JP2002255634A - 快削性を有する高強度アルミナ質焼結体及びこれを用いた耐食性部材 - Google Patents

快削性を有する高強度アルミナ質焼結体及びこれを用いた耐食性部材

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JP2002255634A JP2001049190A JP2001049190A JP2002255634A JP 2002255634 A JP2002255634 A JP 2002255634A JP 2001049190 A JP2001049190 A JP 2001049190A JP 2001049190 A JP2001049190 A JP 2001049190A JP 2002255634 A JP2002255634 A JP 2002255634A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来のアルミナ質焼結体と比較して曲げ強度や
硬度を向上させつつ、破壊靱性値を若干下げ、快削性に
優れた高強度アルミナ質焼結体を提供する。 【解決手段】アルミナを50〜97重量%、アルミニウ
ム・イットリウム・ガーネットを3〜50重量%含有
し、焼結体中におけるアルミナの平均結晶粒子径を2〜
10μmとするとともに、アルミニウム・イットリウム
・ガーネットの平均結晶粒子径を1.5〜5μmとし、
かつアルミニウム・イットリウム・ガーネットの平均結
晶粒子径に対するアルミナの平均結晶粒子径の比を1よ
り大きく、7より小さくして快削性に優れた高強度アル
ミナ質焼結体を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度を有すると
ともに、研削性に優れた快削性を有する高強度アルミナ
質焼結体と、これを用いた、フッ素系や塩素系等の腐食
性ガスあるいはそのプラズマ雰囲気下で使用する真空チ
ャンバーの内壁材、マイクロ波導入窓、フォーカスリン
グ、クランプリング、サセプタ等の如き耐食性部材に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、セラミック焼結体の中でも耐摩耗
性、耐熱性、耐薬品性等の点で優れた特性を有するとと
もに、圧倒的に安価でかつ工業的に有用な材料としてア
ルミナ質焼結体が使用されており、例えば摺動部材、粉
砕部材、構造部材等の様々な分野で使用されている。
【0003】しかしながら、アルミナ質焼結体は、上述
のような優れた特性を有する反面、ジルコニア質焼結体
や窒化珪素質焼結体などに比べて抗折強度が低いことか
ら、高い応力のかかる部分に使用するには形状等の制約
があった。
【0004】例えば、生産性の向上に伴って大型化する
構造部材に用いる場合、重量が重くなり、取り付け時や
ハンドリング時において欠けや割れが発生するという課
題があり、曲げ強度を高めることが望まれていた。
【0005】そこで、アルミナ質焼結体の抗折強度を向
上させるため、例えば、炭化珪素やジルコニアなどの結
晶粒子をアルミナ粒子内及び粒界に分散させたアルミナ
質焼結体が提案されている(特公昭59−24751号
公報、特公昭59−25748号公報参照)。
【0006】一方、近年、半導体製造装置においては、
フッ素系や塩素系等のハロゲン系腐食性ガスあるいはそ
のプラズマ雰囲気に曝される、真空チャンバーの内壁
材、マイクロ波導入窓、フォーカスリング、クランプリ
ング、サセプタ等の如き耐食性部材としてアルミナ質焼
結体を用いることが提案されている(特開平5−217
946号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ジルコニア
や炭化珪素を分散させたアルミナ質焼結体は、ジルコニ
アや炭化珪素を含まないものと比較して焼結体の強度及
び硬度を向上させることができるものの、一般的に破壊
靱性値も高くなることから研削加工を行った時の加工負
荷が高く、加工に時間がかかるため、安価に構造部材を
製作することができないといった課題があった。特に、
構成部材が大型化すると加工面積が増えるため、加工に
多大な時間を要することになり、この加工時間のアップ
が大きな問題となっていた。
【0008】さらに、炭化珪素を分散させたアルミナ質
焼結体では、常圧焼成にて緻密化することができないた
め、ホットプレスなどの高価な焼成装置を用いなければ
ならず、構造部材を製作するうえにおいてさらに高価な
ものになってしまうといった不都合があった。
【0009】一方、耐食性部材としてアルミナ質焼結体
を用いたものでは、他のセラミック焼結体と比較して高
い耐食性を有するものの、十分満足できるものではな
く、さらに耐食性部材も大型化する傾向にあるが、研削
性が良くないため、加工に時間がかかり、加工コストが
耐食性部材の単価に跳ね返り、高価なものになってしま
うといった課題があった。
【0010】
【発明の目的】本発明の目的は、高強度でありながら加
工性に優れたアルミナ質焼結体とこれを用いた、ハロゲ
ン系腐食性ガスやそのプラズマに対する優れた抵抗性を
有する耐食性部材を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題に鑑
み、本発明の快削性を有する高強度アルミナ質焼結体
は、アルミナを50〜97重量%、アルミニウム・イッ
トリウム・ガーネットを3〜50重量%の範囲で含有し
た焼結体であって、焼結体中における上記アルミナの平
均結晶粒子径が2〜10μm、上記アルミニウム・イッ
トリウム・ガーネットの平均結晶粒子径が1.5〜5μ
mで、かつ上記アルミニウム・イットリウム・ガーネッ
トの平均結晶粒子径に対する上記アルミナの平均結晶粒
子径の比が1より大きく、7より小さいことを特徴とす
る。
【0012】特に、上記アルミナ質焼結体の破壊靱性値
は2.0〜3.9MPa・√mの範囲にあるものが好ま
しい。
【0013】さらに、本発明は、上記快削性を有する高
強度アルミナ質焼結体を、ハロゲン系腐食性ガスやその
プラズマに曝される耐食性部材に用いたことを特徴とす
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の快削性を有する高強度ア
ルミナ質焼結体は、アルミナを主成分とし、副成分とし
てアルミニウム・イットリウム・ガーネット(以下、Y
AGという)を含有した焼結体であって、焼結体中にお
ける上記YAGの平均結晶粒子径を上記アルミナの平均
結晶粒子径より適度に小さくしたことを特徴とする。
【0015】即ち、副成分として含有するYAGはアル
ミナの粒成長を抑制する作用があるため、焼結体を緻密
化することができ、YAGを含まないアルミナ質焼結体
と比較して曲げ強度及び硬度を向上させることができる
とともに、焼結体中におけるYAGの粒子径をアルミナ
の粒子径より適度に小さくしてあることから、破壊靱性
値を2.0〜3.9MPa・√m程度にまで下げること
ができ、焼結体の研削加工による加工性を向上させるこ
とができる。
【0016】ところで、このようなアルミナ質焼結体を
得るには、アルミナを50〜97重量%、YAGを3〜
50重量%の範囲で含有する必要がある。
【0017】なぜなら、アルミナの含有量が50重量%
未満となると(YAGの含有量が50重量%を超える
と)、主成分がYAGとなり、焼結体の機械的特性がY
AGの機械的特性に支配されることになり、焼結体の曲
げ強度や硬度がYAGを含まないアルミナ質焼結体より
大幅に低下するからであり、逆に、アルミナの含有量が
97重量%を超えると(YAGの含有量が3重量%未満
となると)、YAGの含有量が少ないことからアルミナ
の粒成長を抑制する効果が小さく、焼結体の曲げ強度や
硬度を向上させることができず、また、焼結体の破壊靱
性値を下げる効果も得られないからである。なお、好ま
しくは、アルミナを70〜95重量%、YAGを5〜3
0重量%の範囲で含有することが好ましい。
【0018】また、焼結体中におけるアルミナの平均結
晶粒子径は2〜10μm、YAGの平均結晶粒子径は
1.5〜5μmの範囲にあるものを用いることが好まし
い。
【0019】即ち、アルミナの平均結晶粒子径が10μ
mを超えると、焼結体中に気孔が多数介在することにな
り、焼結体の曲げ強度や硬度を向上させることができな
いからであり、逆にアルミナの平均結晶粒子径が2μm
未満となると、焼結体の破壊靱性値が高くなり、快削性
が損なわれるからである。
【0020】また、YAGの平均結晶粒子径が5μmを
超えると、焼結体の破壊靱性値が小さくなり過ぎるた
め、研削加工時にチッピングや欠けを生じ、精度良く製
作することが難しくなるとともに、ハンドリング時に欠
けや割れが生じるからであり、逆にYAGの平均結晶粒
径が1.5μm未満となると、焼結体の破壊靱性値が高
くなり過ぎ、加工性が損なわれるからである。
【0021】なお、好ましくは、アルミナの平均結晶粒
子径が3〜7μm、YAGの平均結晶粒子径が1.8〜
5μmの範囲にあるものが好ましい。
【0022】さらに、焼結体中におけるYAGは、その
平均結晶粒子径が主成分であるアルミナの平均結晶粒子
径より適度に小さく、上記YAGの平均結晶粒子径に対
するアルミナの平均結晶粒子径の比が1より大きく、7
より小さくすることが重要である。
【0023】即ち、YAGの平均結晶粒子径に対するア
ルミナの平均結晶粒子径の比が1より小さいと、YAG
の粒子径がアルミナの粒子径に近くなり、焼結体の曲げ
強度や硬度が低下するとともに、破壊靱性値が大きく低
下し過ぎてしまうからであり、逆にYAGの平均結晶粒
子径に対するアルミナの平均結晶粒子径の比が7より大
きいと、破壊靱性値が高くなり過ぎるために加工性が損
なわれるからである。
【0024】また、本発明の快削性を有する高強度アル
ミナ質焼結体は、主成分のアルミナと副成分のYAGが
上述した範囲内にあれば、他の助剤成分を含有していて
も良く、例えば、アルミナ質焼結体の焼結助剤として用
いられるMgO、SiO2、CaOを含んでいても構わ
ない。
【0025】このような範囲内にある本発明の快削性を
有する高強度アルミナ質焼結体は、4点曲げ強度290
MPa以上、ビッカース硬度15GPa以上の高強度、
高硬度を有するとともに、耐熱衝撃性(ΔT)150℃
以上、破壊靱性値が2.0〜3.9MPa・√mの範囲
にあり、ハンドリング時に破損することなく、焼結体の
研削性を向上させることができる。
【0026】ところで、このような快削性を有する高強
度アルミナ質焼結体を得るには、まず、出発原料として
アルミナ粉末とYAG粉末及び必要に応じて焼結助剤等
の助剤成分を用意する。
【0027】アルミナ粉末はアルミナ純度が95%以上
を有するとともに、平均粒子径が1〜15μm、BET
比表面積が1〜4m2/gのものを用いることが好まし
い。
【0028】また、YAG粉末は、Al23粉末とY2
3粉末を下式の割合で混合して1000〜1600℃
で仮焼した後、これらを粉砕することにより得ることが
でき、平均粒子径0.6〜1.2μm、BET比表面積
2〜5m2/gの粉末を用いることが好ましい。 (式) A+B=1 0.365≦A≦0.385 0.615≦B≦0.635 A:イットリアのモル量 B:酸化アルミニウムのモル量 そして、上記アルミナ粉末を50〜97重量%、上記Y
AG粉末を3〜50重量%の範囲で混合し、さらにワッ
クスエマルジョン(ワックス+乳化剤)、PVA(ポリ
ビニルアルコール)、PEG(ポリエチレングリコー
ル)等の所望の有機バインダーを添加混合し、混練して
スラリーを作製するか、あるいは混練乾燥させて造粒粉
を作製し、スラリーを用いる場合、鋳込成形法、射出成
形法、ドクターブレード法等のテープ成形法により所定
形状に成形し、また、造粒粉を用いる場合、型内に充填
してプレス成形等の一軸加圧成形法を用いるか、あるい
はラバープレス成形等のように等加圧成形法を用いて所
定形状に成形し、しかる後、得られた成形体を必要に応
じて300〜600℃で脱脂し、しかる後、大気雰囲気
中にて1500〜1750℃の温度範囲で焼成する。
【0029】ここで、焼成温度を1500〜1750℃
とするのは、1500℃未満であると、十分に焼結が進
まず、緻密化することができないからであり、逆に17
50℃を超えると、アルミナ粒子やYAG粒子が異常粒
成長を起こし、焼結体の曲げ強度、硬度、破壊靱性値等
の機械的特性が低下するからである。
【0030】以上のような条件にて焼成することによ
り、4点曲げ強度290MPa以上、ビッカース硬度1
5GPa以上の高強度、高硬度を有するとともに、耐熱
衝撃性(ΔT)150℃以上、破壊靱性値が2〜3.9
MPa・√mの範囲にあるアルミナを主成分とする快削
性を有した高強度アルミナ質焼結体を得ることができ、
このアルミナ質焼結体を所定形状に加工するため、各種
加工装置の留め具にハンドリングしても欠けや割れを生
じ難く、また、研削加工を施せば、快削性に優れるた
め、比較的短時間で加工することができる。
【0031】次に、本発明の快削性を有する高強度アル
ミナ質焼結体を耐食性部材に用いた応用例について説明
する。
【0032】ここで、耐食性部材とは、ハロゲン系腐食
性ガスあるいはそのプラズマに曝される部材のことであ
り、具体的には、真空チャンバーの内壁材、マイクロ波
導入窓、フォーカスリング、クランプリング、サセプタ
として用いられるものである。
【0033】ハロゲン系腐食性ガスとしては、SF6
CF4、CHF3、ClF3、NF3、C48、HF等のフ
ッ素系ガス、Cl2、HCl、BCl3、CCl4等の塩
素系ガス、あるいはBr2、HBr、BBr3等の臭素系
ガスなどがある。そして、これらのハロゲン系腐食性ガ
スが使用される雰囲気下でマイクロ波や高周波が導入さ
れると、これらのガスがプラズマ化されることになる。
また、エッチング効果をより高めるために、ハロゲン系
腐食性ガスとともに、Ar等の不活性ガスを導入してプ
ラズマを発生させることもある。
【0034】そして、このようなハロゲン系腐食性ガス
あるいはそのプラズマに曝される耐食性部材として本発
明の快削性を有する高強度アルミナ質焼結体を用いれ
ば、その構成成分であるYAGがフッ素系や塩素系等の
腐食性ガスやそのプラズマに対する耐食性に優れ、しか
もこのYAG結晶が腐食を受け易いアルミナ質焼結体の
粒界層に介在していることから、焼結体の耐食性を、Y
AGを含まないアルミナ質焼結体と比較して向上させる
ことができる。
【0035】本発明の快削性を有する高強度アルミナ質
焼結体を耐食性部材に用いる場合においてもアルミナを
50〜97重量%、YAGを3〜50重量%の範囲で含
有するとともに、焼結体中におけるアルミナの平均結晶
粒子径が2〜10μm、YAGの平均結晶粒子径が1.
5〜5μmの範囲にあり、かつ上記YAGの平均結晶粒
子径に対するアルミナの平均結晶粒子径の比が1より大
きく、7より小さくしたものを用いることが良い。
【0036】即ち、アルミナの含有量が50重量%未満
となると(YAGの含有量が50重量%を超えると)、
主成分がYAGとなり、焼結体の機械的特性がYAGの
機械的特性に支配されることになり、焼結体の曲げ強度
や硬度がYAGを含まないアルミナ質焼結体より低くな
るとともに、さらに破壊靱性値が2.0MPa・√m未
満となるからであり、逆に、アルミナの含有量が97重
量%を超えると(YAGの含有量が3重量%未満となる
と)、YAGの含有量が少ないことからアルミナの粒成
長を抑制する効果が小さく、焼結体を緻密化できないた
め、曲げ強度や硬度を向上させることができず、また、
YAGを含むことによる耐食性の向上が望めないからで
ある。
【0037】また、アルミナの平均結晶粒子径が10μ
mを超えると、焼結体中に気孔が多数介在することにな
り、焼結体の曲げ強度や硬度を向上させることができ
ず、また、プラズマに曝されると、気孔のエッジが腐食
を受け易いため、腐食の進行が加速されるからであり、
逆にアルミナの平均結晶粒子径が2μm未満となると、
焼結体の破壊靱性値が高くなり、加工性が損なわれるか
らである。
【0038】さらに、YAGの平均結晶粒子径が5μm
を超えると、焼結体の破壊靱性値が小さくなり過ぎるた
め、研削加工時にチッピングや欠けを生じ、精度良く製
作することが難しくなるとともに、ハンドリング時等に
おいても欠けや割れが生じるからであり、逆にYAGの
平均結晶粒径が1.5μm未満となると、焼結体の破壊
靱性値が高くなり過ぎ、加工性が悪くなるからである。
【0039】また、YAGの平均結晶粒子径に対するア
ルミナの平均結晶粒子径の比が1より小さくなると、Y
AGの粒子径がアルミナの粒子径に近くなり、焼結体の
曲げ強度、硬度、破壊靱性値等の機械的特性が低下する
とともに、焼結体の耐熱衝撃性が低下してしまうからで
あり、逆にYAGの平均結晶粒子径に対するアルミナの
平均結晶粒子径の比が7より大きくなると、焼結体の曲
げ強度や硬度の向上とともに、破壊靱性値が高くなるた
めに加工性が悪くなるからである。
【0040】さらに、本発明の快削性を有する高強度ア
ルミナ質焼結体により形成した耐食性部材は、耐熱衝撃
性(△T)150℃以上を有することから、熱が加わる
ような環境下で使用したとしても熱衝撃等で割れる恐れ
が小さく、常に安定して使用することができる。
【0041】
【実施例】(実施例1)ここで、アルミナ及びYAGの
含有量、アルミナとYAGの平均結晶粒子径をそれぞれ
異ならせたアルミナ質焼結体を製作し、その4点曲げ強
度、ビッカース硬度、破壊靱性値、耐熱衝撃性について
調べる実験を行った。本実験に用いるアルミナ質焼結体
は、出発原料として、平均粒径が1〜15μm、アルミ
ナ純度が99.5%以上のアルミナ粉末と、平均粒径が
0.6〜1.2μmのYAG粉末を用い、表1に示す割
合で調合し、さらにイオン交換水とバインダーとしてワ
ックスエマルジョン(ワックス+乳化剤)、PVA(ポ
リビニルアルコール)及びPEG(ポリエチレングリコ
ール)を添加して混練乾燥させることにより造粒粉を作
製した。
【0042】次に、得られた造粒粉を金型内に充填し、
プレス成形法にて直径60mm、厚さ5mmの円盤状を
した成形体を製作し、しかる後、成形体を400℃で脱
脂し、さらに大気雰囲気中にて1500〜1750℃の
温度で5時間程度焼成することにより、試料としてのア
ルミナ質焼結体を得た。
【0043】なお、同様の条件にて製作したもののアル
ミナ及びYAGの同定とその含有量を粉末X線回折法に
て調べたところ、添加した時の含有量と同様の範囲内に
あった。また、同様の条件にて製作したものを走査型電
子顕微鏡にて観察し、アルミナ及びYAGの各平均結晶
粒子径を画像解析装置(ルーゼックス)にて測定したと
ころ、表1に示す通りであった。
【0044】そして、得られた各試料の4点曲げ強度
は、JIS R 1601 に準拠して測定し、その値
が基準試料として用意したアルミナ質焼結体(アルミナ
含有量99.5重量%)の4点曲げ強度より高いものを
優れたものとし、○で示し、より高い曲げ強度を有する
ものを◎で示した。なお、×は本発明範囲外のものであ
る。
【0045】また、得られた各試料のビッカース硬度
は、JIS R 1610 に準拠して測定し、その値
が基準試料として用意したアルミナ質焼結体(アルミナ
含有量99.5重量%)の4点曲げ強度より高いものを
優れたものとした。
【0046】さらに、得られた各試料の破壊靱性値は、
JIS R 1607 に準拠して測定し、その値が
2.0〜3.9MPa・√mの範囲内にあるものは加工
性に優れるとともに、ハンドリングしても破損すること
がないため、優れたものとし、○で示し、特に2.3〜
3.5MPa・√mの範囲内にあるものはさらに精度の
点においても優れていることから、◎で示した。なお、
×は本発明範囲外のものである。
【0047】また、得られた各試料の耐熱衝撃性は、投
下式水中急冷法に準拠し、水中投下した後に、4点曲げ
強度を測定し、強度劣化した時の△Tが150℃以上で
あるものを良好とした。
【0048】そして、4点曲げ強度、ビッカース硬度、
破壊靱性値、耐熱衝撃性の全ての要件に対して優れてい
る又は良好であったものを優れたものとした。
【0049】なお、比較例としてYAG焼結体も用い、
同様の条件にて測定を行った。
【0050】それぞれの結果は表1に示す通りである。
【0051】
【表1】
【0052】この結果、表1より判るように、アルミナ
を50〜97重量%、YAGを3〜50重量%含有し、
アルミナの平均結晶粒子径が2〜10μm、YAGの平
均結晶粒子径が1.5〜5μmで、かつYAGの平均結
晶粒子径に対するアルミナの平均結晶粒子径の比を1よ
り大きく、7より小さくした試料No.2〜11のもの
は、4点曲げ強度及びビッカース硬度の点で基準試料と
して用意した従来のアルミナ質焼結体よりも高強度、高
硬度を有するとともに、破壊靱性値が2.0〜3.9M
Pa・√mと加工性に優れ、しかも耐熱衝撃性(ΔT)
が150℃以上と全ての要件を満足することができ、優
れていた。
【0053】特に、アルミナ含有量を70〜95重量
%、YAG含有量を5〜30重量%、アルミナの平均結
晶粒子径を3〜7μm、YAGの平均結晶粒子径を1.
8〜5μm、YAGの平均結晶粒子径に対するアルミナ
の平均結晶粒子径の比を1.5より大きく、7より小さ
くした試料No.4〜8のものは、4点曲げ強度が34
0MPa以上、ビッカース硬度が16GPa以上と非常
に高い強度と硬度を有し、破壊靱性値が2.3〜3.5
MPa・√mと加工性だけでなく加工精度的にも優れ、
しかも耐熱衝撃性(ΔT)が160℃以上と優れてい
た。(実施例2)次に、表1の試料No.2〜11に示
す各試料を耐食性部材として用いた時のプラズマを発生
させた塩素系ガス雰囲気下での耐食性について調べる実
験を行った。
【0054】具体的には、各試料の表面をラップ加工に
より鏡面とし、RIE(Reactive Ion E
tching)装置にセットしてCl2ガス雰囲気下で
プラズマ中に3時間曝し、その前後の重量の減少量から
1分間当たりのエッチングレートを算出し、基準試料と
して用意したアルミナ質焼結体(アルミナ含有量99.
5重量%)のエッチングレートを1としたときの相対比
較値として求め、この相対比較値が1未満であるものを
優れたものとした。
【0055】結果は表2に示す通りである。
【0056】
【表2】
【0057】この結果、いずれの試料も基準試料として
用意したアルミナ質焼結体よりも腐食摩耗し難く、耐食
性に優れていることが判る。
【0058】この結果、本発明の快削性を有する高強度
アルミナ質焼結体は、耐食性部材としても好適に用いる
ことができることが判る。
【0059】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、アルミ
ナを50〜97重量%、アルミニウム・イットリウム・
ガーネットを3〜50重量%含有し、焼結体中における
上記アルミナの平均結晶粒子径を2〜10μmとすると
ともに、上記アルミニウム・イットリウム・ガーネット
の平均結晶粒子径を1.5〜5μmとし、かつ上記アル
ミニウム・イットリウム・ガーネットの平均結晶粒子径
に対する上記アルミナの平均結晶粒子径の比を1より大
きく、7より小さくして快削性に優れた高強度アルミナ
質焼結体を形成したことから、YAGを含まないアルミ
ナ質焼結体と比較して曲げ強度や硬度を向上させつつ、
破壊靱性値を若干下げることができるため、高強度、高
硬度でありながら、加工性に優れたものとすることがで
きる。その為、大型の構造部材として用いたとしても十
分な機械的強度を有しつつ、加工コストを下げることが
でき、しかも材料そのものが比較的安価なアルミナを主
成分とするものであるから、構造部材を安価に提供する
ことができる。
【0060】また、本発明の快削性に優れた高強度アル
ミナ質焼結体は、フッ素系や塩素系等のハロゲン系腐食
ガスやそのプラズマに対して優れた耐食性を有すること
から、耐食性部材として用いれば、長期間にわたって安
定して使用することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミナを50〜97重量%、アルミニウ
    ム・イットリウム・ガーネットを3〜50重量%含有す
    る焼結体であって、該焼結体中における上記アルミナの
    平均結晶粒子径が2〜10μm、上記アルミニウム・イ
    ットリウム・ガーネットの平均結晶粒子径が1.5〜5
    μmで、かつ上記アルミニウム・イットリウム・ガーネ
    ットの平均結晶粒子径に対する上記アルミナの平均結晶
    粒子径の比が1より大きく、7より小さいことを特徴と
    する快削性を有する高強度アルミナ質焼結体。
  2. 【請求項2】上記快削性を有する高強度アルミナ質焼結
    体の破壊靱性値が2.0〜3.9MPa・√mの範囲に
    あることを特徴とする請求項1に記載の快削性を有する
    高強度アルミナ質焼結体。
  3. 【請求項3】請求項1又は請求項2に記載の快削性を有
    する高強度アルミナ質焼結体によりプラズマに曝される
    部材を形成したことを特徴とする耐食性部材。
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