JP2002242999A - 遊星歯車減速機の軸方向規制構造 - Google Patents

遊星歯車減速機の軸方向規制構造

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JP2002242999A
JP2002242999A JP2001038990A JP2001038990A JP2002242999A JP 2002242999 A JP2002242999 A JP 2002242999A JP 2001038990 A JP2001038990 A JP 2001038990A JP 2001038990 A JP2001038990 A JP 2001038990A JP 2002242999 A JP2002242999 A JP 2002242999A
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axial
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carrier pin
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Taku Haga
卓 芳賀
Takashi Hatanaka
貴志 畠中
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャリアピン及び該キャリアピンに支持され
ている(複数の)遊星歯車について、部品点数が少な
く、簡易な方法で、しかも新たな不具合を何ら発生させ
たりすることなく、その軸方向の位置規制を行う。 【解決手段】 ケーシングの、前段の遊星歯車機構Sp
のキャリアピン84の端面付近に、リング状のアキシャ
ルプレート94を組み込み、且つ、遊星歯車74のベア
リング92の一部がこのアキシャルプレート94から露
出するようにする。又、キャリアピン84の端面と、こ
のアキシャルプレート94のキャリアピン側の対向面と
の間に、オイルの流入を許容するわずかな隙間ΔS1を
維持させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遊星歯車機構をケ
ーシング中に多段に備えた遊星歯車減速機の軸方向規制
構造にかかる。
【0002】
【従来の技術】遊星歯車機構は、太陽歯車と、(キャリ
ヤから突出された)キャリヤピンによって支持され、該
太陽歯車と外接する遊星歯車と、該遊星歯車が内接する
内歯歯車とを備える。この遊星歯車機構は、コンパクト
であること、及び各要素の固定、入力、出力を変更する
ことで減速比(あるいは増速比)を容易に変更できるこ
と等から様々な用途に広く利用されている。
【0003】更に、この遊星歯車機構を2組以上備え、
多段構成とすることによってコンパクトで大きな減速比
を実現するようにした減速機も広く利用されている。
【0004】又、最近の工場の生産ラインは、多品目を
同時に製造するために複雑化しており、従来のように単
一の動力でライン全体を動かすのではなく、個々の部分
にそれ専用の減速機付モータを配置して多様化に対応す
ると共に、より効率の高い生産が行われるように配慮さ
れており、この意味でも、モータに連結する減速機のタ
イプとして、コンパクト化が可能な遊星歯車機構が注目
されている。
【0005】ところで、遊星歯車機構には、一般に遊星
歯車が複数(例えば3個、あるいは4個)設けられてお
り、各遊星歯車はキャリヤ(の本体)から突出されたキ
ャリアピンによって回転自在に支持されている。
【0006】キャリヤを遊星歯車を挟んで軸方向に一対
配置し、キャリアピンを該一対のキャリヤによって両持
ち支持するタイプの遊星歯車機構においては、一般に、
この一対のキャリヤ自体が比較的大きなベアリングを介
してケーシングにその軸方向移動が規制された状態で回
転自在に組み込まれ、遊星歯車は当該一対のキャリアに
よってその軸方向位置が規制される。
【0007】これに対し、キャリヤが遊星歯車の片側に
のみ存在し、キャリアピンが片持ち状態で突出形成され
ているタイプにあっては、各遊星歯車の軸方向の位置規
制(即ちキャリアピンからの抜け防止)を何らかの方法
で行う必要があり、これをどのような方法で行うかにつ
いて、種々の方法が提案されている。
【0008】一般的には、キャリアピンの端部にワッシ
ャタイプの抜け防止用のプレートをねじによって取り付
けたり、いわゆる止め輪と称されるリングをキャリアピ
ンの外周に形成した溝にはめ込んだりする手法が採用さ
れている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法は、いずれも複数ある遊星歯車のそれぞれについ
て一個一個対処するものであったため、組立て工数が増
大し、また部品点数も増大するという問題があった。
【0010】又、特に多段構成とされた遊星歯車減速機
の場合、最終段以外の遊星歯車機構においては、キャリ
アピンが片持ちタイプとされることが多いが、この場合
キャリヤピンを支持しているキャリヤ自体が1個しかな
い(1対存在しない)ため、該キャリア自体の軸方向の
移動規制が(一対ある場合に比べて)行いにくく、これ
をどのようにして行うかということも、ときに問題とな
る。
【0011】本発明は、このような従来の問題に鑑みて
なされたものであって、キャリアピン及び該キャリアピ
ンに支持されている(複数の)遊星歯車について、部品
点数が少なく、簡易な方法で、しかも新たな不具合を何
ら発生させたりすることなく、その軸方向の位置規制を
一度に行うことのできる遊星歯車減速機の軸方向規制構
造を提供することその課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、太陽歯車と、
キャリアピンに支持され該太陽歯車と噛合する遊星歯車
と、該遊星歯車が内接する内歯歯車とを有する遊星歯車
機構を、ケーシング中に多段に備えた遊星歯車減速機の
軸方向規制構造において、前記ケーシングの、前記多段
の遊星歯車機構のうち最終段以外の少なくとも1つの遊
星歯車機構のキャリアピンの端面付近に、リング状のア
キシャルプレートを組み込んだことにより、上記課題を
解決したものである。
【0013】本発明によれば、ケーシングのキャリアピ
ンの端面付近において、リング状のアキシャルプレート
が組み込まれる。そのため、各遊星歯車をベアリングを
介して各々のキャリアピンに装着するだけで、キャリア
ピン及び全遊星歯車とも、その軸方向の少なくとも一方
側に対する位置規制がこのアキシャルプレートによって
実現される。
【0014】遊星歯車の他方側の位置規制については、
一般にキャリアによって実現できるため、これにより遊
星歯車の軸方向両側の位置規制を行うことができる。
【0015】一方、キャリアピンの他方側の位置規制に
ついては、本発明ではとくに限定しないが、例えばキャ
リアピンと一体化されているキャリヤをベアリングを介
してケーシングに支持する場合には、その「他方側」の
みの位置規制を行うだけで済むようになる。また、後述
するように、最終段側の太陽歯車の支持に一定の工夫を
加えたりすることにより、ベアリングを用いることな
く、該他方側の位置規制を行うことも可能である。
【0016】ここで、本発明は、この位置規制がリング
状のアキシャルプレートを配置することによって行われ
ることに大きな特徴がある。
【0017】即ち、アキシャルプレートは(ケーシング
とは異なる)単独の部品であるため、耐摩耗性があり、
且つ摺動抵抗の小さな素材を容易に選択することができ
る。
【0018】なお、このアキシャルプレートは、キャリ
アピンに遊星歯車を回転自在に支持しているベアリング
の少なくとも一部が、キャリアピン側の対向面に対して
露出しているような態様で組み込まれるようにするとよ
い。これにより、ベアリングにオイルを容易に供給する
ことが可能となり、良好な回転状態を長期にわたって維
持することができるようになる。
【0019】ここで、最終段の遊星歯車機構の太陽歯車
が、該最終段の遊星歯車機構のキャリヤに組み込まれた
最終段アキシャルプレートによって、その軸方向の移動
が規制されるようにした場合には、最終段以外の遊星歯
車機構のキャリヤや太陽歯車等の軸方向規制(特に前記
他方側の位置規制)を実現することもでき、後述するよ
うに、設計によっては当該最終段以外のアキシャルプレ
ートとの連携により、減速機内の主要部品の軸方向の位
置決めを一度に行うことも可能となる。
【0020】また、もし、前記最終段の遊星歯車機構の
太陽歯車が、前記最終段アキシャルプレートに回転自在
に係合する突出部を有し、該アキシャルプレートによっ
て、該太陽歯車の軸方向の移動が規制されると共に、半
径方向の回転の支持がなされるようにした場合には、減
速機全体の軸受の数を低減することも可能となる。
【0021】実際の減速機の設計においては、後述する
ように、初めから多段専用に構成するのではなく、既に
ある減速機構の一部を改良してその前段あるいは後段に
もう一段減速機構を追加することがしばしば行われる。
【0022】このような追加タイプの多段型減速機の場
合、とりわけその追加分のキャリヤや遊星歯車等の回転
部材の支持や軸方向の位置規制をどのようにして実現す
るかが問題となるが、本発明は、正に、このような場合
に適用すると、最良の効果を得ることができる。
【0023】なお、本発明は、その趣旨より、太陽歯車
と、キャリアピンに支持され該太陽歯車と噛合する遊星
歯車と、該遊星歯車が内接する内歯歯車とを有する遊星
歯車機構を、ケーシング中に多段に備えた遊星歯車減速
機の軸方向規制構造において、前記ケーシングの、前記
多段の遊星歯車機構のうち最終段以外の少なくとも1つ
の遊星歯車機構のキャリアピンの端面付近に、リング状
のアキシャルプレートを組み込み、且つ、該キャリアピ
ンの端面と、このアキシャルプレートのキャリアピン側
の対向面との間に、オイルの流入を許容するわずかな隙
間を設けたような構造とすることも可能である。
【0024】このような隙間を設けた場合には、ベアリ
ングへの潤滑が十分可能となるため、該ベアリングは必
ずしもその一部を露出する必要はない。
【0025】なお、この隙間は、この目的から、組み付
け誤差を吸収するためだけの寸法に対し、明らかに大き
な寸法に設定され、オイルの粘度や流入位置から潤滑位
置までの距離に応じて適宜の値に決定される。
【0026】但し、その一方で、オイルの流入が許容さ
れればよい大きさであるため、不必要に大きな寸法は必
要なく、軸方向規制の役割は、十分果たすことができ
る。むしろ、各部材のより円滑な回転に寄与することも
確認されており、その意味で、この構成は、(より良好
な潤滑性能を確保したい場合には)ベアリングの一部を
露出させる構成と併用するのも有効であり、相応の相乗
効果が得られる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下図面に基づいて本発明の実施
の形態を詳細に説明する。
【0028】図1は、本発明に係る遊星歯車減速機の軸
方向規制構造が適用された単純遊星歯車減速機の概略縦
断面図である。
【0029】この単純遊星歯車減速機R1は、太陽歯車
12と、該太陽歯車12と外接する3個の遊星歯車14
と、該遊星歯車14が内接する内歯歯車16と、を備え
た単純遊星歯車機構Seを本来の減速機構として備え、
更に、その前段側に、太陽歯車72と、該太陽歯車72
と外接する3個の遊星歯車74と、該遊星歯車74が内
接する内歯歯車76と、を備えた単純遊星歯車機構Sp
が付設された構成とされている。
【0030】即ち、この単純遊星歯車減速機R1におい
ては、単純遊星歯車機構Seが「最終段」の遊星歯車機
構に相当しており、また単純遊星歯車機構Spが「最終
段以外」の遊星歯車機構に相当していることになる。
【0031】前述したように、実際の減速機において
は、このように、初めから多段専用に構成するのではな
く、既にある減速機構の一部を改良してその前段あるい
は後段にもう一段減速機構を追加することが非常にしば
しば行われる。このような追加タイプの多段型減速機の
場合、とりわけキャリヤや遊星歯車等の回転部材の支持
や軸方向の位置規制をどのようにして実現するかが問題
となる。
【0032】以下、動力の流れの順に従い、前段側の単
純遊星歯車機構Spの構成から順に説明する。
【0033】単純遊星歯車機構Spの太陽歯車72は、
その入力軸78に直接歯切りされている。この入力軸7
8は、モータの出力軸(共に図示略)が挿入される凹部
78Aを有し、ねじ部78Bに螺合する締めボルト(図
示略)を介して該出力軸と連結されている。
【0034】なお、モータは連結用のボルト穴80Aを
介して(ケーシングの一部である)継カバー80に連結
されており、該継カバー80はボルト80Bを介して継
ケーシング82及び本体ケーシング22に連結されてい
る。
【0035】前記内歯歯車76は、この継ケーシング8
2と一体化されている。
【0036】前記遊星歯車74は、全周で3個配置さ
れ、それぞれキャリヤ84の遊星ピン孔84Dに圧入さ
れたキャリアピン(遊星ピン)90によって、ベアリン
グ92を介して回転自在に支持されている。
【0037】キャリアピン90の端面付近には、リング
状のアキシャルプレート94が組み込まれている。この
構成については後述する。
【0038】キャリヤ84は単純遊星歯車機構Spの出
力軸を兼ねており、後段の単純遊星歯車機構Seの入力
軸18が該キャリヤ84に直接圧入されている。
【0039】後段の単純遊星歯車機構Seの太陽歯車1
2は、その入力軸18に直接歯切りされており、(最終
段)アキシャルプレート96によって回転自在に支持さ
れている。この構成についても後に詳述する。
【0040】又、キャリヤ24は厚い円板状の本体プレ
ート24Aと、この本体プレート24Aに立設され3個
の遊星歯車24の間に位置決めされた3本の支柱24B
と、この支柱24Bの端面にボルト28を介して連結さ
れるカバープレート24Cと、から主に構成されてい
る。
【0041】遊星歯車14は、このキャリヤ24の本体
プレート24Aに形成された遊星ピン穴24Dとカバー
プレート24Cに形成された支持孔24Eに自身の両端
が挿入されたキャリヤピン(遊星ピン)30を介して、
回転自在に両持ち支持されている。
【0042】内歯歯車16は、本体ケーシング22と一
体的に形成されている。本体ケーシング22は連結穴2
4F或いは連結孔22Aを介して図示せぬ相手機械の取
付穴に連結・固定される。
【0043】従って、この減速機R1は、太陽歯車入
力、内歯歯車固定、キャリヤ出力の単純遊星歯車機構を
2段備えていることになる。
【0044】なお、図の符号50はオイルシールであ
る。
【0045】ここで、前記アキシャルプレート94、9
6に関係した構成について詳しく説明する。
【0046】図2、図3に示されるように、前段の単純
遊星歯車機構Spのキャリアピン90の端面90A付近
には、(ケーシングの一部である)継カバー80の段差
部80Cに圧入されるようにしてアキシャルプレート9
4が組み込まれている。具体的には、このアキシャルプ
レート94は、全体がリング状とされ、耐摩耗性があ
り、且つ摺動抵抗の小さな(表面が滑らかな)素材で形
成されている。継カバー80の段差部80Cに圧入状態
で組み込まれることから、該圧入の反力に対抗し得るだ
けの強度(軸方向の厚さd及び半径方向の長さr1)を
有しており、組み込まれることによってこの付近の強度
補強にも寄与している。この半径方向の長さr1は、ベ
アリング92の外径r2より小さく、従ってベアリング
92の一部は、アキシャルプレート94から露出した状
態とされている。
【0047】アキシャルプレート94はリング形状をし
ているため、図2に示されるように、遊星歯車74は該
アキシャルプレート94による位置規制を受ける。
【0048】この結果、遊星歯車74は結局、キャリヤ
84とこのアキシャルプレート94とによりその軸方向
の位置規制が行われる。
【0049】図3に拡大して示されるように、キャリア
ピン90の端面90Aと、このアキシャルプレート94
のキャリアピン側の対向面94Aとの間には、隙間ΔS
1が維持されている。この隙間ΔS1は、ベアリング9
2を潤滑するためのオイルの流入を許容するためのもの
で、従って、組み付け誤差を吸収するためだけの寸法に
対し、明らかに大きな寸法に設定され、オイルの粘度や
流入位置から潤滑位置までの距離(キャリアピン90の
半径)に応じて適宜の値に決定される。
【0050】この隙間ΔS1の具体的な確保は次のよう
な構成によって実現される。
【0051】即ち、再び図1を参照して、単純遊星歯車
機構SPのキャリアピン90はキャリア84に圧入状態
で挿入されているため、キャリアピン90とキャリア8
4は軸方向に一体である。また、キャリヤ84と単純遊
星歯車機構Seの入力軸18も圧入状態で連結されてい
るため、軸方向に一体である。更に、この入力軸18に
は太陽歯車が一体的に形成されているため、該入力軸1
8と太陽歯車12も軸方向に一体である。太陽歯車12
はキャリヤ24の段差部24Gに組み込まれた最終段ア
キシャルプレート96に対峙・接触し、その軸方向の移
動が規制されている。従って、結局2つのアキシャルプ
レート94、96の間にキャリアピン90、キャリヤ8
4、入力軸18、太陽歯車12からなる中間要素群Gが
軸方向に一体的に配置されることになり、この中間要素
群Gの軸方向の合計寸法L1よりも2つのアキシャルプ
レート94、96の間隔L2をわずかに大きく設定する
ことにより、その差(L2−L1)により結果として隙
間ΔS1が確保される。
【0052】なお、この構成のままでは、当該隙間ΔS
1は必ずしも常にキャリアピン90とアキシャルプレー
ト94との間に形成されるとは限らないが、ベアリング
92の一部がアキシャルプレート94から露出している
ことと相俟って、実用上はほとんど問題とならない。し
かしながら、もし、構成上常に前段のアキシャルプレー
ト側に隙間が存在するように維持させたいならば、例え
ば単純遊星歯車機構Spの太陽歯車72と遊星歯車7
4、或いは単純遊星歯車機構Seの太陽歯車12と遊星
歯車14の何れか一方または双方を、「斜歯」歯車と
し、該斜歯の噛合によって発生する軸方向の力により、
全体がアキシャルプレート96側に積極的に移動するよ
うな構成とすることも可能である。
【0053】最終段側のアキシャルプレート96につい
ては、(大型のキャリヤ24とは別体の部材であるた
め)素材として耐摩耗性のある材料を選択することがで
き、しかも回転速度が既にかなり遅くなっているため、
太陽歯車12と隙間のない状態であっても、特に問題は
発生しない。
【0054】図1から明らかなように、この太陽歯車1
2にはアキシャルプレート96の貫通孔96Aに回転自
在に係合する突出部12Aが形成されており、該アキシ
ャルプレート96によって、軸方向の移動が規制される
と共に、半径方向の回転の支持がなされている。一方、
前記中間要素群Gは、軸方向に一体であると同時に、半
径方向にも一体である。そこで、この実施形態では、単
純遊星歯車機構Spの太陽歯車72、遊星歯車74、及
び内歯歯車76が一種の大きな軸受としての機能を果た
すことを利用して、中間要素群G全体をこの最終段のア
キシャルプレート96と前段側の単純遊星歯車機構Sp
そのものとにおいて両持ち支持するようにし、この部分
での軸受を一切省略するようにしている。
【0055】このため、特に比較的高速回転する前段側
の遊星歯車74付近は、この軸受としての重要な機能を
兼ねることになるが、この実施形態ではこの部分へのオ
イルの供給が良好に行われるため、特に問題は発生しな
い。
【0056】なお、この実施形態の場合は、ベアリング
92の一部を露出させた上で、隙間も有していたが、ベ
アリングの一部を露出させる場合は、オイルを供給する
ための「隙間」は敢えて設ける必要はなく、その分位置
規制の精度を高めるようにすることもできる。
【0057】図4は、本発明の他の実施形態を示す、図
3相当の要部拡大図である。
【0058】この実施形態は、キャリアピンに遊星歯車
を回転自在に支持しているベアリング92が、アキシャ
ルプレート194により完全に覆われている。
【0059】しかしながら、アキシャルプレート194
とキャリアピン190の端面90Aとの間には隙間ΔS
2が設けられているため、ベアリング92には十分なオ
イルが供給される。
【0060】この実施形態では位置決めの精度は先の実
施形態より若干低下するが、アキシャルプレート194
による一層の強度増強が図れる。
【0061】その他の構成は先の実施形態と同様である
ため、同一部位に同一の符号を付すにとどめ、重複説明
は省略する。
【0062】なお、上記実施形態の説明においては、2
段型の遊星歯車構造が例として示されていたが、本発明
は、3段以上の多段型の遊星歯車構造にも適用できる。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、キャリアピン及び該キ
ャリアピンに支持されている(複数の)遊星歯車につい
て、部品点数が少なく、簡易な方法で、しかも新たな不
具合を何ら発生させたりすることなく、その軸方向の位
置規制を一度に行うことができるという優れた効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る軸方向規制構造が適用された遊星
歯車減速機の概略縦断面図
【図2】上記減速機におけるアキシャルプレートとキャ
リヤピン及びベアリングとの配置関係を示す、図1の矢
示II方向からみた配置図
【図3】上記減速機のアキシャルプレート付近を示す、
要部拡大断面図
【図4】本発明の他の実施形態を示す図3相当の要部拡
大断面図
【符号の説明】
R1…減速機 Sp…前段(最終段以外の)単純遊星歯車機構 Se…後段(最終段の)単純遊星歯車機構 12、72…太陽歯車 14、74…遊星歯車 16、76…内歯歯車 18、78…入力軸 80…継カバー 82…継ケーシング 22…本体ケーシング 24、84…キャリヤ 24A…本体プレート(フランジ) 30、90…遊星ピン 94、96…アキシャルプレート ΔS1、ΔS2…隙間
フロントページの続き Fターム(参考) 3J027 FA19 FB40 GA01 GB06 GC13 GD04 GD08 GD12 GE26 3J063 AA40 AB12 BA11 BB46 CA01 CD61

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】太陽歯車と、キャリアピンに支持され該太
    陽歯車と噛合する遊星歯車と、該遊星歯車が内接する内
    歯歯車とを有する遊星歯車機構を、ケーシング中に多段
    に備えた遊星歯車減速機の軸方向規制構造において、 前記ケーシングの、前記多段の遊星歯車機構のうち最終
    段以外の少なくとも1つの遊星歯車機構のキャリアピン
    の端面付近に、リング状のアキシャルプレートを組み込
    んだことを特徴とする遊星歯車機構の軸方向規制構造。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記キャリアピンに前記遊星歯車を回転自在に支持して
    いるベアリングの少なくとも一部を、前記アキシャルプ
    レートのキャリアピン側の対向面に対して露出させたこ
    とを特徴とする遊星歯車機構の軸方向規制構造。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、 前記多段の遊星歯車機構のうち、最終段の遊星歯車機構
    の太陽歯車が、該最終段の遊星歯車機構のキャリヤに組
    み込まれた最終段アキシャルプレートによって、その軸
    方向の移動が規制されていることを特徴とする遊星歯車
    機構の軸方向規制構造。
  4. 【請求項4】請求項3において、 前記最終段の遊星歯車機構の太陽歯車が、前記最終段ア
    キシャルプレートに回転自在に係合する突出部を有し、
    該最終段アキシャルプレートによって、該太陽歯車の軸
    方向の移動が規制されると共に、半径方向の回転の支持
    がなされていることを特徴とする遊星歯車機構の軸方向
    規制構造。
  5. 【請求項5】太陽歯車と、キャリアピンに支持され該太
    陽歯車と噛合する遊星歯車と、該遊星歯車が内接する内
    歯歯車とを有する遊星歯車機構を、ケーシング中に多段
    に備えた遊星歯車減速機の軸方向規制構造において、 前記ケーシングの、前記多段の遊星歯車機構のうち最終
    段以外の少なくとも1つの遊星歯車機構のキャリアピン
    の端面付近に、リング状のアキシャルプレートを組み込
    み、且つ、 該キャリアピンの端面と、このアキシャルプレートのキ
    ャリアピン側の対向面との間に、オイルの流入を許容す
    るわずかな隙間を設けたことを特徴とする遊星歯車機構
    の軸方向規制構造。
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