JPH0738954Y2 - 電子弦楽器 - Google Patents

電子弦楽器

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JPH0738954Y2
JPH0738954Y2 JP6031289U JP6031289U JPH0738954Y2 JP H0738954 Y2 JPH0738954 Y2 JP H0738954Y2 JP 6031289 U JP6031289 U JP 6031289U JP 6031289 U JP6031289 U JP 6031289U JP H0738954 Y2 JPH0738954 Y2 JP H0738954Y2
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直明 松本
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【考案の詳細な説明】 [考案の技術分野] 本考案は電子弦楽器(例えばギターシンセサイザ)に関
する。
[考案の背景] 全体がギター形状を成し、その胴部に複数の弦を張設
し、各弦に関連して、弦のトリガー(弦操作の開始)を
感知する弦トリガースイッチを設け、ネックのフィンガ
ーボード上に上記各弦に対するフレット操作位置を感知
するフレット状態感知手段(例えば、フィンガーボード
上にマトリクス状に配設された多数のオンオフタイプの
フレットスイッチ、あるいは、タブレットによる座標検
出タイプまたは各弦ごとの抵抗値検出タイプのフレット
スイッチ、あるいはフィンガーボード上に導電性の弦を
張って、弦に電流を流し、各弦押下位置にフレット接点
を設けたタイプのフレットスイッチなど)を配設した構
造をもち、弦トリガー検出スイッチにより上記弦のトリ
ガーが感知された際、上記フレット状態感知手段の感知
しているフレット操作位置に対応する音高で楽音を発音
開始させるタイプの電子弦楽器は知られ、あるいは提案
されている(例えば米国特許第4,336,734号、本件出願
人の提案に係る実願昭62-8588号、特公表昭60-501276
号)。
しかし、この種の電子弦楽器の場合、トリガーされた弦
の楽音が鳴っている間にフレット操作位置を変更して
も、音源側でこれを受け付けないようになっており、1
回のピッキングに付き1つの楽音が鳴るという機能に限
られている。したがって、演奏形態が非常に制約されて
しまいアコースティックギターやエレキギターなどで見
られるような奏法からはほど遠いものであった。
キーボード式の電子楽器における技術を転用すれば、フ
レット操作位置が変わるたびに、発音中の音を消音し、
変更されたフレット位置の音高で新たに楽音を発音開始
させることも考えられないわけではない。
しかし、このような構成では、右手で弦をピッキングし
た後、左手の指で、フレット操作位置を順次変えていく
といったギターの基本的奏法の1つ(例えばスライディ
ング奏法)によって生じるなめらかな演奏効果をシミュ
レーションすることはできない(第1のシミュレーショ
ン課題)。
また、アコースティックギター等においては、スライデ
ィング奏法などは別に、複数の弦を使用してメロディな
どを演奏することがごく普通に行われる。このような場
合、左手の方で、ある弦のあるフレットを押さえては、
右手でその弦をピッキングし、続いて、左手の指を別の
弦に移し、その別の弦を右手でピッキングするといった
操作を行うことになる。そして、左手の指をある弦から
別の弦に移す過程においては、当然のことながら、その
左手の指はある弦から離れることになり、その弦はいわ
ゆる開放弦状態に遷移する。この開放弦状態への遷移に
よって、多くの場合に引き起こされる現象は弦振動の減
少であり、聴覚的には消音として知覚される。つまり、
メロディ演奏などにおいて、左手の指をある弦からは別
の弦に押し替えても、前の弦の開放弦音高は目立たない
わけである。
したがって、このような基本的現象を電子的にシミュレ
ートすることが第2のシミュレーション課題である。
しかしながら、ここに困難な問題がさらに残されてい
る。それは、開放弦状態への遷移によって「常に」消音
として知覚されるようなレベルの弦振動減少が引き起こ
されるとは限らないということである。例えば、第1フ
レットから開放弦に移る場合などは、第1フレットの音
高に続いて開放弦の音高が知覚されることが多い(もっ
とも、左手の指を弦から離した直後に、再度弦を押し直
したり(消音フィンガリング)、右手の指で弦に軽く触
れたりすれば、弦振動は指によって吸収され、消音とし
て知覚される)。要するに、第1のシミュレーション課
題と第2のシミュレーション課題とはここにおいて矛盾
をきたすことになる。
この矛盾の根本的な解決の1つは、弦振動を忠実に電気
的信号に変換し、この変換出力に含まれ得るもろもろの
スプリアスあるいはノイズ成分を除去しつつ、リアルタ
イムで真正の弦振動の挙動を電子的に追跡し、音源への
適切な制御を行うことのできる能力を電子弦楽器に組み
込むことであるかも知れない。しかしながら、このよう
なアプローチは目下のところ実現困難であり、実現可能
になるにしても非常に高価になることが予想される。
[考案の目的] したがって、この考案の目的は伝統的な弦楽器(特にギ
ター風の弦楽器)の演奏形態と同様な演奏形態が可能な
電子弦楽器を提供することであり、具体的には、上述し
たような第1のシミュレーション課題と第2のシミュレ
ーション課題とを解決し、しかも、両課題間の矛盾を比
較的簡単な構成で解決できる電子弦楽器を提供すること
である。
[考案の要点] この考案は、上記の目的を達成するため、フィンガーボ
ードに対してなされたフィンガリング操作位置を検出す
るフィンガリング操作位置検出手段と、このフィンガリ
ング操作位置検出手段により検出されたフィンガリング
操作位置に対応する音高を指定する音高指定手段と、楽
音発生指示操作を検出する楽音発生指示操作検出手段
と、前記楽音発生指示操作検出手段が楽音発生指示操作
を検出した場合、前記音高指定手段により指定された音
高の楽音の発生を指示する楽音発生指示手段と、第1の
モード及び第2のモードのいずれか一方を指定するモー
ド切替手段と、前記楽音発生指示手段の指示による前記
楽音発生中に、前記フィンガリング操作位置検出手段に
よりフィンガリング操作位置が検出されなくなった時、
前記モード切替手段により第1のモードが指定されてい
る場合には前記発生中の楽音の消音を指示すると共に、
前記モード切替手段により第2のモードが指定されてい
る場合には前記音高指定手段により指定された前記発生
中の楽音の音高を所定の音高に変更するように指示する
制御手段とを有するようにしたことを要点とする。
[考案の作用、展開] この考案の作用例を第1図を参照して説明する。
同図において、(イ)から(ハ)は音高(周波数)変更
機能に関するものであり、(ニ)から(ハ)は開放弦消
音機能に関するものであり、(ト)は両機能の調整を図
る選択機能に関するものである。まず、第1図(イ)に
示すように、いずれかの弦がピッキングされ、弦トリガ
ースイッチがオンして弦のトリガーを検出したとする。
この弦トリガースイッチのオンを合図に楽音の発音が開
始されるわけであるが、どの音高で発音させるか決める
ためにトリガーされた弦のフレット操作位置が調べられ
る。ここでは同図(ロ)に示すように、このトリガーさ
れた弦のフレット操作位置を感知するフレット状態感知
手段ないしフレットスイッチは、A音高を指定する状態
を示している。したがって、トリガーされた弦の楽音と
して、A音高の楽音の発音開始が音源(図示せず)に対
して指示され、同図(ハ)に示すように、その音源内に
おいて、A音高の周波数をもつ楽音波形が生成される。
次に同図(ロ)に示すように、トリガーされた弦の楽音
が鳴っている間に、その弦に属する他のフレット位置が
押され、B音高を指定する状態に変化したとする。これ
に対し、楽音制御手段は、現在発音中の弦の楽音を消音
することなくその音高をB音高に変更する制御を音源に
対して行う。この結果、同図(ハ)に示すように、音源
からは、単に周波数のみが、B音高に対応する周波数に
変更された楽音波形が発生することになる。
このように、本考案の場合、一度、ピッキングにより発
音開始した弦の楽音は、その後のフレット操作位置変更
によって消音されることはなく、また、新たなフレット
位置の操作によって新たな発音が開始されることもな
く、ただ、フレット操作位置の変更に従って、楽音の周
波数ないしピッチが変化していくだけである。したがっ
て、ピッキングによる発音開始時のアタックを除けば、
後はアタックのつかないなめらかなフレーズを演奏する
ことができ、伝統的なギターなどでなされるのと同様の
演奏操作で同様の演奏効果を得ることができる。以上
が、本考案の特徴の1つである音高変更機能である。
次に、開放弦消音機能について説明する。いま、第1図
(ニ)において、いずれかの弦がピッキングされ、弦ト
リガースイッチがオンして弦のトリガーを検出したとす
る。この弦トリガースイッチのオンを合図に楽音の発音
が開始されるわけであるが、どの音高で発音させるか決
めるためにトリガーされた弦のフレット操作位置が調べ
られる。ここでは同図(ホ)に示すように、このトリガ
ーされた弦に係るいずれかのフレットスイッチがオンし
ている。いま、オンしているフレットスイッチのフレッ
ト位置がA音高に対応しているとすると、このA音高に
対応するフレット操作位置がフレット状態感知手段によ
り感知されていることになる。したがって、トリガーさ
れた弦の楽音として、A音高の楽音の発音開始が音源
(図示せず)に対して指示され、同図(ヘ)に示すよう
に、その音源内において、A音高の周波数をもつ楽音波
形が生成される。
次に同図(ホ)に示すように、トリガーされた弦の楽音
が鳴っている間に、その弦に属するすべてのフレット位
置が開放状態(いわゆる開放弦状態)に変化したとす
る。つまり、いままで押さえていたフレットを離したわ
けである。
ここにおいて、開放弦消音手段は、この開放弦状態への
変化を合図に、この発音中の楽音を消音する制御を音源
に対して行う。この結果、同図(ヘ)に示すように、音
源から出力される楽音波形は減衰され、消音が行われ
る。
このように、本考案の場合、一度、ピッキング(弦トリ
ガー)により発音開始した弦の楽音は、その後、フレッ
ト状態が開放弦状態に変化すると、その時点から減衰を
受けて消音される。
以上がこの考案のもう1つの特徴である開放弦消音機能
である。
ところで、第1図(イ)〜(ハ)で述べたフレット状態
の変化を条件とする音高(周波数)変更機能と、第1図
(ニ)〜(ヘ)で述べた開放弦状態への変化を条件とす
る開放弦消音機能とは、音高変更の条件のなかに開放弦
状態への変化が含まれない場合には、完全に独立に機能
し得る。しかし、開放弦状態への変化も音高変更の条件
(フレット状態の変化の1つ)とする場合には、この変
化に限り、音高変更機能と消音機能との間において競合
が発生する。一方、演奏者にしてみれば、開放弦の状態
に変化したときの楽音の応答の態様を演奏の状況によっ
て変化させることができれば非常に都合がよい。すなわ
ち、ある状況ではフィンガリング操作位置を開放弦操作
位置に変化したときに、それに応答して、現在発生中の
楽音が消音し、別の状況ではフィンガリング操作位置が
同じく開放弦操作位置に変化したときに、現在発生中の
楽音の音高が開放弦操作位置に対応する音高に切り替わ
るようであれば演奏者の種々の演奏要求に応えることが
できる。
このような要求を満足させるため、本考案では、演奏者
が適宜操作可能なモード切換手段を構成するモード切換
スイッチ100を楽器本体に設けている。そして、このモ
ード切換スイッチにより、第1のモードが指定されてい
るときには、開放弦操作位置状態への変化時に、選択手
段は、上述した開放弦消音機能300と音高変更機能200の
なかから、消音機能300の方を選択する。この結果、発
生中の楽音が、ただちに、消音されることになる。一
方、モード切換スイッチ100により第2のモードが指定
されているときには、開放弦操作位置状態への変化に対
し、選択手段は開放弦消音機能300と音高変更機能200の
なかから、音高変更機能200の方を優先的に選択する。
この結果、発生中の楽音は開放弦操作位置に対応した音
高に切り替えられることになる。以上が本考案のさらに
別の特徴(選択機能)である。
以上の諸特徴を備える本考案の電子弦楽器によれば、所
定のフィンガリング操作位置から開放弦操作位置状態に
移った場合に、開放弦操作位置への移行のタイミングか
ら現在発音中の楽音を急速減衰させるのか、あるいは、
開放弦操作位置への移行のタイミングから開放弦操作位
置に対応した音高に音高変更させるかを、演奏者の意図
に従って任意に決めることができる。
[実施例] 以下、図面を参照してこの考案の一実施例を説明する。
〈楽器本体〉 本実施例に係る電子弦楽器の本体を第2図に示す。図示
のように、弦楽器本体は胴部1とネック2とヘッド3と
から成るギターの形状を有し、その長さ方向には弦楽器
演奏用の複数の弦4が張られている。また、胴部1に
は、各種のパラメータを設定するためのパラメータ設定
スイッチ5として、音色を選択するための音色セレクト
スイッチ群5a、ミュートスイッチ5b、離弦時モード切換
スイッチ5cなどが配設されている。また、リズムのマニ
ュアル演奏の操作子として、リズムパッドスイッチ群6
が配設されている。なお、SPは演奏された楽音を放音す
るためのスピーカである。
詳細には、上記弦4はその一端がヘッド3に設けられた
ペッグ7に調節可能に支持され、フィンガーボード8上
を延び、胴体部1の右方部にある弦トリガースイッチ収
納ケース11内に他端が固定されている。上記フィンガー
ボード8には音高指定用のフレットスイッチ群FSWがマ
トリクス上に設けられており、フレット12間の弦4の上
を押圧することにより、対応するフレットスイッチFSW
がオンするようになっている。フレットスイッチFSWの
詳細については後述する。
一方、ケース11内には弦トリガースイッチTSWが収納さ
れていて、この弦トリガースイッチTSWに連結されてい
る弦4をはじく、つまびく、といった操作を行うことに
より、弦トリガースイッチTSWがオンし、これにより、
楽音が発音開始されるようになっている。弦トリガース
イッチTSWの詳細については後述する。
〈フレットスイッチ〉 フレットスイッチFSWの構成例を第3図に示す。図示の
ように、ネック2上面に形成された凹部2a内に、プリン
ト基板13とゴムシート14がはめ込まれて固定されてい
る。ゴムシート14はプリント基板13の上に積層接着さ
れ、ゴムシート14の両端はプリント基板13の両端を包み
込んでプリント基板13を固定するようにコ字状に折り曲
げられている。プリント基板13の上面と接合するゴムシ
ート14の下面の、各弦4と対応した位置には、ネック2
の長手方向に沿って6列の接点凹部15が形成されてい
る。そして、各接点凹部15の上底面には可動接点として
の電極16がパターン形成され、一方、各電極16と対向す
るプリント基板13上には固定接点としての電極17がパタ
ーン形成されている。この電極17と上記電極16とで、所
定の音高を指定するためのフレットスイッチFSWが構成
されている。したがって、弦4の上からフィンガーボー
ド8の表面であるゴムシート14を押さえると、電極16と
17が接触導通して、フレットスイッチFSWがオンするよ
うになっている。
〈弦トリガースイッチ〉 弦トリガースイッチTSWの構成例を第4図に示す。上述
したように、弦トリガースイッチTSWは胴部1上の弦4
によりスイッチングされるものである。図に示すよう
に、胴部1上にはスイッチ部取付台18が設けてあって、
このスイッチ部取付台18には一部が高く形成された部分
があり、この高く形成された部分の上部には支持部18a
が設けてある。この支持部18aには前記弦4の使用本数
に対応する数の溝部18bが形成されている。この溝部18b
を設けた支持部18aの後縁側には金属製の接点板19が取
り付けられており、この接点板19の各弦4と対応した位
置には、挿通孔19aが設けてある。この挿通孔19aには、
各弦4に一体的に連結された導電性部材20が取り付けら
れている。この導電性部材20は所定の長さを持った金属
の丸棒状の部材で、先端部には前記弦4を係止する係止
孔20aがあり、弦4はこの係止孔20aを介して係止されて
いる。この係止孔20aの後方には第1止め輪20bが、また
この第1止め輪20aから所定の長さを置いて第2止め輪2
0cが設けられている。この第1止め輪20bと第2止め輪2
0cは、上記導電性部材20上に、互いに所定の間隔を置い
て取り付けられた一対の絶縁性部材21、21が、導電性部
材20の長手方向に向って移動するのを防止するためのも
のである。この絶縁性部材21、21の内方向にはそれぞれ
段差部が設けてあって、この段差部には導電性可撓部材
としてのスプリングコイル2が架け渡されてある。この
導電性部材20の前記第2止め輪20cの後方は一段細く形
成された支持軸20dが設けてあり、この支持軸20dの後端
は前記支持部18aの溝部18b内及び前記接点板19の挿通孔
19a内を挿通し、さらに、その後端は、先端部が半球形
のストッパー23にて前記接点板19の挿通孔19aの周囲に
おいて揺動可能に係止されている。したがって、導電性
部材20の後端は、支持軸20dで揺動可能に係止され、他
方の自由端は弦4に引張られた状態で張設されるよう支
持されている。前記各種挿通孔19aを対応する前記接点
板19の上端に形成した突出片19bは、前記支持部18a上に
設けられたプリント基板24の所定個所に挿通固定され、
プリント基板24上に設けられた配線パターンと半田19c
を介して接続されている。また、導電性部材20に対し、
絶縁性部材21を介して取り付けられたコイルスプリング
22の一端から引出されているリード線22aも、前記プリ
ント基板24の別の配線パターンに半田22bを介して接続
されている。
前述した図示のトリガースイッチTSWは、導電性部材20
を第1接点とし、コイルスプリング22を第2接点とする
スイッチである。定常状態では、上記コイルスプリング
22と導電性部材20との間には絶縁性部材20の厚みに相当
する空隙が保たれ、両者は絶縁関係にある。しかし、弦
4が操作されてある程度以上の振動が発生すると、この
振動に伴って、コイルスプリング22が振れ、この結果、
導電性部材20とコイルスプリング22との間の隔たりも時
間的に変化し、接触と非接触をくり返すことになる。つ
まり、トリガースイッチTSWがオンになったりオフにな
ったりするわけである。後述するように、本実施例で
は、このトリガースイッチTSWの最初のオン状態への変
化(弦4のトリガー)を確実に検出するようにしてい
る。
〈全体回路構成〉 第5図に本実施例に係る電子弦楽器の全体回路構成を示
す。楽器全体の制御はマイクロコンピュータ30によって
行われる。上述した弦トリガースイッチ群TSWからの出
力はラッチ回路40に入力され、マイクロコンピュータ30
はこのラッチ回路40を通して弦4のトリガーの検出を行
う。また、上述したフレットスイッチ群FSWの各スイッ
チの状態と、パネルスイッチ群PSW(第2図に示すパラ
メータ設定スイッチ群5、リズムパッドスイッチ群6な
ど胴部1上に設けられた各種スイッチ)の各スイッチの
状態はスイッチステータス検出回路50を介してマイクロ
コンピュータ30に伝えられる。楽音発生回路60はマイク
ロコンピュータ30の制御のもとに、楽音信号を発生す
る。発生した楽音信号は増幅器70において増幅され、ス
ピーカSPを通して外部へ放音される。
〈マイクロコンピュータのジェネラルフロー〉 第6図にマイクロコンピュータ30(第5図)のジェネラ
ルフローを示す。電源が投入されると、マイクロコンピ
ュータ30はまず、イニシャライズ処理G1を行う。イニシ
ャライズ終了後、G2からG8の処理を繰り返す。弦トリガ
ー検出処理G2においては、第5図のラッチ回路40の出力
を取り込み、各弦4のトリガーの有無を判別し、トリガ
ー(弦振動の開始)を検出したときには、楽音発生回路
60を制御して楽音を発生させる。フレット状態検出処理
G3では、スイッチステータス検出回路50を介してフレッ
トスイッチ群FSWの各スイッチの状態を読み込む。そし
て、フレット状態変化判別処理G4でフレット状態の変化
(音高指定の変化)を判別し、変化があった場合は、フ
レット状態変化処理G5を実行する。この処理G5では、発
音中の弦に属するフレットの押弦位置が変化したときに
は、それに対応する音高に弦の音高を再設定する(その
弦を発音中の楽音発生回路60内の音源モジュールに対し
て行う)。発音中の弦に属するいずれのフレットスイッ
チFSWも離れた状態、いわゆる開放弦の状態に変化した
ときには消音を行う。また、現在、発音されていない弦
に属するフレット押弦状態の変化に対してはなにもしな
い。次にパネルスイッチ状態検出処理G6においては、パ
ネルスイッチ群PSWの各スイッチの状態をスイッチステ
ータス検出回路50を介して読み込む。そして、パネルス
イッチ状態変化処理G7において、パネルスイッチの状態
変化を判別し、変化があった場合は、パネルスイッチ状
態変化処理G8において、所要の処理、例えば、楽音発生
回路60に対する音色、イフェクト等の設定処理を行う。
〈実施例の特徴〉 個々の詳細な説明に入る前に、本実施例の特徴のいくつ
かを簡単に説明する。
第1の特徴は確実な弦トリガー検出機能にある。第7図
にその原理を波形図で示してある。同図(a)は弦4の
振動波形を模式的に示したもので、同図(b)はこの弦
振動に対する弦トリガースイッチTSWの状態を示してい
る。両者の比較からわかるように、弦トリガースイッチ
TSWは弦4の振動に伴ってオン、オフをくり返してい
る。そして弦4の振動がある程度以上減衰すると、弦ト
リガースイッチTSWは動作しなくなり、オフ状態にな
る。この種の弦トリガースイッチTSWの出力を単にサン
プリングしたのでは、弦の振動の開始、すなわち、弦ト
リガーを確実かつ正確に検出することができない。
そこで、本実施例では、同図(c)のラッチ出力で示さ
れるように、弦トリガースイッチTSWの最初のオン状態
への変化をラッチで保持し、このラッチの内容をマイク
ロコンピュータ30により、サンプリングすることで、弦
トリガーを検出するとともに、検出後、所定時間経過し
たら、マイクロコンピュータ30より、同図(d)に示す
ラッチリセット信号をラッチに加えて、ラッチをリセッ
トするようにしている。
第2の特徴は同じ弦4が続けて弾かれた場合の楽音の余
韻機能にある。この機能はマイクロコンピュータ30に含
まれる別音源アサイン発音機能により実現している。こ
の原理を第8図に示す。いま、同図(a)に示すように
ある弦4の最初のトリガーが弦トリガースイッチTSWを
介して検出されたとする。これに対し、マイクロコンピ
ュータ30は発音すべき音源を捜し出し、見つけた音源
(ここでは音源1)に対し発音開始を指示する。この結
果、音源1により、同図(b)に示す前の楽音波形がつ
くられ、トリガーされた弦4の楽音が鳴り出す。次に、
この弦4の楽音が鳴っている途中で再度、同じ弦4がピ
ッキングされたとする(同図(a)の再度オン)。この
再トリガーに対し、マイクロコンピュータ30は、前の楽
音を発生している音源1に対し消音を指示すると同時
に、この音源1とは別の音源2を、再度トリガーされた
弦の楽音の発音のために割り当てる。この結果、再トリ
ガー後は、前の楽音を発生している音源1がその楽音を
減衰させていく一方で、音源2により後の楽音が発生
し、立上っていく(同図(b)参照)。したがって、ア
コースティックギターなどの共鳴箱(サウンドボック
ス)がもつ楽音の余韻効果に似た効果が得られる。
第3の特徴は発音時間経過による消音機能にある。すな
わち、マイクロコンピュータ30は楽音が発音開始してか
ら所定の時間を計測し、その経過後に、消音処理を行
う。この原理を第9図を参照して説明する。第9図
(a)に示すように弦4がトリガーされ、それが検出さ
れると、これを合図にマイクロコンピュータ30は音源
(楽音発生回路60内の音源モジュールの1つ)に対し、
発音の開始を指示する(これは既に述べた通りであ
る)。その一方で、その音源の発音時間の計時を開始す
る。この結果、同図(c)に示すように指示された音源
にて楽音が生成していく。第9図の場合、(b)に示す
発音時間の計測が完了した時点でも、音源からは楽音が
発生され続けている。そこで、マイクロコンピュータ30
は発音時間の終了を合図に、その音源に対し消音を指示
する。この結果、音源は減衰モード(リリースモード)
に移り楽音を減衰させて消音する。
特に、本実施例では、上記発音時間は音色別にその長さ
が決められるようになっている。
第4、第5、第6の特徴は、それぞれ、フレット状態の
変化を条件とする音高変更機能、開放弦状態の変化を条
件とする開放弦消音機能、両機能間の調整を図る選択機
能であり、これらについては既に「考案の作用」のとこ
ろで述べており、説明が重複するので省略する。
第7の特徴は通常の消音以外に、高速で楽音を消音でき
る機能(高速消音機能)にある。第10図にその原理を示
してある。図示のように、弦トリガースイッチTSWがオ
ンされることにより楽音の発音が開始される点は前と同
様である(同図(a)、(c)参照)。しかし、第10図
の場合、弦の楽音の発音中に、ミュートスイッチ5b(第
2図参照)が押されている。これに対し、マイクロコン
ピュータ30は、楽音信号を発音している音源モジュール
に対し、高速消音を指示し、これを受けて、その音源モ
ジュールは発生している楽音信号を急速に減衰させて消
音する。
このような高速消音機能を追加することにより、アコー
スティックギターなどで行われるカッティング奏法に似
た演奏効果をつけることができる。
なお、第10図では、ミュートスイッチ5bのオン操作が1
つの楽音波形にのみ作用するように描かれているが、後
で詳述する例では、ミュートスイッチ5bのオン操作時に
楽音を発生しているすべての音源モジュールに対し、高
速消音が指示されるようになっている。つまり、鳴って
いるすべての弦が同時にミュートされるわけである。
以上説明した特徴的な機能およびその他の機能が、具体
的にどのようにして実現されているかについて、以下の
詳細な説明を通して明らかにしていく。
ラッチ回路(第11図) まず、確実な弦トリガー検出機能を実現するために使用
される第5図のラッチ回路40の構成例を第11図に示す。
同図において、TRI1からTR16は、第1弦から第6弦まで
のそれぞれの弦4に設けられた弦トリガースイッチTSW
の各スイッチ出力である。例えば、TRI1は第1弦の弦ト
リガースイッチTSWのスイッチ出力である。各スイッチ
出力TRI1〜TRI6H弦トリガースイッチTSWのオンで“L"と
なり、オフで“H"となる。各スイッチ出力TRI1〜TRI6H
各インバータI1〜I6を通って、各ラッチ回路(RSフリッ
プフロップとして働くように構成されている)40−1〜
40−6の入力となっており、スイッチ出力TRI1〜TRI6の
“H"から“L"への変化によって各ラッチ回路40−1〜40
−6はセットされ、その出力TRO1〜TRO6が“H"になる。
すなわち、弦トリガースイッチTWRが初めてオン状態に
変化した時点で、対応するラッチ回路40−1〜40−6が
セットされ、それ以降、その出力は“H"に保たれる。各
ラッチ出力TRO1〜TRO6は、第6図の弦トリガー検出処理
G2(その詳細は後述する)において、マイクロコンピュ
ータ30により定期的にサンプルされる。後述するように
マイクロコンピュータ30は、ラッチ回路が“L"のリセッ
ト状態から“H"のセット状態に変化したことを検知する
ことにより、弦トリガーを検出し、楽音の発音を開始制
御する。さらに、この弦トリガーの検出後、所定の時間
の経過を計測し、その経過後、第11図に示すラッチリセ
ット入力CR1〜CR6を介して対応するラッチ回路40−1〜
40−6をリセットする。
弦トリガー検出関係のレジスタ(第12図) 第12図は、弦トリガーの検出のためにマイクロコンピュ
ータ30がその内部において使用するレジスタ群の一部を
示してある。RTBITで示されるレジスタは、上述したラ
ッチ回路40−1〜40−6の各出力の前回のサンプル値を
格納するのに用いられる。図示のように、レジスタRTBI
Tの最下位ビットは第1ラッチ回路40−1の前回のサン
プル値、第2ビットは第2ラッチ回路40−2の前回のサ
ンプル値、以下、同様であり、第6ビットは第6ラッチ
回路40−2の前回のサンプル値が入れられる。一方、RS
TCT1〜RSTCT6で示すレジスタは、弦トリガーの検出後、
対応するラッチ回路40−1〜40−6をリセットするため
の時間を計測するのに使用されるリセットカウンタであ
る。例えば、ラッチ回路40−1を通して、第1弦のトリ
ガーを検出したときには、第1リセットカウンタRSTCT1
に所定値がプリセットされ、所定のタイムインターバル
ごとに、カウントダウンされ、ボローが出た時点(アン
ダーフローした時点)で、ラッチ回路40−1にリセット
信号が送られるようになっている。
トリガー検出処理(第13図) 第13図はトリガー検出処理G2(第6図)の詳細なフロー
チャートである。まず、処理P1でマイクロコンピュータ
40のアキュームレータACCに第11図のラッチ回路出力TRO
1〜TRO6が読み込まれる。アキュームレータACCには、最
下位ビットから、それぞれ、TRO1〜TRO6までのサンプル
値がセットされ、上位2ビットは不定である。なお、AC
C、B−RG、C−RGおよびD−RGの各レジスタはすべて
8ビットである。次の処理P2では、図示の処理を実行す
る。ここに、EXORは排他的論理和の演算を示し、ANDは
論理積の演算を示している。この処理P2の結果、レジス
タD−RGには、今回のラッチ出力のサンプル値がセーブ
され、レジスタC−RGの第1から第6の各ビットには、
前回のラッチ出力のサンプル値が“L"で今回のラッチ出
力のサンプル値が“H"になったもの、すなわち、初めて
オン状態に変化した弦トリガースイッチTSWに係るもの
だけが“H"すなわち“1"にセットされ、その他は“L"す
なわち“0"にセットされる。また、弦の番号として、第
1弦を示す1がレジスタB−RGにセットされる。
処理P3から処理P10までのループは、レジスタC−RGの
各ビットの値か ら、トリガーオン処理をするところで
ある。処理P3では、レジスタC−RGを右方向(上位から
下位ビットの方向)に1ビットだけシフトさせ、レジス
タC−RGの最上位ビットMSBには“0"を、CARRYには最下
位ビットLSBをセットする。次の判別処理P4では、CARRY
の値を判別する。この判別でCARRY=1が得られたとす
る。これは、いずれかの弦がトリガーされたこと(細か
くいえば、ある弦の弦トリガースイッチTSWが初めてオ
ン状態に変化したことをラッチ回路40を通じて検知した
こと)を表わしており、それがどの弦であるかは弦番号
レジスタB−BGによって与えられている。そこで、CARR
Y=1の場合は、処理P5に進み、ここでレジスタB−RG
の値に対応するリセットカウンタRSTCTに所定の値(ラ
ッチリセットまでの時間データ)をセットする。そし
て、次の処理P6では、第6図のフレット状態検出処理G3
によりセーブされている各弦についての音高データのな
かから、レジスタB−RGの値が示す弦番号の音高データ
をレジスタP−RGにロードする。続いて、処理P7におい
て、楽音発生回路60(第5図)に対する音源のアサイ
ン、発音処理を実行する。
処理P7の後、または判別処理P4でCARRY=0のときは処
理P8に進み、ここで、レジスタB−RGをプラス1して弦
番号を1つ進め、次の判別処理P9で、レジスタB−RGの
値が6以下かどうかをみ、6以下であれば処理P3からの
ループをくり返す。
すべての弦についてループ処理が完了したら、P10へ進
み、レジスタD−RGの内容である今回サンプルしたラッ
チ出力をレジスタRTBITにセーブする。このセーブされ
たデータは次にトリガー検出フロー(第13図)を実行す
る際、処理P2において、前回のサンプル値として使用さ
れる。
ラッチリセット処理(第14図) 上述したように、トリガー検出フロー(第13図)の処理
P5のところで、トリガーのあった弦のリセットカウンタ
RSTCT(第12図)にリセットになるまでの時間情報がセ
ットされる。これに関連し、マイクロコンピュータ40は
所定のインターバルタイムで割り込みがかかるタイムイ
ンターラプトルーチンにおいて、トリガーから所定の時
間後ラットをリセットするための処理を行っている。こ
のラッチリセット処理(タイムインターラプトルーチ
ン)のフローを第14図に示す。Q1からQ3までは第1弦に
対する処理であり、Q1で、レジスタRTBITの第1ビット
が“1"かどうかをみることで、第1弦に対応する第1ラ
ッチ回路40−1(第11図参照)がセットされているかど
うかを判別し、セットされていれば、Q2に進み、第1弦
のリセットカウンタRTCT1を減算し、ボローが出ればレ
ジスタRTBITの第1ビットを“0"にし、第1ラッチ回路4
0−1へのラッチリセットラインCR1にローパスを出力す
る。この結果、第1ラッチ回路40−1はリセットされ
る。
以下、同様にして、第2弦、第3弦、第4弦、第5弦、
第6弦に対する処理Q4〜Q18を行っている。
〈弦トリガーの検出機能のレビュー〉 ここまでの説明で、本実施例が確実な弦トリガー検出機
能をもっていることは明らかになっている。すなわち、
各弦4(第2図)が振動を開始すると、対応する弦トリ
ガースイッチTSW(第4図)がオフからオン状態に転
じ、これにより対応するラッチ回路40−1〜40−6がセ
ットされる。このセット後の次のラッチデータサンプリ
ング時に、マイクロコンピュータ40(第5図)は第13図
に示すトリガー検出処理を実行し、前回のラッチサンプ
ルとの比較を通じてどの弦がトリガーされたかを検出
し、その検出に基づいて楽音の発音開始等の処理(処理
P6、P7参照)を行うとともに、トリガーされた弦のリセ
ットカウンタRSTCT(第12図)を処理P5においてプリセ
ットする。このセットされたリセットカウンタRSTCTは
第14図に示すラッチリセット処理(タイムインターラプ
トルーチン)において、割込がかかるたびに減算され
る。この結果、弦がトリガーされてから所定時間が経過
した時点で、そのリセットカウンタRSTCTはアンダーフ
ローし、その際、トリガーされた弦のラッチ回路40−1
〜40−6がリセットされる(例えば処理Q3参照)。した
がって、まさしく第7図について述べた機能が実現され
ているわけである。
アサイン・発音処理(第15図、第16図) 次に、第14図のフロー内のアサインおよび発音処理P7の
詳細について説明しよう。
マイクロコンピュータ30(第5図)はこのアサイン・発
音処理において、トリガーされた弦の楽音の発音開始を
行うが、それとともに、上述した本実施例の第3の特
徴、すなわち、同じ弦が続けて弾かれた場合の楽音の余
韻機能もこの処理を介して実現している。
アサイン・発音処理の詳細なフロー(第16図)の説明に
進む前に、このフローで使用するレジスタのいくつかに
ついて説明する。
まず、楽音発生回路60(第5図)の各音源モジュール
(ここでは、楽音発生回路60は8つの音源モジュールか
ら構成されるものとする)の制御用レジスタは第15図に
示すようになっている。同図において、MODULE1からMOD
ULE8の8つのレジスタ群は、楽音発生回路60の各音源モ
ジュールのNo.1からNo.8にそれぞれ対応しており各々、
レジスタaとレジスタbとカウンタcで構成されてい
る。レジスタaには発音中の弦の番号に対応する値が書
き込まれる。ただし、値がゼロのときには特別に、対応
音源モジュールが発音されていないことを示す。レジス
タbには発音中の音高データが書き込まれる。カウンタ
cは発音時間をカウントするためのカウンタであり音源
が発音されるときに所定の値がセットされる。LASTMDは
音源モジュール割り当て用レジスタであり、その動きに
ついては後で追加説明する。
第16図に示すD−RGは音源モジュールの番号に対応する
値が入るレジスタであり、E−RGはループをカウントす
るためのレジスタである。
以下、アサイン・発音処理(第16図)のフローについて
説明する。
このフローの前半部(R1〜R7)は、楽音発生回路60の音
源モジュールのなかに、今回トリガーされた弦をすでに
発音しているモジュールがあるかどうかをサーチし、あ
った場合にはその音源モジュールの消音を行うところで
あり、このフローの後半部(R8〜R18)は、今回トリガ
ーされた弦の楽音を発音するための音源モジュール(空
きになっている音源モジュール)を捜し出して、その音
源モジュールに対し楽音の発音を開始させる部分であ
る。
まず、最初の処理R1で音源モジュール番号レジスタD−
RGに1を書き込む。つまり、音源モジュールNo.1を指定
しているわけである。処理R2ではD−RGの値に対応する
音源モジュール制御用レジスタのうち弦指定レジスタa
の内容をロードする。つまり、指定に係る音源モジュー
ルが発音している弦番号を読み込んでいるわけである。
そして、今回、トリガーされた弦の番号を示すレジスタ
B−RGの値と音源モジュールの弦番号とを判別処理R3で
比較する。比較して等しくなければ着目している音源モ
ジュールは今回トリガーされた弦を発音していない。す
なわち他の弦の楽音を発音しているか、あるいは空きの
いずれかである。このときには処理R4において、D−RG
の値に1だけ加算、つまり次の番号の音源モジュールを
指定し、判別R5でD−RGの値が9以上か否かを判別し、
8以下であれば処理R2からのループをくり返す。
判別R3において、B−RG=弦No.(a)となる場合があ
る。このことは、着目している音源モジュールが、今回
トリガーされた弦をすでに発音していることを示してい
る。そこで、次の処理R6で、その音源モジュールに対し
消音処理を行うとともに、その音源モジュールに対する
制御用レジスタのレジスタaにゼロをいれて、その音源
モジュールが空になったこと(発音中でないこと)を記
憶している。そして次の処理R7でレジスタLASTMDにレジ
スタD−RGの値、つまり消音した音源モジュールNo.を
書き込む。レジスタLASTMDは音源モジュールの発音の割
り当てを制御するレジスタであり、LASTMDの値(すなわ
ち直前に発音割り当てをした音源モジュールNo.(処理R
16、R17参照)または直前に消音した音源モジュールN
o.)の次の音源モジュールから発音の割り当てのための
サーチを開始するために用いられる。
フロー後半の最初の処理R8では、音源番号レジスタD−
RGにLASTMDの値を入れ、ループ回数レジスタE−RGに1
を書き込む。ループ(処理R9〜R15)の最初の処理R9、
判別R10、処理R11で、検査しようとする次の音源モジュ
ールの番号を計算し、音源番号レジスタD−RGに書き込
むR12でその音源モジュールの制御用レジスタのレジス
タaの内容をロードし、判別R13でaレジスタがゼロか
否か、すなわち検査に係る音源モジュールが発音中(使
用中)か否かを判別する。発音中ならば処理R14でルー
プ回数レジスタE−RGを1つ進め、判別R15でE−RGの
値が8以下かどうかをみ、8以下の間、処理R9からのル
ープをくり返す。なお、この判別R15でE−RGの値が9
以上のときは8つの音源モジュールが全て発音中である
ことを意味し、これは論理的には起こらないことであ
り、なんらかの外部要因でメモリが壊された状態である
から処理R18で適切なエラー処理を行う。
一方、ループ上の判別R13において、検査に係る音源モ
ジュールが発音中でないことが判明したときは、処理R1
6へ分岐し、その音源モジュール(D−RG値に対応する
モジュール)に対し、レジスタP−RGの内容である今回
トリガーされた弦の音高データに従って楽音の発音の開
始を指示するとともに、この音源モジュールの制御用レ
ジスタのレジスタaにB−RGの値、すなわち今回トリガ
ーされた弦番号を書き込み、レジスタbにはC−RGの値
すなわち音高データを書き込み、カウンタcには所定の
値(発音時間データ)を書き込む。最後に処理17でレジ
スタLASTMDにD−RGの値、つまりオン処理した音源モジ
ュールの番号を書き込む。
〈楽音の余韻機能のレビュー〉 ここまでの説明で、本実施例が、楽音の余韻機能、つま
り、同じ弦4が続けて弾かれた場合に、前の弦トリガー
による楽音の余韻が残っている状況で後の弦トリガーに
よる楽音の発音が開始されていく機能をもっていること
は明らかになっている。
例えば、ある弦4が初めてトリガーされると、このこと
が第13図のトリガー検出処理のフロー内で検出され、ア
サイン・発音処理(第13図の処理P7、第16図)のフロー
の後半部(処理R8〜R18)で音源モジュールが割り当て
られて発音されるとともにその音源モジュールがトリガ
ーされた弦を発音中であることが記憶される。
このような状態の下で再び同じ弦4がトリガーされる
と、そのこと(特定の弦がトリガーされたこと)が同様
にして検出される。しかし、アサイン・発音処理(16
図)のフロー前半部を単に通過せず、今回、トリガーさ
れた弦の発音が楽音発生回路60(第5図)内の特定の音
源モジュールにおいて「すでに」行なわれていることが
確認され(判別R3)、その音源モジュールに対し消音処
理が実行される(処理R6)。そして、フロー後半部にお
いて、今回トリガーされた弦を発音するための音源モジ
ュールが新たに割り当てられ、その音源モジュールに対
し発音処理が実行される(処理R16)。
ここにおいて、消音される音源モジュールと発音される
音源モジュールは一般に異なる。特に第16図のフローに
おいては、オフ処理された音源モジュールの次から発音
すべき音源モジュールのサーチを開始しており、最初に
見つけた空(a=0)の音源モジュールを、新しくトリ
ガーされた弦を発音する音源モジュールとしている。つ
まり、オフ処理された音源モジュールに達する前に確実
に発音すべき音源モジュールが見つかるようにしている
(LASTMDの動き参照)。もっとも、ごく例外的な弦操作
の場合(例えばすべての弦4を非常に高速でかき鳴らし
た場合)には、オフ処理されて余韻を出そうとしている
音源モジュールが一連の弦トリガーの発音割り当てのた
めに、直ちに発音音源モジュールに切換えられることが
ある。しかし、実際問題としては、そのようなことは問
題にならない。いいかえれば、第13図、第16図に示す処
理は、限られた音源モジュールの数の制約のもとで、同
一弦を続けて弾いた場合に、オン処理される音源モジュ
ールがオフ処理された音源モジュールとは可及的に別の
音源モジュールとなるように最適化したものである。
要するに本例にあっては、ある弦がトリガーされ、その
弦の楽音が発音されている間に、再度、同じ弦がトリガ
ーされた場合には、その弦を発音している音源モジュー
ルを消音させるとともに、新たな弦のトリガーに対する
応答として、別の音源モジュールを割り当てて楽音の発
音を開始させている。したがって第8図で述べた楽音余
韻機能が果たされるわけである。
変形例としては、各弦ごとに2つ(またはそれ以上)の
音源モジュールを割り当て、先の弦トリガーで2つの音
源モジュールの片方をオン処理し、後の弦トリガーで片
方の音源モジュールをオフ処理し、残る音源モジールを
オン処理するようにしてもよい。
あるいは、オフ処理された音源モジュールが楽音を完全
に消音完了するまでは、その音源モジュールに対する発
音割り当てが禁止されるようにしてもよい。ただし、こ
の禁止の分だけ発音割り当て可能な音源数が減ることに
なるので、音源の総数は大きなものになってしまう。
また、音色がギター音のような減衰音系の音色の場合に
は、第16図のオフ処理R6はなくてもよい。減衰音系と持
続音系の両方を使用する楽器の場合には減衰音系か持続
音系かを例えば、第16図の判別R3の次のステップで判別
し、持続音系ならばオフ処理R6を行い、減衰音系ならば
オフ処理を省略するようにしてもよい。
発音時間制御 上述したように、弦がトリガーされるとそのことがマイ
クロコンピュータ30(第5図)によって検知され、第16
図のアサイン・発音処理のフローにおいて、その弦のた
めに楽音発生回路60(第5図)の音源モジュールのなか
から空きの音源モジュールが見つけ出され、その音源モ
ジュールに対するオン処理R16が行われる。そして、こ
のオン処理R16において、その音源モジュールの制御用
レジスタのカウンタc(第15図)に発音時間データが書
き込まれるのであった。
本例ではこの発音時間データは音色ごとに決められてい
て、音色セレクトスイッチ5a(第2図)による音色指定
がなされると、指定された音色に対応する長さの発音時
間データがONTIMEレジスタに設定されるようになってい
る(第18図参照、詳細は後述する)。つまり、上述した
16図のフロー中のオン処理R16でカウンタcにセットさ
れるのは、正に、現在選択されている音色によって決め
られている発音時間データである。そして、このように
してカウンタcにセットされた発音時間データに対し
て、マイクロコンピュータ30は所定のタイムインターバ
ルごとに割り込みのかかる割り込みルーチン(第18図に
示す時間経過消音処理のフロー)において、ルーチン実
行のつど減算を行い、カウンタcがアンダーフローした
時点で対応する音源モジュールを消音処理している。
以下、詳細に説明する。第17図は第6図に示すパネルス
イッチ状態変化処理G8の一部として行われる音色指定変
更処理の詳細フローである。まず判別S1において音色セ
レクトスイッチ群5a(第2図)にて、新しい音色指定が
なされたかどうかを判別し、なされていなければその他
の処理S2を行うが、新しい音色指定がなされたときには
処理S3に進み、指定に係る音色データを設定する。さら
に、次の処理S4において、指定音色に対応する発音時間
データをONTIMEレジスタにセーブする。
第18図は時間経過消音処理の詳細なフローであり、マイ
クロコンピュータ30は所定のタイムインターバルごとに
図示の割込ルーチンを実行する。まず、処理T1で通常の
割込ルーチンと同様にレジスタ等の退避を行う。処理T2
で音源モジュール番号を示すレジスタD−RGを1に初期
化し、以下、ループT3〜T9を実行する。
ループの最初の処理T3では、検査しようとする音源モジ
ュールのレジスタaの内容(a=0のときには不使用
中、a≠0のときは第a弦が発音中であることを示す)
をロードする。そして判別T4でa≠0か否か、すなわち
その音源モジュールが発音中か否かを判別し、発音中で
あれば処理T5でその音源モジュール制御用のカウンタc
を減算し、判別T6でそのカウンタからボローがでたとき
には処理T6でその音源モジュールを消音するとともに、
レジスタaをゼロにしてその音源モジュールが発音中で
はなくなったことを記憶する。処理T7の後、あるいは判
別T4で発音中でないとき、あるいは判別T6でボローが出
なかったときは処理T8に進み、音源モジュール番号レジ
スタD−RGをプラス1し、判別T9でD−RGの値が8以下
かどうかを判別し、8以下であれば処理T3からのループ
をくり返す。
ループ処理完了後は通常の割り込み処理の完了の場合と
同様に、レジスタ等を復帰させる(処理T10)。
ここまでの説明で本実施例が発音時間の経過後、音源モ
ジュールを自動的に消音する機能をもっていることは明
らかになった。上記発音時間データは音色データに含ま
れるエンベロープデータとは別に用意されたデータであ
り、楽音エンベロープの発生中、つまり音源モジュール
が発音中であっても、発音時間データの定める時間が経
過したときにはその音源モジュールに対し消音が指示さ
れる。
なお、変形例として、発音時間データをユーザーが自由
にプログラム(変更)できるようにしてもよく、これに
より、違った感じの音色を得ることができる。
フレット状態変化処理(第19図、第20図) 次に、マイクロコンピュータ30(第5図)がジェネラル
フロー(第6図)のステップG5で実行するフレット状態
変化処理について説明する。
第19図はフレット状態変化処理の詳細フローであり、そ
の最初の処理U1でマイクロコンピュータ30は弦番号レジ
スタB−RGを1に初期化し、以下、U2〜U6のループ処理
をくり返し実行する。
ループ処理の最初の判別U2でフレット変化有りかどうか
を判別する。これは、弦番号指定レジスタB−RGの示す
弦に属するフレットスイッチ群の前回のサンプル値と今
回のサンプル値を比較することで行える。このフレット
変化のなかには、いわゆる開放弦(オープンフレット)
への変化も含まれる。変化有りの場合は、処理U3で変化
先のフレット位置に係る音高データを音高指定レジスタ
C−RGに書き込み、処理U4において、B−RGとC−RGの
値を使って周波数変更処理(第20図、詳細はすぐ後で述
べる)を行う。判別U2でフレット変化なしの場合、また
は、周波数変更処理U5の後、処理U5で弦番号指定レジス
タB−RGをプラス1して弦番号を1つ進める。そして判
別U6でB−RGの値が6以下かどうかを判別し、6以下の
間は判別U2からのループをくり返す。
すべての弦についてのフレット変化の処理が完了すると
判別U6でB−RGの値が7となり、フレット状態変化処理
のフローを抜ける。
第20図は上述の周波数変更処理の詳細フローである。こ
のフローに入る時点で、音高指定レジスタC−RGには変
化したフレットの音高データが入っており、弦番号指定
レジスタB−RGには何弦目の弦のフレットが変化したか
を示す値(弦番号)が入っている。
まず処理V1で音源モジュール番号レジスタD−RGを1に
初期化する。処理2でレジスタD−RGの示す音源モジュ
ール制御用レジスタ(第15図)のレジスタaをロード
し、判別V3で、ロードしたレジスタaの値と弦番号指定
レジスタB−RGの値とが等しいかどうか判別する。つま
り、フレット位置が変化した弦が発音中か否かをみてい
るのである。ここで、不一致のときには、処理V10でD
−RGの値をプラス1して検査する音源モジュールの番号
を1つ進め、判別V11で、D−RGの値が8以下かどうか
を判別し、8以下のときは処理V2からのループを繰り返
し、9になったときは終了する。
判別V11でD−RGが9となって処理が完了するのは次の
場合である。すなわち、消音している弦のフレットに変
化があった場合である。このようなフレットの変化操作
の場合は無効とみて、なんの楽音処理も行わない。
一方、発音中の弦のフレットに変化のあった場合は、そ
の弦を発音している音源モジュールが存在しており、そ
のことが対応する音源モジュール制御用レジスタのレジ
スタaに記憶されている(第13図、第16図参照)。した
がって、D−RGがある音源モジュール番号を示している
ときに、判別V3のところで、aレジスタ=B−RGが成立
する。
このようにして、判別V3で、フレット位置が変化した弦
が発音中であることが判明した場合は、続く判別V4で、
音高指定レジスタC−RGの値を判別することにより、フ
レット変化が開放弦への変化か否かを判別する。ここ
で、開放弦への変化でない場合(フレットの押し替えの
場合)は処理V9へ進み、ここで、その弦を発音している
音源モジュール(D−RGの値から決まる)に対し、音高
指定レジスタC−RGの示す音高データに対応する周波数
への変更処理を実行するとともに、音高指定レジスタC
−RGの値をレジスタbに書き込む。この処理V9では、楽
音処理としては周波数だけだ変更されるだけであり、消
音や新たな発音の処理などは一切行われない。この結
果、アタックなしのなめらかを保ちながら、楽音の周波
数が変化することになる(第1図参照)。
一方、判別V4でフレット状態が開放弦の状態に変化した
ことが判明したときには、判別V5に進み、離弦時オフ処
理実行フラグOFFFGが1(セット)かどうかを判別し、
1であれば処理V8においてオフ処理を実行する。すなわ
ちその弦を発音中の音源モジュールを消音するととも
に、その音源モジュールの制御用レジスタ内のレジスタ
aに不使用中を示すゼロを書き込む。
判別V5でフラグOFFFGがリセットされているときは、処
理V6でレジスタbをロードする。レジスタbの値は先の
フレット状態の音高に対応している値である。判別V7
で、このレジスタbの値により、先の音高データが第1
フレットまたは第2フレットに対応しているか否かを判
別し、YESならば処理V9で周波数実行処理を行って、終
了する。なお、判別V7を付加しているのは、本例では主
として同一弦のスライディング奏法を配慮しており、し
たがって第3フレット以降で開放弦に変化したときは、
複弦を使ってのメロディ演奏等のために演奏者は弦を押
さえていた指を離して、別の弦の押弦に移ったと想定し
たことによる。
さて、第20図の判別V15に示される離弦時オフ処理実行
フラグOFFFGは、楽器本体に設けてある離弦時モード切
換スイッチ5c(第2図)により制御することができる。
離弦時モード切換スイッチ入力に対するフラグOFFFGの
切換処理のフローチャートを第21図に示す。このフロー
は第6図のジエネラルフローにおけるパネルスイッチ状
態変化処理G8の一部として行われるものである。
まず、判別W1で離弦時モード切換スイッチW1が押された
かどうか判別する。押されてなければ、その他に処理W2
に進むが、押されていれば判別W3において、離弦時消音
モードがオンになったか、オフになったかを判別する。
オンならば処理W4で、離弦時オフ処理実行フラグOFFFG
に1をセットし、オフならば同フラグOFFFGを0にす
る。
〈開放弦消音、周波数変更機能、選択機能のレビュー〉 ここまでの説明で、本実施例がスムースな周波数変更機
能(第1図(イ)〜(ハ)参照)、開放弦変化による消
音機能(第1図(ニ)〜(ヘ)参照)、及び選択機能
(第1図(ト))をもっていることは明らかになってい
る。
まず、スムースな周波数変更機能に関し、マイクロコン
ピュータ30は、弦トリガーによる発音・割り当て処理
(第13図、第16図)のところで、音源モジュールを割り
当て、発音し、その音源モジュールがどの弦を発音して
いるか等の音源制御情報を音源制御用レジスタ(第15
図)に記入する。そして、このような弦の発音中に、そ
の弦のフレット位置が変化したときは、マイクロコンピ
ュータ30はそのこと(どの弦がどのフレット位置に変更
したかということ)を第19図の処理を通じて検出し、第
20図の処理において、その弦を発音している音源モジュ
ールをサーチし、見つかった音源モジュールに対してそ
の周波数のみ変更する処理を行っている。したがって、
第1図で述べた機能が実現されているわけである。
本例の周波数変更機能は、発音中にある同一弦について
のフレット位置の変更に対する機能である。つまり、一
つの弦に対してフィンガリングを行う場合になされる機
能である。例えば、アコースティックギターなどで見ら
れるスライディング奏法や同一弦についての速いフレー
ズのフィンガリング奏法(ともにピッキングは初めての
1回だけの奏法)と似た奏法によって、同様の演奏効果
を得ることができる。
また、開放弦変化による消音機能実現のため、マイクロ
コンピュータ30は、発音中の弦のフレット位置が開放弦
状態に変化したことを第19図の処理を通じて、音高指定
レジスタC−RG、弦番号指定レジスタB−RGに確保し、
第20図の処理を通じて、弦を発音している音源モジュー
ルを見つけだし、音高指定レジスタC−RGの値をみるこ
とで開放弦への変化であることを確認している。そし
て、この場合において、フラグOFFFGがセットされてい
る限りは、見つけだした音源モジュールに対し消音処理
を実行している。
したがって、第1図で述べた開放弦消音機能はまさしく
実現されている。本例の開放弦消音機能は、弦トリガー
スイッチTSW(第4図)のようなスイッチからは容易に
ノートオフの条件を得ることができないような状況のも
とで、特に有利であり、演奏者は弦から指を所望のタイ
ミングで離すことにより、弦の発音時間を自由に制御す
ることができる。さらに、この消音機能は、複数弦を順
次使用して、メロディを演奏する場合などの奏法にも適
合したものである。ノートオフのために余分なスイッチ
が不要であることも利点である。
さらに本例では、スライディング奏法などに適合する周
波数変更機能を上述した開放弦消音機能に優先させるこ
とのできる選択機能を設けている。すなわち、離弦時の
消音モード切換のためのスイッチ5bを楽器本体に設け、
演奏者の便宜を図っている。
ミュートスイッチ処理(第22図、第23図) 次に、マイクロコンピュータ30(第5図)がジェネラル
フロー(第6図)のパネルスイッチ状態変化処理G8の一
部として実行するミュートスイッチ処理(第22図)につ
いて説明する。
このミュート機能は、楽器本体に設けられたミュートス
イッチ5b(第2図)が押されたときに、その応答とし
て、その時点で楽音を発生しているすべて音源モジュー
ルに対し、一括して高速消音する機能である。
詳細に述べると、第22図に示すフローの最初の判別X1に
おいて、マイクロコンピュータ30はミュートスイッチ5b
が押されたか否かを判別する。押されてなければ、処理
X2で示すその他のパネルスイッチ状態変化処理を実行す
るが、押されていれば処理X3において全音源消音処理を
実行する。
この全音源消音処理の詳細は第23図に示す通りであり、
その最初の処理Y1で音源モジュール番号レジスタD−RG
に1の値を入れて音源モジュール番号を初期化し、以
下、D−RGの値で示される音源モジュールに対し、Y2〜
Y7のループ処理を行う。
すなわちループ処理の最初のステップY2において、D−
RGが指定する音源モジュールを制御するためのレジスタ
(第6図に示す音源制御レジスタ)のうちレジスタaを
ロードする。上述したように、レジスタaは、値がゼロ
のときには、対応する音源モジュールが使用されていな
いこと(発音中でないこと)を示し、ゼロ以外の値のと
きには、その値が示す弦の楽音を対応音源モジュールが
発音していることを意味するようになっている。そこで
次の判別Y3において、レジスタaの値がゼロか否かを判
別することにより、着目している音源モジュールが発音
中か否かをチェックする。そして、発音中であれば、処
理Y4において、その音源モジュール(D−RGの値により
示される音源モジュール)に対し、高速消音処理を実行
し、次の処理Y5でaレジスタにゼロを書き込んで、その
音源モジュールが空になったことを記憶する。この処理
Y5に続いて、あるいは、判別Y3で音源モジュールが発音
中でないときは、処理Y6において、D−RGの値をプラス
1して、着目する音源モジュールを次の音源モジュール
に進める。そして、判別Y7において、D−RGが8以下か
否かを判別することにより、楽音発生回路60(第5図)
に含まれる合計8個の音源モジュールのすべてに対して
処理が完了したか否かを判別する。D−RGが8以下のと
きにはまだ検査していない音源モジュールが残っている
ので処理Y2からのループをくり返し、D−RGが9になっ
たら、すべての音源モジュールを検査したことになるの
で終了する。
ここまでの説明で、本実施例が第10図で述べたミュート
機能を実現していることは明らかである。高速消音処理
は通常のオフ処理と異なり、楽音はより急速に減衰され
る。
この機能により、アコースティックギターなどで行われ
るカッティング奏法などが可能になるわけである。
なお、本例では、単一のミュートスイッチ5bの操作に対
し、その応答として、発音中のすべての弦を高速消音し
ているが、他の変形も可能である。すなわち、ミュート
スイッチは複数でもよく、高速消音も、発音中のすべて
の弦に対して行う必要はなく、選択された1ないし複数
の弦(正確には、それらの弦を発音している音源)に対
して行うようにしてもよい。
[考案の効果] 以上、詳細に説明したように、この考案によれば、楽音
発生中に、フィンガリング操作位置検出手段によりフィ
ンガリング操作位置が検出されなくなった時、モード切
替手段により第1のモードが指定されている場合には発
生中の楽音の消音を指示すると共に、モード切替手段に
より第2のモードが指定されている場合には音高指定手
段により指定された発生中の楽音の音高を所定の音高に
変更するように指示するので、あるフィンガリング操作
位置から開放弦操作位置状態へと移行する演奏操作を行
った場合でも、モード切替手段の切替え状態に応じて、
開放弦操作位置への移行のタイミングから、現在発音中
の楽音を消音(減衰)させるか、または開放弦操作位置
への移行タイミングから、開放弦操作位置に対応する音
高に変更させるかを事前に容易に決めることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの考案の理解に適した図、第2図はこの考案
の一実施例に係る電子弦楽器の全体斜視図、第3図はフ
レットスイッチの構成例を示すIII−III線断面図、第4
図は弦トリガースイッチの構成例を示すIV−IV線断面
図、第5図は全体回路構成図、第6図はマイクロコンピ
ュータのジェネラルフローを示す図、第7図は弦のトリ
ガー検出機能の理解に適した図、第8図は弦の余韻機能
の理解に適した図、第9図は発音時間の経過による消音
機能の理解に適した図、第10図はミュート機能の理解に
適した図、第11図はラッチ回路の構成例を示す図、第12
図は弦トリガー検出と関係するレジスタを示す図、第13
図は弦トリガー検出処理の詳細なフローチャート、第14
図はラッチ回路のリセットに関する割込ルーチンのフロ
ーチャート、第15図は音源制御用レジスタを示す図、第
16図は第13図におけるアサイン・発音処理の詳細なフロ
ーチャート、第17図は発音時間設定のフローチャート、
第18図は発音時間制御と関係する割込ルーチンのフロー
チャート、第19図はフレット状態検出処理の詳細なフロ
ーチャート、第20図は第19図における周波数変更処理の
詳細なフローチャート、第21図は離弦時モード切換スイ
ッチ入力に対するフローチャート、第22図はミュートス
イッチ入力に対するフローチャート、第23図は第22図に
おける全音源消音処理の詳細なフローチャートである。 1……胴部、4……弦、5c……離弦時モード切換スイッ
チ、8……フィンガーボード、30……マイクロコンピュ
ータ、60……楽音発生回路、TSW……弦トリガースイッ
チ、FSW……フレットスイッチ。

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィンガーボードに対してなされたフィン
    ガリング操作位置を検出するフィンガリング操作位置検
    出手段と、 このフィンガリング操作位置検出手段により検出された
    フィンガリング操作位置に対応する音高を指定する音高
    指定手段と、 楽音発生指示操作を検出する楽音発生指示操作検出手段
    と、 前記楽音発生指示操作検出手段が楽音発生指示操作を検
    出した場合、前記音高指定手段により指定された音高の
    楽音の発生を指示する楽音発生指示手段と、 第1のモード及び第2のモードのいずれか一方を指定す
    るモード切替手段と、 前記楽音発生指示手段の指示による前記楽音発生中に、
    前記フィンガリング操作位置検出手段によりフィンガリ
    ング操作位置が検出されなくなった時、前記モード切替
    手段により第1のモードが指定されている場合には前記
    発生中の楽音の消音を指示すると共に、前記モード切替
    手段により第2のモードが指定されている場合には前記
    音高指定手段により指定された前記発生中の楽音の音高
    を所定の音高に変更するように指示する制御手段と を有することを特徴とする電子弦楽器。
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