JP3100286B2 - ギヤドモータのシリーズ - Google Patents

ギヤドモータのシリーズ

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JP3100286B2
JP3100286B2 JP06133478A JP13347894A JP3100286B2 JP 3100286 B2 JP3100286 B2 JP 3100286B2 JP 06133478 A JP06133478 A JP 06133478A JP 13347894 A JP13347894 A JP 13347894A JP 3100286 B2 JP3100286 B2 JP 3100286B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、技術的に合理的な思想
に基づいて、各種ギヤドモータを製品群として複数用意
するのに好適なギヤドモータのシリーズに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、各種モータ及び変速機を組合せて
成る複数のギヤドモータから構成され、複数の変速比を
選択可能としたギヤドモータのシリーズが広く市場に提
供されている。
【0003】この種のギヤドモータのシリーズにおいて
は、相手機械に合せて用意した、一般に「枠番」と称さ
れる何種類かの大きさ別に前記複数の変速比が用意され
ている。ユーザは目的に応じたトルク(容量)、大き
さ、あるいは回転速度を有するギヤドモータを、このよ
うにきめ細かく分類化されたギヤドモータのシリーズの
中から選べばよいことになる。
【0004】従来具体的に市場に提供されているシリー
ズとして、揺動内接噛合式遊星歯車構造をその減速機の
減速構造として採用したギヤドモータのシリーズがあ
る。
【0005】この揺動内接噛合式遊星歯車構造は、第1
軸と、該第1軸に設けられた偏心体と、該偏心体を介し
て第1軸に対して偏心回転可能な状態で取付けられた外
歯歯車と、該外歯歯車が内接噛合する内歯歯車と、前記
外歯歯車に該外歯歯車の自転成分のみを伝達する手段を
介して連結された第2軸と、を備えたもので、減速比が
1/6以上1/119程度まで1段型で実現できる構造
として知られている。
【0006】具体的な構造例を図8及び図9に示す。こ
の例は、前記第1軸を入力軸(モータと連結される
軸)、第2軸を出力軸とすると共に、内歯歯車を固定す
ることによって上記構造を「減速用のギヤドモータ」に
提供したものである。
【0007】入力軸1には偏心体3がキー30を介して
嵌合されている。この偏心体3には軸受4を介して外歯
歯車5が取付けられている。この外歯歯車5には内ロー
ラ孔6が複数個設けられ、内ピン7及び内ローラ8が嵌
合されている。
【0008】前記外歯歯車5の外周にはトロコイド歯形
や円弧歯形等の外歯9が設けられている。この外歯9は
ケーシング12に固定された内歯歯車10と内接噛合し
ている。内歯歯車10の内歯は具体的には外ピン11が
外ピン穴13に遊嵌され、回転し易く保持された構造と
されている。
【0009】前記外歯歯車5を貫通する内ピン7は、出
力軸2のフランジ部14に固着されている。
【0010】入力軸1が1回転すると偏心体3が1回転
する。この偏心体3の1回転により、外歯歯車5も入力
軸1の周りで揺動回転を行おうとするが、内歯歯車10
によってその自転が拘束されるため、外歯歯車5は、こ
の内歯歯車10に内接しながらほとんど揺動のみを行う
ことになる。
【0011】今、例えば外歯歯車5の歯数をN、内歯歯
車10の歯数をN+1とした場合、その歯数差は1であ
る。そのため、入力軸1の1回転毎に外歯歯車5はケー
シング12に固定された内歯歯車10に対して1歯分だ
けずれる(自転する)ことになる。これは入力軸1の1
回転が外歯歯車の−1/Nの回転に減速されたことを意
味する。
【0012】この外歯歯車5の回転は内ローラ孔6及び
内ピン7の隙間によってその揺動成分が吸収され、自転
成分のみが該内ピン7を介して出力軸2へと伝達され
る。
【0013】ここにおいて、内ローラ孔6及び内ピン7
(内ローラ8)は「等速度内歯車機構」を形成してい
る。
【0014】この結果、結局減速比−1/Nの減速が達
成される。
【0015】なお、この従来例では、当該内接噛合遊星
歯車構造の内歯歯車を固定し、第1軸を入力軸、第2軸
を出力軸としているが、第2軸を固定し、第1軸を入力
軸(モータと連結される軸)、内歯歯車を出力軸とする
ことによってもギヤドモータ用の減速機を構成可能であ
る。更に、これらの入出力を逆転させることにより増速
用のギヤドモータの増速機を構成することも可能であ
る。
【0016】一方、この種のギヤドモータの減速機の減
速部の構造として、太陽歯車と、該太陽歯車と外接噛合
する遊星歯車と、該遊星歯車を保持する遊星枠と、前記
遊星歯車が内接噛合する内歯歯車とを備えたいわゆる単
純遊星歯車構造を採用した減速機も広く実用化されてい
る。
【0017】図10にその一例を示す。
【0018】この減速機には第1、第2減速部A、Bが
組込まれており、いずれも単純遊星歯車構造が採用され
ている。
【0019】第1、第2減速部A、Bとも、荷重等配を
実現するためにフロート構造とされた太陽歯車602、
702と、該太陽歯車602、702と外接噛合する遊
星歯車604、704と、該遊星歯車604、704が
内接噛合する内歯歯車606、706とを備える。遊星
歯車604、704は遊星枠(ディスク、あるいは出力
軸フランジ)608、708に保持されている。
【0020】この減速機の他の構成の説明を兼ねなが
ら、作用を簡単に説明する。
【0021】入力軸610が回転するとカップリング6
11を介して太陽歯車602が回転する。太陽歯車60
2が回転すると遊星歯車604がケーシング612に固
定された内歯歯車606に内接しながら該太陽歯車60
2の外周を公転する。
【0022】遊星歯車604は支持ピン614により軸
受616を介して支持されており、この支持ピン614
の太陽歯車602に対する公転がディスク(遊星枠)6
08に伝達される。ディクス608が回転すると、該デ
ィスク608に連結された第2減速部Bの太陽歯車70
2が回転する。太陽歯車702が回転すると遊星歯車7
04がケーシング612に固定された内歯歯車706に
内接しながら該太陽歯車702の外周を公転する。
【0023】遊星歯車704は支持ピン714に軸受7
16を介して支持されており、該支持ピン714の太陽
歯車702に対する公転が出力軸フランジ(遊星枠)7
08に伝達される。出力軸フランジ708は出力軸62
0とスプライン結合しており、該出力軸フランジ708
の回転により出力軸620が回転する。
【0024】減速機の減速構造としてこのような単純内
接噛合遊星歯車構造を採用したギヤドモータは、一般に
減速比が1/3〜1/9程度までは1段型で構成でき
る。しかしながらそれ以上の減速比を得るには上述した
従来例のように2段型としたり、あるいは更に3段型と
しなければならないとされている。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来
揺動内接噛合式の遊星歯車構造を採用したギヤドモータ
のシリーズは、その変速比が1/6以上のものしか用意
されていない。これは、揺動内接式の遊星歯車構造の減
速の構造上、減速比を1/6未満に設定するのが困難な
ためである。従って、従来、ユーザーが1/6未満の減
速比を得ようとした場合には、別シリーズ、例えば上述
した単純遊星歯車構造のギヤドモータのシリーズに属す
るギヤドモータを選択せざるを得なかった。
【0026】では、何故従来この2つのシリーズが異な
るシリーズとして別々に存在していたかというと、それ
は主に次のような技術的な理由に基づいていた。
【0027】即ち、揺動内接噛合式遊星歯車構造を採用
したギヤドモータにあっては、元々低速、高減速比(高
トルク)を意図する場合が多く、必然的にモータの大き
さに対して出力軸等の相手機械に対する大きさが大きく
なり、又、多くの場合低騒音化が要求された。
【0028】これに対し、単純遊星歯車構造を採用した
ギヤドモータの場合は、比較的高速、低減速比(低トル
ク)が要求されるため、モータの大きさの割には出力軸
等の相手機械に対する大きさが小さくて済み、そのため
出力軸等の大きさを揺動内接噛合式遊星歯車構造のシリ
ーズに合せるというのは重量増大や過剰品質を招く結果
となり、発想として成立し難かった。
【0029】逆に、単純遊星歯車構造のギヤドモータに
おいては、良好な高速回転を長期に亘って維持するとい
う要請に応えるために、荷重等配を実現するべく太陽歯
車をフロートさせるような構造が一般に採用されていた
ため、低騒音化が難しいという問題を有しており、この
問題は低騒音化の要請の強い揺動内接噛合式の遊星歯車
構造のシリーズとは相入れなかった。
【0030】ところが、このように減速比1/6前後を
境として異なったシリーズでしかギヤドモータを調達で
きないというのは、使い勝手の面で、あるいは純粋技術
的な面で種々な不具合があった。
【0031】例えば、ユーザが、変速比1/6である物
流機器を駆動していた場合に、これを何らの要因で1/
5程度にまで落としたいという要請があった場合に、調
達できるギヤドモータのシリーズが異なるため、両者は
当該物流機器との取合い寸法、出力軸径、芯高(取付け
面から軸芯までの高さ)等が全て異なり、又、場合によ
ってはモータの種類(具体的にはトルク、あるいは基本
回転速度)まで異なることがあるため、ユーザー側で取
付け機械の設計をかなり大幅に変更する必要があった。
【0032】又、技術的な性能面においても、例えば減
速比1/6のギヤドモータから1/5のギヤドモータに
交換した場合に、設計思想の違いから、急に騒音が大き
くなるというような問題を甘受しなければならなかっ
た。即ち、同じインラインタイプのギヤドモータであり
ながら、変速比が僅かに異なるギヤドモータを性能面で
の連続性を保ちながら交換することができず、又、大き
さや容量の面でも互換性あるいは交換性が全くなかっ
た。
【0033】更に、互換性、交換性という観点で言及す
るならば、従来のギヤドモータのシリーズは、いずれも
モータを交換するには減速機のかなりの部分まで分解
し、オイルシール等の手当をした上で再組立てしなけれ
ばならず、その結果次のような問題が大きな問題として
生じてきていた。
【0034】即ち、近年、このようなギヤドモータを使
用する分野(例えば物流システムの分野)においては、
その用途に応じ採用するモータに種々の性能が要求され
るようになってきている。例えば同一の馬力を持つもの
であっても、一般的な単なるインダクションモータ、ブ
レーキ付きのモータ、バックラッシが小さく往復動作を
しても位置がずれないモータ、インバータ制御回路を有
する定トルクで回転数制御のできるモータ、安全性向上
のために完全防水化されたモータ、等等、付属する制御
回路を含めて非常に多様なモータが使用されるようにな
ってきている。
【0035】そこで、組立て時にギヤドモータの組立て
自体を短時間に行えることの他、例えば物流システムに
現に組込まれて使用中のモータを目的の変更に応じて交
換することを容易に且つ短時間で行えるということが非
常に重要視されるようになってきている。この場合、前
述したようにモータを交換する際に減速機のかなりの部
分を分解しなければならないというのはこの時代の要求
に十分対応できるものとは言えなくなってきている。
【0036】従来は、このような事情の他、前述したよ
うな変速比が僅かに異なるだけで別シリーズのギヤドモ
ータを選択する必要があったため、1/6付近の変速比
の変更を伴う場合は、目的に応じてモータのみを短時間
で交換するというような要求には全く応えることができ
なかった。
【0037】本発明は、このような従来の問題に鑑みて
なされたものであって、低減速比から高減速比まで「低
騒音化」という設計思想の統一されたギヤドモータを提
供すると共に、従来は(提供されているシリーズの性質
上)得ることのできなかった低減速比、且つ低騒音のギ
ヤドモータを提供可能とし、又、いずれの変速比におい
ても(変速機の具体的な内部構造の如何にかかわらず)
いずれのモータとも、あるいはいずれの相手機械とも容
易に組合わせることを可能とし、ユーザーの購入時のニ
ーズ(及び購入後のニーズ変更)に柔軟に応えることが
でき、結果として全体の在庫を少なくしながら多くのバ
リエーションのギヤドモータを実現することのできるギ
ヤドモータのシリーズを提供することを目的とする。
【0038】
【課題を解決するための手段】本発明は、各種モータ及
び変速機を組合わせて成る複数のギヤドモータから構成
され、相手機械に対する取合寸法が同一という条件の下
で複数の変速比を選択可能としたギヤドモータのシリー
ズにおいて、前記変速比として少なくとも1/3〜1/
100での範囲の変速比を用意すると共に、上記変速比
のうち1/3〜1/9の範囲に属する低減速比側を構成
するギヤドモータには、前記変速機の変速構造として一
段形の単純遊星歯車構造を採用し、一方、1/6〜1/
100の範囲に属する高減速比側を構成するギヤドモー
タには、前記変速機の変速構造として一段形の揺動内接
噛合式遊星歯車構造を採用し、且つ、前記単純遊星歯車
構造の変速機及び揺動内接噛合式遊星歯車構造の変速機
とも、主要変速部を両持ち支持する構成としたことによ
り、上記課題を解決したものである。
【0039】又、本発明は、上述したギヤドモータのシ
リーズにおいて、前記低減速比側を構成するギヤドモー
タにおける単純遊星歯車構造は、支持ピンによって滑り
回転自在に支持された遊星歯車と、該遊星歯車の軸方向
両側に配置されると共に、前記支持ピンを滑り回転自在
に両持ち支持するために一対用意した遊星枠と、を備
え、該一対の遊星枠が、それぞれ独立して前記太陽歯車
と同軸に、且つ回転自在にケーシングに軸受を介して支
持され、且つ、この遊星枠及び軸受により、前記主要変
速部を両持支持する構成が実現されているように構成す
ることにより、両シリーズの合体に当って従来の単純遊
星歯車構造の特に遊星歯車の支持構造を見直し、揺動内
接噛合式遊星歯車構造を採用した減速機と「低騒音」の
点で違和感無く連続し、合わせて遊星歯車の支持に当っ
て従来は必須であった支持ピンの軸受を省略できるよう
にしたものである。
【0040】
【作用】本発明においては、シリーズにおいて用意する
変速比として少なくとも1/3〜1/100迄を確保す
ることとし、従来揺動内接噛合式遊星歯車構造のシリー
ズでは選択し得なかったところ迄選択し得るようにし
た。
【0041】そのために本発明では、1/3〜1/9の
範囲に属する低減速比側を構成するギヤドモータの変速
構造として一段形の単純遊星歯車構造を採用し、一方、
1/6〜1/100の範囲に属する高減速比側を構成す
るギヤドモータの変速構造として揺動内接噛合式の遊星
歯車構造を採用するようにした。これにより、技術的に
特に1/3〜1/6迄の変速比を含め、1/100迄を
全て1段型の変速機によって確保し得るようになった。
なお、1/6〜1/9の範囲はいずれの変速構造であっ
てもよく、場合によっては両方の構造を(重複して)用
意してもよい。
【0042】その上で、本発明では、単純遊星歯車構造
の変速機及び揺動内接噛合式遊星歯車構造の変速機と
も、その主要変速部を両持ち支持する構成とし、変速機
部とモータとをそれぞれ分離、交換、移動、あるいは保
管できるようにした。この結果、枠番さえ同一であれ
ば、変速比に応じて単純遊星歯車構造の変速機でも揺動
内接噛合式遊星歯車構造の変速機でも自由に選択でき、
且つ簡単に交換できるようになった。又、変速機側から
見た場合には、通常のインダクションモータも、あるい
は特殊な機能を備えたモータもその用途に応じて自由に
選択することができるようになった。
【0043】更には、主要変速部が両持ち支持構造とさ
れているため、組付け剛性を極めて高く維持することが
できるようになり、一層の安定回転、耐久性の向上、静
粛性を維持できるようになった。
【0044】又、主要変速部が両持ち支持され、その組
付け精度が向上できることから、単純遊星歯車構造のギ
ヤドモータには、従来は必須とされていた荷重等配を実
現するための太陽歯車をフロートさせる構造を省略する
ことができるようになり、更には、遊星歯車を支持する
ための軸受も省略することができるようになった。この
結果(従来太陽歯車をフロートさせること、及び遊星歯
車を軸受を介して支持することは騒音増大の大きな要因
となっていたが)低騒音実現のために大きな障害となっ
ていたこれらの騒音要因をなくすことができ、単純遊星
歯車構造でありながら揺動内接噛合式遊星歯車構造と違
和感の無い静粛性を得ることができるようになった。
【0045】
【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例を詳細に
説明する。
【0046】まず、本発明に係るシリーズ中のギヤドモ
ータのうち、高減速比側の変速比を実現するの使用され
る揺動内接噛合式遊星歯車構造のギヤドモータについて
説明する。
【0047】図1は、該ギヤドモータの減速機を軸断面
で破断して示した正面図であり、図2は、そのII−II線
断面図である。なお、図1、図2に示した実施例は、減
速機自体は非分解としたタイプ、図3、図4に示した実
施例は、減速機自体も分解可能としたタイプである。な
お、いずれも従来の図8、図9と同様な部位には下2桁
が同一の符号を付してある。
【0048】図1、及び図2において、出力軸102の
フランジ部114には、該フランジ部114とは別部材
とされたキャリヤピン(キャリヤ体)116の一端が嵌
入(圧入)されている。このキャリヤピン116の他端
には支持リング117が嵌入(圧入)されており、この
支持リング117及びキャリヤピン116によってキャ
リヤが構成されている。
【0049】フランジ部114、キャリヤピン116、
及び支持リング117は、一対の軸受115a 、115
b によってケーシング112に両持ち支持されている。
【0050】キャリヤピン116には、そのほぼ中央に
パイプ状のスペーサ125が嵌入(圧入)されている。
従って、キャリヤピン116の支持リング117、ある
いはフランジ部114への嵌入深さに多少のばらつきが
あったとしても、このスペーサ125の機能により支持
リング117及びフランジ部114の距離は必ず一定に
維持され、しかも4本ある全てのキャリヤピン116の
部分において同一の距離を容易に確保することができ
る。
【0051】外歯歯車105a 、105b にはキャリヤ
ピン116の貫通するキャリヤピン孔(通し孔)120
が形成されている。このキャリヤピン孔120は、外歯
歯車105a 、105b が揺動しても、なおキャリヤピ
ン116と外歯歯車105a、105b が接触しない大
きさとされている。
【0052】なお、内ピン107は、支持リング11
7、及びフランジ部114に圧入されている。従って、
自由な回転はできなくなっている。しかしながら、内
ピンの形状が単純な円柱状であるため、硬質の素材で鏡
面仕上の加工を容易に(低コストに)できること、一
対の軸受115a 、115b により減速機構を挾んで両
持ち支持するような構造を採用したため、全体の剛性を
非常に高めることができ、内ピン107を極めて安定し
た状態で支持できること、更に、内ピン107とキャ
リヤピン116とに分離する構成を取ったため、出力軸
等から流入するラジアル荷重をキャリヤピン116の方
で受け持つようになり、内ピン107には強いラジアル
荷重がかかったりする恐れがないため一層安定した状態
で支持できること等から、実用上特に問題はない。但
し、この内ピン107は圧入ではなく後述する分解タイ
プのようにここれを滑り嵌入させるようにしてもよい。
【0053】次に、この実施例の作用を説明する。
【0054】外歯歯車105a 、105b が入力軸10
1の回転と共に揺動回転し、内歯歯車110の内歯に相
当する外ピン111と外歯歯車105a 、105b との
噛合によって入力軸101の回転が外歯歯車105a 、
105b の減速された回転(自転)となるのは、従来の
公知例と全く同様である。
【0055】この外歯歯車105a 、105b の回転
は、内ピン孔119と内ピン107との隙間によりその
揺動成分が吸収され、自転成分のみが該内ピン107を
介して出力軸102のフランジ部114と支持リング1
17とに伝達される。支持リング117に伝達された回
転力は、キャリヤピン116を介して出力軸102に伝
達される。
【0056】出力軸102に作用する外部ラジアル荷重
は軸受115a と、キャリヤピン116及び支持リング
117を介して軸受115a とで両持ちで受止められる
ため、内ピン107には外部ラジアル荷重が影響しな
い。
【0057】即ち、この実施例によれば、減速機構部を
一対の軸受115a 、115b で両持ち支持するように
してあるため、極めて剛性が高く、又フランジ部11
4、キャリヤピン116、支持リング117の連結を非
常に簡単に且つ高精度に行うことができ、更に内ピン1
07の内ローラをも省略して、より低コスト化が図れる
という効果が得られる。
【0058】次に、図3及び図4に頻繁に分解・組立を
することを前提としたタイプの実施例を示す。この実施
例では、キャリヤピン216の一端部に止め輪224を
配置し、他端部にねじ部227を設けると共に、フラン
ジ部214、スペーサ225、及び支持リング217
を、この止め輪224とねじ部227に螺合するナット
228とによって強く挟み込むことにより、組付けを行
うようにしている。従って何回でも分解組立が可能であ
る。
【0059】なお、この実施例では、内ピン207は、
出力軸202のフランジ部214及び支持リング217
の内ピン保持孔226a 、226b に滑り嵌入されてい
る。そのため、自由に回転することが可能であり、これ
により内ピン孔219a 、219b と内ピン207との
噛合時に生ずる滑りを良好に吸収することができる。又
当然にここでの分解も可能である。
【0060】内ピン207は、両端自由支持されている
ことから、内ピン孔219a 、219b との噛合による
荷重を受けたときに弾性変形を生じ易く、これにより加
工、組立、あるいは分解、再組立に伴う誤差を良好に吸
収することができる。しかも、この内ピン207が弾性
変形したとしても、減速機全体の剛性は内ピン207で
はなく、ケーシング212に両持ち支持されたフランジ
部214、キャリヤピン216、及び支持リング217
によって確保されるため、極めて安定性のある運転を継
続することができる。
【0061】内ピン207は、両端自由支持であるが、
軸受215a 、215b の外輪225a 、225b によ
って軸方向に位置決めされているため、抜け出ることは
ない。
【0062】次に本発明に係るギヤドモータのシリーズ
において低減速比側を構成するギヤドモータ、即ち、1
段型の単純遊星歯車構造を採用した変速機とモータとを
組合せたギヤドモータの構成を説明する。
【0063】図5は該ギヤドモータの減速機の一部破断
の正面図、図6は図5のVI−VI線に沿う断面図である。
なお従来の図8と同様な部位には下2桁が同一の符号を
付してある。
【0064】この減速機は、太陽歯車402と、該太陽
歯車402と外接噛合する遊星歯車404と、該遊星歯
車404が内接噛合する内歯歯車406とを備えた単純
遊星歯車構造をその減速部Cの構造として採用してい
る。
【0065】前記太陽歯車402は、いわゆるDカット
された入力軸410と結合されており、特に荷重等配を
実現するためのフロート構造は採用されていない。入力
軸410は、カップリング411を介してモータ軸43
0と連結されている。
【0066】前記遊星歯車404は、太陽歯車402と
外接噛合すると共に、内歯歯車406と内接噛合してい
る。
【0067】この遊星歯車404は、支持ピン414に
より滑り回転自在に支持されている。支持ピン414
は、一対の遊星枠に滑り回転自在に両持ち支持されてい
る。具体的にはこの実施例では入力軸側(図1中の右
側)に配置されたキャリア408Aと出力軸420に一
体的に成形された出力軸フランジ408Bが一対の遊星
枠を構成している。キャリア408A、出力軸フランジ
408Bには支持ピン保持孔450、452が形成され
ており、支持ピン414はこの支持ピン保持孔450、
452に滑り回転自在に両持ち支持されている。
【0068】両遊星枠、即ちキャリア408A、出力軸
フランジ408Bは、共にそれぞれ独立してケーシング
412に軸受416A、416Bを介して(太陽歯車4
02と同軸に)回転自在に支持されている。
【0069】なお、この軸受416A、416Bは、支
持ピン414が軸方向に抜けるのを防止するためのスト
ッパの機能をも果している。
【0070】前記内歯歯車406はケーシング412に
固定されており、前記入力軸410は前記一対の遊星
枠、即ちキャリア408A及び出力軸フランジ408B
に玉軸受436A、436Bを介して支持されている。
【0071】前記キャリア408A及び出力軸フランジ
408B(一対の遊星枠)は、(支持ピン414とは別
の部材である)キャリアピン440によって強固に固定
・連結されている。具体的には、キャリアピン440の
一端側にはスナップリング442が嵌め込まれている。
又、キャリアピン440の他端側には雌ねじ440Aが
形成されている。更にキャリア408A及び出力軸フラ
ンジ408Bにはキャリアピン孔441A、441Bが
形成されている。キャリアピン440は、スペーサ44
4を介在させた状態でこのキャリアピン孔441A、4
41Bに貫通される。そして該キャリアピン440の雌
ねじにナット446を螺合・締付けることによりキャリ
ア408A、出力軸フランジ408Bが連結される。
【0072】このキャリアピン440によるキャリア4
08A及び出力軸フランジ408Bの連結は、必ずしも
必須のものではないが、キャリアピン440が存在する
ことにより、両遊星枠は必ず同速度で一体回転するた
め、支持ピン414に公転軌道接線方向の偏加重が発生
するのを効果的に防止することができ、支持ピン414
を常に良好に支持することができるようになる。
【0073】次にこの減速機の作用を説明する。
【0074】モータ軸430が回転するとカップリング
411を介して入力軸410が回転し、これとスプライ
ン結合されている太陽歯車402が同速回転する。太陽
歯車402が回転すると、遊星歯車404がケーシング
412に固定された内歯歯車406に内接しながら太陽
歯車402の外周に沿って公転する。
【0075】この公転は、支持ピン414を介して一対
の遊星枠、即ちキャリア408A及び出力軸フランジ4
08Bに伝達される。出力軸フランジ420側に伝達さ
れた公転の動力は直接、キャリア408A側に伝達され
た公転の動力はキャリアピン440、出力軸フランジ4
08Bを介してそれぞれ出力軸420に伝達される。
【0076】この際、キャリア408A及び出力軸フラ
ンジ408Bは共にそれぞれ独立してケーシングに玉軸
受416A、416Bを介して支持されているため、支
持ピン414の組付け及び回転精度を極めて高く維持す
ることができる。又出力軸420側からのラジアル方向
の負荷に対しても減速機全体として高い剛性を確保で
き、従って入力軸410やその他の部材も精度よく支持
することができる。そのため太陽歯車402をフロート
させる必要がなくなり、それだけ低騒音化できる。
【0077】更に、このキャリア408A及び出力軸フ
ランジ408Bはキャリアピン440を介して強固に固
定・連結されているため、両者は必ず同速で回転し、そ
の分支持ピン414に公転軌道接線方向の偏荷重がかか
るのが防止される。
【0078】又支持ピン414は遊星歯車404に対し
て滑り回転自在とされると共に、キャリア408A、出
力軸フランジ408Bに対しても(固定ではなく)滑り
回転自在とされいるため、その分該支持ピン414と遊
星歯車404との相対滑り速度が低減される。従って、
支持ピン414自体の高い組付け精度と相俟って(軸受
けがなくても)遊星歯車404を長期に亘って円滑に回
転支持することができる。そのため軸騒音がなくなり一
層の低騒音化が実現できる上に、部品点数もそれだけ低
減できる。
【0079】図7は本発明に係るシリーズをベースとし
て更に発展させたシリーズを表わしている。
【0080】ここで、モータ直結形A1、A2は、モー
タと遊星歯車構部とを一体的に直接連結させるためのも
のである。
【0081】両軸形Bは、入力軸に駆動源(モータ等)
をカップリング等により連結するためのものである。こ
の両軸形Bはレデューサとも呼ばれている。
【0082】2段形Cは、遊星歯車構造を2段に組合わ
せて大減速比を得るためのものである。
【0083】これらの入力側部分は、遊星歯車構造部の
入力軸に継スプライン300を介して連結される。この
ために同一の枠番においてはこの製品群の中で入力側部
分と遊星歯車構造部との取合寸法を同一としている。
【0084】遊星歯車構造部としては、脚取付形D1、
D2、フランジ形Eが用意されている。脚取付形D1、
D2は相手機械に据え付ける際に脚部フランジ部30
2、303において相手機械に据えつける際に使用する
ものである。一方、フランジ形Eは軸と垂直方向に形成
されたフランジ部304において相手機械に据え付ける
際に使用する。なお、D1は単純遊星歯車構造、D2は
揺動内接噛合式遊星歯車構造であり、詳細は既に説明し
た通りである。フランジ型Eはここでは揺動内接式遊星
歯車構造のもののみを用意しているが、無論、これにつ
いても単純遊星歯車構造のものを用意してもよい。
【0085】各々の構成部分A〜Eは、全てユニット化
され、それぞれ単体で支障なく在庫、運搬等ができるよ
うに、オイルシール対策が取られ、且つ前記継スプライ
ン300との取合い寸法が共通化されている。
【0086】なお減速部パックF1、F2は、減速機構
部のみを取り出してユニット化したもので、脚取付形D
1、D2、フランジ形Eに共通に使用する。この部分が
ユニット化されているため、同一枠番内での減速比の変
更を極めて容易に行うことができる。ここでF1は単純
遊星歯車構造のもので減速比1/3〜1/7までが用意
されている。F2は揺動内接式遊星歯車構造のもので減
速比1/6〜1/119のものが容易されている。
【0087】図7の図例は発展シリーズの一例を示すも
のであり、図示していないが、例えばモータ直結形A
1、A2に関しては同一の馬力を持つものであっても、
一般的な単なるインダクションモータ、ブレーキ付のモ
ータ、インバータ制御回路を有する定トルクで回転数制
御のできるモータ、安全性向上のために完全防水化され
たモータ、等々、付属する制御回路を含めて多様なモー
タが用意されている。同様に、他の構成部分B〜Eにつ
いてもいくつかのバリエーションが用意されている。
【0088】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
変速比1/3〜1/100、あるいはこれよりも広い範
囲に亘る変速比を低騒音、高剛性、且つ高耐久性の統一
された技術設計に基づく単一のシリーズ内で得ることが
でき、しかも、各減速部が両持ち支持された上で密閉状
態でユニット化させているため、前述した広範囲の任意
の変速比において、種々の大きさ及び種々の種類のモー
タ及び相手機械に任意に且つ容易に組合わせることがで
きるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたシリーズにおける高減速比
側のギヤドモータの、減速部を軸断面で破断して示した
正面図
【図2】図1のII−II線に沿う断面図
【図3】図1の変形例を示す正面図
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図
【図5】本発明が適用されたシリーズにおける低減速比
側のギヤドモータの、減速部を軸断面で破断して示した
正面図
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図
【図7】本発明に係るシリーズを更に発展させたシリー
ズを示す全体構成図
【図8】従来の揺動内接噛合式遊星歯車構造の減速機を
備えたギヤドモータの、減速部を軸断面で破断して示し
た正面図
【図9】図8のIX−IX線に沿う断面図
【図10】従来の単純遊星歯車構造の減速機を備えたギ
ヤドモータの、減速部を軸断面で破断して示した正面図
【符号の説明】
102、420…出力軸 105a 、105b …外歯歯車 107…内ピン 109、406…内歯歯車 112、412…ケーシング 114…フランジ部 115a 、115b 、416A、416B…軸受 116…キャリアピン 117…支持リング 402…太陽歯車 404…遊星歯車 408A、408B…遊星枠(キャリア、出力軸フラン
ジ) 410…入力軸 414…支持ピン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭47−35561(JP,A) 実開 昭55−126047(JP,U) 実開 平6−28394(JP,U) 実開 平4−39454(JP,U) 特公 昭32−2620(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 1/28 - 1/48

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】各種モータ及び変速機を組合わせて成る複
    数のギヤドモータから構成され、相手機械に対する取合
    寸法が同一という条件の下で複数の変速比を選択可能と
    したギヤドモータのシリーズにおいて、 前記変速比として少なくとも1/3〜1/100での範
    囲の変速比を用意すると共に、上記変速比のうち1/3
    〜1/9の範囲に属する低減速比側を構成するギヤドモ
    ータには、前記変速機の変速構造として一段形の単純遊
    星歯車構造を採用し、一方、1/6〜1/100の範囲
    に属する高減速比側を構成するギヤドモータには、前記
    変速機の変速構造として一段形の揺動内接噛合式遊星歯
    車構造を採用し、且つ、 前記単純遊星歯車構造の変速機及び揺動内接噛合式遊星
    歯車構造の変速機とも、主要変速部を両持ち支持する構
    成としたことを特徴とするギヤドモータのシリーズ。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記低減速比側を構成するギヤドモータにおける単純遊
    星歯車構造は、 支持ピンによって滑り回転自在に支持された遊星歯車
    と、 該遊星歯車の軸方向両側に配置されると共に、前記支持
    ピンを滑り回転自在に両持ち支持するために一対用意し
    た遊星枠と、を備え、 該一対の遊星枠が、それぞれ独立して前記太陽歯車と同
    軸に、且つ回転自在にケーシングに軸受を介して支持さ
    れ、且つ、この遊星枠及び軸受により、前記主要変速部
    を両持支持する構成が実現されていることを特徴とする
    ギヤドモータのシリーズ。
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