JP3709986B2 - 電子弦楽器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、弦部材の操作を検出して楽音を電気的に発生するようにした電子弦楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、弦部材を備え、この弦部材の操作を検出して楽音を電気的に発生するようにした電子弦楽器が知られている。この電子弦楽器では、例えば、楽器全体をギター型に構成し、楽器本体部(胴体部)に設けた擬似的な弦としての弦部材の撥弦動作を、弦部材の移動や振動等を介して検出し、その検出信号をトリガとして楽音を発生するようにしている。この楽器では例えば、棹部に設けた操作子で音高を決定すると共に、胴体部の弦部材を撥いて楽音発生のタイミングの決定や自動演奏の歩進の制御等を行うようにしている。
【0003】
ところで、ギター等の一般の弦楽器では、弦が振動して発音が継続されている場合でも、同じ弦について次の撥弦動作がなされ得る。すなわち、同じ弦の再撥が通常行われる。この再撥の場合は一般に、それまで振動していた弦に指が接触した時点でその振動が急激に減衰し、一旦音がほとんどなくなるが、その直後には、弦が弾かれて再び大きく振動し、大きい音で発音がなされる。従って、再撥直前に音が鳴っていた場合は、再撥時にその音が一時的にミュートされることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の電子弦楽器では、主として、弦部材の撥弦動作から検出したタイミングやベロシティ等に基づき楽音制御がなされ、再撥時等の態様が十分に考慮されていなかったため、楽音の遷移が不自然な場合があった。例えば、弦が振動しているうちにその弦が再撥された場合、再撥前の振動による発音が一旦ミュートされることなくいきなり次のアタックタイムに入ることになり、その結果、発生する音が実際のギター等の弦楽器とは異なるものに聞こえる場合がある。このように、特に再撥時における楽音の発生が不自然な場合があるという問題があった。
【0005】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、再撥時等に自然な楽音を発生させることができる電子弦楽器を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1の電子弦楽器は、複数の弦部材を備え、前記各弦部材が複数の発音チャネルに個々に対応する電子弦楽器において、音高とアドレスとが対応付けられた発音指示データから成る演奏データに基づいて、アドレスの進行に従って音高及び発音タイミングを発音チャネル別に時系列的に指示する演奏データ指示手段(74)と、前記演奏データ指示手段により指示された音高及び発音タイミングに基づいて楽音を発生させる楽音発生手段(77)と、ミュート手段(73)とを備え、前記楽音発生手段は、前記演奏データ指示手段により、同一アドレスの発音指示データに基づき複数の発音チャネルについて同時に音高及び発音タイミングが指示されたときに、該指示された発音タイミングを有するすべての音高の楽音をそれぞれ対応する発音チャネルから発音させると共に、前記ミュート手段は、発音中の発音チャネルに対応する弦部材への接触があったときは、前記発音中の楽音のうち接触があった弦部材に対応する音高の楽音のみをミュートすることを特徴とする。
【0018】
これにより、例えば自動演奏において、和音等の複数音が発音されている場合に、一部の弦部材について指等で接触したときは、その弦部材に対応する音のみがミュートされるので、伴奏にメリハリを付けることができる。例えば、和音構成音の同時発音中に下側の複数の和音構成音に対応する弦部材に指等でタッチすれば、メロディ部(カウンタメロディのようなもの)が引き立つような演奏をリアルタイムでできる。逆に、和音構成音の同時発音中に上側の(複数の)和音構成音に対応する弦部材に指等でタッチすれば、ベース演奏部が引き立ち、弦部材へのタッチの態様によって、ウォーキングベースのような演奏をリアルタイムでできる。このように、演奏をリアルタイムでアレンジすることができる。
【0019】
なお、請求項1において、「演奏データ指示手段」による指示は、例えば、メモリや外部乃至先生からの演奏データ指示のほか、自分のマニュアル演奏による指示でもよい。メモリによる指示の場合は、集団演奏教習装置等の親機からの指示であってもよい。また、音高に応じてフレットが発光可能に構成し、「演奏データ指示手段」による指示に、フレット発光指示を含めるようにしてもよい。
【0020】
上記目的を達成するために本発明の請求項2の電子弦楽器は、棹部に設けられ音高を決定するための音高決定手段と、所定方向に沿って延び、前記所定方向に直交する方向に移動自在に楽器本体に取り付けられた弦部材と、前記棹部に設けられた被接触部と、前記弦部材の移動を検出することで、撥弦動作を示す第1のトリガ信号を出力する第1トリガ発生手段と、前記音高決定手段により決定された音高及び前記第1トリガ発生手段により出力された第1のトリガ信号に基づいて、楽音を発生する楽音発生手段とを備えた電子弦楽器であって、前記弦部材への接触を検出することで、前記第1のトリガ信号とは異なる第2のトリガ信号を出力する第2トリガ発生手段と、前記被接触部への接触を検出することで、前記第1、第2のトリガ信号とは異なる接触検出信号を出力する接触検出信号出力手段と、前記第2トリガ発生手段により出力された第2のトリガ信号及び前記接触検出信号出力手段により出力された接触検出信号に基づいて、前記決定された音高及び前記出力された第1のトリガ信号に基づき前記楽音発生手段により発生された楽音をミュートするミュート手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、決定された音高及び出力された第1のトリガ信号に基づいて楽音が発生され、出力された第2のトリガ信号及び接触検出信号に基づいて、発生された楽音がミュートされる。これにより、例えば、発音継続中に、棹部の被接触部に左手等で接触した状態で、再撥や消音のために弦に指等で触れると、接触検出信号及び第2のトリガ信号が出力され、楽音がミュート(完全消音、または漸次急速減衰)される。その結果、発音が継続している再撥時において、楽音レベルが一旦低下してから立ち上がるので、ギター等における楽音に近いものを再現することができる。消音時にも自然な減衰を与えることができる。よって、再撥時等に自然な楽音を発生させることができる。
上記目的を達成するために本発明の請求項3の電子弦楽器は、棹部に設けられ音高を決定するための音高決定手段と、所定方向に沿って延び、前記所定方向に直交する方向に移動自在に楽器本体に取り付けられた弦部材と、前記棹部に設けられた被接触部と、前記弦部材の移動を検出する弦移動検出手段と、前記音高決定手段により決定された音高及び前記弦移動検出手段による検出結果に基づいて、楽音を発生する楽音発生手段とを備えた電子弦楽器であって、前記弦部材への接触を検出する弦接触検出手段と、前記被接触部への接触を検出する被接触部接触検出手段と、前記弦接触検出手段による検出結果及び前記被接触部接触検出手段による検出結果に基づいて、前記決定された音高及び前記弦移動検出手段による検出結果に基づき前記楽音発生手段により発生された楽音をミュートするミュート手段とを備えたことを特徴とする。
【0022】
なお、請求項2、3において、弦部材を指等で触れたときのハムノイズ、または、弦部材及び棹部の被接触部を介する人体通電(人体アース)のいずれによっても弦部材への接触が検出されるようにするのが望ましい。
【0023】
なお、請求項2、3において、奏者の任意により、強制的なミュート処理を禁止させる禁止手段を設けるようにしてもよい。例えば、第2のトリガ信号及び接触検出信号の発生にかかわりなく、強制的なミュート処理を禁止させ、自然減衰のような処理だけを一律に行うようなモードを設定できるようにしてもよい。これにより、利用範囲を拡大させて使い勝手を向上することができる。
【0024】
なお、上記請求項2、3において、「音高決定手段」は、例えば略フレット間長を有する押下スイッチとして構成される。「第1トリガ発生手段」、「弦移動検出手段」は、例えばピエゾ素子を用い、急激な力や加速度が生じたときに生じる信号出力を利用して、弦部材の移動を検出するものである。「第2トリガ発生手段」、「弦接触検出手段」は、例えば弦部材を導電性材料で構成し、弦部材を指等で触れたとき、ハムノイズがのることを利用して接触を検出するものである。
【0025】
なお、上記請求項1〜3において、「ミュート」には、楽音レベルを低下させることのほか、楽音発生を完全に停止すること、自然減衰より早く急速減衰させることも含まれる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電子弦楽器の平面図(同図(a))、及び部分底面図(同図(b))である。本電子弦楽器は、ギター型に形成され、胴体部1(楽器本体)及び棹部2から成る。棹部2には、音高スイッチ部3(音高決定手段)、パネル操作部4が設けられ、胴体部1には、弦入力部5、メモリスロット6が設けられる。後述するように、本電子弦楽器は、左手でギターのフレット間を押さえるときのようにして音高スイッチ部3で音高を設定すると共に、右手でギターの弦を撥弦するようにして弦入力部5の弦部材51(後述)を撥くことで、例えばギターの演奏操作や発音を擬似的に実現したものである。
【0028】
パネル操作部4には、表示部40、モード設定スイッチ41(41A、41B)のほか、不図示の各種スイッチが設けられ、パネル操作部4は、楽器種類やモード設定の入力のほか、テンポ表示等の各種情報の表示に用いられる。メモリスロット6には所定のメモリカードが挿入可能で、メモリカードに格納された曲データを本装置で鳴らしたり、楽曲の進行に従って押弦操作を光でガイドしたりすることができる。
【0029】
同図(b)に示すように、棹部2の裏面(背面乃至底面)1aには棹部背面センサ103(被接触部、接触検出信号出力手段の一部)が設けられる。棹部背面センサ103は、導電性金属板(例えばステンレス)で構成され、後述するように、CPU73及びその周辺回路(以下、「CPU周辺回路100」と称する)に電気的に接続されている。
【0030】
図2は、弦入力部5を胴体部1から取り外し、裏側からみた底面図である。同図上側(後述するフレキシブルケーブル86側)が棹部2側である。図3は、図2のA−A線に沿う部分断面図である。図4は、センサ体10の分解斜視図である。なお、図2には、下ケース25、基板26は表されておらず、後述するフレキシブルケーブル86及びステイ87が取り付けられていない状態が示されている。なお、基板26の内側(弦部材51側)には、音源回路及び/又はその制御回路の部品がはんだ付けされている(図示せず)。
【0031】
図1に示すように、弦部材51は、6本(51a〜51f)設けられ、ギターの弦の太さに倣い、弦部材51aが最も太く、51b…51fという順序で細くなっている。弦部材51は導電性の材料で構成されている。
【0032】
図3に示すように、弦部材51は、棹部2の長手方向(所定方向)に延びる撥弦部51Wと、撥弦部51Wの両端部において胴体部1側に屈曲した後再び棹部2の長手方向に延びる軸部51Xを有し、さらに両軸部51Xから胴体部1側に屈曲して一端部51Y(リンク部)、他端部51Z(図2参照)が形成されている。なお、弦部材51a、51c、51eでは、棹部2側が他端部51Z、反棹部2側(棹部2の反対側)が一端部51Yとなり、弦部材51b、51d、51fでは、棹部2側が一端部51Y、反棹部2側が他端部51Zとなる。弦入力部5にはさらに軸支部18が設けられ、弦部材51は両軸部51Xで軸支部18に軸支されている。これにより、弦部材51は、軸部51Xを中心として弦部材51の並び方向(図1の左右方向)に回動可能にされる。
【0033】
弦入力部5には、各弦部材51に対応してセンサ体10が6個設けられている。センサ体10は、図2に示すように、弦部材51の一端部51Y側に配置される。すなわち、弦部材51a、51c、51eに対応するものが反棹部2側に配設され、弦部材51b、51d、51fに対応するものが棹部2側に配設されている。
【0034】
弦入力部5にはさらに、ストッパ用ゴム材19が設けられている。ストッパ用ゴム材19は、各弦部材51に対応して設けられ、弦部材51の他端部51Z側に配設される。1対のストッパ用ゴム材19で形成される間隙に各弦部材51の他端部51Zが挿通される(図2)。弦部材51が軸部51Xを中心として回動するとき、ストッパ用ゴム材19は弦部材51の回動角度を規制する役割を果たす。棹部2側及び反棹部2側共に、弦部材51の並び方向において、センサ体10とストッパ用ゴム材19とは交互に配置されており、いわゆる千鳥状の配置となっている。これにより、弦部材51の並び方向において隣接するセンサ体10間の間隔が大きくなっている。弦入力部5には、基板26がネジ止め固定され、さらに弦入力部5は下ケース25にネジ止め固定される(図3)。
【0035】
図4に示すように、センサ体10は、板バネ14、ゴム体16、保持部材11、ピエゾセンサ15及びブロック材17等で構成される。板バネ14は金属等で構成され弾性を有し、その基端部14aが保持部材11にネジ12(図2)で取り付けられ、片持ち梁のようになっている。ブロック材17は弦入力部5の台座27に固着され(図2、図3)、ブロック材17に保持部材11がネジ13(図2)で取り付けられる。板バネ14の先端部(自由端部)14bには、ゴム体16が取り付けられている。ゴム体16には穴16aが形成されており、この穴16aを弦部材51の一端部51Yが貫通している(図3)。これにより、板バネ14の先端部14bが、ゴム体16を介して弦部材51の一端部51Yとリンクする。
【0036】
板バネ14にはピエゾセンサ15が設けられている。ピエゾセンサ15は、ピエゾ素子でなり、板バネ14の長手方向における略中央に取り付けられ、板バネ14が撓む現象を介して弦部材51の撥弦動作を検出する。すなわち、板バネ14は、弦部材51が軸部51Xを中心として回動するとき、撓んでピエゾセンサ15に出力信号を生じさせる。なお、板バネ14の厚さに適当な変化をもたせることで、板バネ14におけるピエゾセンサ15の近傍が撓みやすくして、検出の感度を向上するようにしてもよい。
【0037】
板バネ14はまた、撥弦操作を解除した後、その弾性により、弦部材51を非撥弦時初期位置(板バネ14の撓みがない状態における弦部材51の位置)に復帰させる役割をも果たす。弦部材51の回動時における弦の並び方向への可動量は、快適な操作を保障するべく、4〜6mmに設定される。
【0038】
図3に示すように、フレキシブルケーブル86は、弦入力部5の棹部2側に設けられる。ケーブル86は、台座27に取り付けられたステイ87にネジ85で取り付けられる。ケーブル86は6本の弦部材51に対応して6本の信号ラインを有し(図示せず)、その基端部86aにおいて、対応する弦部材51の軸部51Xに各信号ラインがそれぞれ当接している。弦部材51は導電体で構成され、弦部材51に触れるとその信号がケーブル86に通じるようになっている。後述するように、ケーブル86の6本の信号ラインは、後述するミュート回路部78のラインLN1〜LN6に電気的に接続されている。
【0039】
かかる構成において、奏者は、通常はピッキングと同じ要領で弦部材51を指またはピックではじけばよい。例えば、撥弦のために弦部材51に弦の並び方向への力を加えると、弦部材51が軸部51Xを中心に回動し、一端部51Y、他端部51Zが撥弦部51Wとは平面的にみて反対方向に移動する。一端部51Yとゴム体16がリンクされていることで、板バネ14は撓む。また、強い力を加えた場合は、他端部51Zがストッパ用ゴム材19に当接して弦部材51の回動が停止する。弦部材51をはじく、すなわち弦部材51を付勢した状態からその付勢力を解除すると、板バネ14の弾性によって弦部材51が初期位置に急激に戻ろうとする。そのとき弦部材51に大きな加速度が与えられ、ピエゾセンサ15が検出信号を出力する。なお、ピエゾセンサ15は所定の閾値を超えた場合にのみ出力信号を発生するようになっている。
【0040】
ピエゾセンサ15は、移動加速度に応じた信号を出力するので、弦部材51に弦の並び方向に向かって急激な力を作用させるような演奏時にも、出力を発生する。なお、ピエゾセンサ15は、弦部材51の移動ファクタとして、通常は、弦部材51の移動加速度を検出し、それに応じた信号を出力すると捕らえることができるが、弦部材51に対する力の変化(率)に応じた信号を出力すると捕らえることもできる。通常は、奏者からみれば、弦部材51を撥弦する強さに応じた出力が得られることになる。
【0041】
なお、上述したように、弦の太さは、アコースティックギターと同様に、弦部材51aが最も太く、51b…51fという順序で細くなっているが、撥弦時においてアコースティックギターと同様の復帰力乃至撥弦力のキースケーリングを付加するようにしてもよい。そのためには、例えば、板バネ14について、弦部材51のうち太い弦に対応するものほど厚みを厚くする、幅を広くする、切れ込みを小さくする(またはなくす)、というように、板バネ14の力学特性を弦毎6段階(または2〜3段階)で設定すればよい。これにより、本物のアコースティックギターの演奏感覚により近づけることができる。
【0042】
一方、棹部2には、図1に示すように、フレット34及びフレット部材35がそれぞれ複数設けられている。フレット34はギターにおけるフレットに対応する位置に設けられる。本実施の形態におけるフレット34は、振動する弦の長さを規定するというギターのフレットとしての機能を果たすものではなく、押弦の際における位置のめやすとなるものである。各フレット34の間隔は、ギターの場合に倣い高音域ほど狭くなっている。
【0043】
フレット間領域は12音階の設定を最低限可能とすべく12個存在する。ここで、例えば、図1に示す「FR」が1つのフレット間領域である。なお、上記12音階よりも高音域側のフレットは、通常のギターにおいても上級者以外はあまり用いないため、本電子弦楽器では、上記高音域にフレット間領域を設ける代わりに、パネル操作部4を配置する領域として利用することで、省スペース化及び操作性の向上が図られている。
【0044】
フレット部材35は、図1に示すように、各フレット34間に設けられ、同一のフレット間領域に6個ずつ並列配置されている。各フレット部材35の棹部2の長手方向における長さは、その両端のフレット34の間隔と略同じ長さ、すなわち略フレット間長となっている。フレット部材35は、全体が透光材で形成される。
【0045】
フレット部材35は、下方に押し込み可能になっており、さらに押弦解除後には、下方に設けた不図示の弾性体によって元の非押下位置に復帰するようになっている。
【0046】
図示はしないが、フレット部材35の下方には基板が設けられ、この基板上に固定接点とそれに対応する可動接点との組で構成される押弦スイッチがフレット部材35毎に設けられる。この押弦スイッチでは、フレット部材35の押下、及び押下解除の動作によって、固定接点と可動接点とが離接して、フレット部材35の押下動作が検出される。また、上記基板上においてフレット部材35の直下には、LEDが各フレット部材35毎に設けられる。
【0047】
図5は、本実施の形態の電子弦楽器における楽音発生及び発光の制御を実現するための機能構成の概略を示すブロック図である。
【0048】
CPU73(ミュート手段)には、CPUバス70を介して、上記した音高スイッチ部3、弦入力部5及びメモリスロット6が接続されるほか、ROM71、RAM72、ナビ用APC(オートプレイコード)メモリ74(演奏データ指示手段)、TCL(テンポクロック)75、オートリズムメモリ76、音源部77、ミュート回路部78、棹部背面センサ103、通信インターフェイス(通信I/F)114及び発光部79が接続されている。弦入力部5は、キーオン検出部5a(第1トリガ発生手段)及びミュート検出部5b(第2トリガ発生手段)を備える。キーオン検出部5aはCPUバス70に接続され、ミュート検出部5bはミュート回路部78に接続されている。音源部77には、D/Aコンバータ80を介してサウンドシステム(SS)81が接続されている。通信I/F114は通信ネットワーク115を接続する。
【0049】
音高スイッチ部3は、押下されたフレット部材35に対応する押弦スイッチから検出信号を出力し、この出力が各弦部材51に対応する複数のフレット部材35のうちのいずれが押下されたかを示す音高信号となる。この出力信号はCPU73に供給される。なお、同じ弦部材51に対応するフレット部材35が2以上押下された場合は、より高音域側のフレット部材35のみがオンされたとして処理される。何も出力されない場合は、その弦は開放弦であるとして処理される。
【0050】
キーオン検出部5aの機能は、上述したセンサ体10によって実現される。すなわち、上述したように、センサ体10のピエゾセンサ15により、弦部材51を撥弦する強さに応じた出力が得られるので、この出力により弦部材51の撥弦の有無、タイミング及び撥弦強さが規定される。一方、ミュート検出部5bは、弦部材51に対する奏者の指等の接触を検出する。このミュート検出部5bの機能は、弦部材51及びケーブル86によって実現される。
【0051】
撥弦タイミング及び撥弦強さを示す信号(以下、「第1のトリガ信号」と称する)を出力するのがキーオン検出部5aであり、弦部材51に対する指等の接触があったことを示す信号(以下、「第2のトリガ信号」と称する)を出力するのがミュート検出部5bである。キーオン検出部5a、ミュート検出部5b、ミュート回路部78は6本の弦部材51の各々に対応して構成され、上記第1、第2のトリガ信号は各弦部材51毎に発生する。
【0052】
図6は、ミュート回路部78及び棹部背面センサ103を含む楽音減衰制御機構部の構成を模式的に示す図である。
【0053】
ミュート回路部78は、ラインLN1において、高周波カット用のコイル89、100KΩの抵抗82、入力が高インピーダンスで波形整形機能を有するCMOS構成のICからなるインバータ83、ダイオード84及び平滑回路85が直列に接続されて構成され、平滑回路85がCPU周辺回路100に接続されている。また、抵抗82とインバータ83との間には、インバータ83の出力状態を規定する4.7MΩのプルアップ抵抗87が接続されている。この抵抗87の一端から電圧(+V)が印加され、他端に接続された抵抗82とで、入力接地時の接地電圧を規定する。
【0054】
また、平滑回路85とCPU周辺回路100との間には、回路ST1が接続されている。回路ST1は、エミッタを接地したスイッチングトランジスタTR1とベースへのバイアス抵抗rbとから成る。バイアス抵抗rbにはスイッチSWmが接続されている。スイッチSWmがオープンの場合は、トランジスタTR1がオフとなっているので、コレクタ、エミッタ間はオフ状態となり、電流が流れない。
【0055】
さらに、ラインLN1におけるコイル89の入力側には、フレキシブルケーブル86に対応する信号ラインが接続される。スイッチSWmは全回路ST1〜ST6に接続されている。他の5本の弦部材51に対応するミュート回路部78(不図示のラインLN2〜LN6、及びLN21〜LN61が対応)についても同様に構成される。従って、各弦部材51はケーブル86を介してラインLN1〜LN6に接続される。
【0056】
棹部背面センサ103は、ラインLN7(接触検出信号出力手段の一部)を通じて接地されると共にCPU周辺回路100に接続され、左手等の接触による出力を「接触検出信号」として送出する。また、6個のセンサ体10で検出された各弦部材51の撥弦動作がキーオン検出部5aの6ビットの出力信号としてインターフェイス回路102に入力され、該回路102で3ビットにビット変換された後、CPU周辺回路100に送出される。なお、インターフェイス回路102は、図示はしないが、コイルからなる高周波カット用フィルタ、整流回路、信号増幅器、bit変換器等から構成される。
【0057】
本楽器は、電源として電池を使用可能であり、さらに、外付けもしくは内装構造のAC/DCアダプタ101を備え、商用電源ACも利用することができる。商用電源ACを利用する場合は、AC/DCアダプタ101により変換された直流電源がCPU周辺回路100に供給される。
【0058】
本実施の形態では、再発音での弦部材接触時非減衰となることを想定し、こrを改善して楽音のレベルを低下させる等のレベルダウン処理(図9のステップS907で後述する)を行うことをしている。このモードとして、「レベルダウン処理有効モード」と「レベルダウン処理無効モード」とが設定可能である。このモード設定は、後述する図9のステップS902(図12のステップS205)で行える。「レベルダウン処理有効モード」では、スイッチSWmがオープンとされ、第2のトリガ信号及び接触検出信号が共に出力された場合(弦部材51への接触及び棹部背面センサ103が共にあった場合)にのみ確実にレベルダウン処理が行われ得る。しかし、弦部材51への接触のみでもレベルダウン処理が行われる場合がある。「レベルダウン処理無効モード」では、スイッチSWmがクローズとされ、第2のトリガ信号または接触検出信号が出力されたか否かにかかわらず、レベルダウン処理が禁止され、楽音は自然減衰(生ギターでいえば、撥弦された弦がその後接触されず、楽音レベルが徐々に減衰していくこと)する。
【0059】
まず、「レベルダウン処理有効モード」で電池を用いた場合を説明する。スイッチSWmがオープンであるため、ベースにバイアスがかからないので、コレクタ、エミッタ間には電流が流れず、ラインLN11は常に有効状態を示している。
【0060】
弦部材51への非接触状態では、ラインLN1がオープンとなっているので、インバータ83の入力は高抵抗(抵抗87)を介して電圧(+V)が印加され、インバータ83がCMOS構成であるが故に、その入力がほぼ+V(ハイ)状態となり、その出力はほぼ0電位(ロー)を示す。そしてこの信号(ロー)は、低抵抗(抵抗88)、ダイオード84を介して平滑回路85に伝達されるが、ダイオード84により平滑回路85に電流を流さないようにしているので、ラインLN11はローのままである。しかし、奏者が左手で棹部背面センサ103に接触している場合において、右手の指等で弦部材51に触れると、人体を介してラインLN1がラインLN7とほぼ同電位のアース状態になり、インバータ83の入力の電圧がケーブル86を介して奏者側に引き込まれ、その結果、インバータ83の出力は“1”となってそれがミュート回路部78から出力される。この状態において、「第2のトリガ信号」及び「接触検出信号」が共に出力されたとみなす。
【0061】
次に「レベルダウン処理有効モード」で商用電源ACを用いた場合を説明する。棹部背面センサ103に手等が接触しない状態で、奏者が例えば右手の指等で、ある弦部材51に触れた場合を考えると、ラインLN1に人体が触れたことによるラインLN1のキャパシタ成分や電磁誘導成分の付加によってハムノイズ(hum noise)をひろいやすくなる。そこで、ハムノイズを拾ったと仮定すると、その信号(50又は60HZの交番信号)はラインLN1からコイル89、抵抗82を介してインバータ83に入力され、インバータ83で矩形波に波形整形され、該矩形波信号は抵抗88、ダイオード84を介して平滑回路85内のコンデンサにそのエネルギーが蓄えられる。この信号は、ラインLN11から(ハイ)を形成する。これによって「第2のトリガ信号」を得て、後述のレベルダウン処理を行うことができる。しかしながらこれだけではその時の演奏環境(人、楽器、湿度等)によって、確実な接触検出機構を構成するには不十分であるかもしれない。そこで、本実施の形態では、棹部背面センサ103への手接触(ケーブル86とラインLN7との接続)も併用して、ラインLN1が接地電圧にレベルダウンさせることを行っている。即ちセンサ103と弦部材51とに手が触れると、抵抗87、82、人の抵抗の相対関係によって、ラインLN1が接地されたことと等しくなり、インバータ83の入力がローに落ちる。このロー信号はインバータ83で反転され、その後の前述した電池を用いた場合と同様の作用により、ミュート回路部78から出力される。この場合も、CPU周辺回路100によって「第2のトリガ信号」及び「接触検出信号」が共に出力される。
【0062】
ハムノイズ検出のメカニズムとしては、種々の因果関係が考えられる。いずれにせよ、検出の必要条件として、検出入力回路のインピーダンスが高いことが挙げられる。これが高いと種々のノイズをひろう。例えば、入力ライン(ラインLN1)とアースとで形成されるCMOS構成のICのキャパシタ要素(コンデンサ)に何らかのノイズによる電圧変動が加わると、それが検出信号として得られる。
【0063】
このように、本実施の形態では、棹部背面センサ103の併用により、商用電源、電池のいずれの場合にも、ハムノイズ及び/または人体アースによって弦部材51への接触が検出されるようになっている。
【0064】
次に、「レベルダウン処理無効モード」の場合を説明する。この場合は、スイッチSWmがクローズとなっている。従って、抵抗rbを介してトランジスタTR1がオン状態に保たれるので、インバータ83の出力に電圧が仮に発生したとしても、ラインLN11はトランジスタTR1によってゼロボルトに保たれる。これによって、スイッチSWmがオンされている場合は、弦部材51aに接触がないのと同じ状態となるから、弦部材51aへの実際の接触の有無にかかわらず「第2のトリガ信号」が出力されないことになる。ラインLN2〜LN6、LN21〜LN61についても同様である。
【0065】
図5に戻り、メモリスロット6は、装着されたメモリカードに格納された曲データとして例えばMIDIデータをCPU73に供給する。CPU73は、音高スイッチ部3、キーオン検出部5a、ミュート回路部78及びメモリスロット6からの信号に基づいて発光部79及び音源部77を制御する。
【0066】
発光部7の機能は、上記不図示のLED及びフレット部材35等で実現される。すなわち、CPU73の制御によりLEDが発光すると、その光は透明材で成るフレット部材35の下部から入射され、フレット部材35内を透過して主に先端部から外部に放光される。これにより、外部からみると、フレット部材35が光って見える。音源部77、D/Aコンバータ80及びサウンドシステム81は図1には図示されていない(図5参照)。サウンドシステム81はアンプ、スピーカを備える(いずれも図示せず)。音源部77は、CPU73の制御に基づきサウンドシステム81で楽音を発生させる。
【0067】
ROM71は、CPU73が実行する各種制御プログラムを格納している。RAM72は、各種データを一時的に記憶し、CPU73がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する。ナビ用APCメモリ74には、後述するAPC(オートプレイコード)データが格納されている。TCL75は、タイマ割り込み処理における割り込み時間や各種時間を計時する。オートリズムメモリ76には、後述するAR(オートリズム)データが格納されている。
【0068】
図7は、APC(オートプレイコード)データの構成の一例を示す図である。
【0069】
APCデータは、和音を構成する楽符の音高及び発音タイミングをチャネル別に時系列的に指示するものである。APCデータは、曲の進行に沿い、タイミングを示すアドレスADR1と、これに対応するコード(Chord)及び弦種とで構成され、例えば、アドレスADR1「0」には、コードとしてC(コード構成音C、E、G)が設定され、弦種としては、構成音Cについては第2、第5弦、構成音Eについては第1、第4弦、構成音Gについては第3、第6弦が夫々設定されている。ここで、第1弦は最も細い弦であり、従って、第1弦〜第6弦には、弦部材51の51f〜51aが相当する。APCデータにおけるコード構成音及び弦種は、ポインタBAR_TCLの指示に従って順次読み出される。1曲分の最後にはENDデータ(不図示)が設定されている。
【0070】
図8は、AR(オートリズム)データの構成の一例を示す図である。
【0071】
ARデータは、曲の進行に沿い2小節分で1セットとして構成され、タイミングを示すアドレスArと、これに対応するリズム楽器種類とで構成される。例えば、アドレスAr「0」には、「ハイハット;HH」、「シンバル;Ci」、「バスドラム;BD」、「タムタム;TOM」というように、リズム楽器の発音を指示するデータが設定されている。なお、アドレスAr「1」のように、対応するリズム楽器のデータが存在しないアドレスArでは、リズム楽器の発音は指示されない。ARデータにおけるリズム楽器は、ポインタTCLの指示に従って順次読み出される。
【0072】
なお、APCデータ、ARデータは、予め格納しておいてもよいが、メモリスロット6等を介して他の記憶媒体から入力するようにしてもよい。また、集団演奏教習装置等の親機から指示されるようにしてもよい。
【0073】
かかる構成において、演奏する場合は、奏者は音高スイッチ部3において押弦操作のようにして左手でフレット部材35を押し込む。フレット部材35は同時に複数押下される場合もあれば、全く押下されない場合(全弦が開放弦)もある。押下されたフレット部材35で各弦部材51毎に音高が特定される。奏者はさらに、弦入力部5において所望の弦部材51を撥弦する。撥弦の態様は通常のギターと同様でよく、撥弦された弦部材51についてキーオンイベントがあったことになる。
【0074】
次に、本実施の形態における楽音発生及び発光の制御を説明する。
【0075】
図9は、本実施の形態における楽音発生及び発光の制御のメインルーチンのフローチャートを示す図である。本処理は、CPU73により実行される。なお、本処理では、電源として電池を用いるものとして説明する。
【0076】
まず、各種変数、フラグ等を初期化し(ステップS901)、後述する図12〜図14のギター系操作子処理(ステップS902)、図10の自動演奏モード設定処理(ステップS903)、図11のスタート/ストップ処理(ステップS904)を順次実行して、次いで、パネル操作部4による音色設定及び曲選択等の処理を実行する(ステップS905)。
【0077】
次に、レベルダウン指示がされているか否かを判別する(ステップS906)。ここで、レベルダウン指示は、タッチされたCH(弦)について発生している楽音についてレベルダウン処理を行わせる指示であり、後述する図12のステップS237で設定される。ステップS906の判別の結果、レベルダウン指示がされていない場合は、前記ステップS902に戻る一方、レベルダウン指示がされている場合は、レベルダウン処理を行って(ステップS907)、前記ステップS902に戻る。
【0078】
このレベルダウン処理として、本実施の形態では、一例として、タッチされたCH(弦)について発生している楽音のレベルを、所定値(例えば、20db)だけ低下させる処理が採用されている。なお、後述するように、レベルダウン処理の態様は例示したものに限定されない。
【0079】
図10は、図9のステップS903で実行される自動演奏モード設定処理のフローチャートを示す図である。
【0080】
まず、図1に示すモード設定スイッチ41でPLAY1のオンイベントが有ったか否かを判別する(ステップS1001)。ここで、PLAY1は自動演奏モードを設定するイベントで、PLAY2は自動演奏モードを解除するイベントである。モード設定スイッチ41では、スイッチ41AがPLAY1に対応し、スイッチ41BがPLAY2に対応する。
【0081】
前記ステップS1001の判別の結果、PLAY1のオンイベントが有った場合は、自動演奏モードが設定されていることを「1」で示すモードフラグmodeを「1」に設定して(ステップS1002)、ステップS1003に進む一方、PLAY1のオンイベントがない場合は直ちにステップS1003に進む。
【0082】
ステップS1003では、モード設定スイッチ41でPLAY2のオンイベントが有ったか否かを判別する。その判別の結果、PLAY2のオンイベントが有った場合はモードフラグmodeを「0」に設定すると共に、楽音発生の禁止を「1」で示す禁止フラグINHを「0」に設定して(ステップS1004)、本処理を終了する一方、PLAY2のオンイベントがない場合は直ちに本処理を終了する。なお、以降、mode=“1”の場合はナビゲートモード、mode=“0”の場合はマニュアルモードとも称する。
【0083】
図11は、図9のステップS904で実行されるスタート/ストップ処理のフローチャートを示す図である。まず、自動演奏の実行を許可することを「1」で示す自動演奏実行フラグrunに「1−run」を入力する(ステップS101)。すなわち、スタートストップスイッチのオンイベントがある度毎に自動演奏実行フラグrunが「1」または「0」に更新、設定される。
【0084】
次に、自動演奏実行フラグrunが「1」に設定されているか否かを判別し(ステップS102)、その判別の結果、run=1である場合は、今回のスタートストップスイッチのオンイベントが自動演奏を実行するためのイベントであることを意味するので、ポインタTCL(テンポクロック)及びポインタBAR_TCLをいずれも「0」に設定して(ステップS103)、本処理を終了する一方、run=“0”である場合は、今回のスタートストップスイッチのオンイベントが自動演奏を停止するためのイベントであることを意味するので、直ちに本処理を終了する。
【0085】
図12〜図14は、図9のステップS902で実行される操作子処理のフローチャートを示す図である。まず、操作子スキャンを実行する(ステップS201)。ここでいう操作子には、音色、効果、曲選択等のための操作子は含まれない。
【0086】
次に、スイッチやセンサによるイベントが発生した(または発生中(オン中)である)か否かを判別する(ステップS202)。例えば、フレット部材35が押下されて音高スイッチ部3から音高信号が発生する場合、弦部材51が撥弦されてキーオン検出部5aから第1のトリガ信号が発生する場合、及び弦部材51に指で触れてミュート検出部5bから第2のトリガ信号が発生する場合は、いずれの場合もステップS202で「YES」と判別される。その判別の結果、スイッチやセンサによるイベント発生または発生中のいずれでもない場合は、本処理を終了する一方、スイッチやセンサによるイベント発生または発生中のいずれかである場合は、ステップS238に進む。
【0087】
ステップS238では、「レベルダウン処理有効モード」になっているか否かを判別し、その判別の結果、「レベルダウン処理有効モード」である場合は、ステップS203に進む一方、「レベルダウン処理有効モード」でない、すなわち、「レベルダウン処理無効モード」である場合は、ステップS204に進む。
【0088】
ステップS203では、第2のトリガ信号がミュート検出部5bからミュート回路部78に入力され、ミュート回路部78からタッチ信号検出(ミュート出力“1”)があったか否かを判別する。その判別の結果、タッチ信号検出がない場合は、前記ステップS204に進んで、イベント発生(発生中)したスイッチあるいはセンサの種類が、弦操作子(弦部材51)、フレットSW(フレット部材35)、その他の操作子のいずれであるかを判別する。
【0089】
その判別の結果、イベント発生(発生中)したスイッチあるいはセンサの種類がその他の操作子である場合は、その操作子に応じた「その他の処理」を実行し(ステップS205)、本処理を終了する。上述した「レベルダウン処理有効モード」、「レベルダウン処理無効モード」の設定は、この「その他の処理」で行われる。また、イベント発生(発生中)したスイッチあるいはセンサの種類がフレットSWである場合は、ステップS206に進む一方、弦操作子である場合はステップS211(図13)に進む。
【0090】
ステップS206では、ナビゲートモード(mode=“1”)またはマニュアルモード(mode=“0”)のいずれに設定されているかを判別する。その判別の結果、ナビゲートモードが設定されている場合は、発光フレット指示があるか否かを判別する(ステップS207)。例えば、休符のような場合は発光フレット指示がない。その判別の結果、発光フレット指示がある場合は禁止フラグINHを「0」に設定して(ステップS208)、本処理を終了する一方、発光フレット指示がない場合は禁止フラグINHを「1」に設定して(ステップS209)、本処理を終了する。
【0091】
一方、前記ステップS206の判別の結果、マニュアルモードが設定されている場合は、ステップS210で、対応する弦(押下されたフレット部材35に対応するもの)のCH(チャネル)(第1弦〜6弦のいずれか)の指定と、フレットの押圧から割り出された音高情報(音高スイッチ部3の出力に基づく)とを音源部77に送出し、本処理を終了する。
【0092】
図13のステップS211では、マニュアルモードであって弦操作された弦が開放弦(フレット部材35の押下がなかった弦)であるか否かを判別する。その判別の結果、マニュアルモードであって弦操作された弦が開放弦である場合は、ステップS212に進んで、操作された弦のCHの指定と音高情報とを音源部77に送出し、図14のステップS213に進む。一方、前記ステップS211の判別の結果、マニュアルモードでないかまたは弦操作された弦が開放弦でない場合は、ステップS232に進み、INH=“1”であるか否かを判別する。その判別の結果、INH=“1”である場合は本処理を終了する一方、INH=“0”である場合は、ステップS233に進む。
【0093】
ステップS233では、ナビゲートモードまたはマニュアルモードのいずれに設定されているかを判別する。その判別の結果、マニュアルモードが設定されている場合は、前記ステップS213に進む。ステップS213では、第1〜第6弦のうちどの弦からのキーオンであるかを判別する。その判別の結果、第1弦からのキーオンである場合は、当該CH(第1弦)が発音中か否かを判別し(ステップS214)、当該CH(第1弦)が発音中でない場合は、第1弦につき割り当てられた音高に対してキーオンを音源部77に送って(ステップS216)本処理を終了する一方、当該CH(第1弦)が発音中である場合は、当該CH(第1弦)を消音してから(ステップS215)、前記ステップS216の処理を実行して、本処理を終了する。
【0094】
図14の前記ステップS213の判別の結果、第2弦からのキーオンである場合は、ステップS217〜S219で、第2弦について前記ステップS214〜S216と同様の処理を実行する。これと同様に、第3、4、5、6弦からのキーオンである場合は、ステップS220〜231で、各弦についてそれぞれ前記ステップS214〜S216と同様の処理を実行する。
【0095】
一方、前記ステップS233の判別の結果、ナビゲートモードが設定されている場合は、ステップS234に進み、いずれかの弦に対して弦トリガがあったか、すなわち撥弦がされたか否かを判別する。これは、キーオン検出部5aからの第1のトリガ信号で判別され、第1のトリガ信号が出力されたとき、いずれかの弦に対して弦トリガがあったと判別される。その判別の結果、いずれかの弦に対して弦トリガがあった場合は、現在進行中のアドレスADR1が指定する全てのコード構成音の音高データとキーオンとを、CHデータ(6弦分)と共に音源部77に送出する(ステップS235)。これにより、いずれかの弦を弾くことで曲の進行に応じた発音(例えば6弦全て)がなされる。その後、本処理を終了する。一方、前記ステップS234の判別の結果、いずれの弦に対しても弦トリガがない場合は、発音することなく直ちに本処理を終了する。
【0096】
図12の前記ステップS203の判別の結果、タッチ信号検出があった場合は、棹部背面センサ103がオン(接触検出信号が出力)されているか否かを判別する(ステップS239)。その判別の結果、棹部背面センサ103がオンされていない場合は前記ステップS204に進む一方、棹部背面センサ103がオンされている場合は、ステップS236に進む。
【0097】
ステップS236では、タッチ(指等で接触)された弦(CH)をサーチする。すなわち、6弦のうちどの弦に指が触れたのかを判別する。この判別は、ミュート検出部5bからの第2のトリガ信号に基づくミュート回路部78の出力に基づいてなされる。
【0098】
続くステップS237では、タッチされたCH(弦)について発生している楽音のレベルのレベルダウン処理を指示する。上述したように、この指示を受けて、図9のステップS907でレベルダウン処理がなされる。これにより、発音中の弦に指等で触れることで、その弦についての楽音がミュートされる。その結果、そのまま再撥しなければ、指で触れなかった場合に比し、20dbだけ低いレベル間隔を保って減衰していくことになる。一方、その直後に再撥すれば、楽音レベルが一旦低下してから立ち上がることになる。これにより、消音や再撥されたときの楽音レベルの遷移が自然になる。前記ステップS237の後、本処理を終了する。
【0099】
従って、「レベルダウン処理有効モード」では、弦部材51への接触がされ(第2のトリガ信号によるミュート出力“1”有り)且つ棹部背面センサ103が接触された場合にのみ、レベルダウン指示がなされる。一方、「レベルダウン処理無効モード」では、弦部材51への接触がされたとしても、レベルダウン指示はなされない。
【0100】
図12〜図14の処理によれば、マニュアルモードのときは、撥弦された弦について、フレット部材35の押下(非押下の場合は開放弦)で規定された音高の楽音が発生する。また、ナビゲートモードで発光フレット指示があるときは、いずれかの弦を弾くことで曲の進行に合ったコード構成音の全てが発音される。さらに、「レベルダウン処理有効モード」では、発音中のいずれかの弦にタッチがあったとき、棹部背面センサ103に接触していれば、その発音中の弦についての楽音がミュートされる。
【0101】
図15は、自動演奏処理のフローチャートを示す図である。本処理は、TCL割り込みによるタイマインタラプト処理により所定時間間隔で実行される。
【0102】
まず、run=“1”であるか否かを判別し(ステップS401)、その判別の結果、run=“0”である場合は本処理を終了する一方、run=“1”である場合は、mode=“1”であるか否かを判別する(ステップS402)。その判別の結果、mode=“0”である場合はステップS409に進む一方、mode=“1”である場合は、ポインタBAR_TCL=ADR1であるか否かを判別する(ステップS403)。
【0103】
その判別の結果、ポインタBAR_TCL=ADR1でない場合は、ステップS409に進む一方、ポインタBAR_TCL=ADR1である場合は、ステップS404に進み、ポインタBAR_TCLで規定されるアドレスADR1が指すAPCデータのコード(Chord)データのコード構成音と、該構成音に対応する弦種とを読み出し可能とする。これにより、弦が適切なタイミングで撥弦されたとき、APCデータが読み出されて発音がなされる。次に、ステップS405では、アドレスADR1が指すAPCデータのコード(Chord)データのコード構成音に対応するフレット部材35(に対応するLED)を発光させる。これにより、曲の進行に従いフレット部材35が発光して光ガイドの機能を果たす。
【0104】
次に、アドレスADR1を「1」だけインクリメントして(ステップS406)、アドレスADR1が指すAPCデータがENDデータであるか否かを判別する(ステップS407)。その判別の結果、アドレスADR1が指すAPCデータがENDデータでない場合は、ステップS409に進む一方、アドレスADR1が指すAPCデータがENDデータである場合は、APCをストップ、すなわち、mode=“0”として(ステップS408)、ステップS409に進む。
【0105】
ステップS409では、ポインタTCLが小節線に達したか否かを判別する。その判別の結果、ポインタTCLが小節線に達していない場合は本処理を終了する一方、ポインタTCLが小節線に達した場合は、小節番号を示す小節BARを「1」だけインクリメントすることで処理対象の小節を1つ進めて(ステップS410)、本処理を終了する。
【0106】
本処理によれば、曲の進行に従って、フレット部材35が発光すると共に、適切なタイミングで撥弦がされたならば曲に合致したコードが発音される。
【0107】
図16は、オートリズム処理のフローチャートを示す図である。本処理は、TCL割り込みによるタイマインタラプト処理により所定時間間隔で実行される。
【0108】
まず、run=“1”であるか否かを判別し(ステップS501)、その判別の結果、run=“0”である場合は本処理を終了する一方、run=“1”である場合は、ポインタTCLで規定されるアドレスArが指すリズムパターンを音源部77に送出する(ステップS502)。なお、アドレスArが指すリズム楽器が1つも存在しない場合は、このTCL値ではリズム音がでないことになる。
【0109】
次に、nTCL毎(例えば、24TCL毎、すなわち4分音符毎)に、表示部40におけるテンポ表示を更新し(ステップS503)、ポインタTCLを「1」だけインクリメントして(ステップS504)、ポインタTCLが2小節線目に達したか否かを判別する(ステップS505)。その判別の結果、ポインタTCLが2小節線目に達していない場合は本処理を終了する一方、ポインタTCLが2小節線目に達した場合は、ポインタTCLを「0」に設定して(ステップS506)、本処理を終了する。
【0110】
本処理によれば、曲の進行に従って、リズム楽器の楽音が発生する。
【0111】
図12〜図16の処理の結果、例えば次のように楽音が発生する。
【0112】
図17は、本電子弦楽器のエンベロープの一例を示す図である。同図(a)はエンベロープ曲線、同図(b)は音源部77に送出されているコード(Chord)を示す。例えば、同図(b)に示すコード「G7」が指示されているタイミングでいずれかの弦部材51を撥弦すると、「G7」のコード構成音が発音され、コード「C」が指示されているタイミングで撥弦すると、「C」のコード構成音が発音される。
【0113】
本実施の形態では、同図(a)に示すように、撥弦すると、通常のギターと同様に、曲線E1のように時点t1から立ち上がり、そのまま再撥することなく放置すれば、線E3のように徐々に減衰していく。この場合は、「G7」のコードのまま発音が継続される。
【0114】
ところが、再撥しようとして時点t2において指で弦部材51に触れると、楽音ミュートによって、タッチされた弦の楽音のみ20dbだけ楽音レベルが低下する(図12のステップS203、S236、S237参照)。その際、指で触れたが実際には再撥弦しなかった場合は、線E4のように線E3とは20dbのレベル間隔を保ったまま減衰していくことになる。この場合は、ギターでいえば、発音している弦を指で消音したときと同様の態様となり、消音時の楽音として自然なものとなる。つまり、本実施の形態では、発音では、いずれかの弦の撥弦にてChord構成音のすべてが発音され、消音では、Chord構成音のうちタッチされた弦に対応する音の楽音レベルがのみが20dbだけダウンされる。
【0115】
一方、時点t2において指で弦部材51に触れた後、時点t3において実際に再撥した場合は、曲線E2のように時点t3から立ち上がる。本実施の形態では、Chord構成音のすべての弦のタッチ&ミュートを演奏者にさせるように指導するような仕様となっている。すなわち、いずれか1弦のみのタッチ&ミュートをさせたとしたら、他のChord構成音は線E3のまま推移する。しかし、全弦タッチ&ミュートでは、全部線E4のようになる。この違いを耳で聞くことにより、右利きの場合の右手の練習となり上達が期待できる。また、意図的に上記奏法で2弦をタッチ&ミュートさせることにより、メロディラインをアルアイレしたり、伴奏ラインをアポヤンド風に演奏したり(正確には異なっている)することもできる。
【0116】
以上の仕様による楽音レベルの遷移の態様は、ギターでいえば、発音している弦を再撥したときと同様の態様となり、再撥時の楽音として自然なものとなる。このように、弦部材51への指の接触時に楽音ミュートを行うことにより、再撥時や消音時を含むあらゆる演奏態様においてアコースティックギターの楽音を再現することができる。
【0117】
本実施の形態によれば、撥弦すると、マニュアルモードでは撥弦された弦につき楽音が発生し、ナビゲートモードでは曲の進行に合った楽音(コード)が発生する。そして、「レベルダウン処理有効モード」で、棹部背面センサ103に接触した状態で楽音発生が継続している弦を指等で触れると、その弦に対応する楽音がレベルダウン処理によりミュートされ、楽音レベルが低下する。従って、通常のギターにおいて頻繁になされるように、弦振動が減衰し終わらないうちに再撥弦がされるような演奏態様においても、再撥のために弦に指で触れたとき、楽音が一旦ミュートされてから、次の撥弦による楽音の立ち上がりを迎えることになる。その結果、発生される楽音としては、弦楽器らしく聞こえるようになり、ギター等における楽音に近いものが再現されることになる。よって、再撥時において自然な楽音を発生させることができる。
【0118】
また、発音中の弦に指で触れた場合は楽音が所定値(20db)だけ低下し、その後そのレベル間隔を保って減衰していくので、実際には再撥がなされないような消音時にも、自然な減衰を与えることができる。よって、消音時の楽音も自然なものとすることができる。
【0119】
また、自動演奏において、和音が発音されている場合に、一部の弦について指等で接触したときは、その弦に対応する和音構成音のみがミュートされるようにすることで、伴奏にメリハリを付けることができる。例えば、和音構成音の同時発音中に下側の複数の和音構成音に対応する弦部材に指等でタッチすれば、メロディ部(カウンタメロディのようなもの)が引き立つような演奏をリアルタイムでできる。逆に、和音構成音の同時発音中に上側の(複数の)和音構成音に対応する弦部材に指等でタッチすれば、ベース演奏部が引き立ち、弦部材へのタッチの態様によって、ウォーキングベースのような演奏をリアルタイムでできる。このように、演奏をリアルタイムでアレンジすることができる。
【0120】
本実施の形態ではまた、レベルダウン処理無効モードでは、第2のトリガ信号または接触検出信号が出力されたか否かにかかわらず、レベルダウン処理が禁止されるようにしたので、例えば、どの弦を弾いても自動演奏データに従って曲が進行していくようなモード時に、右きき演奏者が左手で弦を操作すると共に右手で楽音の効果操作子を操作するような、特殊な奏法を行う場合のように、ミュートを強制的に禁止させたい場合等に、弦部材51の接触の有無にかかわらずレベルダウン処理を禁止可能にでき、利用範囲を拡大して使い勝手を向上することができる。
【0121】
また、「レベルダウン処理有効モード」では、棹部背面センサ103を介する人体通電(人体アース)によって弦部材51への接触が確実に検出されるようにしたので、ハムノイズのみによって検出する場合に比し、検出精度が高い。
【0122】
なお、本実施の形態において、レベルダウン処理の態様は例示したものに限定されない。例えば、上記のように楽音レベルを低下させる代わりに、楽音発生を完全に停止させたり(消音)、あるいは自然減衰より早く減衰(急速減衰)させたりしてもよい。これらいずれの態様で制御するかは任意に設定可能に構成してもよい。
【0123】
このうち、楽音発生の完全停止は、リリースタイムを設けることなく消音することである。また、急速減衰は、例えば、図9のステップS907において、毎回のループ毎に前回の音量値に対して「1」より小さい所定値を乗算して今回の音量値とし、これを繰り返すことで減衰させるものであり、所定値の設定により減衰特性を任意に制御することが可能である。なお、楽音レベルの低下処理においても、所定値は20dbに限定されず、任意に設定することで所望の減衰特性が得られる。
【0124】
なお、本実施の形態では、弦部材51は、ギターに倣って棹部2の長手方向に延設されたが、弦部材51の延設方向はこれに限定されるものではない。また、棹部背面センサ103の配置位置、サイズについても、例示したものに限定されず、通常の演奏時に人体が触れやすい位置及びサイズであれば、他の構成を採用してもよい。
【0125】
なお、本実施の形態において、いずれかの弦に触れて第2のトリガ信号が発生したとき、当該弦についてのみ楽音をミュートするようにしたが(図12のステップS237)、これに限るものでなく、少なくとも当該弦について楽音ミュートをすればよく、例えば、次のようにして全弦についてミュートするようにしてもよい。
【0126】
図18は、図12のステップS236、S237に代わる他の処理の一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【0127】
図12のステップS236、S237に代えて、図18に示すステップS701、S702の処理を追加する。すなわち、前記ステップS203の判別の結果、タッチ信号検出があった場合は、mode=“1”であるか否かを判別する(ステップS701)。その判別の結果、mode=“0”である場合は、本処理を終了する一方、mode=“1”である場合は、ステップS702に進み、全ての弦について、発生している楽音のレベルを、所定値(例えば、20db)だけ低下させる。これにより、いずれかの弦に指で触れることで、楽音発生中の全CH(弦)についての楽音がミュートされる。
【0128】
前記ステップS236、S237のように処理した場合は、各弦毎にギター等における楽音に近いものを再現することができ、再撥時の楽音を一層自然なものにすることができるが、前記ステップS701、S702のように処理した場合は、例えば、練習用等に利用範囲を広げることができる。特に本実施の形態では、初心者向けの練習用として、いずれかの弦について撥弦がされた場合は全コード構成音が発生するようにしたので(図13のステップS234、S235)、図18に示す処理を採用することが適している場合が少なくない。また、これらのいずれを採用するかは、モード設定等において選択できるようにするのが望ましい。
【0129】
なお、本実施の形態においては、ナビゲートモードでは、曲の進行に従って、フレット部材35の発光及びリズム楽器の発音が自動的になされるようにする一方、ギター音は、撥弦がなされない限り発音されないようにした。つまり、曲が奏者の撥弦を待ってくれない態様としたが、これに限るものでなく、適切な弦が撥弦されるのを待って曲が歩進するように構成してもよい。
【0130】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態を図1〜図4、図6、図19を用いて説明する。第1の実施の形態ではCPUによる楽音制御を説明したが、本第2の実施の形態では、CPUを用いない楽音の発生手法として説明する。電子弦楽器の外観、弦入力部5の構成等は第1の実施の形態と同様であり、図1〜図4の通りである。ミュート回路部78(ミュート手段)の構成も第1の実施の形態と同様であり、図6の通りである。
【0131】
図19は、本第2の実施の形態に係る電子弦楽器の構成を示すブロック図である。本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の構成要素には同一符号を用いる。本電子弦楽器では、メモリスロット6及び音高スイッチ部3のほか、弦入力部5のキーオン検出部5a及びミュート検出部5bも、ミュート回路部78に接続されている。ミュート回路部78、音源部77(楽音発生手段)、D/Aコンバータ80、サウンドシステム(SS)81は直列に接続されている。
【0132】
なお、発光処理の構成は省略するが、マニュアルモードでは、音高スイッチ部3で押下されたフレット部材35に対応するLEDが発光するように構成されている。また、自動演奏モードやナビゲートモードでは、メモリスロット6から入力された曲データ乃至格納されているAPCデータに基づいてLEDが順次発光するように構成されている。
【0133】
本実施の形態における楽音発生処理をマニュアルモードを例にとって説明する。なお、撥弦による楽音発生及び消音は各弦部材51毎に行われるものとする。
【0134】
奏者がフレット部材35を押下すると、押下されたフレット部材35を示す音高信号が音高スイッチ部3からミュート回路部78に入力される。一方、奏者が弦部材51を撥弦すると、第1のトリガ信号がキーオン検出部5aからミュート回路部78に入力される。そして、上記入力された音高信号及び第1のトリガ信号が音源部77に入力され、音高信号が示す音高にて、第1のトリガ信号が示すタイミングで楽音を発生させるように、音源部77がD/Aコンバータ80を介してサウンドシステム(SS)81に指示信号を送る。
【0135】
一方、このようにして楽音が発生している弦部材51に対して、再撥や消音のために奏者が指で触れると、第2のトリガ信号がミュート検出部5bからミュート回路部78に入力される。すると、ミュート回路部78は、当該弦部材51について現在発音中の楽音をミュートする。すなわち、音源部77に送る楽音指示信号における楽音のレベルを所定値(例えば、20db)だけ低下させる。その結果、そのまま再撥しなければ、指で触れなかった場合に比し、20dbだけ低いレベル間隔を保って減衰していくことになる。一方、その直後に再撥すれば、楽音レベルが一旦低下してから立ち上がることになる。これにより、消音や再撥されたときの楽音レベルの遷移が自然になる。
【0136】
本実施の形態によれば、自然な楽音を発生させることに関して第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。また、CPUによる制御が不要になるので、構成を簡単にすることができる。
【0137】
なお、撥弦による楽音発生及び消音は各弦部材51毎に行われるものとしたが、ナビゲートモードでは、第1の実施の形態と同様に、1弦の撥弦で全コード構成音が発生するようにし、なおかつ1弦のタッチにより当該弦または全弦をミュートするようにしてもよい。
【0138】
なお、第2の実施の形態において、音源部77とミュート回路部78とを入れ替え、接続関係を逆にしてもよい。その場合は、ミュート回路部78は、第2のトリガ信号を音源部77を介して受けることになるが、そのときは、音源部77から出力される楽音信号についてミュート処理を行うようにすればよい。
【0139】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態を図1〜図4、図6、図20、図21を用いて説明する。第1の実施の形態ではCPUによる楽音制御を説明したが、本第3の実施の形態では、CPUを用いない楽音の発生手法として説明する。電子弦楽器の外観、弦入力部5の構成等は第1の実施の形態と同様であり、図1〜図4の通りである。ミュート回路部78(ミュート手段の一部)の構成も第1の実施の形態と同様であり、図6の通りである。
【0140】
図20は、本第3の実施の形態に係る電子弦楽器の構成を示すブロック図である。本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の構成要素には同一符号を用いる。本電子弦楽器では、メモリスロット6及び音高スイッチ部3は音源部77に接続されている。また、本電子弦楽器は弁別回路部90(ミュート手段の一部)を備える。弦入力部5のキーオン検出部5a及びミュート検出部5bは、弁別回路部90に接続されている。弁別回路部90は音源部77及びミュート回路部78に接続されている。音源部77、ミュート回路部78、D/Aコンバータ80、サウンドシステム(SS)81は直列に接続されている。なお、発光処理の構成は第2の実施の形態と同様であり説明を省略する。
【0141】
図21は、弁別回路部90の機能を示す概念図である。弁別回路部90は一種のレベルコンパレータであり、信号の種類(例えば、振幅の大きさ)に基づいて出力を発生する。
【0142】
キーオン検出部5aから入力される第1のトリガ信号とミュート検出部5bから入力される第2のトリガ信号とが弁別回路部90に入力され得るが、通常、第1のトリガ信号は撥弦によるものゆえ大きい信号であり、第2のトリガ信号は消音や再撥前の弦への接触によるものゆえ第1のトリガ信号よりも小さい信号である。図21に示すように、弁別回路部90は、第1のトリガ信号が入力されたときは、音源部77に対して音源指示信号を出力する一方、第2のトリガ信号が入力されたときは、ミュート回路部78に対してミュートを指示する信号を出力する。
【0143】
本実施の形態における楽音発生処理をマニュアルモードを例にとって説明する。なお、撥弦による楽音発生及び消音は各弦部材51毎に行われるものとする。
【0144】
奏者がフレット部材35を押下すると、押下されたフレット部材35を示す音高信号が音高スイッチ部3から音源部77に入力される。一方、奏者が弦部材51を撥弦すると、第1のトリガ信号がキーオン検出部5aから弁別回路部90に入力され、弁別回路部90から音源指示信号が音源部77に入力される。そして、上記入力された音高信号及び音源指示信号が音源部77に入力され、音高信号が示す音高にて、音源指示信号が示すタイミングで楽音を発生させるように、音源部77がミュート回路部78、D/Aコンバータ80を介してサウンドシステム(SS)81に指示信号を送る。
【0145】
一方、このようにして楽音が発生している弦部材51に対して、再撥や消音のために奏者が指で触れると、第2のトリガ信号がミュート検出部5bから弁別回路部90に入力される。すると、弁別回路部90はミュートを指示する信号をミュート回路部78に送る。すると、ミュート回路部78は、音源部77から出力された信号に対してミュート処理を施す。すなわち、ミュート回路部78は、当該弦部材51について現在発音中の楽音をミュートするべく、音源部77の出力信号における楽音のレベルを所定値(例えば、20db)だけ低下させる。その結果、第2の実施の形態と同様に、消音や再撥されたときの楽音レベルの遷移が自然になる。
【0146】
本実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0147】
なお、本実施の形態では、弁別回路部90は、キーオン検出部5aから入力される第1のトリガ信号とミュート検出部5bから入力される第2のトリガ信号とを判別するものとしたが、これに限るものではない。例えば、ミュート検出部5bを削除し、キーオン検出部5aからの出力にのみ基づいてそれが「撥弦操作」なのか「消音または再撥前のタッチ」なのかを判別するようにして、判別結果に応じて音源部77またはミュート回路部78に出力を送るように構成してもよい。その場合は、撥弦と再撥前のタッチとでは、出力される信号の波形や大きさ等にかなり差異があるので、この差異を手掛かりに判別する。例えば、撥弦時の信号は通常大きいので、キーオン検出部5aからの第1のトリガ信号の振幅を中心として判別し、さらにベロシティや周波数等をも総合的に考慮して、撥弦操作であるか否かを判別するようにすればよい。
【0148】
なお、上記各実施の形態において、ミュート処理する場合、楽音レベルを所定値だけ低下させるようにしたが、低下させる態様はこれに限るものでなく、通常のギターにおいて指接触時に生じるエンベロープ曲線の変化を擬似的に再現できるような態様で楽音レベルの時間的変化を設定してもよい。また、構成を簡単にするためには、ミュートにより発音を一律に完全停止させるようにしてもよい。
【0149】
なお、第1の実施の形態において、本発明を達成するためのソフトウェアによって表される制御プログラムを記憶した記憶媒体を、電子弦楽器のCPUに読み出すことによって同様の効果を奏するようにしてもよく、その場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、プログラムコードを電送媒体(例えば、通信I/F114)等を介して供給してもよく、その場合は、プログラムコード自体が本発明を構成することになる。なお、これらの場合の記憶媒体としては、ROMのほか、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。
【0155】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る電子弦楽器によれば、再撥時等に自然な楽音を発生させることができると共に、接触があった弦に対応する音のみをミュートして伴奏にメリハリを付けることができる。
【0156】
請求項2、3に係る電子弦楽器によれば、再撥時等に自然な楽音を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る電子弦楽器の平面図(同図(a))、及び部分底面図(同図(b))である。
【図2】 弦入力部を胴体部から取り外し、裏側からみた底面図である。
【図3】 図2のA−A線に沿う部分断面図である。
【図4】 センサ体の分解斜視図である。
【図5】 楽音発生及び発光の制御を実現するための機能構成の概略を示すブロック図である。
【図6】 ミュート回路部及び棹部背面センサを含む楽音減衰制御機構部の構成を模式的に示す図である。
【図7】 APC(オートプレイコード)データの構成の一例を示す図である。
【図8】 AR(オートリズム)データの構成の一例を示す図である。
【図9】 楽音発生及び発光の制御のメインルーチンのフローチャートを示す図である。
【図10】 図9のステップS903で実行される自動演奏モード設定処理のフローチャートを示す図である。
【図11】 図9のステップS904で実行されるスタート/ストップ処理のフローチャートを示す図である。
【図12】 図9のステップS902で実行される操作子処理のフローチャートを示す図である。
【図13】 図9のステップS902で実行される操作子処理の図12の続きのフローチャートを示す図である。
【図14】 図9のステップS902で実行される操作子処理の図13の続きのフローチャートを示す図である。
【図15】 自動演奏処理のフローチャートを示す図である。
【図16】 オートリズム処理のフローチャートを示す図である。
【図17】 エンベロープの一例を示す図である。
【図18】 図12のステップS236、S237に代わる他の処理の一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【図19】 第2の実施の形態に係る電子弦楽器の構成を示すブロック図である。
【図20】 第3の実施の形態に係る電子弦楽器の構成を示すブロック図である。
【図21】 弁別回路部の機能を示す概念図である。
【符号の説明】
1 胴体部(楽器本体)、 3 音高スイッチ部(音高決定手段)、 4 パネル操作部、 5 弦入力部、 6 メモリスロット、 5a キーオン検出部(第1トリガ発生手段)、 5b ミュート検出部(第2トリガ発生手段)、 35 フレット部材、 51 弦部材、 73 CPU(ミュート手段)、 74 ナビ用APCメモリ(演奏データ指示手段)、 77 音源部(楽音発生手段)、 78 ミュート回路部(ミュート手段(第2の実施の形態)、ミュート手段の一部(第3の実施の形態))、 90 弁別回路部(ミュート手段の一部)、 103 棹部背面センサ(被接触部、接触検出信号出力手段の一部)、 LN7 ライン(接触検出信号出力手段の一部)、 SWm スイッチ
Claims (3)
- 複数の弦部材を備え、前記各弦部材が複数の発音チャネルに個々に対応する電子弦楽器において、
音高とアドレスとが対応付けられた発音指示データから成る演奏データに基づいて、アドレスの進行に従って音高及び発音タイミングを発音チャネル別に時系列的に指示する演奏データ指示手段(74)と、
前記演奏データ指示手段により指示された音高及び発音タイミングに基づいて楽音を発生させる楽音発生手段(77)と、
ミュート手段(73)とを備え、
前記楽音発生手段は、前記演奏データ指示手段により、同一アドレスの発音指示データに基づき複数の発音チャネルについて同時に音高及び発音タイミングが指示されたときに、該指示された発音タイミングを有するすべての音高の楽音をそれぞれ対応する発音チャネルから発音させると共に、前記ミュート手段は、発音中の発音チャネルに対応する弦部材への接触があったときは、前記発音中の楽音のうち接触があった弦部材に対応する音高の楽音のみをミュートすることを特徴とする電子弦楽器。 - 棹部に設けられ音高を決定するための音高決定手段と、
所定方向に沿って延び、前記所定方向に直交する方向に移動自在に楽器本体に取り付けられた弦部材と、
前記棹部に設けられた被接触部と、
前記弦部材の移動を検出することで、撥弦動作を示す第1のトリガ信号を出力する第1トリガ発生手段と、
前記音高決定手段により決定された音高及び前記第1トリガ発生手段により出力された第1のトリガ信号に基づいて、楽音を発生する楽音発生手段とを備えた電子弦楽器であって、
前記弦部材への接触を検出することで、前記第1のトリガ信号とは異なる第2のトリガ信号を出力する第2トリガ発生手段と、
前記被接触部への接触を検出することで、前記第1、第2のトリガ信号とは異なる接触検出信号を出力する接触検出信号出力手段(103、LN7)と、
前記第2トリガ発生手段により出力された第2のトリガ信号及び前記接触検出信号出力手段により出力された接触検出信号に基づいて、前記決定された音高及び前記出力された第1のトリガ信号に基づき前記楽音発生手段により発生された楽音をミュートするミュート手段とを備えたことを特徴とする電子弦楽器。 - 棹部に設けられ音高を決定するための音高決定手段と、
所定方向に沿って延び、前記所定方向に直交する方向に移動自在に楽器本体に取り付けられた弦部材と、
前記棹部に設けられた被接触部と、
前記弦部材の移動を検出する弦移動検出手段と、
前記音高決定手段により決定された音高及び前記弦移動検出手段による検出結果に基づいて、楽音を発生する楽音発生手段とを備えた電子弦楽器であって、
前記弦部材への接触を検出する弦接触検出手段と、
前記被接触部への接触を検出する被接触部接触検出手段と、
前記弦接触検出手段による検出結果及び前記被接触部接触検出手段による検出結果に基づいて、前記決定された音高及び前記弦移動検出手段による検出結果に基づき前記楽音発生手段により発生された楽音をミュートするミュート手段とを備えたことを特徴とする電子弦楽器。
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