材接触
時非減衰となることを想定し、こrを改善して楽音のレ
ベルを低下させる等のレベルダウン処理(図9のステッ
プS907で後述する)を行うことをしている。このモ
ードとして、「レベルダウン処理有効モード」と「レベ
ルダウン処理無効モード」とが設定可能である。このモ
ード設定は、後述する図9のステップS902(図12
のステップS205)で行える。「レベルダウン処理有
効モード」では、スイッチSWmがオープンとされ、第
2のトリガ信号及び接触検出信号が共に出力された場合
(弦部材51への接触及び棹部背面センサ103が共に
あった場合)にのみ確実にレベルダウン処理が行われ得
る。しかし、弦部材51への接触のみでもレベルダウン
処理が行われる場合がある。「レベルダウン処理無効モ
ード」では、スイッチSWmがクローズとされ、第2の
トリガ信号または接触検出信号が出力されたか否かにか
かわらず、レベルダウン処理が禁止され、楽音は自然減
衰(生ギターでいえば、撥弦された弦がその後接触され
ず、楽音レベルが徐々に減衰していくこと)する。
【0059】まず、「レベルダウン処理有効モード」で
電池を用いた場合を説明する。スイッチSWmがオープ
ンであるため、ベースにバイアスがかからないので、コ
レクタ、エミッタ間には電流が流れず、ラインLN11
は常に有効状態を示している。
【0060】弦部材51への非接触状態では、ラインL
N1がオープンとなっているので、インバータ83の入
力は高抵抗(抵抗87)を介して電圧(+V)が印加さ
れ、インバータ83がCMOS構成であるが故に、その
入力がほぼ+V(ハイ)状態となり、その出力はほぼ0
電位(ロー)を示す。そしてこの信号(ロー)は、低抵
抗(抵抗88)、ダイオード84を介して平滑回路85
に伝達されるが、ダイオード84により平滑回路85に
電流を流さないようにしているので、ラインLN11は
ローのままである。しかし、奏者が左手で棹部背面セン
サ103に接触している場合において、右手の指等で弦
部材51に触れると、人体を介してラインLN1がライ
ンLN7とほぼ同電位のアース状態になり、インバータ
83の入力の電圧がケーブル86を介して奏者側に引き
込まれ、その結果、インバータ83の出力は“1”とな
ってそれがミュート回路部78から出力される。この状
態において、「第2のトリガ信号」及び「接触検出信
号」が共に出力されたとみなす。
【0061】次に「レベルダウン処理有効モード」で商
用電源ACを用いた場合を説明する。棹部背面センサ1
03に手等が接触しない状態で、奏者が例えば右手の指
等で、ある弦部材51に触れた場合を考えると、ライン
LN1に人体が触れたことによるラインLN1のキャパ
シタ成分や電磁誘導成分の付加によってハムノイズ(h
um noise)をひろいやすくなる。そこで、ハム
ノイズを拾ったと仮定すると、その信号(50又は60
HZの交番信号)はラインLN1からコイル89、抵抗
82を介してインバータ83に入力され、インバータ8
3で矩形波に波形整形され、該矩形波信号は抵抗88、
ダイオード84を介して平滑回路85内のコンデンサに
そのエネルギーが蓄えられる。この信号は、ラインLN
11から(ハイ)を形成する。これによって「第2のト
リガ信号」を得て、後述のレベルダウン処理を行うこと
ができる。しかしながらこれだけではその時の演奏環境
(人、楽器、湿度等)によって、確実な接触検出機構を
構成するには不十分であるかもしれない。そこで、本実
施の形態では、棹部背面センサ103への手接触(ケー
ブル86とラインLN7との接続)も併用して、ライン
LN1が接地電圧にレベルダウンさせることを行ってい
る。即ちセンサ103と弦部材51とに手が触れると、
抵抗87、82、人の抵抗の相対関係によって、ライン
LN1が接地されたことと等しくなり、インバータ83
の入力がローに落ちる。このロー信号はインバータ83
で反転され、その後の前述した電池を用いた場合と同様
の作用により、ミュート回路部78から出力される。こ
の場合も、CPU周辺回路100によって「第2のトリ
ガ信号」及び「接触検出信号」が共に出力される。
【0062】ハムノイズ検出のメカニズムとしては、種
々の因果関係が考えられる。いずれにせよ、検出の必要
条件として、検出入力回路のインピーダンスが高いこと
が挙げられる。これが高いと種々のノイズをひろう。例
えば、入力ライン(ラインLN1)とアースとで形成さ
れるCMOS構成のICのキャパシタ要素(コンデン
サ)に何らかのノイズによる電圧変動が加わると、それ
が検出信号として得られる。
【0063】このように、本実施の形態では、棹部背面
センサ103の併用により、商用電源、電池のいずれの
場合にも、ハムノイズ及び/または人体アースによって
弦部材51への接触が検出されるようになっている。
【0064】次に、「レベルダウン処理無効モード」の
場合を説明する。この場合は、スイッチSWmがクロー
ズとなっている。従って、抵抗rbを介してトランジス
タTR1がオン状態に保たれるので、インバータ83の
出力に電圧が仮に発生したとしても、ラインLN11は
トランジスタTR1によってゼロボルトに保たれる。こ
れによって、スイッチSWmがオンされている場合は、
弦部材51aに接触がないのと同じ状態となるから、弦
部材51aへの実際の接触の有無にかかわらず「第2の
トリガ信号」が出力されないことになる。ラインLN2
〜LN6、LN21〜LN61についても同様である。
【0065】図5に戻り、メモリスロット6は、装着さ
れたメモリカードに格納された曲データとして例えばM
IDIデータをCPU73に供給する。CPU73は、
音高スイッチ部3、キーオン検出部5a、ミュート回路
部78及びメモリスロット6からの信号に基づいて発光
部79及び音源部77を制御する。
【0066】発光部7の機能は、上記不図示のLED及
びフレット部材35等で実現される。すなわち、CPU
73の制御によりLEDが発光すると、その光は透明材
で成るフレット部材35の下部から入射され、フレット
部材35内を透過して主に先端部から外部に放光され
る。これにより、外部からみると、フレット部材35が
光って見える。音源部77、D/Aコンバータ80及び
サウンドシステム81は図1には図示されていない(図
5参照)。サウンドシステム81はアンプ、スピーカを
備える(いずれも図示せず)。音源部77は、CPU7
3の制御に基づきサウンドシステム81で楽音を発生さ
せる。
【0067】ROM71は、CPU73が実行する各種
制御プログラムを格納している。RAM72は、各種デ
ータを一時的に記憶し、CPU73がプログラムを実行
する際のワークエリアとして機能する。ナビ用APCメ
モリ74には、後述するAPC(オートプレイコード)
データが格納されている。TCL75は、タイマ割り込
み処理における割り込み時間や各種時間を計時する。オ
ートリズムメモリ76には、後述するAR(オートリズ
ム)データが格納されている。
【0068】図7は、APC(オートプレイコード)デ
ータの構成の一例を示す図である。
【0069】APCデータは、和音を構成する楽符の音
高及び発音タイミングをチャネル別に時系列的に指示す
るものである。APCデータは、曲の進行に沿い、タイ
ミングを示すアドレスADR1と、これに対応するコー
ド(Chord)及び弦種とで構成され、例えば、アド
レスADR1「0」には、コードとしてC(コード構成
音C、E、G)が設定され、弦種としては、構成音Cに
ついては第2、第5弦、構成音Eについては第1、第4
弦、構成音Gについては第3、第6弦が夫々設定されて
いる。ここで、第1弦は最も細い弦であり、従って、第
1弦〜第6弦には、弦部材51の51f〜51aが相当
する。APCデータにおけるコード構成音及び弦種は、
ポインタBAR_TCLの指示に従って順次読み出され
る。1曲分の最後にはENDデータ(不図示)が設定さ
れている。
【0070】図8は、AR(オートリズム)データの構
成の一例を示す図である。
【0071】ARデータは、曲の進行に沿い2小節分で
1セットとして構成され、タイミングを示すアドレスA
rと、これに対応するリズム楽器種類とで構成される。
例えば、アドレスAr「0」には、「ハイハット;H
H」、「シンバル;Ci」、「バスドラム;BD」、
「タムタム;TOM」というように、リズム楽器の発音
を指示するデータが設定されている。なお、アドレスA
r「1」のように、対応するリズム楽器のデータが存在
しないアドレスArでは、リズム楽器の発音は指示され
ない。ARデータにおけるリズム楽器は、ポインタTC
Lの指示に従って順次読み出される。
【0072】なお、APCデータ、ARデータは、予め
格納しておいてもよいが、メモリスロット6等を介して
他の記憶媒体から入力するようにしてもよい。また、集
団演奏教習装置等の親機から指示されるようにしてもよ
い。
【0073】かかる構成において、演奏する場合は、奏
者は音高スイッチ部3において押弦操作のようにして左
手でフレット部材35を押し込む。フレット部材35は
同時に複数押下される場合もあれば、全く押下されない
場合(全弦が開放弦)もある。押下されたフレット部材
35で各弦部材51毎に音高が特定される。奏者はさら
に、弦入力部5において所望の弦部材51を撥弦する。
撥弦の態様は通常のギターと同様でよく、撥弦された弦
部材51についてキーオンイベントがあったことにな
る。
【0074】次に、本実施の形態における楽音発生及び
発光の制御を説明する。
【0075】図9は、本実施の形態における楽音発生及
び発光の制御のメインルーチンのフローチャートを示す
図である。本処理は、CPU73により実行される。な
お、本処理では、電源として電池を用いるものとして説
明する。
【0076】まず、各種変数、フラグ等を初期化し(ス
テップS901)、後述する図12〜図14のギター系
操作子処理(ステップS902)、図10の自動演奏モ
ード設定処理(ステップS903)、図11のスタート
/ストップ処理(ステップS904)を順次実行して、
次いで、パネル操作部4による音色設定及び曲選択等の
処理を実行する(ステップS905)。
【0077】次に、レベルダウン指示がされているか否
かを判別する(ステップS906)。ここで、レベルダ
ウン指示は、タッチされたCH(弦)について発生して
いる楽音についてレベルダウン処理を行わせる指示であ
り、後述する図12のステップS237で設定される。
ステップS906の判別の結果、レベルダウン指示がさ
れていない場合は、前記ステップS902に戻る一方、
レベルダウン指示がされている場合は、レベルダウン処
理を行って(ステップS907)、前記ステップS90
2に戻る。
【0078】このレベルダウン処理として、本実施の形
態では、一例として、タッチされたCH(弦)について
発生している楽音のレベルを、所定値(例えば、20d
b)だけ低下させる処理が採用されている。なお、後述
するように、レベルダウン処理の態様は例示したものに
限定されない。
【0079】図10は、図9のステップS903で実行
される自動演奏モード設定処理のフローチャートを示す
図である。
【0080】まず、図1に示すモード設定スイッチ41
でPLAY1のオンイベントが有ったか否かを判別する
(ステップS1001)。ここで、PLAY1は自動演
奏モードを設定するイベントで、PLAY2は自動演奏
モードを解除するイベントである。モード設定スイッチ
41では、スイッチ41AがPLAY1に対応し、スイ
ッチ41BがPLAY2に対応する。
【0081】前記ステップS1001の判別の結果、P
LAY1のオンイベントが有った場合は、自動演奏モー
ドが設定されていることを「1」で示すモードフラグm
odeを「1」に設定して(ステップS1002)、ス
テップS1003に進む一方、PLAY1のオンイベン
トがない場合は直ちにステップS1003に進む。
【0082】ステップS1003では、モード設定スイ
ッチ41でPLAY2のオンイベントが有ったか否かを
判別する。その判別の結果、PLAY2のオンイベント
が有った場合はモードフラグmodeを「0」に設定す
ると共に、楽音発生の禁止を「1」で示す禁止フラグI
NHを「0」に設定して(ステップS1004)、本処
理を終了する一方、PLAY2のオンイベントがない場
合は直ちに本処理を終了する。なお、以降、mode=
“1”の場合はナビゲートモード、mode=“0”の
場合はマニュアルモードとも称する。
【0083】図11は、図9のステップS904で実行
されるスタート/ストップ処理のフローチャートを示す
図である。まず、自動演奏の実行を許可することを
「1」で示す自動演奏実行フラグrunに「1−ru
n」を入力する(ステップS101)。すなわち、スタ
ートストップスイッチのオンイベントがある度毎に自動
演奏実行フラグrunが「1」または「0」に更新、設
定される。
【0084】次に、自動演奏実行フラグrunが「1」
に設定されているか否かを判別し(ステップS10
2)、その判別の結果、run=1である場合は、今回
のスタートストップスイッチのオンイベントが自動演奏
を実行するためのイベントであることを意味するので、
ポインタTCL(テンポクロック)及びポインタBAR
_TCLをいずれも「0」に設定して(ステップS10
3)、本処理を終了する一方、run=“0”である場
合は、今回のスタートストップスイッチのオンイベント
が自動演奏を停止するためのイベントであることを意味
するので、直ちに本処理を終了する。
【0085】図12〜図14は、図9のステップS90
2で実行される操作子処理のフローチャートを示す図で
ある。まず、操作子スキャンを実行する(ステップS2
01)。ここでいう操作子には、音色、効果、曲選択等
のための操作子は含まれない。
【0086】次に、スイッチやセンサによるイベントが
発生した(または発生中(オン中)である)か否かを判
別する(ステップS202)。例えば、フレット部材3
5が押下されて音高スイッチ部3から音高信号が発生す
る場合、弦部材51が撥弦されてキーオン検出部5aか
ら第1のトリガ信号が発生する場合、及び弦部材51に
指で触れてミュート検出部5bから第2のトリガ信号が
発生する場合は、いずれの場合もステップS202で
「YES」と判別される。その判別の結果、スイッチや
センサによるイベント発生または発生中のいずれでもな
い場合は、本処理を終了する一方、スイッチやセンサに
よるイベント発生または発生中のいずれかである場合
は、ステップS238に進む。
【0087】ステップS238では、「レベルダウン処
理有効モード」になっているか否かを判別し、その判別
の結果、「レベルダウン処理有効モード」である場合
は、ステップS203に進む一方、「レベルダウン処理
有効モード」でない、すなわち、「レベルダウン処理無
効モード」である場合は、ステップS204に進む。
【0088】ステップS203では、第2のトリガ信号
がミュート検出部5bからミュート回路部78に入力さ
れ、ミュート回路部78からタッチ信号検出(ミュート
出力“1”)があったか否かを判別する。その判別の結
果、タッチ信号検出がない場合は、前記ステップS20
4に進んで、イベント発生(発生中)したスイッチある
いはセンサの種類が、弦操作子(弦部材51)、フレッ
トSW(フレット部材35)、その他の操作子のいずれ
であるかを判別する。
【0089】その判別の結果、イベント発生(発生中)
したスイッチあるいはセンサの種類がその他の操作子で
ある場合は、その操作子に応じた「その他の処理」を実
行し(ステップS205)、本処理を終了する。上述し
た「レベルダウン処理有効モード」、「レベルダウン処
理無効モード」の設定は、この「その他の処理」で行わ
れる。また、イベント発生(発生中)したスイッチある
いはセンサの種類がフレットSWである場合は、ステッ
プS206に進む一方、弦操作子である場合はステップ
S211(図13)に進む。
【0090】ステップS206では、ナビゲートモード
(mode=“1”)またはマニュアルモード(mod
e=“0”)のいずれに設定されているかを判別する。
その判別の結果、ナビゲートモードが設定されている場
合は、発光フレット指示があるか否かを判別する(ステ
ップS207)。例えば、休符のような場合は発光フレ
ット指示がない。その判別の結果、発光フレット指示が
ある場合は禁止フラグINHを「0」に設定して(ステ
ップS208)、本処理を終了する一方、発光フレット
指示がない場合は禁止フラグINHを「1」に設定して
(ステップS209)、本処理を終了する。
【0091】一方、前記ステップS206の判別の結
果、マニュアルモードが設定されている場合は、ステッ
プS210で、対応する弦(押下されたフレット部材3
5に対応するもの)のCH(チャネル)(第1弦〜6弦
のいずれか)の指定と、フレットの押圧から割り出され
た音高情報(音高スイッチ部3の出力に基づく)とを音
源部77に送出し、本処理を終了する。
【0092】図13のステップS211では、マニュア
ルモードであって弦操作された弦が開放弦(フレット部
材35の押下がなかった弦)であるか否かを判別する。
その判別の結果、マニュアルモードであって弦操作され
た弦が開放弦である場合は、ステップS212に進ん
で、操作された弦のCHの指定と音高情報とを音源部7
7に送出し、図14のステップS213に進む。一方、
前記ステップS211の判別の結果、マニュアルモード
でないかまたは弦操作された弦が開放弦でない場合は、
ステップS232に進み、INH=“1”であるか否か
を判別する。その判別の結果、INH=“1”である場
合は本処理を終了する一方、INH=“0”である場合
は、ステップS233に進む。
【0093】ステップS233では、ナビゲートモード
またはマニュアルモードのいずれに設定されているかを
判別する。その判別の結果、マニュアルモードが設定さ
れている場合は、前記ステップS213に進む。ステッ
プS213では、第1〜第6弦のうちどの弦からのキー
オンであるかを判別する。その判別の結果、第1弦から
のキーオンである場合は、当該CH(第1弦)が発音中
か否かを判別し(ステップS214)、当該CH(第1
弦)が発音中でない場合は、第1弦につき割り当てられ
た音高に対してキーオンを音源部77に送って(ステッ
プS216)本処理を終了する一方、当該CH(第1
弦)が発音中である場合は、当該CH(第1弦)を消音
してから(ステップS215)、前記ステップS216
の処理を実行して、本処理を終了する。
【0094】図14の前記ステップS213の判別の結
果、第2弦からのキーオンである場合は、ステップS2
17〜S219で、第2弦について前記ステップS21
4〜S216と同様の処理を実行する。これと同様に、
第3、4、5、6弦からのキーオンである場合は、ステ
ップS220〜231で、各弦についてそれぞれ前記ス
テップS214〜S216と同様の処理を実行する。
【0095】一方、前記ステップS233の判別の結
果、ナビゲートモードが設定されている場合は、ステッ
プS234に進み、いずれかの弦に対して弦トリガがあ
ったか、すなわち撥弦がされたか否かを判別する。これ
は、キーオン検出部5aからの第1のトリガ信号で判別
され、第1のトリガ信号が出力されたとき、いずれかの
弦に対して弦トリガがあったと判別される。その判別の
結果、いずれかの弦に対して弦トリガがあった場合は、
現在進行中のアドレスADR1が指定する全てのコード
構成音の音高データとキーオンとを、CHデータ(6弦
分)と共に音源部77に送出する(ステップS23
5)。これにより、いずれかの弦を弾くことで曲の進行
に応じた発音(例えば6弦全て)がなされる。その後、
本処理を終了する。一方、前記ステップS234の判別
の結果、いずれの弦に対しても弦トリガがない場合は、
発音することなく直ちに本処理を終了する。
【0096】図12の前記ステップS203の判別の結
果、タッチ信号検出があった場合は、棹部背面センサ1
03がオン(接触検出信号が出力)されているか否かを
判別する(ステップS239)。その判別の結果、棹部
背面センサ103がオンされていない場合は前記ステッ
プS204に進む一方、棹部背面センサ103がオンさ
れている場合は、ステップS236に進む。
【0097】ステップS236では、タッチ(指等で接
触)された弦(CH)をサーチする。すなわち、6弦の
うちどの弦に指が触れたのかを判別する。この判別は、
ミュート検出部5bからの第2のトリガ信号に基づくミ
ュート回路部78の出力に基づいてなされる。
【0098】続くステップS237では、タッチされた
CH(弦)について発生している楽音のレベルのレベル
ダウン処理を指示する。上述したように、この指示を受
けて、図9のステップS907でレベルダウン処理がな
される。これにより、発音中の弦に指等で触れること
で、その弦についての楽音がミュートされる。その結
果、そのまま再撥しなければ、指で触れなかった場合に
比し、20dbだけ低いレベル間隔を保って減衰してい
くことになる。一方、その直後に再撥すれば、楽音レベ
ルが一旦低下してから立ち上がることになる。これによ
り、消音や再撥されたときの楽音レベルの遷移が自然に
なる。前記ステップS237の後、本処理を終了する。
【0099】従って、「レベルダウン処理有効モード」
では、弦部材51への接触がされ(第2のトリガ信号に
よるミュート出力“1”有り)且つ棹部背面センサ10
3が接触された場合にのみ、レベルダウン指示がなされ
る。一方、「レベルダウン処理無効モード」では、弦部
材51への接触がされたとしても、レベルダウン指示は
なされない。
【0100】図12〜図14の処理によれば、マニュア
ルモードのときは、撥弦された弦について、フレット部
材35の押下(非押下の場合は開放弦)で規定された音
高の楽音が発生する。また、ナビゲートモードで発光フ
レット指示があるときは、いずれかの弦を弾くことで曲
の進行に合ったコード構成音の全てが発音される。さら
に、「レベルダウン処理有効モード」では、発音中のい
ずれかの弦にタッチがあったとき、棹部背面センサ10
3に接触していれば、その発音中の弦についての楽音が
ミュートされる。
【0101】図15は、自動演奏処理のフローチャート
を示す図である。本処理は、TCL割り込みによるタイ
マインタラプト処理により所定時間間隔で実行される。
【0102】まず、run=“1”であるか否かを判別
し(ステップS401)、その判別の結果、run=
“0”である場合は本処理を終了する一方、run=
“1”である場合は、mode=“1”であるか否かを
判別する(ステップS402)。その判別の結果、mo
de=“0”である場合はステップS409に進む一
方、mode=“1”である場合は、ポインタBAR_
TCL=ADR1であるか否かを判別する(ステップS
403)。
【0103】その判別の結果、ポインタBAR_TCL
=ADR1でない場合は、ステップS409に進む一
方、ポインタBAR_TCL=ADR1である場合は、
ステップS404に進み、ポインタBAR_TCLで規
定されるアドレスADR1が指すAPCデータのコード
(Chord)データのコード構成音と、該構成音に対
応する弦種とを読み出し可能とする。これにより、弦が
適切なタイミングで撥弦されたとき、APCデータが読
み出されて発音がなされる。次に、ステップS405で
は、アドレスADR1が指すAPCデータのコード(C
hord)データのコード構成音に対応するフレット部
材35(に対応するLED)を発光させる。これによ
り、曲の進行に従いフレット部材35が発光して光ガイ
ドの機能を果たす。
【0104】次に、アドレスADR1を「1」だけイン
クリメントして(ステップS406)、アドレスADR
1が指すAPCデータがENDデータであるか否かを判
別する(ステップS407)。その判別の結果、アドレ
スADR1が指すAPCデータがENDデータでない場
合は、ステップS409に進む一方、アドレスADR1
が指すAPCデータがENDデータである場合は、AP
Cをストップ、すなわち、mode=“0”として(ス
テップS408)、ステップS409に進む。
【0105】ステップS409では、ポインタTCLが
小節線に達したか否かを判別する。その判別の結果、ポ
インタTCLが小節線に達していない場合は本処理を終
了する一方、ポインタTCLが小節線に達した場合は、
小節番号を示す小節BARを「1」だけインクリメント
することで処理対象の小節を1つ進めて(ステップS4
10)、本処理を終了する。
【0106】本処理によれば、曲の進行に従って、フレ
ット部材35が発光すると共に、適切なタイミングで撥
弦がされたならば曲に合致したコードが発音される。
【0107】図16は、オートリズム処理のフローチャ
ートを示す図である。本処理は、TCL割り込みによる
タイマインタラプト処理により所定時間間隔で実行され
る。
【0108】まず、run=“1”であるか否かを判別
し(ステップS501)、その判別の結果、run=
“0”である場合は本処理を終了する一方、run=
“1”である場合は、ポインタTCLで規定されるアド
レスArが指すリズムパターンを音源部77に送出する
(ステップS502)。なお、アドレスArが指すリズ
ム楽器が1つも存在しない場合は、このTCL値ではリ
ズム音がでないことになる。
【0109】次に、nTCL毎(例えば、24TCL
毎、すなわち4分音符毎)に、表示部40におけるテン
ポ表示を更新し(ステップS503)、ポインタTCL
を「1」だけインクリメントして(ステップS50
4)、ポインタTCLが2小節線目に達したか否かを判
別する(ステップS505)。その判別の結果、ポイン
タTCLが2小節線目に達していない場合は本処理を終
了する一方、ポインタTCLが2小節線目に達した場合
は、ポインタTCLを「0」に設定して(ステップS5
06)、本処理を終了する。
【0110】本処理によれば、曲の進行に従って、リズ
ム楽器の楽音が発生する。
【0111】図12〜図16の処理の結果、例えば次の
ように楽音が発生する。
【0112】図17は、本電子弦楽器のエンベロープの
一例を示す図である。同図(a)はエンベロープ曲線、
同図(b)は音源部77に送出されているコード(Ch
ord)を示す。例えば、同図(b)に示すコード「G
7」が指示されているタイミングでいずれかの弦部材5
1を撥弦すると、「G7」のコード構成音が発音され、
コード「C」が指示されているタイミングで撥弦する
と、「C」のコード構成音が発音される。
【0113】本実施の形態では、同図(a)に示すよう
に、撥弦すると、通常のギターと同様に、曲線E1のよ
うに時点t1から立ち上がり、そのまま再撥することな
く放置すれば、線E3のように徐々に減衰していく。こ
の場合は、「G7」のコードのまま発音が継続される。
【0114】ところが、再撥しようとして時点t2にお
いて指で弦部材51に触れると、楽音ミュートによっ
て、タッチされた弦の楽音のみ20dbだけ楽音レベル
が低下する(図12のステップS203、S236、S
237参照)。その際、指で触れたが実際には再撥弦し
なかった場合は、線E4のように線E3とは20dbの
レベル間隔を保ったまま減衰していくことになる。この
場合は、ギターでいえば、発音している弦を指で消音し
たときと同様の態様となり、消音時の楽音として自然な
ものとなる。つまり、本実施の形態では、発音では、い
ずれかの弦の撥弦にてChord構成音のすべてが発音
され、消音では、Chord構成音のうちタッチされた
弦に対応する音の楽音レベルがのみが20dbだけダウ
ンされる。
【0115】一方、時点t2において指で弦部材51に
触れた後、時点t3において実際に再撥した場合は、曲
線E2のように時点t3から立ち上がる。本実施の形態
では、Chord構成音のすべての弦のタッチ&ミュー
トを演奏者にさせるように指導するような仕様となって
いる。すなわち、いずれか1弦のみのタッチ&ミュート
をさせたとしたら、他のChord構成音は線E3のま
ま推移する。しかし、全弦タッチ&ミュートでは、全部
線E4のようになる。この違いを耳で聞くことにより、
右利きの場合の右手の練習となり上達が期待できる。ま
た、意図的に上記奏法で2弦をタッチ&ミュートさせる
ことにより、メロディラインをアルアイレしたり、伴奏
ラインをアポヤンド風に演奏したり(正確には異なって
いる)することもできる。
【0116】以上の仕様による楽音レベルの遷移の態様
は、ギターでいえば、発音している弦を再撥したときと
同様の態様となり、再撥時の楽音として自然なものとな
る。このように、弦部材51への指の接触時に楽音ミュ
ートを行うことにより、再撥時や消音時を含むあらゆる
演奏態様においてアコースティックギターの楽音を再現
することができる。
【0117】本実施の形態によれば、撥弦すると、マニ
ュアルモードでは撥弦された弦につき楽音が発生し、ナ
ビゲートモードでは曲の進行に合った楽音(コード)が
発生する。そして、「レベルダウン処理有効モード」
で、棹部背面センサ103に接触した状態で楽音発生が
継続している弦を指等で触れると、その弦に対応する楽
音がレベルダウン処理によりミュートされ、楽音レベル
が低下する。従って、通常のギターにおいて頻繁になさ
れるように、弦振動が減衰し終わらないうちに再撥弦が
されるような演奏態様においても、再撥のために弦に指
で触れたとき、楽音が一旦ミュートされてから、次の撥
弦による楽音の立ち上がりを迎えることになる。その結
果、発生される楽音としては、弦楽器らしく聞こえるよ
うになり、ギター等における楽音に近いものが再現され
ることになる。よって、再撥時において自然な楽音を発
生させることができる。
【0118】また、発音中の弦に指で触れた場合は楽音
が所定値(20db)だけ低下し、その後そのレベル間
隔を保って減衰していくので、実際には再撥がなされな
いような消音時にも、自然な減衰を与えることができ
る。よって、消音時の楽音も自然なものとすることがで
きる。
【0119】また、自動演奏において、和音が発音され
ている場合に、一部の弦について指等で接触したとき
は、その弦に対応する和音構成音のみがミュートされる
ようにすることで、伴奏にメリハリを付けることができ
る。例えば、和音構成音の同時発音中に下側の複数の和
音構成音に対応する弦部材に指等でタッチすれば、メロ
ディ部(カウンタメロディのようなもの)が引き立つよ
うな演奏をリアルタイムでできる。逆に、和音構成音の
同時発音中に上側の(複数の)和音構成音に対応する弦
部材に指等でタッチすれば、ベース演奏部が引き立ち、
弦部材へのタッチの態様によって、ウォーキングベース
のような演奏をリアルタイムでできる。このように、演
奏をリアルタイムでアレンジすることができる。
【0120】本実施の形態ではまた、レベルダウン処理
無効モードでは、第2のトリガ信号または接触検出信号
が出力されたか否かにかかわらず、レベルダウン処理が
禁止されるようにしたので、例えば、どの弦を弾いても
自動演奏データに従って曲が進行していくようなモード
時に、右きき演奏者が左手で弦を操作すると共に右手で
楽音の効果操作子を操作するような、特殊な奏法を行う
場合のように、ミュートを強制的に禁止させたい場合等
に、弦部材51の接触の有無にかかわらずレベルダウン
処理を禁止可能にでき、利用範囲を拡大して使い勝手を
向上することができる。
【0121】また、「レベルダウン処理有効モード」で
は、棹部背面センサ103を介する人体通電(人体アー
ス)によって弦部材51への接触が確実に検出されるよ
うにしたので、ハムノイズのみによって検出する場合に
比し、検出精度が高い。
【0122】なお、本実施の形態において、レベルダウ
ン処理の態様は例示したものに限定されない。例えば、
上記のように楽音レベルを低下させる代わりに、楽音発
生を完全に停止させたり(消音)、あるいは自然減衰よ
り早く減衰(急速減衰)させたりしてもよい。これらい
ずれの態様で制御するかは任意に設定可能に構成しても
よい。
【0123】このうち、楽音発生の完全停止は、リリー
スタイムを設けることなく消音することである。また、
急速減衰は、例えば、図9のステップS907におい
て、毎回のループ毎に前回の音量値に対して「1」より
小さい所定値を乗算して今回の音量値とし、これを繰り
返すことで減衰させるものであり、所定値の設定により
減衰特性を任意に制御することが可能である。なお、楽
音レベルの低下処理においても、所定値は20dbに限
定されず、任意に設定することで所望の減衰特性が得ら
れる。
【0124】なお、本実施の形態では、弦部材51は、
ギターに倣って棹部2の長手方向に延設されたが、弦部
材51の延設方向はこれに限定されるものではない。ま
た、棹部背面センサ103の配置位置、サイズについて
も、例示したものに限定されず、通常の演奏時に人体が
触れやすい位置及びサイズであれば、他の構成を採用し
てもよい。
【0125】なお、本実施の形態において、いずれかの
弦に触れて第2のトリガ信号が発生したとき、当該弦に
ついてのみ楽音をミュートするようにしたが(図12の
ステップS237)、これに限るものでなく、少なくと
も当該弦について楽音ミュートをすればよく、例えば、
次のようにして全弦についてミュートするようにしても
よい。
【0126】図18は、図12のステップS236、S
237に代わる他の処理の一例を示すフローチャートの
一部を示す図である。
【0127】図12のステップS236、S237に代
えて、図18に示すステップS701、S702の処理
を追加する。すなわち、前記ステップS203の判別の
結果、タッチ信号検出があった場合は、mode=
“1”であるか否かを判別する(ステップS701)。
その判別の結果、mode=“0”である場合は、本処
理を終了する一方、mode=“1”である場合は、ス
テップS702に進み、全ての弦について、発生してい
る楽音のレベルを、所定値(例えば、20db)だけ低
下させる。これにより、いずれかの弦に指で触れること
で、楽音発生中の全CH(弦)についての楽音がミュー
トされる。
【0128】前記ステップS236、S237のように
処理した場合は、各弦毎にギター等における楽音に近い
ものを再現することができ、再撥時の楽音を一層自然な
ものにすることができるが、前記ステップS701、S
702のように処理した場合は、例えば、練習用等に利
用範囲を広げることができる。特に本実施の形態では、
初心者向けの練習用として、いずれかの弦について撥弦
がされた場合は全コード構成音が発生するようにしたの
で(図13のステップS234、S235)、図18に
示す処理を採用することが適している場合が少なくな
い。また、これらのいずれを採用するかは、モード設定
等において選択できるようにするのが望ましい。
【0129】なお、本実施の形態においては、ナビゲー
トモードでは、曲の進行に従って、フレット部材35の
発光及びリズム楽器の発音が自動的になされるようにす
る一方、ギター音は、撥弦がなされない限り発音されな
いようにした。つまり、曲が奏者の撥弦を待ってくれな
い態様としたが、これに限るものでなく、適切な弦が撥
弦されるのを待って曲が歩進するように構成してもよ
い。
【0130】(第2の実施の形態)第2の実施の形態を
図1〜図4、図6、図19を用いて説明する。第1の実
施の形態ではCPUによる楽音制御を説明したが、本第
2の実施の形態では、CPUを用いない楽音の発生手法
として説明する。電子弦楽器の外観、弦入力部5の構成
等は第1の実施の形態と同様であり、図1〜図4の通り
である。ミュート回路部78(ミュート手段)の構成も
第1の実施の形態と同様であり、図6の通りである。
【0131】図19は、本第2の実施の形態に係る電子
弦楽器の構成を示すブロック図である。本実施の形態で
は、第1の実施の形態と同様の構成要素には同一符号を
用いる。本電子弦楽器では、メモリスロット6及び音高
スイッチ部3のほか、弦入力部5のキーオン検出部5a
及びミュート検出部5bも、ミュート回路部78に接続
されている。ミュート回路部78、音源部77(楽音発
生手段)、D/Aコンバータ80、サウンドシステム
(SS)81は直列に接続されている。
【0132】なお、発光処理の構成は省略するが、マニ
ュアルモードでは、音高スイッチ部3で押下されたフレ
ット部材35に対応するLEDが発光するように構成さ
れている。また、自動演奏モードやナビゲートモードで
は、メモリスロット6から入力された曲データ乃至格納
されているAPCデータに基づいてLEDが順次発光す
るように構成されている。
【0133】本実施の形態における楽音発生処理をマニ
ュアルモードを例にとって説明する。なお、撥弦による
楽音発生及び消音は各弦部材51毎に行われるものとす
る。
【0134】奏者がフレット部材35を押下すると、押
下されたフレット部材35を示す音高信号が音高スイッ
チ部3からミュート回路部78に入力される。一方、奏
者が弦部材51を撥弦すると、第1のトリガ信号がキー
オン検出部5aからミュート回路部78に入力される。
そして、上記入力された音高信号及び第1のトリガ信号
が音源部77に入力され、音高信号が示す音高にて、第
1のトリガ信号が示すタイミングで楽音を発生させるよ
うに、音源部77がD/Aコンバータ80を介してサウ
ンドシステム(SS)81に指示信号を送る。
【0135】一方、このようにして楽音が発生している
弦部材51に対して、再撥や消音のために奏者が指で触
れると、第2のトリガ信号がミュート検出部5bからミ
ュート回路部78に入力される。すると、ミュート回路
部78は、当該弦部材51について現在発音中の楽音を
ミュートする。すなわち、音源部77に送る楽音指示信
号における楽音のレベルを所定値(例えば、20db)
だけ低下させる。その結果、そのまま再撥しなければ、
指で触れなかった場合に比し、20dbだけ低いレベル
間隔を保って減衰していくことになる。一方、その直後
に再撥すれば、楽音レベルが一旦低下してから立ち上が
ることになる。これにより、消音や再撥されたときの楽
音レベルの遷移が自然になる。
【0136】本実施の形態によれば、自然な楽音を発生
させることに関して第1の実施の形態と同様の効果を奏
することができる。また、CPUによる制御が不要にな
るので、構成を簡単にすることができる。
【0137】なお、撥弦による楽音発生及び消音は各弦
部材51毎に行われるものとしたが、ナビゲートモード
では、第1の実施の形態と同様に、1弦の撥弦で全コー
ド構成音が発生するようにし、なおかつ1弦のタッチに
より当該弦または全弦をミュートするようにしてもよ
い。
【0138】なお、第2の実施の形態において、音源部
77とミュート回路部78とを入れ替え、接続関係を逆
にしてもよい。その場合は、ミュート回路部78は、第
2のトリガ信号を音源部77を介して受けることになる
が、そのときは、音源部77から出力される楽音信号に
ついてミュート処理を行うようにすればよい。
【0139】(第3の実施の形態)第3の実施の形態を
図1〜図4、図6、図20、図21を用いて説明する。
第1の実施の形態ではCPUによる楽音制御を説明した
が、本第3の実施の形態では、CPUを用いない楽音の
発生手法として説明する。電子弦楽器の外観、弦入力部
5の構成等は第1の実施の形態と同様であり、図1〜図
4の通りである。ミュート回路部78(ミュート手段の
一部)の構成も第1の実施の形態と同様であり、図6の
通りである。
【0140】図20は、本第3の実施の形態に係る電子
弦楽器の構成を示すブロック図である。本実施の形態で
は、第1の実施の形態と同様の構成要素には同一符号を
用いる。本電子弦楽器では、メモリスロット6及び音高
スイッチ部3は音源部77に接続されている。また、本
電子弦楽器は弁別回路部90(ミュート手段の一部)を
備える。弦入力部5のキーオン検出部5a及びミュート
検出部5bは、弁別回路部90に接続されている。弁別
回路部90は音源部77及びミュート回路部78に接続
されている。音源部77、ミュート回路部78、D/A
コンバータ80、サウンドシステム(SS)81は直列
に接続されている。なお、発光処理の構成は第2の実施
の形態と同様であり説明を省略する。
【0141】図21は、弁別回路部90の機能を示す概
念図である。弁別回路部90は一種のレベルコンパレー
タであり、信号の種類(例えば、振幅の大きさ)に基づ
いて出力を発生する。
【0142】キーオン検出部5aから入力される第1の
トリガ信号とミュート検出部5bから入力される第2の
トリガ信号とが弁別回路部90に入力され得るが、通
常、第1のトリガ信号は撥弦によるものゆえ大きい信号
であり、第2のトリガ信号は消音や再撥前の弦への接触
によるものゆえ第1のトリガ信号よりも小さい信号であ
る。図21に示すように、弁別回路部90は、第1のト
リガ信号が入力されたときは、音源部77に対して音源
指示信号を出力する一方、第2のトリガ信号が入力され
たときは、ミュート回路部78に対してミュートを指示
する信号を出力する。
【0143】本実施の形態における楽音発生処理をマニ
ュアルモードを例にとって説明する。なお、撥弦による
楽音発生及び消音は各弦部材51毎に行われるものとす
る。
【0144】奏者がフレット部材35を押下すると、押
下されたフレット部材35を示す音高信号が音高スイッ
チ部3から音源部77に入力される。一方、奏者が弦部
材51を撥弦すると、第1のトリガ信号がキーオン検出
部5aから弁別回路部90に入力され、弁別回路部90
から音源指示信号が音源部77に入力される。そして、
上記入力された音高信号及び音源指示信号が音源部77
に入力され、音高信号が示す音高にて、音源指示信号が
示すタイミングで楽音を発生させるように、音源部77
がミュート回路部78、D/Aコンバータ80を介して
サウンドシステム(SS)81に指示信号を送る。
【0145】一方、このようにして楽音が発生している
弦部材51に対して、再撥や消音のために奏者が指で触
れると、第2のトリガ信号がミュート検出部5bから弁
別回路部90に入力される。すると、弁別回路部90は
ミュートを指示する信号をミュート回路部78に送る。
すると、ミュート回路部78は、音源部77から出力さ
れた信号に対してミュート処理を施す。すなわち、ミュ
ート回路部78は、当該弦部材51について現在発音中
の楽音をミュートするべく、音源部77の出力信号にお
ける楽音のレベルを所定値(例えば、20db)だけ低
下させる。その結果、第2の実施の形態と同様に、消音
や再撥されたときの楽音レベルの遷移が自然になる。
【0146】本実施の形態によれば、第2の実施の形態
と同様の効果を奏することができる。
【0147】なお、本実施の形態では、弁別回路部90
は、キーオン検出部5aから入力される第1のトリガ信
号とミュート検出部5bから入力される第2のトリガ信
号とを判別するものとしたが、これに限るものではな
い。例えば、ミュート検出部5bを削除し、キーオン検
出部5aからの出力にのみ基づいてそれが「撥弦操作」
なのか「消音または再撥前のタッチ」なのかを判別する
ようにして、判別結果に応じて音源部77またはミュー
ト回路部78に出力を送るように構成してもよい。その
場合は、撥弦と再撥前のタッチとでは、出力される信号
の波形や大きさ等にかなり差異があるので、この差異を
手掛かりに判別する。例えば、撥弦時の信号は通常大き
いので、キーオン検出部5aからの第1のトリガ信号の
振幅を中心として判別し、さらにベロシティや周波数等
をも総合的に考慮して、撥弦操作であるか否かを判別す
るようにすればよい。
【0148】なお、上記各実施の形態において、ミュー
ト処理する場合、楽音レベルを所定値だけ低下させるよ
うにしたが、低下させる態様はこれに限るものでなく、
通常のギターにおいて指接触時に生じるエンベロープ曲
線の変化を擬似的に再現できるような態様で楽音レベル
の時間的変化を設定してもよい。また、構成を簡単にす
るためには、ミュートにより発音を一律に完全停止させ
るようにしてもよい。
【0149】なお、第1の実施の形態において、本発明
を達成するためのソフトウェアによって表される制御プ
ログラムを記憶した記憶媒体を、電子弦楽器のCPUに
読み出すことによって同様の効果を奏するようにしても
よく、その場合、記憶媒体から読み出されたプログラム
コード自体が本発明の新規な機能を実現することにな
り、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明
を構成することになる。また、プログラムコードを電送
媒体(例えば、通信I/F114)等を介して供給して
もよく、その場合は、プログラムコード自体が本発明を
構成することになる。なお、これらの場合の記憶媒体と
しては、ROMのほか、フロッピー(登録商標)ディス
ク、ハードディスク、光ディスク、CD−ROM、CD
−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等を用いる
ことができる。
【0150】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
に係る電子弦楽器によれば、再撥時等に自然な楽音を発
生させることができる。
【0151】請求項2に係る電子弦楽器によれば、再撥
時等に一層自然な楽音を発生させると共に、利用範囲を
広げることができる。
【0152】請求項3に係る電子弦楽器によれば、再撥
時等に自然な楽音を発生させることができる。
【0153】請求項4に係る電子弦楽器によれば、再撥
時等に一層自然な楽音を発生させると共に、利用範囲を
広げることができる。
【0154】請求項5に係る電子弦楽器によれば、利用
範囲を拡大して使い勝手を向上することができる。
【0155】請求項6に係る電子弦楽器によれば、接触
があった弦に対応する和音構成音のみをミュートして伴
奏にメリハリを付けることができる。
【0156】請求項7に係る電子弦楽器によれば、再撥
時等に自然な楽音を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る電子弦楽器
の平面図(同図(a))、及び部分底面図(同図
(b))である。
【図2】 弦入力部を胴体部から取り外し、裏側からみ
た底面図である。
【図3】 図2のA−A線に沿う部分断面図である。
【図4】 センサ体の分解斜視図である。
【図5】 楽音発生及び発光の制御を実現するための機
能構成の概略を示すブロック図である。
【図6】 ミュート回路部及び棹部背面センサを含む楽
音減衰制御機構部の構成を模式的に示す図である。
【図7】 APC(オートプレイコード)データの構成
の一例を示す図である。
【図8】 AR(オートリズム)データの構成の一例を
示す図である。
【図9】 楽音発生及び発光の制御のメインルーチンの
フローチャートを示す図である。
【図10】 図9のステップS903で実行される自動
演奏モード設定処理のフローチャートを示す図である。
【図11】 図9のステップS904で実行されるスタ
ート/ストップ処理のフローチャートを示す図である。
【図12】 図9のステップS902で実行される操作
子処理のフローチャートを示す図である。
【図13】 図9のステップS902で実行される操作
子処理の図12の続きのフローチャートを示す図であ
る。
【図14】 図9のステップS902で実行される操作
子処理の図13の続きのフローチャートを示す図であ
る。
【図15】 自動演奏処理のフローチャートを示す図で
ある。
【図16】 オートリズム処理のフローチャートを示す
図である。
【図17】 エンベロープの一例を示す図である。
【図18】 図12のステップS236、S237に代
わる他の処理の一例を示すフローチャートの一部を示す
図である。
【図19】 第2の実施の形態に係る電子弦楽器の構成
を示すブロック図である。
【図20】 第3の実施の形態に係る電子弦楽器の構成
を示すブロック図である。
【図21】 弁別回路部の機能を示す概念図である。
【符号の説明】
1 胴体部(楽器本体)、 3 音高スイッチ部(音高
決定手段)、 4 パネル操作部、 5 弦入力部、
6 メモリスロット、 5a キーオン検出部(第1ト
リガ発生手段)、 5b ミュート検出部(第2トリガ
発生手段)、35 フレット部材、 51 弦部材、
73 CPU(楽音制御手段、発音ミュート手段)、
74 ナビ用APCメモリ(演奏データ指示手段)、
77音源部(楽音発生手段)、 78 ミュート回路部
(ミュート手段(第2の実施の形態)、ミュート手段の
一部(第3の実施の形態))、 90 弁別回路部(ミ
ュート手段の一部)、 103 棹部背面センサ(被接
触部、接触検出信号出力手段の一部)、 LN7 ライ
ン(接触検出信号出力手段の一部) SWmスイッチ
(禁止手段)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 棹部に設けられ音高を決定するための音
    高決定手段(3)と、所定方向に沿って延び、前記所定
    方向に直交する方向に移動自在に楽器本体に取り付けら
    れた弦部材(51)と、 前記弦部材の移動を検出することで、撥弦動作を示す第
    1のトリガ信号を出力する第1トリガ発生手段(5a)
    と、 前記弦部材への接触を検出することで、前記第1のトリ
    ガ信号とは異なる第2のトリガ信号を出力する第2トリ
    ガ発生手段(5b)と、 前記音高決定手段により決定された音高、前記第1トリ
    ガ発生手段により出力された第1のトリガ信号及び前記
    第2トリガ発生手段により出力された第2のトリガ信号
    に基づいて、楽音を制御する楽音制御手段(73)とを
    備えたことを特徴とする電子弦楽器。
  2. 【請求項2】 前記弦部材は複数存在し、前記音高決定
    手段による音高の決定、前記第1トリガ発生手段による
    前記第1のトリガ信号の出力及び前記第2トリガ発生手
    段による前記第2のトリガ信号の出力は、前記複数の各
    弦毎に各々なされるように構成し、前記楽音発生制御手
    段は、前記音高決定手段により決定された音高及び前記
    第1トリガ発生手段により出力された第1のトリガ信号
    に基づいて楽音を発生させると共に、前記第2トリガ発
    生手段により前記第2のトリガ信号が出力された場合
    は、前記複数の弦のうち少なくとも前記第2のトリガ信
    号の発生元である弦に対応する楽音をミュートすること
    を特徴とする請求項1記載の電子弦楽器。
  3. 【請求項3】 棹部に設けられ音高を決定するための音
    高決定手段(3)と、 所定方向に沿って延び、前記所定方向に直交する方向に
    移動自在に楽器本体に取り付けられた弦部材(51)
    と、 前記弦部材の移動を検出することで、撥弦動作を示す第
    1のトリガ信号を出力する第1トリガ発生手段(5a)
    と、 前記音高決定手段により決定された音高及び前記第1ト
    リガ発生手段により出力された第1のトリガ信号に基づ
    いて、楽音を発生する楽音発生手段(78)とを備えた
    電子弦楽器であって、 前記弦部材への接触を検出することで、前記第1のトリ
    ガ信号とは異なる第2のトリガ信号を出力する第2トリ
    ガ発生手段(5b)と、 前記第2トリガ発生手段により出力された第2のトリガ
    信号に基づいて、前記楽音発生手段により発生される楽
    音をミュートするミュート手段(78、90)とを備え
    たことを特徴とする電子弦楽器。
  4. 【請求項4】 前記弦部材は複数存在し、前記音高決定
    手段による音高の決定、前記第1トリガ発生手段による
    前記第1のトリガ信号の出力及び前記第2トリガ発生手
    段による前記第2のトリガ信号の出力は、前記複数の各
    弦毎に各々なされるように構成し、前記第2トリガ発生
    手段により前記第2のトリガ信号が出力された場合は、
    前記ミュート手段は、前記複数の弦のうち少なくとも前
    記第2のトリガ信号の発生元である弦に対応する楽音を
    ミュートすることを特徴とする請求項3記載の電子弦楽
    器。
  5. 【請求項5】 前記ミュート手段による楽音のミュート
    を禁止させる禁止手段を備えたことを特徴とする請求項
    3または4記載の電子弦楽器。
  6. 【請求項6】 複数の弦部材を備え、前記各弦部材が複
    数の発音チャネルに個々に対応する電子弦楽器におい
    て、 和音を構成する楽符の音高及び発音タイミングをチャネ
    ル別に時系列的に指示する演奏データ指示手段(74)
    と、 前記演奏データ指示手段により指示された音高及び発音
    タイミングに基づいて楽音を発生する楽音発生手段(7
    7)と、 前記演奏データ指示手段により、任意のチャネルについ
    て発音タイミングが和音構成用として指示されたとき
    に、該指示された発音タイミングを有するすべての和音
    構成音を前記チャネルから各々発音させると共に、発音
    中のチャネルに対応する弦部材への接触があったとき
    は、前記和音構成音のうち接触があった弦部材に対応す
    る和音構成音のみをミュートさせる発音ミュート手段
    (73)とを備えたことを特徴とする電子弦楽器。
  7. 【請求項7】 棹部に設けられ音高を決定するための音
    高決定手段と、 所定方向に沿って延び、前記所定方向に直交する方向に
    移動自在に楽器本体に取り付けられた弦部材と、 前記棹部に設けられた被接触部と、 前記弦部材の移動を検出することで、撥弦動作を示す第
    1のトリガ信号を出力する第1トリガ発生手段と、 前記音高決定手段により決定された音高及び前記第1ト
    リガ発生手段により出力された第1のトリガ信号に基づ
    いて、楽音を発生する楽音発生手段とを備えた電子弦楽
    器であって、 前記弦部材への接触を検出することで、前記第1のトリ
    ガ信号とは異なる第2のトリガ信号を出力する第2トリ
    ガ発生手段と、 前記被接触部への接触を検出することで、前記第1、第
    2のトリガ信号とは異なる接触検出信号を出力する接触
    検出信号出力手段(103、LN7)と、 前記第2トリガ発生手段により出力された第2のトリガ
    信号及び前記接触検出信号出力手段により出力された接
    触検出信号に基づいて、前記楽音発生手段により発生さ
    れる楽音の減衰特性を制御する楽音制御手段とを備えた
    ことを特徴とする電子弦楽器。
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