JP2002249797A - 2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ−2,7−ジエンの製造法、およびそれを含有する香気・香味・香喫味付与組成物 - Google Patents

2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ−2,7−ジエンの製造法、およびそれを含有する香気・香味・香喫味付与組成物

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JP2002249797A
JP2002249797A JP2001046562A JP2001046562A JP2002249797A JP 2002249797 A JP2002249797 A JP 2002249797A JP 2001046562 A JP2001046562 A JP 2001046562A JP 2001046562 A JP2001046562 A JP 2001046562A JP 2002249797 A JP2002249797 A JP 2002249797A
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Nobuhiko Ito
信彦 伊藤
Hideaki Takaoka
秀明 高岡
Yoshio Fukuda
義夫 福田
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Soda Aromatic Co Ltd
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Soda Aromatic Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フレッシュ、フルーティ、スイート感を有する
多面性を有したグリーン香をもつ2,6−ジメチル−
5,6−エポキシオクタ−2,7−ジエンを用いた香気
・香味・香喫味付与組成物、およびその2,6−ジメチ
ル−5,6−エポキシオクタ−2,7−ジエンの新規な
製造法を提供する。 【解決手段】一般式(2) 【化1】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるα−ハロ
ゲン化不飽和ケトンを原料に用いることにより、一般式
(1) 【化2】 で示される2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ
−2,7−ジエンを選択的に得る方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般式(1)
【0002】
【化23】 で示される2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ
−2,7−ジエンを含有する香気・香味・香喫味付与組
成物、および2,6−ジメチル−5,6−エポキシオク
タ−2,7−ジエンの製造法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】上記一般式(1)で示される2,6−ジ
メチル−5,6−エポキシオクタ−2,7−ジエンは、
天然には菖蒲などから見出されている天然物である。
2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ−2,7−
ジエンは、別名オシメンエポキシドとも呼ばれ、「合成
香料」(印藤元一著)にも記載されているが、それはM
yroxyde(Firmenich社)として香料用
途で市販されている後記する一般式(11)で示される
異性体に関するもので、2,6−ジメチル−5,6−エ
ポキシオクタ−2,7−ジエン独自の香気特性は今日ま
で認識されておらず、もちろん香気・香味・香喫味付与
組成物として使用されている報告はない。また、2,6
−ジメチル−5,6−エポキシオクタ−2,7−ジエン
の製造法としては、先行文献J.Org.Chem.,
1999, 64, 9742−9744に、下記式
のとおり、一般式(10)で示されるβ−オシメンを、
m−CPBAを用いてエポキシ化する方法が記載されて
いる。
【0004】
【化24】 しかしながら、この方法によれば、一般式(11)で示
される化合物の異性体が主生成物である混合物として得
られることが報告されており、上記一般式(1)で示さ
れる2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ−2,
7−ジエンを単独で得る方法については記載されていな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】香料に用いられる化合
物の香気は、わずかな構造の違いにより全く異なること
が一般的であり、そのため種々の化合物を合成し、その
香気を検討することは新しい香りを得るためには極めて
重要である。また、調合素材に関しては低価格であり、
独創的な香りであること等の様々な要望が存在する。
【0006】従来、様々な香りを有する香料素材は数多
く知られているが、香りの流行は時代とともに絶えず変
化しており、新しい香料素材を見出すことは極めて重要
である。
【0007】従って、本発明の課題は、フレッシュ、フ
ルーティ、スイート感を有する多面性を有したグリーン
香をもつ2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ−
2,7−ジエンを用いた香気・香味・香喫味付与組成物
を提供することにある。
【0008】本発明の他の課題は、上記2,6−ジメチ
ル−5,6−エポキシオクタ−2,7−ジエンを製造す
る新規な方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、鋭
意研究の結果、一般式(2)
【0010】
【化25】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるα−ハロ
ゲン化不飽和ケトンを原料に用いることにより、一般式
(1)
【0011】
【化26】 で示される2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ
−2,7−ジエンが選択的に得られることを見出した。
【0012】また、得られた2,6−ジメチル−5,6
−エポキシオクタ−2,7−ジエンと異性体であるMy
roxydeの香気を比較したところ、驚くべき事に全
く異なる香気特性を有し、香気・香味・香喫味付与とし
て有用であることを見出した。 さらに、2,6−ジメ
チル−5,6−エポキシオクタ−2,7−ジエンの異性
体をそれぞれ別に合成し、香気を比較したとこる、それ
ぞれに特徴を持った香気特性を示し、それぞれが香気・
香味・香喫味付与剤として有用であることも併せて見出
し本発明を完成するに至った。
【0013】本発明の香気・香味・香喫味付与組成物
は、一般式(1)
【0014】
【化27】 で示される2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ
−2,7−ジエンを含有する香気・香味・香喫味付与組
成物である。
【0015】本発明の香気・香味・香喫味付与組成物に
含有される2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ
−2,7−ジエンと異性体は、後述する製造方法で好適
に製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の2,6−ジメチル−5,
6−エポキシオクタ−2,7−ジエンは、次の方法で製
造することができる。
【0017】第一の方法は、 一般式(2)
【0018】
【化28】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるα−ハロ
ゲン化不飽和ケトンと、一般式(3)
【0019】
【化29】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるビニルグ
リニヤ試薬とを反応せしめて得られる、一般式(4)
【0020】
【化30】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるハロゲン
化マグネシウムアルコラートを、極性溶媒の存在下、エ
ポキシ化する方法である。
【0021】第二の方法は、一般式(2)
【0022】
【化31】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるα−ハロ
ゲン化不飽和ケトンと、一般式(3)
【0023】
【化32】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるビニルグ
リニヤ試薬とを反応せしめて得られる、一般式(4)
【0024】
【化33】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるハロゲン
化マグネシウムアルコラートを、プロトン化して得られ
る一般式(5)
【0025】
【化34】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるハロヒド
リンを、塩基を用いてエポキシ化する方法である。
【0026】また、第三の方法は、一般式(2)
【0027】
【化35】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるα−ハロ
ゲン化不飽和ケトンと、一般式(3)
【0028】
【化36】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるビニルグ
リニヤ試薬とを反応せしめて得られる、一般式(4)
【0029】
【化37】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるハロゲン
化マグネシウムアルコラートを、プロトン化して得られ
る一般式(5)
【0030】
【化38】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるハロヒド
リンの混合物から、一般式(6)
【0031】
【化39】 で示されるsyn体を分離し、次いで塩基を用いてエポ
キシ化するすることによる一般式(7)
【0032】
【化40】 で示される2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ
−2,7−ジエンのcis異性体の製造法である。
【0033】そして第四の方法は、一般式(2)
【0034】
【化41】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるα−ハロ
ゲン化不飽和ケトンと、一般式(3)
【0035】
【化42】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるビニルグ
リニヤ試薬とを反応せしめて得られる、一般式(4)
【0036】
【化43】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるハロゲン
化マグネシウムアルコラートを、プロトン化して得られ
る一般式(5)
【0037】
【化44】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるハロヒド
リンの混合物から、一般式(8)
【0038】
【化45】 で示されるanti体を分離し、次いで塩基を用いてエ
ポキシ化することによる一般式(9)
【0039】
【化46】 で示される2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ
−2,7−ジエンのtrans異性体の製造法である。
【0040】本発明に係わる前記一般式(2)で示され
るα−ハロゲン化不飽和ケトンにおいて、Xで示される
ハロゲン原子としては、Cl、BrおよびIが挙げられ
る。
【0041】また、前記一般式(3)で示されるビニル
グリニヤのXで示されるハロゲン原子としては、Cl、
BrおよびIが挙げられる。
【0042】α−ハロゲン化不飽和ケトンに対するをビ
ニルグリニヤ試薬の比率は、α−ハロゲン化不飽和ケト
ンに対して好ましくは0.5〜2当量、より好ましくは
1.0〜1.6当量を反応させる。この場合の反応温度
は、好ましくは−30〜20℃、より好ましくは−10
〜0℃である。また、反応時間は、好ましくは10分〜
24時間、より好ましくは30分から2時間である。
【0043】反応に用いられる溶媒としては、テトラヒ
ドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、t−ブチル
メチルエーテル、ジブチルエーテル、石油エーテル、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘ
プタンなどが挙げられるが、反応性の問題で、THFと
ジブチルエーテルが好ましく用いられる。
【0044】また、溶媒量は、α−ハロゲン化不飽和ケ
トンに対して好ましくは0.5から200重量倍、より
好ましくは1〜10重量倍用いられる。
【0045】さらに、エポキシ化反応において添加され
る非プロトン性極性溶媒としては、N,N’−ジメチル
プロピレンウレア(DMPU)、1,3−ジメチル−2
−イミダゾリジノン(DMI)、ヘキサメチルリン酸ト
リアミド(HMPA)、DMSO、DMF、1,1,
3,3−テトラメチルウレア(TMU)、1−メチル−
2−ピロリジノン(NMP)などが挙げられるが、反応
性、安全性および価格などの理由から、DMPUとDM
Iが特に好ましく用いられる。
【0046】また、この非プロトン性極性溶媒の添加量
は、ビニルグリニヤ試薬に対して好ましくは2〜10当
量、より好ましくは3〜5当量である。極性溶媒の添加
後の反応温度は、好ましくは20〜100℃、より好ま
しくは40〜80℃である。反応時間は、好ましくは3
0分から24時間、より好ましくは1から12時間反で
ある。
【0047】ハロヒドリンの取得法としては、上記形態
において得られた付加反応液をプロトン化することによ
り容易に得ることができる。プロトンソースとしては、
水、塩酸、硫酸、塩化アンモニウムなどが挙げられる
が、本発明ではこれらに限定されない。
【0048】また、ハロヒドリンからのエポキシ化反応
において用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カ
ルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属
水酸化物、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキ
シドなどのアルカリ金属アルコラートなどが挙げられる
が、反応性および価格などから、ナトリウムメトキシド
および水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
【0049】塩基の添加量は、用いるハロヒドリンに対
して0.5から5当量、好ましくは1から2当量が用い
られる。反応時間としては15分間〜24時間、好まし
くは30分間から6時間反応させる。
【0050】反応において溶媒は、水、メタノール、エ
タノール、ヘキサン、トルエンなど使用する塩基に対し
て安定なものであればこれに限るものではない。溶媒と
しては、反応の容易さから水、メタノールなどが好まし
く用いられる。溶媒の使用量は、ハロヒドリンに対して
1から200重量倍、好ましくは2から100重量倍で
反応する。 また、反応温度は、好ましくは0℃から1
50℃、より好ましくは25℃〜105℃である。
【0051】前記一般式(5)で示されるハロヒドリン
の分離においては、それ自体は公知である種々の分離法
が用いられるが、カラム精製が分離能力、簡便性などか
ら好ましく用いられる。
【0052】非プロトン性極性溶媒を用いるエポキシ化
反応または分離を行なわない場合においては、cis:
trans=20:80のものが得られてくるが、得ら
れる2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ−2,
7−ジエンのエポキシ基に起因する立体異性体は光学異
性体を含めて計4種類存在し、使用にあたってそれぞれ
の使用比率は0から100の任意の割合で使用すること
ができる。
【0053】このようにして得られた前記一般式(1)
で表される2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ
−2,7−ジエンは、フレッシュ、フルーティ、スイー
ト感を持った多面的で非常に強く、持続性のあるグリー
ン香を有している。また、cis異性体においては、シ
トラス、フルーティ、ハーブ調の軽く柔らかく、匂い立
ちに優れたグリーン香を有し、一方、trans異性体
は、シトラス調で重く苦みを伴ったグリーン香を有して
おり、それぞれの香料素材として有用で有ることが明ら
かとなった。この2,6−ジメチル−5,6−エポキシ
オクタ−2,7−ジエンは、単独、またはそれ異性体の
混合比を変化させたもの、他の香料等の成分を配合で香
気・香味・香喫味付与組成物とし、飲食物、香水、飲食
物、香水、化粧品およびたばこに添加される。この香料
組成物には、通常の香料に使用される成分であれば特に
限定されることなく他の成分を配合することができる。
【0054】本発明の2,6−ジメチル−5,6−エポ
キシオクタ−2,7−ジエンを香料組成物の製造に使用
する場合、その配合量は通常0.01〜30重量部の範
囲で選択されるが、意図する官能効果によってはこの範
囲外でも使用し得る。
【0055】また、本発明の2,6−ジメチル−5,6
−エポキシオクタ−2,7−ジエンは、香気・香味・香
喫味を付与する香料組成物の成分として、各種飲食物、
香水、化粧品およびたばこに添加してエポキシ化合物類
の特徴的な香気・香味・香喫味を付与することができ
る。本発明の2,6−ジメチル−5,6−エポキシオク
タ−2,7−ジエンの各種飲食物、香水、化粧品および
たばこへの添加量は、添加する飲食物、香水、化粧品お
よびたばこの種類によって適宜選択することができる。
【0056】本発明のエポキシ化合物である2,6−ジ
メチル−5,6−エポキシオクタ−2,7−ジエンを含
有する香気・香味・香喫味を付与する香料組成物は、こ
のものの香気、香味、香喫味付与効果を期待する各種飲
食物、香水、化粧品およびたばこであれば特に限定する
ことなく添加することができる。例えば、石鹸、シャン
プー、化粧品、スプレー製品、芳香剤、デオドラント、
洗浄剤及び織物柔軟化剤等の広範囲の製品を賦香するた
め、並びに、香料基礎剤の製造のために使用できる。ま
た、強炭酸、微炭酸、無炭酸を問わず、果汁飲料類、果
実酒類、乳飲料類の如き飲料類、アイスクリーム類、シ
ャーベット類の如き冷菓類、和・洋菓子類、ジャム類、
チューインガム類、紅茶、コーヒー、ココア、緑茶の如
き嗜好食品類、その他食品添加物、動物飼料などに使用
する香料組成物に配合し、優れた官能特性をもつ製品に
することができる。
【0057】また、たばこの種類については、通常の葉
たばこを原料として製造される紙巻きたばこ、パイプた
ばこ、葉巻たばこ等の他、天然繊維あるいは植物の植物
の組織培養物を用いて製造される合成たばこに配合する
ことができる。紙巻きたばこについては、製造用の材料
品、例えば、紙巻き、糊、フィルター等に含有させるこ
とも香喫味効果を上げることができる。また、その他、
消毒薬などの各種保健・衛生材料類、医薬品などの服用
を容易にするための矯味、賦香剤などの保健・衛生・医
薬品類等に用いることができる。
【0058】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0059】(参考例) 3−クロロ−6−メチル−5
−ヘプテン−2−オンの合成法 リチウムジイソプロピルアミド、ヘキサメリン酸トリア
ミド(1.1mol)のTHF溶液中に−78℃でメチ
ルジクロロアセテート127g(1.0mol)のTH
F溶液を滴下した。そのまま1.5時間おいた後、1−
ブロモ−3−メチル−2−ブテン179g(1.2mo
l)のエーテル溶液を滴下した。4時間で室温まで昇温
した後、塩酸を用いて酸性化、エーテル抽出、溶媒回
収、蒸留精製によりメチル2,2−ジクロロ−5−メチ
ル−4−ヘキサノエート165gを得た。収率は78m
ol%であった。
【0060】次に、2,2−ジクロロ−5−メチル−4
−ヘキサノエートのエーテル溶液に、−60℃でメチル
リチウム(0.78mol)のエーテル溶液を滴下し、
直ちに塩酸で失活、エーテル抽出、溶媒回収、蒸留によ
り3,3−ジクロロ−6−メチル−5−ヘプテン−2−
オン114gを得た。収率は75mol%であった。
【0061】次に、リチウムジメチルキュープレート
(1.17mol)のエーテル溶液中に3,3−ジクロ
ロ−6−メチル−5−ヘプテン−2−オンのエーテル溶
液を−60℃で滴下し、15分間反応した。塩酸で失
活、エーテル抽出、溶媒回収、蒸留により3−クロロ−
6−メチル−5−ヘプテン−2−オン78gを得た。収
率は83mol%であった。
【0062】(実施例−1) 2,6−ジメチル−5,
6−エポキシオクタ−2,7−ジエンの合成 3−クロロ−6−メチル−5−ヘプテン−2−オン16
g(0.1mol)のTHF溶液に−10〜0℃でビニ
ルマグネシウムクロリド(1.6mol)のTHF溶液
を滴下した。そのまま30分間反応し、N,N’−ジメ
チルプロピレンウレア(DMPU)82.0gを添加し
50℃に昇温した。そのまま1時間反応し、飽和塩化ア
ンモニウム水溶液を滴下して失活した。エーテル抽出、
溶媒回収、蒸留により2,6−ジメチル−5,6−エポ
キシオクタ−2,7−ジエンのcis:trans=2
0:80の混合物10.3gを得た。収率は68mol
%であった。このものとMyroxyde(Firme
nich社製)の香気比較を行なったところ、Myro
xydeの香気がグレープフルーツ的なフルーティ感を
持った堅いシトラス調香気を有するのに対して、2,6
−ジメチル−5,6−エポキシオクタ−2,7−ジエン
は、フレッシュ、フルーティ、スイート感を持った多面
的で非常に強く、持続性のあるグリーン香と全く異なる
香気を有することが判明した。
【0063】(実施例−2) 5−クロロ−2,6−ジ
メチル−オクタ−2,7−ジエン−6−オールの各異性
体の合成 3−クロロ−6−メチル−5−ヘプテン−2−オン8.
0g(0.05mol)のTHF溶液に−10〜0℃で
ビニルマグネシウムクロリド(0.08mol)のTH
F溶液を滴下した。そのまま30分間反応し、飽和塩化
アンモニウム水溶液を滴下して失活した。エーテル抽
出、溶媒回収、カラム精製(Merck社製ローバーカ
ラム、ヘキサン:酢酸エチル=9:1)して5−クロロ
−2,6−ジメチル−オクタ−2,7−ジエン−6−オ
ールのsyn体、anti体をそれぞれ得た。収率はs
yn体:1.13g,12mol%、anti体:5.
66g,60mol%であった。
【0064】(実施例−3) 2,6−ジメチル−5,
6−エポキシオクタ−2,7−ジエンの合成(cis−
異性体) syn体の5−クロロ−2,6−ジメチル−オクタ−
2,7−ジエン−6−オール混合物1.0g(5.3m
mol)のTHF溶液に0℃でナトリウムメトキシドの
28%−メタノール溶液3.1gを滴下した。そのまま
30分間反応し、希硫酸で失活、エーテル抽出、溶媒回
収、カラム精製によりcis−体の2,6−ジメチル−
5,6−エポキシオクタ−2,7−ジエン0.69gを
得た。収率は85mol%であった。このものの香気評
価を行ったところシトラス、フルーティ、ハーブ調の軽
く柔らかく、匂い立ちに優れたグリーン香を有すること
が明らかとなった。
【0065】(実施例−4) 2,6−ジメチル−5,
6−エポキシオクタ−2,7−ジエンの合成(tran
s−異性体) anti体の5−クロロ−2,6−ジメチル−オクタ−
2,7−ジエン−6−オール混合物2.0g(10.6
mmol)のTHF溶液に0℃でナトリウムメトキシド
の28%−メタノール溶液6.4gを滴下した。そのま
ま30分間反応し、希硫酸で失活、エーテル抽出、溶媒
回収、カラム精製によりtrans−体の2,6−ジメ
チル−5,6−エポキシオクタ−2,7−ジエン1.3
9gを得た。収率は86mol%であった。このものの
香気評価を行ったところ、シトラス調で重く苦みを伴っ
たグリーン香を有することが明らかとなった。
【0066】 (実施例−5) ムスキーグリーンフローラルタイプの香気付与組成物 成 分 重量部 シクロヘキサデセノリド 4 ベルガモットオイル 80 レモンオイル 2 ヘリオブーケ 20 リリーアルデヒド 80 シクロペンタデカノリッド 500 ミントオイル 2 ローズオイル 20 シトロネロール 80 イソボルニルシクロヘキサノール 200 バジルオイル 2 計 990 上記の混合物に10重量部の2,6−ジメチル−5,6
−エポキシオクタ−2,7−ジエンのcis:tran
s=20:80の混合物を加え、新規調合組成物を得
た。2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ−2,
7−ジエンを加えることにより、力強いナテュラルなグ
リーンフローラル感を賦与、強調することができた。
【0067】(実施例−6) グレープフレーバータイ
プの香気・香味・香付与組成物 グレープフレーバータイプの調合組成物として次の各成
分を混合した。
【0068】 成 分 重量部 ヘキサン 1 エチルマルトール 8 シトロネリルアセテート 2 1−フェニルエチルアセテート 5 エチル プロピオネート 38 エチル ブチレート 4 2−フェニルエチル ブチレート 2 エチル イソバレレート 5 エチル ヘプタノエート 2 エチル アセトアセテート 4 メチル アンスラニレート 32 シス−3−ヘキセノール 2 ゲラニオール 2 レモン油 1 プロピレングリコール 980 計 998 上記の混合物に、2重量部のcis異性体の2,6−ジ
メチル−5,6−エポキシオクタ−2,7−ジエンを加
え、新規調合組成物を得た。2,6−ジメチル−5,6
−エポキシオクタ−2,7−ジエンを加えることによ
り、新たにフレッシュ感、フルーティ感、膨らみを賦与
することができ、よりブドウ果実のみずみずしい果汁感
を再現できた。
【0069】(実施例−7) バニラフレーバータイプ
の香気・香味・香付与組成物 グレープフレーバータイプの調合組成物として次の各成
分を混合した。
【0070】 成 分 重量部 ワニリン 10 エチルワニリン 50 エチルラクテート 10 エチル アセトアセテート 7 エチル シンナメート 2 エチル ミリステート 8 γ−ノナラクトン 1 γ−デカラクトン 1 δ−デカラクトン 1 ヘリオトロピン 8 オイゲノール 2 バニラオレオレジン 11 バニラエキストラクト 880 計 998 上記の混合物に2重量部のtrans異性体の2,6−
ジメチル−5,6−エポキシオクタ−2,7−ジエンを
加え、新規調合組成物を得た。2,6−ジメチル−5,
6−エポキシオクタ−2,7−ジエンを加えることによ
り、新たにボディ感、熟成感、甘み、膨らみを賦与する
ことができた。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、前記一般式(1)で示
される2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ−
2,7−ジエンが、フレッシュ、フルーティ、スイート
感をもった多面的で非常に強く、持続性のあるグリーン
香を有しこれらを使用することにより優れた香気・香味
・香喫味付与組成物、およびそれを添加したフレッシ
ュ、フルーティ、スイート感をもった飲食物、香水、化
粧品およびたばこが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07D 303/04 C07D 303/04 (72)発明者 福田 義夫 千葉県野田市船形1573−4 曽田香料株式 会社野田支社内 Fターム(参考) 4B047 LB02 LG05 4C048 AA01 BB02 CC01 UU04 XX01 XX02 4H059 BA18 BB15 BB22 BB43 DA09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 で示される2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ
    −2,7−ジエンを含有する香気・香味・香喫味付与組
    成物。
  2. 【請求項2】 一般式(2) 【化2】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるα−ハロ
    ゲン化不飽和ケトンと、一般式(3) 【化3】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるビニルグ
    リニヤ試薬とを反応せしめて得られる、一般式(4) 【化4】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるハロゲン
    化マグネシウムアルコラートを、極性溶媒の存在下、エ
    ポキシ化することによる一般式(1) 【化5】 で示される2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ
    −2,7−ジエンの製造法。
  3. 【請求項3】 一般式(2) 【化6】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるα−ハロ
    ゲン化不飽和ケトンと、一般式(3) 【化7】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるビニルグ
    リニヤ試薬とを反応せしめて得られる、一般式(4) 【化8】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるハロゲン
    化マグネシウムアルコラートを、プロトン化して得られ
    る一般式(5) 【化9】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるハロヒド
    リンを、塩基を用いてエポキシ化することによる一般式
    (1) 【化10】 で示される2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ
    −2,7−ジエンの製造法。
  4. 【請求項4】 一般式(2) 【化11】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるα−ハロ
    ゲン化不飽和ケトンと、一般式(3) 【化12】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるビニルグ
    リニヤ試薬とを反応せしめて得られる、一般式(4) 【化13】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるハロゲン
    化マグネシウムアルコラートを、プロトン化して得られ
    る一般式(5) 【化14】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるハロヒド
    リンの混合物から、一般式(6) 【化15】 で示されるsyn体を分離し、次いで塩基を用いてエポ
    キシ化することによる一般式(7) 【化16】 で示される2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ
    −2,7−ジエンのcis異性体の製造法。
  5. 【請求項5】 一般式(2) 【化17】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるα−ハロ
    ゲン化不飽和ケトンと、一般式(3) 【化18】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるビニルグ
    リニヤ試薬とを反応せしめて得られる、一般式(4) 【化19】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるハロゲン
    化マグネシウムアルコラートを、プロトン化して得られ
    る一般式(5) 【化20】 (式中、Xはハロゲン原子を表す)で示されるハロヒド
    リンの混合物から、一般式(8) 【化21】 で示されるanti体を分離し、次いで塩基を用いてエ
    ポキシ化することによる一般式(9) 【化22】 で示される2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ
    −2,7−ジエンのtrans異性体の製造法。
  6. 【請求項6】 請求項2〜5のいずれかに記載の製法で
    得られた2,6−ジメチル−5,6−エポキシオクタ−
    2,7−ジエンまたは異性体を含有する香気・香味・香
    喫味付与組成物。
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