JP2002256149A - 無機物質粉末成形用組成物 - Google Patents

無機物質粉末成形用組成物

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JP2002256149A
JP2002256149A JP2001056196A JP2001056196A JP2002256149A JP 2002256149 A JP2002256149 A JP 2002256149A JP 2001056196 A JP2001056196 A JP 2001056196A JP 2001056196 A JP2001056196 A JP 2001056196A JP 2002256149 A JP2002256149 A JP 2002256149A
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molding
wax
composition
inorganic substance
weight
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JP2001056196A
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English (en)
Inventor
Sadaaki Hirai
貞昭 平井
Takayuki Kawae
孝行 川江
Shigeki Kato
茂樹 加藤
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NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形体の成形および脱脂工程における欠陥の
発生が抑えられ、抽出脱脂率が高く、さらに、良好な保
形性と良好な低温流動性の両立が図られ、薄肉の成形体
を効率よく製造することができる無機物質粉末の成形用
組成物を提供する。 【解決手段】 (1)成形助剤成分を含有する無機物質
粉末の成形用組成物であって、前記成形助剤成分が、融
点の異なる2種類以上のワックスと熱可塑性樹脂を少な
くとも含有する成形用組成物、(2)成形助剤成分を含
有する無機物質粉末の成形用組成物であって、前記成形
助剤成分が、55℃以上の融点を有するワックスと、5
0℃以下の融点を有するワックスと、熱可塑性樹脂とを
少なくとも含有する成形用組成物、及び(3)成形助剤
成分を含有する無機物質粉末の成形用組成物であって、
前記成形助剤成分が、常温で固体であるワックスと0℃
以下の流動点を有する合成油と熱可塑性樹脂を少なくと
も含有する成形用組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、成形助剤成分を
含有する無機物質粉末の成形用組成物に関し、特に成形
時の流動性が良好でかつ十分な成形体強度を有するとと
もに、成形及び脱脂工程での処理時間の短縮化が可能で
あって、薄肉の成形体の成形に好適な無機物質粉末の成
形用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】 セラミックス、金属などの無機物質粉
末を一定の形状に成形する場合には、成形性を高めるた
めに、成形助剤とともに混練された後、この組成物が押
出成形、射出成形などにより成形される。この成形品は
その後、大気中での加熱による脱脂、又は溶剤中での抽
出脱脂等により成形助剤成分が除去され、焼成されて無
機物質粉末の焼成体が製造される。ここで使用される成
形助剤の成分は、目的とする成形体の形状や材料、成形
方法等により決定される。
【0003】 例えば、排ガス浄化用の触媒担体やディ
ーゼルパティキュレートフィルター等の製造に使用され
るハニカム形状の成形体の製造においては、ハニカム構
造体の隔壁の薄肉化(25〜100μm)に伴い、押出
成形時の高流動性と押出成形後の高保形性の要求が高ま
ったため、従来の水溶性の熱硬化性メチルセルロースに
代わって、非水溶性のワックスと熱可塑性樹脂とを混合
した熱可塑性成形助剤が使用される場合もある。
【0004】 このような熱可塑性成形助剤は、水を含
まないため、水溶性の成形助剤を使用した場合のような
乾燥工程は必要なくなる。しかし、その分成形体に含ま
れる成形助剤成分の配合比が大きくなり、脱脂工程にお
いて多くの成形助剤分を成形体から除去する必要があ
り、短い脱脂時間で成形助剤成分が除去されうる組成
物、すなわち脱脂率の高い組成物が望まれている。
【0005】 また、このような熱可塑性成形助剤を含
む組成物は、成形後の冷却過程における温度変化により
成形品に欠陥が生じることがある。また、大気中での加
熱脱脂又は溶剤中での加熱抽出脱脂の過程で成形品に欠
陥が生じる場合がある。このような温度変化に伴う欠陥
を抑制するためには成形後の冷却速度を遅くし、脱脂の
ための昇温速度を遅くする必要があるため、結果的に成
形及び脱脂工程での処理時間が長くなる。したがって、
温度変化により成形品に欠陥が生じにくい組成物が望ま
れている。
【0006】 さらに、薄肉成形体を成形するために
は、成形時に高い流動性、特に低温において高い流動性
を示すとともに成形後に高い保形性を有する必要がある
が、成形時に高い流動性を示すものは十分な材料強度を
有さないため保形性が悪くなり、十分な保形性すなわち
十分な材料強度を有する組成物は成形時に高い流動性を
示さない。したがって、薄肉化の要求に十分にこたえる
ような良好な低温流動性と良好な保形性を兼ね備えた組
成物が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】 本発明は上記事情に
鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、
脱脂率が高く、成形後の冷却過程又は脱脂工程における
温度変化による欠陥が生じにくく、短時間で成形品の冷
却及び脱脂が可能であるとともに、成形時の良好な低温
流動性と成形品の高い強度を両立する無機物質粉末の成
形用組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】 すなわち、本発明によ
れば、成形助剤成分を含有する無機物質粉末の成形用組
成物であって、前記成形助剤成分が、融点の異なる2種
類以上のワックスと熱可塑性樹脂を少なくとも含有する
ことを特徴とする成形用組成物(第1の発明)が提供さ
れる。また、本発明によれば、成形助剤成分を含有する
無機物質粉末の成形用組成物であって、前期成形助剤成
分が、55℃以上の融点を有するワックスと50℃以下
の融点を有するワックスと、熱可塑性樹脂を少なくとも
含有することを特徴とする成形用組成物(第2の発明)
が提供される。
【0009】 さらに、本発明によれば、成形助剤成分
を含有する無機物質粉末の成形用組成物であって、前期
成形助剤成分が、常温で固体であるワックスと0℃以下
の流動点を有する合成油と熱可塑性樹脂を少なくとも含
有することを特徴とする成形用組成物(第3の発明)が
提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】 第1の発明の重要な特徴は、成
形助剤成分として、融点の異なる2種類以上のワックス
と熱可塑性樹脂とを組み合わせることにあり、第2の発
明の重要な特徴は、成形助剤成分として熱可塑性樹脂と
55℃以上の融点を有するワックスと、50℃以下の融
点を有するワックスとを組み合わせることである。成形
助剤成分として熱可塑性樹脂と1種類のワックスを用い
た場合には、成形用組成物がワックスの融点付近で急激
な体積変化を起こし、成形後の冷却過程又は脱脂工程の
温度変化により、成形品に欠陥が発生する原因となる。
これに対して、成形助剤成分として熱可塑性樹脂と、融
点の異なる2種類以上のワックス、例えば、55℃以上
の融点を有するワックスと50℃以下の融点を有するワ
ックスとの組み合わせを用いると、ある温度においての
急激な体積変化を起こさず、成形後の冷却過程での温度
変化による体積変化率及び脱脂工程での温度変化による
体積変化率が小さくなり、成形品に欠陥が発生しにくく
なる。さらに、この組み合わせを用いることにより、先
ず50℃以下の融点を有するワックスが抽出されて微細
孔が形成され、次に55℃以上の融点を有するワックス
がその微細孔を通って抽出される為、溶融ワックスが通
り易くなり、成形体の抽出脱脂工程において高い脱脂率
が得られる。また、この組み合わせは、比較的低温にお
いて良好な流動性を発現し、比較的低温での成形を可能
にするとともに、成形体は高保形性を示し、良好な低温
流動性と高保形成の両立が可能となる。
【0011】 第1および第2の発明に用いられるワッ
クスは、例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタ
リンワックス、ポリエチレンワックス、モンタン酸ワッ
クス、脂肪酸アミド系ワックス、脂肪酸エステル系ワッ
クス、複合エステル系ワックス、高級アルコール系ワッ
クス、グリセリン脂肪酸エステル系ワックス、カルナバ
ワックス、ライスワックス等であるが、パラフィンワッ
クスが好ましい。また、第2の発明に用いられる50℃
以下の融点を有するワックスも上記に例示されたものか
ら選ぶことができ、パラフィンワックスが好ましい。
【0012】 第1および第2の発明において、融点の
異なる2種類以上のワックスの合計の添加率、具体的に
は、55℃以上の融点を有するワックスと50℃以下の
融点を有するワックスの合計の添加率は、無機物質粉末
100重量部に対して、好ましくは13〜22重量部、
さらに好ましくは14〜20重量部、もっとも好ましく
は16〜18重量部である。添加量が22重量部より多
いと、成形体の保形性が小さくなり、添加量が13重量
部より少ないと、成形時の流動性が悪化する。なお、融
点の異なる2種類以上のワックスそれぞれの比率、例え
ば、55℃以上の融点を有するワックスと50℃以下の
融点を有するワックスの比率に特に制限はなく、本発明
の効果を奏する程度の比率で両者が含まれていればよい
が、55℃以上の融点を有するワックスと50℃以下の
融点を有するワックスの合計100重量%に対して、5
5℃以上の融点を有するワックスは好ましくは、10〜
90重量%、さらに好ましくは20〜80重量%、最も
好ましくは40〜60重量%の範囲で含まれうる。した
がって、50℃以下の融点を有するワックスは、好まし
くは10〜90重量%、さらに好ましくは20〜80重
量%、もっとも好ましくは40〜60重量%の範囲で含
まれうる。第1及び第2の発明において、さらにその他
の1又は2以上のワックス又は合成油を添加することも
可能である。
【0013】 第3の発明の重要な特徴は、成形助剤成
分として熱可塑性樹脂とともに、常温で固体であるワッ
クスと、0℃以下の流動点を有する合成油とを組み合わ
せて用いることである。この組み合わせを用いることに
よっても、上記と同様に、ワックスの融点付近での急激
な体積変化を起こさず、成形後の冷却過程での温度変化
による体積変化率及び脱脂工程での温度変化による体積
変化率が小さくなり、成形品に欠陥が発生しにくくなる
とともに、成形体の脱脂工程において高い脱脂率が得ら
れ、良好な低温流動性と高保形性の両立が可能となる。
【0014】 第3の発明において、常温で固体である
ワックスは、第1および第2の発明において例示された
ものと同様のものを用いることができる。0℃以下の流
動点を有する合成油としては、例えば、ポリα−オレフ
インなどの脂肪族炭化水素系合成油、アルキル芳香族化
合物などの芳香族炭化水素系合成油、ポリエーテル系合
成油、セバシン酸エステル及びアジピン酸エステルなど
のエステル系合成油、リン酸およびリン酸エステル系合
成油、シリコーン系合成油、ケイ酸エステル系合成油、
ポリハロゲン炭化水素系合成油およびフッ素化エステル
系合成油などが挙げられる。
【0015】 常温で固体であるワックスと0℃以下の
流動点を有する合成油の合計の添加率は、無機物質粉末
100重量部に対して、好ましくは13〜22重量部、
さらに好ましくは14〜20重量部、もっとも好ましく
は16〜18重量部である。添加量が22重量部より多
いと、成形体の保形性が小さくなり、添加量が13重量
部より少ないと、成形時の流動性が悪化する。常温で固
体であるワックスと0℃以下の流動点を有する合成油の
比率に特に制限はなく、本発明の効果を奏する程度の比
率で両者が含まれていればよいが、常温で固体であるワ
ックスと0℃以下の流動点を有する合成油の合計100
重量%に対して、常温で固体であるワックスは好ましく
は、10〜90重量%、さらに好ましくは30〜90重
量%、もっとも好ましくは50〜90重量%の範囲で含
まれうる。したがって、0℃以下の流動点を有する合成
油は、好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは
10〜70重量%、最も好ましくは10〜50重量%の
範囲で含まれうる。第3の発明において、さらにその他
の1又は2以上のワックス又は合成油を添加することも
可能である。
【0016】 本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、例
えばポリエチレン、ポリプロピレン、などのオレフィン
系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、
ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレートなどのア
クリレート系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ンなどの塩素含有樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、
ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプ
ロピレンオキサイド等のポリエーテル系樹脂、ジエン系
樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、
ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、及
びこれらの共重合体などであり、これらの1種類又は2
種類以上を用いることができる。好ましくは、エチレン
/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アルキル(メタ)ア
クリレート共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重
合体、ポリエチレン、ポリスチレン、エンジニアリング
プラスチック類、例えばポリオキシメチレン、ポリカー
ボネート、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアミ
ド、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド等、及び液晶
ポリマー、例えば芳香族ポリエステル等の1種又は2種
以上の組み合わせである。もっとも好ましい熱可塑性樹
脂はエチレン/酢酸ビニル共重合体である。エチレン/
酢酸ビニル共重合体はワックスとの相溶性がよいため、
これを成形助剤成分として用いることにより成形材料が
均質化され、成形時の安定した可塑性及び成形品の形状
保持性が得られる。
【0017】 本発明において、熱可塑性樹脂は、無機
物質粉末100重量部に対して、好ましくは7〜12重
量部、さらに好ましくは8〜11重量部、もっとも好ま
しくは8.5〜10重量部の範囲で添加される。添加量
が12重量部より多いと成形時の流動性が悪化し、7重
量部より少ないと成形体の保形性が小さくなる。
【0018】 本発明に用いられる無機物質粉末とは、
前記成形用組成物の主成分を構成するものであって、成
形用組成物が、成形、脱脂、焼結された後に、例えば触
媒の担体やフィルターとして機能するものである。無機
物質粉末は、当業者であれば用途に応じて適切に選択す
ることができるが、例えばセラミックス粉末や金属粉末
などである。セラミックス粉末の好適な例は、コージェ
ライト粉末、アルミナ粉末、ムライト粉末等の酸化物粉
末、窒化珪素粉末、炭化珪素粉末、窒化アルミニウム粉
末等の窒化物粉末などである。金属粉末の好適な例は、
Fe、Cr、Ni、Al等の粉末である。好適な無機物
質粉末はセラミックス粉末であり、これらの中でもコー
ジェライト粉末は、熱膨張が小さいため、触媒の単体な
どに好適に使用され好ましい。無機物質粉体の好ましい
平均粒子径は1〜10μmである。粒子径が大きすぎる
と薄肉成形体の成形が困難になるという欠点が生じ、粒
子径が小さすぎると成形助剤の添加率が多く必要になる
という欠点が生じる。
【0019】 本発明において、成形助剤成分としてさ
らに脂肪酸を添加することが好ましい。脂肪酸を添加す
ることにより、無機物質粉末と成形助剤成分との濡れ性
が向上するため、成形時の流動性がさらに向上する。本
発明に用いられる脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪
酸でもよく、1価脂肪酸でも多価脂肪酸でもよい。好ま
しい脂肪酸は炭素数が4〜30の脂肪酸であって、例え
ばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などが好ま
しい。本発明の組成物には、目的に応じてその他の成
分、例えばカップリング剤、分散剤、潤滑剤などを加え
ることもできる。
【0020】
【実施例】 以下、実施例により本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0021】 実施例及び比較例において、以下の材料
を使用した。 ワックスA:融点が60℃のパラフィンワックス ワックスB:融点が47℃のパラフィンワックス ワックスC:融点が18℃のパラフィンワックス(イソ
パラフィンを多く含有する常温で液体である炭化水素) 合成油:流動点が−50℃以下の合成炭化水素(イソパ
ラフィン系合成油) EVA:エチレン/酢酸ビニル比=81/19、(分子
量 約20000)のエチレン/酢酸ビニル共重合体 脂肪酸:オレイン酸 セラミックス粉末:コージェライト粉末、粒子径2〜1
0μm
【0022】 実施例1 セラミックス粉末100重量部に対して、EVAの添加
量を10重量部、オレイン酸の添加量を1重量部、ワッ
クスAとワックスBの合計の添加量を17.5重量部と
し、ワックスAとワックスBの合計100重量%に対し
てワックスAを50重量%、ワックスBを50重量%と
した混合物を、加圧混練機にて100℃で2時間混練し
て組成物を得た。
【0023】 実施例2 ワックスAとワックスBの合計100重量%に対して、
ワックスAを25重量%、ワックスBを75重量%とし
た以外は、実施例1と同様の操作を行って組成物を得
た。
【0024】 実施例3 ワックスBの代わりにワックスCを用い、ワックスAと
ワックスCの合計100重量%に対して、ワックスAを
66重量%、ワックスCを34重量%とした以外は、実
施例1と同様の操作を行って組成物を得た。
【0025】 実施例4 ワックスBの代わりに合成油を用い、ワックスAと合成
油の合計の添加量を17.5重量部とし、ワックスAと
合成油の合計100重量%に対して、ワックスAを83
重量%、合成油を17重量%とした以外は、実施例1と
同様の操作を行って組成物を得た。
【0026】 実施例5 ワックスBのかわりに合成油を用い、ワックスAと合成
油の合計の添加量を17.5重量部とし、ワックスAと
合成油の合計100重量%に対して、ワックスAを66
重量%、合成油を34重量%とした以外は、実施例1と
同様の操作を行って組成物を得た。
【0027】 比較例1 ワックス分としてワックスAのみを用い、ワックスAの
添加量を17.5重量部とした以外は、実施例1と同様
の操作を行って組成物を得た。
【0028】 比較例2 ワックス分としてワックスBのみを用い、ワックスBの
添加量を17.5重量部とした以外は、実施例1と同様
の操作を行って組成物を得た。
【0029】 体積膨張率の測定 実施例1、5及び比較例1、2で得られた組成物の体積
膨張率が測定された。体積膨張率は、組成物を室温から
100℃まで昇温させて、ディラトメーター法により温
度と体積膨張の関係を測定することにより得られた。そ
の結果を図1に示す。比較例1の組成物は、55〜60
℃において急激な体積膨張を示し、室温〜100℃の間
の体積膨張量も大きかった。比較例2の組成物も45〜
48℃の間で急激な体積膨張を示し、室温〜100℃の
間の体積膨張量も大きかった。一方、実施例1及び実施
例5の組成物は、両者とも比較例に見られたようなある
温度においての急激な体積膨張を示さず、室温〜100
℃の間の体積膨張量も比較的小さかった。
【0030】 曲げ強度の測定 実施例1、2、5及び比較例1、2で得られた組成物の
曲げ強度が測定された。曲げ強度は、組成物を真空押出
機にてφ2の棒状に成形し、デジタル材料万能試験機を
用いて、変位と曲げ応力を測定することにより得られ
た。図2にその結果を示す。実施例1、2及び5の組成
物は、比較的高い良好な強度を示した。比較例1の組成
物は、非常に高い強度を示し、比較例2の組成物は非常
に低い強度を示した。
【0031】 見掛粘度の測定 実施例1〜5及び比較例1、2で得られた組成物の見掛
粘度が測定された。見掛粘度は、細管レオメーター(島
津製作所製降下式フローテスター、測定条件:細管φ
0.5×L10、荷重100kg)を用いて測定され
た。結果を図3及び図4に示す。実施例1〜5の組成物
はいずれも比較的低温で低い粘度を示し、良好な低温流
動性を有することを示した。比較例1の組成物は低温で
の粘度が非常に高く、低温流動性が非常に悪いことを示
した。比較例2の組成物は低温での粘度が非常に低く非
常に良好な低温流動性を有することを示した。曲げ強度
及び見掛粘度の測定から、比較例1の組成物は、強度は
非常に高いが低温流動性が非常に悪く、比較例2の組成
物は、低温流動性は非常に良いが強度が低く、強度、即
ち保形性と低温流動性が両立されていないことがわか
る。これに対して、実施例1〜5の組成物は強度、即ち
保形性も低温流動性も良好であることがわかる。
【0032】 成形体欠陥試験 実施例1〜5及び比較例1、2で得られた組成物の成形
体欠陥が測定された。成形体欠陥は、見掛粘度測定にお
いて5000poiseの見掛粘度を示した温度条件
で、ハニカム構造体の押出成形を行い、常温まで放置冷
却した後、ハニカム構造体の欠陥(クラック)及び変形
を目視にて観察することによって測定された。欠陥も変
形もないものを◎、欠陥はないがわずかな変形があるも
のを○、欠陥が発生したものを×とした(表1参照)。
実施例1、3及び5の組成物から成形されたハニカム構
造体には欠陥も変形も見られなかった。実施例2及び4
の組成物から成形されたハニカム構造体には欠陥は見ら
れなかったがわずかな変形が見られた。比較例1及び2
の組成物から成形されたハニカム構造体には欠陥が見ら
れた。
【0033】 加熱脱脂欠陥試験 ハニカム構造体を大気中において5℃/hrで600℃
まで昇温し、600℃で5時間保持して加熱脱脂を行っ
た後、ハニカム構造体の欠陥(クラック)を目視にて観
察した。欠陥のないものを◎、微細な欠陥が1箇所発生
したものを○、大きな欠陥が発生したものを×とした
(表1参照)。実施例1、3及び5の組成物から成形さ
れたハニカム構造体には欠陥が発生しなかった。実施例
2及び4の組成物から成形されたハニカム構造体には微
細な欠陥が1箇所発生した。比較例1及び2の組成物か
ら成形されたハニカム構造体には大きな欠陥が発生し
た。
【0034】 抽出脱脂欠陥試験 ハニカム構造体を界面活性剤水溶液(アニオン界面活性
剤)中において5℃/hrで70℃まで昇温し、70℃
で2時間保持して脱脂を行った後のハニカム構造体の欠
陥(クラック)を目視にて観察した。欠陥のないものを
◎、微細な欠陥が1箇所発生したものを○、大きな欠陥
が発生したものを×とした(表1参照)。実施例1、3
及び5の組成物から成形されたハニカム構造体には欠陥
が発生しなかった。実施例2及び4の組成物から成形さ
れたハニカム構造体には微細な欠陥が1箇所発生した。
比較例1及び2の組成物から成形されたハニカム構造体
には欠陥が発生した。
【0035】 抽出脱脂率の測定 前記抽出脱脂試験前後のハニカム構造体の重量を測定す
ることにより、EVAを除いた成形助剤の除去率を脱脂
率として測定した(表1参照)。実施例1〜5の組成物
から成形されたハニカム構造体の脱脂率はすべて80重
量%を超える良好な脱脂率を示したのに対して、比較例
1及び2の組成物から成形されたハニカム構造体の脱脂
率は80重量%にとどかなかった。
【0036】 表1にすべての測定結果をまとめて示
す。比較例1及び2の組成物は成形および脱脂工程にお
ける欠陥が生じやすく、脱脂率も低く、強度と流動性の
両立もできなかった。これに対して実施例1〜5の組成
物は、成形および脱脂工程における欠陥が生じにくく、
脱脂率も高いうえに、強度と流動性の両立ができた。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】 本発明の組成物を用いることにより、
成形体の成形および脱脂工程における欠陥の発生が抑え
られ、成形および脱脂時間の短縮が図られるとともに不
良率が低減する。また、抽出脱脂率が向上するため抽出
脱脂時間はさらに短縮する。さらに、良好な保形性と良
好な低温流動性の両立が図られ、薄肉の成形体を効率よ
く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例及び比較例で得られた組成物の温度と
体積膨張率の関係を示すグラフである。
【図2】 実施例及び比較例で得られた組成物の曲げ強
度試験における変位と曲げ応力との関係を示すグラフで
ある。
【図3】 実施例及び比較例で得られた組成物の温度と
見掛粘度の関係を示すグラフである。
【図4】 実施例及び比較例で得られた組成物の温度と
見掛粘度の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 茂樹 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 Fターム(参考) 4J002 AC02Y AE00Z AE03W AE03X AE04W AE04X AE05W AE05X BB00Y BB02Y BB11Y BC00Y BC02Y BD03Y BD10Y BE03Y BF02Y BF03Y BG02Y BG04Y BG05Y BG06Y BG09Y CB00Y CF00Y CF05Y CF16Y CG00Y CH02Y CH07Y CL00Y CM04Y CP03Z DA066 DA086 DA096 DA116 DE146 DF016 DJ006 DM006 EF057 FA086 FD02Z FD027

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形助剤成分を含有する無機物質粉末の
    成形用組成物であって、前記成形助剤成分が、融点の異
    なる2種類以上のワックスと熱可塑性樹脂を少なくとも
    含有することを特徴とする成形用組成物。
  2. 【請求項2】 成形助剤成分を含有する無機物質粉末の
    成形用組成物であって、前記成形助剤成分が、55℃以
    上の融点を有するワックスと、50℃以下の融点を有す
    るワックスと、熱可塑性樹脂とを少なくとも含有するこ
    とを特徴とする成形用組成物。
  3. 【請求項3】 成形助剤成分を含有する無機物質粉末の
    成形用組成物であって、前記成形助剤成分が、常温で固
    体であるワックスと0℃以下の流動点を有する合成油と
    熱可塑性樹脂を少なくとも含有することを特徴とする成
    形用組成物。
  4. 【請求項4】 前記成形助剤成分が、さらに脂肪酸を含
    むことを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記
    載の成形用組成物。
  5. 【請求項5】 前記熱可塑性樹脂が、エチレン/酢酸ビ
    ニル共重合体であることを特徴とする請求項1ないし4
    の何れか1項に記載の成形用組成物。
  6. 【請求項6】 前記無機物質粉末がセラミックス粉末で
    あることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に
    記載の成形用組成物。
  7. 【請求項7】 前記無機物質粉末がコージェライト粉末
    であることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項
    に記載の成形用組成物。
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